説明

インターネットを介した取引システム、方法及び同取引に使用される電子記録媒体

【課題】 インターネットを介して簡単にしかも短時間に物品あるいはサービスを発注ないし受注できるようにする。
【解決手段】 物品あるいはサービスの一覧データとその一覧データに掲載された物品あるいはサービスを発注するための発注プログラムが受注側で電子記録媒体1に記録され、それが発注側に渡される。発注側は記録媒体1の発注プログラムに従って注文を作成し、その発注情報をインターネット3を介して受注側に送信する。発注側は、受注側から返信されてきた受注情報と発注情報を比較し、それが一致しているかどうかを調べる。このような構成では、発注側は、受注側からすでに渡されている電子記録媒体1に記録されたデータないしプログラムにより発注情報を構築できるので、短時間でしかも簡単に発注が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インターネットを介した取引システム、方法及び同取引に使用される電子記録媒体、更に詳細には、インターネットを介した物品やサービスの受発注等(仮見積、予約受付、入出庫依頼などを含む)において、発注側の利便化のために受注側から提供され、取引で使用されるデータ、ソフトウェア等に基づいて行われる受注及び発注のしくみに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、インターネットを介して物品やサービスの発注、受注が行われる場合、発注側の利便化のために受注側から画像データなどが提供され、これらのデータを見て発注側が発注を行っている。その場合、受注、発注の第1の方法は、受注側が画像データなどをインターネットで提供し、これらの画像データの中から、発注側が発注時に必要とする対象画像を選んで自らのコンピュータ上に表示させ、その画像上から発注したい商品やサービスを指定することで、受注側が必要とする注文情報を自動的にコンピュータシステムに確定させ、発注させるという方法である。
【0003】第2の方法は、受注側から事前に提供される画像(紙、コンピュータ画像を含む)等を発注側が保管し、発注側が発注時にそれを参考にして受注側が必要とする発注情報を発注書の形式で自らの手で構成、確定、記入し、その発注書の内容を、受注側が用意したインターネットのウェブ画面から発注側が入力する、もしくはFAX等の何らかの通信手段で受注側に送るという方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の方法には次のような問題点があった。第1の方法の場合、発注側が必要な画像等情報を取得しようとすると、取得の度にダウンロード時間を取られ、待ち時間や通信料金等が嵩み不便である。これを和らげるため、一旦取込んだ画像を一定期間、あるいは一定容量内で保存し同一画像等の取得要求があった時に再利用させるしくみが考えられるが、初めて取得する画像や一定の期間、あるいは容量を越えた場合には効果がなくなってしまう。さらに、実際の発注に際しては、発注主、出荷先、納期や、決済、配送、等の手段等の情報も必要であり、それらの処理(入力,確定)中にもインターネット利用の待ち時間や料金、等が発生する、という問題がある。
【0005】第2の方法の場合は、必要な画像等情報は発注側の手元にあるため、目的とする画像の取得、表示は容易で時間も費用も掛からないが、そこから発注情報を確定し、受注側に正式に伝えようとすると、発注書を作成したり、その情報入力中はインターネットに接続している必要があったりして、発注明細数(発注アイテム数)が多いとここでの時間や費用が嵩んでしまう。
【0006】加えて、第1、第2の方法とも、インターネットを利用した場合、受注側が何らの用意もしなければ、受注側にとって発注側を確認するための情報や通信方式等は発注側が選択、作成、入力したものであるため、第3者による受注側への不正アクセスや発注情報の改竄等が発生し易く、また、それを防止するためには、複数の方式に対応するための用意や準備が必要となり、発注側の大きな負担になる。
【0007】本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、インターネットを介して簡単にしかも短時間に物品あるいはサービスを発注ないし受注できるようにすることをその課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、いずれも、提供される物品あるいはサービスの一覧データとその一覧データから選択された物品あるいはサービスをインターネットを介して発注するための発注プログラムを記録した電子記録媒体が作成されることを特徴とする。発注側は、受注側から渡された電子記録媒体に記録された発注プログラムに従って一覧データから選択された物品あるいはサービスに対する注文を作成し、これをインターネットを介して発注情報として受注側に送信し、発注及び受注が行なわれる。
【0009】このような構成では、発注側は、受注側からすでに渡されている電子記録媒体に記録されたデータないしプログラムにより発注情報を構築できるので、短時間でしかも簡単に発注ないし受注が可能になり、受注側も発注のための情報を提供する必要がないのでシステム上の負担を削減できる。
【0010】また、本発明では、受注側は受信された発注情報を確認した後インターネットを介して発注側に受注情報として返信し、発注側は返信されてきた受注情報と発信した発注情報を比較する。このように、発注側から送信される発注情報と受注側で受信した受注情報が比較されるので、受注、発注に伴うミスの発生を未然に防止することができる。
【0011】更に、本発明では、発注情報とともにインターネットを介して受注側に送信され、受注側で受信されて確認される記録媒体用識別番号あるいは発注側の認証番号が記録媒体に記録されたり、あるいは発注情報及び発注情報とともに送信される情報が暗号化されるので、互いに相手側の認証や送信内容の秘匿性非改竄性が向上する。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図面に示す実施の形態に基づき本発明を詳細に説明する。
【0013】図1には、本発明によるシステムにおいて行なわれる発注側及び受注側の処理の流れが図示されている。
【0014】受注側は、自社が提供する部品の使われている製品等のパーツブックを電子化し、一般のウェブブラウザでその内容を確認できる一覧データとし、その一覧データから選択される物品あるいはサービスを発注するための発注プログラム並びにそれに必要なソフトウェアを用意し、その一覧データ、発注プログラム並びに必要なソフトウェアなどをCD−ROM等の電子記録媒体1(以下、記録媒体という)の中に収める(ステップS1)。
【0015】さらに、その記録媒体1中に、電子取引上使用するデータ、例えば、記録媒体を識別するID番号、暗号化キー、発注側ないし受注側の認証ID番号等のデータや、送信する発注情報並びにそれに付随して送信される情報を暗号化するプログラムや認証ソフト等の取引用ツールを書き込み後(ステップS2)、記録媒体のID番号と個々の顧客とを結びつけた上で、顧客、即ち発注側にその顧客用記録媒体を渡す(ステップS3)。
【0016】発注側ではインターネットに接続可能なコンピュータ2を用意し、発注の際、ステップS3で渡された記録媒体1をそのコンピュータ内に挿入し(ステップS4)、ステップS1ないしS2で格納したソフトをシステムとして起動し(ステップS5)、発注プログラムを起動させ、目的とする物品あるいはサービスの一覧データの載った画像データをコンピュータ2の画面上に表示させる。例えば、ミシンなどの機械である場合には、図2(A)に示したような画面表示になり、左側に部品のパーツ組立図が図中番号とともに表示され、また右側には、図中番号(No.)、部品番号、部品名、数量などが表示される。
【0017】発注側では、図2(A)の表示画面上から目的とするパーツを選択し、その発注数量を入力する。例えば、発注したいパーツが画像で「2」、「3」の図中番号のパーツである場合には、左側の組立図の図中番号を選択(ポインティング)することで、右側の「選択」にチェックが付くので、チェックされた部品ごとにその発注数量を数量欄に入力する(ステップS6)。このような部品番号の指定並びに数量の入力によりコンピュータ2のシステムによって発注明細情報が自動的に確定される(ステップS7)。
【0018】続いて、発注側では、1回の発注単位毎に受注側が要求する情報(出荷先、希望納期等)の発注条件を、システムが提供する発注用入力画面から指定する(ステップS8)。この入力画面が図2(B)に図示されている。コンピュータ2のシステムは、発注プログラムに従い、ステップS7で確定された発注明細情報を含め、1単位の発注に必要な全ての情報を図2(B)に示したような注文書の形で注文データ(注文情報)として構成し、発注内容を確定する(ステップS9)。
【0019】更に、コンピュータ2のシステムに対し、ステップS9の注文データを受注側に送るよう指示すると、同システムはステップS2で記録媒体1に記録されたデータやソフトを使い、所定の暗号化を行い、インターネット3に接続し、受注側のウェブサーバー(ウェブサイト)4に注文データを送信する(ステップS10)。
【0020】受注側のウェブサーバー4では、発注側からのアクセスIDやパスワードをチェックし、ユーザ認証が取られていることを確認した上で、送られた暗号化情報を複合化して発注情報を取込み、その内容に受注証明(コード)を付したものを受注情報として同一の暗号化方式、認証システムで当該注文の発注側へ返信する(ステップS11)。
【0021】発注側のコンピュータ2のシステムは、ウェブサーバー4からの返信を受信後、直ちにインターネット3との接続を切断し(ステップS12)、受注側と同様なチェックや復号化を行なった上で、自らの発注情報と受取った受注情報を比較し、各情報の一致性を確認し(ステップS13)、その結果をコンピュータ2の画面上に表示する。それにより、発注側はその内容を自ら確認することができる。
【0022】このように、本発明では、発注側は、発注時に受注側から発注すべき物品あるいはサービスなどのデータを得ることなく発注情報を構成できるので、受注側からの情報を得るための時間を節約できると同時に受注側も情報提供のためのシステム的負担を削減できる。
【0023】また、発注側は、まとめられた注文単位での受発注情報の送受信の時にしかインターネットに接続しないので、ダイアルアップ接続の場合、通常のインターネット(ウェブ)発注に比べ、通信料や接続料を抑えられる。
【0024】更に、受注側から渡される記録媒体中には記録媒体あるいは発注側ないし発注主を識別する個別のID番号や共通のソフト等が入っているので、互いに相手側の認証や送信内容の秘匿性非改竄性の確保等がし易く、かつ、受発注側とも金額的負担が少なくなる。
【0025】また、発注用のソフトウェアやデータは全て記録媒体の中に入っているため、受注側のウェブサイトではそれ用のものを除いた画面を用意するだけでよく、画面数を削減できる。
【0026】また、発注側のシステムにウェブブラウザを使っているため、発注作業中に受注側が用意した他のウェブ画面を覗いても、ソフトを換えることなく継続的に作業ができる。
【0027】更に、受注情報を発注側の手元にあるシステムで発注直後に自動的に確認できるので、互いの持つ受発注情報の食い違いを早目に修正できる。
【0028】上述した実施形態では、電子化されたパーツブックや発注用、通信用等のソフトウェアをデータと共にCD−ROMという記録媒体に収めたケースを示したが、次に示すような事例や範囲でも同様の効果が期待される。
【0029】記録媒体はCD−ROMのみならず、その一部が発注側にとって書換え不能であれば、DVD、MO等のコンピュータ用の電子記録媒体の何れでも適用可能である。また、必要なソフトウェアやデータが事前に発注側に提供され、発注時のシステムのものとして使用可能になるなら、その一部は当該媒体を用いずに提供されても構わない。
【0030】また、記録媒体へのソフトウェアやデータの書込みは、発注側で直接読取りや実行ができる形の他にも、ファイル圧縮やインストーラー使用のような間接的な方法も考えられる。
【0031】また、受発注の対象は上述したようなパーツ(部品)に限らず、あらゆる物品やサービスにも適用可能である。ことに、類似する物品やサービスが数多く対象に含まれ、目的とするものの特定化に画像情報や音声情報が有効な場合は本方法の効果も大きいといえる。
【0032】更に、受注情報に受注結果(諾否、納期、金額、等)を含めれば、受注回答として発注側が受取ることができ、一層利便性が増す。
【0033】また、上述した実施形態では、受発注のケースを示したが、それ以外にも、仮発注、見積、予約受付、入出庫依頼等の組織企業間での依頼と受付およびその確認を必要とする幅広いケースでの適用が可能である。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、発注側は、受注側からすでに渡されている電子記録媒体に記録されたデータないしプログラムにより発注情報を構築できるので、短時間でしかも簡単に発注ないし受注が可能になり、受注側も発注のための情報を提供する必要がないのでシステム上の負担を削減できる。
【0035】また、発注側から送信される発注情報と受注側で受信した受注情報が比較されるので、受注、発注に伴うミスの発生を未然に防止することができる。
【0036】更に、発注情報とともにインターネットを介して受注側に送信され、受注側で受信されて確認される記録媒体用識別ID番号あるいは発注側の認証ID番号が記録媒体に記録されるので、また発注情報及び発注情報とともに送信される情報が暗号化できるので、互いに相手側の認証や送信内容の秘匿性非改竄性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の取引システムで行なわれる発注、受注の流れを示した流れ図である。
【図2】発注を行なうときのウェブブラウザの画面を示した説明図である。
【符号の説明】
1 電子記録媒体
2 発注側のコンピュータ
3 インターネット
4 ウェブサーバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】 物品あるいはサービスをインターネットを介して発注ないし受注するためのインターネットを介した取引システムにおいて、物品あるいはサービスの一覧データとその一覧データから選択された物品あるいはサービスをインターネットを介して発注するための発注プログラムを記録した電子記録媒体と、受注側から渡された電子記録媒体に記録された発注プログラムに従って一覧データから選択された物品あるいはサービスに対する注文を作成する発注側のコンピュータと、前記作成された注文に従って前記コンピュータから送信される発注情報をインターネットを介し受信する受注側のウェブサーバーと、から構成されることを特徴とするインターネットを介した取引システム。
【請求項2】 前記サーバーは受信された発注情報を確認した後インターネットを介して発注側のコンピュータに受注情報として返信し、前記受注側のコンピュータは返信されてきた受注情報と発注情報を比較することを特徴とする請求項1に記載のインターネットを介した取引システム。
【請求項3】 物品あるいはサービスをインターネットを介して受注する取引方法において、物品あるいはサービスの一覧データとその一覧データから選択される物品あるいはサービスを発注するための発注プログラムを電子記録媒体に記録し、前記電子記録媒体に記録された発注プログラムに従って発注側で作成される物品あるいはサービスの発注情報をインターネットを介して受信し、該物品あるいはサービスに対する注文を受注することを特徴とするインターネットを介した取引方法。
【請求項4】 受信された発注情報を確認した後、該発注情報をインターネットを介して発注側に受注情報として返信することを特徴とする請求項3に記載のインターネットを介した取引方法。
【請求項5】 物品あるいはサービスをインターネットを介して発注する取引方法において、物品あるいはサービスの一覧データとその一覧データから選択される物品あるいはサービスを発注するための発注プログラムを記録した電子記録媒体から読み出される発注プログラムに従って一覧データから選択される物品あるいはサービスに対する注文を作成し、作成された注文に基づき発注情報をインターネットを介して受注側に送信し、該物品あるいはサービスに対する注文を発注することを特徴とするインターネットを介した取引方法。
【請求項6】 受注側で確認されインターネットを介して受注側から返信される受注情報を発注側で確認することを特徴とする請求項5に記載のインターネットを介した取引方法。
【請求項7】 物品あるいはサービスをインターネットを介して発注ないし受注するインターネットを介した取引に使用される電子記録媒体において、提供される物品あるいはサービスの一覧データと、前記一覧データから選択された物品あるいはサービスをインターネットを介して発注情報として受注側に送信し該選択された物品あるいはサービスを発注するための発注プログラムと、を格納したことを特徴とするインターネットを介した取引に使用される電子記録媒体。
【請求項8】 発注情報とともにインターネットを介して受注側に送信され、受注側で受信されて確認される記録媒体用識別ID番号あるいは発注側及び受注側の認証ID番号を更に格納することを特徴とする請求項7に記載の電子記録媒体。
【請求項9】 発注情報及び発注情報とともに送信される情報を暗号化するプログラムを更に格納することを特徴とする請求項7又は8に記載の電子記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2002−7804(P2002−7804A)
【公開日】平成14年1月11日(2002.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−188591(P2000−188591)
【出願日】平成12年6月23日(2000.6.23)
【出願人】(000003399)ジューキ株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】