説明

インクジェット記録材料及びその製造方法

【課題】写像性やプリンター走行性に優れ、バック層の密着及び高湿度下のブロッキング性が良好なインクジェット記録材料及びその製造方法の提供。
【解決手段】原紙と前記原紙の両面を被覆するポリオレフィン樹脂層とを有する支持体と、前記支持体の一方の面に形成されたインク受容層と、前記支持体の前記インク受容層の形成された面とは反対の面に形成されたポリウレタン樹脂を含むバック層と、を有し、前記バック層が、前記支持体の前記反対の面側のポリオレフィン樹脂層が形成された後3時間以内に形成されたものであるインクジェット記録材料及びその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録材料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報技術産業の急速な発展に伴い、インクジェット記録方法、感熱記録方法、感圧記録方法、感光記録方法、転写型記録方法等種々の情報処理システムが開発され、その情報処理システムに適した記録方法および記録装置も開発され、各々実用化されている。
これらの記録方法の中でも、インクジェット記録方法は、多種の被記録材料に記録可能なこと、ハード(装置)が比較的安価でコンパクトであること、静粛性に優れること等の利点から、オフィスは勿論、いわゆるホームユースにおいても広く用いられてきている。
【0003】
また、近年のインクジェットプリンターの高解像度化に伴い、いわゆる写真ライクな高画質記録物を得ることも可能になってきており、このようなハード(装置)の進歩に伴って、インクジェット記録用の記録シートも各種開発されてきている。
このインクジェット記録用の記録媒体に要求される特性としては、一般的に、(1)速乾性があること(インクの吸収速度が大きいこと)、(2)インクドットの径が適正で均一であること(ニジミのないこと)、(3)粒状性が良好であること、(4)ドットの真円性が高いこと、(5)色濃度が高いこと、(6)彩度が高いこと(くすみのないこと)、(7)印画部の耐水性や耐光性、耐オゾン性が良好なこと、(8)記録シートの白色度が高いこと、(9)記録シートの保存性が良好なこと(長期保存でも黄変着色を起こさないこと、長期保存で画像がにじまないこと(経時ニジミが良好な事))、(10)変形しにくく寸法安定性が良好であること(カールが十分小さいこと)、(11)ハード走行性が良好であること等が挙げられる。
更に、いわゆる写真ライクな高画質記録物を得る目的で用いられるフォト光沢紙の用途においては、上記諸特性に加えて、光沢性、印画部の光沢性、表面平滑性、銀塩写真に類似した印画紙状の風合い等も要求される。
【0004】
上記した諸特性の向上を目的として、近年ではインク受容層に多孔質構造を有するインクジェット記録材料が開発され実用化されている。このようなインクジェット記録材料は多孔質構造を有することで、インク受容性(速乾性)に優れ高い光沢を有するものとなる。
【0005】
インクジェット記録材料は、インク受容層と、該インク受容層の形成された面とは反対の面と、が接触した状態で保存されることから、様々な障害が生ずることがある。
特定のバック層をインク受容層の形成された面とは反対の面に設けることにより、ロール形態で保存されるインクジェット記録材料に係るインク受容層とインク受容層の形成された面とは反対の面との密着を阻止し、インクジェット記録材料の搬送性を向上する発明が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、ポリウレタン樹脂を含むバック層をインク受容層の形成された面とは反対の面に設けることにより、インク受容層に搬送傷が付くのを防ぎ、インクジェット記録材料の搬送精度を向上する発明が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2003−80834号公報
【特許文献2】特開2005−205765号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、写像性やプリンター走行性に優れ、バック層の密着及び高湿度下のブロッキング性が良好なインクジェット記録材料及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、本発明は、
<1> 原紙と前記原紙の両面を被覆するポリオレフィン樹脂層とを有する支持体と、前記支持体の一方の面に形成されたインク受容層と、前記支持体の前記インク受容層の形成された面とは反対の面に形成されたポリウレタン樹脂を含むバック層と、を有するインクジェット記録材料であって、前記バック層が、前記支持体の前記反対の面側のポリオレフィン樹脂層が形成された後3時間以内に形成されたものであることを特徴とするインクジェット記録材料である。
【0008】
<2> 原紙と前記原紙の両面を被覆するポリオレフィン樹脂層とを有する支持体と、前記支持体の一方の面に形成されたインク受容層と、前記支持体の前記インク受容層の形成された面とは反対の面に形成されたポリウレタン樹脂を含むバック層と、を有するインクジェット記録材料の製造方法であって、前記支持体の前記反対の面側のポリオレフィン樹脂層が形成された後3時間以内に前記バック層を形成することを特徴とするインクジェット記録材料の製造方法である。
【0009】
<3> 前記支持体の前記反対の面側のポリオレフィン樹脂層と前記バック層とを連続して形成することを特徴とする<2>に記載のインクジェット記録材料の製造方法である。
【0010】
<4> 前記インク受容層が、前記支持体側から順に、無機微粒子とポリビニルアルコールとチオエーテル系化合物とを含有するインク吸収層と、コロイダルシリカを含有する層と、を有するものであることを特徴とする<2>又は<3>に記載のインクジェット記録材料の製造方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、写像性やプリンター走行性に優れ、バック層の密着及び高湿度下のブロッキング性が良好なインクジェット記録材料及びその製造方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明のインクジェット記録材料及びその製造方法について詳細に説明する。
本発明のインクジェット記録材料は、原紙と前記原紙の両面を被覆するポリオレフィン樹脂層とを有する支持体と、前記支持体の一方の面(以下、第一面と称することがある。)に形成されたインク受容層と、前記支持体の前記インク受容層の形成された面とは反対の面(以下、第二面と称することがある。)に形成されたポリウレタン樹脂を含むバック層と、を有し、前記バック層が、前記支持体の前記反対の面側のポリオレフィン樹脂層が形成された後3時間以内に形成されたものであることを特徴とするものである。
また、本発明のインクジェット記録材料の製造方法は、前記支持体の前記反対の面側のポリオレフィン樹脂層が形成された後3時間以内に前記バック層を形成することを特徴とするものである。
【0013】
インクジェット記録材料を上記構成とすることにより、写像性やプリンター走行性に優れ、バック層の密着及び高湿度下のブロッキング性が良好なインクジェット記録材料が得られる。また、本発明のインクジェット記録材料の製造方法によれば、写像性やプリンター走行性に優れ、バック層の密着及び高湿度下のブロッキング性が良好な本発明のインクジェット記録材料を得ることができる。
以下、本発明のインクジェット記録材料及びその製造方法を構成する各構成要素について説明する。
【0014】
<支持体>
本発明に用いられる支持体は、原紙と前記原紙の両面を被覆するポリオレフィン樹脂層とを有する。支持体に用いられる原紙の坪量は、190〜230g/m2の範囲が好ましい。これによってインクジェット記録材料の質感が増す。原紙を構成するパルプとしては天然パルプ、再生パルプ、合成パルプ等が1種類もしくは2種類以上混合して用いられる。好ましくは、写真印画紙用樹脂被覆紙支持体に用いられているような平滑な原紙が用いられる。原紙には一般的な抄紙で用いられているサイズ剤、紙力増強剤、填料、帯電防止剤、アンカー剤、染料等の添加剤が適宜配合される。原紙の抄造中にまたは抄造後に、カレンダー等にて圧力を印加して圧縮するなどの表面平滑処理を施すのが好ましい。
【0015】
本発明のインクジェット記録材料は、支持体の第一面にインク受容層が設けられるが、第一面側のポリオレフィン樹脂層は白色顔料と蛍光増白剤を含有してもよい。これによって、第一面側の白色度が向上する。第一面側のポリオレフィン樹脂層表面の白色度は、95%以上が好ましく、より好ましくは97%以上である。白色度はISO−2470に基づいて、例えば村上色彩科学(株)製のWMS−1で測定することができる。上記のような白色度になるように白色顔料及び蛍光増白剤の種類や添加量を調整するのが好ましい。
【0016】
本発明のポリオレフィン樹脂層に含有する蛍光増白剤は、公知のものを用いることができる。例えば、チアジアゾール系、オキサジアゾール系、ナフタルイミド系、イミダゾール系、ベンズイミダゾール系、チアゾール系、オキサゾール系、トリアゾール系、ジアミノスチルベン系、ビス(ベンズオキサゾリル)ナフタレン系、ビス(オキサゾリル)チオフェン系、ピラゾリン系、ピレン系、ビス(ベンズオキサゾリル)スチルベン系、ジメチルスチルベン系、イミダゾロン系等が挙げられる。蛍光増白剤は、ポリオレフィン樹脂と共に高温で溶融押し出しされるため高温に耐え得ることができ、かつ経時でブリード現象の起こり難いものが好ましく、かかる蛍光増白剤としてビス(ベンズオキサゾリル)ナフタレン系、ビス(ベンズオキサゾリル)スチルベン系の蛍光増白剤が好ましく用いられる。
以下に蛍光増白剤の具体例を示す。
【0017】
例えば、4,4’−ビス(6−フェニル−ベンズオキサゾール−2−イル)スチルベン、4,4’−ビス(5,6−ジメチル−ベンズオキサゾール−2−イル)スチルベン、4,4’−ビス(ベンズオキサゾール−2−イル)スチルベン、4,4’−ビス(6−メチル−ベンズオキサゾール−2−イル)スチルベン、4,4’−ビス(6−エチル−ベンズオキサゾール−2−イル)スチルベン、1,4’−ビス(6−エチル−ベンズオキサゾール−2−イル)ナフタレン、4,4’−ビス(6−t−ブチル−ベンズオキサゾール−2−イル)スチルベン、1,4’−ビス(5,6−ジエチル−ベンズオキサゾール−2−イル)ナフタレン、4,4’−ビス(6−メトキシ−ベンズオキサゾール−2−イル)スチルベン、4,4’−ビス(5,6−ジエチル−ベンズオキサゾール−2−イル)スチルベン、1,4’−ビス(ベンズオキサゾール−2−イル)ナフタレン、1,4’−ビス(6−メチル−ベンズオキサゾール−2−イル)ナフタレン、1,4’−ビス(5,6−ジメチル−ベンズオキサゾール−2−イル)ナフタレン及び1,4’−ビス(6−フェニル−ベンズオキサゾール−2−イル)ナフタレン等が挙げられる。
【0018】
ポリオレフィン樹脂層における蛍光増白剤の含有量は、ポリオレフィン樹脂に対して0.02〜0.10質量%が好ましく、0.04〜0.08質量%がさらに好ましい。
【0019】
本発明において、ポリオレフィン樹脂層に含有する白色顔料としては、白色度及び分散性等の観点から酸化チタンが好ましい。酸化チタンはルチル型でもアナターゼ型でも良く、これらを単独もしくは混合して用いることができる。
【0020】
本発明に用いられる白色顔料の平均粒子径は、白色度及び光沢の観点から0.1〜0.5μmが好ましい。ポリオレフィン樹脂層における白色顔料の含有量は、ポリオレフィン樹脂に対して5〜20質量%程度が好ましい。
【0021】
本発明に用いられる支持体におけるポリオレフィン樹脂層には、蛍光増白剤や白色顔料の他にコバルトブルー、群青、セシリアンブルー、フタロシアニンブルーなどのブルーの顔料や染料、コバルトバイオレット、ファストバイオレット、マンガン紫などのマゼンタの顔料や染料、紫外線吸収剤、酸化防止剤などの各種の添加剤を適宜組み合わせることが好ましい。
【0022】
ポリオレフィン樹脂層に用いられるポリオレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテンなどのオレフィンのホモポリマーまたはエチレン−プロピレン共重合体などの2種以上のオレフィンからなる共重合体及びこれらの混合物であり、各種の密度、溶融粘度指数(メルトインデックス)のものを単独にあるいはそれらを混合して使用できる。これらの中でも、特にポリエチレン樹脂が好ましく用いられる。
【0023】
本発明において、第一面側のポリオレフィン樹脂層には、密度が0.930g/m3以下の低密度ポリエチレン樹脂を全樹脂の90質量%以上、更には100質量%用いるのが好ましい。そして、第二面側のポリオレフィン樹脂層には、密度が0.950g/m3以上の高密度ポリエチレン樹脂を全樹脂の30質量%以上、更には50質量%以上用いるのが好ましく、上限は95質量%程度である。
【0024】
本発明に用いられる支持体において、第一面側のポリオレフィン樹脂層の固形分塗布量は、20g/m2〜45g/m2が好ましく、より好ましくは25g/m2〜40g/m2である。第二面側のポリオレフィン樹脂層の固形分塗布量は、20g/m2〜40g/m2が好ましく、より好ましくは25g/m2〜35g/m2である。
【0025】
本発明のインクジェット記録材料において、支持体の第一面には下引き層を設けることが好ましい。この下引き層は、インク受容層が塗設される前に、予めポリオレフィン樹脂層表面に塗布乾燥されたものであり、皮膜形成可能な水溶性ポリマーやポリマーラテックス等を主体に含有する。好ましくは、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性セルロース等の水溶性ポリマーであり、特に好ましくはゼラチンである。更に下引き層には、界面活性剤や硬膜剤を含有するのが好ましい。
【0026】
<バック層>
本発明のインクジェット記録材料において、支持体の第二面にはポリウレタン樹脂を含むバック層が形成される。バック層に含まれるポリウレタン樹脂は、バック層の全固形分に対して50質量%以上含有することが好ましく、より好ましくは70質量%以上であり、更に80質量%以上含有することが好ましい。ポリウレタン樹脂を含むバック層を設けることによって、プリンター内での搬送精度が向上する。
【0027】
本発明において、バック層の塗布量は、ポリウレタン樹脂の固形分として0.8g/m2〜1.5g/m2が好ましく、1g/m2〜1.3g/m2の範囲がより好ましい。バック層の塗布量が0.8g/m2より少ないとプリンター搬送精度が得られず、また1.5g/m2より多いと低湿環境や高湿環境でのカールバランスが維持できなくなる場合がある。
【0028】
バック層に含有するポリウレタン樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が35〜100℃の範囲にあることが好ましく、更に40〜80℃の範囲が好ましい。Tgが35℃より低くなると、プリンター搬送性が低下し、100℃を越えるとプリンター搬送精度が低下するため好ましくない。ここで、プリンター搬送性とは、シート状のインクジェット記録材料が重送(2枚重なって搬送される)したり、あるいは全く搬送されないという不都合が生じないことであり、プリンター搬送精度とはヘッドスピードに対応して正確に搬送されることであり、搬送精度が悪くなるとバンディング(横筋)が発生したり、インクジェット記録材料に対する印字終了位置がずれるという不都合が生じる。
【0029】
本発明に用いられるポリウレタン樹脂としては、例えば、大日本インキ化学工業(株)社のボンディックシリーズのような水分散型ポリウレタン樹脂、あるいはハイドランシリーズのような水性ポリウレタン樹脂(ウレタンアイオノマー)が挙げられ、これらを1種または2種以上混合して用いることができる。
【0030】
本発明のバック層は、更に酸化防止剤、界面活性剤、pH調節剤、帯電防止剤、硬化剤、着色剤、防腐剤等の添加剤を含有することができるが、プリンター連続印字の際のプリンター搬送傷の観点から、顔料粒子を含有しないことが好ましい。
【0031】
<支持体の製造及びバック層の形成>
本発明に係るバック層は、支持体の第二面側のポリオレフィン樹脂層が形成された後3時間以内に形成されたものであることを要する。該ポリオレフィン樹脂層の形成後3時間以内でバック層を形成すると、密着性が良好でブロッキング等搬送上の問題が生じず、好ましい。
バック層は、支持体の第二面側のポリオレフィン樹脂層が形成された後1時間以内に形成されたものであることが好ましく、後述するように支持体の第二面側のポリオレフィン樹脂層とバック層とが連続して形成されたものであることが更に好ましい。
【0032】
第一面に下引き層を有し、第二面にバック層を有する支持体(以下、加工済み支持体と称することがある。)の製造工程について、図面を参照しながら説明する。なお、同様の機能を有する部材には、全図面を通じて同じ符合を付与し、その説明を省略することがある。
【0033】
図1は、支持体製造並びにバック層及び下引き層の形成を連続して(1パスで)行う製造ラインを示す説明図である。製造ライン100の上流側の端部には、ロール状に巻き取られた原紙10が装填される送出装置12が設置されており、送出装置12は原紙10を下流側に連続的に送り出す。製造ライン100には、原紙10の搬送経路に沿って上流側から印刷手段14、活性化手段16、ラミネート手段18、活性化手段20、ラミネート手段22、活性化手段24、バック層形成手段26、活性化手段28、下引き層形成手段30及び乾燥手段32が配置されており、これら各手段により処理された原紙10は加工済み支持体34として製造ライン100の下流側に設置される巻き取り手段36により巻き取られる。
【0034】
印刷手段14は、原紙10の第二面側に必要に応じて商品名や会社名等を表す意匠文字(いわゆる「ロゴ」)を印刷する。印刷手段14によりロゴ等が印刷された後、活性化手段16により原紙10の第二面側が活性化される。活性化手段としては、コロナ放電処理、火炎処理などの活性化処理を実施可能な装置が用いられる。次いで、ポリオレフィン樹脂を加熱溶融した状態で流延する、いわゆる押出コーティング法を実施可能なラミネート手段18により原紙10の第二面側がポリオレフィン樹脂で被覆されてポリオレフィン樹脂層が形成される。
【0035】
原紙10の第一面側は、活性化手段20により活性化された後、ラミネート手段22によりポリオレフィン樹脂で被覆されてポリオレフィン樹脂層が形成される。上記工程を経て、本発明に係る支持体(樹脂被覆紙)が製造される。
【0036】
原紙10(支持体)の第二面側のポリオレフィン樹脂層の表面は、活性化手段24により活性化された後、バック層形成手段26によりバック層形成用塗布液が塗布され、バック層が形成される。バック層形成用塗布液には、ポリウレタン樹脂、溶剤及び必要に応じて添加される各種添加剤が含まれる。バック層形成手段26としては、例えば、カーテンコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、エアーナイフコーター、ブレードコーター、スプレーコーター等が挙げられる。
【0037】
原紙10(支持体)の第一面側のポリオレフィン樹脂層の表面は、活性化手段28により活性化された後、下引き層形成手段30により下引き層形成用塗布液が塗布され、下引き層が形成される。下引き層形成用塗布液には、水溶性ポリマーやポリマーラテックス、溶剤及び必要に応じて添加される各種添加剤が含まれる。下引き層形成手段30としては、例えば、カーテンコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、エアーナイフコーター、ブレードコーター、スプレーコーター等が挙げられる。
【0038】
上記工程を経た原紙10は、乾燥手段32により乾燥処理され、加工済み支持体34として巻き取り手段36によりロール状に巻き取られる。製造ライン100を経て製造された加工済み支持体は、第二面側のポリオレフィン樹脂層とバック層とが連続して形成されたものである。
【0039】
図2は、支持体製造とバック層及び下引き層の形成とを分割して(2パスで)行う製造ラインを示す説明図であり、図2(A)は支持体製造までを行う製造ラインを示し、図2(B)はバック層及び下引き層を形成する製造ラインを示す。
【0040】
製造ライン200では、送出装置12から送り出された原紙10は、印刷手段14、活性化手段16、ラミネート手段18、活性化手段20及びラミネート手段22を経て支持体38(樹脂被覆紙)として巻き取り手段36により巻き取られる。
【0041】
製造ライン200で製造された支持体38は、製造ライン300において送出装置12から送り出され、活性化手段24、バック層形成手段26、活性化手段28、下引き層形成手段30及び乾燥手段32を経て加工済み支持体34として巻き取り手段36により巻き取られる。
【0042】
製造ライン200及び製造ライン300を経て製造される加工済み支持体においては、ポリオレフィン樹脂をラミネートして支持体を得た後、一旦該支持体が巻き取られ、その後該支持体がバック層を形成するための処理に供される。そのため、第二面側のポリオレフィン樹脂層が形成された後バック層が形成されるまでの間隔が、製造ライン100を経て製造される加工済み支持体の場合よりも長くなりうる。本発明においては、支持体製造並びにバック層及び下引き層の形成を連続して(1パスで)行うことが好ましい。
【0043】
<インク受容層>
本発明のインクジェット記録材料は、支持体の第一面側にインク受容層を有する。インク受容層の層構成は特に限定されるものではないが、支持体側から順に、無機微粒子とポリビニルアルコールとチオエーテル系化合物とを含有するインク吸収層と、コロイダルシリカを含有する層と、を有するものであることが好ましい。上記層構成とすることにより、インクジェット記録材料に印画された画像の耐オゾン性を向上することができる。
【0044】
−インク吸収層−
本発明に係るインク吸収層は無機微粒子とポリビニルアルコールとチオエーテル系化合物とを含有することが好ましい。無機微粒子の具体例としては、例えば、気相法シリカ、コロイダルシリカ、二酸化チタン、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、ゼオライト、カオリナイト、ハロイサイト、雲母、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、擬ベーマイト、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、アルミナ、珪酸アルミナ、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化ランタン、酸化イットリウム等が挙げられる。これらの中でも、良好な多孔質構造を形成する観点より、気相法シリカが好ましい。
【0045】
インク吸収層の全固形分に対して気相法シリカを50質量%以上含有することが好ましく、より好ましくは60質量%以上含有することであり、更に65〜95質量%の範囲で含有することが好ましい。
【0046】
気相法シリカは、火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは、日本アエロジル(株)からアエロジル、トクヤマ(株)からQSタイプとして市販されており、入手することができる。
【0047】
本発明に用いられる気相法シリカは、平均一次粒径が30nm以下で、平均二次粒径が400nm以下まで分散されたものが好ましい。より高いインク吸収性と光沢性を得るためには、平均一次粒径が3nm〜20nmの気相法シリカを平均二次粒径が30nm〜300nmに分散したものが好ましい。
【0048】
気相法シリカの平均一次粒径は、一次粒径が判別できる程度まで分散された粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子の粒径として求めた平均粒径のことである。平均二次粒径は希薄分散液をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定して求めた値のことである。
【0049】
本発明において、インク吸収層の固形分塗布量は20g/m2〜40g/m2の範囲が好ましく、22g/m2〜30g/m2の範囲がより好ましい。
【0050】
本発明において、インク吸収層にはチオエーテル系化合物を含有することが好ましい。これによって印字部の保存性(空気中のオゾンや窒素酸化物等の微量ガスによる退色)が改良される。本発明に用いられるチオエーテル系化合物としては、下記一般式(A)で表される化合物が好ましく用いられる。
【0051】
−(S−R)m−S−R・・・・ 一般式(A)
【0052】
一般式(A)において、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、芳香族基を表し、RとRは同一でも異なってもよく、結合して環を形成してもよい。またRとRの少なくとも一方は、アミノ基、アミド基、アンモニウム基、ヒドロキシ基、スルホ基、カルボキシ基、アミノカルボニル基またはアミノスルホニル基等の親水基で置換されたアルキル基、又は芳香族基である。
は置換されてもよく、場合によっては酸素原子を有するアルキレン基を表す。mは0〜10の正数を表し、mが1以上の場合Rに結合する少なくとも1つの硫黄原子はスルホニル基であってもよい。
【0053】
かかるチオエーテル系化合物としては、3−チア−1,5−ヘプタンジオール、4−チア−1,7−ペンタンジオール、3,6−ジチア−1,8−オクタンジオール、3,6,9−トリチア−1,11−ウンデカンジオール、3,9−ジチア−6−オキサ−1,11−ウンデカンジオール、メチレンビス(チオグリコール酸)、ビス[2−(2−ヒドロキシエチルチオ)エチル]スルホン等が挙げられる。
【0054】
チオエーテル系化合物の含有量は、インク吸収層の全固形分に対して0.5〜50質量%の範囲が好ましく、より好ましくは1〜40質量%の範囲である。
【0055】
インク吸収層には、透明性が高く、インクの高い浸透性が得られるという観点から親水性バインダーを選択して用いることが好ましい。親水性バインダーの使用にあたっては、親水性バインダーがインクの初期の浸透時に膨潤して空隙を塞いでしまわないことが重要であり、この観点から比較的室温付近で膨潤性の低い親水性バインダーが好ましく用いられる。好ましい親水性バインダーは完全または部分ケン化のポリビニルアルコールまたはカチオン変性ポリビニルアルコールである。
【0056】
カチオン変性ポリビニルアルコールとは、例えば特開昭61−10483号に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基をポリビニルアルコールの主鎖あるいは側鎖中に有するポリビニルアルコールである。
【0057】
ポリビニルアルコールの中でも、ケン化度が80%以上の部分ケン化または完全ケン化したものが好ましい。平均重合度500〜5000のポリビニルアルコールが好ましい。インク吸収層の塗布性やインク吸収性の観点から、平均重合度3000〜4000のポリビニルアルコールが好ましい。
【0058】
インク吸収層における気相法シリカに対する親水性バインダーの比率は、10〜30質量%の範囲が好ましく、12〜25質量%の範囲がより好ましい。
【0059】
インク吸収層には、親水性バインダーと共に硬膜剤として含ホウ素化合物を含有するのが好ましい。含ホウ素化合物としてはホウ酸、ホウ酸塩、及びホウ砂等があり、これらを1種または2種以上組み合わせることもできる。ホウ酸塩としては、オルトホウ酸塩、メタホウ酸塩、二ホウ酸塩、四ホウ酸塩、五ホウ酸塩等が挙げられる。
【0060】
インク吸収層には、更に染料インクの耐水性を向上させるためのインク定着剤として水溶性アルミニウム化合物を用いることが好ましく、かかる化合物として塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が好ましく用いられる。この化合物は、主成分が下記の式1、2又は3で示され、例えば[Al(OH)153+、[Al(OH)204+、[Al13(OH)345+、[Al21(OH)603+、等のような塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含んでいる水溶性のポリ水酸化アルミニウムである。
【0061】
[Al(OH)Cl6−n ・・式1
[Al(OH)AlCl ・・式2
Al(OH)Cl(3n−m) 0<m<3n ・・式3
【0062】
これらのものは多木化学(株)よりポリ塩化アルミニウム(PAC)の名で水処理剤として、浅田化学(株)よりポリ水酸化アルミニウム(Paho)の名で、また、(株)理研グリーンよりピュラケムWTの名で、また他のメーカーからも同様の目的を持って市販されており、各種グレードの物が容易に入手できる。本発明ではこれらの市販品をそのままでも使用できる。
【0063】
上記したインク定着剤の使用量は、気相法シリカに対して2質量%〜6質量%の範囲が好ましく、3質量%〜5質量%の範囲がより好ましい。
【0064】
本発明において、インク吸収層には、硬膜剤やインク定着剤の他に、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、粘度安定剤、pH調節剤などの公知の各種添加剤を添加することもできる。
【0065】
本発明のインクジェット記録材料は、インク吸収層の上にコロイダルシリカを含有する層(以下、コロイダルシリカ含有層と称することがある。)を有することが好ましい。コロイダルシリカ含有層に含有されるコロイダルシリカの量は、該層の全固形分に対して70質量%以上含有することが好ましく、より好ましくは80質量%以上含有することであり、更に90質量%以上含有することである。
【0066】
コロイダルシリカ含有層は、最上層として設けるのが好ましく、これによって光沢度が一段向上し、さらさらした心地よい手触り感が得られる。特に、該層におけるコロイダルシリカの固形分塗布量を0.3g/m2以下というような薄層にすることによって、高いインク吸収性を維持しながら優れた光沢性と手触り感が得られ、更に、顔料インクで印字したときの高濃度画像部のくすみ(光沢低下)が改良される。コロイダルシリカの固形分塗布量の下限は0.05g/m2であり、コロイダルシリカの固形分塗布量が0.05g/m以上であれば、十分な光沢と手触り感が得られる。コロイダルシリカの固形分塗布量として、より好ましくは0.1〜0.25g/m2である。
【0067】
本発明に用いられるコロイダルシリカは、ケイ酸ナトリウムの酸などによる複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾルを加熱熟成して得られる二酸化ケイ素をコロイド状に水中に分散させたものである。本発明に用いられるコロイダルシリカは、白紙部光沢及びインク吸収性の観点から、平均一次粒径が20nm〜80nmのものが好ましく、更に20〜60nmのものが好ましい。
【0068】
コロイダルシリカは、扶桑化学(株)社からPL−10A、PL−3L、PL−1等として、日産化学工業(株)社からスノーテックスST−20、ST−30、ST−40、ST−C、ST−N、ST−20L、ST−O、ST−OL、ST−S、ST−XS、ST−XL、ST−YL、ST−ZL、ST−OZL、ST−UP、ST−OUP、ST−PS−MO等として市販されており、入手することができる。
【0069】
コロイダルシリカ含有層には、他に、親水性バインダー、界面活性剤、pH調節剤等を含有することができる。親水性バインダーについては、インク吸収性の観点から、その含有量はコロイダルシリカに対して5質量%以下であることが好ましく、より好ましくは、添加しないことである。
【実施例】
【0070】
以下、本発明のインクジェット記録材料を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0071】
[実施例1]
<ポリオレフィン樹脂被覆紙(支持体)の作成>
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と広葉樹晒サルファイトパルプ(LBSP)の2:1混合物をカナディアンフリーネスで320mlになるまで叩解し、パルプスラリーを調整した。これにサイズ剤としてアルキルケテンダイマーを対パルプ0.6質量%、紙力強度剤としてポリアクリルアミドを対パルプ1.2質量%、カチオン化デンプンを対パルプ1.2質量%、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂を対パルプ0.6質量%添加し、水で希釈して1%スラリーとした。このスラリーを長網抄紙機で坪量200g/mになるように抄造し、乾燥調湿してポリオレフィン樹脂被覆紙の原紙とした。抄造した原紙の第一面に、低密度ポリエチレン樹脂100質量%の樹脂に対して、10質量%のアナターゼ型チタンを均一に分散したポリエチレン樹脂組成物を315℃で溶融し、200m/分で厚さ35μmになるように押出し被覆し、微粗面加工されたクーリングロールを用いて押出し被覆した。もう一方の面(第二面)には高密度ポリエチレン樹脂70質量部と低密度ポリエチレン樹脂30質量部のブレンド樹脂組成物を同様に315℃で溶融し、厚さ35μmになるように押出し被覆し、粗面加工されたクーリングロールを用いて押出し被覆した。
【0072】
上記ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体の一方の面(支持体の第二面;バック層塗布面側)に、第二面側のポリエチレン樹脂層が形成されてから1時間後に高周波数コロナ放電処理を施した後、下記組成のバック層をポリウレタン樹脂の固形分塗布量が1.0g/mになるように塗布乾燥し、支持体のもう一方の面(第一面;インク吸収層塗布面側)に、高周波数コロナ放電処理を施した後、下記組成の下引き層をゼラチン付着量が50mg/mとなるように塗布乾燥して加工済み支持体を得た。該加工済み支持体の製造は、図2に示す製造ラインで行った。
【0073】
<バック層>
ポリエステル系ポリウレタン樹脂(ガラス転移温度 60℃、製品名 大日本インキ化学工業(株)製 HW−350) 100質量部
ノニオン系界面活性剤(HLB13.6) 0.3質量部
【0074】
<下引き層>
石灰処理ゼラチン 100質量部
スルフォコハク酸−2−エチルヘキシルエステル塩 2質量部
クロム明ばん 10質量部
【0075】
<インクジェット用記録材料>
上記支持体の第一面(下引き層側)に、下記組成のインク吸収層を固形分塗布量で25g/m、下記組成のコロイダルシリカ含有層をコロイダルシリカの固形分塗布量で0.2g/mになるように塗布、乾燥してインク受容層を形成し、インクジェット記録材料を作製した。
【0076】
<インク吸収層>
気相法シリカ(製品名 日本アエロジル(株)製 アエロジル300SF)
100質量部
(平均一次粒径7nm)
ジメチルジアリルアンモニウムクロライド 3質量部
ポリビニルアルコール 23質量部
(鹸化度88%、平均重合度3500)
チオエーテル系化合物 3質量部
(3,6−ジチアー1,8−オクタンジオール)
塩基性ポリ水酸化アルミニウム 3質量部
ホウ酸 4質量部
固形分濃度が10質量%になるように水で調整した。
【0077】
<コロイダルシリカ含有層>
コロイダルシリカ(製品名 扶桑化学(株)製 PL−3L) 100質量部
(平均一次粒径32nm)
固形分濃度が0.5質量%になるように水で調整した。
【0078】
[実施例2]
上記実施例1のポリオレフィン樹脂被覆紙の作成において、両面にポリオレフィン樹脂被覆後、支持体を巻き取らずに、オンラインにて(即ち、図1に示す製造ラインにより)実施例1と同様にバック層と、下引き層とを塗布乾燥し、加工済み支持体を作成した。それ以外は全て実施例1と同様にして、実施例2のインクジェット記録材料を作製した。実施例2においては、第二面側のポリエチレン樹脂層が形成されてから連続して、バック層を形成した。
【0079】
[比較例1]
上記実施例1のポリオレフィン樹脂被覆紙の作成において、両面にポリオレフィン樹脂被覆して15時間後に実施例1と同様にバック層と、下引き層とを塗布乾燥し、加工済み支持体を作成した。それ以外は全て実施例1と同様にして、比較例1のインクジェット記録材料を作製した。
【0080】
[実施例3]
上記実施例1のインクジェット記録材料の作製において、インク吸収層にチオエーテル系化合物(3,6−ジチアー1,8−オクタンジオール)が含有されていないことを除いて、それ以外は全て実施例1と同様にして、実施例3のインクジェット記録材料を作製した。
【0081】
[実施例4]
上記実施例1のインクジェット記録材料の作製において、コロイダルシリカ含有層が設けられていないことを除いて、それ以外は全て実施例1と同様にして、実施例4のインクジェット記録材料を作製した。
【0082】
[比較例2]
上記実施例1のポリオレフィン樹脂被覆紙の作成において、下記組成のバック層を、ポリアクリル樹脂の固形分塗布量が1.0g/mになるように塗布乾燥し、加工済み支持体を作成した。それ以外は全て実施例1と同様にして、比較例2のインクジェット記録材料を作製した。
【0083】
<バック層>
ポリアクリル樹脂(ガラス転移温度 120℃) 100質量部
【0084】
(写像性)
各インクジェット記録材料について、そのインク受容層表面をスガ試験機(株)製 タッチパネル式写像性測定機 ICM−1T機を用いて、JIS−H−8686に従って、60度の反射光で、光学くし幅2.0mmにて写像性値(C値%)を測定した。得られた結果を表1に示す。
【0085】
(耐オゾン性の評価)
各インクジェット記録材料について、セイコーエプソン(株)製のインクジェット用プリンターPM−A950を用いて、上記インクジェット記録材料上に画像を印画し、オゾン濃度10ppmの環境下で2日間保存した。この保管前と保管後の画像変化を目視により評価した。評価は、画像変化が認められないものを○とし、やや画像が変化したものを△とし、画像変化の程度が大きいものを×として行なった。得られた結果を表1に示す。
【0086】
(走行性)
各インクジェット記録材料をA4サイズに裁断し、その20枚をセイコーエプソン(株)製のインクジェット用プリンターPM−A950の給紙トレイに積載し、10℃20%RHの環境下において、該プリンターで順次給紙させた。このような操作を10セット行い(通紙枚数200枚)、給紙不良発生率を下記基準に基づき評価した。得られた結果を表1に示す。
【0087】
◎ : 給紙不良発生率が 0%であった。
○ : 給紙不良発生率が 1%未満であった。
△ : 給紙不良発生率が 1%以上5%未満であった。
× : 給紙不良発生率が 5%以上であった。
【0088】
(密着性)
各インクジェット記録材料のバック層の密着性を評価するために、バック層の表面に、セロテープ(ニチバン(株)製;CT405AP−24)を貼り付けた後、90度の角度で剥離し、目視にて以下の基準で評価した。得られた結果を表1に示す。
【0089】
○ : 剥離がまったくなし。
△ : 一部に剥離があるが、実用的に問題ないレベル。
× : 剥離あり。
【0090】
(ブロッキング性)
各インクジェット記録材料を10cm角の大きさに断裁し、23℃、80%RH雰囲気下で1日調湿後、表面(インク受容層面)と裏面(バック層面)が向かい合うように5枚重ね合わせて2kgの荷重をのせ、40℃、80%RHの雰囲気下で1週間保存した後のブロッキングの平均レベルを以下の基準で判定した。得られた結果を表1に示す。
【0091】
◎ : 少し力を加えると剥がれる。(剥離音はしない)
○ : 剥がすときに、音はするが、膜剥がれあるいは膜破壊は起こらない。
△ : 剥がすと、一部に膜剥がれあるいは膜破壊の部分がある。
× : 完全にくっつき、剥がすと膜剥がれあるいは膜破壊が起こる。
【0092】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】支持体製造並びにバック層及び下引き層の形成を連続して行う製造ラインを示す説明図である。
【図2】支持体製造とバック層及び下引き層の形成とを分割して行う製造ラインを示す説明図である。
【符号の説明】
【0094】
10 原紙
12 送出装置
14 印刷手段
16、20、24、28 活性化手段
18、22 ラミネート手段
26 バック層形成手段
30 下引き層形成手段
32 乾燥手段
34 加工済み支持体
36 手段
38 支持体(樹脂被覆紙)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原紙と前記原紙の両面を被覆するポリオレフィン樹脂層とを有する支持体と、前記支持体の一方の面に形成されたインク受容層と、前記支持体の前記インク受容層の形成された面とは反対の面に形成されたポリウレタン樹脂を含むバック層と、を有するインクジェット記録材料であって、
前記バック層が、前記支持体の前記反対の面側のポリオレフィン樹脂層が形成された後3時間以内に形成されたものであることを特徴とするインクジェット記録材料。
【請求項2】
原紙と前記原紙の両面を被覆するポリオレフィン樹脂層とを有する支持体と、前記支持体の一方の面に形成されたインク受容層と、前記支持体の前記インク受容層の形成された面とは反対の面に形成されたポリウレタン樹脂を含むバック層と、を有するインクジェット記録材料の製造方法であって、
前記支持体の前記反対の面側のポリオレフィン樹脂層が形成された後3時間以内に前記バック層を形成することを特徴とするインクジェット記録材料の製造方法。
【請求項3】
前記支持体の前記反対の面側のポリオレフィン樹脂層と前記バック層とを連続して形成することを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録材料の製造方法。
【請求項4】
前記インク受容層が、前記支持体側から順に、無機微粒子とポリビニルアルコールとチオエーテル系化合物とを含有するインク吸収層と、コロイダルシリカを含有する層と、を有するものであることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のインクジェット記録材料の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−221689(P2008−221689A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−64800(P2007−64800)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】