説明

インターフェロン−βの精製方法

本発明は、親和性クロマトグラフィ工程および陽イオン交換クロマトグラフィ工程を含む組換えヒトインターフェロン−β含有培養液からのヒトインターフェロン−βの精製方法であって、親和性クロマトグラフィ工程が、平衡化された親和性クロマトグラフィカラムにインターフェロン−β含有培養液を加えて吸着させた後、平衡用緩衝溶液で洗浄する段階と、30〜60重量%のプロピレングリコールを含有するpH6.5〜7.5の洗浄用緩衝液A、および10〜30重量%のプロピレングリコールおよび1〜2MのNaClを含有するpH6.5〜7.5の洗浄用緩衝液Bでカラムを洗浄する段階と、40〜60重量%のプロピレングリコールおよび1〜2MのNaClを含有するpH6.5〜7.5の緩衝溶液でヒトインターフェロン−βを含有する画分を溶出させる段階とを含む、ヒトインターフェロン−βの精製方法を提供する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親和性クロマトグラフィ工程および陽イオン交換クロマトグラフィ工程を含む、組換えヒトインターフェロン−β含有培養液からのヒトインターフェロン−βの精製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インターフェロンは、広義において、宿主の反応性を媒介する細胞外メッセンジャーであり、相対的に小さなサイズで細胞外に分泌され、進化的に保存されている蛋白質グループである。ウイルス、二重鎖RNA、各種微生物、そしてTNFやIL1のようなサイトカイン類によりインターフェロンを生産する細胞がインターフェロンを生産して外部に分泌すれば、分泌されたインターフェロンは、周辺にインターフェロン受容体を有した細胞の表面に結合し、その細胞の内部での連鎖的な信号伝達作用により、宿主に反応性と恒常性とを維持させるように、多様な蛋白質の合成を誘導する。従って、インターフェロンは、生体内で抗ウイルス性、抗分化性、免疫信号伝達の蛋白質として作用し、また、癌細胞に対して直接的に抗分化効果を示すことにより、治療剤としての関心が非常に高い(Postka S.,Langer J.A.and Zoon K.C.(1987) Interferons and their actions,Annu.Rev.Biochem.56:pp.727−777)。
【0003】
インターフェロンは、螺旋形の生理活性物質に分類され、物理化学的、機能的特徴によって1型と2型の二種に分類される。1型インターフェロンには、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−τ、インターフェロン−εがあり(Weissman C.and Weber H.(1986) The Interferon genes,Prog.Nucleic Acid Res.Mol.Biol.33:pp.251−300)、2型インターフェロンには、インターフェロン−γが存在する。それらのうち、1型インターフェロンに属するインターフェロン−βは、種特異的な特性を示す蛋白質であり、主に生産される位置によって繊維芽細胞インターフェロン(fibroblast interferon)とも呼ばれ、生物学的特性によってpH2安定性インターフェロン(pH2−stable interferon)とも呼ばれる。また、インターフェロン−βは、同じ1型グループに分類されるインターフェロン−αと細胞表面の同じ受容体に結合し、細胞内での一連の信号伝達体系により、抗ウイルス性因子の転写を誘導する。
【0004】
インターフェロン−βは、ほぼ20%の糖を含有した分子量20kDaほどの糖蛋白質(glycoprotein)であり、166個のアミノ酸から構成された単一鎖の蛋白質である。1個のN−グリコシレーション(N−glycosylation)部位は、生物学的活性や抗原性に関与するというよりは、物理化学的機能でもって物質自体の安定性や溶解性を高めるという役割を果たすことが公知である(Karpusas M.,Whytty A.,Runkel L.,and Hochman P.The structure of human interferon−β:implications for activity CMLS,54:pp.1203−1216 1998)。
【0005】
遺伝子組換え技術が発展するにつれ、ヒト・インターフェロン−βのアミノ酸配列が報告され、大腸菌にクローニングされて発現され(Taniguchi,Gene 10:pp.11−15,1980)、CHO(Chinese Hamster Ovary)細胞でのインターフェロン−βの発現も報告されている(米国特許第4,966,843号、米国特許第5,376,567号および米国特許第5,795,779号)。
【0006】
最近、インターフェロン−βは、Betaseron(登録商標)、Avonex(登録商標)、Rebif(登録商標)という商品名で、遺伝子組換え方法で製造されて販売されており、適応症としては、多発性硬化症を有した患者の症状悪化と緩和との反復される時期を遅らせ、痛みを和らげるのに効果的であることが公知である。また、組換えインターフェロン−βは、主に、多発性硬化症の治療剤として広く利用されているだけではなく、ヒト免疫反応の非特異的調節、ウイルス感染に対する免疫反応並びに癌細胞の抗分化にも効果を表している。
【0007】
既知のCHO細胞で発現された組換えインターフェロン−βの精製方法としては、親和性クロマトグラフィ(米国特許第4,278,661号、米国特許第4,289,689号、米国特許第4,541,952号、米国特許第4,808,523号など)、金属キレートクロマトグラフィ(米国特許第4,257,938号、米国特許第4,359,389号、米国特許第4,541,952号、米国特許第5,244,655号など)、CPG(Controlled Pore Glass)クロマトグラフィ(米国特許第4,359,389号、米国特許第5,066,786号、米国特許第5,244,655号など)、コンカナバリンA(Concanavalin A)クロマトグラフィ(米国特許第4,289,689号、米国特許第4,658,017号など)によって一次精製を行い、陽イオン交換クロマトグラフィおよび逆相クロマトグラフィ方法と組み合わせ、3段階から5段階の工程で精製する方法が知られている。
【0008】
前記従来の精製方法において、金属キレートクロマトグラフィ法を利用する場合には、精製工程に重金属が利用されるので、環境汚染問題が引き起こされることがあり、CPGおよびコンカナバリンAクロマトグラフィは、精製特異性が落ちるという問題点がある。すなわち、例えば、CHO細胞培養液は多くの糖鎖蛋白質を含んでいるが、糖鎖が結合した蛋白質と選択的に結合するコンカナバリンAクロマトグラフィでは特異性が落ちてしまい、CPGカラムでは、蛋白質と結合した後、サイズの違いによって分離できるが、インターフェロン−βに対する分離効率と純度面とでは、むしろ親和性クロマトグラフィ(例えば、ブルーセファロースカラムクロマトグラフィ)より低い。
【0009】
また、親和性クロマトグラフィを利用した従来の精製方法は、単クローン抗体を使用し、かつ/または色素樹脂を利用し、エチレングリコールで洗浄および溶出させてクロマトグラフィ工程を行う。しかし、単クローン抗体を用いた親和性クロマトグラフィでは、グリコシレーションされていないインターフェロンの除去工程を別途に行わねばならないので、大量生産に適用し難く、特に、洗浄および溶出のときに使用するエチレングリコールは、生体に対する毒性が非常に強く、実際の生産に適用するのに、多くの限界を抱える。
【0010】
一方、米国特許第4,483,849号は、前記親和性クロマトグラフィ工程で有毒性のエチレングリコールの代わりに、プロピレングリコールを使用してインターフェロンを精製および安定化させる方法を開示している。米国特許第4,483,849号の製造方法は、平衡化されたAffi−Gel Blueのような色素親和性カラムにインターフェロンを含む培養液を適用し、1.0MのNaCl/PO緩衝溶液および40%のプロピレングリコールを含有する1.0MのNaCl/PO緩衝溶液で洗浄し、50%のプロピレングリコールでインターフェロンを溶出させる。しかし、米国特許第4,483,849号の製造方法は、カラム洗浄および溶出の工程に関するが、得られる最終生成物に不純物ピークが依然として存在することにより、純度が低下してしまうという問題点がある。
【発明の開示】
【0011】
本発明は、無毒性のプロピレングリコールを利用し、改善された親和性クロマトグラフィ法を介してインターフェロン−βの一次精製産物を高い純度で回収する、陽イオン交換クロマトグラフィ工程などを含むインターフェロン−βの精製方法を提供する。
【0012】
従って、本発明は、親和性クロマトグラフィ工程および陽イオン交換クロマトグラフィ工程を含む組換えヒトインターフェロン−β含有培養液からのヒトインターフェロン−βの精製方法において、特定緩衝溶液を使用した洗浄工程および溶出工程を含むヒトインターフェロン−βの精製方法を提供することを目的とする。
【0013】
本発明は、親和性クロマトグラフィ工程および陽イオン交換クロマトグラフィ工程を含む組換えヒトインターフェロン−β含有培養液からのヒトインターフェロン−βの精製方法において、前記親和性クロマトグラフィ工程が、平衡化された親和性クロマトグラフィカラムにインターフェロン−β含有培養液を加えて吸着させた後、平衡用緩衝溶液で洗浄する段階と、30〜60重量%のプロピレングリコールを含有するpH6.5〜7.5の洗浄用緩衝液A、および10〜30重量%のプロピレングリコールおよび1〜2MのNaClを含有するpH6.5〜7.5の洗浄用緩衝液Bでカラムを洗浄する段階と、40〜60重量%のプロピレングリコールおよび1〜2MのNaClを含有するpH6.5〜7.5の緩衝溶液でヒトインターフェロン−βを含有する画分を溶出させる段階とを含む、ヒトインターフェロン−βの精製方法を提供する。
【0014】
本発明の精製方法で、試料として使われる組換えヒトインターフェロン−β含有培養液としては、非制限的な例としてインターフェロン−βを生成する細胞および菌株を使用できる。例えば、Carter and Horoszewicz,Pharm.Ther.8,pp.359−377,1980;Strander and Cantell,Ann.Med.Exp.Fenn.44,pp.265−273,1966;Wheelock,Science,149,pp.310−311,1965のような公知の方法によって得られた培養液を使用できる。好ましくは、組換えヒトインターフェロン−βを生成するCHO細胞の無血清(serum−free)培養物を使用できる。
【0015】
本発明の精製方法で、親和性クロマトグラフィ工程に使われる親和性カラムとしては、一般的な色素親和性(dye−affinity)カラムを使用でき、例えば、ブルーセファロース6(Blue−Sepharose 6,Amersham biosciences社、スウェーデン)をカラム(例えば、XK−50カラム、Amersham biosciences社、スウェーデン)に充填したもの、またはAffi−Gel Blueカラム(Bio−Rad社、米国)などを使用できる。前記親和性カラムの平衡用緩衝溶液としては、EDTAを添加したリン酸ナトリウム緩衝溶液(約pH7.2)の緩衝溶液を使用でき、一般的な方法として、例えば、15〜30cm/hrほどの線速度で3カラム体積(CV)ほどで流して平衡させる。
【0016】
本発明の精製方法で、親和性クロマトグラフィ工程は、平衡化された親和性クロマトグラフィカラムにインターフェロン−β含有培養液を加えて吸着させた後、平衡用緩衝溶液で非特異的に結合された蛋白質を洗浄する段階を含む。
【0017】
また、親和性クロマトグラフィ工程は、多段階の洗浄段階、すなわち、30〜60重量%のプロピレングリコールを含有するpH6.5〜7.5の洗浄用緩衝液A、および10〜30重量%のプロピレングリコールおよび1〜2MのNaClを含有するpH6.5〜7.5の洗浄用緩衝液Bでカラムを洗浄する段階を含む。また、前記洗浄段階は、1〜2MのNaClを含有するpH6.5〜7.5の洗浄用緩衝液Cで洗浄する段階をさらに含むことが好ましい。前記各洗浄段階は、2〜4のCVの緩衝溶液を使用して行われることが好ましい。
【0018】
本発明の精製方法において、前記洗浄段階で、各洗浄用緩衝液は、順序と関係なく適用可能である。すなわち、洗浄用緩衝液Aで洗浄した後で洗浄用緩衝液Bで洗浄するか、または洗浄用緩衝液Bで洗浄した後で洗浄用緩衝液Aで洗浄でき、また、洗浄用緩衝液Aで洗浄した後で洗浄用緩衝液Cで洗浄した後、洗浄用緩衝液Bで洗浄するか、または洗浄用緩衝液Bで洗浄した後で洗浄用緩衝液Cで洗浄した後、洗浄用緩衝液Aで洗浄することも可能である。前記洗浄過程で、洗浄用緩衝液Aにより疏水性の高い不純蛋白質が効果的に除去され、洗浄用緩衝液Cにより親水性不純物が除去され、さらに洗浄用緩衝液Bにより不純蛋白質が除去される。
【0019】
また、インターフェロン−βの回収は、40〜60重量%、さらに好ましくは、50重量%のプロピレングリコールおよび1〜2MのNaClを含有するpH6.5〜7.5の緩衝溶液でヒトインターフェロン−βを含有する画分を溶出させることによって行われうる。
【0020】
好ましくは、前記各洗浄および溶出の段階で使われる緩衝溶液としては、リン酸ナトリウム緩衝溶液、またはリン酸カリウム緩衝溶液を使用できる。
【0021】
米国特許第4,483,849号で開示されている方法が、段階的なプロピレングリコール濃度勾配によって洗浄および溶出させる工程を採用するのに対し、本発明の精製方法は、50%ほどのプロピレングリコールを洗浄工程で使用することにより、従来の製造方法で現れる不純物ピークを効果的に除去できる。
【0022】
本発明の精製方法は、前記のような親和性クロマトグラフィを行った後、陽イオン交換クロマトグラフィ工程を行う。また、本発明の精製方法は、分子量カットオフ値10,000の限外濾過膜を利用し、前記親和性クロマトグラフィ工程から回収された溶液をダイアフィルトレーションした後、陽イオン交換クロマトグラフィ工程を行うことが好ましい。前記ダイアフィルトレーション工程を介し、相対的に高い塩濃度のインターフェロン−βを適切なレベルに調節できる。
【0023】
前記陽イオン交換クロマトグラフィ工程は、ダイアフィルトレーションから得られた試料をカラムに加えた後、pH5〜7でNaClを使用した濃度勾配でヒトインターフェロン−βを含む画分を溶出させることによって行うことができる。具体的には、平衡用緩衝液のリン酸ナトリウム緩衝溶液(pH5〜7)からNaClを含むリン酸ナトリウム緩衝溶液(pH5〜7)の直線濃度勾配でインターフェロン−βを含む画分を溶出させることができる。
【0024】
前記陽イオン交換クロマトグラフィカラムとしては、CM−セファロースFF(Amersham biosciences社、スウェーデン)カラム(XK−50、150ml CV、Amersham biosciences社、スウェーデン)のようなカラムを使用でき、5ml/minの流速で3CVほど流して平衡させる。陽イオン交換クロマトグラフィにおいては、ダイアフィルトレーションで得られた試料を、平衡化されたカラムに適当な流速で流し、NaCl含有リン酸ナトリウム緩衝溶液の直線濃度勾配により溶出する(約12CV)。その結果、糖鎖の結合していないインターフェロン−βが除去され、糖鎖の結合したインターフェロン−βを選別的に得ることができる。
【0025】
前記陽イオン交換クロマトグラフィ工程を行ったインターフェロン−βを含んだ画分は、追加の緩衝溶液交換工程を行うことができる。緩衝液交換工程は、ゲル濾過、または濃縮およびダイアフィルトレーションなどで行うことができる。
【0026】
例えば、ゲル濾過工程を行う場合、陽イオン交換クロマトグラフィ工程で分離回収した溶液を、例えば、200〜1,000μg/mlほどに濃縮し、10〜50mMの酢酸ナトリウム緩衝溶液(pH3.5〜5.5)で透析した後、10〜50mM、好ましくは、20mMの酢酸ナトリウム緩衝溶液(pH3.5〜5.5)で平衡させたゲル濾過クロマトグラフィカラム(例えば、Sephacryl S−200、Amersham biosciences社)にローディングする。その後、適当な流速で10〜50mMの酢酸ナトリウム(pH3.5〜5.5)緩衝溶液を流して目的蛋白質の溶液を交換し、重合体を分離除去できる。
【0027】
本発明の全体工程を段階別のフローチャートで表せば、図1の通りである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明を実施例を介してさらに詳細に説明する。しかし、それら実施例は、本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。
【実施例】
【0029】
実施例1.親和性クロマトグラフィ
ブルーセファロース6(Amersham biosciences社、スウェーデン)をXK−50カラム(Amersham biosciences社、スウェーデン)に350ml充填し、親和性クロマトグラフィカラムとして使用した。1mMのEDTAが含まれた20mMのリン酸ナトリウム緩衝溶液を十分に流してカラムを平衡させた後、インターフェロン−βを含んでいるCHO細胞無血清培養液25Lを5〜10ml/minの流速で流した後、さらに平衡用緩衝溶液を約3CV流してカラムを洗浄した。
【0030】
50%のプロピレングリコールが含まれた20mMのリン酸ナトリウム緩衝溶液(pH7.2)を5ml/minの流速で3CVほど流して不純蛋白質を除去した後、平衡用緩衝溶液を3CVほど流した。さらに、2MのNaClが含まれた20mMのリン酸ナトリウム緩衝溶液(pH7.2)を5ml/minの流速で3CVほど流して不純蛋白質を除去した。最後に、2MのNaClと20%のプロピレングリコールとが含まれた20mMのリン酸ナトリウム緩衝溶液(pH7.2)を5ml/minの流速で3CVほど流して不純蛋白質を除去した。
【0031】
溶出用緩衝溶液(2MのNaClおよび50%のプロピレングリコールの含まれた20mMのリン酸ナトリウム緩衝溶液、pH7.2)を5ml/minの流速で3CVほど流してインターフェロン−βを含有した溶液を回収した。回収した溶出液の純度をC4高速液体クロマトグラフィ(HPLC)分析クロマトグラフィを介して測定した結果は、図2であり、図2から確認することができるように、インターフェロン−βの純度は、約85%以上である。
【0032】
対照として、前記過程で、50%のプロピレングリコールが含まれた20mMのリン酸ナトリウム緩衝溶液(pH7.2)で洗浄する工程を除外し、同じ方法で親和性クロマトグラフィを行い、得られた溶出液の純度をC4 HPLC分析クロマトグラフィを介して測定した結果は、図3の通りである。図3から確認することができるように、前記洗浄工程を行っていない場合、純度が大きく低下するということが分かる。
【0033】
実施例2.陽イオン交換クロマトグラフィ
実施例1で得たインターフェロン−βを含有した溶液を限外濾過システム(分子量カットオフ値10,000)を利用してダイアフィルトレーションを行った後、試料をCM−セファロースFF(Amersham biosciences社、スウェーデン)カラム(XK−50、150ml CV、Amersham biosciences社、スウェーデン)に1.5ml/minの流速で流して吸着させた後、50mMのリン酸ナトリウム緩衝溶液(pH6.7)を5ml/minの流速で3CVほど流した。インターフェロン−βの溶出は、50mMのリン酸ナトリウム緩衝溶液(pH6.7)から400mMのNaClの含まれた50mMのリン酸ナトリウム緩衝溶液(pH6.7)を直線濃度勾配で12CVほどの間流し、糖鎖の結合したインターフェロン−β画分を回収した。
【0034】
実施例3.ゲル−濾過クロマトグラフィ
実施例2で回収されたインターフェロン−β溶液を、200μg/mlに濃縮し、画分に含まれたエタノールを20mMの酢酸ナトリウム緩衝溶液(pH4.0)で500倍以上交換した後、20mMの酢酸ナトリウム緩衝溶液(pH4.0)であらかじめ平衡させたセファクリル(Sephacryl)S−200カラム(1700ml、XK−50/100、Amersham biosciences社、スウェーデン)に適用してインターフェロン−βを含んだ溶液を得た。
【0035】
実施例4.逆相高速液体クロマトグラフィ(RP−HPLC)法による分析
実施例1、実施例2および実施例3で回収した溶液をC4 RP−HPLC(Vydac 214TP54,内径4.6mm×長さ25cm、粒子大5μm、細孔大300Å)カラムに1ml/minの流速で注入した後、0.1%のトリフルオロ酢酸を含む30%のアセトニトリルから0.1%のトリフルオロ酢酸を含む80%のアセトニトリルまで、20倍カラム体積の0.1%トリフルオロ酢酸含有アセトニトリルを直線濃度勾配条件で流し、示されたクロマトグラムのパターンを分析した。
【0036】
ゲル濾過クロマトグラフィ後の分析結果は、図4である。図4から確認することができるように、本発明により、インターフェロン−βを純粋に精製できるということが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の精製方法は、無毒性のプロピレングリコールを利用し、改善された親和性クロマトグラフィ法を介してインターフェロン−βを99%以上の高い純度に精製できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の精製方法の段階別のフローチャートである。
【図2】本発明の精製方法で、親和性クロマトグラフィ工程で溶出されたインターフェロン−βのC4逆相高速液体クロマトグラフィ(RP−HPLC)分析クロマトグラムである。
【図3】50%のプロピレングリコール洗浄段階のない工程で溶出したインターフェロン−βのC4 RP−HPLC分析クロマトグラムである。
【図4】ゲル濾過後のC4 RP−HPLC分析クロマトグラムである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親和性クロマトグラフィ工程および陽イオン交換クロマトグラフィ工程を含む組換えヒトインターフェロン−β含有培養液からのヒトインターフェロン−βの精製方法であって、
前記親和性クロマトグラフィ工程が、
平衡化された親和性クロマトグラフィカラムにインターフェロン−β含有培養液を加えて吸着させた後、平衡用緩衝溶液で洗浄する段階と、
30〜60重量%のプロピレングリコールを含有するpH6.5〜7.5の洗浄用緩衝液A、および10〜30重量%のプロピレングリコールおよび1〜2MのNaClを含有するpH6.5〜7.5の洗浄用緩衝液Bでカラムを洗浄する段階と、
40〜60重量%のプロピレングリコールおよび1〜2MのNaClを含有するpH6.5〜7.5の緩衝溶液でヒトインターフェロン−βを含有する画分を溶出させる段階とを含む、ヒトインターフェロン−βの精製方法。
【請求項2】
前記洗浄段階が、1〜2MのNaClを含有するpH6.5〜7.5の洗浄用緩衝液Cで洗浄する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記洗浄段階および溶出段階で使用される各緩衝溶液が、リン酸ナトリウム緩衝溶液またはリン酸カリウム緩衝溶液である、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
分子量カットオフ値10,000の限外濾過膜を利用し、前記親和性クロマトグラフィ工程から回収された溶液をダイアフィルトレーション(diafiltration)した後、前記陽イオン交換クロマトグラフィ工程を行う、請求項1または2記載の方法。
【請求項5】
前記陽イオン交換クロマトグラフィ工程において、ダイアフィルトレーションから得られた試料をカラムに加えた後、pH5〜7でNaClの濃度勾配でヒトインターフェロン−βを含む画分を溶出させる、請求項4記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−530448(P2007−530448A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−542506(P2006−542506)
【出願日】平成16年12月4日(2004.12.4)
【国際出願番号】PCT/KR2004/003180
【国際公開番号】WO2005/054289
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(505196200)シージェー コーポレーション (8)
【Fターム(参考)】