インテリジェント履物装置
【課題】着用者の生体力学的要求を感知し、着用者の生体力学的要求に適合するように靴の性能特性を自動的に調節する、履物用品用のインテリジェント装置の提供。
【解決手段】インテリジェント装置106は1つ以上の可調節素子124を備え、可調節素子は履物用品の性能特性を修正するためにセンサ122からの信号を受けて可調節素子を作動させる機構130に結合されている。インテリジェント装置は履物用品の性能特性を人の介在なしに調節する。
【解決手段】インテリジェント装置106は1つ以上の可調節素子124を備え、可調節素子は履物用品の性能特性を修正するためにセンサ122からの信号を受けて可調節素子を作動させる機構130に結合されている。インテリジェント装置は履物用品の性能特性を人の介在なしに調節する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全般的には履物用品のためのインテリジェント装置に関する。特に、本発明は履物用品の性能特性を修正する自動調節装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な運動靴には甲と靴底がある。靴底は通常、靴の特定の性能特性、例えば安定性または剛性の最適化を目指して選ばれる材料でつくられる。一般に、靴底は中物及び表底を含み、中物及び表底はいずれも、着用者の足及び脚を保護するための弾力のある材料を含むことができる。通常の靴の欠点の1つは、緩衝及び剛性のような、性能特性を調節できないことである。したがって、着用者は特定の運動に適した特定の靴を選ばなければならない。例えば、ランニングのようにより大きな緩衝を必要とする運動の場合、着用者はあるタイプの靴を選ばなければならず、バスケットボールのように横方向の動きの間の支持のためにより大きな剛性を必要とする運動の場合、着用者は別のタイプの靴を選ばなければならない。
【0003】
靴底によってもたらされる緩衝または剛性の強さを調節できるように設計された靴もある。そのような靴の多くは、所望に応じて膨張または収縮させることができる流体袋を用いる。これらの靴に現れる欠点は、1つまたはそれより多くの袋が作用しなくなり、緩衝装置が事実上無効になり得ることである。さらに、流体袋を用いている靴の多くは、靴底で与えられる緩衝の強さを小レベルで変化させることができない。袋を加圧または減圧するかあるいはある程度加圧またはある程度減圧することにより靴底で与えられる緩衝の強さの変化は一般に着用者が所望するよりも大きいであろう。言い換えれば、袋は一般に微調節ができない。
【0004】
靴底で与えられる緩衝または剛性の強さを調節できるように設計された靴の多くに見られる別の欠点は、手動調節しかできないことである。したがって、そのような靴を調節するために、着用者は、行っている特定の運動を中断する必要がある。靴によっては、着用者が靴の一部を分解し、靴を組み立てし直すか、あるいは靴部品を交換しなくてはならない場合さえ、あり得る。また、なし得る調節の大きさが限定されることもあり、着用者の満足が得られない。
【0005】
靴底で与えられる緩衝または剛性の強さを自動的に調節するように設計された靴もある。そのような靴は、着用者の足が地面を踏むときに着用者の足により靴底にかかる力または圧力の大きさを測定する。しかし、解析及び調査により、単に力または圧力の測定だけでは、靴の性能に関する情報が得られないので、あまりにも不足していることが明らかになった。例えば、特定の運動中に特定の着用者によってかけられる通常の力を前もって調べておかなければ、力を測定しても、その着用者にとって靴底が圧縮過剰であるか圧縮不足であるかについて何の指標も得られない。靴底が圧縮過剰または圧縮不足であれば、靴底が着用者の運動及び必要に合っているとは言えない。結局のところ、着用者の体を靴に適合させなければならない。着用者の生体力学的要求が満たされるとしても十分ではない。
【0006】
総じて、靴底で与えられる緩衝または剛性の強さに何らかの調節を可能にするように設計された靴は、未だに着用者の要求に適合するに至っていない。特に、そのような靴は、特定の着用者の生体力学的要求の全域にわたる調節ができないか、あるいは着用者の真の要求を感知する機能を欠いている。この結果、着用者は未だに何らかの方法で、自分の体を靴が提供する環境に適合させなければならない。
【0007】
したがって、着用者の生体力学的要求を感知し、着用者の生体力学的要求、例えば靴底で与えられる緩衝または剛性の強さに適合するように靴の性能特性を自動的に調節し、袋緩衝型または手動調節可能な靴の上記の欠点を回避する、靴が必要とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
着用者の生体力学的要求を感知し、着用者の生体力学的要求に適合するように靴の性能特性を自動的に調節する靴を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、人の関与なしに、履物の様態を履物の環境に応じて調節する、履物用品のためのインテリジェント装置に関する。言い換えれば、そのような履物用品は適応性をもつ。例えば、本インテリジェント装置は、着用者の生体力学的要求を間断なく感知し、感知した生体力学的要求に合せて履物用品の形態を最適化することができる。本インテリジェント装置は、感知装置、制御装置及び作動装置を備える。
【0010】
感知装置は履物用品の性能特性を測定して、制御装置に信号を送る。信号は測定された性能特性を表す。制御装置は信号を処理して、例えば、性能特性が許容範囲から外れているかまたはあらかじめ定められた閾値をこえているか否かを判断する。制御装置は偏差に比例する信号を作動装置に送る。作動装置は、最適な性能特性を得るために、履物用品の様態を修正する。
【0011】
一態様において、本発明は履物用品のためのインテリジェント装置に関する。この装置は、制御装置、制御装置に電気的に接続された電源、可調節素子及び可調節素子に結合された駆動装置を備える。駆動装置は制御装置からの信号を受けて可調節素子を調節する。
【0012】
別の態様において、本発明は靴底に結合された甲及び少なくとも一部が靴底に配されたインテリジェント装置を備える履物用品に関する。この装置は、制御装置、制御装置に電気的に接続された電源、可調節素子及び可調節素子に結合された駆動装置を備える。駆動装置は制御装置からの信号を受けてて可調節素子を調節する。
【0013】
上記態様の様々な実施形態において、装置は、圧縮度、レジリエンス、コンプライアンス、弾性、制動性、エネルギー蓄積、緩衝性、安定性、快適性、速度、加速度、ジャーク、剛性、またはこれらの組合せ等の履物用品の性能特性を修正する。一実施形態において、可調節素子は、並進、回転、方位変更、可動範囲修正またはこれらの組合せの内の少なくとも1つにより調節される。装置は可調節素子の可動範囲を制限するためのリミッタを備えることができる。制御装置はセンサ及び電気回路を備える。センサは、圧力センサ、力変換器、ホール効果センサ、ストレインゲージ、圧電素子、ロードセル、近接センサ、光センサ、加速度計、ホール素子またはセンサ、静電容量センサ、インダクタンスセンサ、超音波変換器及び受信器、無線周波数発信器及び受信器、磁気抵抗効果素子、または巨大磁気抵抗効果素子とすることができる。様々な実施形態において、駆動装置は、ウォーム歯車装置、親ねじ、ロータリーアクチュエータ、リニアアクチュエータ、歯車列、リンク仕掛、またはこれらの組合せとすることができる。
【0014】
また別の実施形態において、可調節素子は、少なくとも一部を、履物用品の足前部領域、足中央部領域及び足後部領域の内の少なくとも1つに配することができる。一実施形態において、履物用品は表底及び中物を備える靴底を有し、可調節素子は少なくとも一部が中物に配される。様々な実施形態において、可調節素子は履物用品内に概ね長さ方向に配することができるか、または可調節素子は履物用品内に概ね幅方向に配することができ、あるいは概ね長さ方向と幅方向に配することができる。例えば、可調節素子は、履物用品の踵領域から土踏まず領域に、または履物用品の土踏まず領域から足前部領域に、または履物用品の足前部領域から踵領域に延在できる。さらに、可調節素子は、少なくとも一部を、履物用品の外側部または内側部に、あるいは外側部と内側部に、配することができる。
【0015】
別の態様において、本発明は履物用品の性能特性を使用中に修正する方法に関する。本方法は、履物用品の性能特性を測定する工程、修正駆動装置信号を発生する工程及び履物用品の性能特性を修正するための駆動装置信号に基づいて可調節素子を調節する工程を含む。一実施形態において、上記工程は、性能特性の閾値が得られるまで反復される。
【0016】
上記態様の様々な実施形態において、発生する工程は、偏差を発生するために測定された性能特性を所望の性能特性と比較する副工程及び偏差に基づくレベルの修正駆動装置信号を出力する副工程を含む。一実施形態において、修正駆動装置信号はあらかじめ定められたレベルを有する。さらに、測定する工程は、近接センサで磁石の磁場を測定する副工程及び圧縮時の磁場測定値を閾値と比較する副工程を含み、磁石及びセンサの内の少なくとも1つは少なくとも一部が靴底内に配され、無負荷状態では垂直方向に隔てられる。一実施形態において、測定する工程は、圧縮時に複数の磁場測定値をとる副工程及び平均磁場測定値を閾値と比較する副工程を含む。
【0017】
別の実施形態において、本方法は可調節素子の可動範囲をリミッタで制限する工程を含むことができ、調節する工程はリミッタをあらかじめ定められた距離に調節する工程を含むことができる。調節工程は履物用品が無負荷状態にあるときに実施できる。一実施形態において、調節工程は性能特性が閾値に達したときに終結される。
【0018】
本発明の上記態様の全ての様々な実施形態において、可調節素子は、伸縮素子、複密度発泡体、骨組素子、複密度プレートまたはこれらの組合せとすることができる。可調節素子は異方性の特性を示すことができる。一実施形態において、可調節素子は略楕円体形状の伸縮素子とすることができる。さらに、装置は、可調節素子の性能特性を変更するかまたはバイアスをかけるための手動調節装置、または表示器、あるいは手動調節装置と表示器を備えることができる。手動調節装置は性能特性の閾値を変更することもできる。表示器は可聴または可視、あるいは可聴で可視とすることができる。例えば、表示器は発光ダイオード列とすることができる。
【0019】
別の態様において、本発明は履物用品内において圧縮を測定するための装置に関する。本装置は、少なくとも一部が履物用品の靴底内に配されたセンサ及びセンサと概ね位置合せされ、センサから隔てられた磁石を備える。センサは、ホール効果センサ、近接センサ、ホール素子またはセンサ、静電容量センサ、インダクタンスセンサ、超音波変換器及び受信器、無線周波数発信器及び受信器、磁気抵抗効果素子、または巨大磁気抵抗効果素子とすることができる。本装置はプロセッサを備えることができる。一実施形態において、センサは磁石で発生する磁場を測定し、プロセッサが磁場測定値を靴底の圧縮量を表す距離測定値に、それぞれの時間測定値と相関させて、変換する。プロセッサは距離測定値をジャーク値に変換することができる。
【0020】
上記態様の様々な実施形態において、本装置はセンサに接続された駆動装置及び駆動装置に結合された可調節素子をさらに備える。装置は可調節素子の可動範囲を制限するためのリミッタを備えることができる。一実施形態において、履物用品の性能特性はセンサからの信号を受けてて修正される。一実施形態において、信号は靴底の圧縮量に対応する。
【0021】
別の態様において、本発明は履物用品に快適性を与える方法に関する。本方法は調節可能な履物用品を提供する工程及びジャーク値を決定する工程を含む。本方法はさらに、ジャーク値に基づいて調節可能な履物用品の性能特性を修正する工程を含むことができる。
【0022】
本発明の上記及びその他の目的は、本明細書に開示される利点及び特徴とともに、以下の説明、添付図面及び特許請求の範囲を参照することにより、明らかになるであろう。さらに、本明細書に説明される様々な実施形態は相互排他的ではなく、様々な組合せ及び置換形態で存在し得ることは当然である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図面においては、種々の図を通じて同様の参照数字が一般に同じ要素を指す。また、図面は必ずしも比例拡大縮小されてはおらず、代わりに、本発明の原理を説明する際には一般に強調がなされている。以下の説明では、本発明の様々な実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0024】
本発明の実施形態を以下に説明する。しかし、本発明はこれらの実施形態には限定されるものではなく、それどころか、当業者には明らかな改変を含むものでもあることに特に注意されたい。特に、本発明は、いかなる特定の性能特性あるいはセンサのタイプまたは配置にも限定されるものではない。さらに、与えられるいずれの図においても右靴または左靴だけしか示されていないが、左靴と右靴は一般に互いの鏡像であり、説明が右靴にも左靴にも適用されることを理解されたい。右靴と左靴に相異なる形態または性能特性が必要とされるある種の運動においては、靴が互いの鏡像である必要はない。
【0025】
図1は、甲102,靴底104及びインテリジェント装置106を備える履物用品100を示す。インテリジェント装置106は、履物用品100の足後部領域108に横方向に配されている。インテリジェント装置106は、靴底104の長さに沿ういずれの場所にも、また本質的にいずれの方位にも、配することができる。一実施形態において、インテリジェント装置106は履物用品100のヒール領域の圧縮度を修正するために用いられる。別の実施形態において、インテリジェント装置106は、足前部領域109に配置することができ、曲がり線に合わせたり、ずらしたりするように移動させることができるか、さもなければ、履物用品100の押返し特性を変えるように構成できる。また別の実施形態において、履物用品100は履物用品100の複数の領域に配された複数のインテリジェント装置106を備えることができる。インテリジェント装置106は履物用品100の1つ以上の性能特性を修正する自動調節装置である。インテリジェント装置106の動作を以下に詳細に説明する。
【0026】
図2Aは図1の靴底104の一部の分解組立図を示す。靴底104は、中物110、表底112a、112b、適宜必要な下部支持プレート114、適宜必要な上部支持プレート116及びインテリジェント装置106を含んでいる。上部及び下部支持プレートを備える目的は、とりわけ、インテリジェント装置106を特定の方位へ拘束するのを助けることである。インテリジェント装置106は中物110に形成された空洞118内に配される。一実施形態において、中物110は通常の中物を改変したものであり、踵部分において、約10mmから約30mm,好ましくは約20mmの厚さを有する。インテリジェント装置106は制御装置120及び制御装置120と電気的に交信する作動装置130を備え、制御装置120及び作動装置130については、後で詳細に説明する。作動装置130は駆動装置131及び可調節素子124を備える。制御装置120は、近接センサ等のセンサ122、磁石123及び電気回路(図9〜14参照)を備える。図示される実施形態において、センサ122は可調節素子124の下に配され、磁石123はセンサ122から垂直方向に間隔をあけて配置されている。この特定の実施形態において、磁石123は可調節素子124の上方に配され、磁石123は空心型ネオジム−鉄磁石である。センサ122及び磁石123の実際の位置及び間隔は、例えば靴底の圧縮量の測定及び圧縮度の修正といった特定の用途に応じて変わる。この特定の実施形態において、センサ122及び磁石123は履物用品100の足後部領域108で最大圧縮がおこる場所に概ね対応する箇所に配置される。一般に、その箇所は着用者の踵骨の下一方である。そのような実施形態において、センサ122及び磁石123は、靴底104の外足側と内足側の間の概ね中心に配置され、着用者の足後面の前方約25mmと約45mmの間にある。
【0027】
図2Bはインテリジェント装置106の一部、特に作動装置130をさらに詳細に示す。インテリジェント装置106は密封された防水ケースに収められることが好ましい。作動装置130は一般に、モーター132と伝動素子134とを含む駆動装置131及び、リミッタ128と、伸縮素子126と、ストッパー136とを含む可調節素子124を備える。図示される特定の実施形態の駆動装置131は、可逆電気モーター132と、伝動素子134を形成するねじ付棒とから構成される親ねじ駆動装置である。一実施形態において、モーター132は模型飛行機に用いられるタイプの無線コントロール型サーボモーターとすることができる。ねじ付棒は、鋼鉄、ステンレス鋼またはその他の適する材料でつくることができる。
【0028】
モーター132は伝動素子134に機械的に結合され、矢印138で示されるように時計回り及び反時計回りの両方向に素子134を駆動する。伝動素子134はリミッタ128とねじ式に連結し、概ね矢印140で示されるように伸縮素子126に対するリミッタ128の横方向位置を定める。リミッタ128は伝動素子134とねじ式に連結され、モーター132及び履物用品100に対する回転が防止されているから、リミッタの位置を維持するための電力は不要である。ヒールが地面に当たるときの素子134の不意の回転を防止するために、十分な摩擦が作動装置130にあり、十分に細かいねじが伝動素子134に切られている。一例において、モーター132が伝動素子134を時計回り方向に駆動するときにリミッタ128は伸縮素子126に向かって前進し、モーター132が伝動素子134を反時計回り方向に駆動するときにリミッタ128は伸縮素子126から後退する。あるいは、別のタイプの駆動装置も可能である。例えば、駆動装置131は基本的に、いずれかのタイプのロータリーアクチュエータまたはリニアアクチュエータ、歯車列、リンク仕掛、またはこれらの組合せとすることができる。
【0029】
伸縮素子126は略円筒形であり、断面は引き伸ばされた円形または引き伸ばされた概ね楕円形である。伸縮素子の弧状端は必ずしも半円形でなくてもよい。弧状端の半径は特定の用途に合わせて変わるであろうし、垂直方向の圧縮負荷の下にあるときに伸縮素子126の縦伸び量を制御するために変えることができる。一般に、弧状端の半径が大きいほど、垂直方向圧縮負荷の下でおこり得る縦伸びは大きくなる。伸縮素子126は中実の外壁142を有し、必要に応じて、発泡体またはその他の弾力のある材料の可圧縮コア144を有する。伸縮素子126の寸法、形状及び用いられる材料は、特定の用途に合うように選ばれることになろう。図示される実施形態において、伝動素子134は伸縮素子126を貫通し、ストッパー136に連結している。ストッパー136は伸縮素子126のリミッタ128から離れる方向への移動を防止する。あるいは、空洞118の後壁をストッパー136とすることができよう。
【0030】
可調節素子124の概略の動作を、測定されたパラメータ、例えば中物110の圧縮量に応答して履物用品100の緩衝強度を修正するためにインテリジェント装置106を用いる用途に関して説明する。伸縮素子126は、概ね矢印146で示される垂直方向の力がはたらくときに圧縮され得る。伸縮素子126は圧縮されると水平方向(矢印148)に伸びる。リミッタ128はこの伸長運動を調節するために用いられる。水平方向の伸長運動が制限されると、垂直方向の運動も制限される。伸縮素子126は、図18に関して以下でさらに詳細に論じられる2モード圧縮応答を有する。
【0031】
インテリジェント装置106は使用者が履物用品100につくりだす圧縮量を調節できる。一例として、履物用品100を着用している使用者がランニング中に地面と接すると、垂直方向の力146が靴底104を介して伸縮素子126に加わる。この力146によって、地面と接している間、伸縮素子126がリミッタ128に接するまで伸び、よって靴底104の圧縮量が調節される。
【0032】
圧縮中、制御装置120の検知部が磁石123の磁場強度を測定する。図示される実施形態において、センサ122は中物110の底部近くに配され、磁石123は中物110の上部近くに配される。センサ122で検出される磁場強度は、中物110の圧縮にともなって、磁石123がセンサ122に近づくにつれて変化する。この磁場強度を距離に変換できるように、装置を較正することができる。中物110がどれだけ圧縮されたかを示すのはこの距離変化である。制御装置120は、距離変化すなわち圧縮量測定値に基づいて作動装置130に信号を出力する。
【0033】
次いで、作動装置130は制御装置120から受け取った信号に基づいて中物110の硬度すなわち圧縮度を修正する。作動装置130は主可動コンポーネントとして伝動素子134を利用する。図8に示されるアルゴリズムを参照して、以下でインテリジェント装置106の動作をさらに詳細に説明する。
【0034】
図3は本発明にしたがう別の実施形態のインテリジェント装置306の一部、特に作動装置330を示す。作動装置330は駆動装置331及び可調節素子324を備える。可調節素子324は図2Bに関して説明したものと同様の伸縮素子326及びリミッタ328を有する。駆動装置331はモーター332及び、本実施形態ではケーブル327が貫通している中空の親ねじ325である、伝動素子334を有する。ケーブル327は伸縮素子326を通り抜け、クリンプ加工されたストッパー336を一端に有する。リミッタ328はケーブル327のまわりに滑動可能に配され、ねじ325と伸縮素子326(詳しくは伸縮素子326に結合されたベアリングアーム339)との間のベアリング面として作用する略円筒形の素子である。伸縮素子326の奥行きに沿って負荷を分散させるために同様のベアリングアームがストッパー336の近くに配される。一実施形態において、モーター332は減速ギア比が300:1の6mmページャモーターである。ケーブル327,ねじ325,リミッタ328及びベアリングアーム339は、高分子材、鋼鉄、ステンレス鋼またはその他の適する材料でつくることができる。一実施形態において、ケーブル327は、テフロン(登録商標)という商品名でデュポン(DuPont)社から販売されているような減摩材で被覆されたステンレス鋼でつくられる。
【0035】
動作時、ケーブル327は駆動装置331に固着され、固定長を有する。ケーブル327は、伸縮素子326の縦方向の可能進み量を決定する、ねじ325を通り抜ける。例えば、垂直方向の力が伸縮素子326に印加されると、素子326はケーブル327に沿って、伸縮素子326とねじ325の末端の間に配されたリミッタ328に当たるまで縦方向に伸びる。モーター332はねじ325を回転させて、リミッタ328がねじ325及び伸縮素子326に接するまでの間にそれに沿って滑動することができる、ケーブル327の長さを変化させる。ねじ325は、制御装置からの信号を受けて、素子326に向かうかまたは素子326から離れる方向に、あらかじめ定められた距離を移動する。一実施形態において、ねじ325は、約0mmと約20mmの間、好ましくは約0mmと約10mmの間の距離を進むことができる。
【0036】
別の実施形態において、可調節素子324は、互いに実質的に平行に方向付けられた2基のモーター332及び2本のケーブル327を備える。2本のケーブル327は、伸縮素子326を図3に示される可調節素子324の軸線360に対して傾けずに保持する上で役立つ。さらに、別のタイプの伸縮素子/リミッタ構成も可能である。例えば、二分型または縦型リミッタの代わりに周縁型またはベリーバンド型リミッタを用いることができる。動作において、駆動装置331はベリーバンドの周長を変えて素子326の伸長範囲を変更させる。周長が大きくなるほど、伸長範囲は広くなる。別の可能な構成には、形状記憶合金及び磁性流体がある。
【0037】
図4A〜4Eは別の可調節素子を示し、それぞれの可調節素子は無負荷状態で示されている。特に、図4A〜4Dは伸縮素子について考え得るいくつかの様々な形状を示す。図4Aにおいて、伸縮素子426は断面が略楕円形であり、単一素子として形成された2つのシリンダー428を含む。あるいは、シリンダーの断面形状は直線及び弓形のいずれかの組合せ、例えば、六角形または半円形とすることができよう。シリンダー428は壁432及び中空とするか、あるいは発泡体またはその他の材料で満たすことができる一対のコア434を有する。図4Bは、断面がほぼ円形であり、互いに結合された2つの個別シリンダー448を有する伸縮素子446を示す。シリンダー448のそれぞれは壁452及びコア454を有する。図4Cは先に説明した2つのシリンダー448を有する伸縮素子466を示す。図4Cにおいて、伸縮素子466はシリンダー448を取り囲む発泡体ブロック468を有する。発泡体ブロック468はコアの代わりとするかまたはコアに付加することができる。図4Dはまた別の実施形態の伸縮素子486を示す。伸縮素子486は断面が細長い扇形のシリンダー488を有する。シリンダー488は壁492及びコア494を備える。シリンダー488には第1の弧状端496及び第2の弧状端498がある。第1の弧状端496の半径は第2の弧状端498の半径よりかなり大きく、よって、負荷の下にあるときに第1の弧状端にはより大きな水平方向変位が生じる。さらに、いずれのシリンダーの壁厚も変えることができ、及び/または長さに沿うテーパをシリンダーにつけることができよう。発泡体コアを用いる伸縮素子126の実施形態においては、発泡体コアを伸縮素子126の壁に接着することは望ましくない。発泡体を壁に接着することによって水平方向の伸長が阻止され得る。
【0038】
図4Eは別のタイプの可調節素子410を示す。可調節素子410は比較的柔軟な構造体のシリンダー412及びピストン414からなる構成を有する。シリンダー412の内容積416は、ピストン414が、概ね矢印418で示されるように、シリンダー412へ出入りするのにともなって変化する。ピストン414は、制御装置120からの信号を受けて、駆動装置131により直線的に動かされる。容積416を変えることにより、シリンダー412の圧縮度が変化する。例えば、ピストン414がシリンダー412内に押し込まれると、容積が減少してシリンダー内の圧力が高まり、圧力が高くなるほど、シリンダーが硬くなる。この装置は膨張可能な袋の装置と同様に見えるが、違いがある。例えば、この装置では、流体、例えば空気の量は一定のままであり、容積416が調節される。さらに、袋は主として袋内の圧力に基づいて反作用するが、図4Eに示される素子410はシリンダー構造体を内部圧力とともに用いる。これら2つの装置は基本的に動作が異なる。例えば、膨張可能な袋は、風船のように、空気を内部に保持するだけで構造的支持は与えないが、シリンダーは、タイヤのように、構造体(例えばタイヤ側壁)を支えるために空気を用いる。さらに、ピストン414と駆動装置131との構成により、可調節素子410の圧力及び圧縮度の微調節が可能となる。
【0039】
図5Aは、図1の履物用品100の側面図を示す。インテリジェント装置106は履物用品100のほぼ足後部領域108に配される。図5Aに示されるように、インテリジェント装置106は可調節素子124をリミッタ128及び駆動装置131とともに備える。使用者入力ボタン502,504及び表示器506を備える使用者入力モジュール500(図5B)も図示される。使用者は、履物用品100の圧縮範囲またはその他の性能特性目標値を、目標値または範囲を大きくするために入力ボタン502を押すかまたは目標値または範囲を小さくするために入力ボタン504を押すことにより、設定できる。別の実施形態において、使用者入力モジュール500は靴から離しておくことができる。例えば、腕時計、電子手帳(PDA)またはその他の外部プロセッサを、単独で用いるかまたは履物用品に配された使用者入力モジュール500と一緒に用いて、使用者によるインテリジェント装置106の特性のカスタマイズを可能にすることもできる。例えば、使用者は腕時計上のボタンを押して装置106の様々な特性を調節できる。さらに、装置106はオン−オフスイッチを備えていてもよい。
【0040】
図5Bに使用者入力モジュール500がさらに詳細に示される。表示器506は、例えば、1つまたはそれより多くの発光ダイオード(LED)または有機発光ダイオード(OLE)とすることができる。図示される実施形態において、表示器506は、光を放って選択された圧縮範囲を表示する、フレキシブル回路上にプリント配線されたLED列である。しかし、表示器は、中物の硬度レベルまたは履物用品100の性能特性に関する何か別の情報を表示することもできよう。あるいはまたはさらに、表示器は可聴とすることもできる。
【0041】
図6は図1のインテリジェント装置106の抜粋したコンポーネントの配置可能性の1つの平面図を示す。可調節素子124は、空洞118内に横方向に配された伸縮素子126とともに中物110の足後部領域108に配される。駆動装置131は伸縮素子126の隣に配される。駆動装置131の隣に制御装置120がある。制御装置120は、1つは駆動装置131制御用、1つはアルゴリズム処理用の、2つのマイクロコントローラを保持する制御ボード152を備える。さらに、装置106は電源150、例えば3.6Vの1/2AA電池を備える。電源150は、電線162またはフレキシブル回路のようなその他の電気的接続を介して、駆動装置131及び制御装置120に電力を供給する。
【0042】
装置106は磁石123及び、伸縮素子126の下に位置し、制御装置120に電気的に接続されている、位置合せされたセンサ122(図示せず)をさらに備える。磁石123は伸縮素子126の上で、中底及び/または中敷の下に配置される。さらに、装置106を防水性にするため、インテリジェント装置106全体をプラスチックケースに組み込むことができる。加えて、装置106は、靴底104の製造を容易にするため単一モジュールとして組み立てることができ、下部支持プレート114(図6には示されていない)にあらかじめ組み付けることもできる。一実施形態において、装置106は取り外し可能であり、よって装置106の交換が可能になる。例えば、中物110の空洞118から装置106を取出せるように表底112a,112bを構成する(例えば蝶番でとめる)ことができる。
【0043】
装置106は、インテリジェント装置106から、例えばPDAまたはその他の外部プロセッサにデータをダウンロードするために用いることができる、インターフェースポート160を備えることもできる。ポート160は靴の性能をモニタするために用いることができる。別の実施形態において、データは(例えば電波により)使用者のもとにある表示パネル付デバイスに送信することができる。例えば、使用者が身に着けている腕時計またはその他のデバイスにデータを送信することができる。使用者は、上述したように、データを受けて腕時計上のボタンを押すことにより靴のいくつかの特性を調節することができる。これらの調節値は、装置106に送り返され、そしてそこで調節が実施される。
【0044】
インテリジェント装置106の、参照数字706で指定される一実施形態のブロック図が図7に示される。インテリジェント装置706は制御装置720及び作動装置730に電気的に接続された電源750を備える。制御装置720はコントローラ752,例えば1つまたはそれより多くのマイクロプロセッサ、及びセンサ722を備える。センサは近接型センサと磁石の構成とすることができる。一実施形態において、コントローラ752はマイクロチップ・テクノロジー・インコーポレーテッド(Microchip Technology Incorporated)社で製造されたPICMicro(登録商標)のようなマイクロコントローラである。別の実施形態において、コントローラ752はサイプレス・セミコンダクター・コーポレーション(Cypress Semiconductor Corporation)社で製造されたマイクロコントローラである。作動装置730はモーター732及び伝動素子734を含む駆動装置731、及び可調節素子724を備える。駆動装置731と制御装置720は電気的に交信状態にある。可調節素子724は駆動装置731に結合される。
【0045】
必要に応じて、作動装置730は、制御装置720に接続されているかまたは制御装置720の一部を構成する、フィードバック装置754を含むことができよう。フィードバック装置754は可調節素子724の状態を示すことができる。例えば、フィードバック装置754はモーター732の回転数、すなわちリミッタ728(図示せず)の位置を計数することができる。フィードバック装置754は、例えば、リニアポテンショメータ、インダクタ、線形変換器、または赤外ダイオード対とすることができよう。
【0046】
図8は、インテリジェント装置106に使用できるアルゴリズムの1つを示す。インテリジェント装置106は、ウォーキング/ランニングサイクル中に靴の性能特性を測定する。装置106の作動開始前であって、初めに電源が入れられた後または地面との最初の接触後に、装置106は較正手順を実行できる。例えば、装置106はリミッタ128の位置を決定するため及び/またはリミッタ128の範囲を検証するため、すなわち全開または全閉するために、可調節素子124を作動させることができる。動作中、装置106は靴の性能特性を測定する(工程802)。一実施形態において、測定レートは約300Hzから約60kHzである。制御装置120は性能特性が少なくとも3回(工程804)またはいずれか別のあらかじめ定められた回数測定されたか否かを判断する。測定されていなければ、装置106は工程804が満たされるまで工程802を反復して性能特性を追加測定する。3回の測定が行われた後に、装置106は最新の3つの性能特性測定値を平均する(工程806)。装置106は次いで、平均性能特性測定値を閾値と比較する(工程808)。工程810において、装置106は平均性能特性測定値が閾値に実質的に等しいか否かを判断する。平均性能特性測定値が閾値に実質的に等しければ、装置106は工程802に戻って別途に性能特性測定を行う。平均性能特性測定値が閾値に実質的に等しくなければ、装置106は靴の性能特性を修正するための修正駆動装置信号を可調節素子124に送る(工程812)。インテリジェント装置106は次いで、閾値に達するまで及び着用者が靴を使用し続けている限り、全動作工程を反復する。一実施形態において、着用者が靴の漸次調節を感知せず、性能特性の変化に適応する必要がないように、装置106は性能特性の漸進変化だけを行う。言い換えれば、装置106は靴を着用者に適合させ、着用者の靴への適合を要求しない。
【0047】
一般に、装置106は、特定の用途において、好ましい緩衝レベルに関する試験により定められた最適な中物圧縮閾値(目標域)を利用する。装置106は、一歩毎に中物110の圧縮量を測定し、最新の3歩の平均を求める。平均値が閾値より大きければ、中物110は圧縮過剰になっている。この状況では、可調節素子124を硬くする方向に調節するための信号を装置106が駆動装置131に送る。平均値が閾値より小さければ、中物110は圧縮不足になっている。この状況では、可調節素子124を柔らかくする方向に調節するための信号を装置106が駆動装置131に送る。このプロセスは、測定値が装置の目標閾値内に入るまで継続される。この目標閾値は、使用者が硬めまたは柔らかめに修正することができる。この閾値変化は初期設定のオフセットである。上記のアルゴリズムの全ては制御装置120により演算される。
【0048】
上記の特定の用途において、中物110及び可調節素子124の総高は約20mmである。試験中に、中物110の硬度にかかわらず、中物110の最適圧縮範囲は約9mmから約12mmであると判断された。一実施形態において、リミッタ128の調節範囲は約10mmの垂直方向圧縮に相当する。リミッタ128の分解能は、一実施形態において、約0.5mm以下である。使用者の入力部を備えた装置106の一実施形態において、着用者は、圧縮範囲を例えば約8mmから約11mmまたは約10mmから約13mmになるように変えることができる。当然のことながら、3mmより広い範囲及びさらに小さいかまたは大きい範囲限界も考えられる。
【0049】
ランニング中、着用者の足は(足が空中にある)フライト段階及び(足が地面に接している)スタンス段階を含むストライドサイクルを経る。一般的なストライドサイクルにおいて、フライト段階はストライドサイクルの約2/3を占める。スタンス段階中、着用者の体は通常、地面への接触に順応している。本発明の特定の実施形態において、測定は全てスタンス段階中に行われ、調節は全てフライト段階中になされる。靴、したがって可調節素子は無負荷状態にあり、よって調節に必要な電力が負荷状態にあるときよりかなり小さいから、調節はフライト段階中になされる。ほとんどの実施形態において、靴は、モーターが可調節素子を移動させず、したがって可調節素子の範囲の設定に必要なモーター負荷が小さくなるように、構成される。しかし、図15、16及び17に示される実施形態では、以降でさらに詳細に説明されるように可調節素子が移動する。
【0050】
動作中、装置106は、靴が地面に接したことを検知する。靴が地面を踏むと、靴底104が圧縮され、センサ122が磁石123の磁場の変化を検知する。装置106は、装置106が約2mmの圧縮に相当する磁場の変化を検知すると、靴が地面に接していると判断する。電力を節約するために装置106が作動装置130への電力を絶つのも、この時点である。スタンス段階中に、装置106は磁場の最大変化を検知し、その測定値を最大圧縮量に変換する。別の実施形態において、装置106は、靴の別の性能特性、例えば、速度、加速度及びジャークを決定するために、スタンス段階の時間長を測定することもできる。
【0051】
最大圧縮量が12mmより大きい場合には靴底104が圧縮過剰であり、最大圧縮量が9mmより小さい場合には靴底104が圧縮不足である。例えば、最大圧縮量が16mmであれば、靴底104は圧縮過剰であり、制御装置120は可調節素子124をさらに硬くするための信号を作動装置130に送る。作動装置130は、靴がフライト段階にあるとき、すなわち圧縮量が2mm未満であるときに作動する。圧縮量が閾値範囲内にあることを装置106が検知すると、装置106は靴の性能特性を測定し続けるが、作動装置130及び可調節素子124をさらに作動させることはない。このようにして、電力が節約される。
【0052】
別の実施形態において、インテリジェント装置106は別の性能特性を、単独にあるいは上述した最適中物圧縮特性と組合わせて、用いることができる。例えば、装置106は、圧縮量のほかに、最大圧縮量までの時間、回復にかかる時間及びフライト段階の時間を測定することができる。これらの変数は、地面の硬さ、傾斜及び速さのような外部要素を考慮しながら、使用者に合った最適設定を決定するために用いることができる。最大圧縮量までの時間は、地表変化を考慮しながら、ヒールが地面を打ってから靴底の圧縮量が最大になるまでにかかる時間長として表される。最適圧縮量設定の決定に時間対圧縮量曲線の下の面積を用いることが有益な場合もある。基本的に、時間対圧縮量曲線の下の面積は靴に吸収されるエネルギーの尺度である。さらに、(上述した)フライト段階の時間は最適設定の決定に寄与し得る。この変数から使用者のストライド頻度を算出することができる。続いて、速さの変化を決定するため及び登りと下りの運動を弁別するためにストライド頻度を用いることができる。
【0053】
図9A及び9Bは、本発明にしたがうインテリジェント装置106の実施に適する電気回路900の一実施形態を示す(図9は図9Aと9Bの電気的接続関係を示す)。電気回路900は、検知装置1100(図11)、制御装置1200(図12)及び作動装置1300(図13)を備える。制御装置1200はさらに電圧レギュレータ装置1000(図10)を備える。
【0054】
電圧レギュレータ装置1000は昇圧DC/DC電圧レギュレータ装置である。しかし、電圧レギュレータ装置がないことを含めて、別のタイプの電圧レギュレータ装置も可能である。図10を参照すれば、電源1004の出力電圧が電圧レギュレータ装置1000の出力1008におけるさらに高い電圧まで昇圧される。図示される実施形態において、電圧レギュレータ装置1000は、電源1004,スイッチ1012,入力バイパスコンデンサ1016,外部抵抗器1024に接続されたTC125PFM昇圧DC/DCレギュレータ1020,インダクタ1028,出力ダイオード1032,出力コンデンサ1036及び3つの接続点(出力1008,接地1040及び出力1014)を備える。電源1004はDC3.6V電池であり、電圧レギュレータ装置1000の出力1008における昇圧後電圧はDC5Vである。スイッチ1012は電気回路900(図示せず)の基本オン−オフスイッチとして作用する。スイッチ1012が閉じられると、入力バイパスコンデンサ1016が電源1004に並列接続される。電源1004の接地1040はTC125レギュレータ1020の接地端子ピン1048及びTC125レギュレータ1020のピン1052に接続される。電圧レギュレータ装置1000の出力1008はTC125レギュレータ1020の電力及び電圧検知入力ピン1056に接続される。電圧レギュレータ装置1000の出力1008は内部IC電力及びTC125レギュレータ1020への閉ループレギュレーション用の検知フィードバック電圧を供給する。スイッチ1012が閉じられると、電源1004の正端子1044とTC125レギュレータ1020のインダクタスイッチ出力ピン1060の間に外部インダクタ1028が接続される。図示される実施形態においてはショットキーダイオードである出力ダイオード1032は、TC125レギュレータ1020のインダクタスイッチ出力ピン1060と電力及び電圧検知入力ピン1056の間に接続される。出力コンデンサ1036は電源1004の接地1040とTC125レギュレータ1020の電力及び電圧検知入力ピン1056の間に接続される。抵抗器1024はTC125レギュレータ1020のディゼーブル入力ピン1066と電源1004の接地1040の間に接続される。
【0055】
図11を参照すれば、検知装置1100は、ホール素子1104,演算増幅器(“オペアンプ”)1108並びに抵抗器1112,1116,1120及び1124を備える。別の実施形態において、ホール素子1104及びオペアンプ1108は、単一パッケージで等価な機能を提供するホールセンサで置き換えることもできる。以下で説明するように、オペアンプ1108はパルス出力信号を生成する。さらに、電圧レギュレータ装置1000の出力1008がセンサ1140の端子1128に接続され、センサ1104に電力を供給する。制御装置1200のマイクロコントローラ1204が接続点1248を介してセンサ1104の端子1132に接続される(図12A及び12B参照)。マイクロコントローラ1204は、センサ1104に接地信号を送ることにより、センサ1104をオン状態次いでオフ状態に交互に切り替える。センサ1104は、上述したように、磁場強度を測定するためにオン状態に切り替わり、次いで電力を節約するためにオフ状態に切り替わる。オン状態に切り替わると、センサ1104は端子1136及び1140に電圧を出力する。抵抗器1112はセンサ1104の端子1140とオペアンプ1108の反転入力1144の間に接続される。抵抗器1120はセンサ1104の端子1136とオペアンプ1108の非反転入力1148の間に接続される。抵抗器1116はオペアンプ1108の反転入力1144と、接続点1160を介して、制御装置1200のマイクロコントローラ1204の間に接続される。抵抗器1124はオペアンプ1108の非反転入力1148と電圧レギュレータ装置1000の電源1004の接地1040の間に接続される。オペアンプ1108の正電源端子1152は電圧レギュレータ装置1000の出力1008に接続され、オペアンプ1108の負電源端子1156は電圧レギュレータ装置1000の電源1004の接地1040に接続される。図示される実施形態において、オペアンプ1108はホール効果センサ1104の端子1136と端子1140の間の差電圧を増幅する。1kΩの抵抗器1112,200kΩの抵抗器1116,1kΩの抵抗器1120及び200kΩの抵抗器1124により、オペアンプ出力1160における電圧は200倍に増幅されたセンサ1104の端子1136と端子1140の間の差電圧である(すなわち、V1160=200[V1136−V1140])。抵抗器1112,1116,1120及び1124の抵抗値を適切に選ぶことにより、別の増幅倍率を得ることができる。オペアンプ出力1160は制御装置1200のマイクロコントローラ1204に接続される。すなわち、オペアンプ1108のパルス出力信号はマイクロコントローラ1204に入力される。
【0056】
図12A及び12Bを参照すれば、制御装置1200は、電圧レギュレータ装置1000,マイクロコントローラ1204,発光ダイオード(LED)1208,2つのスイッチ1212,1216,並びに抵抗器1240及びコンデンサ1244を含む外部RC発振器を備える(図12は図12Aと12Bの電気的接続関係を示す)。電力をマイクロコントローラ1204に供給するため、電圧レギュレータ装置1000の出力1008がマイクロコントローラ1204に接続される。電圧レギュレータ装置1000の出力1008はさらにマイクロコントローラ1204のアクティブローリセットを可能にするためにマイクロコントローラ1204の別のピンに抵抗器1220を介して接続される。マイクロコントローラ1204に接地基準を与えるため、電源1004の接地1040がマイクロコントローラ1204に接続される。LED1208は使用者に、例えば、中物の現時点での柔軟度/硬度設定の可視出力を提供する。LED1208のカソード1224はマイクロコントローラ1204に接続され、LED1208のアノード1228は抵抗器1232を介して電圧レギュレータ装置1000の出力1008に接続される。マイクロコントローラ1204はLED1208の内の1つまたはいくつかを点灯または消灯させる。スイッチ1212及び1216は、スイッチ1012が閉じられたときに、電源1004の接地1040と、抵抗器1236を介して、電源1004の正電圧端子の間に接続される。スイッチ1212及び1216は、閉じられると、マイクロコントローラ1204の様々なピンを電源1004の接地1040に接続する。使用者は制御装置1200のスイッチ1212または1216を閉じることにより、例えば、中物の圧縮量閾値を調節できる。使用者は、靴の外側に配置された、制御装置1200のスイッチ1212及び1216を制御する押ボタンを作動させることにより調節を行なう。外部RC発振器の抵抗器1240は電圧レギュレータ装置1000の出力1008とマイクロコントローラ1204のタイミング回路への入力ピンの間に接続される。外部RC発振器のコンデンサ1244は電源1004の接地1040と同じくマイクロプロセッサ1204のタイミング回路への入力ピンの間に接続される。
【0057】
図13を参照すれば、作動装置1300は、トランジスタブリッジ1304及び1308,コンデンサ1316に並列接続されたモーター1312,及びポテンショメータ1320を備える。図示される実施形態において、トランジスタブリッジ1304はnチャネルMOSFET1324及びpチャネルMOSFET1328を有し、トランジスタブリッジ1308はnチャネルMOSFET1332及びpチャネルMOSFET1336を有する。MOSFET1324のソース1340及びMOSFET1332のソース1344は電源1004の接地1040に接続される。MOSFET1328のソース1348及びMOSFET1336のソース1352は、スイッチ1012が閉じられると、電源1004の出力1014に接続される。MOSFET1324のゲート1356及びMOSFET1336のゲート1360は接続点1252を介してマイクロコントローラ1204のXピンに接続される。MOSFET1328のゲート1364及びMOSFET1332のゲート1368は接続点1256を介してマイクロコントローラ1204のYピンに接続される。MOSFET1324のドレイン1372及びMOSFET1336のドレイン1376はモーター1312の端子1380に接続される。MOSFET1328のドレイン1384及びMOSFET1332のドレイン1388はモーター1312の端子1392に接続される。モーター1312を一方方向に回転させるには、マイクロコントローラ1204がMOSFET1324及び1328を導通させ、同時にMOSFET1332及び1336を遮断する。モーター1312を逆方向に回転させるには、マイクロコントローラ1204がMOSFET1332及び1336を導通させ、MOSFET1324及び1328を遮断する。ポテンショメータ1320の端子1396は電圧レギュレータ装置1000の出力1008に接続され、ポテンショメータ1320の端子1394は電源1004の接地1040に接続される。ポテンショメータ1320のワイパー端子1398における電圧が接続点1260を介してマイクロコントローラ1204により測定される。モーター1312がマイクロコントローラ1204により回転させられる方向に依存して、ポテンショメータ1320のワイパー端子1398は一方向または他方向に移動する。したがって、ポテンショメータ1320のワイパー端子1398における電圧はモーター1312の回転数に基づくリミッタ128の位置を表す。
【0058】
図14A及び14Bは本発明にしたがうインテリジェント緩衝装置の実施に適する、別の実施形態の、電気回路900'を示す(図14は図14Aと14Bの電気的接続関係を示す)。第1の実施形態と同様に、電気回路900'は、検知装置1100',制御装置1200'及び作動装置1300'を備える。同じく、第1の実施形態と同様に、制御装置1200'は電圧レギュレータ装置1000'を備える。
【0059】
第1の実施形態とは逆に、電圧レギュレータ装置1000'は、降圧DC/DC電圧レギュレータ装置である。電源1004'の出力電圧が、電圧レギュレータ装置1000'の出力1008'におけるさらに低い電圧まで降圧される。図示される実施形態において、電圧レギュレータ装置1000'は、電源1004'、スイッチ1012',入力コンデンサ1404,LTC3405A降圧DC/DCレギュレータ1408,インダクタ1412、出力コンデンサ1416、抵抗器1420及び1424、並びにコンデンサ1428を備える。電源1004'は3.6VDC電池であり、電圧レギュレータ装置1000'の出力1008'における降圧された電圧は抵抗器1420及び1424の抵抗値を適切に選択することにより選ぶことができる。スイッチ1012'は電気回路900'に対する基本オン−オフスイッチとしてはたらく。スイッチ1012'が閉じられると、入力コンデンサ1404が電源1004'に並列接続される。さらに、スイッチ1012'が閉じられると、電源1004'の正端子1044'がLTC3405Aレギュレータ1408の作動制御入力ピン1432及び主電源ピン1436に接続される。電源1004'の接地1040'はLTC3405Aレギュレータ1408の接地ピン1440及びモード選択入力ピン1444に接続される。インダクタ1412は、LTC3405Aレギュレータ1408のスイッチノードインダクタ接続ピン1448と電圧レギュレータ装置1000'の出力1008'の間に接続される。出力コンデンサ1416は電圧レギュレータ装置1000'の出力1008'と電源1004'の接地1040'の間に接続される。抵抗器1420はLTC3405Aレギュレータ1408のフィードバックピン1452と電源1004'の接地1040'の間に接続される。コンデンサ1428は抵抗器1424に並列接続される。抵抗器1424及びコンデンサ1428はいずれもLTC3405Aレギュレータ1408のフィードバックピン1452と電圧レギュレータ装置1000'の出力1008'の間に接続される。
【0060】
ホール素子型センサ1104'とオペアンプ1108'とを備える検知装置1100'は電気回路900の検知装置1100と同様である。別の実施形態において、ホール素子1104'及びオペアンプ1108'は単一パッケージで等価な機能を提供するホールセンサで置き換えることができる。オペアンプ1108'はオペアンプ1108が出力1160で生成する出力信号と同じ出力信号を出力1160'に生成する。しかし、検知装置1100'はいくつかの点で異なる。第1に、センサ1104'の端子1128'及びオペアンプ1108'の正電源端子1152'は、スイッチ1012'が閉じられたときに、昇圧DC/DC電圧レギュレータ装置の出力に接続されるのではなく、代わりに、電源1004'の正端子1044'に接続される。第2に、マイクロコントローラ1204'は、センサ1104'の端子1132'に接続されるだけでなく、オペアンプ1108'の負電源端子1156'にも接続される。したがって、マイクロコントローラ1204'は、電力を節約するために、センサ1104'と一緒に、オペアンプ1108'をオン状態次いでオフ状態に交互に切り替える。最後に、抵抗器1124'は、電源1004'の接地1040'に接続されるのではなく、代わりに、センサ1104'及びオペアンプ1108'をオン状態とオフ状態に交互に切り替えるために用いられるマイクロコントローラ1204'のピンに接続される。それにもかかわらず、センサ1104'及びオペアンプ1108'をそれぞれオン状態に切り替えるために、マイクロコントローラ1204'が端子1132'及び負電源端子1156'への信号を接地信号に切り替えると、抵抗器1124'は切り替えられた接地信号に実効的に接続される。
【0061】
制御装置1200'は電気回路900の制御装置1200と同様である。ただし、制御装置1200'はいくつかの点で異なる。第1に、マイクロコントローラ1204'は、昇圧DC/DC電圧レギュレータ装置の出力に接続されて電力を供給されるのではなく、スイッチ1202'が閉じられると、電源1004'の正端子1044'に直接に接続され、したがって電源1004'から直接に電力が供給される。第2に、抵抗器1220',1232'及び1240'は、昇圧DC/DC電圧レギュレータ装置の出力に接続されるのではなく、スイッチ1202'が閉じられると、電源1004'の正端子1044'に接続される。
【0062】
作動装置1300'は電気回路900の作動装置1300と同様である。ただし、作動装置1300'はいくつかの点で異なる。第1に、MOSFET1328'のソース1348'及びMOSFET1336'のソース1352'は、スイッチ1202'が閉じられると電源1004'の正端子1044'に接続されるのではなく、代わりに、電圧レギュレータ装置1000'の出力1008'に接続される。第2に、ポテンショメータ1320'の端子1396'は昇圧DC/DC電圧レギュレータ装置の出力に接続されるのではなく、代わりに、スイッチ1202'が閉じられると、電源1004'の正端子1044'に接続される。最後に、ポテンショメータ1320'の端子1394'は、電源1004'の接地1040'に接続されるのではなく、代わりに、センサ1104'及びオペアンプ1108'をオン状態次いでオフ状態に交互に切り替えるために用いられるマイクロコントローラ1204'のピンに接続される。それにもかかわらず、マイクロコントローラ1204'が、センサ1104'及びオペアンプ1108'をオン状態にするために端子1132'及び負電源端子1156'への信号をそれぞれ接地信号に切り替え、ポテンショメータ1320'の端子1394'は切り替えられた接地信号に実効的に接続される。
【0063】
図15A及び15Bは別のインテリジェント装置1506を備える履物用品1500を示す。履物用品1500は、甲1502、靴底1504及びインテリジェント装置1506を備える。インテリジェント装置1506は靴底1504の足後部領域1508に配される。インテリジェント装置1506は駆動装置1531及び1つまたはそれより多くの同種のコンポーネントからなる可調節素子1524を備える。可調節素子1524は図15Bにさらに詳細に示され、履物用品1500の性能特性を修正するための修正駆動装置信号を受けてて回転させられる2本の二重密度調整ロッド1525を有する。二重密度ロッド1525は異方性の特性を有し、係属米国特許出願第10/144440号の明細書に詳述されている。上記特許出願明細書の開示全体は本明細書に参照として含まれる。二重密度ロッド1525は、靴底1504をさらに硬くするかさらに柔らかくするために、モーター1532及び伝動素子1534により回転させられる。伝動素子1534は、例えばラックアンドピニオン装置またはウォームアンドホイール装置により、二重密度ロッド1525のほぼ水平方向の中点でロッド1525に結合される。
【0064】
図16Aは別のインテリジェント装置1606を備える履物用品1600を示す。図16B〜16Dは様々な作動状態にある可調節素子1624を示す。履物用品1600は、甲1602,靴底1604及びインテリジェント装置1606を備える。インテリジェント装置1606は駆動装置1631及び可調節素子1624を備える。可調節素子1624は2枚の複密度プレート1625,1627を有する。プレートの内の一方、本実施形態においては下部プレート1627が、靴の性能特性を修正するための修正駆動装置信号を受けて、駆動装置1631により、他方のプレート(本実施形態においては上部プレート1625)に対して滑動させられる(矢印1680)。
【0065】
プレート1625,1627は密度が交互に変化する材料でつくられる。詳しくは、プレート1625,1627は、比較的柔らかい材料1671のストリップと比較的硬い材料1673のストリップを交互にならべて形成されている。プレート1625,1627の互いに位置合せされる密度領域を変えることにより、靴の性能特性が決定される。図16Bでは、比較的硬い材料1673の位置が実質的に合せられ、よって比較的硬い可調節素子1624が形成される。図16Cでは、密度の異なる材料1671,1673の位置が部分的にしか合せられておらず、よってより柔らかい可調節素子1624が形成される。図16Dでは、比較低硬い材料1673の位置と比較的柔らかい材料1671の位置が実質的に合せられており、よって最も柔らかい可調節素子1624となる。
【0066】
図17A及び17Bは別のインテリジェント装置1706を備える履物用品1700を示す。履物用品1700は、甲1702,靴底1704及びインテリジェント装置1706を備える。インテリジェント装置1706は靴底1704の足後部領域1708に配される。インテリジェント装置1706は駆動装置1731(図示されていないが、上述した駆動装置と同様である)及び可調節素子1724を備える。可調節素子1724は、靴底1704に対して旋回する(図17Bの矢印1750参照)、複密度のヒール部1726である。ヒール部1726を旋回させることにより、ヒールの地面打撃ゾーン1782における履物用品1700の機械的特性が修正される。ヒール部1726は駆動装置1731からの力に応答して旋回点1734を中心として旋回する。
【0067】
本明細書に説明される可調節素子の様々なコンポーネントは、例えば射出成形または押出しにより、また必要に応じて後続の機械加工作業と組み合わせて、製造できる。押出プロセスは、単一モノリシックフレームのような、一様な形状を与えるために用いることができる。次いで所望の形状寸法のオープンスペースを与えるためにインサート成形を用いることができ、あるいは後続の機械加工作業によりオープンスペースを所望の位置につくることができよう。その他の製造技法には、融解または付加素子の接着がある。例えば、シリンダー448は、液体エポキシ樹脂またはエチレン酢酸ビニル(EVA)のようなホットメルト接着剤で接合することができる。接着に加えて、コンポーネントを、様々なコンポーネントの融着を容易にするための溶剤の使用を要する溶剤接着を行うか、または発泡工程中に融着し合せることができる。
【0068】
様々なコンポーネントは、適するいずれかの高分子材または高分子材の組合せから、強化材を入れるかまたは入れずに、製造することができる。適する材料として、熱可塑性ポリウレタン(TPU)などのポリウレタン;EVA;エルフ・アトケム(Elf Atochem)社から販売されているPebax(登録商標)などの熱可塑性ポリエーテルブロックアミド;デュポン社から販売されているHytel(登録商標)などの熱可塑性ポリエステルエラストマー;アドバンスト・エラストマー・装置ズ社(Advanced Elastomer Systems, L.P.)から販売されているSantoprene(登録商標)などの熱可塑性エラストマー;熱可塑性オレフィン;10から30%ないしそれより多くの強化ガラスファイバを含むことができる、ナイロン12のような、ナイロン;シリコーン;ポリエチレン;アセタール;及び等価な材料がある。強化は、用いられる場合には、ガラスファイバまたはカーボングラファイトファイバ、またはデュポン社から販売されているケブラー(登録商標)のなどのパラ−アラミドファイバ、またはその他の同様な材料を混入させることで行うことができる。高分子材をその他の材料、例えば天然または合成ゴムと組み合わせて用いることもできる。その他の適する材料は当業者には明らかであろう。
【0069】
特定の実施形態において、伸縮素子126は、1つまたは相異なるそれより多くの密度をもつ発泡体、非発泡高分子材、及び/または骨組素子でつくることができる。例えば、シリンダーは、アスカーC硬度が45の発泡EVAコアをもつ「Hytel」4069または5050でつくることができよう。別の実施形態において、シリンダーは内部発泡体コアをもたない「Hytel」5556でつくられる。伸縮素子126のアスカーC硬度は約40から約70の範囲、好ましくは約45と約65の間にあり、さらに好ましくは約55である。別の実施形態において、調整ロッド1525,複密度プレート1625,1627,または上部及び下部支持プレート114,116には、デュポン社から販売されている「テフロン」材または同様の物質を含む塗料などの減摩被覆を施すことができる。着用者に装置の特定の性能特性を示すためのカラーコードを様々なコンポーネントに与えることができ、靴底の端に沿って透明な窓を設けることができる。様々なコンポーネントの寸法及び形状は、特定の用途に合せて変えることができる。一実施形態において、伸縮素子126の直径は約10mmから約40mm、好ましくは約20mmから約30mm,さらに好ましくは約25mmとすることができる。伸縮素子126の長さは約50mmから約100mm,好ましくは約75mmから約90mm,さらに好ましくは85mmとすることができる。
【0070】
さらに、伸縮素子126は、シリンダー142自体が発泡体コアに対する金型となる、リバースインジェクションと呼ばれるプロセスで一体形成することができる。そのようなプロセスは、個別のコア金型を必要としないので、通常の製造方法より経済的であり得る。伸縮素子126は、シリンダー142とコア144を一体でつくるために密度が異なる2つまたはそれより多くの材料が同時に射出される、二重射出と呼ばれる単一工程で形成することもできる。
【0071】
図18は、異なる2つの設定における可調節素子の性能特性(曲線A及びB)を示すグラフである。グラフは負荷状態における、すなわち圧縮下の、可調節素子の変形量を示す。図からわかるように、曲線A,Bのそれぞれは明らかに異なる2つの勾配1802,1804,1806,1808を有する。それぞれの曲線の第1の勾配1802,1806は、最初の接触から可調節素子がリミッタに接するまでの可調節素子を概ね表す。この段階の間、圧縮への抵抗は、負荷がかかると圧縮される可調節素子の構造壁及びコアの合成効果から生じる。それぞれの曲線の第2の勾配1804,1808は、リミッタに接したままで圧縮下にある可調節素子を表す。この段階の間、可調節素子はもはや極めて僅かしか変形できず、加わる力は構造壁を曲げるか座屈させようとする。
【0072】
比較的堅く設定されている設定Aでは、可調節素子は、勾配1802で表されるように、800Nの力が可調節素子に印加されると約6.5mm変形する。この時点で、可調節素子はリミッタに接しており、ごく僅かな変形しかできない。勾配1804が表しているように、800Nの力が可調節素子にさらに印加されても可調節素子の追加変形量は約2mmでしかない。比較的柔らかく設定されている設定Bでは、可調節素子は、勾配1806で表されるように、800Nの力が可調節素子に印加されると約8.5mm変形する。この時点で、可調節素子はリミッタに接しており、ごく僅かな変形しかできない。勾配1808が表しているように、800Nの力が可調節素子にさらに印加されても可調節素子の追加変形量は約2.5mmでしかない。
【0073】
図19は、使用中に履物用品の性能特性を修正する方法を表すフローチャートを示す。本方法は、履物用品の性能特性を測定する工程(工程1910)、測定された性能特性に基づいて修正駆動装置信号を発生する工程(工程1920)、及び履物用品の性能特性を修正するための駆動装置信号に基づいて可調節素子を調節する工程(工程1930)を含む。特定の実施形態においては、性能特性の閾値が得られるまで上記工程が反復される(工程1940)。
【0074】
測定工程1910の可能な実施形態の1つが図20Aに詳説される。図示されているように、性能特性を測定する工程は、近接型センサで磁石の磁場を測定する工程(副工程2010)及び磁場測定値を閾値と比較する工程(副工程2020)を含む。必要に応じて、性能特性を測定する工程は、複数の磁場測定値をとる副工程及びいくつかの数の測定値の平均をとる副工程を含むことができる。次いで平均磁場測定値と閾値が比較される(選択副工程2030)。必要に応じて、磁場測定値が閾値に実質的に等しくなるかまたはあらかじめ定められた範囲内の値になるまでこれらの副工程を反復する(選択副工程2040)することもできる。
【0075】
発生工程1920の可能な実施形態の1つが図20Bに詳説される。図示されているように、修正駆動装置信号を発生する工程は、測定された性能特性を所望の性能特性と比較する工程(副工程2050)、偏差を発生する工程(副工程2060)、及び偏差に基づくレベルの修正駆動装置信号を出力する工程(副工程2070)を含む。一実施形態においては、あらかじめ定められた量の修正が性能特性に施されるように、修正駆動装置信号レベルがあらかじめ定められている。このようにすれば、性能特性を着用者に比較的感知されないレベルで漸進的に変化させ、よって着用者が性能特性の変化に適応する必要を排除できる。
【0076】
図21は、履物用品に快適性を与える方法を表すフローチャートを示す。本方法は、調節可能な履物用品を提供する工程(工程2110)及びジャーク値を決定する工程(工程2120)を含む。ジャークは、時間変化量に対する加速度変化量(Δa/Δt)として表される。ジャーク値は既知の長さの時間に対する、変化する磁場に基づく、距離測定値から導出することができる。制御装置は時間に対する磁場の変化を記録し、これらの測定値を処理してジャーク値を得ることができる。本方法は、例えば、ジャーク値をあらかじめ定められた最大値より小さくしておくために、調節可能な履物用品の性能特性をジャーク値に基づいて修正する工程(選択工程2110)をさらに含むことができる。
【0077】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、当業者には、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく本明細書に開示された概念を組み入れているその他の実施形態が用いられ得ることが明らかであろう。したがって、開示された実施形態はいかなる点においても説明のために過ぎず、限定を目的としているとみなされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の一実施形態にしたがうインテリジェント装置を備えている履物用品の簡略な部分解斜視図である
【図2A】図1の履物用品の靴底の簡略な分解斜視図である
【図2B】可調節素子の動作を示す、図2Aのインテリジェント装置の簡略な拡大側面図である
【図3】本発明にしたがう可調節素子の別の実施形態の簡略な斜視図である
【図4】図4A〜Eは、本発明にしたがう可調節素子のさらに別の実施形態の簡略な側面図である
【図5A】抜粋した内部コンポーネントを示す、図1の履物用品の簡略な側面図である
【図5B】図5Aの履物用品の一部分を示す簡略な拡大図である
【図6】インテリジェント装置の抜粋した内部コンポーネントの配置を示すために靴底の一部が取り除かれている、図2Aの靴底の一部分を示す簡略な平面図である
【図7】本発明にしたがうインテリジェント装置のブロック図である
【図8】図1のインテリジェント装置の一動作モードを示すフローチャートである
【図9A】図1のインテリジェント装置の一実施形態の、右側が図9Bに続く分割された回路図である
【図9B】図1のインテリジェント装置の一実施形態の、左側が図9Aに続く分割された回路図である
【図10】図9Aの電圧レギュレータ装置の回路図である
【図11】図9Aの検知装置の回路図である
【図12A】図9A及び9Bにわたる制御装置の、右側が図12Bに続く分割された回路図である
【図12B】図9A及び9Bにわたる制御装置の、左側が図12Aに続く分割された回路図である
【図13】図9Bの作動装置の回路図である
【図14A】図1のインテリジェント装置の別の実施形態の、右側が図14Bに続く分割された回路図である
【図14B】図1のインテリジェント装置の別の実施形態の、左側が図14Aに続く分割された回路図である
【図15A】本発明にしたがうインテリジェント装置の別の実施形態を備えている履物用品の簡略な側面図である
【図15B】図15Aのインテリジェント装置の一部分を示す簡略な斜視図である
【図16A】本発明にしたがうインテリジェント装置のさらに別の実施形態を備えている履物用品の簡略な側面図である
【図16B】図16Aのインテリジェント装置の簡略な側面図である
【図16C】図16Aのインテリジェント装置の簡略な側面図である
【図16D】図16Aのインテリジェント装置の簡略な側面図である
【図17A】本発明にしたがうインテリジェント装置のさらに別の実施形態を備えている履物用品の簡略な側面図である
【図17B】調節範囲全体にわたる図17Aのインテリジェント装置の簡略な側面図である
【図18】可調節素子の特定の実施形態の性能特性を示すグラフである
【図19】使用中に履物用品の性能特性を修正する方法の一実施形態を示すフローチャートである
【図20A】図19の方法の性能特性測定工程の実施形態を示すフローチャートである
【図20B】図19の方法の修正駆動装置信号発生工程の実施形態を示すフローチャートである
【図21】履物用品に快適性を与える方法の一実施形態を示すフローチャートである
【符号の説明】
【0079】
100 履物用品
102 甲
104 靴底
106 インテリジェント装置
108 足後部領域
109 足前部領域
122 センサ
123 磁石
124 可調節素子
128 リミッタ
132 モーター
【技術分野】
【0001】
本発明は全般的には履物用品のためのインテリジェント装置に関する。特に、本発明は履物用品の性能特性を修正する自動調節装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な運動靴には甲と靴底がある。靴底は通常、靴の特定の性能特性、例えば安定性または剛性の最適化を目指して選ばれる材料でつくられる。一般に、靴底は中物及び表底を含み、中物及び表底はいずれも、着用者の足及び脚を保護するための弾力のある材料を含むことができる。通常の靴の欠点の1つは、緩衝及び剛性のような、性能特性を調節できないことである。したがって、着用者は特定の運動に適した特定の靴を選ばなければならない。例えば、ランニングのようにより大きな緩衝を必要とする運動の場合、着用者はあるタイプの靴を選ばなければならず、バスケットボールのように横方向の動きの間の支持のためにより大きな剛性を必要とする運動の場合、着用者は別のタイプの靴を選ばなければならない。
【0003】
靴底によってもたらされる緩衝または剛性の強さを調節できるように設計された靴もある。そのような靴の多くは、所望に応じて膨張または収縮させることができる流体袋を用いる。これらの靴に現れる欠点は、1つまたはそれより多くの袋が作用しなくなり、緩衝装置が事実上無効になり得ることである。さらに、流体袋を用いている靴の多くは、靴底で与えられる緩衝の強さを小レベルで変化させることができない。袋を加圧または減圧するかあるいはある程度加圧またはある程度減圧することにより靴底で与えられる緩衝の強さの変化は一般に着用者が所望するよりも大きいであろう。言い換えれば、袋は一般に微調節ができない。
【0004】
靴底で与えられる緩衝または剛性の強さを調節できるように設計された靴の多くに見られる別の欠点は、手動調節しかできないことである。したがって、そのような靴を調節するために、着用者は、行っている特定の運動を中断する必要がある。靴によっては、着用者が靴の一部を分解し、靴を組み立てし直すか、あるいは靴部品を交換しなくてはならない場合さえ、あり得る。また、なし得る調節の大きさが限定されることもあり、着用者の満足が得られない。
【0005】
靴底で与えられる緩衝または剛性の強さを自動的に調節するように設計された靴もある。そのような靴は、着用者の足が地面を踏むときに着用者の足により靴底にかかる力または圧力の大きさを測定する。しかし、解析及び調査により、単に力または圧力の測定だけでは、靴の性能に関する情報が得られないので、あまりにも不足していることが明らかになった。例えば、特定の運動中に特定の着用者によってかけられる通常の力を前もって調べておかなければ、力を測定しても、その着用者にとって靴底が圧縮過剰であるか圧縮不足であるかについて何の指標も得られない。靴底が圧縮過剰または圧縮不足であれば、靴底が着用者の運動及び必要に合っているとは言えない。結局のところ、着用者の体を靴に適合させなければならない。着用者の生体力学的要求が満たされるとしても十分ではない。
【0006】
総じて、靴底で与えられる緩衝または剛性の強さに何らかの調節を可能にするように設計された靴は、未だに着用者の要求に適合するに至っていない。特に、そのような靴は、特定の着用者の生体力学的要求の全域にわたる調節ができないか、あるいは着用者の真の要求を感知する機能を欠いている。この結果、着用者は未だに何らかの方法で、自分の体を靴が提供する環境に適合させなければならない。
【0007】
したがって、着用者の生体力学的要求を感知し、着用者の生体力学的要求、例えば靴底で与えられる緩衝または剛性の強さに適合するように靴の性能特性を自動的に調節し、袋緩衝型または手動調節可能な靴の上記の欠点を回避する、靴が必要とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
着用者の生体力学的要求を感知し、着用者の生体力学的要求に適合するように靴の性能特性を自動的に調節する靴を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、人の関与なしに、履物の様態を履物の環境に応じて調節する、履物用品のためのインテリジェント装置に関する。言い換えれば、そのような履物用品は適応性をもつ。例えば、本インテリジェント装置は、着用者の生体力学的要求を間断なく感知し、感知した生体力学的要求に合せて履物用品の形態を最適化することができる。本インテリジェント装置は、感知装置、制御装置及び作動装置を備える。
【0010】
感知装置は履物用品の性能特性を測定して、制御装置に信号を送る。信号は測定された性能特性を表す。制御装置は信号を処理して、例えば、性能特性が許容範囲から外れているかまたはあらかじめ定められた閾値をこえているか否かを判断する。制御装置は偏差に比例する信号を作動装置に送る。作動装置は、最適な性能特性を得るために、履物用品の様態を修正する。
【0011】
一態様において、本発明は履物用品のためのインテリジェント装置に関する。この装置は、制御装置、制御装置に電気的に接続された電源、可調節素子及び可調節素子に結合された駆動装置を備える。駆動装置は制御装置からの信号を受けて可調節素子を調節する。
【0012】
別の態様において、本発明は靴底に結合された甲及び少なくとも一部が靴底に配されたインテリジェント装置を備える履物用品に関する。この装置は、制御装置、制御装置に電気的に接続された電源、可調節素子及び可調節素子に結合された駆動装置を備える。駆動装置は制御装置からの信号を受けてて可調節素子を調節する。
【0013】
上記態様の様々な実施形態において、装置は、圧縮度、レジリエンス、コンプライアンス、弾性、制動性、エネルギー蓄積、緩衝性、安定性、快適性、速度、加速度、ジャーク、剛性、またはこれらの組合せ等の履物用品の性能特性を修正する。一実施形態において、可調節素子は、並進、回転、方位変更、可動範囲修正またはこれらの組合せの内の少なくとも1つにより調節される。装置は可調節素子の可動範囲を制限するためのリミッタを備えることができる。制御装置はセンサ及び電気回路を備える。センサは、圧力センサ、力変換器、ホール効果センサ、ストレインゲージ、圧電素子、ロードセル、近接センサ、光センサ、加速度計、ホール素子またはセンサ、静電容量センサ、インダクタンスセンサ、超音波変換器及び受信器、無線周波数発信器及び受信器、磁気抵抗効果素子、または巨大磁気抵抗効果素子とすることができる。様々な実施形態において、駆動装置は、ウォーム歯車装置、親ねじ、ロータリーアクチュエータ、リニアアクチュエータ、歯車列、リンク仕掛、またはこれらの組合せとすることができる。
【0014】
また別の実施形態において、可調節素子は、少なくとも一部を、履物用品の足前部領域、足中央部領域及び足後部領域の内の少なくとも1つに配することができる。一実施形態において、履物用品は表底及び中物を備える靴底を有し、可調節素子は少なくとも一部が中物に配される。様々な実施形態において、可調節素子は履物用品内に概ね長さ方向に配することができるか、または可調節素子は履物用品内に概ね幅方向に配することができ、あるいは概ね長さ方向と幅方向に配することができる。例えば、可調節素子は、履物用品の踵領域から土踏まず領域に、または履物用品の土踏まず領域から足前部領域に、または履物用品の足前部領域から踵領域に延在できる。さらに、可調節素子は、少なくとも一部を、履物用品の外側部または内側部に、あるいは外側部と内側部に、配することができる。
【0015】
別の態様において、本発明は履物用品の性能特性を使用中に修正する方法に関する。本方法は、履物用品の性能特性を測定する工程、修正駆動装置信号を発生する工程及び履物用品の性能特性を修正するための駆動装置信号に基づいて可調節素子を調節する工程を含む。一実施形態において、上記工程は、性能特性の閾値が得られるまで反復される。
【0016】
上記態様の様々な実施形態において、発生する工程は、偏差を発生するために測定された性能特性を所望の性能特性と比較する副工程及び偏差に基づくレベルの修正駆動装置信号を出力する副工程を含む。一実施形態において、修正駆動装置信号はあらかじめ定められたレベルを有する。さらに、測定する工程は、近接センサで磁石の磁場を測定する副工程及び圧縮時の磁場測定値を閾値と比較する副工程を含み、磁石及びセンサの内の少なくとも1つは少なくとも一部が靴底内に配され、無負荷状態では垂直方向に隔てられる。一実施形態において、測定する工程は、圧縮時に複数の磁場測定値をとる副工程及び平均磁場測定値を閾値と比較する副工程を含む。
【0017】
別の実施形態において、本方法は可調節素子の可動範囲をリミッタで制限する工程を含むことができ、調節する工程はリミッタをあらかじめ定められた距離に調節する工程を含むことができる。調節工程は履物用品が無負荷状態にあるときに実施できる。一実施形態において、調節工程は性能特性が閾値に達したときに終結される。
【0018】
本発明の上記態様の全ての様々な実施形態において、可調節素子は、伸縮素子、複密度発泡体、骨組素子、複密度プレートまたはこれらの組合せとすることができる。可調節素子は異方性の特性を示すことができる。一実施形態において、可調節素子は略楕円体形状の伸縮素子とすることができる。さらに、装置は、可調節素子の性能特性を変更するかまたはバイアスをかけるための手動調節装置、または表示器、あるいは手動調節装置と表示器を備えることができる。手動調節装置は性能特性の閾値を変更することもできる。表示器は可聴または可視、あるいは可聴で可視とすることができる。例えば、表示器は発光ダイオード列とすることができる。
【0019】
別の態様において、本発明は履物用品内において圧縮を測定するための装置に関する。本装置は、少なくとも一部が履物用品の靴底内に配されたセンサ及びセンサと概ね位置合せされ、センサから隔てられた磁石を備える。センサは、ホール効果センサ、近接センサ、ホール素子またはセンサ、静電容量センサ、インダクタンスセンサ、超音波変換器及び受信器、無線周波数発信器及び受信器、磁気抵抗効果素子、または巨大磁気抵抗効果素子とすることができる。本装置はプロセッサを備えることができる。一実施形態において、センサは磁石で発生する磁場を測定し、プロセッサが磁場測定値を靴底の圧縮量を表す距離測定値に、それぞれの時間測定値と相関させて、変換する。プロセッサは距離測定値をジャーク値に変換することができる。
【0020】
上記態様の様々な実施形態において、本装置はセンサに接続された駆動装置及び駆動装置に結合された可調節素子をさらに備える。装置は可調節素子の可動範囲を制限するためのリミッタを備えることができる。一実施形態において、履物用品の性能特性はセンサからの信号を受けてて修正される。一実施形態において、信号は靴底の圧縮量に対応する。
【0021】
別の態様において、本発明は履物用品に快適性を与える方法に関する。本方法は調節可能な履物用品を提供する工程及びジャーク値を決定する工程を含む。本方法はさらに、ジャーク値に基づいて調節可能な履物用品の性能特性を修正する工程を含むことができる。
【0022】
本発明の上記及びその他の目的は、本明細書に開示される利点及び特徴とともに、以下の説明、添付図面及び特許請求の範囲を参照することにより、明らかになるであろう。さらに、本明細書に説明される様々な実施形態は相互排他的ではなく、様々な組合せ及び置換形態で存在し得ることは当然である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図面においては、種々の図を通じて同様の参照数字が一般に同じ要素を指す。また、図面は必ずしも比例拡大縮小されてはおらず、代わりに、本発明の原理を説明する際には一般に強調がなされている。以下の説明では、本発明の様々な実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0024】
本発明の実施形態を以下に説明する。しかし、本発明はこれらの実施形態には限定されるものではなく、それどころか、当業者には明らかな改変を含むものでもあることに特に注意されたい。特に、本発明は、いかなる特定の性能特性あるいはセンサのタイプまたは配置にも限定されるものではない。さらに、与えられるいずれの図においても右靴または左靴だけしか示されていないが、左靴と右靴は一般に互いの鏡像であり、説明が右靴にも左靴にも適用されることを理解されたい。右靴と左靴に相異なる形態または性能特性が必要とされるある種の運動においては、靴が互いの鏡像である必要はない。
【0025】
図1は、甲102,靴底104及びインテリジェント装置106を備える履物用品100を示す。インテリジェント装置106は、履物用品100の足後部領域108に横方向に配されている。インテリジェント装置106は、靴底104の長さに沿ういずれの場所にも、また本質的にいずれの方位にも、配することができる。一実施形態において、インテリジェント装置106は履物用品100のヒール領域の圧縮度を修正するために用いられる。別の実施形態において、インテリジェント装置106は、足前部領域109に配置することができ、曲がり線に合わせたり、ずらしたりするように移動させることができるか、さもなければ、履物用品100の押返し特性を変えるように構成できる。また別の実施形態において、履物用品100は履物用品100の複数の領域に配された複数のインテリジェント装置106を備えることができる。インテリジェント装置106は履物用品100の1つ以上の性能特性を修正する自動調節装置である。インテリジェント装置106の動作を以下に詳細に説明する。
【0026】
図2Aは図1の靴底104の一部の分解組立図を示す。靴底104は、中物110、表底112a、112b、適宜必要な下部支持プレート114、適宜必要な上部支持プレート116及びインテリジェント装置106を含んでいる。上部及び下部支持プレートを備える目的は、とりわけ、インテリジェント装置106を特定の方位へ拘束するのを助けることである。インテリジェント装置106は中物110に形成された空洞118内に配される。一実施形態において、中物110は通常の中物を改変したものであり、踵部分において、約10mmから約30mm,好ましくは約20mmの厚さを有する。インテリジェント装置106は制御装置120及び制御装置120と電気的に交信する作動装置130を備え、制御装置120及び作動装置130については、後で詳細に説明する。作動装置130は駆動装置131及び可調節素子124を備える。制御装置120は、近接センサ等のセンサ122、磁石123及び電気回路(図9〜14参照)を備える。図示される実施形態において、センサ122は可調節素子124の下に配され、磁石123はセンサ122から垂直方向に間隔をあけて配置されている。この特定の実施形態において、磁石123は可調節素子124の上方に配され、磁石123は空心型ネオジム−鉄磁石である。センサ122及び磁石123の実際の位置及び間隔は、例えば靴底の圧縮量の測定及び圧縮度の修正といった特定の用途に応じて変わる。この特定の実施形態において、センサ122及び磁石123は履物用品100の足後部領域108で最大圧縮がおこる場所に概ね対応する箇所に配置される。一般に、その箇所は着用者の踵骨の下一方である。そのような実施形態において、センサ122及び磁石123は、靴底104の外足側と内足側の間の概ね中心に配置され、着用者の足後面の前方約25mmと約45mmの間にある。
【0027】
図2Bはインテリジェント装置106の一部、特に作動装置130をさらに詳細に示す。インテリジェント装置106は密封された防水ケースに収められることが好ましい。作動装置130は一般に、モーター132と伝動素子134とを含む駆動装置131及び、リミッタ128と、伸縮素子126と、ストッパー136とを含む可調節素子124を備える。図示される特定の実施形態の駆動装置131は、可逆電気モーター132と、伝動素子134を形成するねじ付棒とから構成される親ねじ駆動装置である。一実施形態において、モーター132は模型飛行機に用いられるタイプの無線コントロール型サーボモーターとすることができる。ねじ付棒は、鋼鉄、ステンレス鋼またはその他の適する材料でつくることができる。
【0028】
モーター132は伝動素子134に機械的に結合され、矢印138で示されるように時計回り及び反時計回りの両方向に素子134を駆動する。伝動素子134はリミッタ128とねじ式に連結し、概ね矢印140で示されるように伸縮素子126に対するリミッタ128の横方向位置を定める。リミッタ128は伝動素子134とねじ式に連結され、モーター132及び履物用品100に対する回転が防止されているから、リミッタの位置を維持するための電力は不要である。ヒールが地面に当たるときの素子134の不意の回転を防止するために、十分な摩擦が作動装置130にあり、十分に細かいねじが伝動素子134に切られている。一例において、モーター132が伝動素子134を時計回り方向に駆動するときにリミッタ128は伸縮素子126に向かって前進し、モーター132が伝動素子134を反時計回り方向に駆動するときにリミッタ128は伸縮素子126から後退する。あるいは、別のタイプの駆動装置も可能である。例えば、駆動装置131は基本的に、いずれかのタイプのロータリーアクチュエータまたはリニアアクチュエータ、歯車列、リンク仕掛、またはこれらの組合せとすることができる。
【0029】
伸縮素子126は略円筒形であり、断面は引き伸ばされた円形または引き伸ばされた概ね楕円形である。伸縮素子の弧状端は必ずしも半円形でなくてもよい。弧状端の半径は特定の用途に合わせて変わるであろうし、垂直方向の圧縮負荷の下にあるときに伸縮素子126の縦伸び量を制御するために変えることができる。一般に、弧状端の半径が大きいほど、垂直方向圧縮負荷の下でおこり得る縦伸びは大きくなる。伸縮素子126は中実の外壁142を有し、必要に応じて、発泡体またはその他の弾力のある材料の可圧縮コア144を有する。伸縮素子126の寸法、形状及び用いられる材料は、特定の用途に合うように選ばれることになろう。図示される実施形態において、伝動素子134は伸縮素子126を貫通し、ストッパー136に連結している。ストッパー136は伸縮素子126のリミッタ128から離れる方向への移動を防止する。あるいは、空洞118の後壁をストッパー136とすることができよう。
【0030】
可調節素子124の概略の動作を、測定されたパラメータ、例えば中物110の圧縮量に応答して履物用品100の緩衝強度を修正するためにインテリジェント装置106を用いる用途に関して説明する。伸縮素子126は、概ね矢印146で示される垂直方向の力がはたらくときに圧縮され得る。伸縮素子126は圧縮されると水平方向(矢印148)に伸びる。リミッタ128はこの伸長運動を調節するために用いられる。水平方向の伸長運動が制限されると、垂直方向の運動も制限される。伸縮素子126は、図18に関して以下でさらに詳細に論じられる2モード圧縮応答を有する。
【0031】
インテリジェント装置106は使用者が履物用品100につくりだす圧縮量を調節できる。一例として、履物用品100を着用している使用者がランニング中に地面と接すると、垂直方向の力146が靴底104を介して伸縮素子126に加わる。この力146によって、地面と接している間、伸縮素子126がリミッタ128に接するまで伸び、よって靴底104の圧縮量が調節される。
【0032】
圧縮中、制御装置120の検知部が磁石123の磁場強度を測定する。図示される実施形態において、センサ122は中物110の底部近くに配され、磁石123は中物110の上部近くに配される。センサ122で検出される磁場強度は、中物110の圧縮にともなって、磁石123がセンサ122に近づくにつれて変化する。この磁場強度を距離に変換できるように、装置を較正することができる。中物110がどれだけ圧縮されたかを示すのはこの距離変化である。制御装置120は、距離変化すなわち圧縮量測定値に基づいて作動装置130に信号を出力する。
【0033】
次いで、作動装置130は制御装置120から受け取った信号に基づいて中物110の硬度すなわち圧縮度を修正する。作動装置130は主可動コンポーネントとして伝動素子134を利用する。図8に示されるアルゴリズムを参照して、以下でインテリジェント装置106の動作をさらに詳細に説明する。
【0034】
図3は本発明にしたがう別の実施形態のインテリジェント装置306の一部、特に作動装置330を示す。作動装置330は駆動装置331及び可調節素子324を備える。可調節素子324は図2Bに関して説明したものと同様の伸縮素子326及びリミッタ328を有する。駆動装置331はモーター332及び、本実施形態ではケーブル327が貫通している中空の親ねじ325である、伝動素子334を有する。ケーブル327は伸縮素子326を通り抜け、クリンプ加工されたストッパー336を一端に有する。リミッタ328はケーブル327のまわりに滑動可能に配され、ねじ325と伸縮素子326(詳しくは伸縮素子326に結合されたベアリングアーム339)との間のベアリング面として作用する略円筒形の素子である。伸縮素子326の奥行きに沿って負荷を分散させるために同様のベアリングアームがストッパー336の近くに配される。一実施形態において、モーター332は減速ギア比が300:1の6mmページャモーターである。ケーブル327,ねじ325,リミッタ328及びベアリングアーム339は、高分子材、鋼鉄、ステンレス鋼またはその他の適する材料でつくることができる。一実施形態において、ケーブル327は、テフロン(登録商標)という商品名でデュポン(DuPont)社から販売されているような減摩材で被覆されたステンレス鋼でつくられる。
【0035】
動作時、ケーブル327は駆動装置331に固着され、固定長を有する。ケーブル327は、伸縮素子326の縦方向の可能進み量を決定する、ねじ325を通り抜ける。例えば、垂直方向の力が伸縮素子326に印加されると、素子326はケーブル327に沿って、伸縮素子326とねじ325の末端の間に配されたリミッタ328に当たるまで縦方向に伸びる。モーター332はねじ325を回転させて、リミッタ328がねじ325及び伸縮素子326に接するまでの間にそれに沿って滑動することができる、ケーブル327の長さを変化させる。ねじ325は、制御装置からの信号を受けて、素子326に向かうかまたは素子326から離れる方向に、あらかじめ定められた距離を移動する。一実施形態において、ねじ325は、約0mmと約20mmの間、好ましくは約0mmと約10mmの間の距離を進むことができる。
【0036】
別の実施形態において、可調節素子324は、互いに実質的に平行に方向付けられた2基のモーター332及び2本のケーブル327を備える。2本のケーブル327は、伸縮素子326を図3に示される可調節素子324の軸線360に対して傾けずに保持する上で役立つ。さらに、別のタイプの伸縮素子/リミッタ構成も可能である。例えば、二分型または縦型リミッタの代わりに周縁型またはベリーバンド型リミッタを用いることができる。動作において、駆動装置331はベリーバンドの周長を変えて素子326の伸長範囲を変更させる。周長が大きくなるほど、伸長範囲は広くなる。別の可能な構成には、形状記憶合金及び磁性流体がある。
【0037】
図4A〜4Eは別の可調節素子を示し、それぞれの可調節素子は無負荷状態で示されている。特に、図4A〜4Dは伸縮素子について考え得るいくつかの様々な形状を示す。図4Aにおいて、伸縮素子426は断面が略楕円形であり、単一素子として形成された2つのシリンダー428を含む。あるいは、シリンダーの断面形状は直線及び弓形のいずれかの組合せ、例えば、六角形または半円形とすることができよう。シリンダー428は壁432及び中空とするか、あるいは発泡体またはその他の材料で満たすことができる一対のコア434を有する。図4Bは、断面がほぼ円形であり、互いに結合された2つの個別シリンダー448を有する伸縮素子446を示す。シリンダー448のそれぞれは壁452及びコア454を有する。図4Cは先に説明した2つのシリンダー448を有する伸縮素子466を示す。図4Cにおいて、伸縮素子466はシリンダー448を取り囲む発泡体ブロック468を有する。発泡体ブロック468はコアの代わりとするかまたはコアに付加することができる。図4Dはまた別の実施形態の伸縮素子486を示す。伸縮素子486は断面が細長い扇形のシリンダー488を有する。シリンダー488は壁492及びコア494を備える。シリンダー488には第1の弧状端496及び第2の弧状端498がある。第1の弧状端496の半径は第2の弧状端498の半径よりかなり大きく、よって、負荷の下にあるときに第1の弧状端にはより大きな水平方向変位が生じる。さらに、いずれのシリンダーの壁厚も変えることができ、及び/または長さに沿うテーパをシリンダーにつけることができよう。発泡体コアを用いる伸縮素子126の実施形態においては、発泡体コアを伸縮素子126の壁に接着することは望ましくない。発泡体を壁に接着することによって水平方向の伸長が阻止され得る。
【0038】
図4Eは別のタイプの可調節素子410を示す。可調節素子410は比較的柔軟な構造体のシリンダー412及びピストン414からなる構成を有する。シリンダー412の内容積416は、ピストン414が、概ね矢印418で示されるように、シリンダー412へ出入りするのにともなって変化する。ピストン414は、制御装置120からの信号を受けて、駆動装置131により直線的に動かされる。容積416を変えることにより、シリンダー412の圧縮度が変化する。例えば、ピストン414がシリンダー412内に押し込まれると、容積が減少してシリンダー内の圧力が高まり、圧力が高くなるほど、シリンダーが硬くなる。この装置は膨張可能な袋の装置と同様に見えるが、違いがある。例えば、この装置では、流体、例えば空気の量は一定のままであり、容積416が調節される。さらに、袋は主として袋内の圧力に基づいて反作用するが、図4Eに示される素子410はシリンダー構造体を内部圧力とともに用いる。これら2つの装置は基本的に動作が異なる。例えば、膨張可能な袋は、風船のように、空気を内部に保持するだけで構造的支持は与えないが、シリンダーは、タイヤのように、構造体(例えばタイヤ側壁)を支えるために空気を用いる。さらに、ピストン414と駆動装置131との構成により、可調節素子410の圧力及び圧縮度の微調節が可能となる。
【0039】
図5Aは、図1の履物用品100の側面図を示す。インテリジェント装置106は履物用品100のほぼ足後部領域108に配される。図5Aに示されるように、インテリジェント装置106は可調節素子124をリミッタ128及び駆動装置131とともに備える。使用者入力ボタン502,504及び表示器506を備える使用者入力モジュール500(図5B)も図示される。使用者は、履物用品100の圧縮範囲またはその他の性能特性目標値を、目標値または範囲を大きくするために入力ボタン502を押すかまたは目標値または範囲を小さくするために入力ボタン504を押すことにより、設定できる。別の実施形態において、使用者入力モジュール500は靴から離しておくことができる。例えば、腕時計、電子手帳(PDA)またはその他の外部プロセッサを、単独で用いるかまたは履物用品に配された使用者入力モジュール500と一緒に用いて、使用者によるインテリジェント装置106の特性のカスタマイズを可能にすることもできる。例えば、使用者は腕時計上のボタンを押して装置106の様々な特性を調節できる。さらに、装置106はオン−オフスイッチを備えていてもよい。
【0040】
図5Bに使用者入力モジュール500がさらに詳細に示される。表示器506は、例えば、1つまたはそれより多くの発光ダイオード(LED)または有機発光ダイオード(OLE)とすることができる。図示される実施形態において、表示器506は、光を放って選択された圧縮範囲を表示する、フレキシブル回路上にプリント配線されたLED列である。しかし、表示器は、中物の硬度レベルまたは履物用品100の性能特性に関する何か別の情報を表示することもできよう。あるいはまたはさらに、表示器は可聴とすることもできる。
【0041】
図6は図1のインテリジェント装置106の抜粋したコンポーネントの配置可能性の1つの平面図を示す。可調節素子124は、空洞118内に横方向に配された伸縮素子126とともに中物110の足後部領域108に配される。駆動装置131は伸縮素子126の隣に配される。駆動装置131の隣に制御装置120がある。制御装置120は、1つは駆動装置131制御用、1つはアルゴリズム処理用の、2つのマイクロコントローラを保持する制御ボード152を備える。さらに、装置106は電源150、例えば3.6Vの1/2AA電池を備える。電源150は、電線162またはフレキシブル回路のようなその他の電気的接続を介して、駆動装置131及び制御装置120に電力を供給する。
【0042】
装置106は磁石123及び、伸縮素子126の下に位置し、制御装置120に電気的に接続されている、位置合せされたセンサ122(図示せず)をさらに備える。磁石123は伸縮素子126の上で、中底及び/または中敷の下に配置される。さらに、装置106を防水性にするため、インテリジェント装置106全体をプラスチックケースに組み込むことができる。加えて、装置106は、靴底104の製造を容易にするため単一モジュールとして組み立てることができ、下部支持プレート114(図6には示されていない)にあらかじめ組み付けることもできる。一実施形態において、装置106は取り外し可能であり、よって装置106の交換が可能になる。例えば、中物110の空洞118から装置106を取出せるように表底112a,112bを構成する(例えば蝶番でとめる)ことができる。
【0043】
装置106は、インテリジェント装置106から、例えばPDAまたはその他の外部プロセッサにデータをダウンロードするために用いることができる、インターフェースポート160を備えることもできる。ポート160は靴の性能をモニタするために用いることができる。別の実施形態において、データは(例えば電波により)使用者のもとにある表示パネル付デバイスに送信することができる。例えば、使用者が身に着けている腕時計またはその他のデバイスにデータを送信することができる。使用者は、上述したように、データを受けて腕時計上のボタンを押すことにより靴のいくつかの特性を調節することができる。これらの調節値は、装置106に送り返され、そしてそこで調節が実施される。
【0044】
インテリジェント装置106の、参照数字706で指定される一実施形態のブロック図が図7に示される。インテリジェント装置706は制御装置720及び作動装置730に電気的に接続された電源750を備える。制御装置720はコントローラ752,例えば1つまたはそれより多くのマイクロプロセッサ、及びセンサ722を備える。センサは近接型センサと磁石の構成とすることができる。一実施形態において、コントローラ752はマイクロチップ・テクノロジー・インコーポレーテッド(Microchip Technology Incorporated)社で製造されたPICMicro(登録商標)のようなマイクロコントローラである。別の実施形態において、コントローラ752はサイプレス・セミコンダクター・コーポレーション(Cypress Semiconductor Corporation)社で製造されたマイクロコントローラである。作動装置730はモーター732及び伝動素子734を含む駆動装置731、及び可調節素子724を備える。駆動装置731と制御装置720は電気的に交信状態にある。可調節素子724は駆動装置731に結合される。
【0045】
必要に応じて、作動装置730は、制御装置720に接続されているかまたは制御装置720の一部を構成する、フィードバック装置754を含むことができよう。フィードバック装置754は可調節素子724の状態を示すことができる。例えば、フィードバック装置754はモーター732の回転数、すなわちリミッタ728(図示せず)の位置を計数することができる。フィードバック装置754は、例えば、リニアポテンショメータ、インダクタ、線形変換器、または赤外ダイオード対とすることができよう。
【0046】
図8は、インテリジェント装置106に使用できるアルゴリズムの1つを示す。インテリジェント装置106は、ウォーキング/ランニングサイクル中に靴の性能特性を測定する。装置106の作動開始前であって、初めに電源が入れられた後または地面との最初の接触後に、装置106は較正手順を実行できる。例えば、装置106はリミッタ128の位置を決定するため及び/またはリミッタ128の範囲を検証するため、すなわち全開または全閉するために、可調節素子124を作動させることができる。動作中、装置106は靴の性能特性を測定する(工程802)。一実施形態において、測定レートは約300Hzから約60kHzである。制御装置120は性能特性が少なくとも3回(工程804)またはいずれか別のあらかじめ定められた回数測定されたか否かを判断する。測定されていなければ、装置106は工程804が満たされるまで工程802を反復して性能特性を追加測定する。3回の測定が行われた後に、装置106は最新の3つの性能特性測定値を平均する(工程806)。装置106は次いで、平均性能特性測定値を閾値と比較する(工程808)。工程810において、装置106は平均性能特性測定値が閾値に実質的に等しいか否かを判断する。平均性能特性測定値が閾値に実質的に等しければ、装置106は工程802に戻って別途に性能特性測定を行う。平均性能特性測定値が閾値に実質的に等しくなければ、装置106は靴の性能特性を修正するための修正駆動装置信号を可調節素子124に送る(工程812)。インテリジェント装置106は次いで、閾値に達するまで及び着用者が靴を使用し続けている限り、全動作工程を反復する。一実施形態において、着用者が靴の漸次調節を感知せず、性能特性の変化に適応する必要がないように、装置106は性能特性の漸進変化だけを行う。言い換えれば、装置106は靴を着用者に適合させ、着用者の靴への適合を要求しない。
【0047】
一般に、装置106は、特定の用途において、好ましい緩衝レベルに関する試験により定められた最適な中物圧縮閾値(目標域)を利用する。装置106は、一歩毎に中物110の圧縮量を測定し、最新の3歩の平均を求める。平均値が閾値より大きければ、中物110は圧縮過剰になっている。この状況では、可調節素子124を硬くする方向に調節するための信号を装置106が駆動装置131に送る。平均値が閾値より小さければ、中物110は圧縮不足になっている。この状況では、可調節素子124を柔らかくする方向に調節するための信号を装置106が駆動装置131に送る。このプロセスは、測定値が装置の目標閾値内に入るまで継続される。この目標閾値は、使用者が硬めまたは柔らかめに修正することができる。この閾値変化は初期設定のオフセットである。上記のアルゴリズムの全ては制御装置120により演算される。
【0048】
上記の特定の用途において、中物110及び可調節素子124の総高は約20mmである。試験中に、中物110の硬度にかかわらず、中物110の最適圧縮範囲は約9mmから約12mmであると判断された。一実施形態において、リミッタ128の調節範囲は約10mmの垂直方向圧縮に相当する。リミッタ128の分解能は、一実施形態において、約0.5mm以下である。使用者の入力部を備えた装置106の一実施形態において、着用者は、圧縮範囲を例えば約8mmから約11mmまたは約10mmから約13mmになるように変えることができる。当然のことながら、3mmより広い範囲及びさらに小さいかまたは大きい範囲限界も考えられる。
【0049】
ランニング中、着用者の足は(足が空中にある)フライト段階及び(足が地面に接している)スタンス段階を含むストライドサイクルを経る。一般的なストライドサイクルにおいて、フライト段階はストライドサイクルの約2/3を占める。スタンス段階中、着用者の体は通常、地面への接触に順応している。本発明の特定の実施形態において、測定は全てスタンス段階中に行われ、調節は全てフライト段階中になされる。靴、したがって可調節素子は無負荷状態にあり、よって調節に必要な電力が負荷状態にあるときよりかなり小さいから、調節はフライト段階中になされる。ほとんどの実施形態において、靴は、モーターが可調節素子を移動させず、したがって可調節素子の範囲の設定に必要なモーター負荷が小さくなるように、構成される。しかし、図15、16及び17に示される実施形態では、以降でさらに詳細に説明されるように可調節素子が移動する。
【0050】
動作中、装置106は、靴が地面に接したことを検知する。靴が地面を踏むと、靴底104が圧縮され、センサ122が磁石123の磁場の変化を検知する。装置106は、装置106が約2mmの圧縮に相当する磁場の変化を検知すると、靴が地面に接していると判断する。電力を節約するために装置106が作動装置130への電力を絶つのも、この時点である。スタンス段階中に、装置106は磁場の最大変化を検知し、その測定値を最大圧縮量に変換する。別の実施形態において、装置106は、靴の別の性能特性、例えば、速度、加速度及びジャークを決定するために、スタンス段階の時間長を測定することもできる。
【0051】
最大圧縮量が12mmより大きい場合には靴底104が圧縮過剰であり、最大圧縮量が9mmより小さい場合には靴底104が圧縮不足である。例えば、最大圧縮量が16mmであれば、靴底104は圧縮過剰であり、制御装置120は可調節素子124をさらに硬くするための信号を作動装置130に送る。作動装置130は、靴がフライト段階にあるとき、すなわち圧縮量が2mm未満であるときに作動する。圧縮量が閾値範囲内にあることを装置106が検知すると、装置106は靴の性能特性を測定し続けるが、作動装置130及び可調節素子124をさらに作動させることはない。このようにして、電力が節約される。
【0052】
別の実施形態において、インテリジェント装置106は別の性能特性を、単独にあるいは上述した最適中物圧縮特性と組合わせて、用いることができる。例えば、装置106は、圧縮量のほかに、最大圧縮量までの時間、回復にかかる時間及びフライト段階の時間を測定することができる。これらの変数は、地面の硬さ、傾斜及び速さのような外部要素を考慮しながら、使用者に合った最適設定を決定するために用いることができる。最大圧縮量までの時間は、地表変化を考慮しながら、ヒールが地面を打ってから靴底の圧縮量が最大になるまでにかかる時間長として表される。最適圧縮量設定の決定に時間対圧縮量曲線の下の面積を用いることが有益な場合もある。基本的に、時間対圧縮量曲線の下の面積は靴に吸収されるエネルギーの尺度である。さらに、(上述した)フライト段階の時間は最適設定の決定に寄与し得る。この変数から使用者のストライド頻度を算出することができる。続いて、速さの変化を決定するため及び登りと下りの運動を弁別するためにストライド頻度を用いることができる。
【0053】
図9A及び9Bは、本発明にしたがうインテリジェント装置106の実施に適する電気回路900の一実施形態を示す(図9は図9Aと9Bの電気的接続関係を示す)。電気回路900は、検知装置1100(図11)、制御装置1200(図12)及び作動装置1300(図13)を備える。制御装置1200はさらに電圧レギュレータ装置1000(図10)を備える。
【0054】
電圧レギュレータ装置1000は昇圧DC/DC電圧レギュレータ装置である。しかし、電圧レギュレータ装置がないことを含めて、別のタイプの電圧レギュレータ装置も可能である。図10を参照すれば、電源1004の出力電圧が電圧レギュレータ装置1000の出力1008におけるさらに高い電圧まで昇圧される。図示される実施形態において、電圧レギュレータ装置1000は、電源1004,スイッチ1012,入力バイパスコンデンサ1016,外部抵抗器1024に接続されたTC125PFM昇圧DC/DCレギュレータ1020,インダクタ1028,出力ダイオード1032,出力コンデンサ1036及び3つの接続点(出力1008,接地1040及び出力1014)を備える。電源1004はDC3.6V電池であり、電圧レギュレータ装置1000の出力1008における昇圧後電圧はDC5Vである。スイッチ1012は電気回路900(図示せず)の基本オン−オフスイッチとして作用する。スイッチ1012が閉じられると、入力バイパスコンデンサ1016が電源1004に並列接続される。電源1004の接地1040はTC125レギュレータ1020の接地端子ピン1048及びTC125レギュレータ1020のピン1052に接続される。電圧レギュレータ装置1000の出力1008はTC125レギュレータ1020の電力及び電圧検知入力ピン1056に接続される。電圧レギュレータ装置1000の出力1008は内部IC電力及びTC125レギュレータ1020への閉ループレギュレーション用の検知フィードバック電圧を供給する。スイッチ1012が閉じられると、電源1004の正端子1044とTC125レギュレータ1020のインダクタスイッチ出力ピン1060の間に外部インダクタ1028が接続される。図示される実施形態においてはショットキーダイオードである出力ダイオード1032は、TC125レギュレータ1020のインダクタスイッチ出力ピン1060と電力及び電圧検知入力ピン1056の間に接続される。出力コンデンサ1036は電源1004の接地1040とTC125レギュレータ1020の電力及び電圧検知入力ピン1056の間に接続される。抵抗器1024はTC125レギュレータ1020のディゼーブル入力ピン1066と電源1004の接地1040の間に接続される。
【0055】
図11を参照すれば、検知装置1100は、ホール素子1104,演算増幅器(“オペアンプ”)1108並びに抵抗器1112,1116,1120及び1124を備える。別の実施形態において、ホール素子1104及びオペアンプ1108は、単一パッケージで等価な機能を提供するホールセンサで置き換えることもできる。以下で説明するように、オペアンプ1108はパルス出力信号を生成する。さらに、電圧レギュレータ装置1000の出力1008がセンサ1140の端子1128に接続され、センサ1104に電力を供給する。制御装置1200のマイクロコントローラ1204が接続点1248を介してセンサ1104の端子1132に接続される(図12A及び12B参照)。マイクロコントローラ1204は、センサ1104に接地信号を送ることにより、センサ1104をオン状態次いでオフ状態に交互に切り替える。センサ1104は、上述したように、磁場強度を測定するためにオン状態に切り替わり、次いで電力を節約するためにオフ状態に切り替わる。オン状態に切り替わると、センサ1104は端子1136及び1140に電圧を出力する。抵抗器1112はセンサ1104の端子1140とオペアンプ1108の反転入力1144の間に接続される。抵抗器1120はセンサ1104の端子1136とオペアンプ1108の非反転入力1148の間に接続される。抵抗器1116はオペアンプ1108の反転入力1144と、接続点1160を介して、制御装置1200のマイクロコントローラ1204の間に接続される。抵抗器1124はオペアンプ1108の非反転入力1148と電圧レギュレータ装置1000の電源1004の接地1040の間に接続される。オペアンプ1108の正電源端子1152は電圧レギュレータ装置1000の出力1008に接続され、オペアンプ1108の負電源端子1156は電圧レギュレータ装置1000の電源1004の接地1040に接続される。図示される実施形態において、オペアンプ1108はホール効果センサ1104の端子1136と端子1140の間の差電圧を増幅する。1kΩの抵抗器1112,200kΩの抵抗器1116,1kΩの抵抗器1120及び200kΩの抵抗器1124により、オペアンプ出力1160における電圧は200倍に増幅されたセンサ1104の端子1136と端子1140の間の差電圧である(すなわち、V1160=200[V1136−V1140])。抵抗器1112,1116,1120及び1124の抵抗値を適切に選ぶことにより、別の増幅倍率を得ることができる。オペアンプ出力1160は制御装置1200のマイクロコントローラ1204に接続される。すなわち、オペアンプ1108のパルス出力信号はマイクロコントローラ1204に入力される。
【0056】
図12A及び12Bを参照すれば、制御装置1200は、電圧レギュレータ装置1000,マイクロコントローラ1204,発光ダイオード(LED)1208,2つのスイッチ1212,1216,並びに抵抗器1240及びコンデンサ1244を含む外部RC発振器を備える(図12は図12Aと12Bの電気的接続関係を示す)。電力をマイクロコントローラ1204に供給するため、電圧レギュレータ装置1000の出力1008がマイクロコントローラ1204に接続される。電圧レギュレータ装置1000の出力1008はさらにマイクロコントローラ1204のアクティブローリセットを可能にするためにマイクロコントローラ1204の別のピンに抵抗器1220を介して接続される。マイクロコントローラ1204に接地基準を与えるため、電源1004の接地1040がマイクロコントローラ1204に接続される。LED1208は使用者に、例えば、中物の現時点での柔軟度/硬度設定の可視出力を提供する。LED1208のカソード1224はマイクロコントローラ1204に接続され、LED1208のアノード1228は抵抗器1232を介して電圧レギュレータ装置1000の出力1008に接続される。マイクロコントローラ1204はLED1208の内の1つまたはいくつかを点灯または消灯させる。スイッチ1212及び1216は、スイッチ1012が閉じられたときに、電源1004の接地1040と、抵抗器1236を介して、電源1004の正電圧端子の間に接続される。スイッチ1212及び1216は、閉じられると、マイクロコントローラ1204の様々なピンを電源1004の接地1040に接続する。使用者は制御装置1200のスイッチ1212または1216を閉じることにより、例えば、中物の圧縮量閾値を調節できる。使用者は、靴の外側に配置された、制御装置1200のスイッチ1212及び1216を制御する押ボタンを作動させることにより調節を行なう。外部RC発振器の抵抗器1240は電圧レギュレータ装置1000の出力1008とマイクロコントローラ1204のタイミング回路への入力ピンの間に接続される。外部RC発振器のコンデンサ1244は電源1004の接地1040と同じくマイクロプロセッサ1204のタイミング回路への入力ピンの間に接続される。
【0057】
図13を参照すれば、作動装置1300は、トランジスタブリッジ1304及び1308,コンデンサ1316に並列接続されたモーター1312,及びポテンショメータ1320を備える。図示される実施形態において、トランジスタブリッジ1304はnチャネルMOSFET1324及びpチャネルMOSFET1328を有し、トランジスタブリッジ1308はnチャネルMOSFET1332及びpチャネルMOSFET1336を有する。MOSFET1324のソース1340及びMOSFET1332のソース1344は電源1004の接地1040に接続される。MOSFET1328のソース1348及びMOSFET1336のソース1352は、スイッチ1012が閉じられると、電源1004の出力1014に接続される。MOSFET1324のゲート1356及びMOSFET1336のゲート1360は接続点1252を介してマイクロコントローラ1204のXピンに接続される。MOSFET1328のゲート1364及びMOSFET1332のゲート1368は接続点1256を介してマイクロコントローラ1204のYピンに接続される。MOSFET1324のドレイン1372及びMOSFET1336のドレイン1376はモーター1312の端子1380に接続される。MOSFET1328のドレイン1384及びMOSFET1332のドレイン1388はモーター1312の端子1392に接続される。モーター1312を一方方向に回転させるには、マイクロコントローラ1204がMOSFET1324及び1328を導通させ、同時にMOSFET1332及び1336を遮断する。モーター1312を逆方向に回転させるには、マイクロコントローラ1204がMOSFET1332及び1336を導通させ、MOSFET1324及び1328を遮断する。ポテンショメータ1320の端子1396は電圧レギュレータ装置1000の出力1008に接続され、ポテンショメータ1320の端子1394は電源1004の接地1040に接続される。ポテンショメータ1320のワイパー端子1398における電圧が接続点1260を介してマイクロコントローラ1204により測定される。モーター1312がマイクロコントローラ1204により回転させられる方向に依存して、ポテンショメータ1320のワイパー端子1398は一方向または他方向に移動する。したがって、ポテンショメータ1320のワイパー端子1398における電圧はモーター1312の回転数に基づくリミッタ128の位置を表す。
【0058】
図14A及び14Bは本発明にしたがうインテリジェント緩衝装置の実施に適する、別の実施形態の、電気回路900'を示す(図14は図14Aと14Bの電気的接続関係を示す)。第1の実施形態と同様に、電気回路900'は、検知装置1100',制御装置1200'及び作動装置1300'を備える。同じく、第1の実施形態と同様に、制御装置1200'は電圧レギュレータ装置1000'を備える。
【0059】
第1の実施形態とは逆に、電圧レギュレータ装置1000'は、降圧DC/DC電圧レギュレータ装置である。電源1004'の出力電圧が、電圧レギュレータ装置1000'の出力1008'におけるさらに低い電圧まで降圧される。図示される実施形態において、電圧レギュレータ装置1000'は、電源1004'、スイッチ1012',入力コンデンサ1404,LTC3405A降圧DC/DCレギュレータ1408,インダクタ1412、出力コンデンサ1416、抵抗器1420及び1424、並びにコンデンサ1428を備える。電源1004'は3.6VDC電池であり、電圧レギュレータ装置1000'の出力1008'における降圧された電圧は抵抗器1420及び1424の抵抗値を適切に選択することにより選ぶことができる。スイッチ1012'は電気回路900'に対する基本オン−オフスイッチとしてはたらく。スイッチ1012'が閉じられると、入力コンデンサ1404が電源1004'に並列接続される。さらに、スイッチ1012'が閉じられると、電源1004'の正端子1044'がLTC3405Aレギュレータ1408の作動制御入力ピン1432及び主電源ピン1436に接続される。電源1004'の接地1040'はLTC3405Aレギュレータ1408の接地ピン1440及びモード選択入力ピン1444に接続される。インダクタ1412は、LTC3405Aレギュレータ1408のスイッチノードインダクタ接続ピン1448と電圧レギュレータ装置1000'の出力1008'の間に接続される。出力コンデンサ1416は電圧レギュレータ装置1000'の出力1008'と電源1004'の接地1040'の間に接続される。抵抗器1420はLTC3405Aレギュレータ1408のフィードバックピン1452と電源1004'の接地1040'の間に接続される。コンデンサ1428は抵抗器1424に並列接続される。抵抗器1424及びコンデンサ1428はいずれもLTC3405Aレギュレータ1408のフィードバックピン1452と電圧レギュレータ装置1000'の出力1008'の間に接続される。
【0060】
ホール素子型センサ1104'とオペアンプ1108'とを備える検知装置1100'は電気回路900の検知装置1100と同様である。別の実施形態において、ホール素子1104'及びオペアンプ1108'は単一パッケージで等価な機能を提供するホールセンサで置き換えることができる。オペアンプ1108'はオペアンプ1108が出力1160で生成する出力信号と同じ出力信号を出力1160'に生成する。しかし、検知装置1100'はいくつかの点で異なる。第1に、センサ1104'の端子1128'及びオペアンプ1108'の正電源端子1152'は、スイッチ1012'が閉じられたときに、昇圧DC/DC電圧レギュレータ装置の出力に接続されるのではなく、代わりに、電源1004'の正端子1044'に接続される。第2に、マイクロコントローラ1204'は、センサ1104'の端子1132'に接続されるだけでなく、オペアンプ1108'の負電源端子1156'にも接続される。したがって、マイクロコントローラ1204'は、電力を節約するために、センサ1104'と一緒に、オペアンプ1108'をオン状態次いでオフ状態に交互に切り替える。最後に、抵抗器1124'は、電源1004'の接地1040'に接続されるのではなく、代わりに、センサ1104'及びオペアンプ1108'をオン状態とオフ状態に交互に切り替えるために用いられるマイクロコントローラ1204'のピンに接続される。それにもかかわらず、センサ1104'及びオペアンプ1108'をそれぞれオン状態に切り替えるために、マイクロコントローラ1204'が端子1132'及び負電源端子1156'への信号を接地信号に切り替えると、抵抗器1124'は切り替えられた接地信号に実効的に接続される。
【0061】
制御装置1200'は電気回路900の制御装置1200と同様である。ただし、制御装置1200'はいくつかの点で異なる。第1に、マイクロコントローラ1204'は、昇圧DC/DC電圧レギュレータ装置の出力に接続されて電力を供給されるのではなく、スイッチ1202'が閉じられると、電源1004'の正端子1044'に直接に接続され、したがって電源1004'から直接に電力が供給される。第2に、抵抗器1220',1232'及び1240'は、昇圧DC/DC電圧レギュレータ装置の出力に接続されるのではなく、スイッチ1202'が閉じられると、電源1004'の正端子1044'に接続される。
【0062】
作動装置1300'は電気回路900の作動装置1300と同様である。ただし、作動装置1300'はいくつかの点で異なる。第1に、MOSFET1328'のソース1348'及びMOSFET1336'のソース1352'は、スイッチ1202'が閉じられると電源1004'の正端子1044'に接続されるのではなく、代わりに、電圧レギュレータ装置1000'の出力1008'に接続される。第2に、ポテンショメータ1320'の端子1396'は昇圧DC/DC電圧レギュレータ装置の出力に接続されるのではなく、代わりに、スイッチ1202'が閉じられると、電源1004'の正端子1044'に接続される。最後に、ポテンショメータ1320'の端子1394'は、電源1004'の接地1040'に接続されるのではなく、代わりに、センサ1104'及びオペアンプ1108'をオン状態次いでオフ状態に交互に切り替えるために用いられるマイクロコントローラ1204'のピンに接続される。それにもかかわらず、マイクロコントローラ1204'が、センサ1104'及びオペアンプ1108'をオン状態にするために端子1132'及び負電源端子1156'への信号をそれぞれ接地信号に切り替え、ポテンショメータ1320'の端子1394'は切り替えられた接地信号に実効的に接続される。
【0063】
図15A及び15Bは別のインテリジェント装置1506を備える履物用品1500を示す。履物用品1500は、甲1502、靴底1504及びインテリジェント装置1506を備える。インテリジェント装置1506は靴底1504の足後部領域1508に配される。インテリジェント装置1506は駆動装置1531及び1つまたはそれより多くの同種のコンポーネントからなる可調節素子1524を備える。可調節素子1524は図15Bにさらに詳細に示され、履物用品1500の性能特性を修正するための修正駆動装置信号を受けてて回転させられる2本の二重密度調整ロッド1525を有する。二重密度ロッド1525は異方性の特性を有し、係属米国特許出願第10/144440号の明細書に詳述されている。上記特許出願明細書の開示全体は本明細書に参照として含まれる。二重密度ロッド1525は、靴底1504をさらに硬くするかさらに柔らかくするために、モーター1532及び伝動素子1534により回転させられる。伝動素子1534は、例えばラックアンドピニオン装置またはウォームアンドホイール装置により、二重密度ロッド1525のほぼ水平方向の中点でロッド1525に結合される。
【0064】
図16Aは別のインテリジェント装置1606を備える履物用品1600を示す。図16B〜16Dは様々な作動状態にある可調節素子1624を示す。履物用品1600は、甲1602,靴底1604及びインテリジェント装置1606を備える。インテリジェント装置1606は駆動装置1631及び可調節素子1624を備える。可調節素子1624は2枚の複密度プレート1625,1627を有する。プレートの内の一方、本実施形態においては下部プレート1627が、靴の性能特性を修正するための修正駆動装置信号を受けて、駆動装置1631により、他方のプレート(本実施形態においては上部プレート1625)に対して滑動させられる(矢印1680)。
【0065】
プレート1625,1627は密度が交互に変化する材料でつくられる。詳しくは、プレート1625,1627は、比較的柔らかい材料1671のストリップと比較的硬い材料1673のストリップを交互にならべて形成されている。プレート1625,1627の互いに位置合せされる密度領域を変えることにより、靴の性能特性が決定される。図16Bでは、比較的硬い材料1673の位置が実質的に合せられ、よって比較的硬い可調節素子1624が形成される。図16Cでは、密度の異なる材料1671,1673の位置が部分的にしか合せられておらず、よってより柔らかい可調節素子1624が形成される。図16Dでは、比較低硬い材料1673の位置と比較的柔らかい材料1671の位置が実質的に合せられており、よって最も柔らかい可調節素子1624となる。
【0066】
図17A及び17Bは別のインテリジェント装置1706を備える履物用品1700を示す。履物用品1700は、甲1702,靴底1704及びインテリジェント装置1706を備える。インテリジェント装置1706は靴底1704の足後部領域1708に配される。インテリジェント装置1706は駆動装置1731(図示されていないが、上述した駆動装置と同様である)及び可調節素子1724を備える。可調節素子1724は、靴底1704に対して旋回する(図17Bの矢印1750参照)、複密度のヒール部1726である。ヒール部1726を旋回させることにより、ヒールの地面打撃ゾーン1782における履物用品1700の機械的特性が修正される。ヒール部1726は駆動装置1731からの力に応答して旋回点1734を中心として旋回する。
【0067】
本明細書に説明される可調節素子の様々なコンポーネントは、例えば射出成形または押出しにより、また必要に応じて後続の機械加工作業と組み合わせて、製造できる。押出プロセスは、単一モノリシックフレームのような、一様な形状を与えるために用いることができる。次いで所望の形状寸法のオープンスペースを与えるためにインサート成形を用いることができ、あるいは後続の機械加工作業によりオープンスペースを所望の位置につくることができよう。その他の製造技法には、融解または付加素子の接着がある。例えば、シリンダー448は、液体エポキシ樹脂またはエチレン酢酸ビニル(EVA)のようなホットメルト接着剤で接合することができる。接着に加えて、コンポーネントを、様々なコンポーネントの融着を容易にするための溶剤の使用を要する溶剤接着を行うか、または発泡工程中に融着し合せることができる。
【0068】
様々なコンポーネントは、適するいずれかの高分子材または高分子材の組合せから、強化材を入れるかまたは入れずに、製造することができる。適する材料として、熱可塑性ポリウレタン(TPU)などのポリウレタン;EVA;エルフ・アトケム(Elf Atochem)社から販売されているPebax(登録商標)などの熱可塑性ポリエーテルブロックアミド;デュポン社から販売されているHytel(登録商標)などの熱可塑性ポリエステルエラストマー;アドバンスト・エラストマー・装置ズ社(Advanced Elastomer Systems, L.P.)から販売されているSantoprene(登録商標)などの熱可塑性エラストマー;熱可塑性オレフィン;10から30%ないしそれより多くの強化ガラスファイバを含むことができる、ナイロン12のような、ナイロン;シリコーン;ポリエチレン;アセタール;及び等価な材料がある。強化は、用いられる場合には、ガラスファイバまたはカーボングラファイトファイバ、またはデュポン社から販売されているケブラー(登録商標)のなどのパラ−アラミドファイバ、またはその他の同様な材料を混入させることで行うことができる。高分子材をその他の材料、例えば天然または合成ゴムと組み合わせて用いることもできる。その他の適する材料は当業者には明らかであろう。
【0069】
特定の実施形態において、伸縮素子126は、1つまたは相異なるそれより多くの密度をもつ発泡体、非発泡高分子材、及び/または骨組素子でつくることができる。例えば、シリンダーは、アスカーC硬度が45の発泡EVAコアをもつ「Hytel」4069または5050でつくることができよう。別の実施形態において、シリンダーは内部発泡体コアをもたない「Hytel」5556でつくられる。伸縮素子126のアスカーC硬度は約40から約70の範囲、好ましくは約45と約65の間にあり、さらに好ましくは約55である。別の実施形態において、調整ロッド1525,複密度プレート1625,1627,または上部及び下部支持プレート114,116には、デュポン社から販売されている「テフロン」材または同様の物質を含む塗料などの減摩被覆を施すことができる。着用者に装置の特定の性能特性を示すためのカラーコードを様々なコンポーネントに与えることができ、靴底の端に沿って透明な窓を設けることができる。様々なコンポーネントの寸法及び形状は、特定の用途に合せて変えることができる。一実施形態において、伸縮素子126の直径は約10mmから約40mm、好ましくは約20mmから約30mm,さらに好ましくは約25mmとすることができる。伸縮素子126の長さは約50mmから約100mm,好ましくは約75mmから約90mm,さらに好ましくは85mmとすることができる。
【0070】
さらに、伸縮素子126は、シリンダー142自体が発泡体コアに対する金型となる、リバースインジェクションと呼ばれるプロセスで一体形成することができる。そのようなプロセスは、個別のコア金型を必要としないので、通常の製造方法より経済的であり得る。伸縮素子126は、シリンダー142とコア144を一体でつくるために密度が異なる2つまたはそれより多くの材料が同時に射出される、二重射出と呼ばれる単一工程で形成することもできる。
【0071】
図18は、異なる2つの設定における可調節素子の性能特性(曲線A及びB)を示すグラフである。グラフは負荷状態における、すなわち圧縮下の、可調節素子の変形量を示す。図からわかるように、曲線A,Bのそれぞれは明らかに異なる2つの勾配1802,1804,1806,1808を有する。それぞれの曲線の第1の勾配1802,1806は、最初の接触から可調節素子がリミッタに接するまでの可調節素子を概ね表す。この段階の間、圧縮への抵抗は、負荷がかかると圧縮される可調節素子の構造壁及びコアの合成効果から生じる。それぞれの曲線の第2の勾配1804,1808は、リミッタに接したままで圧縮下にある可調節素子を表す。この段階の間、可調節素子はもはや極めて僅かしか変形できず、加わる力は構造壁を曲げるか座屈させようとする。
【0072】
比較的堅く設定されている設定Aでは、可調節素子は、勾配1802で表されるように、800Nの力が可調節素子に印加されると約6.5mm変形する。この時点で、可調節素子はリミッタに接しており、ごく僅かな変形しかできない。勾配1804が表しているように、800Nの力が可調節素子にさらに印加されても可調節素子の追加変形量は約2mmでしかない。比較的柔らかく設定されている設定Bでは、可調節素子は、勾配1806で表されるように、800Nの力が可調節素子に印加されると約8.5mm変形する。この時点で、可調節素子はリミッタに接しており、ごく僅かな変形しかできない。勾配1808が表しているように、800Nの力が可調節素子にさらに印加されても可調節素子の追加変形量は約2.5mmでしかない。
【0073】
図19は、使用中に履物用品の性能特性を修正する方法を表すフローチャートを示す。本方法は、履物用品の性能特性を測定する工程(工程1910)、測定された性能特性に基づいて修正駆動装置信号を発生する工程(工程1920)、及び履物用品の性能特性を修正するための駆動装置信号に基づいて可調節素子を調節する工程(工程1930)を含む。特定の実施形態においては、性能特性の閾値が得られるまで上記工程が反復される(工程1940)。
【0074】
測定工程1910の可能な実施形態の1つが図20Aに詳説される。図示されているように、性能特性を測定する工程は、近接型センサで磁石の磁場を測定する工程(副工程2010)及び磁場測定値を閾値と比較する工程(副工程2020)を含む。必要に応じて、性能特性を測定する工程は、複数の磁場測定値をとる副工程及びいくつかの数の測定値の平均をとる副工程を含むことができる。次いで平均磁場測定値と閾値が比較される(選択副工程2030)。必要に応じて、磁場測定値が閾値に実質的に等しくなるかまたはあらかじめ定められた範囲内の値になるまでこれらの副工程を反復する(選択副工程2040)することもできる。
【0075】
発生工程1920の可能な実施形態の1つが図20Bに詳説される。図示されているように、修正駆動装置信号を発生する工程は、測定された性能特性を所望の性能特性と比較する工程(副工程2050)、偏差を発生する工程(副工程2060)、及び偏差に基づくレベルの修正駆動装置信号を出力する工程(副工程2070)を含む。一実施形態においては、あらかじめ定められた量の修正が性能特性に施されるように、修正駆動装置信号レベルがあらかじめ定められている。このようにすれば、性能特性を着用者に比較的感知されないレベルで漸進的に変化させ、よって着用者が性能特性の変化に適応する必要を排除できる。
【0076】
図21は、履物用品に快適性を与える方法を表すフローチャートを示す。本方法は、調節可能な履物用品を提供する工程(工程2110)及びジャーク値を決定する工程(工程2120)を含む。ジャークは、時間変化量に対する加速度変化量(Δa/Δt)として表される。ジャーク値は既知の長さの時間に対する、変化する磁場に基づく、距離測定値から導出することができる。制御装置は時間に対する磁場の変化を記録し、これらの測定値を処理してジャーク値を得ることができる。本方法は、例えば、ジャーク値をあらかじめ定められた最大値より小さくしておくために、調節可能な履物用品の性能特性をジャーク値に基づいて修正する工程(選択工程2110)をさらに含むことができる。
【0077】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、当業者には、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく本明細書に開示された概念を組み入れているその他の実施形態が用いられ得ることが明らかであろう。したがって、開示された実施形態はいかなる点においても説明のために過ぎず、限定を目的としているとみなされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の一実施形態にしたがうインテリジェント装置を備えている履物用品の簡略な部分解斜視図である
【図2A】図1の履物用品の靴底の簡略な分解斜視図である
【図2B】可調節素子の動作を示す、図2Aのインテリジェント装置の簡略な拡大側面図である
【図3】本発明にしたがう可調節素子の別の実施形態の簡略な斜視図である
【図4】図4A〜Eは、本発明にしたがう可調節素子のさらに別の実施形態の簡略な側面図である
【図5A】抜粋した内部コンポーネントを示す、図1の履物用品の簡略な側面図である
【図5B】図5Aの履物用品の一部分を示す簡略な拡大図である
【図6】インテリジェント装置の抜粋した内部コンポーネントの配置を示すために靴底の一部が取り除かれている、図2Aの靴底の一部分を示す簡略な平面図である
【図7】本発明にしたがうインテリジェント装置のブロック図である
【図8】図1のインテリジェント装置の一動作モードを示すフローチャートである
【図9A】図1のインテリジェント装置の一実施形態の、右側が図9Bに続く分割された回路図である
【図9B】図1のインテリジェント装置の一実施形態の、左側が図9Aに続く分割された回路図である
【図10】図9Aの電圧レギュレータ装置の回路図である
【図11】図9Aの検知装置の回路図である
【図12A】図9A及び9Bにわたる制御装置の、右側が図12Bに続く分割された回路図である
【図12B】図9A及び9Bにわたる制御装置の、左側が図12Aに続く分割された回路図である
【図13】図9Bの作動装置の回路図である
【図14A】図1のインテリジェント装置の別の実施形態の、右側が図14Bに続く分割された回路図である
【図14B】図1のインテリジェント装置の別の実施形態の、左側が図14Aに続く分割された回路図である
【図15A】本発明にしたがうインテリジェント装置の別の実施形態を備えている履物用品の簡略な側面図である
【図15B】図15Aのインテリジェント装置の一部分を示す簡略な斜視図である
【図16A】本発明にしたがうインテリジェント装置のさらに別の実施形態を備えている履物用品の簡略な側面図である
【図16B】図16Aのインテリジェント装置の簡略な側面図である
【図16C】図16Aのインテリジェント装置の簡略な側面図である
【図16D】図16Aのインテリジェント装置の簡略な側面図である
【図17A】本発明にしたがうインテリジェント装置のさらに別の実施形態を備えている履物用品の簡略な側面図である
【図17B】調節範囲全体にわたる図17Aのインテリジェント装置の簡略な側面図である
【図18】可調節素子の特定の実施形態の性能特性を示すグラフである
【図19】使用中に履物用品の性能特性を修正する方法の一実施形態を示すフローチャートである
【図20A】図19の方法の性能特性測定工程の実施形態を示すフローチャートである
【図20B】図19の方法の修正駆動装置信号発生工程の実施形態を示すフローチャートである
【図21】履物用品に快適性を与える方法の一実施形態を示すフローチャートである
【符号の説明】
【0079】
100 履物用品
102 甲
104 靴底
106 インテリジェント装置
108 足後部領域
109 足前部領域
122 センサ
123 磁石
124 可調節素子
128 リミッタ
132 モーター
【特許請求の範囲】
【請求項1】
履物用品内で圧縮量を測定するための装置において、
少なくとも一部分が前記履物用品の靴底内に配されたセンサ、及び
前記センサと概ね位置合せされ、前記センサから隔てられた磁石、
を備え、
前記磁石の磁場が前記センサにより測定されることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記センサが、ホール効果センサ、近接センサ、ホール素子またはセンサ、静電容量センサ、インダクタンスセンサ、超音波変換器及び受信器、無線周波数発信器及び受信器、磁気抵抗効果素子、及び巨大磁気抵抗効果素子からなる群から選ばれることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
プロセッサをさらに備え、前記センサが前記マグネットから発生する磁場を測定し、前記プロセッサが前記磁場の測定値を前記靴底の圧縮量を表す距離測定値に変換することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記プロセッサが前記距離測定値をジャーク値に変換することを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置において、
前記センサに接続された駆動装置、及び
前記駆動装置に結合された可調節素子、
をさらに備えることを特徴とする装置。
【請求項6】
前記可調節素子の可動範囲を制限するためのリミッタをさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記履物用品の性能特性が前記センサからの信号を受けて修正されることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記信号が前記靴底の圧縮量に対応することを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
履物用品に快適性を与える方法において、
調節可能な履物用品を提供する工程、及び
ジャーク値を決定する工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記ジャーク値に基づいて前記調節可能な履物用品の性能特性を修正する工程をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項1】
履物用品内で圧縮量を測定するための装置において、
少なくとも一部分が前記履物用品の靴底内に配されたセンサ、及び
前記センサと概ね位置合せされ、前記センサから隔てられた磁石、
を備え、
前記磁石の磁場が前記センサにより測定されることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記センサが、ホール効果センサ、近接センサ、ホール素子またはセンサ、静電容量センサ、インダクタンスセンサ、超音波変換器及び受信器、無線周波数発信器及び受信器、磁気抵抗効果素子、及び巨大磁気抵抗効果素子からなる群から選ばれることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
プロセッサをさらに備え、前記センサが前記マグネットから発生する磁場を測定し、前記プロセッサが前記磁場の測定値を前記靴底の圧縮量を表す距離測定値に変換することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記プロセッサが前記距離測定値をジャーク値に変換することを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置において、
前記センサに接続された駆動装置、及び
前記駆動装置に結合された可調節素子、
をさらに備えることを特徴とする装置。
【請求項6】
前記可調節素子の可動範囲を制限するためのリミッタをさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記履物用品の性能特性が前記センサからの信号を受けて修正されることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記信号が前記靴底の圧縮量に対応することを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
履物用品に快適性を与える方法において、
調節可能な履物用品を提供する工程、及び
ジャーク値を決定する工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記ジャーク値に基づいて前記調節可能な履物用品の性能特性を修正する工程をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図17A】
【図17B】
【図18】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【図21】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図17A】
【図17B】
【図18】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【図21】
【公開番号】特開2008−229372(P2008−229372A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−129168(P2008−129168)
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【分割の表示】特願2004−67259(P2004−67259)の分割
【原出願日】平成16年3月10日(2004.3.10)
【出願人】(503052173)アディダス インターナショナル マーケティング ベー ヴェー (23)
【氏名又は名称原語表記】adidas International Marketing B.V.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【分割の表示】特願2004−67259(P2004−67259)の分割
【原出願日】平成16年3月10日(2004.3.10)
【出願人】(503052173)アディダス インターナショナル マーケティング ベー ヴェー (23)
【氏名又は名称原語表記】adidas International Marketing B.V.
【Fターム(参考)】
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