説明

インクジェット記録用添加物及び記録媒体

【目的】 インクジェット記録に適した記録媒体用添加物を提供すること。
【構成】 下記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステルを50ないし100モル%、上記の(メタ)アクリル酸エステル以外で共重合可能なノニオン性ビニル単量体を0ないし50モル%の割合で重合した重合物を有効成分とし、カチオン性を有するインクジェット記録用添加物。
一般式(1)
【化1】

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はインクジェット記録方式に用いる記録媒体に内添または塗工される添加物、その製造方法およびそれを用いた記録媒体に関する。詳しくは高解像度で発色性、耐水性、耐候性、耐光性に優れた記録画像を形成する記録材料を提供する新規添加物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、インクジェット記録用記録媒体としては、インクの吸収性を上げて画像濃度を高めるために、(1)パルプを主成分とした一般の紙を低サイズ度となるように抄紙する、(2)特開昭56−148585号にあるように、一般の上質紙等のインク吸収性の低い基紙上に、多孔質の無機顔料を用いてインク吸収層を設ける等の方法や、また記録画像の耐水性を上げるために、(3)特公昭62−11678号にあるように、耐水化剤として塩基性ラテックスポリマーを含有させる等の方法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとしている課題】ところで、記録の多色化あるいは高速化に伴い、インクジェット記録用記録媒体に対しても、より高度の特性が要求されている。即ち、インクジェット記録方式において高品位且つ高解像度のカラー画像を得るために、記録媒体は次のような諸性質を満たすことが必要とされている。
(1)インクの発色性に優れ、光学濃度、彩度の高い画像が得られること、(2)インクが滲みすぎず、シャープな画像が得られること、(3)付着したインク滴を速やかに吸収できること、(4)記録画像の保存性に優れること(耐水性、耐光性等に優れること)である。しかし、これらの性能を満たすには多量のインクを急速に吸収、定着させることが必要となるため、顔料を塗工しなおかつその塗工層を厚くしなければならない。その結果として、筆記性に乏しい、紙粉が発生しやすい、製造上の負担が大きい、電子写真記録用紙として使用できない、コスト高となる等の問題があるが、これらの問題を解決したインクジェット記録用記録媒体はいまだ見い出されていない。そこで、本発明は上記の要求性能をいずれも満足し、同時に以下の要求性能をも満たすインクジェット記録用記録媒体を提供することを目的とする。
(1)記録装置との適合性に優れること(紙粉やカールを発生しないこと)、(2)被記録材としての一般的性能(強度、印刷適性、筆記性など)をもっていること、(3)他の記録方式にも使用できること(電子写真記録、ドット記録等)。
【0004】
【問題点を解決する為の手段】本発明者らは、水溶性染料を含有した水性インクを用いて記録画像を形成するインクジェット記録用記録媒体において、該記録媒体が下記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステルを50ないし100モル%、上記の(メタ)アクリル酸エステル以外で共重合可能なノニオン性ビニル単量体を0ないし50モル%の割合で重合した重合物を有効成分とするインクジェット記録用添加物が上記記録媒体を製造するために支持体に内添又は塗工するに適することを見出した。
【0005】すなわち、本発明は下記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステルを50ないし100モル%、上記の(メタ)アクリル酸エステル以外で共重合可能なノニオン性ビニル単量体を0ないし50モル%の割合で重合した重合物を有効成分とし、カチオン性を有するインクジェット記録用添加物である。
【化1】一般式(1)


但し、Rは水素又はメチル基、R1 はC1 〜C2 のアルキル基、即ちメチル又はエチル基を示す。
【0006】本発明で使用する重合物を支持体に内添又は塗工して使用する際、インクを均一に定着させるために、カチオン性分散物であることが好ましい。本発明の重合物にカチオン性を付与する方法としては、単に式(1)で示される(メタ)アクリル酸エステル50ないし100モル%と上記の(メタ)アクリル酸エステル以外で共重合可能なノニオン性ビニル単量体を0ないし50モル%の割合で重合した重合物と、第四級アンモニウム塩を含有する界面活性剤、式(2)で示される第三級アミン基を有する単量体及び/又は式(3)で示される第四級アンモニウム塩を有する単量体を50ないし100モル%重合または共重合してなる重合物、および式(2)で示される第三級アミン基を有する単量体及び/又は式(3)で示される第四級アンモニウム塩を有する単量体を重合または共重合してなる重合物からなる群から選ばれる1種以上を混合する方法の他、■ 第四級アンモニウム塩を有するカチオン性界面活性剤の存在下で乳化重合する方法、■ 式(2)で表される第三級アミノ基を有する単量体及び/又は式(3)で表される第四級アンモニウム塩を有する単量体を50ないし100モル%重合または共重合してなる重合物の存在下で式(1)で示される(メタ)アクリル酸エステル50ないし100モル%と上記の(メタ)アクリル酸エステル以外で共重合可能なノニオン性ビニル単量体を0ないし50モル%の割合で重合する方法、■ 式(2)で表される第三級アミノ基を有する単量体及び/又は式(3)で表される第四級アンモニウム塩を有する単量体を重合または共重合してなる重合物の存在下で式(1)で示される(メタ)アクリル酸エステル50ないし100モル%と上記の(メタ)アクリル酸エステル以外で共重合可能なノニオン性ビニル単量体を0ないし50モル%の割合で重合する方法、更に■ 式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステルを50ないし100モル%と上記の(メタ)アクリル酸エステル以外で共重合可能なノニオン性ビニル単量体を0ないし50モル%と式(2)で示される第三級アミノ基を有する単量体及び/又は式(3)で示される第四級アンモニウム塩を有する単量体を10モル%未満の割合で重合または共重合する方法、が挙げられる。なお、ここで、ノニオン性ビニル単量体0モル%とは式(1)で示される(メタ)アクリル酸エステル100モル%の重合を意味する。
【0007】一般式(2)
【化2】


【0008】一般式(3)
【化3】


但し、Rは水素又はメチル基、R2 はC1 〜C4 のアルキレン基もしくはCH2 CH(OH)CH2 を示す。R3 、R4 、R5 は水素あるいはC1 〜C4 の脂肪族アルキル基あるいはベンジル基を示す。YはO又はNHを示す。X- は陰イオンを表し、ハロゲンイオン(塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等)、硫酸イオン、アルキル硫酸イオン(メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン)、アルキルあるいはアリールスルホン酸イオン、酢酸イオンである。本発明で使用する重合物は顔料と混合または配合せずに単独で支持体に塗工することが好ましい。顔料を併用することにより、インクジェット記録の耐水性や耐光性、電子写真記録適性などが低下するからである。本発明で使用する重合物は式(1)に示す(メタ)アクリル酸エステルの重合体(100%)あるいは共重合体であり、共重合体である場合は上記(メタ)アクリル酸エステルを50モル%以上含有することが好ましく、70モル%以上含有することが更に好ましい。これはエマルション重合物中に於ける上記(メタ)アクリル酸エステルの割合が50モル%よりも低いと記録画像の濃度が低下するためであり、望ましくは(メタ)アクリル酸エステルの割合が70モル%以上であるならば記録画像の濃度の向上が期待できる。式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルが挙げられる。上記(メタ)アクリル酸エステル以外の共重合可能なノニオン性ビニル単量体としては、例えばエチレン、ブタジエン、スチレン、アルファメチルスチレン、酢酸ビニル、炭素数3以上の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、、ビニルピリジン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の一種以上を分散物の安定性を損なわない範囲で共重合できる。本発明で用いる第四級アンモニウム塩を含有するカチオン性界面活性剤としては、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。式(2)で表される第三級アミノ基を有する単量体としては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。式(3)で表される第四級アンモニウム塩を有する単量体としては、(メタ)アクロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、(メタ)アクロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクロイルオキシエチルジエチルベンジルアンモニウムクロライド、(メタ)アクロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクロイルオキシプロピルトリエチルアンモニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリルアミドプロピルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリルアミドプロピルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリルアミドプロピルジエチルベンジルアンモニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。
【0008】本発明において被記録材の支持体となるのはインクジェット記録に適するものであればよく、代表的には紙が挙げられるが、その他に布や、例えばオーバーヘッドプロジェクションに使用されるポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムのような各種樹脂フィルムなどを使用することもできる。本発明で使用する重合物は、支持体に対して塗布量又は含浸量として固形分で0.05〜2.5g/m2 、好ましくは0.1〜1.5g/m2 で十分な画像濃度と耐水効果が発現される。塗布方法としては従来法をそのまま用いることが可能である。即ち、サイズプレス、ゲートロールコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、スプレー等が利用できる。
【0009】
【作用】本発明の重合物がインクジェット記録において記録画像の発色性、耐水性に優れた効果を発揮する理由は明らかでないが、概ね次のように考えられる。本発明の炭素鎖の短い(メタ)アクリル酸エステルが重合してできた分散物は、有機填料として作用し水溶性インク中の着色剤をよく吸着するとともに、親水性を有するため水溶性インクの吸収性に優れる。また現在着色剤としてインクジェット記録の水溶性インクに用いられている着色剤の多くはアニオン性染料であるので、本発明の重合物をカチオン性にすることにより、染料を重合物内部に取り込んで結合、固着させることができる。これらの理由により、本発明の重合物がインクジェット記録において記録画像の発色性、耐水性に優れるものと考えられる。
【0010】
【実施例】次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
【0011】重合物の合成[合成例1]温度計、環流冷却器および撹拌棒を備えた四ツ口フラスコに、メチルメタクリレート64g、スチレン16.6g、カチオン性界面活性剤カチオンAB(日本油脂製)4g、イオン交換水200gを入れ、窒素ガスを吹き込みながら撹拌し60℃まで加熱した後、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ヒドロクロライド0.2gを加え、85℃で3時間保持する。得られた重合物は平均粒子径340nmのエマルションであった。(重合物A)
【0012】[合成例2]温度計、環流冷却器および撹拌棒を備えた四ツ口フラスコに、スチレン8.3g、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド25g、酢酸9.6g、カチオン性界面活性剤カチオンBB(日本油脂製)4g、イオン交換水300gを入れ、窒素ガスを吹き込みながら撹拌し60℃まで加熱した後、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ヒドロクロライド0.1gを加え、85℃で3時間保持する。50℃まで冷却した後、メチルメタクリレート64gを入れ、窒素ガスを吹き込みながら撹拌し60℃まで加熱した後、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ヒドロクロライド0.1gを加え、85℃で3時間保持する。得られた重合物は平均粒子径970nmのエマルションであった。(重合物B)
【0013】[合成例3]温度計、環流冷却器および撹拌棒を備えた四ツ口フラスコに、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド33g、カチオン性界面活性剤カチオンBB(日本油脂製)4g、イオン交換水300gを入れ、窒素ガスを吹き込みながら撹拌し60℃まで加熱した後、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ヒドロクロライド0.1gを加え、85℃で3時間保持する。50℃まで冷却した後、メチルメタクリレート64gを入れ、窒素ガスを吹き込みながら撹拌し60℃まで加熱した後、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ヒドロクロライド0.1gを加え、85℃で3時間保持する。得られた重合物は平均粒子径350nmのエマルションであった。(重合物C)
【0014】[合成例4]温度計、環流冷却器および撹拌棒を備えた四ツ口フラスコに、エチルメタクリレート14.6g、アクリルアミドプロピルジメチルベンジルアンモニウムクロライド45.3g、カチオン性界面活性剤カチオンBB(日本油脂製)4g、イオン交換水300gを入れ、窒素ガスを吹き込みながら撹拌し60℃まで加熱した後、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ヒドロクロライド0.1gを加え、85℃で3時間保持する。50℃まで冷却した後、、エチルメタクリレート58.4gを入れ、窒素ガスを吹き込みながら撹拌し60℃まで加熱した後、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ヒドロクロライド0.1gを加え、85℃で3時間保持する。得られた重合物は平均粒子径670nmのエマルションであった。(重合物D)
【0015】[合成例5]温度計、環流冷却器および撹拌棒を備えた四ツ口フラスコに、アクリルアミドプロピルジメチルベンジルアンモニウムクロライド45.4g、イオン交換水300gを入れ、窒素ガスを吹き込みながら撹拌し60℃まで加熱した後、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ヒドロクロライド0.1gを加え、85℃で3時間保持する。(重合物E)
【0016】こうして得られた重合物Eと合成例3で得られた重合物C固形重量比1:1の割合で混合して平均粒子径950nmのエマルションを得た。(重合物F)
【0017】[合成例6]重合物Eと重合物Cを固形重量比1:3の割合で混合して平均粒子径550nmのエマルションを得た。(重合物G)
【0018】[合成例7]温度計、環流冷却器および撹拌棒を備えた四ツ口フラスコに、アクリルアミドプロピルジメチルベンジルアンモニウムクロライド20.4g、メチルメタクリレート64g、カチオン性界面活性剤カチオンBB(日本油脂製)4g、イオン交換水300gを入れ、窒素ガスを吹き込みながら撹拌し60℃まで加熱した後、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ヒドロクロライド0.1gを加え、85℃で3時間保持する。得られた重合物は平均粒子径770nmのエマルションであった。(重合物H)
【0019】[比較合成例1]温度計、環流冷却器および撹拌棒を備えた四ツ口フラスコに、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド110gを入れイオン交換水110gに溶解し、エチレンジアミン0.14g、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.23g、ポリオキシエチレンノニルエーテルの1%水溶液0.3gを混合した。窒素ガスを吹き込みながら撹拌し、1%過硫酸カリウム5.3g、2%テトラメチルエチレンジアミン8.24gを加えて40℃で4時間反応させ、さらに60℃で2時間反応させた。反応終了後アセトンを加えて重合物を分離洗浄し減圧乾燥して粉末状重合物を得た。これに水を加えて水溶液とした。(重合物I)
【0020】[比較合成例2]温度計、環流冷却器および撹拌棒を備えた四ツ口フラスコに、メタアクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド30g、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート10g、2−ヒドロキシプロピルアクリレート60g,イソプロピルアルコール50g及び水50gを入れ、撹拌しながら窒素ガスを1時間吹き込んだ。その後アゾビスイソブチロニトリル1gを加え、60℃まで加熱する。窒素ガスを通しながら撹拌して、20時間60℃に保ち重合を行い、重合物を得た。(重合物J)
【0021】[比較合成例3]温度計、環流冷却器および撹拌棒を備えた四ツ口フラスコに、アクリル酸11.5g、メチルメタクリレート64g、スチレン16.6g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.5g、イオン交換水300gを入れ、窒素ガスを吹き込みながら撹拌し70℃まで加熱した後、過硫酸アンモニウム0.1gを加え、85℃で3時間保持する。得られた重合物は平均粒子径140nmのエマルションであった。(重合物K)
【0022】[実施例1]坪量100g/m2 、厚さ100μm、ステキヒトサイズ度5秒の原紙に、重合物Aの固形分濃度5重量%水溶液をバーコーターを用いて乾燥固形分1g/m2 となるように塗工し、本発明の記録媒体を作製した。上記の記録媒体のインクジェット記録適性は、BJC−600J(キヤノン製)にて印刷し評価した。評価項目として各色のベタ印刷部について以下の項目について行った。
■初期発色濃度:マクベス反射濃度計RD920にて測定した。
■耐水性:印刷後の試料を25℃のイオン交換水中に15分間浸せきした後、濃度をマクベス反射濃度計RD920にて測定した。
■耐光性:印刷後の試料をフェードメーターに投入し、60℃で40時間照射した後、濃度をマクベス反射濃度計RD920にて測定した。
結果を表1に示したが、合成例1で得たエマルション重合物を塗布することにより初期発色濃度が向上し、且つ耐水性、耐光性が改良された。
【0023】[実施例2〜7]重合物Aの代わりに重合物B、C、D、F、G、Hを用いた他は、実施例1と同様にして本発明の記録媒体を作製した。インクジェット適性の評価は実施例1と全く同様にして行った。結果を表1に示したが、重合物B、C、D、F、G、Hを塗布することにより初期発色濃度が向上し、且つ耐水性、耐光性が改良された。
【0024】[比較例1]実施例1〜7に用いた原紙(坪量100g/m2 、厚さ100μm、ステキヒトサイズ度5秒)をそのまま使用して比較例とした。結果を表1に示す。
【0025】
【表1】


【0026】[比較例2〜4]重合物Aの代わりに重合物I、J、Kを用いた他は、実施例1と同様にして記録媒体を作製し評価した。結果を表1に示す。
【0027】
【発明の効果】本発明の被記録材は、インクジェット記録した場合に発色性、耐水性、耐光性に優れるなどの特性を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 下記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステルを50ないし100モル%、上記の(メタ)アクリル酸エステル以外で共重合可能なノニオン性ビニル単量体を0ないし50モル%の割合で重合した重合物を有効成分とし、カチオン性を有するインクジェット記録用添加物。
一般式(1)
【化1】


但し、Rは水素又はメチル基、R1 はメチル又はエチル基を示す。
【請求項2】 式(2)で示される第三級アミノ基を有する単量体及び/又は式(3)で表される第四級アンモニウム塩を有する単量体を10モル%未満の割合で重合又は共重合させてなる請求項1記載のインクジェット記録用添加物。
一般式(2)
【化2】


一般式(3)
【化3】


但し、Rは水素又はメチル基、R2 はC1 〜C4 のアルキレン基もしくはCH2 CH(OH)CH2 を示す。R3 、R4 、R5 は水素あるいはC1 〜C4 の脂肪族アルキル基あるいはベンジル基を示す。YはO又はNHを示す。X- は陰イオンを表し、ハロゲンイオン、硫酸イオン、アルキル硫酸イオン、アルキルあるいはアリールスルホン酸イオン、酢酸イオンである。
【請求項3】 第四級アンモニウム塩を含有する界面活性剤、式(2)で表される第三級アミノ基を有する単量体及び/又は式(3)で示される第四級アンモニウム塩を有する単量体を50以上100モル%未満で重合または共重合してなる重合物、および式(2)で表される第三級アミノ基を有する単量体及び/又は式(3)で示される第四級アンモニウム塩を有する単量体を重合または共重合してなる重合物からなる群から選ばれる1種以上を含む請求項1又は2記載のインクジェット記録用添加物。
【請求項4】 第四級アンモニウム塩を含有する界面活性剤、式(2)で表される第三級アミノ基を有する単量体及び/又は式(3)で示される第四級アンモニウム塩を有する単量体を50以上100モル%未満で重合または共重合してなる重合物、および式(2)で表される第三級アミノ基を有する単量体及び/又は式(3)で表される第四級アンモニウム塩を有する単量体を重合または共重合してなる重合物からなる群から選ばれる1種以上の存在下で、式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステルを50ないし100モル%、上記の(メタ)アクリル酸エステル以外で共重合可能なノニオン性ビニル単量体を0ないし50モル%の割合で重合するカチオン性インクジェット記録用添加物の製造方法。
【請求項5】 請求項1ないし3のいずれかに記載のインクジェット記録用添加物を支持体に内添又は塗工してなる記録媒体。
【請求項6】 顔料を混合または配合せず、請求項1ないし3のいずれかに記載のインクジェット記録用添加物のみを支持体に塗工してなるインクジェット記録用記録媒体。
【請求項7】 第四級アンモニウム塩を含有する界面活性剤、式(2)で表される第三級アミノ基を有する単量体及び/又は式(3)で示される第四級アンモニウム塩を有する単量体を50以上100モル%未満で重合または共重合してなる重合物、および式(2)で表される第三級アミノ基を有する単量体及び/又は式(3)で表される第四級アンモニウム塩を有する単量体を重合または共重合してなる重合物からなる群から選ばれる1種以上の存在下で、式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステルを50ないし100モル%、上記の(メタ)アクリル酸エステル以外で共重合可能なノニオン性ビニル単量体を0ないし50モル%の割合で重合してカチオン性インクジェット記録用添加物を得る工程と、該インクジェット記録用添加物を支持体に内添又は塗工する工程とからなるインクジェット記録用記録媒体の製造方法。