説明

インク受容層形成用組成物

【課題】
寸法安定性に優れたインク受容層形成組成物の提供すること。
【解決手段】
無機微粒子(A)、ポリビニルアルコール(B)、アニオン性又はノニオン性のポリマー(C)、及び水(D)を含有してなることを特徴とするインク受容層形成用組成物を用いる。無機微粒子(A)は気相法シリカ、気相法アルミナ、コロイダルシリカ、アルミナゾル及び湿式法アルミナからなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましく、ポリマー(C)はアニオン性ビニルポリマー(C1)、ノニオン性ビニルポリマー及び/又はポリエーテルポリオールが好ましい。ポリビニルアルコール(B)とポリマー(C)との含有重量比{(C)/(B)}は0.1〜1.0が好ましい。無機微粒子(A)と、ポリビニルアルコール(B)及びポリマー(C)との含有重量比{(A)/(B)+(C)}は1〜10が好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来、水和アルミニウム酸化物と平均粒子径が4μm以下の板状のα−アルミナ粒子とを含有したインク受容層形成用組成物が知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−312137号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
しかし、従来のインク受容層形成用組成物を用いた場合、寸法安定性が不十分であり、たとえば、相対湿度が30〜50%の低湿環境下において、インク受容層が収縮する。この結果、インク受容層が支持体から剥離したり、基材が反ったりするという問題がある。
本発明の目的は、寸法安定性に優れたインク受容層形成用組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明のインク受容層形成用組成物の特徴は、無機微粒子(A)、ポリビニルアルコール(B)、アニオン性又はノニオン性のポリマー(C)及び水(D)を含有してなる点を要旨とする。
【0004】
本発明の画像形成用基材の製造方法の特徴は、上記の水性インク受容層形成用組成物を、支持体に塗布して塗布層を形成する工程と、塗布層を乾燥して水性インク受容層を形成する工程とを含む点を要旨とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明のインク受容層形成組成物は、寸法安定性に著しく優れる。したがって、本発明のインク受容層形成用組成物を用いると、相対湿度が30〜50%の低湿環境下においても受容層の収縮がないため、受容層が支持体から剥離したり、基材が反ったりすることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
無機微粒子(A)としては、公知の無機微粒子等が使用でき、シリカ{気相法シリカ及びコロイダルシリカ等}及びアルミナ{気相法アルミナ、アルミナゾル及び湿式法アルミナ等}が含まれる。
【0007】
これらの無機微粒子のうち、寸法安定性及び光沢性等の観点から、気相法シリカ、気相法アルミナ、コロイダルシリカ、アルミナゾル及び湿式法アルミナからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、さらに好ましくは気相法シリカ及び/又は気相法アルミナ、特に好ましくは気相法アルミナである。
【0008】
気相法シリカとしては、公知の気相法{(1)真空中で金属シリコンを溶融、気化させ、酸化性雰囲気に導入して、シリカ粒子を得る方法;(2)金属シリコン粉末を、酸素を含む火炎の中で蒸発・酸化させて、シリカ粒子を得る方法;及び(3)テトラクロロシランを気化し、バーナー火炎中に噴出、酸化して、シリカ粒子を得る方法(特公昭47−46274号公報等)等}によって得られるシリカが挙げられる。
【0009】
気相法シリカは市場から容易に入手でき、たとえば、アエロジルシリーズ{日本アエロジル(株)、「アエロジル」はデグサ アクチエンゲゼルシャフトの登録商標である。}、レオロシールシリーズ{(株)トクヤマ、「レオロシール」は同社の登録商標である。}及びCab−O−Silシリーズ{Cabot Corporation、「Cab−O−Sil」は同社の登録商標である。}等が挙げられる。
【0010】
気相法アルミナとしては、公知の気相法{(1)真空中で金属アルミニウムを溶融、気化させ、酸化性雰囲気に導入して、アルミナ粒子を得る方法;(2)金属アルミニウム粉末を、酸素を含む火炎の中で蒸発・酸化させて、アルミナ粒子を得る方法;及び(3)塩化アルミニウムを気化し、バーナー火炎中に噴出、酸化して、アルミナ粒子を得る方法(特表2005−506269号公報等)等}によって得られるアルミナが挙げられる。
【0011】
気相法アルミナは市場から容易に入手でき、たとえば、Aeroxideシリーズ{Alu−c及びAl−65等、デグサ社、「Aeroxide」は同社の登録商標である。}、SpctrAlシリーズ{51、81、100等、キャボット社}及びCAB−O−SPERSEシリーズ{SpctrAlシリーズの水分散体、キャボット社}等が挙げられる。
【0012】
コロイダルシリカとしては、公知の方法{(1)ケイ酸アルカリ金属塩(ケイ酸ナトリウム等)を原料とする水ガラス法;及び(2)アルコキシシラン(テトラエトキシシラン等)を原料とするアルコキシシラン法等}によって得られるコロイダルシリカが挙げられる。
【0013】
コロイダルシリカは市場から容易に入手でき、たとえば、アデライトシリーズ{(株)ADEKA、「アデライト」は同社の登録商標である。}、カタロイド−Sシリーズ{触媒化成工業(株)、「カタロイド」は同社の登録商標である。}、クォートロンシリーズ{扶桑化学工業(株)、「クォートロン」は同社の登録商標である。}及びスノーテックスシリーズ{日産化学工業(株)}等が挙げられる。
【0014】
アルミナゾルとしては、公知の方法{(1)無機酸又は有機酸の存在下、金属アルミニウムを直接水と反応させることによりアルミナゾルを製造する方法(特公昭32−3367号公報);及び(2)アルミナ水和物を酸存在下で解膠してアルミナゾルを製造する方法(特開平6−64918号公報)等}によって得られるアルミナゾルが挙げられる。
【0015】
アルミナゾルは市場から容易に入手でき、たとえば、カタロイド−Aシリーズ{触媒化成工業(株)製}及びアルミナゾルシリーズ{日産化学工業(株)製}等が挙げられる。
【0016】
湿式法アルミナとしては、公知の方法{(1)アルキルアルミニウム又はアルコキシアルミニウムの加水分解法(化学総説No48,1985、超微粒子(日本化学会編)173頁〜175頁、株式会社学会出版センター、1985年発行);(2)アンモニウムミョウバン熱分解法;及びアンモニウムアルミニウム炭酸塩熱分解法等}によって得られるアルミナが挙げられる。
【0017】
湿式法アルミナは市場から容易に入手でき、たとえば、AKPシリーズ{住友化学(株)製、「AKP」は同社の登録商標である。}、タイミクロンシリーズ{大明化学(株)製}、DISPERALシリーズ{Sasol社、「DISPERAL」は同社の登録商標である。}及びDISPALシリーズ{Sasol社、「DISPAL」は同社の登録商標である。}等が挙げられる。
【0018】
無機微粒子(A)としては、シリカ及びアルミナ以外に、二酸化チタン、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、ゼオライト、カオリナイト、ハロイサイト、雲母、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、ベーマイト及び/又は擬ベーマイト等も使用できる。
【0019】
無機微粒子(A)の平均一次粒子径(nm)は、7〜40が好ましく、さらに好ましくは9〜30、特に好ましくは12〜20である。この範囲であると、受容層の光沢性と寸法安定性の両立がさらに容易となる。
なお、平均一次粒子径は、JIS Z8901−2006「試験用粉体及び試験用粒子」5.44粒子経分布(c)顕微鏡法に準拠し、振掛け法によって準備した試料を透過型電子顕微鏡で5万〜100万倍に拡大して観察した画像から200個以上の粒子を観察して算出される円相当径の個数平均値である。
【0020】
ポリビニルアルコール(B)としては、完全ケン化型ポリビニルアルコール(B1)、部分ケン化型ポリビニルアルコール(B2)、カチオン変性ポリビニルアルコール(B3)、アニオン変性ポリビニルアルコール(B4)及びノニオン変性ポリビニルアルコール(B5)が含まれる。
【0021】
完全ケン化型ポリビニルアルコールとは、ケン化度が98モル%を超えて100モル%以下のポリビニルアルコールを意味する。部分ケン化ポリビニルアルコールとは、ケン化度が70〜98モル%のポリビニルアルコールを意味する。カチオン変性ポリビニルアルコールとは、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニオ基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体を必要によりケン化して得られる構造のポリマーを意味する。アニオン変性ポリビニルアルコールとは、カルボキシ基やスルホ基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体を必要によりケン化して得られる構造のポリマーを意味する。ノニオン変性ポリビニルアルコールとは、メルカプト基やケト基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体を必要によりケン化して得られる構造のポリマーを意味する。
【0022】
完全ケン化型ポリビニルアルコール(B1)及び部分ケン化型ポリビニルアルコール(B2)としては、公知のもの(たとえば、特開2006−28233号公報)等が使用できる。カチオン変性ポリビニルアルコール(B3)としては、公知のもの(たとえば、特開平10−119423号公報)等が使用できる。アニオン変性ポリビニルアルコール(B4)としては、公知のもの(たとえば、特開平1−206088号公報、特開昭61−237681号、特開昭63−307979号公報及び特開平7−285265号公報)等が使用できる。ノニオン変性ポリビニルアルコール(B5)としては、公知のもの(たとえば、特開平7−9758号公報及び特開平8−25795号公報)等が使用できる。
【0023】
これらのポリビニルアルコールのうち、寸法安定性の観点から、部分ケン化型ポリビニルアルコール(B2)及び完全ケン化型ポリビニルアルコール(B1)が好ましく、さらに好ましくは部分ケン化型ポリビニルアルコール(B2)、特に好ましくはケン化度が72〜96{好ましくは77〜95、特に好ましくは78〜90}モル%の部分ケン化型ポリビニルアルコールである。
【0024】
なお、ケン化度は、JIS K6726−1994「ポリビニルアルコール試験法 3.5ケン化度」に準拠して測定される。
【0025】
ポリビニルアルコール(B)の平均重合度は、1000〜6000が好ましく、さらに好ましくは2000〜5500、特に好ましくは2500〜5000である。この範囲であると、寸法安定性がさらに良好となる。
なお、平均重合度は、JIS K6726−1994「ポリビニルアルコール試験法」3.7平均重合度に準拠して測定される。なお、カチオン変性ポリビニルアルコールの平均重合度は、特許第3434055号公報に記載された方法によって測定される。
【0026】
アニオン性又はノニオン性のポリマー(C)としては、アニオン性ビニルポリマー(C1)、ノニオン性ビニルポリマー(C2)及びポリエーテルポリオール(C3)等が含まれる。
【0027】
アニオン性ビニルポリマー(C1)としては、アニオン性基{カルボキシ基、スルホ基、ホスホノ基等}を有するアニオン性ポリマー等が使用でき、カルボキシ基含有モノマー及び/又はスルホ基含有モノマーを必須構成単位とするアニオン性ポリマーが含まれる。
【0028】
カルボキシ基含有モノマーとしては、不飽和モノカルボン酸{(メタ)アクリル酸、クロトン酸等}、不飽和ジカルボン酸{イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸等}、並びにこれらのアルカリ金属(リチウム、ナトリウム及びカリウム等)塩及びアンモニウム塩等が挙げられる。これらのうち、不飽和モノカルボン酸、このアルカリ金属塩及びこのアンモニウム塩が好ましく、さらに好ましくは不飽和モノカルボン酸及びこのアルカリ金属塩、特に好ましくは(メタ)アクリル酸及びこのナトリウム塩である。
なお、「(メタ)アクリ・・・」は、「アクリ・・・」又は「メタアクリ・・・」を意味する。
【0029】
スルホ基含有モノマーとしては、2−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、スルホフェニルマレイミド、スルホフェニルイタコンイミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、並びにこれらのアルカリ金属(リチウム、ナトリウム及びカリウム等)塩及びアンモニウム塩等が挙げられる。これらのうち、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びこれらのアルカリ金属塩が好ましく、さらに好ましくは2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のアルカリ金属塩、特に好ましくは2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩である。
【0030】
カルボキシ基含有モノマー及び/又はスルホ基含有モノマーを必須構成単位とするアニオン性ポリマーには、他のビニルモノマーを構成単位とすることができる。
他のビニルモノマーとしては、アルキル基の炭素数が1〜20であるアルキル(メタ)アクリレート、シクロアルキルの炭素数が6〜10であるシクロアルキル(メタ)アクリレート、炭素数6〜10の芳香族炭化水素モノマー、炭素数4〜6のカルボン酸ビニルエステル、炭素数3〜6のビニルエーテル及び炭素数4〜9のビニルケトン等が含まれる。
【0031】
アルキル(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリルアクリレート及びエイコシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0032】
シクロアルキル(メタ)アクリレートとしては、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、シジクロペンテニル(メタ)アクリレート及びイソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0033】
芳香族炭化水素モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン及びビニルナフタレン等が挙げられる。
【0034】
カルボン酸ビニルエステルとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル及び酪酸ビニル等が挙げられる。
【0035】
ビニルエーテルとしては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル及びビニルブチルエーテル等が挙げられる。
【0036】
ビニルケトンとしては、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン及びビニルフェニルケトン等が挙げられる。
【0037】
これらの他のビニルモノマーのうち、アルキル(メタ)アクリレート、シクロアルキル(メタ)アクリレート及びカルボン酸ビニルエステルが好ましく、さらに好ましくはアルキル(メタ)アクリレート及びシクロアルキル(メタ)アクリレート、特に好ましくはアルキル(メタ)アクリレートである。
【0038】
他のビニルモノマーを構成単位とする場合、必須構成単位とするビニルモノマー単位の含有量(モル%)は、全モノマーのモル数に基づいて、40〜97が好ましく、さらに好ましくは50〜90、特に好ましくは60〜85である。この場合、他のビニルモノマー単位の含有量(モル%)は、全モノマーのモル数に基づいて、3〜60が好ましく、さらに好ましくは10〜50、特に好ましくは15〜40である。この範囲であると、光沢性がさらに良好となる。
【0039】
ノニオン性ビニルポリマー(C2)としては、ノニオン性基(非イオン性の親水基){ヒドロキシル基及び(N−置換)カルバモイル基等}を有するノニオン性ポリマー等が使用でき、ヒドロキシル基含有モノマー及び/又は(N−置換)カルバモイル基含有モノマーを必須構成単位とするノニオン性ポリマーが含まれる。
【0040】
ヒドロキシル基含有モノマーとしては、特開2004−124080号公報に記載された水酸基含有単量体及びヒドロキシアルキル置換アクリルアミド等が挙げられる。ヒドロキシル基含有モノマーのうち、寸法安定性の観点から、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル及びヒドロキシアルキル置換アクリルアミドが好ましく、さらに好ましくは2−ヒドロキシエチルアクリレート、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、及びN−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、特に好ましくはN−ヒドロキシメチルアクリルアミド及びN−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミドである。
【0041】
(N−置換)カルバモイル基含有モノマーとしては、一般式(1)で表される(メタ)アクリルアミド及びビニルカルボン酸アミド等が使用できる。
【0042】
【化1】



【0043】
式(1)中、Rは水素原子又はメチル基、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基である。
【0044】
一般式(1)で表される(メタ)アクリルアミドとしては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−モノアルキル(炭素数1〜6)(メタ)アクリルアミド{N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド及びN−イソプロピル(メタ)アクリルアミド等}及びN,N−ジアルキル(炭素数1〜6)(メタ)アクリルアミド{N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド及びN,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド等}が挙げられる。
【0045】
N−ビニルカルボン酸アミドとしては、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−プロピオンアミド、N−ビニルヒドロキシアセトアミド及びN−ビニル環状アミド{N−ビニルピロリドン及びN−ビニルカプロラクタム等}等が挙げられる。
【0046】
(N−置換)カルバモイル基含有モノマーのうち、寸法安定性の観点から、N,N−ジアルキル(炭素数1〜6)(メタ)アクリルアミド及びN−ビニル環状アミドが好ましく、さらに好ましくはN,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン及びN−ビニルカプロラクタム、特に好ましくはN−ビニルピロリドンである。
なお、(N−置換)カルバモイル基は、カルバモイル基又はN−置換カルバモイル基を意味する。
【0047】
ヒドロキシル基含有モノマー及び/又は(N−置換)カルバモイル基含有モノマーを必須構成単位とするノニオン性ポリマーには、他のビニルモノマーを構成単位とすることができる。
他のビニルモノマーのうち、好ましいものや、他のビニルモノマーを構成単位とする場合の必須構成単位とするビニルモノマー単位の含有量及び他のビニルモノマー単位の含有量はアニオン性ポリマーの場合と同様である。
【0048】
ポリエーテルポリオール(C3)としては、特開2001−342237号公報に記載のポリオールが挙げられる。
ポリエーテルポリオールのうち、寸法安定性等の観点から、グリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール又は蔗糖のエチレンオキシド付加体が好ましく、さらに好ましくはソルビトールのエチレンオキシド付加体及び蔗糖のエチレンオキシド付加体、特に好ましくは蔗糖のエチレンオキサイド付加体である。
【0049】
ポリマー(C)のうち、寸法安定性の観点から、ノニオン性ビニルポリマー(C2)及びポリエーテルポリオール(C3)が好ましく、さらに好ましくは(N−置換)カルバモイル基含有モノマーを必須構成モノマーとするノニオン性ビニルポリマー及び蔗糖のエチレンオキシド付加体、特に好ましくはポリ(N−ビニルピロリドン)及び蔗糖のエチレンオキシド付加体である。
【0050】
アニオン性ビニルポリマー(C1)及びノニオン性ビニルポリマー(C2)の重量平均分子量(Mw)は、1,000〜5,000,000が好ましく、さらに好ましくは5,000〜4,500,000、特に好ましくは25,000〜3,500,000である。この範囲であると、寸法安定性がさらに良好となる。
【0051】
ポリエーテルポリオール(C3)の数平均分子量(Mn)は、500〜10000が好ましく、さらに好ましくは700〜7000、特に好ましくは1000〜3000である。この範囲にあると、寸法安定性がさらに良好となる。
【0052】
なお、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による(たとえば、カラム:TSKgel G2000、G3000及びG4000HXLを直列に接続したもの、溶媒:テトラヒドロフラン、ポリスチレン換算)ものである。
【0053】
ポリビニルアルコール(B)とアニオン性又はノニオン性のポリマー(C)との含有重量比{(C)/(B)}は、0.1〜1.0が好ましく、さらに好ましくは0.2〜0.8、特に好ましくは0.3〜0.7、最も好ましくは0.4〜0.6である。この範囲であると寸法安定性がさらに良好となる。
【0054】
無機微粒子(A)と、ポリビニルアルコール(B)及びポリマー(C)との含有重量比{(A)/(B)+(C)}は、1〜10が好ましく、さらに好ましくは2〜8、特に好ましくは3〜7、最も好ましくは4〜6である。この範囲であると寸法安定性がさらに良好となる。
【0055】
水(D)の含有量(重量%)は、無機微粒子(A)、ポリビニルアルコール(B)、アニオン性又はノニオン性ポリマー(C)及び水(D)の合計重量に基づいて、30〜95が好ましく、さらに好ましくは40〜90、特に好ましくは50〜85、最も好ましくは60〜80である。この範囲であると寸法安定及び光沢性がさらに良好となる。
【0056】
本発明のインク受容層形成用組成物には、必要に応じて、添加剤{分散剤(E)、有機微粒子(F)、酸化防止剤(G)、紫外線吸収剤(H)、架橋剤(I)、染料固着剤(J)及び低沸点溶剤(K)等}を添加できる。添加剤は、それぞれ、2種以上を混合しても使用できる。
【0057】
分散剤(E)としては、公知のもの(たとえば特開2006−231596号公報に記載されたカチオン性ポリマー、水溶性多価金属化合物及び界面活性剤等、特開2006−169321号公報に記載された低分子カチオン性分子、並びに特開2003−251918号公報に記載された有機酸及び無機酸等)が使用できる。
これらのうち、無機微粒子(A)として気相法シリカ又はコロイダルシリカを用いる場合、カチオン性ポリマー、水溶性多価金属化合物及び低分子カチオン性分子が好ましく、さらに好ましくはカチオン性ポリマー及び低分子低分子カチオン性分子、特に好ましくは低分子カチオン性分子である。また、無機微粒子(A)として気相法アルミナ、アルミナゾル又は湿式法アルミナを用いる場合、有機酸及び無機酸が好ましく、さらに好ましくは乳酸、ギ酸、酢酸、塩酸及び硝酸、特に好ましくは乳酸、酢酸及び硝酸である。
【0058】
有機微粒子(F)としては、公知のもの(たとえば特開2006−192634号公報に記載された有機微粒子)等が使用できる。これらのうち、架橋ポリビニルピロリドン粒子が好ましい。
【0059】
酸化防止剤(G)としては、公知のもの{たとえば、特開2001−26178号公報}等が使用できる。これらのうち、印刷画像の発色性の観点から、ヒンダードアミン系酸化防止剤が好ましい。
【0060】
紫外線吸収剤(H)としては、公知のもの{たとえば、特開2000−42614号公報に記載された紫外線吸収剤、及び特開2004−42614号公報に記載された高分子型紫外線吸収剤等}等が使用できる。これらのうち、印刷画像の発色性の観点から、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましい。
【0061】
架橋剤(I)としては、ポリビニルアルコール(C)を架橋できる化合物であれば制限なく使用でき、公知のもの(たとえば、特開2000−335087号公報)等が使用できる。これらのうち、架橋反応速度の観点から、ホウ素化合物及び金属含有化合物が好ましく、さらに好ましくは硼砂、ホウ酸、ホウ酸塩、酢酸ジルコニウム及び硝酸ジルコニウム、特に好ましくは硼砂、ホウ酸、酢酸ジルコニウム及び硝酸ジルコニウムである。
【0062】
染料固着剤(J)としては、公知のもの(たとえば、特開平10−264511号公報)等が使用できる。これらのうち、印刷画像の発色性の観点から、アリルアミン及びこの重合体塩、並びにジアリルアルキルアミン及びこの重合体塩が好ましい。
【0063】
低沸点溶剤(K)としては、沸点5〜130℃(好ましくは50〜100℃)の有機溶剤等を使用でき{かっこ内の数字は沸点である。}、脂肪族アルコール{メタノール(65)、エタノール(78)、イソプロパノール(82)、n−プロパノール(97)、n−ブタノール(117)等}、脂肪族エーテル{エチルメチルエーテル(7)、1,2−ジメトキシエタン(85)等}、ケトン{アセトン(56)、メチルエチルケトン(80)、2−ヘキサノン(127)等}、酢酸エステル{酢酸エチル(77)、酢酸ビニル(73)、酢酸イソプロピル(90)、酢酸−n−プロピル(102)、酢酸−n−ブチル(126)等}、ギ酸エステル{ギ酸エチル(54)}、酪酸エステル{酪酸エチル(122)、酪酸ビニル(116)、酪酸メチル(103)}、環状エーテル{テトラヒドロフラン(66)、1,4−ジオキサン(101)等}及びアセトニトリル(82)等が挙げられる。これらのうち、画像耐水性の観点から、脂肪族アルコールが好ましく、さらに好ましくはエタノール及びイソプロパノールである。
【0064】
分散剤(E)を含有する場合、この含有量(重量%)は、無機微粒子(A)の重量に基づいて、0.001〜4が好ましく、さらに好ましくは0.01〜3.5、特に好ましくは0.1〜3である。
【0065】
有機微粒子(F)を含有する場合、この含有量(重量%)は、無機微粒子(A)の重量に基づいて、0.1〜10が好ましく、さらに好ましくは0.5〜5、特に好ましくは1〜3である。
【0066】
酸化防止剤(G)を含有する場合、この含有量(重量%)は、無機微粒子(A)、ポリビニルアルコール(B)、アニオン性又はノニオン性ポリマー(C)及び水(D)の合計重量に基づいて、0.01〜20が好ましく、さらに好ましくは0.05〜10、特に好ましくは0.1〜5である。
【0067】
紫外線吸収剤(H)を含有する場合、この含有量(重量%)は、無機微粒子(A)、ポリビニルアルコール(B)、アニオン性又はノニオン性ポリマー(C)及び水(D)の合計重量に基づいて、0.01〜20が好ましく、さらに好ましくは0.05〜10、特に好ましくは0.1〜5である。
【0068】
架橋剤(I)を含有する場合、この含有量(重量%)は、ポリビニルアルコール(B)の重量に基づいて、0.1〜60が好ましく、さらに好ましくは0.5〜30、特に好ましくは1〜20である。
【0069】
染料固着剤(J)を含有する場合、この含有量(重量%)は、無機微粒子(A)、ポリビニルアルコール(B)、アニオン性又はノニオン性ポリマー(C)及び水(D)の合計重量に基づいて、0.01〜10が好ましく、さらに好ましくは0.05〜5、特に好ましくは0.1〜3である。
【0070】
低沸点溶剤(K)を含有する場合、この含有量(重量%)は、無機微粒子(A)、ポリビニルアルコール(B)、アニオン性又はノニオン性ポリマー(C)及び水(D)の合計重量に基づいて、0.1〜50が好ましく、さらに好ましくは0.5〜30、特に好ましくは1〜10である。
これらの添加剤を含有する場合、以上の範囲であると、寸法安定性及び光沢性等がさらに良好となる。
【0071】
本発明のインク受容層形成用組成物は、以下の<方法1>〜<方法5>の製造方法等によって容易に得られる。
<方法1>無機微粒子(A)を含有してなる水分散体と、ポリビニルアルコール(B)、ポリマー(C)及び水(D)からなる水溶液とを均一混合分散する工程を含む製造方法。
<方法2>ポリビニルアルコール(B)、ポリマー(C)及び水(D)を含有してなる水溶液と、無機微粒子(A)とを均一混合分散する工程を含む製造方法。
<方法3>水(D)及び無機微粒子(A)を均一混合分散し、分散体を得た後、分散体と、ポリビニルアルコール(B)及びポリマー(C)とを均一混合する工程を含む製造方法。
<方法4>ポリビニルアルコール(B)及び水(D)を含有してなる水溶液と、無機微粒子(A)とを均一混合分散し、分散体を得た後、分散体と、ポリマー(C)とを均一混合する工程を含む製造方法。
<方法5>ポリマー(C)及び水(D)を含有してなる水溶液と、無機微粒子(A)とを均一混合分散し、分散体を得た後、分散体と、ポリビニルアルコール(B)とを均一混合する工程を含む製造方法。
【0072】
これらのうち、光沢性の観点から、<方法1>及び<方法2>が好ましく、さらに好ましくは<方法1>である。
【0073】
均一混合分散には、公知の分散機{たとえば、圧力式分散機(高圧ホモジナイザー等)、ボールミル、サンドミル、ロールミル、遊星型混分散機及び3軸遊星型ミキサー等}が使用できる。分散機のうち、遊星型混合分散機及び3軸遊星型ミキサーが好ましく、さらに好ましくは3軸遊星型ミキサーである。なお、3軸遊星型ミキサーは、遊星運動を行う2枚のブレードと高速回転翼の3軸から構成される。2枚のブレードは自転及び公転し、この自公転に同期しながら高速回転翼は自転する構造をとる分散機である(たとえば、登録実用新案第3026043号)。
【0074】
分散温度は特に制限ないが、10〜50℃が好ましく、さらに好ましくは20〜45℃、特に好ましくは25〜35℃である。この範囲であると保存安定性がさらに良好となる。また、分散時間は特に制限ないが、30分〜24時間が好ましく、さらに好ましくは1〜12時間である。この範囲であると寸法安定性及び光沢性がさらに良好となる。
【0075】
均一混合は公知の方法で達成できる。均一混合温度に関して、10〜25℃で混合した後、80〜100℃で混合してから、冷却する方法が好ましい。
【0076】
他の添加剤を含有する場合、他の添加剤は任意の段階で添加混合することができる。なお、分散剤(E)、有機微粒子(F)、酸化防止剤(G)、紫外線吸収剤(H)及び染料固着剤(J)は、無機微粒子(A)と共に均一混合することが好ましい。また、低沸点溶剤(K)は、最後に均一混合することが好ましい。また、架橋剤(I){特にホウ素化合物}は、ポリビニルアルコール(B)と共に均一混合することが好ましい。
【0077】
本発明の水性インク受容層形成用組成物が適用できる支持体としては、紙{サイジングが施された紙、無サイズ紙、上質紙、中質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、紙の片面あるいは両面が樹脂(ポリオレフィン等)で被覆された樹脂被覆紙等}、樹脂フィルム又はシート{ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリスチレン、ポリアセテート、ポリ塩化ビニル、酢酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート又はポリカーボネート等からなるフィルム又はシート、及びこれらの金属蒸着フィルム又はシート、無機物の充填又は微細な発泡により不透明化されたフィルムからなる合成紙等}、ガラス板、金属板、布及び皮革等が挙げられる。これらのうち、樹脂フィルムに好適である。
【0078】
本発明の水性インク受容層形成用組成物を、支持体に塗布して塗布層を形成する工程の前に、支持体の水性インク受容層を形成する面に、支持体と水性インク受容層との密着性を向上させる目的で、予め密着処理する工程、又は接着処理する工程を追加してもよい。特に、支持体として樹脂被覆紙、樹脂フィルム、又は合成紙を用いる場合、その表面にコロナ放電処理すること、あるいはゼラチン等によるアンダーコート層を設けることが好ましい。
【0079】
本発明の水性インク受容層形成用組成物を支持体に塗布して塗布層を形成する工程において、本発明の水性インク受容層形成用組成物は、ダイコーター、ロールコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、バーコーター又はスピンコーター等を用いて塗布できる。
【0080】
本発明の水性インク受容層形成用組成物を塗布した後、形成された塗布層を乾燥することによってインク受容層が形成される。
塗布層を乾燥して水性インク受容層を形成する工程において、乾燥は、30〜150℃、0.5〜20分間の条件が好ましく、さらに好ましくは40〜80℃、1〜15分間、特に好ましくは45〜75℃、3〜10分間、最も好ましくは50〜70℃、4〜8分間の条件である。
【0081】
水性インク受容層の厚さは、塗膜上への印刷方法、印刷に用いられるインクやそのインクに使用される溶剤の種類、そのインク量等によって適宜選択することができるが、1〜100μmが好ましく、さらに好ましくは5〜70μm、特に好ましくは10〜50μm、最も好ましくは15〜45μmである。
【0082】
画像形成用基材のインク受容層への画像形成は、インクジェットプリンター、熱転写プリンター、レーザープリンター、オフセット印刷、フェルトペン等の筆記具で書き込む方法等種々の方法により行うことができる。
【実施例】
【0083】
以下、本発明を実施例により更に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、特に言及しない限り、部は重量部を、%は重量%を意味する。
【0084】
<製造例1>
イオン交換水390部、イソプロピルアルコール{東京化成工業(株)製、試薬特級}210部、N−メチロールアクリルアミド{東京化成工業(株)製、試薬1級}120部及びアクリルアミド{東京化成工業(株)製、試薬1級}30部を約23℃で均一溶解させた後、過硫酸カリウム{和光純薬工業(株)製、1級}1.5部、亜硫酸水素ナトリウム{和光純薬工業(株)製、試薬特級}0.06部及び酢酸ナトリウム{和光純薬工業(株)製、試薬特級}1.5部を加え、均一溶解させ、原料混合物を得た。ついで、原料混合物中に窒素を流入し、窒素置換した後、30分間で65℃まで昇温し、65℃で3時間攪拌して反応生成物を得た。反応生成物を90℃、1000〜4000Paの減圧乾燥機中で6時間乾燥し、ノニオン性ビニルポリマー(c21)を得た。ノニオン性ビニルポリマー(c21)の重量平均分子量は5040であった。
【0085】
<製造例2>
95℃に調整したイオン交換水222.5部に、アクリル酸{和光純薬工業(株)製、試薬特級}140.0部、アクリル酸オクタデシル{和光純薬工業(株)製、試薬1級}21.0部、メルカプトプロパンジオール{和光純薬工業(株)製、試薬特級}2.0部、48.5%水酸化ナトリウム{和光純薬工業(株)製、試薬1級}水溶液160.4部(アクリル酸に対する中和度100モル%)及びイオン交換水259.6からなる単量体水溶液を、120分間かけて一定速度で滴下すると同時に、混合重合開始剤溶液(過硫酸ナトリウム8.3部、35%過酸化水素水33.5部及びイオン交換水7.9部からなる水溶液)を120分間かけて一定速度で滴下した。滴下終了後、さらに60分間、95℃を維持(熟成)し、反応生成物を得た。反応生成物を80℃、1000〜4000Paの減圧乾燥機中で10時間乾燥し、アクリル酸ナトリウムを97モル%含有するアニオン性ビニルポリマー(c11)を得た。アニオン性ビニルポリマー(c11)の重量平均分子量は25010であった。
【0086】
<製造例3>
「アクリル酸140.0部、アクリル酸オクタデシル21.0部、メルカプトプロパンジオール2.0部、48.5%水酸化ナトリウム水溶液160.4部」を、「アクリル酸144.1部、アクリル酸オクタデシル80.0部、メルカプトプロパンジオール10.8部、48.5%水酸化ナトリウム水溶液165.6部」に変更したこと以外、製造例2と同様にして、アクリル酸ナトリウムを90モル%含有するアニオン性ビニルポリマー(c12)を得た。アニオン性ビニルポリマー(c12)の重量平均分子量は5020であった。
【0087】
<製造例4>
「アクリル酸140.0部、アクリル酸オクタデシル21.0部、メルカプロプロパンジオール2.0部、48.5%水酸化ナトリウム水溶液160.4部」を、「アクリル酸100.0部、アクリル酸オクタデシル85.0部、メルカプトプロパンジオール39.7部、48.5%水酸化ナトリウム水溶液114.6部」に変更したこと以外、製造例2と同様にして、アクリル酸ナトリウムを85モル%含有するアニオン性ビニルポリマー(c13)を得た。アニオン性ビニルポリマー(c13)の重量平均分子量は1030であった。
【0088】
<製造例5>
蔗糖{商品名;スクロース、和光純薬工業(株)製、1級}342部(1モル部)及びDMF{三菱ガス化学(株)製}1000部を均一混合した後、窒素ガスを用いて、ゲージ圧で0.4MPaになるまで加圧し0.02MPaになるまで排出する操作(加圧窒素置換)を3回繰り返した。その後攪拌しつつ100℃まで昇温し、次いで同温度にてエチレンオキシド(EO)2640部(60モル部)を4時間かけて滴下した後、同温度にて30分間攪拌を続けて残存するEOを反応させた。次いで120℃まで加熱し、同温度に保持しながら0.01〜0.1MPaの減圧下にてDMFを留去し、次いで90℃に冷却した後にイオン交換水20部を加えた後、キョーワード700{協和化学工業(株)製}100部を加え、同温度にて1時間攪拌した。次いで同温度にてNo.2濾紙{東洋濾紙(株)製}を用いて濾過してキョーワード700を取り除き、さらに0.01〜0.02MPaの減圧下120℃にて1時間脱水して、蔗糖/EO60モル付加体であるポリエーテルポリオール(c31)を得た。ポリエーテルポリオール(c31)の数平均分子量は2980であった。
【0089】
<製造例6>
「EO1144部(26モル部)」を「EO660部(15モル部」に変更したこと以外、製造例5と同様にして、蔗糖/EO15モル付加体であるポリエーテルポリオール(c32)を得た。ポリエーテルポリオール(c32)の数平均分子量は1002であった。
【0090】
<製造例7>
「スクロース342部(1モル部)」を「ソルビトール{和光純薬工業(株)製、1級}182部(1モル部)」に変更したこと、及び「EO2640部(60モル部)」を「EO6820部(155モル部)」に変更したこと以外、製造例5と同様にして、ソリビトール/EO155モル付加体であるポリエーテルポリオール(c33)を得た。ポリエーテルポリオール(c33)の数平均分子量は7000であった。
【0091】
<製造例8>
「スクロース342部(1モル部)」を「ソルビトール182部(1モル部)」に変更したこと、及び「EO1144部(26モル部)」を「EO352部(8モル部)」に変更したこと以外、製造例5と同様にして、ソリビトール/EO8モル付加体であるポリエーテルポリオール(c34)を得た。ポリエーテルポリオール(c34)の数平均分子量は530であった。
【0092】
<実施例1>
イオン交換水(d1)72.27部に、ポリビニルアルコール(b21){J−POVAL JP−33、日本酢ビポバール(株)製、ケン化度87モル%、重合度3300}1.89部を空気雰囲気下、15℃で分散した後、大気圧(約1013hPa)下で45分かけて90℃まで昇温し、90℃で6時間撹拌してポリビニルアルコール(b21)水溶液を得た。ポリビニルアルコール(b21)水溶液に、ノニオン性ビニルポリマー(c22){ポリビニルピロリドンPVP K−60、BASF社製ポリビニルピロリドン、重量平均分子量400,000}0.79部を加えて90℃で3時間均一混合した後、約23℃まで冷却して混合ポリマー水溶液を得た。混合ポリマー水溶液を3軸遊星型ミキサ(浅田鉄工社製、プラネタリDESPA)に移し、これに、無機微粒子(a1){気相法アルミナ、Aeroxide Alu−c、デグサ社製、一次粒子径13nm}17.55部及び分散剤(e1){酢酸}0.21部を加えた後、25〜30℃に保持し、分散機の攪拌機の出力を80パーセントに固定して6時間撹拌混合をおこない、本発明のインク受容層形成用組成物(1)を得た。
【0093】
<実施例2〜11>
「無機微粒子(a1)17.55部、ポリビニルアルコール(b21)1.89部、ノニオン性ビニルポリマー(c22)0.79部、水(d1)84.61部、分散剤(e1)0.21部」を、表1に記載した物質及び使用量に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明のインク受容層形成用組成物(2)〜(12)を得た。
【0094】
【表1】



【0095】
なお、表1中の数値は重量部を表し、表1で記載する略号の意味は以下の通りである。また、表1中にある「比1」は、無機微粒子(A)、ポリビニルアルコール(B)、アニオン性又はノニオン性ポリマー(C)及び水(D)の合計重量に基づいた水(D)の含有量(重量%)を示し、「比2」はポリビニルアルコール(B)とポリマー(C)との含有重量比{(C)/(B)}を示し、「比3」は無機微粒子(A)と、ポリビニルアルコール(B)及びポリマー(C)との含有重量比{(A)/(B)+(C)}を示す。
【0096】
a1;AeroxideAlu−c{デグサ社製、気相法アルミナ、一次粒子径13nm}
a2;アエロジル380{日本アエロジル社製、気相法シリカ、一次粒子径7nm}
a3;アエロジルTT600{日本アエロジル社製、気相法シリカ、一次粒子径40nm}
a4;アエロジル90G{日本アエロジル社製、気相法シリカ、一次粒子径20nm}
a5;アルミナゾル520{日産化学工業社製、アルミナゾル、一次粒子径10〜20nm、水の含有量80%}
【0097】
b21;クラレポリビニルアルコール PVA−420H{クラレ社製、ケン化度78モル%、重合度2000}
b22;ポリビニルアルコール J−POVAL JP−33{日本酢ビポバール社製、ケン化度87モル%、重合度3300}
b23;ポリビニルアルコール J−POVAL JP−50{日本酢ビポバール社製、ケン化度89モル%、重合度5000}
b24;ポリビニルアルコール J−POVAL JF−10{日本酢ビポバール社製、ケン化度98モル%、重合度1000}
b25;ポリビニルアルコール PVA124{クラレ社製、ケン化度99%、重合度2400}
【0098】
c21;製造例1で製造したノニオン性ビニルポリマー
c11;製造例2で製造したアニオン性ビニルポリマー
c12;製造例3で製造したアニオン性ビニルポリマー
c13;製造例4で製造したアニオン性ビニルポリマー
c22;ポリビニルピロリドン PVP K−60{BASF社製、重量平均分子量400,000}
c23;ポリビニルピロリドン PVP K−90{BASF社製、重量平均分子量1,600,000}
c24;ポリビニルピロリドン PVP K−120{BASF社製、重量平均分子量3,500,000}
c31;製造例5で製造したポリエーテルポリオール
c32;製造例6で製造したポリエーテルポリオール
c33;製造例7で製造したポリエーテルポリオール
c34;製造例8で製造したポリエーテルポリオール
【0099】
e1;酢酸{東京化成社製、試薬1級}
e2;テトラエチルアンモニウムヒドロキシド10%水溶液{東京化成社製、特級}
【0100】
d1;イオン交換水
【0101】
<比較例1>
「ノニオン性ビニルポリマー(c22)0.79部」を、「水(d1)0.79部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、比較用のインク受容層形成用組成物(H1)を得た。
【0102】
<比較例2>
無機微粒子(a5){アルミナゾル520、日産化学工業社製、アルミナゾル、水の含有量80%}44.9部及び水(d1){イオン交換水}44.9部及びポリビニルアルコール(b21)4.5部を空気雰囲気下、15℃で分散した後、大気圧(約1013hPa)下で45分かけて90℃まで昇温し、そのまま6時間撹拌し、約23℃に冷却した後、引き続いて、3軸遊星型ミキサ(浅田鉄工社製、プラネタリDESPA)に移し、板状α−アルミナ粒子{YKK(株)製、セラフYFA00610、板状、一次平均粒子径:0.6μm、アスペクト比:5〜15〕5.6部を加え、25〜30℃に保持し、分散機の攪拌機の出力を80パーセントに固定して6時間撹拌混合をおこない、比較用のインク受容層形成用組成物(H2)を得た。
【0103】
<比較例3>
水(d1)70部及びポリビニルアルコール(b21)30部を均一混合して、比較用のインク受容層形成用組成物(H3)を得た。
【0104】
実施例及び比較例で得たインク受容層形成用組成物は、以下のようにして評価し、これらの結果を表2に記載した。
<塗工フィルムの作製>
コクヨ製OHPフィルム(品番VF−1)上に、25℃の環境下に6時間密封保管した評価試料{インク受容層形成用組成物}を乾燥後重量が40g/mとなるように、バーコーターを用いて塗工して塗工フィルムを得た。引き続き、塗工フィルムを50±3℃の熱風乾燥機中で7分間乾燥させて、インク受容層形成フィルムを得た。
【0105】
<反り>
インク受容層形成フィルムを6cm四方の正方形にカットし、20℃、90%RH環境下で、水平面上に3時間放置し、次いで20℃、30%RH環境下に12時間放置した後、塗工フィルム四隅の、水平面からの浮き(mm)を測定して、算術平均値を算出して反りとした。
【0106】
<光沢度>
インク受容層形成フィルムを20℃、65%RHの環境下に24時間調湿後、JIS K5600−4−7:1999、塗料一般試験方法、第4部:塗膜の視覚特性、第7節:鏡面光沢度に準拠して、グロスチェッカIG−320{(株)堀場製作所社製}を用いて、黒フエルトの上に置いたインク受容層形成フィルム表面の60度鏡面光沢度を測定し、光沢度とした。
【0107】
【表2】



【0108】
本発明のインク受容層形成用組成物(実施例1〜13)は、比較用のインク受容層形成用組成物(比較例1〜3)に比較して、寸法安定性に著しく優れていた。ポリビニルピロリドン又はスクロースのエチレンオキサイド付加体を用いた実施例1〜3、8及び9のインク受容層形成用組成物は、寸法安定性に特に優れていた。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明のインク受容層形成用組成物は、水性インク受容層形成用として好適である。本発明のインク受容層形成用組成物は、種々の支持体に塗工でき、そして、この支持体に水性インキによる印刷適性を付与することができる。支持体としては、皮、布、樹脂成形体、紙、金属、段ボール及び陶磁器が含まれ、本発明の水性インク受容層形成用組成物が適用された支持体は、プリペイドカード、光記録メディア(CD−R、CD−RW、DVD等)、ICカード、磁気カード、電気機器用アクリル樹脂シート、建材用ポリカーボネート板、看板、表示パネル、表札、銘板、包装容器及び袋等として利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機微粒子(A)、ポリビニルアルコール(B)、アニオン性又はノニオン性のポリマー(C)及び水(D)を含有してなることを特徴とするインク受容層形成用組成物。
【請求項2】
無機微粒子(A)が気相法シリカ、気相法アルミナ、コロイダルシリカ、アルミナゾル及び湿式法アルミナからなる群より選ばれる少なくとも一種であり、
ポリマー(C)がアニオン性ビニルポリマー(C1)、ノニオン性ビニルポリマー(C2)及び/又はポリエーテルポリオール(C3)である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
無機微粒子(A)が気相法アルミナであり、ポリマー(C)がポリ(N−ビニルピロリドン)又は蔗糖のエチレンオキシド付加体である請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
ポリビニルアルコール(B)とポリマー(C)との含有重量比{(C)/(B)}が0.1〜1.0である請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
無機微粒子(A)と、ポリビニルアルコール(B)及びポリマー(C)との含有重量比{(A)/(B)+(C)}が、1〜10である請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の水性インク受容層形成用組成物を、支持体に塗布して塗布層を形成する工程と、塗布層を乾燥して水性インク受容層を形成する工程とを含むことを特徴とする画像形成用基材の製造方法。

【公開番号】特開2009−220379(P2009−220379A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−67023(P2008−67023)
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【出願人】(000106438)サンノプコ株式会社 (124)
【Fターム(参考)】