説明

インクジェット記録体の製造方法

【課題】 塗布液が湿潤状態又は半乾燥状態であっても光沢ロールから離型しやすく、高い光沢度の光沢層を形成できる上に、長期間操業してもカスが発生しにくいインクジェット記録体の製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明のインクジェット記録体の製造方法は、支持体11上にインク受容層12を設けてなる基材10の前記インク受容層上に、微粒子および離型剤を含有する塗布液を供給し、前記基材を、光沢ロール21とプレスロール22との間を、前記塗布液が光沢ロールに接触するように通過させてプレス塗工する光沢層30形成工程と、前記光沢層形成工程に先立ち、光沢ロールの表面を拭き上げ剤であらかじめ拭き上げる拭き上げ工程とを有し、前記拭き上げ剤と、前記塗布液中の離型剤とが共に特定の一般式で表される化合物である(ただし、拭き上げ剤と離型剤とが同一の化合物である必要はない。)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録方式に用いられるインクジェット記録体を製造するインクジェット記録体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水性インクを微細なノズルから噴出して記録体に画像を形成させるインクジェット記録方式は、記録時の騒音が少ないこと、カラー化が容易であること、高速記録が可能であること、また、他の印刷装置より安価であること等の理由から、端末用プリンタ、ファクシミリ、プロッタ、あるいは帳票印刷等で広く利用されている。
近年、プリンタの急速な普及や高精細・高速化、さらにはデジタルカメラの普及により、インクジェット記録方式において用いられる記録体にも高度な特性が要望されるようになっている。特に、銀塩写真に匹敵する表面光沢を備えたインクジェット記録体が強く求められている。
【0003】
インクジェット記録体に光沢を付与する方法としては、例えば、支持体上に形成したインク受容層上に微粒子を含む塗布液を供給し、次いで、供給した塗布液を、表面が鏡面状の光沢ロールに接触させた後に剥離して、光沢ロールの鏡面を写し取って光沢層を形成するインクジェット記録体の製造方法(キャスト塗布法)が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。このキャスト塗布法では、塗布液中の溶媒を、支持体中を通して除去するため、支持体として紙基材などの透気性支持体が用いられていた。
【0004】
しかし、紙基材では銀塩写真並の表面光沢を得るのが困難であるため、樹脂被覆紙(RC紙)等の非透気性支持体や低透気性支持体を用いることが求められている。ところが、従来のインクジェット記録体の製造方法では、溶媒が透過しにくい非透気性支持体や低透気性支持体を用いて光沢層を形成することは困難であった。
そこで、特許文献3では、支持体として非透気性支持体や低透気性支持体を用いても光沢層を形成できるインクジェット記録体の製造方法が開示されている。この特許文献3に記載の方法では、非透気性支持体又は低透気性支持体上に形成したインク受容層上に塗布液を供給し、供給した塗布液が湿潤状態又は半乾燥状態にあるうちに光沢ロールに接触させた後に剥離することにより、支持体が非透気性支持体や低透気性支持体であっても光沢層を形成できるようになっている。
【特許文献1】米国特許第5275846号明細書
【特許文献2】特開平7−89220号公報
【特許文献3】国際公開第03/039881号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献3に記載の製造方法では、塗布液が湿潤状態又は半乾燥状態にあるうちに光沢ロールから剥離することが重要であるにもかかわらず、操業中に光沢ロールにインクジェット記録体が貼り付いてしまうことがあった。その結果、光沢ロールが汚れたり、貼り付いたまま離型しなくなったりすることがあり、製造効率が低くなる問題があった。
【0006】
この問題の対策として、本発明者らは、高い離型性を得るために、特願2003−179372号にて、塗布液中に特定の離型剤(例えば、オレイン酸カリウム等)を含有させることを提案している。塗布液中に離型剤が含まれていれば、湿潤状態又は半乾燥状態であっても光沢ロールから剥離しやすくなる。
しかし、特願2003−179372号に記載の特定の離型剤を用いて長期間操業した際には、カスが発生し、そのカスが光沢ロールに付着することがあり、塗工面に欠陥が発生することがあった。さらに、その付着したカスが光沢ロールから剥離し、塗布液を溜めた部分に混入して、インクジェット記録体の光沢層にカスが混じることがあった。
本発明は、塗布液が湿潤状態又は半乾燥状態であっても光沢ロールから離型しやすく、高い光沢度の光沢層を形成できる上に、長期間操業してもカスが発生しにくく、塗工欠陥が発生しにくいインクジェット記録体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、カスの発生の原因について調べた結果、光沢ロールの表面の拭き上げに使用する際の拭き上げ剤と塗布液中の離型剤とが反応することによりカスが発生するものと推定した。そして、拭き上げ剤と離型剤とを同一の種類にしてみたところカスの発生を抑制できることを見出した。
すなわち、本願請求項1のインクジェット記録体の製造方法は、支持体上にインク受容層を設けてなる基材の前記インク受容層上に、微粒子および離型剤を含有する塗布液を供給し、前記基材を、光沢ロールとプレスロールとの間を、前記塗布液が光沢ロールに接触するように通過させてプレス塗工する光沢層形成工程と、
前記光沢層形成工程に先立ち、光沢ロールの表面を拭き上げ剤であらかじめ拭き上げる拭き上げ工程とを有し、
前記拭き上げ剤と、前記塗布液中の離型剤とが共に下記一般式(1)で表される化合物である(ただし、拭き上げ剤と離型剤とが同一の化合物である必要はない。)ことを特徴とする。
【0008】
【化1】

【0009】
(式中、Rは炭素数8〜28のアルキル基又はアルケニル基を表す。R〜Rは、H又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ同じであってもよいし異なっていてもよい。)
【0010】
本願請求項2のインクジェット記録体の製造方法は、支持体上にインク受容層を設けてなる基材の前記インク受容層上に、微粒子および離型剤を含有する塗布液を供給し、前記基材を、光沢ロールとプレスロールとの間を、前記塗布液が光沢ロールに接触するように通過させてプレス塗工する光沢層形成工程と、
前記光沢層形成工程に先立ち、光沢ロールの表面を拭き上げ剤であらかじめ拭き上げる拭き上げ工程とを有し、
前記拭き上げ剤と、前記塗布液中の離型剤とが共に下記一般式(2)〜(4)のいずれかで表される化合物である(ただし、拭き上げ剤と離型剤とが同一の化合物である必要はない。)ことを特徴とする。
【0011】
【化2】

【0012】
(式中、Rは炭素数8〜28のアルキル基またはアルケニル基、R、R、RはH又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ同じであってもよいし異なっていてもよい。また、XはF、Cl、Br、Iのいずれかを表す。)
【0013】
【化3】

【0014】
(式中、R10,R11は炭素数8〜28のアルキル基又はアルケニル基を表し、それぞれ同じであってもよいし異なっていてもよく、R12,R13はH又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ同じであってもよいし異なっていてもよい。また、XはF、Cl、Br、Iのいずれかを表す。)
【0015】
【化4】

【0016】
(式中、R14,R15,R16は炭素数8〜28のアルキル基又はアルケニル基を表し、それぞれ同じであってもよいし異なっていてもよく、R17はH又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ同じであってもよいし異なっていてもよい。また、XはF、Cl、Br、Iのいずれかを表す。)
【0017】
本発明のインクジェット記録体の製造方法においては、前記光沢層が湿潤状態又は半乾燥状態にあるうちに、該光沢層を光沢ロールから剥離することが好ましい。
本発明のインクジェット記録体の製造方法においては、支持体が非透気性支持体又は低透気性支持体であることが好ましい。
また、本発明のインクジェット記録体の製造方法においては、離型剤と拭き上げ剤とが同一の化合物であることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明のインクジェット記録体の製造方法によれば、塗布液が湿潤状態又は半乾燥状態にあっても光沢ロールから離型しやすく、支持体として非透気性支持体又は低透気性支持体を用いることもでき、銀塩写真並みの高い光沢度の光沢層を形成することが可能になる。しかも長期間操業してもカスが発生しにくく、そのカスが光沢ロールに付着することを防止できる。その結果、インクジェット記録体の光沢層にカスが混じることを防止できる。また、光沢層に塗工欠陥が発生しにくい。したがって、得られたインクジェット記録体は、高光沢、高印字濃度を有するものであり、デジタルカメラなどの写真画像などの出力に適した記録体である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明のインクジェット記録体の製造方法の一実施形態について図1を参照して説明する。
本実施形態のインクジェット記録体の製造方法では、まず、支持体11上に少なくとも一層のインク受容層12が設けてなる基材10を用意する(準備工程)。
次いで、その基材10を、光沢ロール21とプレスロール22との間に、インク受容層12が光沢ロール21側に位置するように配置し、基材10のインク受容層12上に、光沢層30を形成するための塗布液を供給する。そして、その塗布液が湿潤状態又は半乾燥状態にあるうちに、基材10を、光沢ロール21とプレスロール22との間を、前記塗布液が光沢ロール21に接触するように通過させてプレス塗工して光沢層30を形成する(光沢層形成工程)。これにより、インクジェット記録体1を得ることができる。
また、本発明では、光沢層形成工程に先立って、光沢ロール21の表面を、拭き上げ剤であらかじめ拭き上げておく(拭き上げ工程)。
以下、各工程について説明する。
【0020】
<準備工程>
本発明のインクジェット記録体の製造方法では、まず、準備工程として、支持体11上にインク受容層12を設けてなる基材10を用意する。
【0021】
[支持体]
支持体11としては、銀塩写真並みの光沢を得ることができることから、非透気性支持体又は低透気性支持体を用いることが好ましい。支持体11として非透気性支持体又は低透気性支持体を用いれば、インク中の溶媒の浸透を防止できるので、コックリングを抑えることができる。その結果、印字物の外観を良好にできる上に、コックリングした記録体と記録ヘッドとの接触による記録用紙の汚損や破れ又は記録ヘッドの故障を防止することができる。これに対し、紙基材などの透気性支持体を用いた場合には、印字した際にインク中に含まれる水分等の溶媒の影響で支持体が伸びて波打ってコックリングが生じることがあるが、本発明における支持体11が透気性支持体であっても差し支えない。
【0022】
低透気性支持体又は非透気性支持体とは、透気度が500秒以上、好ましくは1000秒以上である支持体を意味する。透気性は、一般に、紙や不織布などの多孔性を評価する項目として知られている透気度によって表される。透気度は、空気100mlが面積645mmの試験片を通過するのに要する時間で表され、JIS P 8117(紙及び板紙の透気度試験方法)に規定されている。
【0023】
具体的な低透気性支持体又は非透気性支持体としては、例えば、セロハン、ポリエチレン、ポリプロピレン、軟質ポリ塩化ビニル、硬質ポリ塩化ビニル、ポリエステル等のフィルム類が挙げられる。また、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンで紙などの基材表面を被覆した樹脂被覆紙、金属フォイル、ポリプロピレンを延伸し、特殊加工を施した合成紙などのシート類が例示される。支持体11は、その上に形成されるインク受容層12や光沢層30の形成方法、或いは、使用される用途などに応じて、上記例示のものの中から適宜選択される。
上記支持体11の中でも、写真調のインクジェット記録体にするためには、合成紙、樹脂被覆紙が好ましく、とりわけ、酸化チタンを練り込んだ樹脂被覆紙、所謂RC紙からなる支持体11は、仕上がった外観が写真印画紙と同等であるため、特に好ましく用いられる。
合成紙としては、炭酸カルシウムなどの無機顔料を含有するポリプロピレン樹脂を押出し、二軸延伸して得られる合成紙が好ましく、表面に凹凸のないスキン層を有する合成紙が特に好ましい。
【0024】
支持体11が、ポリエチレン層が基材を被覆した樹脂被覆紙の場合、ポリエチレン層の厚みは、3〜50μmが好ましく、5〜30μmがより好ましい。ポリエチレン層の厚みが3μm未満の場合は、樹脂被覆時にポリエチレンの穴等の欠陥が多くなりやすく、厚みのコントロールに困難がある場合が多く、平滑性も得にくくなる。逆に50μmを超えると、コストが増加する割には、得られる効果が小さく、不経済である。
また、インク受容層12との接着性を高めるために、樹脂層表面にコロナ放電処理を施したり、アンカーコート層を設けたりすることが好ましい。
【0025】
また、樹脂被覆紙の基材として紙を用いる場合、紙基材としては、木材パルプを主材料として製造されたものが好ましく用いられる。木材パルプは、各種化学パルプ、機械パルプ、再生パルプ等を適宜使用することができ、これらのパルプは紙力や平滑性、抄紙適性等を調整するために、叩解機により叩解度を調整できる。叩解度は、特に限定されないが、一般に250〜550ml(CSF:JIS−P−8121)程度が好ましい範囲である。またいわゆるECF、TCFパルプ等の塩素フリーパルプも好ましく使用できる。また、必要に応じて、木材パルプに顔料を添加することができる。顔料としては、タルク、炭酸カルシウム、クレー、カオリン、焼成カオリン、シリカ、ゼオライト等が好ましく使用される。顔料の添加により、不透明性や平滑度を高めることができるが、過剰に添加すると、紙力が低下する場合があるから、顔料の添加量は、対木材パルプ1〜20質量%程度が好ましい。
【0026】
なお、支持体11は、蛍光染料、蛍光顔料などの蛍光増白剤により色目が調節されたものであってもよいし、帯電防止層が設けられたものであっても構わない。また、支持体11は透明であってもよいし不透明であってもよい。
【0027】
[インク受容層]
インク受容層12は、支持体11上に形成されている層であって、主としてインク中の染料や顔料の色素を固定するとともに、インク中の溶媒を吸収する層である。
インク受容層12は一層であってもよいし多層であってもよい。インク受容層12の少なくとも一層は、顔料等の微粒子と接着剤とを含有することが好ましい。
【0028】
微粒子としては、例えば、コロイダルシリカ、無定形シリカ、酸化チタン、硫酸バリウム、カオリン、クレー、焼成クレー、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、アルミナ、コロイダルシリカ、ゼオライト(天然ゼオライト、合成ゼオライト)、セピオライト、スメクタイト、合成スメクタイト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、珪藻土、スチレン系プラスチックピグメント、ハイドロタルサイト、尿素樹脂系プラスチックピグメント、ベンゾグアナミン系プラスチックピグメント等の透明又は白色の微粒子などが挙げられ、1種もしくはそれ以上を併用することができる。
【0029】
接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、カチオン変性PVA、シリル変性PVA等の変性PVAなどのPVA類、ポリビニルアセタール、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミドなどの水溶性樹脂や、カゼイン、大豆タンパク、合成タンパク質類、デンプン、カルボキシメチルセルロースやメチルセルロースなどのセルロース誘導体、あるいは、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、スチレン−酢酸ビニル共重合体などのビニル系共重合体ラテックス等などのような、一般に塗布紙分野で公知公用の各種接着剤が挙げられる。また、感温点以下の温度領域では親水性を示し、感温点より高い温度領域では疎水性を示す感温性高分子化合物なども使用できる。これらは、適宜併用することもできる。
【0030】
また、インク受容層12にはカチオン性化合物が含まれていることが好ましい。カチオン性化合物としては、例えば、1)ポリエチレンポリアミンやポリプロピレンポリアミンなどのポリアルキレンポリアミン類またはその誘導体、2)第2級アミノ基、第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有するアクリル重合体、3)ポリビニルアミンおよびポリビニルアミジン類、4)ジシアンジアミド・ホルマリン共重合体に代表されるジシアン系カチオン性化合物、5)ジシアンジアミド・ポリエチレンアミン共重合体に代表されるポリアミン系カチオン性化合物、6)エピクロルヒドリン・ジメチルアミン共重合体、7)ジアリルジメチルアンモニウム−SO重縮合体、8)ジアリルアミン塩・SO重縮合体、9)ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体、10)ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合体、11)アリルアミン塩の共重合体、12)ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩共重合体、13)アクリルアミド・ジアリルアミン共重合体、14)5員環アミジン構造を有するカチオン性樹脂等の公知のカチオン性化合物等が例示される。
【0031】
また、インク受容層12には、必要に応じて、一般的に塗工紙の製造において使用される各種顔料、分散剤、増粘剤、消泡剤、着色剤、帯電防止剤、防腐剤等の各種助剤を適宜添加してもよい。
【0032】
インク受容層12は、溶媒中に、上述のような顔料等の成分を分散させた塗工液を支持体に塗工し、乾燥させることによって形成される。
塗工液の溶媒としては、特に限定はないが、塗工適性などの理由で、水が好ましい。
インク受容層12の塗工量の合計は、5〜70g/mが好ましく、10〜50g/mがより好ましく、15〜40g/mが更に好ましい。また、塗工層の厚みの合計は、7〜105μmが好ましく、15〜75μmがより好ましく、22〜60μmがさらに好ましい。塗工量が5g/m未満の場合、光沢層が十分に形成できない可能性があるのみならず、インク吸収性が低下し、記録適性が劣る場合があり、塗工量が70g/mを超えると、塗工層の強度が低下し、記録用紙の断裁加工時や、プリンタでの記録体の搬送時に、トラブルを起こしやすくなるおそれがある。
塗工工程は1回でもよく、また、複数回行ってもよい。塗工工程を複数回行うと、インク受容層を多層とすることもできる。また、塗工液を複数回に分けて塗工することで、ひび割れの発生を抑制しながら多くの塗工液を塗工することができ、インク受容層のインク吸収容量を大きくすることができる。
【0033】
インク受容層12の塗工装置としては、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ダイコーター、カーテンコーター、リンプコーター、スタイドビードコーター等、各種公知の塗工装置が利用できる。特に、エアナイフコーターは、幅広い塗料物性、塗工量に対応可能なため、好適に用いられる。また、ダイコーターやカーテンコーターは、塗工量の均一性に優れるため、特に高精細な記録を目的とする光沢タイプのインクジェット記録体には、好ましい塗工方法である。
塗膜の乾燥方法としては、特に限定はないが、従来から公知公用の熱風乾燥、ガスヒータ乾燥、高周波乾燥、電気ヒータ乾燥、赤外線ヒータ乾燥、レーザ乾燥、電子線乾燥等の各種加熱乾燥方式が適宜採用される。
【0034】
<光沢層形成工程>
[塗布液]
準備工程の後、基材10のインク受容層12上に光沢層形成用塗布液を供給して塗布する。塗布液には、微粒子および離型剤が含まれる。塗布液中の離型剤含有量は、微粒子100質量部に対して0.5〜10質量部であることが好ましい。このような範囲とすることで、光沢ロール21からより剥離しやすくなる。
【0035】
微粒子としては特に制限されず、例えば、コロイダルシリカ、気相法シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン等の透明または白色顔料が例示される。これらの中でも、コロイダルシリカ、気相法シリカ、アルミナは、優れた光沢が得られるので好ましい。
形成される光沢層は、光沢発現を主目的とし、染料定着機能は必ずしも必要とするものではないが、カチオン性の顔料を選択することにより、顔料インク適性を付与することができる。カチオン変性されたコロイダルシリカや気相法シリカ、またはアルミナなどが良好である。アルミナの中では、気相法(フュームド)アルミナがより好ましい。
【0036】
微粒子の形態は、コロイド状であることが好ましい。単分散体であっても凝集粒子分散体であってもよいが、高印字濃度、高光沢を得るために単分散体、もしくは凝集粒子分散体のなかでも粒子径の小さいものが主に好ましく用いられる。平均1次粒子径3〜100nm、平均(2次)粒子径700nm以下の微粒子から選ばれるのが好ましい。
【0037】
離型剤としては、上記一般式(1)で表される化合物又は一般式(2)〜(4)のいずれかで表される化合物を使用する。
一般式(1)中、Rは炭素数8〜28のアルキル基又はアルケニル基を表し、例えば、オレイル基、ステアリル基、ラウリル基、パルミチル基、ミリスチル基などが挙げられる。これらの中でも、離型性が長時間保たれることから、オレイル基、ステアリル基が好ましい。
〜Rは、H又は炭素数1〜4のアルキル基(すなわち、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基)を表し、中でも、Hが好ましい。また、R〜Rはそれぞれ同じであってもよいし異なっていてもよいが、R〜Rがいずれも同じであることが好ましい。
また、一般式(2)中、Rは炭素数8〜28のアルキル基又はアルケニル基を表し、例えば、オレイル基、ステアリル基、ラウリル基、パルミチル基、ミリスチル基などが挙げられる。これらの中でも、離型性が長時間保たれることから、オレイル基、ステアリル基が好ましい。
、R、RはH又は炭素数1〜4のアルキル基(すなわち、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基)を表し、中でも、メチル基が好ましい。また、R〜Rはそれぞれ同じであってもよいし異なっていてもよい。また、XはF、Cl、Br、Iのいずれかを表し、これらの中でも、Clが好ましい。
【0038】
また、一般式(3)中、R10,R11は炭素数8〜28のアルキル基又はアルケニル基を表し、例えば、オレイル基、ステアリル基、ラウリル基、パルミチル基、ミリスチル基などが挙げられる。R10とR11はそれぞれ同じであってもよいし異なっていてもよい。R12,R13はH又は炭素数1〜4のアルキル基(すなわち、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基)を表し、中でも、メチル基が好ましい。R12とR13はそれぞれ同じであってもよいし異なっていてもよい。また、XはF、Cl、Br、Iのいずれかを表す。
【0039】
また、一般式(4)中、R14,R15,R16は炭素数8〜28のアルキル基又はアルケニル基を表し、例えば、オレイル基、ステアリル基、デシル基、パルミチル基、ミリスチル基などが挙げられる。R14,R15,R16はそれぞれ同じであってもよいし異なっていてもよい。R17はH又は炭素数1〜4のアルキル基(すなわち、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基)を表し、中でも、メチル基が好ましい。また、XはF、Cl、Br、Iのいずれかを表す。
【0040】
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、オレイン酸アンモニウム、ステアリン酸アンモニウム、ラウリン酸アンモニウム、パルミチン酸アンモニウム、ミリスチン酸アンモニウム、オレイン酸テトラメチルアンモニウム、ステアリン酸テトラメチルアンモニウム、ラウリン酸テトラメチルアンモニウム、パルミチン酸テトラメチルアンモニウム、ミリスチン酸テトラメチルアンモニウム、オレイン酸テトラエチルアンモニウム、ステアリン酸テトラエチルアンモニウム、ラウリン酸テトラエチルアンモニウム、パルミチン酸テトラエチルアンモニウム、ミリスチン酸テトラエチルアンモニウム、オレイン酸テトラn−ブチルアンモニウム、ステアリン酸テトラn−ブチルアンモニウム、ラウリン酸テトラn−ブチルアンモニウム、パルミチン酸テトラn−ブチルアンモニウム、ミリスチン酸テトラn−ブチルアンモニウム等が挙げられる。これらの中でも、離型性が特に優れる点で、オレイン酸アンモニウムが好ましい。
【0041】
一般式(2)で表される化合物の具体例としては、ステアリルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリエチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリブチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルブロマイド、ステアリルトリメチルフルオライド、ステアリルトリメチルアイオダイド、ステアリルモノメチルアンモニウムクロライド、ステアリルジメチルアンモニウムクロライド、オレイルアンモニウムクロライド、オレイルトリメチルアンモニウムクロライド、オレイルトリエチルアンモニウムクロライド、オレイルトリブチルアンモニウムクロライド、オレイルトリメチルブロマイド、オレイルトリメチルフルオライド、オレイルトリメチルアイオダイド、オレイルモノメチルアンモニウムクロライド、オレイルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリエチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリブチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルブロマイド、ラウリルトリメチルフルオライド、ラウリルトリメチルアイオダイド、ラウリルモノメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルアンモニウムクロライド、パルミチルアンモニウムクロライド、パルミチルトリメチルアンモニウムクロライド、スパルミチルトリエチルアンモニウムクロライド、パルミチルトリブチルアンモニウムクロライド、パルミチルトリメチルブロマイド、パルミチルトリメチルフルオライド、パルミチルトリメチルアイオダイド、パルミチルモノメチルアンモニウムクロライド、パルミチルジメチルアンモニウムクロライド、ミリスチルアンモニウムクロライド、ミリスチルトリメチルアンモニウムクロライド、ミリスチルトリエチルアンモニウムクロライド、ミリスチルトリブチルアンモニウムクロライド、ミリスチルトリメチルブロマイド、ミリスチルトリメチルフルオライド、ミリスチルトリメチルアイオダイド、ミリスチルモノメチルアンモニウムクロライド、ミリスチルジメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
【0042】
また、一般式(3)で表される化合物の具体例としては、ジオレイルアンモニウムクロライド、ジオレイルジメチルアンモニウムクロライド、ジオレイルジエチルアンモニウムクロライド、ジオレイルジブチルアンモニウムクロライド、ジオレイルジメチルアンモニウムブロマイド、ジオレイルジメチルアンモニウムフルオライド、ジオレイルジメチルアンモニウムアイオダイド、ジオレイルモノメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジエチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジブチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムブロマイド、ジステアリルジメチルアンモニウムフルオライド、ジステアリルジメチルアンモニウムアイオダイド、ジステアリルモノメチルアンモニウムクロライド、ジラウリルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジエチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジブチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムブロマイド、ジラウリルジメチルアンモニウムフルオライド、ジラウリルジメチルアンモニウムアイオダイド、ジラウリルモノメチルアンモニウムクロライド、ジパルミチルアンモニウムクロライド、ジパルミチルジメチルアンモニウムクロライド、ジパルミチルジエチルアンモニウムクロライド、ジパルミチルジブチルアンモニウムクロライド、ジパルミチルジメチルアンモニウムブロマイド、ジパルミチルジメチルアンモニウムフルオライド、ジパルミチルジメチルアンモニウムアイオダイド、ジパルミチルモノメチルアンモニウムクロライド、ジミリスチルアンモニウムクロライド、ジミリスチルジメチルアンモニウムクロライド、ジミリスチルジエチルアンモニウムクロライド、ジミリスチルジブチルアンモニウムクロライド、ジミリスチルジメチルアンモニウムブロマイド、ジミリスチルジメチルアンモニウムフルオライド、ジミリスチルジメチルアンモニウムアイオダイド、ジミリスチルモノメチルアンモニウムクロライド、ジデシルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジエチルアンモニウムクロライド、ジデシルジブチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムブロマイド、ジデシルジメチルアンモニウムフルオライド、ジデシルジメチルアンモニウムアイオダイド、ジデシルモノメチルアンモニウムクロライド、ジココイルアンモニウムクロライド、ジココイルジメチルアンモニウムクロライド、ジココイルジエチルアンモニウムクロライド、ジココイルジブチルアンモニウムクロライド、ジココイルジメチルアンモニウムブロマイド、ジココイルジメチルアンモニウムフルオライド、ジココイルジメチルアンモニウムアイオダイド、ジココイルモノメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
【0043】
また、一般式(4)で表される化合物の具体例としては、トリオレイルアンモニウムクロライド、トリオレイルモノメチルアンモニウムクロライド、トリオレイルモノエチルアンモニウムクロライド、トリオレイルモノブチルアンモニウムクロライド、トリオレイルモノメチルアンモニウムブロマイド、トリオレイルモノメチルアンモニウムフルオライド、トリオレイルモノメチルアンモニウムアイオダイド、トリステアリルアンモニウムクロライド、トリステアリルモノメチルアンモニウムクロライド、トリステアリルモノエチルアンモニウムクロライド、トリステアリルモノブチルアンモニウムクロライド、トリステアリルモノメチルアンモニウムブロマイド、トリステアリルモノメチルアンモニウムフルオライド、トリステアリルモノメチルアンモニウムアイオダイド、トリラウリルアンモニウムクロライド、トリラウリルモノメチルアンモニウムクロライド、トリラウリルモノエチルアンモニウムクロライド、トリラウリルモノブチルアンモニウムクロライド、トリラウリルモノメチルアンモニウムブロマイド、トリラウリルモノメチルアンモニウムフルオライド、トリラウリルモノメチルアンモニウムアイオダイド、トリパルミチルアンモニウムクロライド、トリパルミチルモノメチルアンモニウムクロライド、トリパルミチルモノエチルアンモニウムクロライド、トリパルミチルモノブチルアンモニウムクロライド、トリパルミチルモノメチルアンモニウムブロマイド、トリパルミチルモノメチルアンモニウムフルオライド、トリパルミチルモノメチルアンモニウムアイオダイド、トリミリスチルアンモニウムクロライド、トリミリスチルモノメチルアンモニウムクロライド、トリミリスチルモノエチルアンモニウムクロライド、トリミリスチルモノブチルアンモニウムクロライド、トリミリスチルモノメチルアンモニウムブロマイド、トリミリスチルモノメチルアンモニウムフルオライド、トリミリスチルモノメチルアンモニウムアイオダイド、トリデシルアンモニウムクロライド、トリデシルモノメチルアンモニウムクロライド、トリデシルモノエチルアンモニウムクロライド、トリデシルモノブチルアンモニウムクロライド、トリデシルモノメチルアンモニウムブロマイド、トリデシルモノメチルアンモニウムフルオライド、トリデシルモノメチルアンモニウムアイオダイド等が挙げられる。
【0044】
塗布液には、インク吸収性を阻害しない限り、インク受容層に用いられる接着剤を適宜含有してもよい。また、必要に応じて、前述のカチオン性化合物や、保存性向上剤、消泡剤、帯電防止剤、防腐剤、分散剤、増粘剤等の各種助剤を添加することもできる。
【0045】
[プレス塗工]
塗布液のプレス塗工は、インク受容層12に塗布された塗布液が湿潤状態又は半乾燥状態にあるうちに、基材10を、光沢ロール21とプレスロール22との間を通過させてプレス塗工することにより行われる。
【0046】
光沢ロール21の表面温度は、乾燥条件等の操業性、インク受容層12への密着性、光沢層30表面の光沢性から、40〜130℃の範囲が好ましく、70〜120℃の範囲がより好ましい。光沢ロール21の表面温度が、40℃未満の場合は、インクジェット記録体の表面強度が低下するおそれや、インク受容層12の接着剤が軟化し難く、インク受容層12への密着性が悪化したりする。130℃を超える場合は、インク受容層12の接着剤の成膜が進みすぎるためインク吸収性が低下したり、塗布液が沸騰し、光沢面が悪化するおそれがある。
光沢ロール21は、耐熱性が高く、優れた鏡面性が得られることから、金属ロールであることが好ましい。また、表面の平均線中心粗さが10μm以下であることが好ましい。
【0047】
プレスロール22の材質は特に制限されないが、光沢ロールによって加熱されることから、耐熱樹脂が好ましい。
プレスロール22によるプレスは、光沢ロール21とプレスロール22の間の線圧が、好ましくは50〜3500N/cm、より好ましくは200〜3000N/cmになるように行うことが好ましい。光沢ロール21とプレスロール22の間の線圧が、50N/cm未満の場合は、線圧が均一になり難く光沢性が低下したり、光沢層30のインク受容層12に対する密着性が低下し、表面がひび割れたりするおそれがあり、3500N/cmを超える場合は、過度の圧力でプレスするためにインク受容層12および光沢層30の空隙を破壊するためにインク吸収性が低下するおそれがある。
【0048】
光沢層30の塗布量は、乾燥質量として、0.01〜3g/mが好ましく、0.03〜2g/mがより好ましく、0.05〜1g/mが更に好ましい。塗布量が0.01g/m未満の場合は、十分な光沢層を形成することが困難なために、光沢度が低くなりやすい。また、塗布量が3g/mを超えると、光沢度は得やすいが、インク吸収性や記録濃度が低下しやすい。
また、光沢層30に微粒子としてコロイダルシリカやアルミナ等の一次粒子を用いる場合にはインク吸収速度が低くなりやすいため、光沢層30の厚みが0.02〜4μmであることが好ましく、0.05〜2μmであることがより好ましい。また、インク吸収容量とインク吸収速度との兼ね合いから、光沢層30の厚みがインク受容層12全体の厚みの1/10以下であることが好ましく、1/20以下であることがより好ましい。
【0049】
なお、プレス塗工は、図1に示す方法で行わなくてもよい。すなわち、光沢ロール21とプレスロール22とを左右に並べて配置し、光沢ロール21とプレスロール22との接線の上部に塗布液溜まりを形成して、縦方向に基材10を通過させたが、例えば、光沢ロールとプレスロールを上下に並べて配置し、インク受容層上に塗布液を供給して、横方向に積層体を通過させてもよい。
【0050】
[拭き上げ工程]
光沢ロール21は、操業前に研磨材と油状物質とを含むバフ剤を用いて研磨することがあり、その場合には、研磨後にバフ剤を拭き上げることが多い。また、一定の期間操業した後、再スタートするまでの間にも光沢ロール21の表面を拭き上げることがある。
本発明では、光沢ロール21の拭き上げに特定の拭き上げ剤が用いられる。塗布液中の離型剤が一般式(1)で表される化合物である場合には、拭き上げ剤としても一般式(1)で表される化合物を用い、塗布液中の離型剤が一般式(2)〜(4)のいずれかで表される化合物である場合には、拭き上げ剤としても一般式(2)〜(4)のいずれかで表される化合物を用いる。離型剤と拭き上げ剤とは必ずしも同一の化合物でなくてもよいが、カスの発生をより抑えることができることから、離型剤と拭き上げ剤とが同一の化合物であることが好ましい。
拭き上げ方法としては特に制限されず、例えば、光沢ロール21の表面を布拭きする方法などが挙げられる。
【0051】
本発明のインクジェット記録体によれば、長期間操業してもカスが発生しにくく、光沢ロール21にカスが付着することを抑制できる。これは、離型剤と拭き上げ剤とが反応しにくく、カスとなる物質を形成しにくいためと推測される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明のインクジェット記録体の製造方法の一実施形態で使用される製造装置を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0053】
1 インクジェット記録体、10 基材、11 支持体、12 インク受容層、21 光沢ロール、22 プレスロール、30 光沢層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上にインク受容層を設けてなる基材の前記インク受容層上に、微粒子および離型剤を含有する塗布液を供給し、前記基材を、光沢ロールとプレスロールとの間を、前記塗布液が光沢ロールに接触するように通過させてプレス塗工する光沢層形成工程と、
前記光沢層形成工程に先立ち、光沢ロールの表面を拭き上げ剤であらかじめ拭き上げる拭き上げ工程とを有し、
前記拭き上げ剤と、前記塗布液中の離型剤とが共に下記一般式(1)で表される化合物である(ただし、拭き上げ剤と離型剤とが同一の化合物である必要はない。)ことを特徴とするインクジェット記録体の製造方法。
【化1】

(式中、Rは炭素数8〜28のアルキル基又はアルケニル基を表す。R〜RはH又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ同じであってもよいし異なっていてもよい。)
【請求項2】
支持体上にインク受容層を設けてなる基材の前記インク受容層上に、微粒子および離型剤を含有する塗布液を供給し、前記基材を、光沢ロールとプレスロールとの間を、前記塗布液が光沢ロールに接触するように通過させてプレス塗工する光沢層形成工程と、
前記光沢層形成工程に先立ち、光沢ロールの表面を拭き上げ剤であらかじめ拭き上げる拭き上げ工程とを有し、
前記拭き上げ剤と、前記塗布液中の離型剤とが共に下記一般式(2)〜(4)のいずれかで表される化合物である(ただし、拭き上げ剤と離型剤とが同一の化合物である必要はない。)ことを特徴とするインクジェット記録体の製造方法。
【化2】

(式中、Rは炭素数8〜28のアルキル基又はアルケニル基、R、R、RはH又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ同じであってもよいし異なっていてもよい。また、XはF、Cl、Br、Iのいずれかを表す。)
【化3】

(式中、R10,R11は炭素数8〜28のアルキル基又はアルケニル基を表し、それぞれ同じであってもよいし異なっていてもよく、R12,R13はH又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ同じであってもよいし異なっていてもよい。また、XはF、Cl、Br、Iのいずれかを表す。)
【化4】

(式中、R14,R15,R16は炭素数8〜28のアルキル基又はアルケニル基を表し、それぞれ同じであってもよいし異なっていてもよく、R17はH又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ同じであってもよいし異なっていてもよい。また、XはF、Cl、Br、Iのいずれかを表す。)
【請求項3】
前記光沢層が湿潤状態又は半乾燥状態にあるうちに、該光沢層を光沢ロールから剥離する請求項1又は2に記載のインクジェット記録体の製造方法。
【請求項4】
支持体が非透気性支持体又は低透気性支持体である請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録体の製造方法。
【請求項5】
離型剤と拭き上げ剤とが同一の化合物である請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録体の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2006−205560(P2006−205560A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−21166(P2005−21166)
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】