説明

インドール−2,3−ジオン−3−オキシム誘導体の対掌体の製造方法

本発明は、インドール-2,3-ジオン-3-オキシム誘導体の対掌体の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インドール-2,3-ジオン-3-オキシム誘導体の対掌体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インドール-2,3-ジオン-3-オキシム誘導体は、有用な医薬品である。特許文献1 に、興奮性アミノ酸の作用に拮抗するのに有用であるインドール-2,3-ジオン-3-オキシム誘導体が記載されている。これらの化合物を、1H-インドール-2,3-ジオンをアミノ誘導体と反応させる工程を含む化学合成の通常の方法によって製造する。より詳しくは、 特許文献1に、インドール-2,3-ジオン-3-オキシム誘導体が記載され, これらのうちのいくつかはラセミ混合物として存在する。
【0003】
ラセミ性医薬よりはむしろ特定の対掌体に対する医薬の開発に着手することがしばしば望まれるが、時折規制の要求の影響を受けやすい。その根拠は、しばしばキラル化合物の所望の特徴がその対掌体のうちの1つに帰し、一方もう一方の対掌体は実際には医薬の潜在的毒物学的作用に加えられるかもしれないという知見に基づいている。
【0004】
各対掌体の徹底的な研究を可能にするために,キラル化合物のエナンチオ純粋な調製物を得る方法は医薬開発にとってかなり重要である。
【0005】
特許文献2には、酵素によるエステル交換反応を用いて光学的に活性なヒドロキシラクトン類を製造する方法が記載されている。しかし, インドール-2,3-ジオン-3-オキシム誘導体の対掌体の製造方法は開示されていない。
特許文献3には、4-置換された-2-ヒドロキシブタノエート類及びその製造方法が記載されている。しかし, インドール-2,3-ジオン-3-オキシム誘導体の対掌体の製造方法は開示されていない。
【特許文献1】国際特許出願(WO)第98/14447号明細書 (NeuroSeαrch)
【特許文献2】欧州特許第439779号明細書 (Chisso Corp.)
【特許文献3】欧州特許第467132号明細書 (Chisso Corp.)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明の要旨
本発明は、キラルインドール-2,3-ジオン-3-オキシム誘導体のエナンチオ純粋な調製物を得る新規方法に関する。
【0007】
したがって, その第一の局面で, 本発明は、キラルインドール-2,3-ジオン-3-オキシム誘導体(化合物α又はB)のエナンチオ純粋な調製物を得る方法において, この方法が次の連続工程:
(i) 8-アミノ-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン (化合物 9) 誘導体を抱水クロラール及びヒドロキシアミン塩酸塩と反応させて、N-(1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-8-イル)-2-ヒドロキシイミノ-アセトアミド (化合物 10) 誘導体を生じさせ (工程 9);
(ii) 硫酸を、工程 (i)で得られたN-(1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-8-イル)-2-ヒドロキシイミノ-アセトアミド (化合物 10) 誘導体に添加し (工程 10); ついで
(iii) 工程 (ii)で得られた2,3-ジオキソ-2,3,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-1H-ピロロ[3,2-h]イソキノリン (化合物 11) 誘導体をキラル (エナンチオ純粋な(R)又は(S) ) α-N,N-ジBoc-アミノキシ-γ-ブチロラクトンと反応させて、 所望のキラル最終生成物, すなわちエナンチオ純粋な(R)- 又は(S)-2-[2-オキソ-1,2,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-ピロロ[3,2-h]イソキノリン-3-イリデンアミノオキシ]-4-ヒドロキシ-酪酸) (化合物 α又はB) (工程 11)を得;
ついで所望の最終生成物を回収する
ことを含む、上記製造方法を提供する。
【0008】
別の局面において、本発明は、本発明の方法により使用されるエナンチオ純粋な出発化合物の製造方法において、
この方法が連続工程:
(i) α-ヒドロキシ-γ-ブチロラクトンのラセミ混合物をアセチル化して、ラセミ性 α-アセトキシ-γ-ブチロラクトンを得 (工程 1);
(ii)工程 (i)で得られたラセミ性α-アセトキシ-γ-ブチロラクトンを酵素脱アセチル化して、エナンチオ純粋な (S) 又は (R) α-アセトキシ-γ-ブチロラクトン (工程 2)を得; ついで
(iii)工程 (ii)で得られたエナンチオ純粋な (S) 又は (R) α-アセトキシ-γ-ブチロラクトンを、酸性イオン交換体を用いて加水分解させ (工程 3);
ついで所望の最終生成物を回収する
ことを含む、上記製造方法を提供する。
【0009】
本発明のその他の目的は、下記の詳細な説明及び実施例から当業者に明らかである。
【0010】
発明の詳細な説明
インドール-2,3-ジオン-3-オキシム誘導体
本発明は、インドール-2,3-ジオン-3-オキシム誘導体の対掌体の製造方法を提供する。本発明の方法により得られるインドール-2,3-ジオン-3-オキシム誘導体は、特に 一般式 Iα 又は IB
【0011】
【化1】

{式中、
R は水素, アルキル又はベンジルを示し、
R4は水素 又は アルキルを示し、
R5はフェニルを示し、このフェニルは場合によりハロゲン, CF3, NO2, CN, NH2, アルキル, アルコキシ及びSO2NR51R52;
(式中、R51 及び R52 は相互に独立して水素又はアルキルを示すか、又は
R51及び R52はこれらが結合するN-原子と一緒になってピペリジニル-又はモルホリニル-環を形成する。)
から選ばれる置換基によって1回以上置換されていてよく、そして
R6及び R7は一緒になって次式:
-NR8-CH2-CH2-CH2-;
-CH2-NR8-CH2-CH2-;
-CH2-CH2-NR8-CH2-; 又は
-CH2-CH2-CH2-NR8-;
(式中、R8 は水素又はアルキルを示す。)
で表わされるベンゾ-縮合環を形成する。}
によって特徴づけることができる。
【0012】
より好ましい実施態様において、本発明の方法により得られるインドール-2,3-ジオン-3-オキシム誘導体は、式IIα又はIIB
【0013】
【化2】

{式中、
R は水素 又は アルキルを示し、
R5はフェニルを示し、このフェニルは場合によりハロゲン, CF3, NO2, CN 又は SO2NR51R52(式中、R51 及び R52, 相互に独立して水素又はアルキルを示するか又は
R51及び R52はこれらが結合するN-原子と一緒になってピペリジニル-又はモルホリニル-環を形成する。)によって置換され、
そして
R8は水素又はアルキルを示す。}
によって特徴づけることができる。
さらにより好ましい実施態様において、本発明の方法により得られるインドール-2,3-ジオン-3-オキシム誘導体は、式 IIIα又はIIIB
【0014】
【化3】

{式中、
Rは水素又はアルキルを示し、;
R53はSO2NR51R52
(式中、R51 及び R52は相互に独立して水素又はアルキルを示し、
R51及び R52はこれらが結合するN-原子と一緒になってピペリジニル-又はモルホリニル-環を形成する。)
を示し、そして
R8は水素又はアルキルを示す。}
によって特徴付けられる。
【0015】
さらにより好ましい実施態様において、本発明の方法により得られるインドール-2,3-ジオン-3-オキシム誘導体は、一般式 IIIα又はIIIB
{式中、
R は水素又はC1-3-アルキルを示し、
R53 はSO2NR51R52;
(式中、R51 及び R52, 相互に独立して水素又はC1-3-アルキルを示すか又は
R51及び R52はこれらが結合するN-原子と一緒になってピペリジニル-又はモルホリニル-環を形成する。)
を示し、そして
R8は水素又はC1-6-アルキルを示す。}
によって特徴付けられる。
【0016】
最も好ましい実施態様において、本発明の方法により得られるインドール-2,3-ジオン-3-オキシム誘導体は、化合物 IVα 又は IVB
【0017】
【化4】

である。
キラル インドール-2,3-ジオン-3-オキシム誘導体のエナンチオ純粋な調製物の収得法
本発明は、インドール-2,3-ジオン-3-オキシム誘導体、特に上記インドール-2,3-ジオン-3-オキシム誘導体の対掌体の製造方法を提供する。
【0018】
好ましい実施態様において、本発明の方法は、連続工程:
(i) 8-アミノ-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン (化合物 9) 誘導体を抱水クロラール及びヒドロキシアミン塩酸塩と反応させて、N-(1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-8-イル)-2-ヒドロキシイミノ-アセトアミド (化合物 10) 誘導体を生じさせ (工程 9);
(ii) 硫酸を、工程 (i)で得られたN-(1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-8-イル)-2-ヒドロキシイミノ-アセトアミド (化合物 10) 誘導体に添加し (工程 10); ついで
(iii) 工程 (ii)で得られた2,3-ジオキソ-2,3,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-1H-ピロロ[3,2-h]イソキノリン (化合物 11) 誘導体をキラル (エナンチオ純粋な(R)又は(S) ) α-N,N-ジBoc-アミノキシ-γ-ブチロラクトンと反応させて、 所望のキラル最終生成物, すなわちエナンチオ純粋な(R)- 又は(S)-2-[2-オキソ-1,2,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-ピロロ[3,2-h]イソキノリン-3-イリデンアミノオキシ]-4-ヒドロキシ-酪酸) (化合物 α又はB) (工程 11)を得;
ついで所望の最終生成物を回収する
ことを含む。
【0019】
好ましい実施態様において、この方法はさらに次の工程:
(α) エナンチオ純粋な(S) 又は(R) α-ヒドロキシ-γ-ブチロラクトンをN,N-ジBoc-ヒドロキシルアミンと反応させて、エナンチオ純粋な (S) 又は (R) α-N,N-ジBoc-アミノキシ-γ-ブチロラクトンを生じさせ (工程 8α);
ついで上記工程 (i) 〜(iii)を行うことを含む。
【0020】
別の好ましい実施態様において、この方法はさらに次の工程:
(b) N,N-ジBoc-O-ベンジルヒドロキシアミンを水素添加して、N,N-ジBoc-ヒドロキシルアミンを生じさせ (工程 7);
ついで上記工程 (α)及び上記工程 (i) 〜(iii)を行うことを含む。
【0021】
第三の好ましい実施態様において、この方法はさらに次の工程:
(c) Boc2Oを用いてO-ベンジルヒドロキシアミンをN,N-ジBoc-O-ベンジルヒドロキシアミンに変換させ (工程 6);
ついで上記工程 (b) , 上記工程(α)及び上記の工程 (i)〜(iii) を行うことを含む。
第四の実施態様において、この方法はさらに次の工程:
(d)エナンチオ純粋な (S) 又は (R) α-ヒドロキシ-γ-ブチロラクトンをトシルクロライドと反応させて、エナンチオ純粋な (S) 又は (R) α-トシルオキシ-γ-ブチロラクトンを生じさせ(工程 5);
ついで 上記工程 (c), 上記工程 (b), 上記工程(α)及び上記工程 (i)〜(iii)を行うことを含む。
【0022】
最も好ましい実施態様において、
工程 (i) の8-アミノ-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン (化合物 9) 誘導体が、4-(8-アミノ-2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-5-イル)-N,N-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド (N-[5-(4-ジメチルスファモイル-フェニル)-2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-8-イル]-2-ヒドロキシイミノ-アセトアミドを得るために)であり、そして
工程 (iii)の2,3-ジオキソ-2,3,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-1H-ピロロ[3,2-h]イソキノリン (化合物11) 誘導体が、N,N-ジメチル-4-(8-メチル-2,3-ジオキソ-2,3,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-1H-ピロロ[3,2-h]イソキノリン-5-イル)-ベンゼンスルホンアミドであって;
これらが、エナンチオ純粋な(R)- 又は(S)-2-[5-(4-ジメチルスファモイル-フェニル)-8-メチル-2-オキソ-1,2,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-ピロロ[3,2-h]イソキノリン-3-イリデンアミノオキシ]-4-ヒドロキシ-酪酸を最終生成物(化合物 α 又は B) として生じさせる。
【0023】
出発化合物の製造
別の局面で、本発明は上記方法にしたがって使用されるエナンチオ純粋な出発化合物を製造する方法を提供する。
【0024】
本発明の出発化合物の製造方法は、次の連続工程:
(i) α-ヒドロキシ-γ-ブチロラクトンのラセミ混合物をセチル化合物して、ラセミ性 α-アセトキシ-γ-ブチロラクトンを得 (工程 1);
(ii) 工程(i)で得られたラセミ性 α-アセトキシ-γ-ブチロラクトンを酵素脱アセチル化し、エナンチオ純粋な (S) 又は (R) α-アセトキシ-γ-ブチロラクトンを得 (工程 2); ついで
(iii) 工程 (ii)で得られたエナンチオ純粋な (S) 又は (R) α-アセトキシ-γ-ブチロラクトンを酸性イオン交換体を用いて加水分解し (工程 3)、
ついで所望の最終生成物, すなわちエナンチオ純粋な (S) 又は (R) α-ヒドロキシ-γ-ブチロラクトンを回収する、
ことを含むことによって特徴づけられる。
【0025】
好ましい実施態様において、この方法はさらに次の工程:
(iv) 工程(iii)のエナンチオ-不純な残留物, すなわちエナンチオ-不純な α-ヒドロキシ-γ-ブチロラクトン 及び α-アセトキシ-γ-ブチロラクトンを酸又は塩基を用いてラセミ化させ;
ついでラセミ混合物を工程 (i)に再使用することを含む。
【0026】
より好ましい実施態様において、工程 (ii)の酵素脱アセチル化を脂肪分解酵素を用いて実施する。最も好ましい実施態様において、脂肪分解酵素はリパーゼ PS (αmαno Phαrmαceuticαl Co.から入手される)である。
【実施例】
【0027】
本発明を次の例によって詳述するが、これらが請求項に記載される本発明の範囲に何らの限定を与えることを意図するものではない。
先ず、 2-[5-(4-ジメチルスファモイル-フェニル)-8-メチル-2-オキソ-1,2,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-ピロロ[3,2-h]イソキノリン-3-イリデンアミノオキシ]-4-ヒドロキシ-酪酸(以下、化合物 IVα 及び IVBと略称する。)の光学異性体への合成経路を略述する。
【0028】
【化5】

キラル形成ブロックの合成
【0029】
【化6】

N,N-ジBoc保護されたヒドロキシルアミン部分の合成
【0030】
【化7】

イサチン誘導体の合成
【0031】
【化8】

エナンチオ純粋な (R)-E-1 及び (S)-E-1の合成
【0032】
【化9】

次に, 各合成工程のより詳細な説明を提示する。
工程 1
【0033】
【化10】

CH2Cl2(325 mL)中にラセミ性 α-ヒドロキシ-γ-ブチロラクトン (25 g; 0.25 mol), DMαP (1.5 g), アセチルクロライド (25.5 ml; 0.37 mol) を有する混合物に固形K2CO3 (50 g)を少しづつ分けて添加する(僅かに発熱性)。 反応混合物を室温で一晩攪拌し, ろ過し、蒸発乾固する。カラムクロマトグラフィー (石油エーテル 80-100:EtOαc =2:1) によって26.4 g (75%)の ラセミ性 α-アセトキシ-γ-ブチロラクトンを生じさせる。
工程 2
【0034】
【化11】

THF/水 (200 mL; 10/1)中にラセミ性 α-アセトキシ-γ-ブチロラクトン (29.8 g; 0.207 mol) 及び アマノのリパーゼ PS (800 mg)を有する混合物を室温で一晩攪拌する。反応混合物をろ過して、蒸発乾固する。粗生成物をCH2Cl2 (250 mL) に溶解させ、冷水(5x 50 mL)で抽出する。有機相を乾燥させ (MgSO4), ろ過し 、蒸発乾固して、12.6 g (43%)のエナンチオ純粋な (S)-α-アセトキシ-γ-ブチロラクトンを生じさせる。
【0035】
一緒にされた水相をCH2Cl2 (5x50 mL)で洗浄する。水相を蒸発乾固し、CH2Cl2を添加し, 乾燥させ (MgSO4), ろ過して、蒸発乾固して、8.5 g (40%)の(R)-α-ヒドロキシ-γ-ブチロラクトンを生じさせる。全体として収率(モルあたり): 83%。 [α]D25 = +65.7°。
工程 3
【0036】
【化12】

H2O (50 mL)中にエナンチオ純粋な (S)-α-アセトキシ-γ-ブチロラクトン (5 g, 34.7 mmol) 及び αmberlite IRα120 (酸形) を有する懸濁液を、還流加熱し、反応の進行をGCMSで監視する。2 時間後, GCMSは完全な変換を示す。反応混合物をろ過して、蒸発乾固する。減圧蒸留0.3-0.4 ミリバール (沸点85-92°C) はエナンチオ純粋な (S)-α-ヒドロキシ-γ-ブチロラクトン (2.6 g, 76% 収率)を生じさせる。 [α]D25 = -66.1°。
【0037】
粗生成物をさらに水溶液からCH2Cl2 を用いて抽出して単離し、あるいは純粋な生成物をカラムクロマトグラフィーによって単離することができる。しかしαmberlite IRα-120をH2SO4で置き換えることができるが、全体としてより低い収量である。
工程 4
工程 3からのα-ヒドロキシ-γ-ブチロラクトン 及び α-アセトキシ-γ-ブチロラクトンのエナンチオ-不純な残留物を、酸又は塩基を用いてラセミ化して循環させ, ついで工程 1 〜3に再使用することができる。
工程 5
【0038】
【化13】

乾燥CH2Cl2 (50 mL) 中に(R)-α-ヒドロキシ-γ-ブチロラクトン (3.5 g, 34.3 mmol), トシルクロライド (10.0 g, 52.6 mmol)及び K2CO3 (2.23 g, 16.2 mmol) を有する懸濁液を室温で一晩攪拌する。反応混合物をろ過し, ろ液を1M リン酸緩衝液 pH = 7 (2x 50 mL), 3 M NαCl (水溶液) (1x 50 mL)で洗浄し, Nα2SO4で乾燥させ、ろ過し、蒸発乾固して、粗生成物を生じさせる。粗生成物をPE40/60 (50 mL) で粉砕し、30分間攪拌する。 生じた沈殿をろ過によって単離し、PE40/60 を用いて洗浄し、痕跡量のトシルクロライドを除き, 7.7 g (87%) のエナンチオ純粋な(R)-α-トシルオキシ-γ-ブチロラクトンを生じさせる。 [α]36525 = -9.9°。
【0039】
(S)-異性体を同様に製造する。 [α]36525 = +9.8°。
工程 6
【0040】
【化14】

アセトニトリル (150 mL)中にO-ベンジルヒドロキシアミン塩酸塩 (30 g, 188 mmol) を有する懸濁液に、トリエチルアミン(29 mL)を添加する。濃い懸濁液を60分間室温で攪拌して、ろ過する。沈殿をアセトニトリル (100 mL)を用いてフィルター上でろ過する。一緒にされたろ液を、アセトニトリル (150 ml) 中にBoc2O (45 g, 207 mmol)を有する冷却された(0°C) 溶液に20分かけて添加する。反応混合物を、0°Cで攪拌し, 室温まで徐々に加温させる。反応混合物を攪拌しながら室温で一晩放置する。その際1H-NMR はO-ベンジルヒドロキシアミン のN-Boc-O-ベンジルヒドロキシアミンへの完全な変換を示す。
【0041】
反応混合物に、アセトニトリル (150 mL)中に Boc2O (6.7 g, 310 mmol) を有する溶液及びアセトニトリル (30 mL)中にDMαP (2 g, 16.4 mmol)を有する溶液を添加する。 反応混合物をついでTLC (EtOαc:PE60/80 = 1:5) が中間体N-Boc-O-ベンジルヒドロキシアミンの完全な変換を示すまで、40°Cで攪拌する(約2時間)。反応混合物を蒸発乾固し、EtOαc (200 mL)に再溶解させる。有機相を1M リン酸緩衝液 pH = 7 (100 mL) 及び NαCl (水溶液, 飽和) (50 mL)の混合物で洗浄する。有機相をNα2SO4を用いて乾燥させ、ろ過し、蒸発乾固して、油状物を生じさせ、これを粉砕しながら PE40/60 (20 mL)によって沈殿させる。沈殿をろ過によって単離し、56 g (92%)のN,N-ジBoc-O-ベンジルヒドロキシアミンを白色固体として生じさせる。
工程 7
【0042】
【化15】

96% EtOH 中にN,N-ジBoc-O-ベンジルヒドロキシアミン (15 g, 46.4 mmol) 及び 5% Pd/C (0.9 g) を有する懸濁液を、大気圧で水素添加する。390 mLのH2 を消費したとき, 水素添加を停止する。反応混合物をセライトによってろ過し、蒸発乾固して、N,N-ジBoc-ヒドロキシルアミン及び N,N-ジBoc-イミド (86:14)からなる橙色油状物12.5 gを生じさせる。
【0043】
油状物をEtOαc (25 mL)に溶解させ、1M NαOH (3x 25 mL)で抽出する。一緒にされた水相を、直ちに1M リン酸緩衝液 pH = 7中に注ぎ、EtOαc (3x 75 mL)で抽出する。一緒にされた有機フラクションをNα2SO4を用いて乾燥させ、ろ過し、蒸発乾固する。単離された白色固体を空気乾燥させて、8.8 g (81%)の純粋なN,N-ジBoc-ヒドロキシルアミンを生じさせる。
工程 8α
【0044】
【化16】

N2下で乾燥THF (50 mL) 中にN,N-ジBoc-ヒドロキシルアミン (8.5 g, 36 mmol)を有する溶液にPh3P (11 g, 42 mmol)を添加し、0°Cに冷却する。乾燥 THF (10 mL)中に(S)-α-ヒドロキシ-γ-ブチロラクトン (3.6 g, 35 mmol)を有する溶液を添加し、ついで 30分間DEαD (6.8 ml, 42 mmol)を添加する。暗色反応混合物を、TLC(EtOαc:PE60/80 = 1:2, KMnO4 スプレー) が(S)-α-ヒドロキシ-γ-ブチロラクトンの完全な変換を示すまで、0°C で攪拌する(約 2 時間)。
【0045】
反応混合物を蒸発乾固し、Et2O (50 mL)に溶解させ、PE40/60 (100 mL)の添加によって粉砕する。 反応混合物 をろ過し, 沈殿を徹底的にEt2O:PE40/60 = 1:1 (100 mL)を用いて洗浄する。一緒にされた有機ろ液を蒸発乾固して、16 g の褐色油状物を生じさせる。油状物をカラムクロマトグラフィー (1000 mL SiO2, 直径7 cm, 溶離剤: EtOαc:PE60/80 = 1:2)分離する。 純粋なフラクションを一緒にし, 蒸発乾固し、PE40/60 (15 mL)を用いて洗浄して、 8.5 g (77%) のエナンチオ純粋な (R)-α-N,N-ジBoc-アミノキシ-γ-ブチロラクトンを生じさせる。
(R)-異性体: [α]D25= +62.5°; [α]36525= +210°。
(R)-異性体を同様に製造する: [α]D25 = -62.8°; [α]36525 = -211°。
工程 8b
【0046】
【化17】

N2下で 0°Cで乾燥 CH2Cl2 中に60% NαH (350 mg, 8.8 mmol)を有する懸濁液に、CH2Cl2 (5 mL)中にBocNHOH を有する溶液を添加する。反応混合物を0°Cで 30分間攪拌する。その際CH2Cl2 (5 mL)中に(R)-α-トシルオキシ-γ-ブチロラクトン (2 g, 7.8 mmol) を有する溶液を添加した後に行う。反応混合物を室温に加温させ、攪拌しながら一晩放置する。反応混合物を1M リン酸緩衝液 pH = 6.3 (20 mL)を用いて急冷し、有機相を分離する。水相をCH2Cl2 (2x 20 mL)で抽出し、一緒にされた有機相をNαCl (水溶液, 飽和) (15 mL)で抽出する。有機フラクションをNα2SO4を用いて乾燥させ、 ろ過し、蒸発乾固して、カラムクロマトグラフィー (150 gのSiO2, 溶離剤: EtOαc:PE60/80 = 1:2) 分離して、1.5 g (89%) の (S)-α-N-Boc-アミノキシ-γ-ブチロラクトンを生じさせる。 [α]D25 = -42°; [α]36525 = -127°。
同様な方法で、約10% の(S)-異性体を有する(R)-異性体を製造する: [α]36525 = +70°。
工程 9-10
【0047】
【化18】

精製
【0048】
【化19】

抱水クロラール (71.6 g, 0.434 mol), ヒドロキシアミン塩酸塩 (60.3 g, 0.868 mol) 及び Nα2SO4 (243.3 g, 1.65 mol) を、80°Cに予備加熱されたH2O (1.8 L)を有する反応容器に順に添加する。澄明な溶液が得られた時に, アニリン(4-(8-アミノ-2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-5-イル)-N,N-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド; 99.0 g, 0.217 mol) を添加する。反応を45分間攪拌し、その際TLCはアニリンの全消費を示す。 セライト(39 g)を添加し、反応混合物を40°Cに冷却し、1時間攪拌する。反応混合物をろ過し、沈殿を冷H2O (500 mL)で洗浄する。単離された固形物 (セライト(celite)上のイソニトロソアセトアニリド)を、加熱灯下で乾燥させ、132 gの化合物を生じさせ、これをさらに精製することなく使用する。
【0049】
上記得られた粗イソニトロソアセトアニリド誘導体(N-[5-(4-ジメチルスファモイル-フェニル)-2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-8-イル]-2-ヒドロキシイミノ-アセトアミド) を、45分かけてH2SO4 (350 mL)の溶液に添加し, 75°Cに予め加熱する。添加の間、反応温度を80-85°Cに増加させる。添加の終了後、反応をさらに30分間 75-85°Cの反応温度で攪拌する。その際全てのイソニトロソアセトアニリドを消費する (TLC, CH2Cl2:アセトン:MeOH = 4:1:1)。
【0050】
反応混合物 (すなわち N,N-ジメチル-4-(8-メチル-2,3-ジオキソ-2,3,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-1H-ピロロ[3,2-h]イソキノリン-5-イル)-ベンゼンスルホンアミド 及び 4-(3-ヒドロキシイミノ-8-メチル-2-オキソ-2,3,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-1H-ピロロ[3,2-h]イソキノリン-5-イル)-N,N-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド)をH2O (3.5 L)上の注ぎ, 還流加熱し、ついで暖かいうちにろ過して、セライトを除く。 セライトを沸騰水(750 mL)で洗浄し, 一緒にされた水性フラクションを沈殿のために徐々に冷却させる。沈殿をろ過し, H2O (2x 250 mL)及び96% EtOH (2x 250 mL)で洗浄し、ついで空気乾燥させて、69.8 g (67%) の粗イサチン誘導体を硫酸塩として生じさせる。粗生成物は、11.4% (典型的に9-13%) のオキシムを含有する。
【0051】
粗生成物 (38.1 g, 76.7 mmol) をH2O (800 mL)に懸濁させ、pH を4 M NαOH (約 80 mL) を用いて13に調整し、紫色溶液を生じさせ、これを20分間攪拌する。ついで黄-橙色溶液をTHF (300 mL)に添加し、pH をαcOHを用いて8.5に調整する。この溶液をEtOαc (4x 400 mL)を用いて洗浄し、ついで濃H2SO4 (90 mL)を添加し、75°Cに加熱する。水溶液を室温に徐々に冷却させ、ついで0°Cに冷却させる。生じた沈殿をろ過し, ついでH2O (2x 100 mL)及び96% EtOH (2x 100 mL)で洗浄して、 31.3 g (そのアニリンから約53%収率に相当) の純粋なイサチン誘導体を硫酸塩として生じさせる。
工程 11
【0052】
【化20】

硫酸塩 (32.5 g, 65.4 mmol)としてのイサチン誘導体 (すなわちN,N-ジメチル-4-(8-メチル-2,3-ジオキソ-2,3,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-1H-ピロロ[3,2-h]イソキノリン-5-イル)-ベンゼンスルホンアミド) を有する懸濁液を、H2O (650 mL)に懸濁させる。反応混合物を60°Cに加熱し、pHを2M H2SO4 (水溶液)を用いて1.5に調整する。THF (130 mL)中に(R)- 又は (S)-α-N,N-ジBoc-アミノキシ-γ-ブチロラクトン (23 g, 72.5 mmol)を有する溶液を添加する。濃い反応混合物を60°Cで9時間反応させ, その際HPLCはイサチン誘導体の完全な消費を示す。
【0053】
反応混合物を室温で一晩放置し、40°Cに加温して、pHを1M NαOH (水溶液) (約150 mL)を用いて10 に調整する。さらに、1M NαOH (水溶液) (約180 mL 全体で)を反応の間添加して、pHを10で保つ。4時間40°Cで攪拌した後, 反応混合物はほとんど澄明な溶液になる。HPLCは全ての生成物が中間体ラクトン形で消費されることを示し、pHを2M H2SO4 (水溶液)を用いて8.5に調整する。
【0054】
反応混合物を蒸発乾固し、固体40.3 gを生じさせる。 単離された固体をi-PrOH/H2O (85/15) (1600 mL)の混合物中で還流して、暖かいうちにろ過する(無機塩が除去される)。ろ液を0°Cに徐々に冷却させ, 一晩放置する。生じた沈殿をろ過によって単離して、23.9 g の黄色〜橙色結晶を生じさせる。結晶(20 g) をH2O (80 mL)に溶解させ、 EtOαc (250 mL)を用いて 1.5 時間激しく攪拌する ( Z-異性体 及びイサチンオキシムの残部を除去する)。有機相を廃棄し、水相を蒸発乾固する。単離された固形物を、THF (400 mL)に懸濁させ、ろ過する。
【0055】
沈殿をH2O (160 mL)に溶解させ、2M H2SO4(水溶液)を用いてpHを5.2に徐々に調整する。混合物を1.5時間室温で攪拌し、ろ過する。単離された固体を冷H2O (2x 25 mL)を用いて洗浄し、空気乾燥させてα 又は B (すなわち(R)- 又は(S)-2-[5-(4-ジメチルスファモイル-フェニル)-8-メチル-2-オキソ-1,2,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-ピロロ[3,2-h]イソキノリン-3-イリデンアミノオキシ]-4-ヒドロキシ-酪酸) を黄色非晶質固体として生じさせる:15.8 g (56%)。 反応は立体化学の保持と共に起こる。すなわち変換は全く観察されない。
工程 12
【0056】
【化21】

96% EtOH (100 ml)中にイサチン誘導体 12-1 (すなわち N,N-ジメチル-4-(8-メチル-2,3-ジオキソ-2,3,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-1H-ピロロ[3,2-h]イソキノリン-5-イル)-ベンゼンスルホンアミド) を硫酸塩 (3.5 g, 7 mmol)として有する懸濁液に、ヒドロキシルアンモニウムクロライド (1 g, 14 mmol) を添加し、ついで 21/2 時間還流する。出発化合物が完全に消費されない(TLC)ので, さらにヒドロキシルアンモニウムクロライド (0.3 g, 2.1 mmol) を添加する。反応混合物を還流で一晩放置する。
【0057】
反応混合物を冷却し、ろ過し、ついで沈殿を96% EtOHで洗浄する。沈殿 をH2O (100 ml)に懸濁させ、75-80℃に加温し、pHを4 M NαOH (水溶液)を用いて8.5 に調整する。水溶液を室温に冷却し、ろ過する。沈殿をH2Oで洗浄し、ついで無水EtOH (100 ml)に懸濁させ、還流させる。溶液を室温に冷却し、ろ過する。
【0058】
沈殿を無水EtOHで洗浄し、空気乾燥して、2.63 g (91%) の12-2 (すなわち 8-メチル-5-(4-(N,N-ジメチルスルファモイル)-フェニル)-6,7,8,9-テトラヒドロ-1H-ピロロ-[3,2-h]-イソキノリン-2,3-ジオン-3-オキシム) が遊離塩基として生じる。 遊離塩基 は放置の間黒ずむが、 硫酸塩として保存することができる。
工程 13
【0059】
【化22】

N2 下で0°Cで乾燥DMF (2 ml)中に60% NαH (50 mg, 1.25 mmol)を有する懸濁液を、乾燥DMF (8 ml)中にイサチンオキシム, 8-メチル-5-(4-(N,N-ジメチルスルファモイル)-フェニル)-6,7,8,9-テトラヒドロ-1H-ピロロ-[3,2-h]-イソキノリン-2,3-ジオン-3-オキシム (500 mg, 1.25 mmol)を有する溶液に徐々に添加する。乾燥DMF (2 ml) 中に(R)-α-トシルオキシ-γ-ブチロラクトン (340 mg, 1.33 mmol) を有する溶液を添加した後、反応混合物を30分間0°Cで攪拌する。反応を室温で攪拌しながら一晩放置し、その際HPLCはイサチンオキシムの完全な消費を示す。
【0060】
反応混合物を蒸発乾固し、ついでH2O (20 ml) 及びジオキサン (5 ml)を添加する。反応混合物を、1M NαOHの使用によってpH = 10に調整する。別のNαOHを添加して、pHを10で保つ。反応混合物を室温で攪拌しながら一晩放置し、40-45°Cに1時間加熱する。その際HPLCは中間体ラクトンの完全な変換を示す。反応混合物をpH = 8.5 に調整し、蒸発乾固する(広範な発泡)。
【0061】
単離された固形物をi-PrOH (15 ml)中で5 分間還流し、室温で冷却し、ろ過し、固形物610 mgを生じさせる。固形物の一部(550 mg) をi-PrOH (15 ml) 及びH2O (0.75 ml)の混合物中で還流し、0°Cに冷却する。生じた沈殿物をろ過によって単離し、粗化合物310 mgを生じさせる。
【0062】
母液は主にトシル酸ナトリウムからなる。粗化合物 (300 mg) をH2O (10 ml)に溶解させ、pHを1M HClを用いて5.7に, あるいは2M H2SO4 (水溶液)を用いて5.2 に調整する。油状物を分離し、H2O をデカンテーションで除く。生成物を、粉砕しながらEtOHによって沈殿させる。生成物をろ過によって単離し、160 mg (28%)のIVα 又はIVB (すなわち(R)- 又は (S)-2-[5-(4-ジメチルスファモイル-フェニル)-8-メチル-2-オキソ-1,2,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-ピロロ[3,2-h]イソキノリン-3-イリデンアミノオキシ]-4-ヒドロキシ-酪酸)を生じさせる。
【0063】
反応は立体化学の逆転と共に起こる、すなわちα-トシルオキシ-γ-ブチロラクトン中の立体中心が逆転する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インドール-2,3-ジオン-3-オキシム誘導体 (化合物A又はB) のキラル (±) 異性体の製造方法において, この方法が次の工程:
(i) 8-アミノ-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン (化合物 9) 誘導体を抱水クロラール及びヒドロキシアミン塩酸塩と反応させて、N-(1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-8-イル)-2-ヒドロキシイミノ-アセトアミド (化合物 10) 誘導体を生じさせ (工程 9);
(ii) 硫酸を、工程 (i)で得られたN-(1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-8-イル)-2-ヒドロキシイミノ-アセトアミド (化合物 10) 誘導体に添加し (工程 10); ついで
(iii) 工程 (ii)で得られた2,3-ジオキソ-2,3,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-1H-ピロロ[3,2-h]イソキノリン (化合物 11) 誘導体をキラル (エナンチオ純粋な(R)又は(S) ) α-N,N-ジBoc-アミノキシ-γ-ブチロラクトンと反応させて、 所望のキラル最終生成物, すなわちエナンチオ純粋な(R)- 又は(S)-2-[2-オキソ-1,2,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-ピロロ[3,2-h]イソキノリン-3-イリデンアミノオキシ]-4-ヒドロキシ-酪酸) (化合物 A又はB) (工程 11)を得;
ついで所望の最終生成物を回収する
ことを含む、上記製造方法。
【請求項2】
この方法がさらに次の工程:
(a) エナンチオ純粋な(S) 又は(R) α-ヒドロキシ-γ-ブチロラクトンをN,N-ジBoc-ヒドロキシルアミンと反応させて、エナンチオ純粋な (S) 又は (R) α-N,N-ジBoc-アミノキシ-γ-ブチロラクトンを生じさせ (工程 8a);
ついで請求項1に記載された工程 (i) 〜(iii)を行うことを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
この方法がさらに次の工程:
(b) N,N-ジBoc-O-ベンジルヒドロキシアミンを水素添加して、N,N-ジBoc-ヒドロキシルアミンを生じさせ (工程 7);
ついで 請求項2記載の工程 (a)及び請求項1記載の工程 (i) 〜(iii)を行うことを含む、
請求項2記載の方法。
【請求項4】
この方法がさらに次の工程:
(c) Boc2Oを用いてO-ベンジルヒドロキシアミンをN,N-ジBoc-O-ベンジルヒドロキシアミンに変換させ (工程 6);
ついで請求項3記載の工程 (b) , 請求項2記載の工程(a)及び 請求項1記載の工程 (i)〜(iii) を行うことを含む、請求項3記載の方法。
【請求項5】
この方法がさらに次の工程:
(d)エナンチオ純粋な (S) 又は (R) α-ヒドロキシ-γ-ブチロラクトンをトシルクロライドと反応させて、エナンチオ純粋な (S) 又は (R) α-トシルオキシ-γ-ブチロラクトンを生じさせ(工程 5);
ついで 請求項4記載の工程 (c), 請求項3記載の工程 (b), 請求項2記載の工程 (a)及び 請求項1記載の工程 (i)〜(iii)を行うことを含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
工程 (i) の8-アミノ-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン (化合物 9) 誘導体が、4-(8-アミノ-2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-5-イル)-N,N-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド (N-[5-(4-ジメチルスファモイル-フェニル)-2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-8-イル]-2-ヒドロキシイミノ-アセトアミドを得るために)であり、そして
工程 (iii)の2,3-ジオキソ-2,3,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-1H-ピロロ[3,2-h]イソキノリン (化合物11) 誘導体が、N,N-ジメチル-4-(8-メチル-2,3-ジオキソ-2,3,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-1H-ピロロ[3,2-h]イソキノリン-5-イル)-ベンゼンスルホンアミドであって;
これらが、エナンチオ純粋な(R)- 又は(S)-2-[5-(4-ジメチルスファモイル-フェニル)-8-メチル-2-オキソ-1,2,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-ピロロ[3,2-h]イソキノリン-3-イリデンアミノオキシ]-4-ヒドロキシ-酪酸を最終生成物(化合物 A 又は B) として生じさせる、請求項1-5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
請求項1-6のいずれか1つに記載の方法に使用される出発化合物の製造方法において、 この方法が連続工程:
(i) α-ヒドロキシ-γ-ブチロラクトンのラセミ混合物をアセチル化して、ラセミ性 α-アセトキシ-γ-ブチロラクトンを得 (工程 1);
(ii)工程 (i)で得られたラセミ性α-アセトキシ-γ-ブチロラクトンを酵素脱アセチル化して、エナンチオ純粋な (S) 又は (R) α-アセトキシ-γ-ブチロラクトン (工程 2)を得; ついで
(iii)工程 (ii)で得られたエナンチオ純粋な (S) 又は (R) α-アセトキシ-γ-ブチロラクトンを、酸性イオン交換体を用いて加水分解させ (工程 3);
ついで所望の最終生成物を回収する
ことを含む、上記製造方法。
【請求項8】
この方法がさらに工程:
(iv) 工程(iii)のエナンチオ-不純な残留物, すなわちエナンチオ-不純なα-ヒドロキシ-g-ブチロラクトン及びα-アセトキシ-γ-ブチロラクトンを、酸又は塩基を用いてラセミ化させ;
ついでラセミ混合物を工程 (i)で再使用する
ことを含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
工程 (ii)の酵素脱アセチル化が、脂肪分解酵素を用いて行われる、請求項7記載の方法。

【公表番号】特表2006−503011(P2006−503011A)
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−529729(P2004−529729)
【出願日】平成15年8月13日(2003.8.13)
【国際出願番号】PCT/DK2003/000539
【国際公開番号】WO2004/018466
【国際公開日】平成16年3月4日(2004.3.4)
【出願人】(591019645)ニューロサーチ、アクティーゼルスカブ (16)
【氏名又は名称原語表記】NEUROSEARCH A/S
【Fターム(参考)】