説明

インクジェット記録装置、インクジェット記録方法、プログラムおよび記憶媒体

【課題】マルチパス記録のインクジェット記録の記録走査の回数を低減し、高速記録を行う場合においても優れた記録品質を得る。
【解決手段】画像データを間引くため、デューティ比の異なる複数のマスクパターンを格納するメモリ手段と、複数の記録素子列のうち、記録ヘッドの走査方向に関して前方側の記録素子列による記録のデューティ比と後方側の記録素子列による記録のデューティ比とを異ならせるように、複数のマスクパターンを用いて記録データを生成する生成手段と、を備え、生成手段は、記録条件に応じて記録データの生成に用いるマスクパターンを選択するインクジェット記録装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、往復記録を行うインクジェット記録装置、インクジェット記録方法、プログラムおよび記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
複写装置、ファクシミリ、ワードプロセッサやコンピュータ等の情報処理装置、さらには各種の通信機器が急速に普及している。それらの機器の一つとして、インクジェット方式による記録ヘッドを用いてデジタル画像記録を行う記録装置がある。
【0003】
このようなインクジェット方式による記録装置においては、記録速度向上のため、複数の記録素子を配列した記録素子列として、インクを吐出する吐出口(ノズルとも称する)および液路を複数集積した記録ヘッドを用いる。また、カラー化に対応する場合には、複数種類のインクの各色に対応させて複数列の記録素子列を備えた記録ヘッドを用いている。
【0004】
しかし、文字のみ記録するモノクロプリンタの記録ヘッドとは異なり、フルカラー画像を記録する場合は、発色性、階調性、一様性などの諸条件を満たすことが要求される。従って高品質なフルカラー画像の記録を行うには、記録ヘッドに対して様々な要素を考慮した制御が必要となる。
【0005】
特に一様性に関しては、記録ヘッドの記録素子列の製造工程中に生じるわずかなノズル単位のばらつきが問題となる。すなわち、ノズル単位にばらつきのある記録ヘッドを用いてフルカラー画像の記録を行ったときに、各ノズルから吐出される複数種類の各インクの吐出量や吐出方向の向きが微妙に異なる。その結果、記録されたフルカラー画像には、画像品質を低下させる原因となる濃度のムラが生じる。そこで、記録媒体の同一領域を異なるノズルにより記録ができるよう複数回の記録走査を行い、それぞれの記録走査において少量づつ記録を行うことにより濃度ムラの発生を低減できるマルチパス記録方法が考案されている。
【0006】
マルチパス記録においては、1回の記録走査で記録する画像領域内の記録画素を、記録ヘッドの記録走査毎に異なるノズルを用いて記録する。これにより、各ノズル固有のばらつきに起因する濃度差による記録画像への影響が半減されるので、記録用紙上に記録されたフルカラー画像においては、複数種類の各インクの濃度ムラがかなり緩和される。
【0007】
ところが、上記のようなマルチパス記録で、かつ、往復記録を行った場合、往路記録走査と復路記録走査とでインクの打ち込み順序が異なるため優先色が異なり、結果的に人間の視覚特性に対し異なる色を表現してしまうことがある。
【0008】
例えば、複数種類のインクを使用する4色ヘッドの各色を右からブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の順に配置した記録ヘッドを用いる。そして4色ヘッドの配列方向(左右方向)に記録ヘッドを往復移動させて記録走査を行う場合を考える。記録ヘッドの往路記録走査では左方向に移動させてそれぞれのノズル列からインクを吐出して画像を記録し、記録ヘッドの復路記録走査では右方向に移動させてそれぞれのノズル列からインクを吐出して記録する。
【0009】
この時、記録用紙の面上への各色の記録順序は4色ヘッドの配列順序に従うので、例えばある一定領域にグリーン(シアン+イエロー)信号が入力されていた場合には各画素にシアン、イエローの順にインクが吸収される。従って、記録ヘッドの往路記録走査(左方向への移動)時には、先に吸収されたシアンが優先色となり、シアンの色味の強いグリーンドットが記録用紙上に形成される。
【0010】
一方、記録ヘッドの復路記録走査(右方向への移動)時には、インクの吸収順序も逆になる。つまり、この復路記録走査時には、イエロー、シアンの順にインクが吸収され、イエローの色味の強いグリーンドットが記録用紙上に形成される。以上のように往復記録走査を繰り返すことにより、往路記録走査による記録、復路記録走査による記録に応じて、シアンの色味の強いグリーンドットとイエローの色味が強いグリーンドットとが形成される領域が生じる。
【0011】
もし、それぞれの記録走査毎に記録ヘッド幅単位の紙送りが行われた場合、シアンの色味の強いグリーンの領域とイエローの色味が強いグリーンの領域が記録ヘッド幅に対応して交互に繰り返される。そのため、一様であるはずのグリーンの記録画像に記録走査毎に色ムラが発生してしまい、著しい画像劣化が生ずることになる。
【0012】
さらに、昨今では更なる高速記録、高画質記録が要求されており、記録ヘッドによる記録走査を複数回に分割して記録する上述のマルチパス記録方法では、記録に関する記録時間は倍以上となってしまい、記録装置としては好ましくない。
【0013】
特許文献1では、往路記録走査と復路記録走査とでインクを重ねる順番が同じになるよう、記録ヘッドの各インクに対応する記録素子列を主走査方向に対称になるようにそれぞれ配置したインクジェット記録装置が提案されている。
【0014】
この様に記録素子列を配列した記録ヘッドを用いて往復記録走査をすることにより、記録画像にインクの打ち込み順に起因する色ムラの発生が低減する。さらに、マルチパス記録における記録ヘッドの記録走査数を増やすことなく高速記録を達成することが可能である。また、特許文献2では、記録ヘッドの記録素子列をBk、C、M、Y、M、Cのように配置し、往路記録と復路記録とでMとCの記録に用いる記録素子を切り替えることを特徴とするインクジェット記録装置が開示されている。
【特許文献1】特開2000−079681号公報
【特許文献2】特開2001−171151号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、上記従来例では以下のような解決すべき課題があった。
【0016】
すなわち、記録ヘッドの各インクに対応した記録素子列を主走査方向に対称になるようにそれぞれ配置することで、マルチパス記録における記録ヘッドの記録走査回数を減らして高速記録を行った。その結果、記録ヘッドの1回の記録走査における総記録のデューティ比は倍増し、インクの記録媒体への定着が不十分な状態で更に大量のインク滴が着弾してしまう問題が生じた。
【0017】
このように、比較的短時間の間に大量にインク滴が記録媒体へ打ち込まれるような場合には、記録用紙上に形成された画像において、隣接したインクドットの境界部が混合して色の異なる境界部分で混色してしまう(にじみが発生する)恐れがあった。さらに、文字や罫線をにじませてしまうブリーディングの発生により画像の品質を著しく低下させてしまうという問題があった。
【0018】
そこで、本発明は、色ムラを発生させることなくマルチパス記録の記録走査回数を低減し、高速記録を行う場合においても、混色やブリーディングの少ない優れた記録品質を得るインクジェット記録を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置は、
同じインクについて複数の記録素子が第1の方向に配列された記録素子列を複数備えた記録ヘッドを記録媒体に対して前記第1の方向と交差する方向に相対的に走査させながら画像データにしたがってインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置であって、
前記画像データを間引くため、デューティ比の異なる複数のマスクパターンを格納するメモリ手段と、
同じインクを吐出する前記複数の記録素子列のうち、前記記録ヘッドの走査方向に関して前方側の記録素子列による記録のデューティ比と後方側の記録素子列による記録のデューティ比とを異ならせるように、前記複数のマスクパターンを用いて記録データを生成する生成手段と、を備え、
前記生成手段は、記録条件に応じて前記記録データの生成に用いるマスクパターンを、前記複数のマスクパターンから選択する、ことを特徴とする。
【0020】
上記目的を達成するために、本発明の他の実施形態に係るインクジェット記録装置は、
複数色のインクに対応して複数の記録素子を第1の方向に配列した記録素子列を複数備えた記録ヘッドを記録媒体に対して前記第1の方向と交差する方向に相対的に走査させながら画像データにしたがってインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置であって、
前記画像データを間引くため、デューティ比の異なる複数のマスクパターンを格納するメモリ手段と、
前記複数の記録素子列のうち、少なくとも一組の記録素子列に関して、前記記録ヘッドの走査方向に関し前方側の記録素子列による記録のデューティ比と後方側の記録素子列による記録のデューティ比とを異ならせるように、前記複数のマスクパターンを用いて記録データを生成する生成手段と、を備え、
前記生成手段は、記録条件に応じて前記記録データの生成に用いるマスクパターンを、前記複数のマスクパターンから選択する、ことを特徴とする。
【0021】
上記目的を達成するために、本発明の他の実施形態に係るインクジェット記録方法は、
同じインクについて複数の記録素子が第1の方向に配列された記録素子列を複数備えた記録ヘッドを記録媒体に対して前記第1の方向と交差する方向に相対的に走査させながら画像データにしたがってインクを吐出して記録を行うインクジェット記録方法であって、
同じインクを吐出する前記複数の記録素子列のうち、前記記録ヘッドの走査方向に関して前方側の記録素子列による記録のデューティ比と後方側の記録素子列による記録のデューティ比とを異ならせるように、複数のマスクパターンを用いて記録データを生成する生成工程と、を備え、
前記生成工程は、記録条件に応じて前記記録データの生成に用いるマスクパターンを、デューティ比の異なる前記複数のマスクパターンから選択する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、色ムラを発生させることなくマルチパス記録の記録走査の回数を低減し、高速記録を行う場合においても、混色やブリーディングの少ない優れた記録品質を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1および図2は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置において、液体の吐出原理を利用して複数種類のインクを吐出して記録動作を行う機構部分の構成例及び動作を説明するための図である。図1において、401は第1記録ヘッドであり、4色(Bk、C、M、Y)のカラーインクがそれぞれ封入されたインクタンクと、それぞれに対応した4つの記録ヘッドが一体化されたマルチ記録ヘッド構造として構成されている。
【0024】
402は第2記録ヘッドであり、第1記録ヘッド401と同様のマルチ記録ヘッド構造として構成されている。図2に示すように、4色(Y、M、C、Bk)のインクを記録するための記録ヘッド402におけるノズルの配列は、第1記録ヘッド401のノズル配列とは異なり、記録走査の方向に関し、逆の順序の配列関係となっている。ここで、第1記録ヘッド401及び第2記録ヘッド402は、往路記録走査となる記録走査の進行方向の上流側である前方側には、第1記録ヘッド401が配置される。図2に示すように、第1記録ヘッド401の各色のインクが吐出されるノズル列は、上流側よりBk、C、M、Yの順に配置されている。また、往路記録走査となる記録走査の進行方向の後方側には、第2記録ヘッド402が配置される。この第2記録ヘッド402の各色のインクが吐出されるノズルは、第1記録ヘッド401とは反対にY、M、C、Bkの順に配置されている。なお、図2の例では、各色のインクを吐出するノズル列を2列づつ設けた記録ヘッドが使用されるが、1色あたり複数のノズル列を備える記録ヘッドを用いてもよい。
【0025】
記録装置には、図示しないが、第1記録ヘッド401及び第2記録ヘッド402を支持し、記録動作に伴い第1記録ヘッド401及び第2記録ヘッド402を往復記録走査させるキャリッジが設けられる。キャリッジは、非記録状態などの待機時には、図のホームポジションHに位置している。403は、記録ヘッド401、402の記録走査により記録媒体407に記録された画像である。404は紙送りローラであり、補助ローラ405とともに記録媒体407を抑えながら図の矢印の方向に回転し、記録媒体407をY方向(副走査方向)に随時、搬送する。また、406は給紙ローラであり、記録用紙などの記録媒体407の給紙を行うとともに、紙送りローラ404及び補助ローラ405と同様に、記録媒体407を案内する役割を果たす。ここで、記録ヘッド401、402は、Bk、C、M、Yの4色について紙送り方向に1、280個のノズルを配列した複数のノズル列をそれぞれ有している。
【0026】
以上の構成を有する本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の基本的な往復記録の動作について説明する。すなわち、記録待機時にホームポジションHにあるキャリッジは、記録開始命令によりX方向(主走査方向)、すなわち、副走査方向に交差する方向に相対的に走査して記録動作を行う。そして、第1記録ヘッド401及び第2記録ヘッド402の複数のノズルにより記録データに従って記録媒体407上にインクを吐出し、記録を行う。
【0027】
記録媒体407の端部まで記録データの記録が終了すると、キャリッジ403は元のホームポジションHに戻る。その後、紙送りローラ404が矢印方向へ回転することにより、Y方向へ所定幅(例えば、第1記録ヘッド401及び第2記録ヘッド402によって記録された記録幅に等しい量)だけ記録媒体407を搬送する。そして、再び次の記録データに従ってX方向への記録走査を開始する。このような第1記録ヘッド401及び第2記録ヘッド402の記録走査の動作と紙送りローラ404による紙送り動作との繰り返しにより記録媒体407を相対的に走査して、順次記録データにしたがって記録媒体407上に画像を記録する。
【0028】
<実施形態1>
次に、図1、2で説明したインクジェット記録装置を用い、本発明を適用した実施形態1に係るインクジェット記録装置について詳細に説明する。本実施形態1において、第1記録ヘッド401及び第2記録ヘッド402の記録動作はマスクパターンを用いた間引き処理によって制御する構成とした。その記録ヘッドの制御のブロック回路図について、図3を用いて説明する。
【0029】
尚、図3には図示していないが、実施形態1のインクジェット記録装置内には、記録及び画像処理を制御し実行するCPU、ROM、RAM、専用回路より構成される制御部を備える。さらに、外部のコンピュータ等との間で画像情報や各種制御情報をやりとりするためのインタフェース部も備える。また、キャリッジ駆動用のキャリッジモータ、給紙ローラ駆動用の給紙モータ、紙搬送駆動用の紙搬送モータ等を駆動するためのモータドライバ、第1記録ヘッド401及び第2記録ヘッド402を駆動するための記録ヘッド駆動用のドライバも備えている。また、ユーザによる制御情報を入力する操作パネル等も備えている。
【0030】
図3は、本発明の実施形態1に係るインクジェット記録装置に適用される記録ヘッドの制御の回路ブロックの要部の構成を示すブロック図である。尚、図1、2と同じ構成部品には同じ参照符号が付されている。本実施形態1に係るインクジェット記録装置は、第1記録ヘッド401及び第2記録ヘッド402に記録ドットを分散させて往復記録を行うだけでなく、同一領域を複数回にわたり記録走査させて画像を形成するマルチパス記録方式を採用している。
【0031】
上述したとおり、マルチパス記録は一つのラインを記録ヘッドの複数のノズル列を用いて画像を形成することにより、ノズル毎のインクの吐出量や吐出方向の微少な違いによる濃度ムラを抑える記録方式である。
【0032】
マルチパス記録方式の中には、使用ノズルの規則性を排除してランダム的にデータを間引くことによりパス・データを生成するランダムマスク間引き方式と、記録ドットを間引くことによりパス・データを生成するデータ間引き方式とがある。なお、本明細書では、記録ヘッドによる記録走査時に用いられる、記録ヘッドのノズル列とインクの吐出位置とを対応付けた記録データをパス・データと称している。特に、本実施形態1では、マルチパス記録方式の中のランダムマスク間引き方式とデータ間引き方式を併用したマルチパス記録方式を実行する。また、記録パス数(記録媒体の同一領域を記録ヘッドが記録走査する回数)が2であるマルチパス記録を例にとって説明する。
【0033】
1は、フルカラー画像の記録が可能なインクジェット記録装置である。101はメモリ部であり、入力端子100を介して外部に接続されるホスト装置2から送信される、記録のための画像処理がなされた記録データを一時的に格納する。また、第1および第2記録ヘッド401、402の記録パス数を示す2ビットのデータも格納する。102はメモリ出力制御部であり、第1及び第2記録ヘッド401、402内の各インク毎の記録媒体407上の相対位置に基づき記録データの読み出し処理を行う。
【0034】
103はマルチパス/ヘッドデータ生成部であり、記録パス数にしたがって記録ドットを間引いて第1記録ヘッド401用パス・データ及び第2記録ヘッド402用パス・データを生成する。
【0035】
104は第1記録ヘッド制御部であり、第1記録ヘッド401を駆動するための各種制御信号を発生する。105は第2記録ヘッド制御部であり、第2記録ヘッド402を駆動するための各種の制御信号を発生する。第1記録ヘッド401は、第1記録ヘッド用パス・データに従い、記録媒体407上にインクを吐出する。第2記録ヘッド402は、第2記録ヘッド用パス・データに従い、記録媒体407上にインク滴を吐出する。108は制御部であり、各部の状態を監視するとともに第1及び第2記録ヘッド401、402の駆動に関する各種制御を行う。
【0036】
次に、図3に示す記録ヘッドの制御ブロック全体の基本的な記録ヘッドの制御の動作を説明する。メモリ部101には、ホスト装置2内で二値化処理され、入力端子100を介して受信した記録データが各インク色毎に一時格納される。出力制御部102は、制御部108による記録エリア制御に基づき制御される。そして、各インク色に対応する記録ヘッド401、402のノズル列の、記録媒体407上の相対位置にしたがって各記録走査毎にメモリ部101に格納された二値の記録データを読み出し、マルチパス/ヘッドデータ生成部103へ出力する。
【0037】
マルチパス/ヘッドデータ生成部103においては、記録パス数に応じて、ランダムマスク間引き方式とデータ間引き方式との併用によって第1記録ヘッド401に対する第1記録ヘッド用パス・データを生成する。同様にして、第2記録ヘッド402に対する第2記録ヘッド用パス・データを生成する。そして、生成された第1記録ヘッド用パス・データと第2記録ヘッド用パス・データを、それぞれ第1記録ヘッド制御部104、第2記録ヘッド制御部105へ出力する。第1記録ヘッド401および第2記録ヘッド402用のそれぞれのパス・データの生成方法の詳細については後述する。
【0038】
本実施形態1に係るインクジェット記録装置では、メモリ部101に格納されている複数のマスクパターン、すなわち、図4(a)、図4(b)に示すデューティ比のA1、A2、B1、B2のランダムマスクパターンA、Bを用いる。それと共に、図5(a)に示すデータ間引きパターンである千鳥格子パターン、図5(b)に示す逆千鳥格子パターンによって間引き処理を行って記録データの2パス往復記録を行う。
【0039】
図4(a)に示すように、ランダムマスクパターンA1とランダムマスクパターンA2を1組としてマスクパターンAとし、図4(b)に示すように、ランダムマスクパターンB1とランダムマスクパターンB2を1組としてマスクパターンBとする。
【0040】
さらに、ランダムマスクパターンA1、A2は、それぞれ記録のデューティ比が50%になるような間引きマスクである。また、ランダムマスクパターンA1の記録部分と非記録部分を反転させたものがランダムマスクパターンA2である。さらに、ランダムマスクパターンB1は記録のデューティ比が75%に、ランダムマスクパターンB2は記録のデューティ比が25%になるような間引きマスクである。そして、ランダムマスクパターンB1の記録部分と非記録部分を反転させたものがランダムマスクパターンB2である。
【0041】
マスクパターンAのランダムマスクパターンA1およびA2、マスクパターンBのランダムマスクパターンB1およびB2、さらに千鳥格子パターンおよび逆千鳥格子パターンは、それぞれ記録密度が1、200dpiである。そして、ラスタ方向(記録ヘッドの記録の走査方向)に1、280画素、また直交するカラム方向(記録媒体の搬送方向)に512画素の計655、360画素分の記録領域を持つパターンとして用意されている。
【0042】
すなわち図5(a)に示すように、縦横1画素毎に丁度千鳥格子になるような千鳥格子パターンと、図5(b)に示す丁度千鳥格子パターンとは逆の逆千鳥格子になる逆千鳥格子パターンを用いて記録のデューティ比を50%デューティの記録画素に分配する。
【0043】
本実施形態1では、記録パス数が2パスなので、1パス目の記録のデューティ比と2パス目の記録のデューティ比を均等とする例として、図5(a)、(b)に示す千鳥/逆千鳥格子パターンを用いて記録画素の振分けを行っている。記録パス数が2パス以上のマルチパス記録を行うときに、上述のように各パスの記録のデューティ比を均等にしても、異ならせても良い。例えば4パス記録を行う場合、各記録パスを均等に25%に間引く方法と、それぞれのパスを20%、30%、30%、20%のように差をつけて間引く方法がある。本発明の実施形態1では、各記録パスを均等に間引いても、差をつけて間引いても、どちらの方法においても適用可能である。
【0044】
ここで、2パス往復記録の各記録走査で使用するパス・データの生成処理について説明する。ここの説明では、使用されるランダムマスクパターンは、図4(a)の50%−50%のマスクパターンAとする。
【0045】
第1記録ヘッド401に対しては、メモリ部101に格納されている記録データに対して、図5(a)の千鳥格子マスクパターンによるデータ間引き処理を行う。また、第2記録ヘッド402に対しては、記録データに対して、図5(b)の逆千鳥格子パターンによるデータ間引き処理を行う。このようにして処理した記録データを用い、第1および第2記録ヘッド401、402を使用した往復記録走査を行う。
【0046】
第1記録ヘッド401の往路記録走査では、図5(a)のパターンによりデータ間引き処理の行われた記録データとランダムマスクパターンA1との記録画素が重なった部分のみ記録画素として記録データ(1)を生成する。また、第1記録ヘッド401の復路記録走査では、図5(a)のパターンによりデータ間引き処理の行われた記録データとランダムマスクパターンA2との記録画素が重なった部分のみを記録画素として記録データ(3)を生成する。
【0047】
一方、第2記録ヘッド402の往路記録走査では、図5(b)のパターンによりデータ間引き処理の行われた記録データとランダムマスクパターンA2との記録画素が重なった部分のみ記録画素として記録データ(2)を生成する。また、第2記録ヘッド402の復記録走査では、図5(b)のパターンによりデータ間引き処理の行われた記録データとランダムマスクパターンA1との記録画素が重なった部分のみを記録画素として記録データ(4)を生成する。このようにすることで、1回の記録走査によって記録可能な領域の全画素を、2回の記録走査に分け、第1記録ヘッド401と第2記録ヘッド402とに分配することができる。
【0048】
図6は、インクジェット記録装置1内の制御系におけるマルチパス/ヘッドデータ生成部での第1記録ヘッド401用パス・データの生成処理を説明するフローチャートである。まず、ステップS1001でメモリ部101より記録する記録データが入力されると、ステップS1002に進み、入力された記録データに対して図5(a)の千鳥格子マスクパターンを掛け合わせてデータ間引き処理を行う。
【0049】
次に、メモリ部101に格納されている記録走査回数変数nを読み出してからステップS1003で、その下位ビットをみて第1記録ヘッド401の記録走査方向の判定を行う。
【0050】
往復記録走査のうち、記録走査が往路記録走査の場合(nの下位ビットが0)には、ステップS1004に進み、ステップS1001においてデータ間引き処理が行われた記録データにランダムマスクパターンA1を掛け合わせて記録データ(1)を生成する。復路記録走査の場合(nの下位ビットが1)には、ステップS1005に進み、ステップS1001においてデータ間引き処理が行われた記録データにランダムマスクパターンA2を掛け合わせて記録データ(3)を生成する。そして、ステップS1006に進み、記録する画像データの間引き処理が終了し、各記録ヘッドの往路方向または復路方向の1回分の記録走査で記録に用いる記録データが完成する。この完成した記録データ(1)、(3)を第1記録ヘッド制御部104に出力すると、タイミングに合わせて記録ヘッド401に転送され、記録媒体上に画像の記録が行われる。
【0051】
記録終了後にステップS1007に進み、記録走査回数変数nに1を加えた後に、ステップS1008で、nの値を判定する。この場合もし、nの値が2であれば(nの上位ビットが1)第1記録ヘッド401のパス・データの生成処理を終了する。しかし、nの値が2未満(nの上位ビットが0)の場合には、再びステップS1001に戻って再度記録データの生成処理が行われる。
【0052】
同様に、図7は、第2記録ヘッド402用パス・データの生成処理を説明するフローチャートである。第2記録ヘッド402はメモリ部101に格納される記録データに対して図5(b)の逆千鳥格子パターンを掛け合わせてデータ間引き処理を行う。その後、記録走査回数変数の下位ビットに従って第2記録ヘッド402の記録走査方向を判定する。そして、往路記録走査である場合にはステップS2005でランダムマスクパターンA2を掛け合わせて記録データ(2)を生成する。復記録走査の場合にはステップS2004でランダムマスクパターンA1を掛け合わせて記録データ(4)を生成する。
【0053】
上述の説明では、記録のデューティ比が50%のランダムマスクパターンAを用いて記録ヘッド401、402が往復記録走査時に用いる記録データの生成方法を説明した。記録データ生成時に用いる間引きマスクとして、記録のデューティ比が75%-25%のランダムマスクパターンBを用いると、それぞれの記録走査において先頭側の記録ヘッドから高い記録のデューティ比で記録が行われる。
【0054】
つまり、往路記録走査においては第1記録ヘッド401が記録走査方向に対して前方側の記録素子列(図2参照)に相当し、ランダムマスクパターンB1を用いて記録データが生成されるため、記録のデューティ比は75%となる。このとき、第2記録ヘッド402はランダムマスクパターンB2を用いて記録データが生成されるため、記録のデューティ比は25%と第1記録ヘッド401の記録のデューティ比よりも低くなる。また、復路記録走査においては第2記録ヘッド402が前方側の記録素子列に相当し、ランダムマスクパターンB1を用いて記録データが生成される。また、第1記録ヘッド401はランダムマスクパターンB2を用いて記録データが生成されるため、復路記録走査においても走査方向の前方側に位置する記録ヘッド(第2記録ヘッド402)の記録のデューティ比が後方側に位置する記録ヘッドよりも高くなる。
【0055】
記録データ生成時にマスクパターンBを使う往路記録走査の場合を考える。この場合には、記録走査方向に対して前方の記録ヘッド(第1記録ヘッド401)の記録データ(1)が後方側の記録ヘッド(第2記録ヘッド402)の記録データ(2)に比べて3倍多く記録するデータとなる。また、復路記録走査の場合においても、同様に記録走査方向に対して前方側の記録ヘッド(第2記録ヘッド402)の記録データ(4)が後方側の記録ヘッド(第1記録ヘッド401)の記録データ(3)に比べて3倍多く記録される記録データとなる。
【0056】
マスクパターンBを用いてそれぞれの記録ヘッドの記録データを生成することで、前方側の記録ヘッドが記録してからの経過時間の短い後方側の記録ヘッドの使用頻度を低減している。したがって、後方側の記録ヘッドにより吐出されるインクの量を低減させることができる。そのため、前方側の記録ヘッドにより吐出されたインクが記録媒体上で定着する前に後方側の記録ヘッドによりインクが吐出されることで生じる混色やブリーディングの発生を低減することができる。
【0057】
さらに、走査方向の前方側の記録ヘッドは、先の記録走査により画像が記録されてから比較的長い時間経過があってから記録を行うため、混色やブリーディングの発生を低減させることができる。これは、先の記録走査で吐出されたインクが記録媒体上で定着してから走査方向の前方側の記録ヘッドによりインクが吐出されるため、後方側の記録ヘッドよりも多くのインクを吐出しても混色やブリーディングが発生しにくい。
【0058】
上記の混色やブリーディングの抑制効果は、記録用紙による依存性が大きいことが分かっている。厚口コート紙や合成紙は混色やブリーディングの抑制効果が大きく、フォト光沢紙はあまり効果がみられなかった。また、上記先頭側の記録素子列の記録のデューティ比を多くする記録方法は、記録素子列のノズル数が多くなり搬送方向の記録領域(ノズル列の長さ)が長くなった場合、インクのリフィルが間に合わないなどの理由により吐出が不安定になる恐れがある。したがって、記録用紙の種類に応じて、マスクパターンA、Bのどちらのマスクパターンを用いるかを決定する。
【0059】
図8に、使用するマスクパターンを決定するフローチャートを示す。フォト光沢紙のように、記録のデューティ比の振り分けに対する効果はあまり見られない記録用紙をグループ1とし、厚口コート紙、合成紙のように、記録のデューティ比の振り分けに対する効果が大きい記録用紙はグループ2とする。
【0060】
まず、ステップS3001で記録媒体407である記録用紙の設定を行う。次にステップS3002で、グループ1の記録用紙が設定されているとされた場合は、ステップS3003に進み、Aのマスクパターンを設定する。そして、ステップS3005に進み、パス・データの生成処理を行う。また、ステップS3002でグループ1の記録用紙が設定されていないとされた場合には、グループ2の記録用紙が設定されているものとして、Bのマスクパターンを設定してステップS3005に進み、パス・データの生成処理を行う。
【0061】
以下の表1に、記録媒体407である記録用紙におけるデューティ振り分けの効果、それに伴う記録用紙の分類と設定するマスクパターンを示す。
【0062】
【表1】

【0063】
上述のように、記録条件である記録媒体407の種類に応じてマスクパターンを切替えることにより、混色やブリーディングの発生を低減した高品質な記録や、安定した吐出状態での記録が可能となる。なお、ここでは記録媒体407のグループ、マスクパターンの種類を2種類としたが、3種類以上の記録媒体407のグループとマスクパターンの種類とを対応させても良い。
【0064】
<実施形態2>
インク吸収性やブリーディングの発生は、全体的な傾向として、記録パス数に影響を受け、パス数が増加するとより良化の傾向を示す。しかし、高速記録を実現するためにはできるだけ少ないパス数で記録を行うことが理想である。
【0065】
そこで、記録パス数に応じて記録データ振分け率の異なる記録のデューティ比のマスクパターンを用いて記録データの生成を行うことで、高画質な記録と安定した記録の両立が可能となる。少ないパス記録の場合では、記録のデューティ比を振り分けたマスクを用いて高画質を得ることを可能とする。また、パス数が多い場合には、記録のデューティ比を振り分けないマスクパターンを用いることによって安定した吐出での記録が可能となる。
【0066】
記録データの生成の用いるマスクパターンとして、図4のランダムマスクパターンA、Bに加えて、図11に示すランダムマスクパターンCを用いる。2パス以上のマルチパス記録を行うときには、データ間引き処理において、記録データをパス数に応じて間引いて分割する。分割した記録データに対してランダムマスクパターンA〜Cを適用して記録データ(パス・データ)を生成する。
【0067】
図9に、使用するマスクパターンを決定するフローチャートを示す。まず、ステップS4001で記録モードの設定として記録パス数の設定を行う。次に、ステップS4002で、設定された記録パス数が8パスであるか判断する。ステップS4002で8パス記録であると判断された場合は、ステップS4003に進み、マスクパターンAを設定する。しかし、ステップS4002で8パス記録であると判断されなかった場合は、ステップS4004で、設定された記録パス数が4パスであるか判断する。ステップS4004で4パス記録であると判断された場合は、ステップS4005に進み、マスクパターンCを設定する。しかし、ステップS4004で4パス記録であると判断されなかった場合は、ステップS4006に進みマスクパターンBが設定されることになる。
【0068】
その後、ステップS4007では、ステップS4003、4005、4006で設定されたマスクパターンを用いてパス・データ生成を開始する。そして、生成されたパス・データに従った記録が行われる。このように、本実施形態2では、記録パス数に応じてパス・データ生成に用いるマスクパターンを切替えることにより、良好な記録画像が簡単に得ることが可能となる。
【0069】
以下の表2に、記録条件である設定するパス数とパス・データ生成に用いるマスクパターンとを対応付けた表を示す。
【0070】
【表2】

【0071】
<実施形態3>
本実施形態3においては、マスクパターンの切り替えを記録媒体407の種類と記録モードの組み合わせから行う。記録媒体407の種類によってインクの吸収性が異なる。インク吸収性が上がれば、1回の記録走査で吐出されるインク打ち込み量の増加も可能となる。1回の記録走査で吐出されるインクの打ち込み量を増量させることにより、記録パス数を減らすことができる。また、インクジェット記録装置1には、記録画像の画像品位や、記録に要する時間などが異なる複数種類の記録モードが設定されている。
【0072】
例えば、記録に要する時間よりも高品位な画像を得ることを優先させた「きれい」モード、画像品位よりも記録に要する時間を短くすることを優先させた「はやい」モード、画像品位と記録に要する時間を両立させた「標準」モードがある。これらの複数の記録モードは、記録パス数や、記録ヘッドの走査速度を異ならせることにより、画像品位や記録に要する時間を異ならせている。そこで、本実施形態3では、記録媒体407の種類と記録モードに応じてパス・データ生成に用いるマスクパターンを選択する。
【0073】
以下の表3に、記録条件である記録媒体407の種類と記録モードと、パス・データ生成に用いるマスクパターンとを対応付けた表を示す。また、図10に、パス・データ生成に用いるマスクパターンを決定するフローチャートを示す。
【0074】
【表3】

【0075】
まず、処理の開始後、ステップS5001で記録する記録媒体407の種類を設定し、続くステップS5002で記録モードを設定する。次に、ステップS5003では、表3に基いて記録媒体407の種類と記録モードから対応するマスクパターンを選択する。次に、ステップS5004に進み、パス・データ生成を開始する。このようにして生成されたパス・データ(記録データ)に従って記録が行われる。なお、記録モードの設定は、例えばインクジェット記録装置1に接続され、インクジェット記録装置1を制御するホスト装置2にインストールされたプリンタドライバを用いて設定する方法も考えられる。
【0076】
以上のように、本願の実施形態3によれば、記録画像の高画質化と記録の安定性との両立が可能となるインクジェット記録装置を提供することが可能となる。
【0077】
<その他の実施形態>
本発明のその他の実施形態に係るインクジェット記録装置1においては、使用するマスクパターンの切り替えを任意に行うことが可能である。記録パス数、記録媒体407の種類、記録モードなどの様々な記録条件に応じて、使用するマスクパターンの設定を任意に切り替えることによって、高品位の画像を得ることが可能となる。
【0078】
なお、本発明の先の実施形態に係るインクジェット記録装置1においては、振り分けのデューティは50%−50%と、75%−25%、60%−40%の3種類のマスクパターンを示した。しかしながら、それに限定されることなく、合計が100%となるマスクを用いれば、どのような組み合わせでも可能である。また、それに応じて記録媒体407のグループ分け、記録モードの設定等も2種類または3種類に限定されることはない。さらに、インクの色毎に記録のデューティ比を異ならせても良い。さらにまた、記録媒体407上で定着しにくく混色の発生しやすいインクのみ走査方向で前方側の記録のデューティ比を高くし、他のインクは略均等な記録のデューティ比で記録するような構成としてもよい。
【0079】
また、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給することによっても実施可能である。すなわち本発明の目的は、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても達成される。この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。
【0080】
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することで、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOSなどが実際の処理の一部または全部を行いこともありうる。それにより、本発明は、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0081】
さらに本発明においては、記憶媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれて実施することも可能である。したがって、書込まれプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の一実施形態を説明するための要部の斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の第1記録ヘッド及び第2記録ヘッドそれぞれの記録素子の配列を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の記録ヘッド制御ブロックの構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置に用いられる各ランダムマスクパターンを示す模式図である。
【図5】本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置に用いられる千鳥格子/逆千鳥格子パターンを示す模式図である。
【図6】本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置における各色の2パス第1記録ヘッド用パス・データ生成フローを示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置における各色の2パス第2記録用ヘッドパス・データ生成フローを示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置における実施形態1の動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置における実施形態2の動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置における実施形態3の動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置に用いられるランダムマスクパターンを示す模式図である。
【符号の説明】
【0083】
401 第1記録ヘッド
402 第2記録ヘッド
404 紙送りローラ
406 給紙ローラ
407 記録媒体
101 メモリ部
102 出力制御部
103 マルチパス/ヘッドデータ生成部
104 第1記録ヘッド制御部
105 第2記録ヘッド制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同じインクについて複数の記録素子が第1の方向に配列された記録素子列を複数備えた記録ヘッドを記録媒体に対して前記第1の方向と交差する方向に相対的に走査させながら画像データにしたがってインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置であって、
前記画像データを間引くため、デューティ比の異なる複数のマスクパターンを格納するメモリ手段と、
同じインクを吐出する前記複数の記録素子列のうち、前記記録ヘッドの走査方向に関して前方側の記録素子列による記録のデューティ比と後方側の記録素子列による記録のデューティ比とを異ならせるように、前記複数のマスクパターンを用いて記録データを生成する生成手段と、を備え、
前記生成手段は、記録条件に応じて前記記録データの生成に用いるマスクパターンを、前記複数のマスクパターンから選択する、ことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記生成手段は、前記複数の記録素子列のうち、前記記録ヘッドの前記走査方向に関して前方側の記録素子列による記録のデューティ比を後方側の記録素子列による記録のデューティ比よりも高くするように、前記複数のマスクパターンを用いて記録データを生成する、ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記記録ヘッドを前記記録媒体上で往復記録走査をさせる走査手段をさらに備え、
前記生成手段は、前記記録ヘッドの往路記録走査と復路記録走査とで記録のデューティ比を高くする記録素子列を切り替える、ことを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記記録ヘッドを2つ備え、前記記録ヘッドの各々は、複数種類のインクをそれぞれ吐出する、複数の記録素子列を少なくとも1つずつ有する、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記生成手段は、マルチパス記録により画像を形成するため、前記記録ヘッドの複数回の走査に対応するよう前記画像データを分割し、当該分割した画像データに基いて前記記録データを生成する、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記生成手段で用いるマスクパターンは、前記記録ヘッドの前記走査方向に関し、前記前方側の記録素子列による記録のデューティ比が前記後方側の記録素子列による記録のデューティ比より高く設定されているマスクパターンであり、所定の記録素子列において前記往路記録走査で使用するマスクパターンの記録のデューティ比と前記復路記録走査で使用するマスクパターンの記録のデューティ比が入れ替わる、ことを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記記録条件は、記録媒体の種類である、ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
前記記録条件は、前記マルチパス記録により同一領域に対して前記記録ヘッドを走査する回数である、ことを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録装置。
【請求項9】
前記記録条件は、前記記録媒体に対して記録を行うときの記録モードである、ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項10】
前記記録条件は、記録媒体の種類と前記マルチパス記録により同一領域に対して前記記録ヘッドを走査する回数である、ことを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録装置。
【請求項11】
複数色のインクに対応して複数の記録素子を第1の方向に配列した記録素子列を複数備えた記録ヘッドを記録媒体に対して前記第1の方向と交差する方向に相対的に走査させながら画像データにしたがってインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置であって、
前記画像データを間引くため、デューティ比の異なる複数のマスクパターンを格納するメモリ手段と、
前記複数の記録素子列のうち、少なくとも一組の記録素子列に関して、前記記録ヘッドの走査方向に関し前方側の記録素子列による記録のデューティ比と後方側の記録素子列による記録のデューティ比とを異ならせるように、前記複数のマスクパターンを用いて記録データを生成する生成手段と、を備え、
前記生成手段は、記録条件に応じて前記記録データの生成に用いるマスクパターンを、前記複数のマスクパターンから選択する、ことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項12】
同じインクについて複数の記録素子が第1の方向に配列された記録素子列を複数備えた記録ヘッドを記録媒体に対して前記第1の方向と交差する方向に相対的に走査させながら画像データにしたがってインクを吐出して記録を行うインクジェット記録方法であって、
同じインクを吐出する前記複数の記録素子列のうち、前記記録ヘッドの走査方向に関して前方側の記録素子列による記録のデューティ比と後方側の記録素子列による記録のデューティ比とを異ならせるように、複数のマスクパターンを用いて記録データを生成する生成工程と、を備え、
前記生成工程は、記録条件に応じて前記記録データの生成に用いるマスクパターンを、デューティ比の異なる前記複数のマスクパターンから選択する、ことを特徴とするインクジェット記録方法。
【請求項13】
前記生成工程は、前記複数の記録素子列のうち、前記記録ヘッドの走査方向に関して前方側の記録素子列による記録のデューティ比を後方側の記録素子列による記録のデューティ比よりも高くするように、前記複数のマスクパターンを用いて記録データを生成する、ことを特徴とする請求項12に記載のインクジェット記録方法。
【請求項14】
請求項12に記載のインクジェット記録方法の手順をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項15】
請求項12に記載のインクジェット記録方法の手順をコンピュータに実行させるためのプログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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