インクジェット記録装置および該インクジェット記録装置における記録ヘッドおよびキャップ部材のクリーニング方法
【目的】 キャップ部材による記録ヘッドのキャッピングの密閉性を向上するとともに、キャッピング当接面に傷を付けない。
【構成】 先ず、ワイパー11の第1のワイパー部11Aが吐出形成面1Aに対向する位置にワイパーレバー12を回動させた後、記録ヘッド1よりインクを第1のワイパー部11Aに向けて吐出させて付着させる。これと同様に、第2のワイパー部11Bにもインクを付着させる。インクでそれぞれ湿潤した第1のワイパー部11Aおよび第2のワイパー部11Bで記録ヘッド1の吐出形成面1Aおよびキャッピング当接面およびキャップ部材7のキャッピング当接面をそれぞれワイピングしてクリーニングする。こののち、キャップ部材7によって記録ヘッド1の吐出形成面1Aを密閉する。
【構成】 先ず、ワイパー11の第1のワイパー部11Aが吐出形成面1Aに対向する位置にワイパーレバー12を回動させた後、記録ヘッド1よりインクを第1のワイパー部11Aに向けて吐出させて付着させる。これと同様に、第2のワイパー部11Bにもインクを付着させる。インクでそれぞれ湿潤した第1のワイパー部11Aおよび第2のワイパー部11Bで記録ヘッド1の吐出形成面1Aおよびキャッピング当接面およびキャップ部材7のキャッピング当接面をそれぞれワイピングしてクリーニングする。こののち、キャップ部材7によって記録ヘッド1の吐出形成面1Aを密閉する。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、被記録媒体にインクを吐出口から吐出することにより記録を行う記録ヘッドと、該記録ヘッドに当接してその吐出口形成面を密閉するためのキャップ部材と、前記記録ヘッドをクリーニングするためのワイパーとを備えたインクジェット記録装置および該インクジェット記録装置における記録ヘッドおよびキャップ部材のクリーニング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】紙やOHP用シート等の被記録媒体に記録を行う記録装置は、種々の記録方式による記録ヘッドを搭載した形態で提案されている。すなわち、この記録ヘッドには、ワイヤドット方式、感熱方式、熱転写方式あるいはインクジェット記録方式のものがあり、これらの中でもインクジェット記録方式の記録ヘッドを搭載した記録装置は、被記録媒体にインクを吐出することにより記録を行うものなので、ライニングコストが安い上、静かな記録方法として注目されている。
【0003】このインクジェット記録装置において、記録ヘッドには、インクが吐出される複数個の微細な吐出口と、各吐出口が配列されて開口する面である吐出口形成面とが形成されている。前記各吐出口に紙屑やほこり等の塵埃や増粘したインクが付着したり、記録ヘッド内のインクに気泡が混入したりすると、各吐出口が目詰りし、インクの吐出が不安定になるばかりか、吐出不良が発生する。そこで、吐出安定化や吐出正常化を図るために、ヘッド回復装置が提案されている。
【0004】このヘッド回復装置は、図14および図15R>5に示すように、記録ヘッド100に対して前進および後退する弾性材料で形成されたキャップ部材101と、このキャップ部材101が前進したときに記録ヘッド100の前面を圧接し、キャップ部材101と記録ヘッド100とで形成された空間ひいては吐出口形成面を密閉状態にするキャッピング機構と、前記キャップ部材101に吸引チューブ103を介して接続された負圧発生源102と、該負圧発生源102を作動させるためのポンプ機構等を有している。
【0005】記録装置の不使用時や記録中断時には、記録ヘッド100の吐出口形成面はキャップ部材101により密閉状態にあり、各吐出口の乾燥および各吐出口への塵埃の付着が防止される。
【0006】記録時にインクの吐出不良が発生した場合には、キャップ部材101を吐出口形成面に対向させた状態で記録ヘッド100内のインクに圧力を加えて各吐出口から強制的にインクを排出させたり、記録ヘッド100の吐出口形成面をキャップ部材101で覆い該キャップ部材101の内部を負圧発生源102により負圧にして各吐出口から強制的にインクを排出させたり、また、キャップ部材101を吐出口形成面に対向させた状態で記録ヘッド100の各吐出口から記録時と同様にインクを吐出させたりすることにより、前記塵埃、増粘したインク、気泡等の吐出不良原因を除去する吐出回復処理が行われる。
【0007】また、記録中に記録ヘッド100の前面に付着する紙屑や塵埃を除去するために、ゴム等の弾性材料よりなるワイパーを前記前面に摺接させてクリーニングするクリーニング機構を備えたヘッド回復装置もある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来例では、記録ヘッドをキャップ部材でキャッピングするときに、記録ヘッドおよびキャップ部材のそれぞれのキャッピング当接面(シール面)が乾燥状態にあるため、以下に記載するような問題点がある。
【0009】(1)先ず、図14および図15に示したように、記録ヘッド100およびキャップ部材101のそれぞれのキャッピング当接面に付着した紙屑や塵埃104が、インクとともに乾燥して前記キャッピング当接面に固着してしまい、記録ヘッド100のキャッピング当接面をワイパーで単にワイピングするだけでは、該ワイピングによる拭き取り力より前記紙屑や塵埃104の固着力が大きい場合、前記紙屑や塵埃104の除去が確実には行われず、前記紙屑や塵埃104がキャッピング当接面(シール面)に付着した状態で記録ヘッド100がキャップ部材101によりキャッピングされることになる。その結果、図15に示すように、キャッピング状態でキャップ部材101と記録ヘッド100との間に隙間105が発生し、十分な密閉状態が得られず、記録ヘッド100の各吐出口が乾燥したり、また、記録ヘッド100からインクを吸引するために、負圧発生源102を作動させたときに、隙間105からキャップ部材101内に空気が流入し、記録ヘッド100からのインク吸引が十分に行われず吐出の正常化が図れない。
【0010】(2)乾燥したワイパーにより記録ヘッド100の乾燥したキャッピング当接面をワイピングすることで、互いに付着していたインクや塵埃等の固型物がこすりつけられることになり、記録ヘッド100の吐出口形成面に傷が付いたり、撥水面がはがれ、インク吐出性能に悪影響を及ぼすことになる。
【0011】(3)記録ヘッド100およびキャップ部材101のキャッピング当接面には、ミクロ的に見れば凹凸があり、部品公差が積み重なったり、キャッピング当接面に傷等が付いたりして、あるいは近年の記録ヘッドの構成上、記録ヘッドのキャッピング当接面が、平坦でなく溝や斜面を有する場合、キャッピングの密閉性は著しく低下することになる。
【0012】本発明は、上記従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、キャップ部材による記録ヘッドのキャッピングの密閉性が大幅に向上するとともに、ワイパーによるキャッピング当接面のクリーニングの際、前記キャッピング当接面(シール面)に傷が付かないインクジェット記録装置および該インクジェット記録装置における記録ヘッドおよびキャップ部材のクリーニング方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するための本発明のインクジェット記録装置は、被記録媒体にインクを吐出口から吐出することにより記録を行う記録ヘッドと、該記録ヘッドに当接してその吐出口形成面を密閉するためのキャップ部材と、前記記録ヘッドおよび前記キャップ部材のそれぞれのキャッピング当接面をクリーニングするための第1のワイパー部および第2のワイパー部を備え、かつ前記それぞれのキャッピング当接面に摺接してほぼ同時にクリーニングすることにより、前記それぞれのキャッピング当接面の少なくとも一方のキャッピング当接面を湿潤させるためのワイパーとを備えている。
【0014】また、他の本発明は、被記録媒体にインクを吐出口から吐出することにより記録を行う記録ヘッドと、該記録ヘッドに当接してその吐出口形成面を密閉するためのキャップ部材と、前記記録ヘッドおよび前記キャップ部材のそれぞれのキャッピング当接面をクリーニングするための第1のワイパー部および第2のワイパー部を備え、かつ前記それぞれのキャッピング当接面に摺接してほぼ同時にクリーニングするためのワイパーとを備えたインクジェット記録装置における記録ヘッドおよびキャップ部材のクリーニング方法であって、前記キャップ部材によって前記記録ヘッドの吐出口形成面を密閉する前に、前記ワイパーによって前記それぞれのキャッピング当接面をクリーニングすることにより、前記それぞれのキャッピング当接面の少なくとも一方のキャッピング当接面を湿潤させることを特徴とする。
【0015】そして、記録ヘッドよりインクをワイパーの第1のワイパー部および第2のワイパー部の少なくとも一方に向けて吐出させた後、前記ワイパーにより前記記録ヘッドおよびキャップ部材のそれぞれのキャッピング当接面をクリーニングするものや、記録ヘッドよりインクをキャップ部材のキャッピング当接面に向けて吐出させた後、ワイパーにより前記記録ヘッドおよびキャップ部材のそれぞれのキャッピング当接面をクリーニングするものや、さらには、ワイパーの第1のワイパー部および第2のワイパー部の少なくとも一方に不揮発性の溶剤を付着させた後、前記ワイパーにより前記記録ヘッドおよびキャップ部材のそれぞれのキャッピング当接面をクリーニングするものとすることができる。
【0016】さらに、記録ヘッドは、被記録媒体の記録領域の全幅にわたって吐出口が形成されているフルラインタイプのものであるものや、熱エネルギーを利用してインクを吐出するものであって、該熱エネルギーを発生するための電気熱変換体を備えたものとすることができる。
【0017】
【作用】上記のとおり構成された請求項1および2に記載の発明では、記録ヘッドおよびキャップ部材のそれぞれのキャッピング当接面(シール面)の少なくとも一方のキャッピング当接面を湿潤状態にし、キャップ部材により記録ヘッドの吐出口形成面をキャッピングすることにより、■ 何らかの要因で前記一方のキャッピング当接面に乾燥固着した塵埃や紙屑を、湿潤、溶解しつつあるいは湿潤溶解してからワイパーでワイピングすることで、確実に除去される。
【0018】■ キャッピング当接面(シール面)を潤滑にかつ低抵抗にてワイピング可能となり、キャッピング当接面および吐出口形成面に傷が付かない。
【0019】■ キャッピング時にキャッピング当接面(シール面)の凹凸に水分が入り込むため、前記キャッピングの密閉性が大幅に向上する。
【0020】
【実施例】次に、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
(第1実施例)先ず、インクジェット記録装置の構成について説明する。
【0021】図1および図2に示すように、記録ヘッド1は、2本のガイド軸8A,8Bに摺動自在なキャリッジ2に搭載され、プラテン3Aに支持される被記録媒体としての記録紙3Bに記録を行う。この記録ヘッド1は、キャリッジ2上の図示しない制御基板に電気的に接続され、さらにケーブル(不図示)を介して記録装置本体内部の制御回路(不図示)に電気的に接続されている。また、記録ヘッド1は、インクを吐出する機能を有するインクジェットヘッドエレメントと、該インクジェットヘッドエレメントにインクを供給するためのインクタンクとが一体になったものであって、前記制御回路からの信号に基づいて、列状に配列された複数個の吐出口(不図示)からインクを前記記録紙3Bに吐出するものである。
【0022】ここで、記録ヘッド1の詳細について説明する。
【0023】図3に示すように、記録ヘッド1には、列状に設けられた複数個の吐出口1Bから記録液を吐出させるために、印加電圧が供給される熱エネルギーを発生させる電気熱変換体1Cが各液路毎に配設されている。そして駆動信号を印加することによって、前記電気熱変換体1Cに熱エネルギーを発生せしめて膜沸騰を生じインク液路内に気泡を形成し、この気泡の成長によって前記吐出口1Bからインク滴を吐出させる。
【0024】再び、図1および図2において、記録ヘッド1を密閉し得る弾性材料で形成されたキャップ部材7は、シリコンゴム、塩素化ブチルゴムその他弾性を有する適宜な材料で形成される。このキャップ部材7は、ベース14にガイドされるキャップホルダー9に固定されている。上述のキャップホルダー9の一側面には突起10が一体的に設けられ、この突起10の先端部は後述する歯車16の溝に挿入されている。歯車16は図示しないモータの出力軸と連結された位置決めカム17を一体的に備えている。ピストン5Aを備えた吸引ポンプ5は、吸引チューブ4を介しキャップ部材7に連通し、前記ピストン5Aがポンプレバー6で押圧されると動作するものである。ばね15は、キャップホルダー9の軸に取付けられており、キャップ部材7を前方に押すように付勢している。
【0025】記録装置本体に内蔵されているマイクロプロセッサなどの制御装置の指示によるモータ(図示せず)の回転と共に歯車16が回転し、キャップ部材7を内包したキャップホルダー9を前後移動させ、ホームポジションに位置するキャリッジ2の記録ヘッド1にキャップ部材7を圧接および離間させる。キャップ部材7の開閉状態は歯車16の位置決めカム17によって不図示の接点のキャップ接点をオン,オフさせることにより検知でき、その結果は前述した制御装置に入力される。吸引ポンプ5のオン,オフの検出はポンプレバー6の一端部で前記接点のポンプ接点を開閉して行う。
【0026】キャップ部材7の記録ヘッド1への密閉力(シール力)は、ばね15によりベース14にガイドされたキャップホルダー9の前進力により生じる。記録ヘッド1とベース14は一定の位置関係で設置されているので密閉力は一定となり、該密閉力は300g程度が好ましい。
【0027】次に、ヘッド回復装置の詳細について説明する。
【0028】キャップ部材7内にはインク吸収体(不図示)が収容されており、該インク吸収体は吸引チューブ4により吸引ポンプ5に連通されている。これにより、キャップ部材7により記録ヘッド1の吐出口形成面1Aを密封した状態で吸引ポンプ5を起動すると、記録ヘッド1のノズルからのインクがインク吸収体(不図示)に吸収され、またノズルおよびインク室内の空気は前記インク吸収体および吸引チューブ4を介してキャップ部材7外に排出される。
【0029】ベース14の上部には軸13が固定されており、この軸13には側方視湾曲した形状を有するワイパーセットレバー29の一端が回動自在に支持されている。このワイパーセットレバー29は、モータ(不図示)の駆動力で回転されるカム(不図示)によって軸13を支点として回動され、後述するワイパーレバー12を待機位置等の所定位置に保持するものである。ワイパーセットレバー29の他端には溝29Aが形成され、さらに該溝29Aよりも軸13側の部位側面には円柱状の突起29Bが一体的に突設されている。
【0030】ワイパーレバー12は、上述したワイパーセットレバー29とほぼ同形状となっており、その一端が軸13に回動自在に支持されている。このワイパーレバー12の他端部には後述するワイパー11の支軸28が回転自在に支持されている。
【0031】ワイパー11は、支軸28と、記録ヘッド1およびキャップ部材7をそれぞれほぼ同時にワイピングするための、前記支軸28に180度の間隔をおいて一体的に固着された第1のワイパー部11Aおよび第2のワイパー部11Bと、支軸28の第1のワイパー部11A側の部位に一体的に突設されたレバー部11Cとから構成されている。ワイパー11のレバー部11Cはワイパーセットレバー29の前記溝29Aに挿入されて係合されており、また、前記第1のワイパー部11Aおよび第2のワイパー部11Bは同一材料でそれぞれ形成され、具体的にはウレタンゴムやシリコンゴム等の適宜な材料で形成されている。また、ワイパーレバー12の、ワイパー11が設けられた前記他端部よりも軸13側の部位には長孔12Aが形成され、該長孔12Aには、上述したワイパーセットレバー29の突起29Bが挿入され、該突起29Bが長孔12Aの上端あるいは下端に当接して係合されている状態では、ワイパーセットレバー29の回動に追従してワイパーレバー12も軸13を支点として回動する。
【0032】ワイパー11の回転位置は、ワイパー11とワイパーレバー12の前記他端部とがほぼ平行になる待機位置(図2,4,5および6参照)と、ワイパー11とワイパーレバー12の前記他端部とがほぼ直交するクリーニング位置(図7および8参照)とがあり、各位置への設定は、ワイパーセットレバー29により行なわれる。すなわち、図2,4,5および6に示すように、ワイパーセットレバー29の突起29Bがワイパーレバー12の長孔12Aの上端に当接している状態では、ワイパーセットレバー29の溝29Aに係合されたレバー部11Cが押上げられ、ワイパー11はワイパーレバー12の前記他端部とほぼ平行になって待機位置にある。一方、この状態から図7および8に示すように、ワイパーセットレバー29が図示反時計回り方向に微小角度だけ回動すると、ワイパーセットレバー29の溝29Aに係合されたレバー部11Cが押下げられることで、ワイパー11は図示矢印方向に約90度だけ回転し、ワイパーレバー12の前記他端部とほぼ直交するクリーニング位置に達する。記録ヘッド1の前方には、第1および第2のワイパー部11A、11Bに付着した塵埃やインク等を拭き払うための2つのブレード18、19が配設されている。
【0033】次に、本実施例のインクジェット記録装置における記録ヘッドおよびキャップ部材のクリーニング方法について説明する。
【0034】図2に示したように、記録ヘッド1がキャップ部材7でキャッピングされている状態で、CPU(不図示)からキャップ部材7移動用の前記モータ(不図示)の駆動回路にワイピング信号が入力されると、図4R>4に示すように、キャップ部材7を内包したキャップホルダー9がばね15の弾発力に対抗して後退する。このとき、ワイパー11は待機位置にある。
【0035】ワイパーセットレバー29駆動用の前記モータ(不図示)によりワイパーセットレバー29が図示時計回り方向に所定角度だけ回動されることで、ワイパーセットレバー29の突起29Bに係合されたワイパーレバー12も回動し、ワイパー11は矢印A方向すなわち斜め上方へ移動し、図5に示すように、第1のワイパー部11Aが記録ヘッド1の吐出口形成面1Aに対向する位置に停止される。ついで、記録ヘッド1よりインクを所定量吐出させることにより、該インクを第1のワイパー部11Aに付着させ、先ず、第1のワイパー部11Aがインクで湿潤される。ついで、図6に示すように、第2のワイパー部11Bが記録ヘッド1の吐出口形成面1Aに対向するまで、ワイパーセットレバー29ひいてはワイパーレバー12が図示時計回り方向に回動された後、再び、記録ヘッド1より所定量のインクが吐出されることにより、第2のワイパー部11Bがインクで湿潤される。
【0036】こののち、図7に示すように、さらにワイパーセットレバー29ひいてはワイパーレバー12が図示時計回り方向にある角度だけ回動されることで、ワイパー11が記録ヘッド1およびキャップ部材7の上方部位間に移動される。ここで、前記ワイパーセットレバー29のみは、その突起29Bがワイパーレバー12の長孔12Aの下端に当接するまで所定の微小角度だけ逆回転させることで、ワイパーセットレバー29の溝29Aによってワイパー11のレバー部11Cが押し下げられ、ワイパー11が矢印で示すように図示反時計回り方向に90度だけ回転されてクリーニング位置に保持される。このとき、第1のワイパー部11Aおよび第2のワイパー部11Bは記録ヘッド1およびキャップ部材7側へそれぞれ突出している。
【0037】この状態で、図8に示すように、ワイパーセットレバー29ひいてはワイパーレバー12が図示反時計回り方向に移動されると、ワイパー11は矢印B方向すなわち斜め下方に移動し、この際、インクによりそれぞれ湿潤した第1のワイパー部11Aおよび第2のワイパー部11Bがたわみながら記録ヘッド1の吐出口形成面1Aやキャッピング当接面およびキャップ部材7のキャッピング当接面に摺接して、それぞれクリーニングする。このとき、予めインクでそれぞれ湿潤した第1のワイパー部11Aおよび第2のワイパー部11Bにより、記録ヘッド1の吐出口形成面1Aやキャッピング当接面およびキャップ部材7のキャッピング当接面が湿潤されると同時に、記録ヘッド1の吐出口形成面1Aやキャッピング当接面およびキャップ部材7のキャッピング当接面(シール面)に付着していた塵埃や紙屑を湿り気を与えつつ除去してクリーニングすることが可能となる。
【0038】該クリーニング後、第1のワイパー部11Aおよび第2のワイパー部11Bはさらに矢印B方向に移動することで、ブレード18,19にそれぞれ当接し、ブレード18,19により第1のワイパー部11Aおよび第2のワイパー部11B上の塵埃やインク等がかき取られた後に、ワイパーレバー12は待機位置に戻る。さらに、ワイパーセットレバー29のリセットがかかり、すなわち、ワイパーセットレバー29が図示時計回り方向に前記微小角度だけ回動することにより、ワイパーセットレバー29の溝29Bによってワイパー11のレバー部11Cが押上げられ、ワイパー11は図示時計回り方向に90度だけ回転して待機位置に戻る(図4参照)。
【0039】記録ヘッド1およびキャップ部材7のそれぞれのキャッピング当接面が湿潤状態にあり、キャップ部材7を内包したキャップホルダー9を前進させてキャップ部材7の先端が記録ヘッド1に当接して若干変形するように押圧する。すると、ばね15が圧縮されているので、その反発力によりキャップ部材7は記録ヘッド1に圧接され、吐出口形成面1Aを密閉する。
【0040】上記のとおり構成された本実施例では、記録ヘッド1の吐出口形成面1Aとキャッピング当接面(シール面)およびキャップ部材7のキャッピング当接面を、インクでそれぞれ湿潤状態(濡れた状態)にし、キャップ部材7により記録ヘッド1の吐出口形成面1Aをキャッピングすることにより、■ 何らかの要因で記録ヘッド1の吐出口形成面1Aとキャッピング当接面およびキャップ部材7のキャッピング当接面に乾燥固着した塵埃や紙屑を、湿潤、溶解しつつワイパー11でワイピングすることで確実に除去される。
【0041】■ キャッピング当接面(シール面)を潤滑にかつ低抵抗にてワイピング可能となり、キャッピング当接面、吐出口形成面1Aに傷が付かない。
【0042】■ キャッピング時に、キャッピング当接面(シール面)の凹凸にインクが入り込むため、前記キャッピングの密閉性が大幅に向上する。
【0043】本実施例において、吐出口形成面1Aやキャッピング当接面(シール面)になんらかの要因で乾燥しインクで強固に固着してしまった塵埃や紙屑は、前述の図4〜図8の動作を繰り返すことにより、確実に湿り気を与え、固着したインクを溶解し、ワイピングにより確実に、除去可能となる。
【0044】また、本実施例では、第1および第2のワイパー部11A、11Bの両方をインクで湿潤させ、記録ヘッド1のキャッピング当接面およびキャップ部材7のキャッピング当接面の両方を湿潤状態にしたが、これに限られず、第1および第2のワイパー部11A、11Bの一方のみをインクで湿潤させ、片側のキャッピング当接面のみを湿潤させてもよい。
(第2実施例)第2実施例のインクジェット記録装置における記録ヘッドおよびキャップ部材のクリーニング方法は、記録ヘッドから吐出するインクを直接キャップ部材のキャッピング当接面(シール面)に付着させて湿潤させるものであり、以下詳述する。
【0045】図9に示すように、符号Xで示す位置はキャリッジ2のホームポジションすなわち記録ヘッド1がキャップ部材7に対向する位置を示しており、キャリッジ2が符号Xの位置にある状態で、ワイパーレバー12駆動用のモータ(不図示)の駆動回路にワイピング信号が入力されると、図10に示すように、キャリッジ2が、キャップ部材7のキャッピング当接面の一部を構成するリブ24の左リブ前面25(図12参照)に記録ヘッド1の吐出口が対向する位置Yまで移動させる。この状態で、記録ヘッド1よりある一定量のインクを吐出すると、前記左リブ前面25(図12参照)の中央部にインクが付着し湿潤状態になる。
【0046】次に、図11に示すように、キャリッジ2が、キャップ部材7の右リブ前面26(図12参照)に記録ヘッド1の吐出口が対向する位置Zに移動し、同様に記録ヘッド1よりある一定量のインクを吐出すると、前記右リブ前面26の中央部が湿潤状態になる。この状態で、図4,図7および図8に示したように、第1実施例と同様に記録ヘッド1の吐出口形成面1Aやキャッピング当接面およびキャップ部材7のキャッピング当接面をワイピングすることで、キャップ部材7のキャッピング当接面を一様に湿潤状態にしつつクリーニングする。こののち、記録ヘッド1をキャップ部材7でキャッピングする。
【0047】なお、キャップ部材7の両側の後方にインク吸収体22,23(図9参照)をそれぞれ設けることで、キャップ部材7のリブ24(図12参照)からあふれたインクは回収される。
【0048】本実施例では、キャップ部材7のリブ前面すなわちキャッピング当接面(シール面)に直接インクを吐出することで確実にキャッピング当接面(シール面)を湿潤状態(濡れた状態)にすることが可能となり、さらに、湿潤に要するインク量を減らすことも可能になった。
【0049】また、本実施例において、キャップ部材7のリブ前面にインクを吐出させた後、図4,図5,図7および図8にそれぞれ示した動作を順次行うことにより、第1のワイパー部11Aをインクで湿潤させ、こののち、記録ヘッド1の吐出口形成面1Aやキャッピング当接面およびキャップ部材7のキャッピング当接面をワイピングすることで、記録ヘッド1のキャッピング当接面および吐出口形成面1Aおよびキャップ部材7のキャッピング当接面をそれぞれ一様に湿潤状態にしつつクリーニングしてもよい。
(第3実施例)本実施例のインクジェット記録装置における記録ヘッドおよびキャップ部材のクリーニング方法では、キャップ部材7のキャッピング当接面の湿潤に記録ヘッド1のインクを使用せず、不揮発性の溶剤を使用するものであり、以下詳述する。
【0050】図13に示すように、符号27は不揮発性のグリセリン等の溶剤を含んだスポンジを示しており、このスポンジ27は、ワイパーレバー12が待機位置にあるときにキャップ部材7のキャッピング当接面をワイピングするための第2のワイパー部11Bが湾曲してスポンジ27に接触する位置に設けられている。
【0051】第2のワイパー部11Bが不揮発性の溶剤で常に湿潤状態にあり、図4,図7および図8に示すように、記録ヘッド1の吐出口形成面1Aやキャッピング当接面およびキャップ部材7のキャッピング当接面を第1および第2のワイパー部11A,11Bでそれぞれワイピングすることにより、キャップ部材7を湿潤状態にすることが可能となる。こののち、記録ヘッド1をキャップ部材7でキャッピングする。
【0052】本実施例では、記録ヘッドの印字用のインクをキャップ部材7のキャッピング当接面の湿潤に使用しないため記録ヘッドの印字可能文字数が向上した。
【0053】本実施例において、図13に示した状態から、図4,図5,図7および図8にそれぞれ示した動作を順次行うことにより、第1のワイパー部11Aをインクで湿潤させ、こののち、記録ヘッド1の吐出口形成面1Aやキャッピング当接面およびキャップ部材7のキャッピング当接面をワイピングしてもよい。
【0054】上述した第2および第3実施例においても、数回のクリーニングを繰返してもよい。
【0055】本発明は、特にインクジェット記録方式の中でも、インクと吐出するために利用されるエネルギとして熱エネルギーを発生する手段(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エネルギーによりインクの状態変化を生起させる方式の記録ヘッド、インクジェット記録装置において、優れた効果をもたらすものである。
【0056】その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4723129号明細書、同第4740796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行なうものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持されているシートや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号に印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰させて、結果的に個の駆動信号に一対一対応し液体(インク)内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成長、収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させて、少なくとの一つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行なわれるので、特に応答性の優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4463359号明細書、同第4345262号明細書に記載されているようなものが適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4313124号明細書に記載されている条件を採用すると、さらに優れた記録を行なうことができる。
【0057】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体の組み合わせ構成(直線状液流路又は直角液流路)の他に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4558333号明細書、米国特許第4459600号明細書を用いた構成も本発明に含まれるものである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示する特開昭59年第123670号公報や熱エネルギーの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示する特開昭59年第138461号公報に基づいた構成としても本発明は有効である。
【0058】さらに、記録装置が記録できる最大記録媒体の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドとしては、上述した明細書に開示されているような複数記録ヘッドの組み合わせによって、その長さを満たす構成や一体的に形成された一個の記録ヘッドとしての構成のいずれかでもよいが、本発明は、上述した効果を一層有効に発揮することができる。
【0059】加えて、装置本体に装着されることで、装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一体的に設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
【0060】また、本発明の記録装置の構成として設けられる、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助手段等を付加することは本発明の効果を一層安定できるので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対しての加圧手段、電気熱変換体あるいはこれとは別の加熱素子あるいはこれらの組み合わせによる予備加熱手段等を行なうことも安定した記録を行なうために有効である。
【0061】さらに、記録装置の記録モードとしては黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによってでもよいが、異なる色の複色カラー又は、混色によるフルカラーの少なくとも一つを備えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0062】以上説明した本発明実施例においては、インクを液体として説明しているが、室温やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化もしくは液体あるいは、上述のインクジェットではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲内で温度調節を行なってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように温度制御するものが一般的であるから、使用記録信号付与時にインクを液状をなすものであればよい。加えて、積極的に熱エネルギーによる昇温をインクの固形状態から液体状態への態変化のエネルギーとして使用せしめることで防止するか又は、インクの蒸発防止を目的として放置状態で固化するインクを用いるかして、いずれにしても熱エネルギーの記録信号に応じた付与によってインクが液化してインク液状として吐出するものや記録媒体に到達する時点ではすでに固化し始めるもの等のような、熱エネルギーによって初めて液化する性質のインク使用も本発明には適用可能である。このような場合インクは、特開昭54−56847号公報あるいは特開昭60−71260号公報に記載されるような、多孔質シート凹部又は貫通孔に液状又は固形物として保持された状態で、電気熱変換体に対して対向するような形態としてもよい。本発明においては、上述した各インクに対して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するものである。
【0063】また、搭載される記録ヘッドの種類ないし個数についても、例えば単色のインクに対応して1個のみが設けられたもののほか、記録色や濃度を異にする複数のインクに対応して複数個設けられるものであってもよい。
【0064】さらに加えて、本発明のインクジェット記録装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の画像出力端末として用いられるものの他、リーダ等の組み合わせた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシミリ装置の形態をとるものであってもよい。
【0065】
【発明の効果】本発明は、以上説明したとおり構成されているので、以下に記載するような効果を奏する。
【0066】請求項1,2および3に記載の発明では、記録ヘッドおよびキャップ部材のそれぞれキャッピング当接面の少なくとも一方のキャッピング当接面(シール面)を湿潤させた後、キャップ部材で記録ヘッドをキャッピングすることで、キャッピング当接面に存在する微細な凹凸に水分等が入り込み、キャッピングによる密閉性を大幅に向上することができた。
【0067】また、キャッピング当接面を湿潤状態あるいは湿潤させつつワイピングするため、キャッピング当接面に傷が付かない。
【0068】さらに、キャッピング当接面に乾燥して固着した紙屑や塵埃等の固型物を、湿潤、溶解してワイピングすることにより、確実に除去可能となった。
【0069】請求項4に記載の発明では、上記効果の他、キャップ部材のキャッピング当接面(シール面)に直接インクを吐出することで確実にキャッピング当接面を湿潤状態(濡れた状態)にすることが可能となり、さらに、湿潤に要するインク量を減らすことも可能となった。
【0070】請求項5に記載の発明では、上記効果の他、記録ヘッドの印字用のインクをキャッピング当接面の湿潤に使用したいため、記録ヘッドの印字可能文字数ひいてはランニングコストが向上した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット記録装置における記録ヘッドおよびキャップ部材のクリーニング方法の第1実施例に係るインクジェット記録装置の概略上面図である。
【図2】図1の概略側面図である。
【図3】図1および図2に示した記録ヘッドの概略斜視図である。
【図4】第1実施例のインクジェット記録装置における記録ヘッドおよびキャップ部材のクリーニング方法を説明するための図で、ワイパーレバーが待機位置にある状態を示している。
【図5】図4と同様な図で、記録ヘッドよりワイパーの第1のワイパー部に向けてインクが吐出されている状態を示している。
【図6】図4と同様な図で、記録ヘッドよりワイパーの第2のワイパー部に向けてインクが吐出されている状態を示している。
【図7】図4と同様な図で、ワイパーが90度だけ回転してクリーニング位置にある状態を示している。
【図8】図4と同様な図で、ワイパーによって記録ヘッドおよびキャップ部材がクリーニングされている状態を示している。
【図9】第2実施例のインクジェット記録装置における記録ヘッドおよびキャップ部材のクリーニング方法を説明するための図で、キャリッジがホームポジションにある状態を示している。
【図10】図9と同様な図で、記録ヘッドの吐出口形成面がキャップ部材の左側のリブ前面に対向している状態を示している。
【図11】図9と同様な図で、記録ヘッドの吐出口形成面がキャップ部材の右側のリブ前面に対向している状態を示している。
【図12】図9,図10および図11等に示したキャップ部材の正面図である。
【図13】第3実施例のインクジェット記録装置における記録ヘッドおよびキャップ部材のクリーニング方法を説明するための図で、ワイパーレバーが待機位置にある状態を示している。
【図14】従来のクリーニング方法を説明するための図で、ヘッド回復装置の概略斜視図である。
【図15】図14と同様な図で、記録ヘッドがキャップ部材でキャッピングされている状態を示している。
【符号の説明】
1 記録ヘッド
1A 吐出口形成面
1B 吐出口
1C 電気熱変換体
2 キャリッジ
3A プラテン
3B 記録紙(被記録媒体)
4 吸引チューブ
5 吸引ポンプ
5A ピストン
6 ポンプレバー
7 キャップ部材
8A,8B ガイド軸
9 キャップホルダー
10 突起(ピン)
11 ワイパー
11A 第1のワイパー部
11B 第2のワイパー部
11C レバー部
12 ワイパーレバー
12A 長孔
13 軸
14 ベース
15 ばね
16 歯車
17 位置決めカム
18,19 ブレード
20,21 インク
22,23 インク吸収体
24 リブ
25 左リブ前面
26 右リブ前面
27 スポンジ
28 支軸
29 ワイパーセットレバー
29A 溝
29B 突起
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、被記録媒体にインクを吐出口から吐出することにより記録を行う記録ヘッドと、該記録ヘッドに当接してその吐出口形成面を密閉するためのキャップ部材と、前記記録ヘッドをクリーニングするためのワイパーとを備えたインクジェット記録装置および該インクジェット記録装置における記録ヘッドおよびキャップ部材のクリーニング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】紙やOHP用シート等の被記録媒体に記録を行う記録装置は、種々の記録方式による記録ヘッドを搭載した形態で提案されている。すなわち、この記録ヘッドには、ワイヤドット方式、感熱方式、熱転写方式あるいはインクジェット記録方式のものがあり、これらの中でもインクジェット記録方式の記録ヘッドを搭載した記録装置は、被記録媒体にインクを吐出することにより記録を行うものなので、ライニングコストが安い上、静かな記録方法として注目されている。
【0003】このインクジェット記録装置において、記録ヘッドには、インクが吐出される複数個の微細な吐出口と、各吐出口が配列されて開口する面である吐出口形成面とが形成されている。前記各吐出口に紙屑やほこり等の塵埃や増粘したインクが付着したり、記録ヘッド内のインクに気泡が混入したりすると、各吐出口が目詰りし、インクの吐出が不安定になるばかりか、吐出不良が発生する。そこで、吐出安定化や吐出正常化を図るために、ヘッド回復装置が提案されている。
【0004】このヘッド回復装置は、図14および図15R>5に示すように、記録ヘッド100に対して前進および後退する弾性材料で形成されたキャップ部材101と、このキャップ部材101が前進したときに記録ヘッド100の前面を圧接し、キャップ部材101と記録ヘッド100とで形成された空間ひいては吐出口形成面を密閉状態にするキャッピング機構と、前記キャップ部材101に吸引チューブ103を介して接続された負圧発生源102と、該負圧発生源102を作動させるためのポンプ機構等を有している。
【0005】記録装置の不使用時や記録中断時には、記録ヘッド100の吐出口形成面はキャップ部材101により密閉状態にあり、各吐出口の乾燥および各吐出口への塵埃の付着が防止される。
【0006】記録時にインクの吐出不良が発生した場合には、キャップ部材101を吐出口形成面に対向させた状態で記録ヘッド100内のインクに圧力を加えて各吐出口から強制的にインクを排出させたり、記録ヘッド100の吐出口形成面をキャップ部材101で覆い該キャップ部材101の内部を負圧発生源102により負圧にして各吐出口から強制的にインクを排出させたり、また、キャップ部材101を吐出口形成面に対向させた状態で記録ヘッド100の各吐出口から記録時と同様にインクを吐出させたりすることにより、前記塵埃、増粘したインク、気泡等の吐出不良原因を除去する吐出回復処理が行われる。
【0007】また、記録中に記録ヘッド100の前面に付着する紙屑や塵埃を除去するために、ゴム等の弾性材料よりなるワイパーを前記前面に摺接させてクリーニングするクリーニング機構を備えたヘッド回復装置もある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来例では、記録ヘッドをキャップ部材でキャッピングするときに、記録ヘッドおよびキャップ部材のそれぞれのキャッピング当接面(シール面)が乾燥状態にあるため、以下に記載するような問題点がある。
【0009】(1)先ず、図14および図15に示したように、記録ヘッド100およびキャップ部材101のそれぞれのキャッピング当接面に付着した紙屑や塵埃104が、インクとともに乾燥して前記キャッピング当接面に固着してしまい、記録ヘッド100のキャッピング当接面をワイパーで単にワイピングするだけでは、該ワイピングによる拭き取り力より前記紙屑や塵埃104の固着力が大きい場合、前記紙屑や塵埃104の除去が確実には行われず、前記紙屑や塵埃104がキャッピング当接面(シール面)に付着した状態で記録ヘッド100がキャップ部材101によりキャッピングされることになる。その結果、図15に示すように、キャッピング状態でキャップ部材101と記録ヘッド100との間に隙間105が発生し、十分な密閉状態が得られず、記録ヘッド100の各吐出口が乾燥したり、また、記録ヘッド100からインクを吸引するために、負圧発生源102を作動させたときに、隙間105からキャップ部材101内に空気が流入し、記録ヘッド100からのインク吸引が十分に行われず吐出の正常化が図れない。
【0010】(2)乾燥したワイパーにより記録ヘッド100の乾燥したキャッピング当接面をワイピングすることで、互いに付着していたインクや塵埃等の固型物がこすりつけられることになり、記録ヘッド100の吐出口形成面に傷が付いたり、撥水面がはがれ、インク吐出性能に悪影響を及ぼすことになる。
【0011】(3)記録ヘッド100およびキャップ部材101のキャッピング当接面には、ミクロ的に見れば凹凸があり、部品公差が積み重なったり、キャッピング当接面に傷等が付いたりして、あるいは近年の記録ヘッドの構成上、記録ヘッドのキャッピング当接面が、平坦でなく溝や斜面を有する場合、キャッピングの密閉性は著しく低下することになる。
【0012】本発明は、上記従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、キャップ部材による記録ヘッドのキャッピングの密閉性が大幅に向上するとともに、ワイパーによるキャッピング当接面のクリーニングの際、前記キャッピング当接面(シール面)に傷が付かないインクジェット記録装置および該インクジェット記録装置における記録ヘッドおよびキャップ部材のクリーニング方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するための本発明のインクジェット記録装置は、被記録媒体にインクを吐出口から吐出することにより記録を行う記録ヘッドと、該記録ヘッドに当接してその吐出口形成面を密閉するためのキャップ部材と、前記記録ヘッドおよび前記キャップ部材のそれぞれのキャッピング当接面をクリーニングするための第1のワイパー部および第2のワイパー部を備え、かつ前記それぞれのキャッピング当接面に摺接してほぼ同時にクリーニングすることにより、前記それぞれのキャッピング当接面の少なくとも一方のキャッピング当接面を湿潤させるためのワイパーとを備えている。
【0014】また、他の本発明は、被記録媒体にインクを吐出口から吐出することにより記録を行う記録ヘッドと、該記録ヘッドに当接してその吐出口形成面を密閉するためのキャップ部材と、前記記録ヘッドおよび前記キャップ部材のそれぞれのキャッピング当接面をクリーニングするための第1のワイパー部および第2のワイパー部を備え、かつ前記それぞれのキャッピング当接面に摺接してほぼ同時にクリーニングするためのワイパーとを備えたインクジェット記録装置における記録ヘッドおよびキャップ部材のクリーニング方法であって、前記キャップ部材によって前記記録ヘッドの吐出口形成面を密閉する前に、前記ワイパーによって前記それぞれのキャッピング当接面をクリーニングすることにより、前記それぞれのキャッピング当接面の少なくとも一方のキャッピング当接面を湿潤させることを特徴とする。
【0015】そして、記録ヘッドよりインクをワイパーの第1のワイパー部および第2のワイパー部の少なくとも一方に向けて吐出させた後、前記ワイパーにより前記記録ヘッドおよびキャップ部材のそれぞれのキャッピング当接面をクリーニングするものや、記録ヘッドよりインクをキャップ部材のキャッピング当接面に向けて吐出させた後、ワイパーにより前記記録ヘッドおよびキャップ部材のそれぞれのキャッピング当接面をクリーニングするものや、さらには、ワイパーの第1のワイパー部および第2のワイパー部の少なくとも一方に不揮発性の溶剤を付着させた後、前記ワイパーにより前記記録ヘッドおよびキャップ部材のそれぞれのキャッピング当接面をクリーニングするものとすることができる。
【0016】さらに、記録ヘッドは、被記録媒体の記録領域の全幅にわたって吐出口が形成されているフルラインタイプのものであるものや、熱エネルギーを利用してインクを吐出するものであって、該熱エネルギーを発生するための電気熱変換体を備えたものとすることができる。
【0017】
【作用】上記のとおり構成された請求項1および2に記載の発明では、記録ヘッドおよびキャップ部材のそれぞれのキャッピング当接面(シール面)の少なくとも一方のキャッピング当接面を湿潤状態にし、キャップ部材により記録ヘッドの吐出口形成面をキャッピングすることにより、
【0018】
【0019】
【0020】
【実施例】次に、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
(第1実施例)先ず、インクジェット記録装置の構成について説明する。
【0021】図1および図2に示すように、記録ヘッド1は、2本のガイド軸8A,8Bに摺動自在なキャリッジ2に搭載され、プラテン3Aに支持される被記録媒体としての記録紙3Bに記録を行う。この記録ヘッド1は、キャリッジ2上の図示しない制御基板に電気的に接続され、さらにケーブル(不図示)を介して記録装置本体内部の制御回路(不図示)に電気的に接続されている。また、記録ヘッド1は、インクを吐出する機能を有するインクジェットヘッドエレメントと、該インクジェットヘッドエレメントにインクを供給するためのインクタンクとが一体になったものであって、前記制御回路からの信号に基づいて、列状に配列された複数個の吐出口(不図示)からインクを前記記録紙3Bに吐出するものである。
【0022】ここで、記録ヘッド1の詳細について説明する。
【0023】図3に示すように、記録ヘッド1には、列状に設けられた複数個の吐出口1Bから記録液を吐出させるために、印加電圧が供給される熱エネルギーを発生させる電気熱変換体1Cが各液路毎に配設されている。そして駆動信号を印加することによって、前記電気熱変換体1Cに熱エネルギーを発生せしめて膜沸騰を生じインク液路内に気泡を形成し、この気泡の成長によって前記吐出口1Bからインク滴を吐出させる。
【0024】再び、図1および図2において、記録ヘッド1を密閉し得る弾性材料で形成されたキャップ部材7は、シリコンゴム、塩素化ブチルゴムその他弾性を有する適宜な材料で形成される。このキャップ部材7は、ベース14にガイドされるキャップホルダー9に固定されている。上述のキャップホルダー9の一側面には突起10が一体的に設けられ、この突起10の先端部は後述する歯車16の溝に挿入されている。歯車16は図示しないモータの出力軸と連結された位置決めカム17を一体的に備えている。ピストン5Aを備えた吸引ポンプ5は、吸引チューブ4を介しキャップ部材7に連通し、前記ピストン5Aがポンプレバー6で押圧されると動作するものである。ばね15は、キャップホルダー9の軸に取付けられており、キャップ部材7を前方に押すように付勢している。
【0025】記録装置本体に内蔵されているマイクロプロセッサなどの制御装置の指示によるモータ(図示せず)の回転と共に歯車16が回転し、キャップ部材7を内包したキャップホルダー9を前後移動させ、ホームポジションに位置するキャリッジ2の記録ヘッド1にキャップ部材7を圧接および離間させる。キャップ部材7の開閉状態は歯車16の位置決めカム17によって不図示の接点のキャップ接点をオン,オフさせることにより検知でき、その結果は前述した制御装置に入力される。吸引ポンプ5のオン,オフの検出はポンプレバー6の一端部で前記接点のポンプ接点を開閉して行う。
【0026】キャップ部材7の記録ヘッド1への密閉力(シール力)は、ばね15によりベース14にガイドされたキャップホルダー9の前進力により生じる。記録ヘッド1とベース14は一定の位置関係で設置されているので密閉力は一定となり、該密閉力は300g程度が好ましい。
【0027】次に、ヘッド回復装置の詳細について説明する。
【0028】キャップ部材7内にはインク吸収体(不図示)が収容されており、該インク吸収体は吸引チューブ4により吸引ポンプ5に連通されている。これにより、キャップ部材7により記録ヘッド1の吐出口形成面1Aを密封した状態で吸引ポンプ5を起動すると、記録ヘッド1のノズルからのインクがインク吸収体(不図示)に吸収され、またノズルおよびインク室内の空気は前記インク吸収体および吸引チューブ4を介してキャップ部材7外に排出される。
【0029】ベース14の上部には軸13が固定されており、この軸13には側方視湾曲した形状を有するワイパーセットレバー29の一端が回動自在に支持されている。このワイパーセットレバー29は、モータ(不図示)の駆動力で回転されるカム(不図示)によって軸13を支点として回動され、後述するワイパーレバー12を待機位置等の所定位置に保持するものである。ワイパーセットレバー29の他端には溝29Aが形成され、さらに該溝29Aよりも軸13側の部位側面には円柱状の突起29Bが一体的に突設されている。
【0030】ワイパーレバー12は、上述したワイパーセットレバー29とほぼ同形状となっており、その一端が軸13に回動自在に支持されている。このワイパーレバー12の他端部には後述するワイパー11の支軸28が回転自在に支持されている。
【0031】ワイパー11は、支軸28と、記録ヘッド1およびキャップ部材7をそれぞれほぼ同時にワイピングするための、前記支軸28に180度の間隔をおいて一体的に固着された第1のワイパー部11Aおよび第2のワイパー部11Bと、支軸28の第1のワイパー部11A側の部位に一体的に突設されたレバー部11Cとから構成されている。ワイパー11のレバー部11Cはワイパーセットレバー29の前記溝29Aに挿入されて係合されており、また、前記第1のワイパー部11Aおよび第2のワイパー部11Bは同一材料でそれぞれ形成され、具体的にはウレタンゴムやシリコンゴム等の適宜な材料で形成されている。また、ワイパーレバー12の、ワイパー11が設けられた前記他端部よりも軸13側の部位には長孔12Aが形成され、該長孔12Aには、上述したワイパーセットレバー29の突起29Bが挿入され、該突起29Bが長孔12Aの上端あるいは下端に当接して係合されている状態では、ワイパーセットレバー29の回動に追従してワイパーレバー12も軸13を支点として回動する。
【0032】ワイパー11の回転位置は、ワイパー11とワイパーレバー12の前記他端部とがほぼ平行になる待機位置(図2,4,5および6参照)と、ワイパー11とワイパーレバー12の前記他端部とがほぼ直交するクリーニング位置(図7および8参照)とがあり、各位置への設定は、ワイパーセットレバー29により行なわれる。すなわち、図2,4,5および6に示すように、ワイパーセットレバー29の突起29Bがワイパーレバー12の長孔12Aの上端に当接している状態では、ワイパーセットレバー29の溝29Aに係合されたレバー部11Cが押上げられ、ワイパー11はワイパーレバー12の前記他端部とほぼ平行になって待機位置にある。一方、この状態から図7および8に示すように、ワイパーセットレバー29が図示反時計回り方向に微小角度だけ回動すると、ワイパーセットレバー29の溝29Aに係合されたレバー部11Cが押下げられることで、ワイパー11は図示矢印方向に約90度だけ回転し、ワイパーレバー12の前記他端部とほぼ直交するクリーニング位置に達する。記録ヘッド1の前方には、第1および第2のワイパー部11A、11Bに付着した塵埃やインク等を拭き払うための2つのブレード18、19が配設されている。
【0033】次に、本実施例のインクジェット記録装置における記録ヘッドおよびキャップ部材のクリーニング方法について説明する。
【0034】図2に示したように、記録ヘッド1がキャップ部材7でキャッピングされている状態で、CPU(不図示)からキャップ部材7移動用の前記モータ(不図示)の駆動回路にワイピング信号が入力されると、図4R>4に示すように、キャップ部材7を内包したキャップホルダー9がばね15の弾発力に対抗して後退する。このとき、ワイパー11は待機位置にある。
【0035】ワイパーセットレバー29駆動用の前記モータ(不図示)によりワイパーセットレバー29が図示時計回り方向に所定角度だけ回動されることで、ワイパーセットレバー29の突起29Bに係合されたワイパーレバー12も回動し、ワイパー11は矢印A方向すなわち斜め上方へ移動し、図5に示すように、第1のワイパー部11Aが記録ヘッド1の吐出口形成面1Aに対向する位置に停止される。ついで、記録ヘッド1よりインクを所定量吐出させることにより、該インクを第1のワイパー部11Aに付着させ、先ず、第1のワイパー部11Aがインクで湿潤される。ついで、図6に示すように、第2のワイパー部11Bが記録ヘッド1の吐出口形成面1Aに対向するまで、ワイパーセットレバー29ひいてはワイパーレバー12が図示時計回り方向に回動された後、再び、記録ヘッド1より所定量のインクが吐出されることにより、第2のワイパー部11Bがインクで湿潤される。
【0036】こののち、図7に示すように、さらにワイパーセットレバー29ひいてはワイパーレバー12が図示時計回り方向にある角度だけ回動されることで、ワイパー11が記録ヘッド1およびキャップ部材7の上方部位間に移動される。ここで、前記ワイパーセットレバー29のみは、その突起29Bがワイパーレバー12の長孔12Aの下端に当接するまで所定の微小角度だけ逆回転させることで、ワイパーセットレバー29の溝29Aによってワイパー11のレバー部11Cが押し下げられ、ワイパー11が矢印で示すように図示反時計回り方向に90度だけ回転されてクリーニング位置に保持される。このとき、第1のワイパー部11Aおよび第2のワイパー部11Bは記録ヘッド1およびキャップ部材7側へそれぞれ突出している。
【0037】この状態で、図8に示すように、ワイパーセットレバー29ひいてはワイパーレバー12が図示反時計回り方向に移動されると、ワイパー11は矢印B方向すなわち斜め下方に移動し、この際、インクによりそれぞれ湿潤した第1のワイパー部11Aおよび第2のワイパー部11Bがたわみながら記録ヘッド1の吐出口形成面1Aやキャッピング当接面およびキャップ部材7のキャッピング当接面に摺接して、それぞれクリーニングする。このとき、予めインクでそれぞれ湿潤した第1のワイパー部11Aおよび第2のワイパー部11Bにより、記録ヘッド1の吐出口形成面1Aやキャッピング当接面およびキャップ部材7のキャッピング当接面が湿潤されると同時に、記録ヘッド1の吐出口形成面1Aやキャッピング当接面およびキャップ部材7のキャッピング当接面(シール面)に付着していた塵埃や紙屑を湿り気を与えつつ除去してクリーニングすることが可能となる。
【0038】該クリーニング後、第1のワイパー部11Aおよび第2のワイパー部11Bはさらに矢印B方向に移動することで、ブレード18,19にそれぞれ当接し、ブレード18,19により第1のワイパー部11Aおよび第2のワイパー部11B上の塵埃やインク等がかき取られた後に、ワイパーレバー12は待機位置に戻る。さらに、ワイパーセットレバー29のリセットがかかり、すなわち、ワイパーセットレバー29が図示時計回り方向に前記微小角度だけ回動することにより、ワイパーセットレバー29の溝29Bによってワイパー11のレバー部11Cが押上げられ、ワイパー11は図示時計回り方向に90度だけ回転して待機位置に戻る(図4参照)。
【0039】記録ヘッド1およびキャップ部材7のそれぞれのキャッピング当接面が湿潤状態にあり、キャップ部材7を内包したキャップホルダー9を前進させてキャップ部材7の先端が記録ヘッド1に当接して若干変形するように押圧する。すると、ばね15が圧縮されているので、その反発力によりキャップ部材7は記録ヘッド1に圧接され、吐出口形成面1Aを密閉する。
【0040】上記のとおり構成された本実施例では、記録ヘッド1の吐出口形成面1Aとキャッピング当接面(シール面)およびキャップ部材7のキャッピング当接面を、インクでそれぞれ湿潤状態(濡れた状態)にし、キャップ部材7により記録ヘッド1の吐出口形成面1Aをキャッピングすることにより、
【0041】
【0042】
【0043】本実施例において、吐出口形成面1Aやキャッピング当接面(シール面)になんらかの要因で乾燥しインクで強固に固着してしまった塵埃や紙屑は、前述の図4〜図8の動作を繰り返すことにより、確実に湿り気を与え、固着したインクを溶解し、ワイピングにより確実に、除去可能となる。
【0044】また、本実施例では、第1および第2のワイパー部11A、11Bの両方をインクで湿潤させ、記録ヘッド1のキャッピング当接面およびキャップ部材7のキャッピング当接面の両方を湿潤状態にしたが、これに限られず、第1および第2のワイパー部11A、11Bの一方のみをインクで湿潤させ、片側のキャッピング当接面のみを湿潤させてもよい。
(第2実施例)第2実施例のインクジェット記録装置における記録ヘッドおよびキャップ部材のクリーニング方法は、記録ヘッドから吐出するインクを直接キャップ部材のキャッピング当接面(シール面)に付着させて湿潤させるものであり、以下詳述する。
【0045】図9に示すように、符号Xで示す位置はキャリッジ2のホームポジションすなわち記録ヘッド1がキャップ部材7に対向する位置を示しており、キャリッジ2が符号Xの位置にある状態で、ワイパーレバー12駆動用のモータ(不図示)の駆動回路にワイピング信号が入力されると、図10に示すように、キャリッジ2が、キャップ部材7のキャッピング当接面の一部を構成するリブ24の左リブ前面25(図12参照)に記録ヘッド1の吐出口が対向する位置Yまで移動させる。この状態で、記録ヘッド1よりある一定量のインクを吐出すると、前記左リブ前面25(図12参照)の中央部にインクが付着し湿潤状態になる。
【0046】次に、図11に示すように、キャリッジ2が、キャップ部材7の右リブ前面26(図12参照)に記録ヘッド1の吐出口が対向する位置Zに移動し、同様に記録ヘッド1よりある一定量のインクを吐出すると、前記右リブ前面26の中央部が湿潤状態になる。この状態で、図4,図7および図8に示したように、第1実施例と同様に記録ヘッド1の吐出口形成面1Aやキャッピング当接面およびキャップ部材7のキャッピング当接面をワイピングすることで、キャップ部材7のキャッピング当接面を一様に湿潤状態にしつつクリーニングする。こののち、記録ヘッド1をキャップ部材7でキャッピングする。
【0047】なお、キャップ部材7の両側の後方にインク吸収体22,23(図9参照)をそれぞれ設けることで、キャップ部材7のリブ24(図12参照)からあふれたインクは回収される。
【0048】本実施例では、キャップ部材7のリブ前面すなわちキャッピング当接面(シール面)に直接インクを吐出することで確実にキャッピング当接面(シール面)を湿潤状態(濡れた状態)にすることが可能となり、さらに、湿潤に要するインク量を減らすことも可能になった。
【0049】また、本実施例において、キャップ部材7のリブ前面にインクを吐出させた後、図4,図5,図7および図8にそれぞれ示した動作を順次行うことにより、第1のワイパー部11Aをインクで湿潤させ、こののち、記録ヘッド1の吐出口形成面1Aやキャッピング当接面およびキャップ部材7のキャッピング当接面をワイピングすることで、記録ヘッド1のキャッピング当接面および吐出口形成面1Aおよびキャップ部材7のキャッピング当接面をそれぞれ一様に湿潤状態にしつつクリーニングしてもよい。
(第3実施例)本実施例のインクジェット記録装置における記録ヘッドおよびキャップ部材のクリーニング方法では、キャップ部材7のキャッピング当接面の湿潤に記録ヘッド1のインクを使用せず、不揮発性の溶剤を使用するものであり、以下詳述する。
【0050】図13に示すように、符号27は不揮発性のグリセリン等の溶剤を含んだスポンジを示しており、このスポンジ27は、ワイパーレバー12が待機位置にあるときにキャップ部材7のキャッピング当接面をワイピングするための第2のワイパー部11Bが湾曲してスポンジ27に接触する位置に設けられている。
【0051】第2のワイパー部11Bが不揮発性の溶剤で常に湿潤状態にあり、図4,図7および図8に示すように、記録ヘッド1の吐出口形成面1Aやキャッピング当接面およびキャップ部材7のキャッピング当接面を第1および第2のワイパー部11A,11Bでそれぞれワイピングすることにより、キャップ部材7を湿潤状態にすることが可能となる。こののち、記録ヘッド1をキャップ部材7でキャッピングする。
【0052】本実施例では、記録ヘッドの印字用のインクをキャップ部材7のキャッピング当接面の湿潤に使用しないため記録ヘッドの印字可能文字数が向上した。
【0053】本実施例において、図13に示した状態から、図4,図5,図7および図8にそれぞれ示した動作を順次行うことにより、第1のワイパー部11Aをインクで湿潤させ、こののち、記録ヘッド1の吐出口形成面1Aやキャッピング当接面およびキャップ部材7のキャッピング当接面をワイピングしてもよい。
【0054】上述した第2および第3実施例においても、数回のクリーニングを繰返してもよい。
【0055】本発明は、特にインクジェット記録方式の中でも、インクと吐出するために利用されるエネルギとして熱エネルギーを発生する手段(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エネルギーによりインクの状態変化を生起させる方式の記録ヘッド、インクジェット記録装置において、優れた効果をもたらすものである。
【0056】その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4723129号明細書、同第4740796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行なうものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持されているシートや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号に印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰させて、結果的に個の駆動信号に一対一対応し液体(インク)内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成長、収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させて、少なくとの一つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行なわれるので、特に応答性の優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4463359号明細書、同第4345262号明細書に記載されているようなものが適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4313124号明細書に記載されている条件を採用すると、さらに優れた記録を行なうことができる。
【0057】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体の組み合わせ構成(直線状液流路又は直角液流路)の他に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4558333号明細書、米国特許第4459600号明細書を用いた構成も本発明に含まれるものである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示する特開昭59年第123670号公報や熱エネルギーの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示する特開昭59年第138461号公報に基づいた構成としても本発明は有効である。
【0058】さらに、記録装置が記録できる最大記録媒体の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドとしては、上述した明細書に開示されているような複数記録ヘッドの組み合わせによって、その長さを満たす構成や一体的に形成された一個の記録ヘッドとしての構成のいずれかでもよいが、本発明は、上述した効果を一層有効に発揮することができる。
【0059】加えて、装置本体に装着されることで、装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一体的に設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
【0060】また、本発明の記録装置の構成として設けられる、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助手段等を付加することは本発明の効果を一層安定できるので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対しての加圧手段、電気熱変換体あるいはこれとは別の加熱素子あるいはこれらの組み合わせによる予備加熱手段等を行なうことも安定した記録を行なうために有効である。
【0061】さらに、記録装置の記録モードとしては黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによってでもよいが、異なる色の複色カラー又は、混色によるフルカラーの少なくとも一つを備えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0062】以上説明した本発明実施例においては、インクを液体として説明しているが、室温やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化もしくは液体あるいは、上述のインクジェットではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲内で温度調節を行なってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように温度制御するものが一般的であるから、使用記録信号付与時にインクを液状をなすものであればよい。加えて、積極的に熱エネルギーによる昇温をインクの固形状態から液体状態への態変化のエネルギーとして使用せしめることで防止するか又は、インクの蒸発防止を目的として放置状態で固化するインクを用いるかして、いずれにしても熱エネルギーの記録信号に応じた付与によってインクが液化してインク液状として吐出するものや記録媒体に到達する時点ではすでに固化し始めるもの等のような、熱エネルギーによって初めて液化する性質のインク使用も本発明には適用可能である。このような場合インクは、特開昭54−56847号公報あるいは特開昭60−71260号公報に記載されるような、多孔質シート凹部又は貫通孔に液状又は固形物として保持された状態で、電気熱変換体に対して対向するような形態としてもよい。本発明においては、上述した各インクに対して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するものである。
【0063】また、搭載される記録ヘッドの種類ないし個数についても、例えば単色のインクに対応して1個のみが設けられたもののほか、記録色や濃度を異にする複数のインクに対応して複数個設けられるものであってもよい。
【0064】さらに加えて、本発明のインクジェット記録装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の画像出力端末として用いられるものの他、リーダ等の組み合わせた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシミリ装置の形態をとるものであってもよい。
【0065】
【発明の効果】本発明は、以上説明したとおり構成されているので、以下に記載するような効果を奏する。
【0066】請求項1,2および3に記載の発明では、記録ヘッドおよびキャップ部材のそれぞれキャッピング当接面の少なくとも一方のキャッピング当接面(シール面)を湿潤させた後、キャップ部材で記録ヘッドをキャッピングすることで、キャッピング当接面に存在する微細な凹凸に水分等が入り込み、キャッピングによる密閉性を大幅に向上することができた。
【0067】また、キャッピング当接面を湿潤状態あるいは湿潤させつつワイピングするため、キャッピング当接面に傷が付かない。
【0068】さらに、キャッピング当接面に乾燥して固着した紙屑や塵埃等の固型物を、湿潤、溶解してワイピングすることにより、確実に除去可能となった。
【0069】請求項4に記載の発明では、上記効果の他、キャップ部材のキャッピング当接面(シール面)に直接インクを吐出することで確実にキャッピング当接面を湿潤状態(濡れた状態)にすることが可能となり、さらに、湿潤に要するインク量を減らすことも可能となった。
【0070】請求項5に記載の発明では、上記効果の他、記録ヘッドの印字用のインクをキャッピング当接面の湿潤に使用したいため、記録ヘッドの印字可能文字数ひいてはランニングコストが向上した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット記録装置における記録ヘッドおよびキャップ部材のクリーニング方法の第1実施例に係るインクジェット記録装置の概略上面図である。
【図2】図1の概略側面図である。
【図3】図1および図2に示した記録ヘッドの概略斜視図である。
【図4】第1実施例のインクジェット記録装置における記録ヘッドおよびキャップ部材のクリーニング方法を説明するための図で、ワイパーレバーが待機位置にある状態を示している。
【図5】図4と同様な図で、記録ヘッドよりワイパーの第1のワイパー部に向けてインクが吐出されている状態を示している。
【図6】図4と同様な図で、記録ヘッドよりワイパーの第2のワイパー部に向けてインクが吐出されている状態を示している。
【図7】図4と同様な図で、ワイパーが90度だけ回転してクリーニング位置にある状態を示している。
【図8】図4と同様な図で、ワイパーによって記録ヘッドおよびキャップ部材がクリーニングされている状態を示している。
【図9】第2実施例のインクジェット記録装置における記録ヘッドおよびキャップ部材のクリーニング方法を説明するための図で、キャリッジがホームポジションにある状態を示している。
【図10】図9と同様な図で、記録ヘッドの吐出口形成面がキャップ部材の左側のリブ前面に対向している状態を示している。
【図11】図9と同様な図で、記録ヘッドの吐出口形成面がキャップ部材の右側のリブ前面に対向している状態を示している。
【図12】図9,図10および図11等に示したキャップ部材の正面図である。
【図13】第3実施例のインクジェット記録装置における記録ヘッドおよびキャップ部材のクリーニング方法を説明するための図で、ワイパーレバーが待機位置にある状態を示している。
【図14】従来のクリーニング方法を説明するための図で、ヘッド回復装置の概略斜視図である。
【図15】図14と同様な図で、記録ヘッドがキャップ部材でキャッピングされている状態を示している。
【符号の説明】
1 記録ヘッド
1A 吐出口形成面
1B 吐出口
1C 電気熱変換体
2 キャリッジ
3A プラテン
3B 記録紙(被記録媒体)
4 吸引チューブ
5 吸引ポンプ
5A ピストン
6 ポンプレバー
7 キャップ部材
8A,8B ガイド軸
9 キャップホルダー
10 突起(ピン)
11 ワイパー
11A 第1のワイパー部
11B 第2のワイパー部
11C レバー部
12 ワイパーレバー
12A 長孔
13 軸
14 ベース
15 ばね
16 歯車
17 位置決めカム
18,19 ブレード
20,21 インク
22,23 インク吸収体
24 リブ
25 左リブ前面
26 右リブ前面
27 スポンジ
28 支軸
29 ワイパーセットレバー
29A 溝
29B 突起
【特許請求の範囲】
【請求項1】 被記録媒体にインクを吐出口から吐出することにより記録を行う記録ヘッドと、該記録ヘッドに当接してその吐出口形成面を密閉するためのキャップ部材と、前記記録ヘッドおよび前記キャップ部材のそれぞれのキャッピング当接面をクリーニングするための第1のワイパー部および第2のワイパー部を備え、かつ前記それぞれのキャッピング当接面に摺接してほぼ同時にクリーニングすることにより、前記それぞれのキャッピング当接面の少なくとも一方のキャッピング当接面を湿潤させるためのワイパーとを備えたインクジェット記録装置。
【請求項2】 被記録媒体にインクを吐出口から吐出することにより記録を行う記録ヘッドと、該記録ヘッドに当接してその吐出口形成面を密閉するためのキャップ部材と、前記記録ヘッドおよび前記キャップ部材のそれぞれのキャッピング当接面をクリーニングするための第1のワイパー部および第2のワイパー部を備え、かつ前記それぞれのキャッピング当接面に摺接してほぼ同時にクリーニングするためのワイパーとを備えたインクジェット記録装置における記録ヘッドおよびキャップ部材のクリーニング方法であって、前記キャップ部材によって前記記録ヘッドの吐出口形成面を密閉する前に、前記ワイパーによって前記それぞれのキャッピング当接面をクリーニングすることにより、前記それぞれのキャッピング当接面の少なくとも一方のキャッピング当接面を湿潤させることを特徴とする、インクジェット記録装置における記録ヘッドおよびキャップ部材のクリーニング方法。
【請求項3】 記録ヘッドよりインクをワイパーの第1のワイパー部および第2のワイパー部の少なくとも一方に向けて吐出させた後、前記ワイパーにより前記記録ヘッドおよびキャップ部材のそれぞれのキャッピング当接面をクリーニングする請求項2に記載のインクジェット記録装置における記録ヘッドおよびキャップ部材のクリーニング方法。
【請求項4】 記録ヘッドよりインクをキャップ部材のキャッピング当接面に向けて吐出させた後、ワイパーにより前記記録ヘッドおよびキャップ部材のそれぞれのキャッピング当接面をクリーニングする請求項2に記載のインクジェット記録装置における記録ヘッドおよびキャップ部材のクリーニング方法。
【請求項5】 ワイパーの第1のワイパー部および第2のワイパー部の少なくとも一方に不揮発性の溶剤を付着させた後、前記ワイパーにより前記記録ヘッドおよびキャップ部材のそれぞれのキャッピング当接面をクリーニングする請求項2に記載のインクジェット記録装置における記録ヘッドおよびキャップ部材のクリーニング方法。
【請求項6】 記録ヘッドは、被記録媒体の記録領域の全幅にわたって吐出口が形成されているフルラインタイプのものである請求項2,3,4および5のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置における記録ヘッドおよびキャップ部材のクリーニング方法。
【請求項7】 記録ヘッドは、熱エネルギーを利用してインクを吐出するものであって、該熱エネルギーを発生するための電気熱変換体を備えたものとした請求項2,3,4,5および6のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置における記録ヘッドおよびキャップ部材のクリーニング方法。
【請求項1】 被記録媒体にインクを吐出口から吐出することにより記録を行う記録ヘッドと、該記録ヘッドに当接してその吐出口形成面を密閉するためのキャップ部材と、前記記録ヘッドおよび前記キャップ部材のそれぞれのキャッピング当接面をクリーニングするための第1のワイパー部および第2のワイパー部を備え、かつ前記それぞれのキャッピング当接面に摺接してほぼ同時にクリーニングすることにより、前記それぞれのキャッピング当接面の少なくとも一方のキャッピング当接面を湿潤させるためのワイパーとを備えたインクジェット記録装置。
【請求項2】 被記録媒体にインクを吐出口から吐出することにより記録を行う記録ヘッドと、該記録ヘッドに当接してその吐出口形成面を密閉するためのキャップ部材と、前記記録ヘッドおよび前記キャップ部材のそれぞれのキャッピング当接面をクリーニングするための第1のワイパー部および第2のワイパー部を備え、かつ前記それぞれのキャッピング当接面に摺接してほぼ同時にクリーニングするためのワイパーとを備えたインクジェット記録装置における記録ヘッドおよびキャップ部材のクリーニング方法であって、前記キャップ部材によって前記記録ヘッドの吐出口形成面を密閉する前に、前記ワイパーによって前記それぞれのキャッピング当接面をクリーニングすることにより、前記それぞれのキャッピング当接面の少なくとも一方のキャッピング当接面を湿潤させることを特徴とする、インクジェット記録装置における記録ヘッドおよびキャップ部材のクリーニング方法。
【請求項3】 記録ヘッドよりインクをワイパーの第1のワイパー部および第2のワイパー部の少なくとも一方に向けて吐出させた後、前記ワイパーにより前記記録ヘッドおよびキャップ部材のそれぞれのキャッピング当接面をクリーニングする請求項2に記載のインクジェット記録装置における記録ヘッドおよびキャップ部材のクリーニング方法。
【請求項4】 記録ヘッドよりインクをキャップ部材のキャッピング当接面に向けて吐出させた後、ワイパーにより前記記録ヘッドおよびキャップ部材のそれぞれのキャッピング当接面をクリーニングする請求項2に記載のインクジェット記録装置における記録ヘッドおよびキャップ部材のクリーニング方法。
【請求項5】 ワイパーの第1のワイパー部および第2のワイパー部の少なくとも一方に不揮発性の溶剤を付着させた後、前記ワイパーにより前記記録ヘッドおよびキャップ部材のそれぞれのキャッピング当接面をクリーニングする請求項2に記載のインクジェット記録装置における記録ヘッドおよびキャップ部材のクリーニング方法。
【請求項6】 記録ヘッドは、被記録媒体の記録領域の全幅にわたって吐出口が形成されているフルラインタイプのものである請求項2,3,4および5のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置における記録ヘッドおよびキャップ部材のクリーニング方法。
【請求項7】 記録ヘッドは、熱エネルギーを利用してインクを吐出するものであって、該熱エネルギーを発生するための電気熱変換体を備えたものとした請求項2,3,4,5および6のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置における記録ヘッドおよびキャップ部材のクリーニング方法。
【図1】
【図3】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図12】
【図14】
【図7】
【図8】
【図15】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図3】
【図2】
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【図14】
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【図8】
【図15】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【公開番号】特開平5−162320
【公開日】平成5年(1993)6月29日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−330760
【出願日】平成3年(1991)12月13日
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【公開日】平成5年(1993)6月29日
【国際特許分類】
【出願日】平成3年(1991)12月13日
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
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