説明

インクジェット記録装置

【課題】記録媒体への汚染を抑制できると共に、設置スペースを効率良く利用でき、記録媒体両面への連続印字が可能なインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】記録媒体1の一方の面1aに印字する第1記録ヘッド2a、及び、印字後の記録媒体1を加熱乾燥する第1乾燥ドラム3a、を有する第1ユニット10aと、記録媒体1の他方の面1bを印字する第2記録ヘッド2b、及び、印字後の記録媒体1を加熱乾燥する第2乾燥ドラム3b、を有する第2ユニット10bと、を備え、第1ユニット10aと第2ユニット10bとが隣接しており、第1ユニット10a内において、記録媒体1が第2ユニット10b側から反対側に向かって走行する際に一方の面1aが印字され、第2ユニット10b内において、記録媒体1が第1ユニット10a側から反対側に向かって走行する際に他方の面1bが印字される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置に関し、更に詳しくは、記録媒体への汚染を抑制できると共に、設置スペースを効率良く利用でき、記録媒体両面への連続印字が可能なインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にインクジェット記録方式は、所望のデザインや文字を印字できることから、多くの分野で用いられている。
近年、インクジェット記録方式にてデザインや文字を両面に印字した記録媒体が求められている。
【0003】
記録媒体の両面にインクジェット記録方式で印字する方法としては、同じインクジェット記録装置で2度印字するバッジ式方法がある。
例えば、記録媒体の一方の面にインクジェット記録方式で印字した後、記録媒体を反転させ、記録媒体の他方の面にインクジェット記録方式で印字する方法である。
ところが、かかるバッジ式方法は、デザインによっては多くのインクを付与する必要があるので、一旦乾燥させないと、画像が滲んでしまうおそれがある。このため、連続印字ができず、生産性が乏しい。
【0004】
これに対し、2つの印字ユニットと乾燥機とを有するインクジェット記録装置が知られている(例えば、特許文献1又は2参照)。
かかるインクジェット記録装置によれば、記録媒体の両面に連続して印字することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−240068号公報
【特許文献2】特開2002−234214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1記載の表裏印字装置においては、高周波乾燥機を用いるので必然的に大きな設置スペースが必要となる欠点がある。
一方、上記特許文献2記載の表裏印字装置においては、印字部が上下に配置され1つの区画内にあるので、インクが飛び散り、浮遊インクが記録媒体を汚染するおそれがある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、記録媒体への汚染を抑制できると共に、設置スペースを効率良く利用でき、記録媒体両面への連続印字が可能なインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、乾燥機として乾燥ドラムを用いることで設置スペースの効率を上げ、記録媒体の走行方向を考慮することにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、(1)記録媒体の両面に連続して印字可能なインクジェット記録装置であって、記録媒体の一方の面に印字する第1インクジェット記録ヘッド、及び、該第1インクジェット記録ヘッドの下方に位置し、印字後の記録媒体を加熱乾燥する第1乾燥ドラム、を有する第1ユニットと、記録媒体の他方の面を印字する第2インクジェット記録ヘッド、及び、該第2インクジェット記録ヘッドの下方に位置し、印字後の記録媒体を加熱乾燥する第2乾燥ドラム、を有する第2ユニットと、を備え、第1ユニットと第2ユニットとが隣接しており、第1ユニット内において、記録媒体が第2ユニット側から反対側に向かって走行する際に一方の面が印字され、第2ユニット内において、記録媒体が第1ユニット側から反対側に向かって走行する際に他方の面が印字され、記録媒体が第1ユニット内と第2ユニット内とを連続して走行可能となっているインクジェット記録装置に存する。
【0010】
本発明は、(2)第1ユニットと第2ユニットとの間には第1境界壁及び第2境界壁が設けられており、第1境界壁と第2境界壁との重なる部分に記録媒体を通過させる間隙通路が設けられている上記(1)記載のインクジェット記録装置に存する。
【0011】
本発明は、(3)記録媒体を間隙通路に案内する直前の案内ロールが上下移動可能となっている上記(2)記載のインクジェット記録装置に存する。
【0012】
本発明は、(4)第1乾燥ドラムと第2乾燥ドラムとの間に収納スペースが設けられている上記(1)〜(3)のいずれか一つに記載のインクジェット記録装置に存する。
【0013】
本発明は、(5)収納スペースにはインクタンクが収容されており、該インクタンクから第1インクジェット記録ヘッド及び第2インクジェット記録ヘッドにインクが供給される上記(4)記載のインクジェット記録装置に存する。
【0014】
本発明は、(6)第1インクジェット記録ヘッドと第2インクジェット記録ヘッドとが同じ高さに設けられている上記(1)〜(5)のいずれか一つに記載のインクジェット記録装置に存する。
【0015】
本発明は、(7)第1ユニット及び第2ユニットが共に逆L字型となっており、第1境界壁及び第2境界壁に対して対称となっている上記(2)〜(6)のいずれか一つに記載のインクジェット記録装置に存する。
【0016】
本発明は、(8)第1ユニットの第1枠壁の搬入口側の側壁及び第2ユニットの第2枠壁の搬出口側の側壁には、それぞれ吸引装置が取り付けられている上記(1)〜(7)のいずれか一つに記載のインクジェット記録装置に存する。
【発明の効果】
【0017】
本発明のインクジェット記録装置においては、第1ユニットで記録媒体の一方の面が印字され、その後、第1乾燥ドラムで乾燥され、第2ユニットで記録媒体の他方の面が印字され、その後、第2乾燥ドラムで乾燥される。このため、多くのインクを付与する必要がある印写デザインであっても、乾燥ドラムにより乾燥されるので、画像の滲みが抑制される。また、第1ユニットと第2ユニットとが隣接しているので、無駄を極力少なくした経路で記録媒体の両面に連続して印字することが可能となる。
【0018】
上記インクジェット記録装置においては、第1ユニット内において、記録媒体が第2ユニット側から反対側に向かって走行する際に一方の面が印字され、第2ユニット内において、記録媒体が第1ユニット側から反対側に向かって走行する際に他方の面が印字されるようにすることで、記録媒体の走行の際に発生する随伴流が、空中に浮遊する水蒸気状の浮遊インクを隣のユニットの反対側に随伴する。このため、隣のユニットの汚染を抑制することができる。なお、第1ユニットと第2ユニットとの間に壁が設けられている場合、記録媒体の汚染を確実に抑制することができる。
【0019】
また、第1ユニットの第1枠壁の搬入口側の側壁及び第2ユニットの第2枠壁の搬出口側の側壁に、それぞれ吸引装置が取り付けられている場合、浮遊するインクを吸引装置が吸引することで、浮遊するインクに基づく汚染を確実に抑制できる。
【0020】
上記インクジェット記録装置においては、乾燥ドラムをインクジェット記録ヘッドの下方に配置することで、設置スペースを小さくすることができる。これにより、第1乾燥ドラムと第2乾燥ドラムとの間に収納スペースを設けることができる。例えば、第1ユニット及び第2ユニットを共に逆L字型とすることで、より広い収納スペースを設けることができる。
かかる収納スペースには、インクタンク、制御盤等の補助機器を配設することが可能である。
【0021】
上記インクジェット記録装置においては、第1インクジェット記録ヘッドと第2インクジェット記録ヘッドとが同じ高さに設けられていると、一律な操作性、作業性が確保される。また、構成も同じであると、組み立てが容易であり、部品製作コストの低減が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本実施形態に係るインクジェット記録装置の一例を示す概略図である。
【図2】図2は、本実施形態に係るインクジェット記録装置の各ユニットの配置を説明するための模式図である。
【図3】図3は、本実施形態に係るインクジェット記録装置における第1境界壁及び第2境界壁の一部を拡大した部分断面図である。
【図4】図4は、本実施形態に係るインクジェット記録装置において、記録媒体に印字する際の記録媒体の走行方向を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0024】
図1は、本実施形態に係るインクジェット記録装置の一例を示す概略図である。
図1に示すように、本発明のインクジェット記録装置100は、記録媒体1の一方の面1aに印字するための第1ユニット10aと、記録媒体1の他方の面1bに印字するための第2ユニット10bと、を備える。すなわち、上記インクジェット記録装置100によれば、記録媒体1の両面に連続して印字することが可能となっている。
【0025】
第1ユニット10aと、第2ユニット10bとは、略左右対称となるように隣接している。このため、第1ユニット10aから第2ユニット10bへの記録媒体1の搬送は、無駄を極力少なくした経路で行われる。また装置全体の組み付けや保守管理も容易である。
【0026】
第1ユニット10aと第2ユニット10bとは、共に逆L字型となっている。このため、後述するように、第1ユニット10aと第2ユニット10bとを隣接させた場合、中央下部に収納スペース4が形成されることになる。
【0027】
第1ユニット10aは、記録媒体1の一方の面1aに印字する第1インクジェット記録ヘッド2aと、該第1インクジェット記録ヘッド2aの下方に位置し、印字後の記録媒体1を加熱乾燥する第1乾燥ドラム3aと、これらを囲う第1枠壁5aとを有する。この第1乾燥ドラム3aは第2ユニット10bより離れた位置(搬入口側)に配設される。すなわち、第1インクジェット記録ヘッド2aと下方の第1乾燥ドラム3aとで逆L字型となる。
【0028】
第2ユニット10bは、記録媒体1の他方の面1bを印字する第2インクジェット記録ヘッド2bと、該第2インクジェット記録ヘッド2bの下方に位置し、印字後の記録媒体1を加熱乾燥する第2乾燥ドラム3bと、これらを囲う第2枠壁5bとを有する。この第2乾燥ドラム3bは第1ユニット10aより離れた位置(搬出口側)に配設される。すなわち、第2インクジェット記録ヘッド2bと下方の第1乾燥ドラム3bとで逆L字型となる。
【0029】
第1ユニット10aの第1枠壁5aには、搬入口側の側壁に吸引装置7aが取り付けられており、第2ユニット10bの第2枠壁5bには、搬出口側の側壁に吸引装置7bが取り付けられている。
これらの吸引装置7a,7bは、後述する浮遊インク(インクミスト)を吸引するようになっている。なお、これらの吸引装置7a,7bには、フィルターが取り付けられているので、枠壁内だけでなく枠壁外の汚染も抑制できる。
【0030】
第1インクジェット記録ヘッド2aは、4列配置されており、それぞれにインクが収容されている。なお、これらのインクは、同じ色であっても、異なる色であってもよい。例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックが収容されていると、フルカラーの表現が可能となる。
【0031】
第2インクジェット記録ヘッド2bは、第1インクジェット記録ヘッド2aと同じ構造となっている。ただし、用いるインクは同じであっても異なっていてもよい。また、記録媒体1に記録する印写デザインも一方の面1aと他方の面1bとで異なっていてもよい。
【0032】
ここで、第1ユニット10aの第1インクジェット記録ヘッド2aと、第2ユニット10bの第2インクジェット記録ヘッド2bとは同じ高さに設けられている。このため、一律な操作性、作業性が確保される。また、構成部品も同じであるので、組み立てが容易であり、装置の製作コストの低減が図れる。
【0033】
上述したように、第1乾燥ドラム3aは、第1インクジェット記録装置2aの下方に配置される。これにより、第1ユニット10aの設置スペースを小さくすることができる。
第1乾燥ドラム3aは、内部に加熱ヒータを備えており、その熱によりドラム表面が加熱されるようになっている。また、第1乾燥ドラム3aには、図示しない吹き付けノズルが設けられており、該吹き付けノズルは、第1乾燥ドラム3aの表面に熱風を吹き付けるようになっている。すなわち、第1乾燥ドラム3aにおいては、これらの2つの乾燥機能により第1乾燥ドラム3aの表面に巻回された記録媒体の印字表面を乾燥するようになっている。なお、第2乾燥ドラム3bは、第1乾燥ドラム3aと同じ構造となっている。
【0034】
図2は、本実施形態に係るインクジェット記録装置の各ユニットの配置を説明するための模式図である。
図2に示すように、インクジェット記録装置においては、逆L字型の第1ユニット10aと第2ユニット10bとを向かい合わせて配置することにより中央下部に収納スペース4が形成される。すなわち、第1乾燥ドラム3aと第2乾燥ドラム3bとの間に収納スペース4が設けられる。
【0035】
かかる収納スペース4には、インクタンク、制御盤等の補助機器類が置かれる。これにより、装置全体としての設置スペースを効率的に利用できる。また、第1ユニット10aと第2ユニット10bとは、後述する第1境界壁及び第2境界壁に対して略左右対称であるので、例えば、収納スペース4に配置したインクタンクを、第1ユニット10a及び第2ユニット10bで共通して利用できる。そうすると、インクタンクから第1インクジェット記録ヘッド2a及び第2インクジェット記録ヘッド2bにインクを供給する作業が容易となる。
【0036】
図1に戻り、本実施形態に係るインクジェット記録装置100において、第1ユニット10aと第2ユニット10bとの間には、すなわち境界には、第1境界壁5a1及び第2境界壁5b1が設けられている。すなわち、第1ユニット10aと第2ユニット10bとは第1境界壁5a1及び第2境界壁5b1により区画されている。
【0037】
図3は、本実施形態に係るインクジェット記録装置における第1境界壁及び第2境界壁の一部を拡大して示した部分断面図である。
図3に示すように、第1境界壁5a1と第2境界壁5b1とは、一部が重なっている。そして、重なった部分の間隙通路Sに記録媒体1が通過するようになっている。
【0038】
インクジェット記録装置100においては、第1境界壁5a1及び第2境界壁5b1が設けられているので、第1ユニット10aと第2ユニット10bとが区画され、空調を使った温度、湿度等の印字環境が互いに影響し合うことを極力抑制できる。すなわち、第1ユニット10aと第2ユニット10bとの印字環境を独立したものとすることができる。
また、第1境界壁5a1及び第2境界壁5b1の先端を互い違いにして、重なるような壁構造にしているので、例えば、第1ユニット10aにおいて浮遊インクが第2ユニット10bに行くことをより抑制できる。これにより、隣のユニットの記録媒体の汚染を確実に抑制することができる。
【0039】
ここで、記録媒体1を間隙通路Sに直接案内する案内ロール6aは、上下移動可能となっている。それにより、記録媒体1の搬送経路長の変更が可能であり、長さL(二点鎖線参照)の分だけ表裏印刷見当を合わせるコンペンセータとしての機能が発揮される。
【0040】
図1に戻り、本実施形態に係るインクジェット記録装置100においては、記録媒体1が連続して走行するようになっている。
インクジェット記録装置100の第1ユニット10aに搬入された記録媒体1は搬入口E1から搬入され、一旦、第1インクジェット記録ヘッド2aの上方を通過し、第1境界壁5a1の手前で案内ロール6aにより下方に案内されて第1インクジェット記録ヘッド2aにより印字される領域(以下「記録可能領域」という。)に到達する。その際、記録媒体1の一方の面1aが各第1インクジェット記録ヘッド2aにより順次印字されていく。すなわち、第1ユニット10a内においては、記録媒体1が第2ユニット10b側から反対側に向かって走行する際に、その一方の面1aが印字される。
【0041】
その後、記録媒体1は、案内ロール6aにより下方の第1乾燥ドラム3aに案内され、第1乾燥ドラム3aのドラムの円周に略1周するように巻回されると共に乾燥される。このとき、記録媒体1の印字された面1aの反対側をドラムに接するようにする。これにより記録媒体1は効率良く乾燥され、ドラムの汚染も抑制される。
乾燥された記録媒体1は、案内ロール6aを介して第1ユニット10aから間隙通路Sを上方に向かって案内され、第2ユニット10bに搬送される。なお、上述したように、記録媒体1を間隙通路Sに直接案内する案内ロール6aは、上下移動可能となっている。
【0042】
第2ユニット10bに搬入された記録媒体1は、インクジェット記録ヘッド2bの記録可能領域に到達し、他方の面1bが印字される。すなわち、第2ユニット10b内においては、記録媒体1が第1ユニット10a側から反対側に向かって走行する際に他方の面1bが印字される。
【0043】
その後、記録媒体1は、案内ロール6bにより下方の第2乾燥ドラム3bに案内され、第2乾燥ドラム3bのドラムの円周に略1周するように巻回されると共に乾燥される。このとき、記録媒体1の印字された面1bの反対側をドラムに接するようにする。これにより、前述したように、記録媒体1は効率良く乾燥され、ドラムの汚染も抑制される。
乾燥された記録媒体1は、案内ロール6bを介して搬出口E2より搬出される。
【0044】
図4は、本実施形態に係るインクジェット記録装置において、記録媒体に印字する際の記録媒体の走行方向を示す模式図である。
図4に示すように、第1ユニット10aにおいては、記録媒体1が第2ユニット10b側から反対側に向かって走行するので、記録媒体1の走行の際に発生する随伴流が、空中に浮遊インクを第2ユニット10bの反対側に随伴するよう作用することになる。なお、浮遊する水蒸気状のインクは、極微量であっても付着すると汚点色が発現する。このことにより、第1ユニット10aにおける浮遊するインクが、第2ユニット10bに移行することを防止でき、第2ユニット10bの汚染が抑制される。
ちなみに、第1ユニット10aにおいて記録媒体1に印字される際の記録媒体1の走行方向が第2ユニット10bに向かう方向であると、随伴流が浮遊インクを第2ユニット10bに随伴してしまう。
【0045】
ここで、第1ユニット10aの第1枠壁5aの搬入口側の側壁に、吸引装置7aが取り付けられているので、浮遊インクを吸引装置が吸引することにより、浮遊インクに基づく汚染を確実に抑制できる。
【0046】
また、第2ユニット10bにおいては、記録媒体1が第1ユニット10a側から反対側に向かって走行するので、上述したことと同様に、記録媒体1の走行の際に発生する随伴流が、空中に浮遊インクを第1ユニット10aの反対側に随伴することになる。このことにより、第2ユニット10bにおける浮遊インクが、第1ユニット10aに移行することを防止でき、第1ユニット10aの汚染が抑制される。
【0047】
ここで、第2ユニット10bの第2枠壁5bの搬出口側の側壁に、吸引装置7bが取り付けられているので、浮遊インクを吸引装置が吸引することにより、浮遊インクに基づく汚染を確実に抑制できる。
【0048】
さらに、記録媒体1は、間隙通路Sを上方に向かって案内されるので、随伴する浮遊インクが、第1ユニット10aから第2ユニット10bに侵入することを更に抑制できる。
【0049】
本実施形態に係るインクジェット記録装置100においては、記録媒体の両面に連続して印字が可能であり、仮に多くのインクを付与する必要があるデザインであっても、第1乾燥ドラム3a及び第2乾燥ドラム3bにより乾燥されるので、画像の滲みが抑制される。
【0050】
インクジェット記録装置100において、記録媒体1の搬入方法としては、例えば、巻取りロールに巻きつけた記録媒体1をインクジェット記録装置100に搬入する方法が挙げられる。また、記録媒体1の搬出方法としては、例えば、印字された記録媒体を巻取りロールで巻き取ることにより搬出する方法が挙げられる。
【0051】
インクジェット記録装置100に用いられる記録媒体1は、紙、フィルム、金属箔等、特に限定されない。
上述した第1インクジェット記録ヘッド2a及び第2インクジェット記録ヘッド2bに用いられるインクは、染料でも顔料でもよく、また水性、油性を問わない。
【0052】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0053】
例えば、本実施形態に係るインクジェット記録装置100においては、第1インクジェット記録ヘッド2a及び第2インクジェット記録ヘッド2bのヘッドの数が4列配置となっているが必ずしもこれに限定されない。
【0054】
また、第1インクジェット記録ヘッド2a及び第2インクジェット記録ヘッド2bにはインクが収容されているが、インクの代わりに艶出し剤、防炎剤等の薬剤を吹付けるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明のインクジェット記録装置は、記録媒体の両面にインクジェット方式により印字する装置として利用できる。かかるインクジェット記録装置によれば、記録媒体への汚染を抑制できると共に、設置スペースを効率良く利用でき、記録媒体両面への連続印字が可能となる。
【符号の説明】
【0056】
1・・・記録媒体
1a,1b・・・面
10a・・・第1ユニット
10b・・・第2ユニット
100・・・インクジェット記録装置
2a・・・第1インクジェット記録ヘッド
2b・・・第2インクジェット記録ヘッド
3a・・・第1乾燥ドラム
3b・・・第2乾燥ドラム
4・・・収納スペース
5a・・・第1枠壁
5a1・・・第1境界壁
5b・・・第2枠壁
5b1・・・第2境界壁
6a,6b・・・案内ロール
7a,7b・・・吸引装置
E1・・・搬入口
E2・・・搬出口
S・・・間隙通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体の両面に連続して印字可能なインクジェット記録装置であって、
前記記録媒体の一方の面に印字する第1インクジェット記録ヘッド、及び、該第1インクジェット記録ヘッドの下方に位置し、印字後の前記記録媒体を加熱乾燥する第1乾燥ドラム、を有する第1ユニットと、
前記記録媒体の他方の面を印字する第2インクジェット記録ヘッド、及び、該第2インクジェット記録ヘッドの下方に位置し、印字後の前記記録媒体を加熱乾燥する第2乾燥ドラム、を有する第2ユニットと、
を備え、
前記第1ユニットと前記第2ユニットとが隣接しており、
前記第1ユニット内において、前記記録媒体が前記第2ユニット側から反対側に向かって走行する際に一方の面が印字され、
前記第2ユニット内において、前記記録媒体が前記第1ユニット側から反対側に向かって走行する際に他方の面が印字され、
前記記録媒体が前記第1ユニット内と前記第2ユニット内とを連続して走行可能となっているインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記第1ユニットと前記第2ユニットとの間には第1境界壁及び第2境界壁が設けられており、
前記第1境界壁と前記第2境界壁との重なる部分に前記記録媒体を通過させる間隙通路が設けられている請求項1記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記記録媒体を前記間隙通路に案内する直前の案内ロールが上下移動可能となっている請求項2記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記第1乾燥ドラムと前記第2乾燥ドラムとの間に収納スペースが設けられている請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記収納スペースにはインクタンクが収容されており、該インクタンクから前記第1インクジェット記録ヘッド及び前記第2インクジェット記録ヘッドにインクが供給される請求項4記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記第1インクジェット記録ヘッドと前記第2インクジェット記録ヘッドとが同じ高さに設けられている請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記第1ユニット及び前記第2ユニットが共に逆L字型となっており、前記第1境界壁及び前記第2境界壁に対して対称となっている請求項2〜6のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
前記第1ユニットの第1枠壁の搬入口側の側壁及び前記第2ユニットの第2枠壁の搬出口側の側壁には、それぞれ吸引装置が取り付けられている請求項1〜7のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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