説明

インクジェットヘッドの洗浄装置およびインクジェット記録装置

【課題】ノズル面を効率よく確実に洗浄できるとともに、ノズル面の損傷を防止できるインクジェットヘッドの洗浄装置を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、複数のノズル(28)が開口されたインクジェットヘッド(21)のノズル面(23a)を洗浄する洗浄装置(31)は、洗浄ヘッド(32)と供給部(33)とを備えている。洗浄ヘッド(32)は、ノズル面(23a)と向かい合う供給口(43)を有するとともに、ノズル面(23a)に沿って移動可能である。供給部(33)は、洗浄ヘッド(32)の供給口(43)にノズル面(23a)を洗浄する液体(L)を供給するように構成され、液体(L)を供給口(43)からノズル面(23a)に向けて膨らませることで、洗浄ヘッド(32)にノズル面(23a)に接する液状ワイプ部(61)が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、複数のノズルが開口されたインクジェットヘッドのノズル面を液体で洗浄する洗浄装置および洗浄装置を搭載したインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットヘッドは、インクを吐出する複数のノズルが開口されたノズル面を有している。ノズル面にインクが付着すると、インクの吐出性能が不安定となり、印字品質が悪化する。そのため、従来では、ワイプブレードを用いてノズル面を定期的に清掃することが行われている。
【0003】
ワイプブレードは、ゴムのような柔軟な弾性体で構成されている。ワイプブレードは、ノズル面に接しながら移動することで、ノズル面に付着したインクや塵埃等を強制的に掻き取って除去している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−58338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ワイプブレードは、繰り返し使用すると、ノズル面に接する先端部分が摩耗したり、ノズル面から取り除かれたインク等の異物がワイパブレードに付着するのを否めない。この結果、ノズル面に対するワイプブレードの密着性が悪くなり、払拭性能が低下する。
【0006】
さらに、ワイプブレードに付着した異物が固化した状態でノズル面の清掃作業を継続すると、固化した異物によりノズル面が損傷してしまい、印字品質を悪化させる要因となる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、複数のノズルが開口されたインクジェットヘッドのノズル面を洗浄する洗浄装置は、洗浄ヘッドと供給部とを備えている。前記洗浄ヘッドは、前記ノズル面と向かい合う供給口を有するとともに、前記ノズル面に沿って移動可能である。供給部は、前記洗浄ヘッドの前記供給口に前記ノズル面を洗浄する液体を供給するように構成され、前記液体を前記供給口から前記ノズル面に向けて膨らませることで、前記洗浄ヘッドに前記ノズル面に接する液状ワイプ部を形成する。
【0008】
実施形態によれば、インクジェット記録装置は、筐体と、前記筐体内に設けられ、記録媒体を搬送する搬送路と、複数のノズルが開口されたノズル面を有し、前記ノズルから前記記録媒体に向けてインクを吐出させるインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドの前記ノズル面を洗浄する洗浄装置と、を含んでいる。前記洗浄装置は、洗浄ヘッドと供給部とを備えている。前記洗浄ヘッドは、前記ノズル面と向かい合う供給口を有するとともに、前記ノズル面に沿って移動可能である。前記供給部は、前記洗浄ヘッドの前記供給口に前記ノズル面を洗浄する液体を供給するように構成され、前記洗浄ヘッドに前記ノズル面に接する液状ワイプ部を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態に係るインクジェット記録装置を概略的に示す側面図。
【図2】第1の実施形態で用いるインクジェットヘッドの斜視図。
【図3】第1の実施形態に係るインクジェットヘッドの洗浄装置の斜視図。
【図4】第1の実施形態において、洗浄装置の洗浄ヘッドをインクジェットヘッドに当接させた状態を示す正面図。
【図5】第1の実施形態において、洗浄装置の洗浄ヘッドをインクジェットヘッドに当接させた状態を示す側面図。
【図6】第1の実施形態で用いる洗浄ヘッドの斜視図。
【図7】第1の実施形態で用いる洗浄ヘッドの斜視図。
【図8】第1の実施形態において、供給口から流出する液体の流れ経路を示す洗浄ヘッドの平面図。
【図9】第1の実施形態において、供給口から流出する液体の流れ経路を示す洗浄ヘッドの斜視図。
【図10】第1の実施形態において、洗浄ヘッドがインクジェットヘッドのノズル面から外れた待機位置に移動された状態を示す断面図。
【図11】図10のF11の箇所を拡大して示す断面図。
【図12】第1の実施形態において、洗浄ヘッドがインクジェットヘッドのノズル面と向かい合う洗浄位置に移動した状態を示す断面図。
【図13】第1の実施形態において、洗浄用の液体が供給口から盛り上がった状態を示す洗浄ヘッドの断面図。
【図14】第1の実施形態において、洗浄用の液体が洗浄ヘッドの供給口とインクジェットヘッドのノズル面との間の隙間に充填された状態を示す断面図。
【図15】第1の実施形態において、洗浄用の液体が洗浄ヘッドの供給口とインクジェットヘッドのノズル面との間の隙間に充填された時の洗浄ヘッドの供給口とインクジェットヘッドのノズルとの位置関係を示す断面図。
【図16】第1の実施形態において、洗浄ヘッドが洗浄位置に移動して洗浄用の液体が供給口から溢れ出た状態を示す断面図。
【図17】図16のF17の箇所を拡大して示す断面図。
【図18】第1の実施形態において、洗浄用の液体が供給口から溢れ出た時の洗浄ヘッドの供給口とインクジェットヘッドのノズルとの位置関係を示す断面図。
【図19】第2の実施形態に係る洗浄装置の側面図。
【図20】第3の実施形態で用いる洗浄ヘッドの斜視図。
【図21】第3の実施形態において、洗浄ヘッド本体の供給口からアタッチメントを取り外した状態を示す洗浄ヘッドの斜視図。
【図22】第3の実施形態で用いるアタッチメントの斜視図。
【図23】第3の実施形態で用いる洗浄ヘッドの断面図。
【図24】図23のF24−F24線に沿う断面図。
【図25】アタッチメントの吐出孔から洗浄用の液体が盛り上がった状態を示す洗浄ヘッドの断面図。
【図26】第3の実施形態において、液状ワイプ部が洗浄ヘッドの吐出口とインクジェットヘッドのノズル面との間に形成された状態を示す断面図。
【図27】第3の実施形態において、液状ワイプ部でインクジェットヘッドのノズル面を清掃している状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1の実施形態]
以下、第1の実施形態について、図1ないし図18を参照して説明する。
【0011】
図1は、インクジェット記録装置1を概略的に示している。第1の実施形態に係るインクジェット記録装置1は、記録媒体の一例である用紙Pにカラー印刷を行うためのものである。用紙Pとしては、例えば無地の用紙、アート紙あるいはOHPシート等を用いることができる。
【0012】
インクジェット記録装置1は、筐体2を備えている。筐体2は、インクジェット記録装置1の外郭を構成している。搬送路3および用紙送り機構4が筐体2の内部に設けられている。搬送路3は、給紙トレイ5又は手差しトレイ6に蓄えられた用紙Pを排紙トレイ7に導くためのものであり、筐体2の底部から筐体2の上部に向けて延びている。
【0013】
用紙送り機構4は、給紙トレイ5に蓄えられた用紙Pを一枚づつ搬送路3に送り出す第1のローラ8と、手差しトレイ6に蓄えられた用紙Pを一枚づつ搬送路3に送り出す第2のローラ9と、用紙Pを搬送路3に沿って搬送する複数の第3のローラ10と、搬送路3の終端に搬送された用紙Pを排紙トレイ7に送り込む複数の第4のローラ11とを備えている。
【0014】
図1に示すように、搬送路3の途中に印字部13が設けられている。印字部13は、用紙Pが巻きつけられるドラム14と、用紙Pに印字データに基づく印字を行う印字ユニット15とを備えている。
【0015】
印字ユニット15は、ドラム14の上に配置されて、ドラム14の外周面と向かい合っている。印字ユニット15は、シアンインクを吐出する第1のノズルモジュール16、イエローインクを吐出する第2のノズルモジュール17、マゼンダインクを吐出する第3のノズルモジュール18およびブラックインクを吐出する第4のノズルモジュール19を備えている。第1ないし第4のノズルモジュール16,17,18,19は、ドラム14の上で用紙Pの搬送方向に沿う上流側から下流側に向けて配列されている。
【0016】
第1ないし第4のノズルモジュール16,17,18,19は、夫々図2に示すようなインクジェットヘッド21を装備している。インクジェットヘッド21は、ヘッド本体22、ノズルプレート23およびマスクプレート24を備えている。
【0017】
図10に示すように、ヘッド本体22は矩形状であり、ドラム14の軸方向に延びている。ヘッド本体22は、インクが供給されるインク流通室26を備えている。インク流通室26は、ヘッド本体22の長手方向に延びているとともに、ヘッド本体22の下端に開口されている。
【0018】
ノズルプレート23は、例えばポリイミドのような樹脂フィルムで構成されている。ノズルプレート23は、インク流通室26の開口端を閉塞するようにヘッド本体22の下端に接着等の手段により固定されている。
【0019】
一対のノズル列27a,27bがノズルプレート23に形成されている。ノズル列27a,27bは、ノズルプレート23の長手方向に延びているとともに、ノズルプレート23の幅方向に互いに間隔を存して並行に配置されている。
【0020】
ノズル列27a,27bは、夫々複数のノズル28を有している。ノズル28は、ノズルプレート23の長手方向に間隔を存して並んでいる。ノズル28は、インク流通室26およびノズルプレート23の下面に夫々開口されている。
【0021】
図11に示すように、ノズルプレート23の下面は、ノズル28が開口する領域を除き例えばフッ素樹脂製の撥液膜29でコーティングされている。撥液膜29は、インクをはじく特性を有している。撥液膜29は、ノズルプレート23のノズル面23aを構成しており、このノズル面23aにノズル28が開口されている。
【0022】
マスクプレート24は、ヘッド本体22を取り囲んでいる。ノズルプレート23のノズル面23aは、マスクプレート24の下端のガイド面24aから下向きに僅かに突出されている。ガイド面24aは、ノズルプレート23のノズル面23aの周囲に位置されているとともに、ノズルプレート23の長手方向に沿って直線状に延びている。
【0023】
このようなインクジェットヘッド21によると、インク流通室26に供給されたインクは、図示しないアクチュエータによって加圧される。加圧されたインクの一部は、複数のインク滴となってノズル28からドラム14の上の用紙Pに向けて吐出される。
【0024】
図1に示すように、インクジェット記録装置1は、インクジェットヘッド21のノズル面23aを液体Lで洗浄する洗浄装置31を搭載している。洗浄装置31は、筐体2の内部に収容されて、印字ユニット15と隣り合っている。洗浄用の液体Lとしては、例えば印字用のインクと物性が同類のインクあるいは透明な洗浄液を用いることが望ましい。
【0025】
図3に最もよく示されるように、洗浄装置31は、洗浄ヘッド32、供給部33および回収部34を備えている。
【0026】
洗浄ヘッド32は、図10および図11に示す待機位置と、図12ないし図18に示す洗浄位置との間でノズル面23aの長手方向に直線的に往復移動が可能である。具体的には、待機位置では、洗浄ヘッド32はノズル面23aから外れるようにインクジェットヘッド21の側方に離脱する。洗浄位置では、洗浄ヘッド32はインクジェットヘッド21のノズル面23aと向かい合うようにインクジェットヘッド21の下に進出する。
【0027】
洗浄ヘッド32は、例えば電動シリンダあるいはリニアモータ等の駆動手段によりノズル面23aに沿って直線的に移動させることができる。さらに、例えばノズル面23aの長手方向に延びるガイドレールを用いて洗浄ヘッド32の移動方向を案内するようにしてもよい。
【0028】
図6ないし図9に示すように、洗浄ヘッド32は、ブロック状の洗浄ヘッド本体35を備えている。洗浄ヘッド本体35は、例えばポリアセタール、テフロン(登録商標)あるいはフッ素樹脂のようなインクをはじく撥液性を有する材料で構成されている。洗浄ヘッド本体35は、ノズル面23aと向かい合う上面36を有している。上面36は、ノズル面23aを幅方向に横断する幅寸法を有する矩形状であって、ノズル面23aの長手方向に沿う寸法がノズル面23aの全長よりも短くなっている。
【0029】
洗浄ヘッド本体35の上面36の中央部に凹部38が形成されている。凹部38の底面39は、洗浄ヘッド32の移動方向に沿う一端から他端の方向に進むに従い下向きに傾斜されている。凹部38の底面39のうち最も凹んだ位置に回収口40が形成されている。回収口40は、洗浄ヘッド本体35の底から突出された液体出口41に通じている。
【0030】
凹部38の底面39に供給口43が形成されている。供給口43は、洗浄ヘッド本体35の幅方向に延びるスリット状の開口形状を有している。言い換えると、供給口43は、ノズル28の配列方向と直交する方向に直線状に延びている。供給口43は、洗浄ヘッド本体35の底から突出された液体入口44に通じている。
【0031】
さらに、供給口43の開口端は、凹部38の底面39から上向きに突出されて、洗浄ヘッド本体35の上面36から僅かに張り出している。このため、洗浄ヘッド32が洗浄位置に移動された状態では、供給口43の開口端とインクジェットヘッド21のノズル面23aとの間に、図14に示すような隙間45が形成されている。
【0032】
図8に示すように、供給口43は、回収口40に対し洗浄ヘッド32の移動方向に沿う一方側に片寄っている。このため、供給口43は、凹部38の内部を第1の領域46と第2の領域47とに分けている。第1の領域46は、回収口40に直に通じている。第2の領域47は、回収口40に対し供給口43を間に挟んだ反対側に位置されている。
【0033】
第1の実施形態によると、第2の領域47は、二つの斜面47a,47bを有している。斜面47a,47bは、洗浄ヘッド本体35の幅方向に沿う中間点を境として供給口43の長手方向に延びている。加えて、斜面47a,47bは、前記中間点から遠ざかるに従い下向きに傾斜されて、供給口43の長手方向に沿う両端を迂回して第1の領域46に通じている。
【0034】
図6ないし図8に示すように、洗浄ヘッド本体35は、第1および第2のガイド壁50,51を有している。第1および第2のガイド壁50,51は、供給口43を間に挟んで互いに向かい合うとともに、洗浄ヘッド32の移動方向に沿って延びている。
【0035】
第1および第2のガイド壁50,51の内側面は、洗浄ヘッド32が往復移動する時に、マスクプレート24の側面24b,24cに摺動可能に接触する。これにより、マスクプレート24が第1のガイド壁50と第2のガイド壁51との間で挟み込まれて、インクジェットヘッド21と洗浄ヘッド32との相対的な幅方向の位置が定まる。
【0036】
洗浄ヘッド本体35の上面36と第1のガイド壁50とで規定された角部および洗浄ヘッド本体35の上面36と第2のガイド壁51とで規定された角部に夫々摺動面52が形成されている。摺動面52はガイド部の一例であって、洗浄ヘッド32が洗浄位置に移動された時に、マスクプレート24のガイド面24aに当接する。この当接により、供給口43の開口端とインクジェットヘッド21のノズル面23aとの間に所定の隙間45が形成されるようになっている。
【0037】
図3に示すように、洗浄装置31の供給部33は、ノズル面23aを洗浄する液体Lが充填された供給タンク55と、供給タンク55内の液体Lを加圧する第1のポンプ56とを備えている。供給タンク55は、供給管57を介して洗浄ヘッド32の液体入口44に接続されている。
【0038】
洗浄装置31の回収部34は、ノズル面23aを洗浄した液体Lを回収する回収タンク58と、ノズル面23aを洗浄した液体Lを回収タンク56に吸引する第2のポンプ59とを備えている。回収タンク58は、回収管60を介して洗浄ヘッド32の液体出口41に接続されている。
【0039】
第1のポンプ56で加圧された洗浄用の液体Lは、供給タンク55から供給管57および液体入口44を介して洗浄ヘッド32の供給口43に送られる。第1の実施形態では、供給口43に送られた液体Lが供給口43の開口端から盛り上がった状態を維持し得るように、第1のポンプ56を制御している。
【0040】
この結果、図13および図15に示すように、供給口43の開口端から盛り上がった液体Lにより液状ワイプ部61が形成されている。液状ワイプ部61は、ノズル28の配列方向と直交する方向に延びた細長い板状をなすとともに、供給口43から溢れ出ることなく供給口43から膨らんだ状態を維持している。
【0041】
供給口43からの液状ワイプ部61の突出高さHは、例えば洗浄用の液体Lが有する物性、供給口43の形状、洗浄ヘッド本体35の材質、撥水性等によって定まる供給口43の特性および液体に加わる圧力に応じて決定される。液体Lに加わる圧力は、液体の物性により定まる表面張力および供給口43の特性と、隙間45の大きさとの関係に基づいて適正な値に設定される。
【0042】
次に、インクジェットヘッド21のノズル面23aを液体で洗浄する手順について説明する。
【0043】
図10および図11は、インクジェットヘッド21のノズル面23aの洗浄を実行する以前の状態を示している。この非洗浄状態では、洗浄ヘッド32は、ノズル面23aからインクジェットヘッド21の側方に離脱した待機位置に退いている。洗浄ヘッド32が待機位置にある時は、供給タンク55内の液体Lの圧力が洗浄時よりも低くなるように第1のポンプ56を制御するか、あるいは第1のポンプ56の運転を停止することが望ましい。
【0044】
この結果、液体Lは、洗浄ヘッド32の供給口43から盛り上がることなく供給口43の内側に止まっている。言い換えると、図11に示すように、液体Lの液面Sが供給口43の開口端よりも下方に位置されている。
【0045】
よって、液体Lが供給口43から溢れ出ることはなく、インクジェットヘッド21の周囲や筐体2の内部が液体Lで汚れるのを防止できる。それとともに、液体Lが供給口43から大気中に露出するように盛り上がらずに済むので、液体Lの乾燥および劣化を防ぐことができる。
【0046】
図12ないし図18は、洗浄ヘッド32が待機位置から洗浄位置に移動してノズル面23aを液体Lで洗浄する状態を示している。洗浄位置では、最初に洗浄ヘッド32がノズル面23aの一端に到達し、洗浄ヘッド32の摺動面52がマスクプレート24のガイド面24aに摺動可能に当接する。
【0047】
この当接により、インクジェットヘッド21と洗浄ヘッド32との相対的な位置が定まり、洗浄ヘッド32の供給口43とインクジェットヘッド21のノズル面23aとの間に所定の隙間45が形成される。
【0048】
洗浄ヘッド32がノズル面23aの一端に達した時点で、第1のポンプ56を制御して供給タンク55内の液体Lの圧力を洗浄ノズル32が待機位置にある時よりも高くする。これにより、図13および図15に示すように、液体Lが供給口43の開口端から膨れるように盛り上がり、この盛り上がった液体Lが洗浄ヘッド本体35の上に液状ワイプ部61を構成する。
【0049】
図14に示すように、液状ワイプ部61は、供給口43とノズル面23aとの間の隙間45に密に充填されるとともに、液体Lの表面張力によりノズル面23aに沿って広がった状態に保持される。
【0050】
液状ワイプ部61がノズル面23aに接したならば、洗浄ヘッド32をノズル面23aの一端からノズル面23aの長手方向に沿って図12の矢印Aの方向に移動させる。この移動により、液状ワイプ部61がノズル面23aを払拭し、ノズル面23aに付着して固化したインクや塵埃等の異物を除去する。
【0051】
洗浄ヘッド32が移動すると、図16ないし図18に示すように、液状ワイプ部61を構成する液体Lがノズル面23aとの接触に伴って供給口43の開口端から流出し、ノズル面23aから取り除かれた異物を洗い流す。
【0052】
この際、供給口43には加圧された液体Lが継続して供給されているので、供給口43は液体Lで満たされている。言い換えると、液状ワイプ部61は、洗浄ヘッド32が移動している過程でも、供給口43の開口端から盛り上がった形状を維持している。
【0053】
図8および図9は、供給口43から流出する液体Lの流れ方向を示している。図8および図9に矢印で示すように、液体Lは、洗浄ヘッド32の移動に伴って供給口43の開口端から凹部38内に溢れ出す。
【0054】
供給口43から凹部38の第1の領域46に流れ込んだ液体Lは、回収口40に直接導かれる。供給口43から凹部38の第2の領域47に流れ込んだ液体Lは、斜面47a,47bに沿って互いに逆向きに流れる。さらに、液体Lは、供給口43の長手方向に沿う両端を迂回して第1の領域46に流入するとともに、第1の領域46から回収口40に導かれる。
【0055】
回収口40に導かれた異物を含む液体Lは、第2のポンプ59の吸引動作により液体出口41から回収管60を経て回収タンク58に回収される。
【0056】
洗浄ヘッド32は、ノズル面23aの一端から他端に達した後、ノズル面23aを液状ワイプ部61で洗浄しつつ、ノズル面23aの他端から一端に向けて移動する。このような洗浄ヘッド32の移動を繰り返すことで、一連のノズル面23aの洗浄作業が終了する。
【0057】
ノズル面23aの洗浄が終了すると、洗浄ヘッド32が洗浄位置から待機位置に移動する。それとともに、洗浄ヘッド32が待機位置に移動すると、液体Lの液面Sが供給口43の開口端よりも下方に位置される。そのため、供給口43に液状ワイプ部61が形成されることはない。
【0058】
このような第1の実施形態によれば、インクジェットヘッド21のノズル面23aを洗浄する液状ワイプ部61は、印字用のインクと物性が同類のインクあるいは洗浄液のような液体Lで構成されている。液体Lは、洗浄ヘッド32の移動に伴って供給口41から流出してノズル面23aから取り除いた異物を洗い流す。
【0059】
このため、異物が液状ワイプ部61に残留することはなく、常に新しい液体Lがノズル面23aに接することになる。よって、従来のワイプブレードを用いてノズル面を払拭する場合との比較において、ノズル面23aを効率よく確実に洗浄することができる。
【0060】
しかも、ノズル面23aに接するのは液体Lであるため、ノズル面23aを構成する撥液膜29を損傷させることもない。
【0061】
この結果、インクジェットヘッド21のインクの吐出性能を長期に亘り良好に維持することができ、印字品質が安定するといった利点がある。
【0062】
第1の実施形態では、液状ワイプ部61を構成する液体Lが供給口43の開口端から溢れることがないように第1のポンプ56を制御しているが、液体Lが供給口43の開口端から溢れ出るように第1のポンプ56を制御してもよい。
【0063】
具体的には、ノズル面23aを洗浄する際に供給口43に供給される液体Lの圧力が、液状ワイプ部61を形成する上で必要な液体Lの圧力よりも高くなるように第1のポンプ56を制御する。これにより、供給口43に液状ワイプ部61を形成しつつ、液体Lを供給口43の開口端から溢れさせることができる。
【0064】
この構成によれば、供給口43から溢れ出た新しい液体Lが常にノズル面23aに接するとともに、ノイズ面23aから取り除かれた異物を溢れ出る液体Lを利用して迅速に洗い流すことができる。したがって、ノズル面23aの洗浄効果をより一層高めることができる。
【0065】
第1の実施形態では、供給タンク内の液体を第1のポンプで加圧することで洗浄ヘッドの供給口に導いているが、水頭差を利用して液体を供給口に導くようにしてもよい。
【0066】
さらに、洗浄ヘッドが待機位置に移動した時に、洗浄ヘッドの供給口をキャップで閉塞し、洗浄用の液体の乾燥および劣化を積極的に防止するようにしてもよい。
【0067】
それとともに、液状ワイプ部は、ノズルの配列方向と直交する方向に延びている必要はなく、例えばノズルの配列方向に対し傾斜するように交差していてもよい。
【0068】
[第2の実施形態]
図19は、第2の実施形態を開示している。
【0069】
第2の実施形態は、ノズル面を洗浄する液体を循環して再利用するようにした点が第1の実施形態と相違している。それ以外の洗浄装置の構成は、第1の実施形態と同様である。そのため、第2の実施形態において、第1の実施形態と同一の構成部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0070】
図19に示すように、洗浄ヘッド32の液体入口44と供給タンク55との間を接続する供給管57に第1の供給ポンプ71が設けられている。第1の供給ポンプ71は、供給タンク55内の液体を洗浄ヘッド32に供給する。
【0071】
洗浄ヘッド32の液体出口41と回収タンク58との間を接続する回収管60に第1のフィルタ72が設けられている。第1のフィルタ72は、ノズル面23aを洗浄した後の液体に含まれる異物を除去することで、回収タンク58に異物が流入するのを防止する。
【0072】
さらに、第2の実施形態では、供給タンク55と回収タンク58との間が還流管73を介して接続されている。還流管73の途中に、第2の供給ポンプ74および第2のフィルタ75が設けられている。第2の供給ポンプ74は、洗浄ヘッド32から回収タンク58に戻された液体を供給タンク55に送り込む。第2のフィルタ75は、回収タンク58から供給タンク55に送られる液体を濾過することで、液体を浄化する。
【0073】
第2の実施形態によれば、インクジェットヘッド21のノズル面23aを洗浄した液体を循環して再利用することができる。そのため、例えば洗浄ヘッド32の供給口43から液体を常に溢れさせてノズル面23aを洗浄する場合であっても液体が無駄にならず、ノズル面23aの洗浄効果を高める上で好都合となる。
【0074】
[第3の実施形態]
図20ないし図27は、第3の実施形態を開示している。
【0075】
第3の実施形態は、洗浄ヘッドに液状ワイプ部を形成するための構成が第1の実施形態と相違している。これ以外のインクジェットヘッドおよび洗浄装置の構成は、第1の実施形態と同様である。そのため、第3の実施形態において、第1の実施形態と同一の構成部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0076】
図20および図21に示すように、アタッチメント81が洗浄ヘッド本体35の供給口43に取り付けられている。アタッチメント81は、洗浄ヘッド本体35の幅方向に延びる細長い板状であり、洗浄ヘッド本体35と同様にインクをはじく特性を有する材料で構成されている。
【0077】
図22ないし図24に示すように、アタッチメント81は、供給口43の開口端に向けて突出された嵌合部82を有している。嵌合部82は、供給口43の開口端に例えば嵌め込み又は接着等の手段により固定されている。
【0078】
このため、供給口43は、アタッチメント81で塞がれている。貯溜室83が供給口43の底とアタッチメント81との間に形成されている。貯溜室83は、洗浄ヘッド本体35の幅方向に延びる細長い形状を有している。供給口43に液体Lを供給する液体入口44は、貯溜室83の長手方向に沿う中央で貯溜室83に通じている。
【0079】
アタッチメント81は、複数の吐出孔84を有している。各吐出孔84は、好ましい例として円形の開口形状を有している。吐出孔84の開口形状は円形に限らず、例えば円形に限りなく近い多角形状としてもよい。
【0080】
吐出孔84は、アタッチメント81の長手方向に間隔を存して一列に並んでいる。アタッチメント81の長手方向とは、インクジェットヘッド21のノズル28の配列方向と直交する方向のことを指している。したがって、吐出孔84は、ノズル28の配列方向と直交する方向に沿って一列に並んでいる。
【0081】
図23および図24に示すように、吐出孔84は、アタッチメント81を厚み方向に貫通することで、アタッチメント81の上面および下面に開口されている。アタッチメント81の嵌合部82は、アタッチメント81の下面の外周部に位置されて、アタッチメント81の下面に開口された吐出孔84の上流端を取り囲んでいる。これにより、吐出孔84の上流端は、洗浄ヘッド本体35の貯溜室83に通じている。
【0082】
図24に示すように、洗浄ヘッド32が洗浄位置に移動された状態では、アタッチメント81の上面に開口された吐出孔84がインクジェットヘッド21のノズル面23aと向かい合っている。それとともに、吐出孔84の開口端とインクジェットヘッド21のノズル面23aとの間には、隙間45が形成されている。
【0083】
前記第1の実施形態と同様に、洗浄用の液体Lは、供給タンク55から供給管57および液体入口44を介して洗浄ヘッド32に導かれる。具体的には、洗浄用の液体Lは、洗浄ヘッド本体35の液体入口44から貯溜室83に流入することで、貯溜室83を満たす。貯溜室83に充満された液体Lは、複数の吐出孔84に分配される。
【0084】
第3の実施形態では、所定の圧力で加圧された液体Lが貯溜室83を介して吐出孔84に供給される。液体Lに加わる圧力は、例えば液体Lの物性により定まる液体Lの表面張力、吐出孔84の口径および液体Lと吐出孔84の開口縁との接触角等との関係に基づいて適切な値に設定することができる。
【0085】
この結果、図25に示すように、吐出孔84に供給された液体Lは、各吐出孔84の開口端からアタッチメント81の上方に盛り上がる突出部85を構成している。突出部85は、吐出孔84から盛り上がった形状を維持している。さらに、突出部85は、アタッチメント81の長手方向に間隔を存して一列に並んでいるとともに、アタッチメント81の上面からのる突出高さHが互いに均一化されている。
【0086】
すなわち、吐出孔84を円形としたことで、液体Lと吐出孔84の開口縁との接触状態が吐出孔84の周方向に沿って均等となり、吐出孔84の開口端で液体Lに作用する表面張力が最も安定する。この結果、吐出孔84から盛り上がった液体Lの突出部85の形状が互いに等しくなる。
【0087】
洗浄ヘッド32が待機位置に移動された状態では、洗浄ヘッド32の吐出孔84に供給される液体Lの圧力が洗浄時よりも低く保たれている。そのため、液体Lは、吐出孔84の開口端から盛り上がることなく吐出孔84の内側あるいは貯溜室83に止まっている。
【0088】
よって、液体Lが吐出孔84から溢れ出ることはなく、インクジェットヘッド21の周囲や筐体2の内部が液体Lで汚れるのを防止できる。さらに、洗浄ヘッド32が待機位置にある時は、アタッチメント81の吐出孔84をキャップで閉塞し、液体Lの乾燥に伴う液体Lの固化あるいは劣化を防止することが望ましい。
【0089】
図26および図27は、洗浄ヘッド32が待機位置から洗浄位置に移動してノズル面32aを液体Lで洗浄する状態を示している。洗浄ヘッド32が洗浄位置に達した時点では、洗浄ヘッド32のアタッチメント81の上面がインクジェットヘッド21のノズル面23aの一端と向かい合い、これらアタッチメント81の上面とノズル面23aとの間に隙間45が形成されている。
【0090】
この状態で、洗浄ノズル32に供給される液体Lの圧力を洗浄ヘッド32が待機位置にある時よりも高くする。これにより、液体Lが複数の吐出孔84の開口端から隙間45に向けて盛り上がり、吐出孔84に対応した位置に複数の突出部85が形成される。
【0091】
隙間45内で隣り合う液体Lの突出部85は、ノズル面23aに接した状態で互いに連続するように一体化される。この結果、図26に示すように、アタッチメント81の上面にノズル28の配列方向と直交する方向に沿って直線状に延びる液状ワイプ部86が形成される。
【0092】
液状ワイプ部86が形成された洗浄ヘッド32をノズル面23aの一端からノズル面23aの長手方向に沿って移動させると、液状ワイプ部86がノズル面23aを払拭する。これにより、ノズル面23aに付着して固化したインクや塵埃等の異物が液状ワイプ部86により取り除かれる。
【0093】
さらに、洗浄ヘッド32が移動すると、液状ワイプ部86とノズル面23aとの相対的な位置が変化する。そのため、図27に示すように、液状ワイプ部86を構成する液体Lが表面張力に抗して吐出孔84から流出し、ノズル面23aから取り除かれた異物を洗い流す。
【0094】
この際、吐出孔84には加圧された液体Lが継続して供給されているので、洗浄ヘッド32が移動している過程でも、液状ワイプ部86は吐出孔84から盛り上がった形状を維持している。すなわち、洗浄ヘッド32が移動している限り、吐出孔84に供給された液体Lは、液状ワイプ部86を形成しつつ吐出孔84から溢れ出し、ノズル面23aから取り除かれた異物を洗い流している。
【0095】
吐出孔84から溢れ出た液体Lは、異物と共に洗浄ヘッド本体35の凹部38を経て回収口40に導かれる。回収口40に導かれた異物を含む液体Lは、液体出口41から回収管60を経て回収タンク58に回収される。
【0096】
このような第3の実施形態によると、加圧された洗浄用の液体Lは、アタッチメント81の複数の吐出孔84に分配されて、これら吐出孔84から盛り上がる複数の突出部85を形成する。吐出孔84の開口形状を円形としたことで、液体Lと吐出孔84の開口縁との接触状態が吐出孔84の周方向に沿って均一化され、吐出孔84の開口端で液体Lに作用する表面張力が安定する。
【0097】
この結果、吐出孔84から盛り上がる液体Lの突出部85の形状が互いに等しくなり、これら突出部85が連続することで得られる液状ワイプ部86の突出高さHが全長に亘って均一となる。
【0098】
したがって、液状ワイプ部86が全長に亘ってノズル面23aに均一に接触することになり、液状ワイプ部86とノズル面23aとの接触状態が安定する。言い換えると、ノズル面23aの上に液状ワイプ部86が接触しない領域が残ることはなく、ノズル面23aを全面的に確実に洗浄することができる。
【0099】
さらに、液状ワイプ部86の突出高さHが全長に亘って均一となることで、液体Lが表面張力に抗して吐出孔84から溢れ出すタイミングも等しくなる。このため、ノズル面23aから取り除かれた異物が液状ワイプ部86に残留することはなく、常に新しい液体Lでノズル面23aを洗浄することができる。
【0100】
以上のことから、ノズル面23aの撥液性を良好に維持することができ、印字品質が安定するといった利点がある。
【0101】
第3の実施形態では、液状ワイプ部86を構成する液体Lの突出部85が吐出孔84から盛り上がった状態を維持するように液体Lを加圧しているが、ノズル面23aの洗浄時に液体Lが吐出孔84から溢れ出るような圧力で液体Lを加圧するようにしてもよい。
【0102】
このような構成においても、アタッチメント81の上面に突出高さHが全長に亘って均一な液状ワイプ部86を形成することができる。それとともに、吐出孔84から溢れ出る液体Lがノズル面23aに沿って流れるので、ノズル面23aの洗浄効果をより一層高めることができる。
【0103】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0104】
2…筐体、3…搬送路、21…インクジェットヘッド、23a…ノズル面、28…ノズル、31…洗浄装置、32…洗浄ヘッド、33…供給部、34…回収部、43…供給口、61,86…液状ワイプ部、84…吐出孔、P…記録媒体(用紙)、L…液体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出する複数のノズルが開口されたインクジェットヘッドのノズル面を洗浄する洗浄装置であって、
前記ノズル面と向かい合う供給口を有するとともに、前記ノズル面に沿って移動可能な洗浄ヘッドと、
前記洗浄ヘッドの前記供給口に前記ノズル面を洗浄する液体を供給するように構成され、前記液体を前記供給口から前記ノズル面に向けて膨らませることで、前記洗浄ヘッドに前記ノズル面に接する液状ワイプ部を形成する供給部と、
を具備したインクジェットヘッドの洗浄装置。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記液状ワイプ部は、前記供給口の開口端から前記ノズル面に向けて盛り上がるように溢れ出る前記液体で構成されたインクジェットヘッドの洗浄装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2の記載において、前記液状ワイプ部は、前記ノズル面と前記供給口との間の隙間に充填されたインクジェットヘッドの洗浄装置。
【請求項4】
請求項3の記載において、前記液状ワイプ部は、前記ノズルの配列方向と交差する方向に延びたインクジェットヘッドの洗浄装置。
【請求項5】
請求項3の記載において、前記洗浄ヘッドは、前記ノズル面の周囲に摺動可能に接することで前記隙間を規定するガイド部を備えたインクジェットヘッドの洗浄装置。
【請求項6】
請求項3の記載において、前記洗浄ヘッドは、前記ノズル面と向かい合う洗浄位置と、前記ノズル面から外れた待機位置との間で移動可能であり、前記待機位置では、前記液体の液面が前記供給口の開口端よりも下方に位置されたインクジェットヘッドの洗浄装置。
【請求項7】
請求項6の記載において、前記供給部は、前記洗浄ヘッドが前記洗浄位置に移動された時に前記液体を加圧して前記供給口に供給するとともに、前記洗浄ヘッドが前記待機位置に移動された時に前記液体に加わる圧力を低くするように構成されたインクジェットヘッドの洗浄装置。
【請求項8】
請求項3の記載において、前記供給口から溢れた前記液体を回収する回収部をさらに備えたインクジェットヘッドの洗浄装置。
【請求項9】
請求項8の記載において、前記洗浄ヘッドは、前記供給口から溢れた前記液体が流れ込む凹部を有し、前記凹部が前記回収部に連通されたインクジェットヘッドの洗浄装置。
【請求項10】
インクを吐出する複数のノズルが開口されたインクジェットヘッドのノズル面を洗浄する洗浄装置であって、
前記ノズル面に沿って移動可能な洗浄ヘッドと、
前記洗浄ヘッドに設けられ、前記ノズル面と向かい合うとともに前記ノズルの配列方向と交差する方向に間隔を存して開口された複数の吐出孔と、
前記洗浄ヘッドの前記吐出孔に前記ノズル面を洗浄する液体を供給するように構成され、前記液体を前記各吐出孔から前記ノズル面に向けて盛り上げることで、前記洗浄ヘッドに前記ノズル面に接する液状ワイプ部を形成する供給部と、
を具備したインクジェットヘッドの洗浄装置。
【請求項11】
請求項10の記載において、前記各吐出孔は、円形の開口形状を有するインクジェットヘッドの洗浄装置。
【請求項12】
請求項10の記載において、前記洗浄ヘッドは、前記供給部から供給された液体が流入する貯溜室を有し、前記吐出孔が前記貯溜室に連通されたインクジェットヘッドの洗浄装置。
【請求項13】
請求項10の記載において、前記液体は、前記吐出孔から溢れ出ることで前記液状ワイプ部を構成するインクジェットヘッドの洗浄装置。
【請求項14】
請求項10の記載において、前記液状ワイプ部は、前記ノズル面と前記供給口との間の隙間に充填されるとともに、前記ノズルの配列方向と交差する方向に延びたインクジェットヘッドの洗浄装置。
【請求項15】
請求項14の記載において、前記洗浄ヘッドは、前記ノズル面と向かい合う洗浄位置と、前記ノズル面から外れた待機位置との間で移動可能であり、前記待機位置では、前記液体の液面が前記供給口の開口端よりも下方に位置されたインクジェットヘッドの洗浄装置。
【請求項16】
請求項1ないし請求項15のいずれか一項の記載において、前記液体は、前記ノズルから吐出するインクと物性が同類のインク又は洗浄液であるインクジェットヘッドの洗浄装置。
【請求項17】
筐体と、
前記筐体内に設けられ、記録媒体を搬送する搬送路と、
複数のノズルが開口されたノズル面を有し、前記ノズルから前記記録媒体に向けてインクを吐出させるインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドの前記ノズル面を洗浄する洗浄装置であって、前記ノズル面と向かい合う供給口を有するとともに前記ノズル面に沿って移動可能な洗浄ヘッドと、前記洗浄ヘッドの前記供給口に前記ノズル面を洗浄する液体を供給するように構成され、前記洗浄ヘッドに前記ノズル面に接する液状ワイプ部を形成する供給部と、を含む洗浄装置と、
を具備したインクジェット記録装置。
【請求項18】
請求項17の記載において、上記液状ワイプ部は、前記供給口から前記ノズル面に向けて盛り上がる前記液体で構成されたインクジェット記録装置。
【請求項19】
請求項18の記載において、前記液状ワイプ部は、前記供給口から盛り上がるように溢れ出る前記液体で構成されたインクジェット記録装置。
【請求項20】
請求項17ないし請求項20のいずれか一項の記載において、前記洗浄ヘッドの供給口は、前記ノズルの配列方向と交差する方向に間隔を存して開口された複数の吐出孔を含み、各吐出孔から盛り上がる前記液体により前記液状ワイプ部が構成されたインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2012−183816(P2012−183816A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169960(P2011−169960)
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】