説明

インクジェット印刷特性を改良するための組成物の使用及びインクジェット記録紙

本発明はインクジェット記録紙及び木材又はリグノセルロース繊維材料を含むインクジェット記録紙のインクジェット印刷特性を改良する組成物の使用に関する。本発明によれば、当該組成物は硫酸カルシウム二水和物及びデンプン溶液を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット印刷特性を改良するための組成物の使用、インクジェット記録紙、及び請求の範囲の独立請求項のプリアンブルに記載した方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット印刷はデジタル印刷方法の一つであって、オフィスでの使用及び家庭での使用に向けたプリンター、さらには商業的印刷に向けたプリンターについて現在広く使用されている技術である。デジタル印刷の分野では、電子データファイルから直接、印刷された文書が作成される。そこでは、印刷マスター(刷版)を必要としないことから、印刷物はそれぞれ異なったものとなる場合がある。デジタル印刷に対する関心が増大しつつあり、そのため、高速インクジェット印刷装置類に適した記録基体の需要が一層増すことが予想される。
【0003】
インクジェット印刷では、インクの液滴が高速で記録紙に向かって吐出される。インクジェット印刷では、印刷基体に対して特別の要求が存在する。印刷基体は通常、紙製の記録紙又は板紙製の記録紙である。例えば、印刷されたインクの色濃度、インク吸収性、インク乾燥時間、コッブ(Cobb)60値、水堅牢性及びモットリング又は斑点形成などは重要な変数であって、これら変数はインクジェット記録紙の製造過程で最適化される。インクジェット記録紙は、さほど高価でない原料を使用しつつも、高品位な画質をもたらすものであることが好ましい。
【0004】
リグノセルロース繊維からなる、紙等のような記録紙には、インクジェット印刷の要求を満たすため、通常、表面サイズ又は表面被覆処理が施されている。シリカ系のコーティングを使用することが知られているが、このシリカ系のコーティングは製紙産業で使用される従来からのコーティングに比較して高価である。欧州特許第(EP)1775141号には2価の金属の塩、特に塩化カルシウムが基体表面に塗布された記録紙が開示されている。
【0005】
硫酸カルシウムは製紙産業で填料としても、また、紙コーティング組成物に組み入れても用いられる。硫酸カルシウムはいろいろ異なった結晶形で存在する。すなわち、鉱物無水石膏CaSOとして、また、硫酸カルシウム二水和物CaSO×2HOとして、あるいは、硫酸カルシウム半水和物2CaSO×HOとして存在する。
【0006】
硫酸カルシウム二水和物は、また石膏CaSO×2HOとしても知られており、天然鉱物として得られるか、又は化学品製造工程での副産物として、例えば、リン石膏又は排煙脱硫石膏として製造される場合がある。純粋でない石膏は精製することが可能であり、最初、硫酸カルシウム半水和物2CaSO×HOにか焼し、その後、半水和物を水に溶解し沈殿させ再度水和物に戻して純粋石膏を得ることができる。
【0007】
石膏原料をか焼する条件によっては、硫酸カルシウム半水和物は二つの形態、すなわちα−及びβ−半水和物として生じる場合がある。β−形態は石膏原料を大気圧下で熱処理することによって得られ、一方、α−形態は大気圧よりも高い蒸気圧で石膏原料を処理することによって、あるいは、塩又は酸溶液から、例えば、約45℃の温度で化学的湿式か焼することで得られる。
【0008】
異なる結晶形態の硫酸カルシウムは構造的にも異なっており、またその特性も異なる。例えば、硫酸カルシウム無水物は斜方晶系の結晶構造を有し、一方、硫酸カルシウム二水和物は単斜晶系の結晶構造を有している。このような相違があることから、実際の応用面では、硫酸カルシウムは異なった形態であれば相互に異なった挙動を示す。
【0009】
英国特許(GB)2034729には、カルボキシル基で置換されたポリ多糖からなる分散剤の存在下で硫酸カルシウム二水和物をかき混ぜる方法が開示されている。そこに記載された効果の一つとして、リン酸の製造過程から排出される廃石膏を使用する可能性が挙げられている。
【0010】
フランス特許(FR)2343082には、半水和物の硫酸カルシウムを解重合デンプンと共にコーティングカラーに使用することが開示されている。半水和物硫酸カルシウムは高度の不透明性、吸収能、及び白色度を付与するものである。
【0011】
英国特許(GB)465195には、紙をサイジングする際に用いられる複合チタン顔料のエクステンダーとして、硫酸カルシウムを使用することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】欧州特許第1775141号明細書
【特許文献2】英国特許2034729号明細書
【特許文献3】フランス特許2343082号明細書
【特許文献4】英国特許465195号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は従来技術に存在する不利益な点を最小限にし、あるいは解消することにある。
【0014】
また、本発明の目的は、廉価な出発材料を使用しつつも、紙又は板紙がもつインクジェット特性を改良し、あるいは少なくとも維持することのできる組成物の使用を提供することにある。
【0015】
本発明のさらなる目的は、インクジェット印刷に対する特性を改良したインクジェット記録紙を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
これらの目的は、独立請求項の特徴事項部分に記載した特徴を有する方法及び物によって達成される。
【0017】
硫酸カルシウム二水和物及びデンプン溶液を含む組成物についての本発明に係る代表的な用途は、木材繊維又はリグノセルロース繊維材料を含むインクジェット記録紙の表面を処理して記録紙のインクジェット印刷特性を改良することにある。
【0018】
本発明に係る代表的なインクジェット記録紙は、木材繊維材料又はリグノセルロース繊維材料から構成される基体を含む。基体の表面は硫酸カルシウム二水和物及びデンプン溶液を含む組成物で処理されたものである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
硫酸カルシウム二水和物及びデンプンを含む組成物を使用することにより、木材及び/又はセルロース繊維を含む記録紙基体を組成物で処理するときに、例えば、組成物を記録紙上へ塗布又は被覆するときに、インクジェット印刷についての特性が改良されることが分かった。当該組成物を用いることによって得られた記録紙は同じような、又はさらに良好な基体特性を有する。基体特性は、高価な特別のコーティング用の顔料及び組成物により達成されるインクジェット印刷性、例えば、接触角、コッブ60、HST、インク濃度のブラック値及びインク濃度のマセンタ値、並びに、光学特性、例えば、白色度及びCIELAB(シーアイイーエルエービー)値に影響する。このように、本発明は驚くほど良好で、かつ、廉価な、インクジェット印刷用記録紙の代替記録紙を提供するものである。
【0020】
本願においては、「インクジェット印刷」の用語は、液体インクの液滴を高速で記録紙へ向けて、かつ、記録紙上へ吐出することにより記録紙上で画像を再生するプロセスを意味する。インクジェット印刷で液体インクを使用する場合には、印刷用基体には特有の性質が必要とされる。例えば、印刷されたインクの色濃度、インク吸収性、インク乾燥時間、コッブ60値、水堅牢性及びモットリングなどは重要な変数であって、インクジェット記録紙の製造過程で最適化される。
【0021】
インクジェット記録紙は木材繊維材料又はリグノセルロース繊維材料から構成される基体を含む。基体は硫酸カルシウム二水和物及びデンプンを含む組成物を被覆したものであり、あるいは当該組成物を基体上に塗布したものである。組成物中の硫酸カルシウム二水和物の量は0.1〜80部、代表的には10〜80部、さらに代表的には10〜70部、好適には10〜60部、さらに好適には10〜50部である。一つの実施態様によれば、当該組成物は顔料材料として硫酸カルシウム二水和物だけを含むものである。
【0022】
一般に、どのような硫酸カルシウム二水和物でも本発明に用いることができる。硫酸カルシウム二水和物の粒子径D50は通常50μm未満(<50μm)で、かつ、代表的には0.7μmを超える(>0.7μm)。本発明の一つの実施態様によれば、組成物に使用され、そして記録紙基体の処理、例えば、被覆処理するために使用される硫酸カルシウム二水和物の粒径D50は、0.1μm≦D50<5.0μm、より好ましくは0.1μm≦D50<4.0μm、さらに好ましくは0.5μm≦D50<4.0μmである。使用する硫酸カルシウム二水和物の粒径分布の幅WPSDは2.5未満、さらに好ましくは2.0未満、なおさらに好ましくは1.5未満である。粒径分布の幅は式WPSD=(D75−D25)/D50で与えられる。これにより粒径分布の均質性が示される。WPSDの値が小さい場合には粒径分布が狭いことを示し、この場合に硫酸カルシウム二水和物の光散乱特性及び不透明特性が改良する。
【0023】
本発明に用いる硫酸カルシウム二水和物粒子の形状はどのようなものでもよい。好ましくは、硫酸カルシウム二水和物粒子の形状比(shape ratio)SRは少なくとも1.0、さらに好ましくは2.0〜50、またさらに好ましくは2.0〜40である。形状比SRは粒子長さの最大値と粒子厚さの最大値との比で与えられる。用いる硫酸カルシウム二水和物粒子のアスペクト比ASは、1.0〜10であることが好ましく、さらに好ましくは1.0〜5.0である。粒子のアスペクト比は粒子の長さと粒子の幅との比を説明し、すなわち、アスペクト比は粒子の最長の寸法と最小の寸法との比として与えられる。また、さらに詳細には、アスペクト比は、粒子の幾何学上の中心を通る最長の粒子半径と最短の粒子半径との比として定義される。形状比及びアスペクト比は粒子の形状及び幾何学形状を表現する。我々は、粒子の形状が最終のインク受容層の特性に影響を与えることがあることを見出した。驚くべきことは、上述した形状比及びアスペクト比をもつ粒子で記録紙基体を処理し又は当該粒子を記録紙基体に被覆すれば、インク受容コーティング層の白色度及び不透明性は、インクジェット印刷に格別適合する態様に改良されることを見出したことである。
【0024】
言い換えると、好ましいのは、組成物に使用する硫酸カルシウム二水和物粒子であってインクジェット記録紙基体上に被覆し又は塗工するなどの、インクジェット記録紙基体の処理を行うために使用する粒子は、小さく、平らで、サイズが等しいものである。しかし、硫酸カルシウム二水和物粒子は、どのような形状のものであっても、また、どのような適切なサイズのものであっても、使用することができるのはもちろんである。
【0025】
インクジェット記録紙を処理し又はインクジェット記録紙にコーティングを施すために使用する組成物に用いる硫酸カルシウム二水和物は、分散剤、表面活性剤又は殺生物剤のような添加物を含んでもよい。例えば、分散剤の使用量は硫酸カルシウム二水和物の重量に対して、0.01〜5.0重量%、好ましくは0.05〜3.0重量%である。
【0026】
本発明の一態様によれば、硫酸カルシウム二水和物は粉砕、結晶化又は沈殿法によって調製する。好適には、結晶化又は沈殿によって硫酸カルシウム二水和物粒子を得る。硫酸カルシウム二水和物はまた異なった上記のプロセスにより調製した異なる硫酸カルシウム二水和物の混合物であってもよい。本発明の使用に適した硫酸カルシウム二水和物を調製するプロセスのうち一つの可能なプロセスはWO2008/092991公報に記載されている。本発明の用いる硫酸カルシウム二水和物は硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物を水と接触させる方法により得ることができる。この方法では、硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物と水との接触の結果、硫酸カルシウム二水和物はその反応生成物として得られ、小さく、平坦な、できるだけ均等なサイズの結晶からなる硫酸カルシウム二水和物を得るためには、反応混合物の乾物含量は34〜84重量%、好適には40〜84重量%、さらに好適には50〜80重量%、最も好適には57〜80重量%である。このプロセスの乾物含量を調整することによって異なった結晶サイズ及び形状因子をもつ結晶を得ることが可能である。
【0027】
硫酸カルシウム二水和物を調製する際の反応混合物の水の温度としては、0℃〜100℃、好適には0℃〜80℃、さらに好適には0℃〜50℃、一層さらに好適には0℃〜40℃、時には0℃〜25℃であってもよい。水を水蒸気の形態で反応混合物に加えてもよい。反応混合物の最初のpHは、一般には3.5〜9.0、好適には4.0〜7.5である。pHはNaOH及び/又はHSOの水溶液、代表的にはNaOH及び/又はHSOの10%水溶液を加えて調節することができる。
【0028】
硫酸カルシウム二水和物調製のための出発原料としては、β−硫酸カルシウム半水和物を用いるのが一般的である。このβ−硫酸カルシウム半水和物は、石膏原料を140℃と300℃との間の温度、好ましくは150〜200℃の温度まで加熱することにより調製される。この加熱はフラッシュか焼、例えば、流動床か焼を採用して出来るだけ速く加熱することが好ましい。また、石膏原料をか焼することによって得た、可溶性形態の無水石膏を出発原料として使用することもできる。
【0029】
硫酸カルシウム二水和物の生成プロセスには晶癖変性剤を用いてもよいが、これは必須ではない。水を半水和物及び/又は無水物からなる出発原料と接触させる前に水に晶癖変性剤を添加してもよい。好適な晶癖変性剤は、分子中に一つ又は数個のカルボン酸基又はスルホン酸基を有する化合物又はそれらの塩;又は無機の酸、酸化物、塩基又は塩;又はアルコール、酸又は塩のような有機化合物;又はリン酸塩;又はカチオン性又は非イオン性表面活性剤である。晶癖変性剤は、硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物の重量に対して、好適には0.01〜5.0%、最も好適には0.02〜1.78%の量で使用される。なお、晶癖変性剤は全く省いてもよい。
【0030】
本発明の一つ態様によれば、当該組成物はデンプン溶液に溶解した形態と固体粒子の両方の形態の硫酸カルシウム二水和物を含む。言い換えると、組成物中の硫酸カルシウムの一部は組成物の液相に溶解し、一方硫酸カルシウムの一部は固体の形態に留まっている。一般には、組成物の液相は硫酸カルシウム二水和物についての飽和溶液である。組成物に加える硫酸カルシウム二水和物の量は乾物含量が15重量%のデンプン溶液1リットル当たり2.5g又はそれを超える量である。この量であると、飽和硫酸カルシウム二水和物溶液の生成が保証される。デンプン溶液に溶解させる硫酸カルシウム二水和物の量は、代表的には400ppmを超える量(>400ppm)であり、さらに代表的には500ppmを超える量(>500ppm)であり、好適には600ppmを超える量(>600ppm)であり、より好適には700ppmを超える量(>700ppm)である。硫酸カルシウムの溶解量は、当然、組成物の調製に用いられる硫酸カルシウム二水和物の合計量に、またデンプン及びその他の顔料などの、その他の組成物の成分にも依存する。硫酸カルシウム二水和物が、溶解した形態及び固体の形態の、両方の形態(態様)で存在するときには、当該組成物で処理され又はその組成物が被覆された記録紙基体の多孔性に関連する特性が改良されることが観察された。例えば、記録紙の透気度は明らかに低下し、それにより記録紙はインクジェット印刷に一層適合するものとなる。
【0031】
組成物に使用するデンプンとしては天然のデンプンのうち適合するものであればいずれでもよく、例えば、ジャガイモ、米、とうもろこし、ワクシーコーン、小麦、大麦又はタピオカなどのデンプンがある。アミロペクチン含量が80%を超える(>80%)デンプン、好適には、アミロペクチン含量が95%を超える(>95%)デンプンが有利である。デンプン溶液には非イオン又はカチオンデンプンが含まれる。カチオンデンプンは第四級アンモニウム基のようなカチオン基を有している。グルコースユニット当り平均してデンプン中に存在するカチオン基の数を示す、置換度(DS)は一般には0.01〜0.20である。非イオンデンプンは、すなわち、両性デンプンはアニオン基とカチオン基の両方の基を有してもよいが、全体として電荷を有さない。デンプンに対して酸化的分解、熱的分解、酸分解又は酵素分解を行うことにより分解デンプンが得られる。酸化的分解を行うのが好ましい。次亜塩素酸塩、過酸化物、硫酸塩、過酸化水素又はそれらの混合物を酸化剤として使用することができる。分解デンプンの平均分子量(Mn)は500〜10000が一般的であり、分子量は公知のゲルクロマトグラフ法により測定することができる。固有粘度は一般には0.05〜0.12dl/gであり、これは、例えば、公知の粘度測定法により測定できる。
【0032】
組成物中のデンプン溶液の量は5〜95部、代表的には10〜95部、さらに代表的には20〜95部、好適には30〜95部、さらに好適には40〜95部である。デンプン溶液は、それ自体いわゆる当業者によく知られているような方法に従って調製されたデンプンの水溶液である。
【0033】
ヒドロキシエチルデンプン又はヒドロキシプロピルデンプン及びデンプン誘導体のような化工デンプンを使用することもまた可能である。また、その他の多糖類、例えばデキストリンを使用してデンプンの全部又は一部を置換してもよい。
【0034】
本発明の一つ態様によれば、当該組成物はまた蛍光増白剤(optical brightener)を含んでもよい。硫酸カルシウム二水和物を使用すれば、蛍光増白剤により達成される効果を高めることになる。このことは、蛍光増白剤をより少ない量で使用しても同程度の白色度を得ることが可能であること、又は、同量の増白剤を使用すれば白色度値を向上させることが可能であることを意味する。硫酸カルシウム二水和物は従来からの蛍光増白剤を使用することを可能とするものであるが、それに対し、従来技術に係るインクジェットコーティングは場合によっては高価な特別な増白剤を使用することを必要としていた。本発明の組成物に使用する蛍光増白剤は、例えばテトラスルホン酸化アニオン系蛍光白色化剤(whitening agent)のような蛍光白色化剤、例えばテトラスルホン酸化誘導体の4,4−ジアミノ−スチルベン−2,2−ジスルホン酸である。また、ジスルホン酸化又はヘキサスルホン酸化蛍光白色化剤を使用してもよい。蛍光白色化剤は350nm付近にUV吸収最大値、また440nm付近に蛍光最大値を有することが好ましい。蛍光増白剤は、ポリビニルアルコール(PVA)又はカルボキシメチルセルロース(CMC)ようなキャリヤーと共に用いることができ、こうすることで組成物成分に対する蛍光増白剤の付着が改良される。組成物は、蛍光増白剤を2〜25部、代表的には2.5〜20部、好適には3〜15部、さらに好適には3.5〜10部含んでもよい。
【0035】
組成物は、また、従来からの紙コーティング用添加物又は表面サイズ用添加物を含んでもよい。含み得る添加物には、例えば、防腐剤、殺生物剤、分散剤、消泡剤、潤滑剤、及び/又は硬化剤がある。添加剤の量は0〜20部、一般的には0.1〜3部である。
【0036】
組成物は、硫酸カルシウム二水和物に加えて、他の顔料材料、例えばクレー、重質又は沈降炭酸カルシウム又はカオリンを含むこともできる。他の顔料材料の量は、硫酸カルシウム二水和物と任意の他の顔料材料の両方を含む全顔料の量に対して計算して、0〜80部、一般的には0〜60部、好適には0〜40部、さらに好適には0〜20部の範囲内であってもよい。
【0037】
本発明の一つの観点によれば、木材繊維材料又はリグノセルロース繊維材料を含むインクジェット記録紙の表面を硫酸カルシウム二水和物及びデンプン溶液を含む組成物で処理し当該表面上へ処理層を形成することによってインクジェット記録紙のインクジェット印刷特性を改良する方法である。このことは、硫酸カルシウム二水和物とデンプン溶液とからなる組成物を記録紙の表面上にプレコート(pre-coat)層を形成するのに用いることができることを意味する。本発明の一態様では処理層の上へ異なるコーティング組成をもつコーティング層を被覆することも可能である。従って、硫酸カルシウム二水和物とデンプンとからなるプレコート層又は処理層は原紙と実際の印刷層との間のバリヤー層として作用・機能することもできる。プレコート層の上へ被覆した実際のコーティング層はプレコート層とは相違する。例えば、当該層は硫酸カルシウム二水和物以外の顔料材料、例えばクレー、重質又は沈降炭酸カルシウム又はカオリンを含むこともできる。
【0038】
本発明の別の観点によれば、最初に、記録紙の表面に顔料粒子とバインダーとからなる、従来の紙コーティングペーストをコーティングし、そしてコーティングした記録紙の表面を硫酸カルシウム二水和物とデンプン溶液とを含む組成物で処理することにより、木材繊維材料又はリグノセルロース繊維材料を含むインクジェット記録紙のインクジェット印刷特性を改良する方法である。この実施態様では、硫酸カルシウム二水和物とデンプン溶液とを含む組成物を被覆した記録紙表面上に後処理層又は仕上げ層を形成するのに使用することができる。従来のコーティング組成物に用いられる顔料は通常一般には硫酸カルシウム二水和物とは異なっている。従来のコーティング顔料は通常、クレー、重質又は沈降炭酸カルシウム又はカオリンである。
【0039】
インクジェット印刷に用いられ、そして本発明の組成物で処理され又は当該組成物が被覆されるシート形態の記録基体は木材繊維材料又はリグノセルロース繊維材料を含んでいる。当該基体は広葉樹木又は針葉樹木又はこれらの組み合わせに由来する繊維を含む。これら繊維は、製紙業界で通常採用されるパルプ化技術又はリファイニング技術のうち適切な方法、例えば、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミメカニカルパルプ(CMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、砕木パルプ、アルカリ硫酸塩(クラフト)パルプ、亜硫酸パルプ、及びセミケミカルパルプなどの方法によって得ることができる。基体は、新しい未使用の繊維、又は再利用の繊維だけ、又はこれら繊維の組み合わせからなることができる。記録紙基体の坪量は30〜800g/m、代表的には30〜600g/m、さらに代表的には50〜500g/m、好適には60〜300g/m、さらに好適には60〜120g/m、さらにまた好適には70〜100g/mである。
【0040】
本発明の一実施態様によれば、硫酸カルシウム二水和物とデンプンを含む組成物を基体表面に塗布する量は0.1〜7g/m/side、好適には0.5〜6g/m/side、さらに好適には1〜5g/m/sideである。
【0041】
本発明の一実施態様によれば、硫酸カルシウム二水和物を含む、コーティングのような組成物層で処理し又は当該組成物層を施したインクジェット記録紙の接触角(0.05s)は50°以上(≧)、70°以上(≧)、好ましくは80°以上(≧)、さらに好ましくは85°以上(≧)であり、また、時には90°以上(≧)ということもある。接触角は標準的な方法TAPPI 565 pm−96を使用して測定される。接触角の増大は測定表面の疎水特性の増大を示す。インクジェット印刷に使用するインクの大部分は水系であり、記録紙の疎水性が増大するとインクジェット印刷プロセスでのインクの挙動を制御し易くなる。
【0042】
本発明の一実施態様によれば、硫酸カルシウム二水和物を含む、コーティングのような組成物層で処理し又は当該組成物層を施したインクジェット記録紙の透気度値は、ISO5636−3:1992の標準的な方法で測定して、600ml/min未満(<600ml/min)、好適には500ml/min未満(<500ml/min)、さらに好適には400ml/min未満(<400ml/min)であり、時には300ml/min未満(<300ml/min)又は200ml/min未満(<200ml/min)ということさえある。透気度値は当該基体の多孔度を示す。インクジェット印刷での使用を意図した記録基体についていえば、透気度値が小さいと、基体の多孔度が低いことを意味し、従ってインクが基体の内部へ広がっていくのを防げることを意味することから、透気度値は小さいことが好ましい。
【0043】
本発明の一実施態様によれば、硫酸カルシウム二水和物を含む、コーティングのような組成物層で処理し又は当該組成物層を施した記録紙のインク吸収度値は、300s未満(<300s)、代表的には200s未満(<200s)、さらに代表的には100s未満(<100s)である。インク吸収度値はハーキュルスサイズ度試験機(HST)により、標準法TAPPI T530pm−89を使用して測定する。
【0044】
本発明の一実施態様によれば、硫酸カルシウム二水和物を含む、コーティングのような組成物層で処理し又は当該組成物層を施したインクジェット記録紙のCIE(シーアイエー)白色度値は、110以上(≧110)、好適には120を超え(>120)、さらに好適には130を超える(>130)ものである。これらの値はISO 11475:2004の標準的な方法を使用して測定して得たものである。高いCIE白色度値は紙の白色度の程度を示す。特にインクジェット印刷では、記録紙の白色度は、印刷した各色の正確な再生を可能にする点で、重要な特質である。今や、本発明は、廉価な材料を使用しつつも、それと同様なCIE白色度値の達成を可能なものとする。
【0045】
水堅牢度は印刷したインクが水と接触するときどの程度広がっていくかを示す。当該特性は、記録紙試料をHPビジネスインクジェット2800ドロップ・オン・デマンドのインクジェットプリンターで印刷することにより測定する。プリンターにはHP11インクカートリッジ(HP製品コード:シアンC4836A、マゼンタC4837A)及びHP11プリントヘッド(HP製品コード:シアンC4811A、マゼンタC4812A)が搭載されている。大きさが50mm×50mmでシアン一色及びマゼンタ一色のテスト用パッチを記録紙に印刷し、その記録紙を1分間定着し落ち着かせる。印刷したパッチの濃度を測定する。その後、試料を水浴に垂直に入れそのまま1分間浸漬する。浸漬の後、試料を持ち上げて取り出し、過剰の水を切り、試料をそれが全て乾くまで加熱室に入れる。加熱室の温度は45℃に設定し乾燥時間は最大で15分とする。乾燥させた後、テスト印刷物の濃度を新たに測定する。浸漬させる前に測定した濃度値と浸漬させ乾燥した後に得た濃度値との差を濃度の損失又は低下として記録する。濃度の損失(低下)はもとの濃度値に対するパーセントで表される。
【0046】
硫酸カルシウム二水和物を使用して処理しまたは被覆した本記録紙の水堅牢性は、従来のインクジェット記録紙と比べて明らかに改良されることを観察した。本発明の一態様に係るインクジェット記録紙のインク損失(低下)の値は、代表的には55%未満(<55%)、好適には45%未満(<45%)、さらに好適には40%未満(<40%)である。
【0047】
ブラックのインク濃度及びマゼンタのインク濃度を標準的な方法(ISO 5−3:1995及びISO 5−4:1995)により測定する。インク濃度はテシコン・スペクトロデンス濃度計(Techkon SpectroDensdensitometer)(テシコン(Techkon) GmbH社製作)で測定する。濃度試験及びモットリング試験については、試料をHP顔料インクカートリッジC9412A−C9419Aを搭載したHP フォトスマート・プロ(Photosmart Pro) B9180ドロップ・オン・デマンドのインクジェットプリンターで印刷することにより行う。プリントスルーすなわち裏抜け試験に係る試料にはコダック・ヴァーサマーク(Kodak Versamark)VX5000連続インクジェットプリンターで印刷する。シアン、マゼンタ、ブラック及びイエローについては、コダック社のインクF3001、FV3002,FV3003及びFV3005をそれぞれ使用して印刷する。硫酸カルシウム二水和物を使用して処理した又はこれを被覆したインクジェット記録紙のインク濃度値は、コダック・ヴァーサマーク(Kodak Versamark)VX5000を用いて上述したインクで印刷するとき、代表的には1.1を超え(>)、さらに代表的には1.2を超え(>)、好適には1.3を超える(>)。
【0048】
モットリングは、斑点のあるまだらな印刷の発生をもたらす、印刷物のインク量及び光沢のムラを説明するのに使用する用語である。モットリングは、画像分析器及びウェーブレット変換(wavelet transform)を使用して、タピオ(TAPIO)(登録商標)パプアイ(PapEye)(フィンランド、エスポー所在のオンリー・ソリューションズ(Only Solutions)、 タピオ(TAPIO)テクノロジー社製)を用いて測定する。まず、測定する領域(field)をスキャンし、欠陥の度合いを7つの解像力(resolution)段階、すなわち、0.17mm;0.34mm;0.67mm;1.34mm;2.54mm;5.10mm;10.2mmに従って判定する。解像力段階と解像力段階との間の値は既知の値から推定する。これらの値の合計をもってモットリングを示す。モットリング指数の範囲は0から100であるが、実際上は、1と10との間にある。各試験箇所について5回反復試験を行う。この方法は試料の向きには影響されない。本発明の一実施の態様に係るインクジェット記録紙の、ライトトーン(明るい色調)についてのモットリング指数は、任意の単位で、5未満(<5)、好適には4.5未満(<4.5)、さらに好適には4.3未満(<4.3)であってもよい。ライトトーンはシアン40%スクリーンとマゼンタ40%スクリーンとを重ね刷りしたものである。本発明の一実施の態様に係るインクジェット記録紙の、ダークトーン(暗い色調)についてのモットリング指数は、任意の単位で、8未満(<8)、好適には7未満(<7)、さらに好適には6未満(<6)であってもよい。ダークトーンはシアン80%スクリーンとマゼンタ80%スクリーンとを重ね刷りしたものである。
【0049】
裏抜け値は印刷した記録紙の裏面に印刷画像が現れる望ましくない現象を説明するものである。裏抜けは次に述べる方法により試験する。この方法は、対象エリア(区域)と基準エリア(区域)との色差CIELAB(ΔE)又はCIE94(ΔE94)の評価に基づく。対象エリアは印刷物の裏側から平面スキャナーを用いて入手し、また、基準エリアは当該紙の印刷されていない領域から得る。裏抜けの程度を表す値はマスワークス(MathWorks)が管理所有するマトラブ(Matlab)プログラムで計算する。色差ΔE又はΔE94は個別に計算する。色差の平均値は裏抜けの度合いを表すものである。本発明の一実施態様に係るインクジェット記録紙の裏抜け値は9未満(<9)、好適には8未満(<8)、さらに好適には7未満(<7)であり、これらの値は任意の単位で表現される。インクジェット記録紙についていえば、その値は出来るだけ小さい方が好ましい。
【0050】
本発明の実施態様によれば、硫酸カルシウム二水和物からなる、コーティングのような組成物層で処理し又はその層を被覆したインクジェット記録紙のコッブ60値は、標準的な方法ISO 535:1991で測定し、70g/m未満(<70g/m)、好適には65g/m未満(<65g/m)、さらに好適には60g/m未満(<60g/m)である。コッブ60値により記録紙へ対する水の吸収量についての値が与えられる。コッブ60値が小さいほど、記録紙に吸収される水の量が少ないことを意味する。水溶性インクを使って良好な印刷成績を得るためには、コッブ60値が小さいほど、インクジェット記録紙にとっては有利となる。本発明に係る組成物を使って得たコッブ60値は、従来から疎水性サイジング処理により得られた値に匹敵する。
【0051】
本出願では、被覆用の、又は処理用の組成物又は混合物の組成は、従来技術のように、顔料の合計量を100の値とし全顔料の量に対して他の成分の量(pph)を計算することにより求められる。活性物質として全成分の割合が与えられる。
【実施例】
【0052】
実験
硫酸カルシウム二水和物を含む組成物、基準組成物、比較用コーティング組成物を以下に述べる手順で調製する。
【0053】
コーティング組成物をシア(shear)の小さいミキサーで調製する。最初に、デンプンを下ごしらえし、一定量の水及びデンプンをコーティング用容器内へ加え、その後、混合物を沸点近くまで加熱する。デンプンを下ごしらえした後、他の成分を適当なせん断作用を加えながら添加する。そうすることで、全成分を互いに十分混合することができる。各組成物を表1に記載したように調製する。コーティング組成物中の固形分量は、望ましくは15重量%である。
【0054】
各組成物中、蛍光白色化剤としてケミラ・ブランコファー(Kemira Blankophor)(登録商標)P liq.01を用い、また、表面サイズ剤としてはケミラ・ポリグラフィックス(Kemira Polygraphix)(登録商標)を使用する。
【0055】
表1 各種組成物の成分
【表1】





【0056】
記録紙の基体は針葉樹及び広葉樹パルプ及び填料を含む80g/m上質原紙である。原紙の灰分量は、大体20%であり、疎水サイズ処理されていない。試験するコーティング組成物をメータサイズプレス(Metso OptiSizer)を使って500m/minの速度で原紙に塗布する。組成物の固形分含量、ニップ圧及びサイズプレス稼動速度を制御することで、3g/m/sideのピックアップ量を硫酸カルシウム二水和物試料と比較用試料について達成し、基準試料について1.5g/m/sideのピックアップ量を達成する。コーティングした後、紙シートを乾燥させカレンダー処理する。カレンダー処理は、70℃の温度、50kN/mのニップ負荷で、いわゆるソフトカレンダー処理と呼ばれる方法で行う。乾燥温度は、基準試料について160℃で、硫酸カルシウム二水和物試料及び比較用試料については、295℃とする。これらの乾燥温度で4重量%の湿った対象物を得る。
【0057】
インクジェット印刷に使用する試料の評価を行うために一連の実験を行う。評価するのに選ぶ特性としては、透気性、接触角、コッブ60、白色度、Cielab値、HST、スミアリング(smearing)、ブラックのインク濃度及びマゼンタのインク濃度などがある。結果を表2に示す。
【0058】
Cielab値は色空間を定義する。値L、a及びbを他のものに対して直角にプロットし三次元座標系を形成する。色空間での等間隔は色差が大体等しいことを示す。値Lは明度を、値aは赤み/緑を、値bは黄色さ/青さ軸を表す。CIELAB色差は、CIELAB色空間の色座標(表色系)間のユークリッド距離を定義する。CIE94色差はCIELAB色差モデルの改良を定義する。上記のCIELAB値の測定はSCAN−P 72:95標準法を使用して行う。
【0059】
試料の特性評価は、さらに水堅牢性、モットリング及び裏抜けについての試験で行う。表3〜4にその結果を示す。
【0060】
得られた結果から、硫酸カルシウム二水和物を含む本発明に係る組成物で処理を施した試料については、インク濃度の低下(損失)が明らかに低いことが結論づけられる。
【0061】
さらに、硫酸カルシウム二水和物を塗布した試料の場合には、基準試料及び比較用試料の場合に比べて、明らかに良好な印刷濃度、裏抜け、及びモットリング値を示すと結論づけられる。その結果、硫酸カルシウム二水和物を塗布した試料は基準試料及び比較用試料よりも優れたインクジェット印刷特性を有するものである。
【0062】
以上、本発明に関し、現時点で最も実際的でかつ好適な実施態様について説明したが、本発明は上記した実施態様に限定されないと解釈すべきであって、本発明は、後掲の特許請求の範囲の記載で定める範囲内での、さらに異なった変形例及び均等な技術的解決手段をも包含することを意図している。
【0063】
表2 各種記録紙特性の測定結果
【表2】

【0064】
表3 水堅牢性試験におけるインク濃度の低下
【表3】

【0065】
表4 各種試料の印刷濃度、裏抜け、モットリング値
【表4】

ライトトーン(light tones)=(シアン40%+マゼンタ40%刷り重ね)
★★ダークトーン(dark tones)=(シアン80%+マゼンタ80%刷り重ね)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材繊維材料又はリグノセルロース繊維材料を含むインクジェット記録紙の表面を処理するための、硫酸カルシウム二水和物及びデンプン溶液を含む組成物の使用であって、該記録紙のインクジェット印刷特性を改良するための使用。
【請求項2】
該組成物の硫酸カルシウム二水和物の量が0.1〜80部であることを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項3】
該組成物のデンプン溶液の量が5〜95部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
デンプン溶液が非イオン又はカチオンデンプンを含むことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の使用。
【請求項5】
該組成物が硫酸カルシウム二水和物を、デンプン溶液に溶解した形態及び固体の形態の両形態で含むことを特徴とする前記請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
該デンプン溶液が、400ppmを超える(>400ppm)量の、溶解した形態の硫酸カルシウム二水和物を含むことを特徴とする請求項5に記載の使用。
【請求項7】
結晶化又は沈殿法により得られた硫酸カルシウム二水和物粒子を含むことを特徴とする請求項1〜6に記載の使用。
【請求項8】
木材繊維材料又はリグノセルロース繊維材料を含み、その表面が硫酸カルシウム二水和物及びデンプン溶液を含む組成物で処理された基体を有することを特徴とするインクジェット記録紙。
【請求項9】
透気度値が600ml/min未満(<600ml/min)であることを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録紙。
【請求項10】
接触角(0.05s)が50°以上(≧50°)であることを特徴とする請求項8又は9に記載のインクジェット記録紙。
【請求項11】
コッブ60値が70g/m未満(<70g/m)であることを特徴とする請求項8〜10のいずれか一項に記載のインクジェット記録紙。
【請求項12】
インク損失値が55%未満(<55%)であり、好ましくは45%未満、さらに好ましくは40%未満(<40%)であることを特徴とする請求項8〜11のいずれか一項に記載のインクジェット記録紙。
【請求項13】
CIE白色度が110以上(≧110)であることを特徴とする請求項8〜12のいずれか一項に記載のインクジェット記録紙。
【請求項14】
インク濃度が1.1を超える(>1.1)ことを特徴とする請求項8〜13のいずれか一項に記載のインクジェット記録紙。
【請求項15】
裏抜け値が9未満(<9)であることを特徴とする請求項8〜14のいずれか一項に記載のインクジェット記録紙。
【請求項16】
ライトトーンについてのモットリング指数が5未満(<5)であることを特徴とする請求項8〜15のいずれか一項に記載のインクジェット記録紙。
【請求項17】
インクジェット記録紙の表面を硫酸カルシウム二水和物及びデンプン溶液を含む組成物で処理し該表面上に処理層を形成することによって、木材繊維材料又はリグノセルロース繊維材料を含むインクジェット記録紙のインクジェット印刷特性を改良する方法。
【請求項18】
異なるコーティング組成をもつコーティング層を該処理層の上へ被覆することを特徴とする請求項17に記載の方法。

【公表番号】特表2012−526678(P2012−526678A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510323(P2012−510323)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【国際出願番号】PCT/FI2010/050377
【国際公開番号】WO2010/130876
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(504186286)ケミラ ユルキネン オサケイティエ (18)
【氏名又は名称原語表記】KEMIRA OYJ
【Fターム(参考)】