説明

インフレータブルシートベルト装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、少なくとも一部が袋状に形成されており、通常時は帯状に保形されるとともに、緊急時にガス発生手段からのガスにより膨張するウェビングを有するインフレータブルシートベルト装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば自動車等の車両の座席にはシートベルト装置が付設されていることが多いが、このシートベルト装置は、車両衝突時などの緊急時において、ウェビングにより乗員を拘束して、車体に衝突することによる負傷等から乗員を保護するようになっている。しかしながらこのようなシートベルト装置においては、乗員を拘束するベルトを構成するウェビングの幅がそれほど大きくないので、乗員はウェビングにより拘束されたとき比較的大きな荷重を局部的に受けるようになる。
【0003】このようなことから、ウェビングを袋状に形成し、通常時にはこの袋状のウェビングを帯状に保形して一般的なシートベルトとして機能させ、緊急時にガス発生手段から噴出するガスをこの袋状のウェビングに導入することによりウェビングを膨張させ、その膨張したウェビングにより乗員を受け止めるようにするエアベルトとして機能させたインフレータブルシートベルト装置が、例えば特開昭47ー26830号公報や特開昭49ー88220号公報等において種々提案されている。このようなインフレータブルシートベルト装置によれば、ウェビングが乗員の運動エネルギをより広い面積で受けるようになる。これにより荷重が分散されるので、乗員が受ける荷重は比較的小さなものとなり、乗員はより一層効果的に保護されるようになる。
【0004】またリヤシートにおいては、フロントシートの乗員のために設けられるエアバッグ装置を設けようとすると、そのエアバッグ装置をリヤシート前方にあるフロントシートの設けざるを得ないが、エアバッグ装置をフロントシートに設けた場合、フロントシートが乗員によって前後方向位置が異なったり、リクライニング位置が異なるため、エアバッグ装置がリヤシートの乗員を適正にかつ効果的に保護するようにすることは難しい。したがって、前述のインフレータブルシートベルト装置はこのようなリヤシートに対しては特に有効である。
【0005】ところで、通常時に袋状のウェビングを帯状に保形する方法として、従来から種々の方法が採られている。例えば、米国特許第3,865,398号明細書および図面に開示されている帯状の保形方法がある。この保形方法は、図17に示すようにウェビングWの両側端W1,W2を折り返し、その折り返し部をファスナー等の適宜の係止手段Fにより係止して所定幅の帯状に保形する。そして、ウェビングWをエアベルトとして機能させるときは、袋状のウェビングW内にガスを供給して、ウェビングWを膨張展開させる。ウェビングWが膨張展開する際に、その膨張力により係止手段Fによる係止が解除され、折り返し部W1,W2が元の状態に戻り、ウェビングWが帯状の保形幅よりもきわめて大きく膨張展開する。
【0006】また、他の保形方法として、例えば図18に示すような方法が考えられる。この保形方法は、袋状のウェビングWの両側端W1,W2が内側にへこむようにして、ウェビングWを所定幅の帯状に折り畳み、カバーCによりウェビングWを帯状の折り畳んだ状態に保形する。ウェビングWの膨張展開時に、その膨張力でカバーCの縫着部が切れることにより、前述の保形方法と同様にウェビングWは大きく膨張展開する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来のウェビングWの保形方法では、いずれも袋状のウェビングWをはじめに膨張した状態の大きさに形成し、それを折り畳むことによりシートベルトのための所定幅の帯状に保形するようになっている。このため、ウェビングWは折り畳み厚さが厚くなってかさばるので、シートベルト装着時に乗員にフィットし難く、装着フィーリングが良好でないととともに、シートベルトのガイドをスムーズに行い難いという問題がある。
【0008】また、ウェビングWの膨張時には、ウェビングWが折り畳まれていることから、袋状のウェビングW内にガスが供給されても、スムーズに膨張し難いという問題がある。
【0009】更に、ウェビングWの折り畳み作業が必要となって作業工数が多いばかりでなく、ウェビングWの幅を予め膨張展開した状態に裁断する必要があるので、基布の使用量が多いという問題もある。
【0010】本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、通常時の帯状に保形した状態では、ウェビングが厚くなってかさばることがないようにし、また折り畳み工程を省略することができるとともに基布の使用量を削減することができ、しかも、緊急時にウェビングを確実にかつ迅速に膨張させることのできるインフレータブルシートベルト装置を提供することである。本発明の他の目的は、ウェビングの長手方向の伸びをより効果的に抑制することのできるインフレータブルシートベルト装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するために、請求項1の発明は、車両衝突時等の緊急時に発生する車両減速度が第1設定減速度を超えたとき、作動してガスを発生するガス発生手段と、乗員当接部の少なくとも一部が袋状部分に形成されており、前記ガス発生手段からガスが発生されないときは所定幅の帯状に保形されるとともに、前記ガス発生手段からガスが発生されたときはそのガスにより前記袋状部分が膨張するウェビングと、車両減速度が前記第1設定減速度より小さな第2設定減速度以下のときはこのウェビングの巻取りおよび引出しを自由に設定するとともに、車両減速度が前記第2設定減速度を超えたときは前記ウェビングの引出しを阻止するリトラクタと、前記ウェビングに連結されたタングと、このタングが係脱可能に挿入係合するバックル装置を少なくとも備えているインフレータブルシートベルト装置において、前記ウェビングの前記袋状部分が、前記ウェビングの長手方向にほとんど伸縮しなくかつ前記ウェビングの幅方向に大きく伸縮する荷重・伸び特性を有する編布によって形成されており、前記編布にたて糸を挿入して前記ウェビング形成するとともに、前記たて糸が、前記編布におけるこのたて糸が交差する所定数の編み糸に対して一側で交差し、次にたて糸が交差する所定数の編み糸に対して前記一側と反対側で交差することを繰り返すようにして前記編み糸に対して交互の側に位置するように配置されていることを特徴としている。
【0012】また、請求項2の発明は、前記ウェビングの前記袋状部分を覆い、前記ガスの圧力で前記ウェビングから外れるカバーが設けられていることを特徴としている。
【0013】更に、請求項3の発明は、前記ウェビングの前記袋状部分に、前記ガスにより膨張可能なチューブが挿入されていることを特徴としている。更に、請求項4の発明は、前記チューブが、ウレタンゴムまたはシリコーンゴムから形成されていることを特徴としている。
【0014】更に、請求項5の発明は、前記タングが前記ウェビングの前記袋状部分に連結されているとともに、このタングにガス流通孔が形成されており、前記バックル装置に前記ガス発生手段が設けられているとともに、このガス発生手段に連通するガス流通孔が形成されており、前記タングに形成されたガス流通孔と前記バックル装置に形成されたガス流通孔とは、前記タングが前記バックル装置に挿入係合したとき、前記ガス発生手段で発生したガスを前記ウェビングの前記袋状部分に導入するガス流通路を形成するようになっていることを特徴としている。
【0015】
【作用】このような構成をした本発明に係るインフレータブルシートベルト装置においては、車両減速度が第2設定減速度より大きくて第1設定減速度以下のときはガス発生手段が作動しなく、このときはウェビングが所定幅の帯状に保形されるとともに編布がその荷重・伸び特性によりその長手方向にほとんど伸びないので、ウェビングは乗員を確実に拘束するようになる。したがって、インフレータブルシートベルト装置は従来の一般的なシートベルト装置と同様のシートベルト機能を発揮する。その場合、編布にたて糸を挿入してウェビングを形成するとともに、このたて糸を編布におけるこのたて糸が交差する所定数の編み糸に対して一側で交差させ、次にたて糸が交差する所定数の編み糸に対してこの一側と反対側で交差させることを繰り返すようにして編み糸に対して交互の側に繰り返し位置するようにして配置させることにより、ウェビングの長手方向の強度が大きくなる。したがって、ウェビングの長手方向の伸びがより効果的に抑制されるとともに、たて糸に対する編み糸の位置ずれが抑制される。しかも、ウェビングに大きな引張り力が加えられても、この力は、主にこのたて糸によって支持されるようになるので、編布を形成する編み糸に比較的細い糸を使用することが可能となる。
【0016】また、車両減速度が第1設定減速度より大きいときはガス発生手段が作動してガスを発生するので、このガスにより、ウェビングの袋状部分が膨張する。その場合、この袋状部分の膨張は、ガスによるウェビングの袋状部分の膨張時における膨張力でよこ糸が伸びることにより行われる。膨張したウェビングの袋状部分により乗員が確実に受け止められるようになるので、乗員の運動エネルギが広い面積で受け止められ、その結果、荷重が分散されて乗員は大きな衝撃荷重から確実に保護されるようになる。すなわち、インフレータブルシートベルト装置はエアベルトの機能を発揮するようになる。しかも、このときにもたて糸がほとんど伸びないので、インフレータブルシートベルト装置はシートベルト機能を発揮する。
【0017】更に、ガス発生手段からのガスによりウェビングが膨張するとき、ウェビング基布のよこ糸が伸びるので、ウェビング基布の幅を膨張後の比較的大きな幅に設定する必要はなく、通常時のシートベルトの所定幅と同じに設定することができるようになる。したがって、ウェビングを折り畳む必要はなくなり、通常時のシートベルトの厚みをきわめて薄くすることができる。これにより、シートベルトの引き出し、巻取りをスムーズに行うことができるようになるとともに、シートベルトリトラクタのベルト巻取り容量が小さくて済むので、シートベルトリトラクタをより一層小型に形成することができる。
【0018】また、シートベルトを折り畳む必要がないことから、シートベルト組付時に手間のかかるシートベルト折り畳み作業が不要となり、作業工数が削減できるとともに、ベルトをきわめて簡単に組み付けることができるようになる。
【0019】更に、シートベルトを構成する筒状のウェビングの編布は、平らにした状態の幅が通常のシートベルトの幅に設定できるので、従来のインフレータブルシートベルトに比べて基布の使用量を大幅に削減することができる。
【0020】更にウェビングに編布を用いることにより、織布に比べて、よこ方向に伸びが大きく、たて方向に小さいという、きわめて良好な伸縮特性が得られるようになる。
【0021】
【実施例】以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。図1は本発明にかかるインフレータブルシートベルト装置の一実施例を示す概略全体構成図、図2はこの実施例に用いられる肩ベルトを示し、(a)は各構成要素をずらして示す斜視図、(b)は横断面図である。また図3はこの肩ベルトの通常状態と膨張状態を示す、図1におけるIIIーIII線に沿う断面図、図4はこの実施例のウェビングを示す図である。
【0022】図1に示すように、本実施例のインフレータブルシートベルト装置1は、乗員の左右一方の片側(図の例では乗員の右側)から他側へ上下方向斜めに延設される肩ベルト2と、左右一方の片側(図の例では乗員の右側)から他側へ延設されるラップベルト3と、車体床部等に固定されたベルト(不図示)に連結されるバックル装置4と、ベルト装着時にバックル装置4に挿入係止されるタング5と、センタピラー等の車体に配設され、肩ベルト2を案内する中間ガイドであるピラーアンカー6と、肩ベルト2を巻き取るクランプ付リトラクタ7、ラップベルト3を巻き取るリトラクタ8と、バックル装置4に連結されたガス発生手段であるガスジェネレータ(G.G.)9とを備えている。
【0023】肩ベルト2は乗員が当接する部分、すなわち肩、胸部、腹部に位置するようになっており、一端がタング5に連結されているとともに、他端が車体に固定されたシートベルトリトラクタ(ELR)7に連結されている。
【0024】図2に示すように、この肩ベルト2は、筒状のウェビング17と、このウェビング17内に挿入された例えばウレタンゴム又はシリコンゴム等の比較的薄く形成でき、しかも耐熱性があるとともに強度の比較的大きな弾性材からなるチューブ16と、ウェビング17を覆う、例えばポリエステル等の樹脂からなるカバー15とから形成され、シートベルトリトラクタ7に連結される側の端部が閉塞されて袋状に形成されている。
【0025】また袋状の肩ベルト2は、図3に実線で示すように通常時には平たい帯状に保形されている。このとき、肩ベルト2は通常の一般的なシートベルトの幅とほぼ同じ程度の所定幅(例えば50mm)となるように設定されている。ガスジェネレータ9からの反応ガス導入時には、肩ベルト2は二点鎖線で示すように大きく膨張展開するようになっている。なお、肩ベルト2の一端はタング5の端部外周に嵌合されて連結されているが、その場合この連結部は反応ガスの漏れがないように気密状態に保持されている。
【0026】肩ベルト2のウェビング17は、よこ編みによって筒状に編まれた編布によって形成されている。よこ編みの基本組織としては、図4に示すような平編み、図5に示すようなゴム編み、および図6に示すようなパール編みがある。
【0027】図4に示す平編みは、最も簡単な組織で編目が連続して並んだものであり、表と裏の区別がある。同図(a)は平編みの表目を示しており、縦方向に表目のウェールwが連続して並んでいると共に、横方向に表目のコースcが連続して並んでいる。また、同図(b)は平編みの裏目を示しており、縦方向に裏目のウェールw′が連続して並び、横方向に裏目のコースc′が連続して並んでいる。そして、ウェールwがウェビング17の長手方向に、またコースcがウェビング17の幅方向に配置されている。
【0028】また図5に示すゴム編みは、縦方向に表目のウェールwと裏目のウェールw′とが交互に並んだ編み目を有している。したがって、コースは表目のコースcと裏目のコースc′とが交互に配列されている。同図に示すように1ウェール毎に表目と裏目とを配列したものを1×1ゴム編みといい、その他に2×1ゴム編みや2×2ゴム編み等の種々の変化ゴム編みがある。この編み地は表裏の区別がなく、表目のみのような外観を呈する。このゴム編みは、横方向(図5において左右方向)に対して著しく伸縮性がある。
【0029】更に図6に示すパール編みは、横方向に表目のコースcと裏目のコースc′とが交互に並ぶ編み目であり、表裏の区別がなく、裏目のみのような外観を呈する。この場合のウェールは、表目のウェールwと裏目のウェールw′とが交互に配列されている。このパール編みは縦方向に対して伸縮性がある。
【0030】そして、これらの各編み方により形成されたよこ編みの編布を用いて、編み目の伸縮特性を幅方向には大きく伸縮可能に、また長手方向には若干しか伸縮しないように作製する。
【0031】実際に、ゴム編みからなるよこ編み生地により幅50mmの筒状のウェビングを作成したら、横方向に大きく伸びる伸縮特性を有するウェビング17が得られた。また、ゴム編みからなるよこメリヤス生地により幅50mmの筒状のウェビング17を作成し、このウェビング17内にチューブを挿入して、このチューブ内に内圧をかけたら、横方向に大きく膨らむと共に、縦方向に縮む特性を有するウェビングが得られた。このウェビングが横方向に大きく膨らむことにより、ベルト幅が広くなり、人体への接圧面積が増大し、人体に対する衝撃が緩和され、人体を確実に保護することができるようになる。また、ウェビングが縦方向に縮むことにより、シートベルトのプリテンションの効果が得られるようになる。
【0032】更に、ゴム編みのコースc,c′密度を変えることによって、ウェビングの横方向の膨らみの大きさを調整することができるようになる。したがって、ウェビングの必要な部分は膨らみが大きくなるようにすると共に、不必要な部分は膨らみが小さくなるように設定できる。このようにウェビングを形成することにより、エアベルトの同じ効果を得ることができながら、ガスの発生量を小さくすることができる。
【0033】ラップベルト3は、従来の一般的なシートベルトと同様のノーマルベルトにより形成され、その一端がタング5に連結されているとともに、他端が車体に固定されたシートベルトリトラクタ(ELR)8に連結されている。
【0034】図7に示すように、タング5はガス流動孔5aを有する円筒状に形成されており、その一端部5bの外周に肩ベルト2が気密に嵌合されて連結されるようになっている。またタング5の他端部には、後述するパウル(図7には4fで示されている)が係合する溝5cを有する係合部5dが形成されている。この係合部5dの他端部側は傾斜面5eとされている。更にタング5のほぼ中央部にはラップベルト3が連結される連結部5fが形成されている。
【0035】タング5のガス流動孔5a内には、一端部5b側に位置してフィルタ10がTキャップにより保持されているとともに、他端部側にタング側キャップ11(図9に明瞭に示されている)が設けられている。フィルタ10は肩ベルト2へ流動するガスの熱を冷却するとともに肩ベルト2へ異物が侵入するのを防止している。またタング側キャップ11は、図8(a)に示すように切り欠き溝11aが設けられており、通常時にはこのキャップ11はタング5のガス流動孔5aを密閉して異物がガス流動孔5a内に侵入するのを防止しているが、緊急時のガス発生時にはそのガスの圧力で切り欠き溝11aから容易に割れてガス流動路を確保するようになっている。
【0036】タング5は円筒状に形成されるとともに、ガス流動孔5aをそれほど大きく形成する必要はないので、全体としてコンパクトに形成することができ、バックル装置4への脱着における操作性が良好となっている。
【0037】図7に示すように、バックル装置4はガス流動孔4aを有する円筒状のバックル本体4bを備えており、このバックル本体4bの一端部側から、タング5の他端部がガス流動孔4a内へ嵌入できるようになっている。またバックル本体4bの他端部には、ガスジェネレータ9が嵌合固定されるようになっている。更にバックル本体4bの外周面には突出部4cが形成されており、この突出部4cにパウル4fが嵌合係止する溝4dが軸方向と直交する方向に沿って形成されているとともに、突出部及びバックル本体4bにタング5の係合部5dが嵌入可能な溝4eが軸方向に沿って形成されている。
【0038】図7及び図9に示すように、バックル本体4bのガス流動孔4a内には、このガス流動孔4a内に嵌入されたタング5を脱出方向に付勢するスプリング4gが配設されているとともに、このスプリング4gの一端にはバックル側キャップ12が取り付けられている。このバックル側キャップ12は、タング5がガス流動孔4a内に嵌入されなくスプリング4gが自由状態の位置とタング5がガス流動孔4a内に嵌入されて押圧され、ガス流動孔4aの段部4hに当接した位置との間で摺動可能となっている。
【0039】またバックル側キャップ12は、図8(b)に示すように切り欠き溝12aが設けられており、通常時にはこのキャップ12はバックル本体4bのガス流動孔4aを密閉して異物がキャップ12よりガスジェネレータ9側のガス流動孔4a内に侵入するのを防止しているが、緊急時のガス発生時にはそのガスの圧力で切り欠き溝12aから容易に割れてガス流動路を確保するようになっている。
【0040】図9に示すように、溝4dにはパウル4fが嵌入されており、このパウル4fは、板ばねからなるスプリング4jにより溝4d内に嵌入方向へ常時付勢されている。これにより、タング5をバックル本体4bのガス流動孔4a内に嵌入したとき、タング5の軸方向移動に伴って、パウル4fがタング5の係合部5dにおける傾斜面5eにより上方へスプリング4jの付勢力に抗して押し上げられ、タング5がバックル側キャップ12を介してガス流動孔4aの段部4hに当接したとき、タング5の係合部5dにおける溝5cがバックル本体4bの溝4dに整合することにより、パウル4fはスプリング4jの付勢力で溝5cに嵌入係合するようになる。このパウル4fが溝5cに係合した状態では、タング5はバックル本体5bから脱出不能となるようにされている。このスプリング4jは、その一端部がバックル装置5のアッパーカバー4kと突出部4cとの間に挟持されている。
【0041】図7に示すようにアッパーカバー4kには、操作ボタン4mが嵌入する開口4n及びタング5が嵌入する開口4oの一部4o1がそれぞれ形成されている。またアッパーカバー4kには係止爪4pが形成されており、この係止爪4pがアッパーカバー4kとロアカバー4qとが合わされたときロアカバー4qの被係止部(不図示)に係止することにより、バックル本体4bを覆うカバーが形成されるようになっている。ロアカバー4qにはタング5が嵌入する開口4oの他部4o2が形成されており、アッパーカバー4kとロアカバー4qとが合わされた状態で、一つの円形状の開口4oが形成される。
【0042】アッパーカバー4kの開口4nに進退動可能に嵌入する操作ボタン4mは、アッパーキャップ4kとの間に縮設された一対のコイルスプリング4rにより開口4nから突出する方向に常時付勢されている。その場合、操作ボタン4mの両側に形成された係止突起4sがアッパーキャップ4kの所定位置に設けられた被係止部(不図示)に係止することにより、操作ボタン4mはその突出量が制限されるようになっている。係止突起4sがアッパーキャップ4kの被係止部に係止した位置が、図9に実線で示すように操作ボタン4mの非作動位置となる。
【0043】また操作ボタン4mには、傾斜面4tを有するパウル4fの持ち上げ部4uが左右両側に一対形成されている。この持ち上げ部4uの傾斜面4tは、操作ボタン4kが軸方向に移動したときパウル4fの下に位置するようにされている。そして、図9に示すようにタング5とバックル装置4とが連結されている状態で、操作ボタン4mを二点鎖線で示す位置の方へ押し込むと、この操作ボタン4mの軸方向移動に伴って傾斜面4tがパウル4fの下端に当接しかつこのパウル4fを上方へ持ち上げるようになるので、パウル4fは溝4d,5cから脱出し、タング5とバックル装置4との係合が外れるようになっている。更に、この実施例のインフレータブルシートベルト装置1は編布にたて糸を挿入してウェビング17を形成することにより、ウェビング17自体のたて方向(長手方向)の強度を大きくしている。すなわち、図11に示すように平編みからなるよこ編みの編布にたて糸13を挿入して、ウェビング17を形成している。その場合、たて糸13は図11において上方から編布におけるたて糸13が交差する2本の編み糸に対して一側(図11において編み糸の手前側;編布の表側および裏側のいずれか一側)で交差し、次にたて糸が交差する2本の編み糸に対してこの一側と反対側(図11において編み糸に対して手前側と反対側の向こう側;編布の表側および裏側のいずれか他側)で交差することを繰り返すようにして編み糸に対して交互の側(図11において編み糸に対して手前側および編み糸に対して向こう側)に繰り返し位置するように配置されている。このように編布にたて糸13を配設することにより、ウェビング17の長手方向の強度が大きくなるので、肩ベルト2のたて方向の伸びが効果的に抑制されるとともに、たて糸13に対する編み糸の位置ずれが抑制されるようになる。また、肩ベルト2に大きな引張り力が加えられても、この力はこのたて糸13によって支持されるようになるので、編布を形成する編み糸に比較的細い糸が使用可能となる。
【0044】このような構成をした本実施例のインフレータブルシートベルト装置1においては、図3に実線で示すように、通常時は、袋状の肩ベルト2は帯状に保形されている。また、バックル装置4とタング5との非係合時状態では、バックル装置4のガス流動孔4aがキャップ12により閉塞されているとともに、タング5のガス流動孔5aがキャップ11により閉塞されているので、異物がガスジェネーレータ9及び肩ベルト2の方へ侵入するようなことはない。
【0045】乗員がシートに着座してタング5をバックル装置4に挿入係止することにより、ベルトを装着する。このベルト装着状態ではパウル4fが溝5cに嵌入係合するので、タング5がバックル装置4から外れることはなく、タング5とバックル装置4との連結状態が保持される。また、タング5とバックル装置4との連結状態では、ガス流動孔4aとガス流動孔5aとが整合して一つのガス流動路を形成するようになるが、通常時にはガス流動孔4aとガス流動孔5aとはキャップ11,12により遮断している。
【0046】更にベルト装着状態では、肩ベルト2及びラップベルト3は、それぞれシートベルトリトラクタ7,8により巻取り方向に弱い力で付勢されているが、この弱い力は乗員に圧迫感を与えないとともに、シートベルトリトラクタ7,8の巻取りリールがロックされないので、両ベルト2,3は自由に引き出すことができる。これにより、乗員の平常の動作に追従して肩ベルト2及びラップベルト3の引出し格納が行われるようになり、シートベルトのコンフォート性が良好になる。
【0047】車両の運転中に、車両に第2設定減速度以上の大きさの減速度が作用すると、乗員は慣性力により前方に移動しようとして両ベルト2,3を押圧する。これにより、両ベルト2,3は、それぞれシートベルトリトラクタ7,8から引き出されそうになる。しかし、このときシートベルトリトラクタ7,8の各減速度感知手段が作動して各巻取りリールがロックされるので、両ベルト2,3の引出しが阻止される。したがって、乗員は肩ベルト2及びラップベルト3により確実に拘束され、乗員の前方移動が防止される。その場合中間ガイド6により、肩ベルト2は乗員の正しい位置に当接するようになる。このように、本実施例のインフレータブルシートベルト装置1は、従来の一般的なシートベルト装置と同様の乗員拘束機能を発揮する。
【0048】また車両衝突時等により第1設定減速度以上のきわめて大きな減速度が車両に作用する緊急時には、車両に設けられた減速度感知手段が作動し、ガスジェネレータ9が作動して高圧のガスを発生する。図9において、発生したガスはバックル装置4のガス流動孔4a内に瞬時に侵入してバックル側キャップ12に衝突し、このキャップ12が割れる。これによりガス流動路が形成されるので、更にガスはタング側キャップ11に衝突し、同様にこのキャップ11も割れる。この結果、バックル装置4側のガス流動孔4aとタング5側のガス流動孔5aとが連通するので、ガスジェネレータ9は肩ベルト2の肩ベルト2と直接連通し、ガスジェネレータ9と肩ベルト2との間にガス流動路が形成される。このため、ガスジェネレータ9から発生したガスはガス流動孔5aを通って肩ベルト2に侵入するので、カバー15がガスの圧力で外れて、肩ベルト2はほぼ瞬時にかつ確実に膨張展開する。その場合、ガスジェネレータ9におけるガス反応時の残さいやキャップ11,12の破片等の異物はフィルタ10により捕捉されるので、これらの異物が肩ベルト2に侵入することはない。
【0049】したがって、乗員はこのように膨張した肩ベルト2により肩や胸等の上半身が確実に受け止められる。その場合、肩ベルト2の膨張により乗員の運動エネルギが広い面積で受け止められるようになるので、荷重が分散され、乗員は大きな衝撃荷重から確実に保護されるようになる。すなわち、インフレータブルシートベルト装置1はエアベルトの機能を発揮する。
【0050】また肩ベルト2の膨張時には、肩ベルト2はその幅方向には大きく伸張するが、その長手方向にはこの肩ベルト2の膨張により若干縮むので、肩ベルト2が長手方向に若干縮小する。この結果肩ベルト2の膨張により、インフレータブルシートベルト装置1はプリテンショナーの機能を発揮し、シートベルトのゆるみ(スラック)が吸収されるようになる。これにより、インフレータブルシートベルト装置1はシートベルト機能を確実に発揮するようになり、シートベルトの乗員拘束性能が向上する。
【0051】タング5とバックル装置4との係合を解放するために、操作ボタン4mを押し込むと、パウル4fが上昇して溝4d,5cから脱出し、タング5とバックル装置4との係合が外れる。これにより、スプリング4gによりタング5が脱出方向に付勢されているので、タング5は容易にバックル装置4から離脱する。
【0052】このように構成された本実施例のインフレータブルシートベルト装置1によれば、肩ベルト2は、編布によって形成されたウェビング17を用いることにより幅方向に大き膨張することができるので、通常時は単に平にして通常のシートベルトの幅に保形することができる。したがって、従来のインフレータブルシートベルト装置における折り畳まれた肩ベルトに比べて、通常時の肩ベルトの厚みをきわめて薄くすることができる。これにより、肩ベルトの引き出し、巻取りをスムーズに行うことができるようになるとともに、シートベルトリトラクタ7のベルト巻取り容量が小さくて済むので、シートベルトリトラクタ7をより一層小型に形成することができる。しかも、編布にたて糸13を挿入してウェビングを形成するとともに、このたて糸13を編布における合って糸13が交差する所定数の編み糸に対して一側で交差させ、次にたて糸が交差する所定数の編み糸に対してこの一側と反対側で交差させることを繰り返すようにして編み糸に対して交互の側に繰り返し位置させるように配置しているので、ウェビング17自体の長手方向の強度を大きくすることができる。これにより、ウェビング17の長手方向の伸びをより効果的に抑制することができるとともに、たて糸13に対する編み糸の位置ずれを抑制することができる。そのうえ、ウェビング13に大きな引張り力が加えられても、この力は、主にこのたて糸13によって支持されるので、編布を形成する編み糸に比較的細い糸を使用することができるようになる。
【0053】また、肩ベルト2は折り畳む必要がないので、ベルト組付時に手間のかかるシートベルト折り畳み作業が不要となり、作業工数が削減できるとともに、ベルトをきわめて簡単に組み付けることができるようになる。
【0054】更に、肩ベルト2におけるウェビング17は、従来の通常のシートベルトの幅に設定されるので、従来のインフレータタブルシートベルトに比べて基布の使用量を大幅に削減することができる。
【0055】図10は本発明の他の実施例を示す図である。また、ウェビング17を形成する編布として、本実施例ではたて編みによって編まれた編布を用いる。たて編みとしては、図10に示すような疑似パール編みがある。なお、他の編み方、例えばシングルデンビ、ダブルトリコットあるいはプレントリコット等によるたて編みからなる編布によっても、ウェビング17を形成することができる。ウェビング17がこのたて編みからなる編布によって形成された場合にも、前述のよこ編みと同様の作用効果を得ることができる。
【0056】図12ないし図14は、本発明の更に他の実施例を示す図である。図12及び図13に示す例ではシングルデンビによるたて編みの編布にたて糸13を挿入してウェビング17を形成している。その場合、図12R>2に示す例では、前述の図11に示す例と同じようにしてたて糸13は編布におけるたて糸13が交差する2本の編み糸に対して一側(図12において編み糸の手前側)で交差し、次にたて糸が交差する2本の編み糸に対してこの一側と反対側(図11において編み糸の向こう側)で交差することを繰り返すようにして編み糸に対して交互の側に繰り返し位置するように配置されている。また、図13に示す例では、たて糸13は編布における1本の編み糸に対して一側(図13において編み糸の右側)で交差し、次にたて糸13が交差する1本の編み糸に対してこの一側と反対側(図13において編み糸の左側)で交差することを繰り返すようにして、編布sの面内で編み糸に対して左右の側に交互に繰り返し位置するように配置されている。更に図14に示す例では、図13R>3に示すウェビングに更に第2のたて糸14を挿入してウェビング17を形成している。このたて糸14は、図1212に示す例と同じようにして編布に配置されている。
【0057】これらの実施例の作用効果は、前述に実施例とほぼ同じである。その場合、図14に示す例では、2種類のたて糸13,14を編布に配設しているので、ウェビング17の長手方向の強度がより一層大きくなるので、肩ベルト2の長手方向の伸びをより一層効果的に抑制することができるとともに、たて糸13,14に対する編布の位置ずれもより確実に抑制することができる。
【0058】このようなよこ編みやたて編みからなる編布を用いて作製したウェビング17は、構造上の伸びが織物に比べて特に大きい。また、これらの編布に使用する糸として、図15に示すような荷重ー伸び特性を有する糸を使用することにより更にエアベルトの効果を更に一層十分に得ることができるようになる。
【0059】なお、本発明は前述の実施例に限定されるものではなく、種々の設計変更が可能である。例えば前述の実施例では、ウェビングを形成する編布を筒状に編んだももを用いるようにしているが、平布を2枚重ね合わせてそれぞれの両側端縁を接合するようにしてもよいし、1枚の平布を曲げてその両側縁を接合するようにしてもよい。
【0060】また前述の実施例では、タング5には肩ベルト2に連通するガス流動孔5aのみを設けるようにしているが、図16に示すようにタング5に設けられるガス流動孔5aを二股状に形成するとともにラップベルト3を袋状ベルトに形成して、ガス流動孔5aを肩ベルト2の他にラップベルト3の袋状ベルトにも連通可能にすることもできる。このようにすれば、エアベルトの効果を更に一層高めることができるようになり、乗員の保護を更に一層効果的に行うことができる。
【0061】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明のインフレータブルシートベルト装置によれば、従来の一般的なシートベルト装置と同様の乗員を拘束するシートベルト機能を発揮させることができるばかりでなく、乗員の運動エネルギを広い面積で受け止めて、乗員を大きな衝撃荷重から保護するエアベルトの機能を確実に発揮させることができる。その場合、ウェビングを折り畳まないので、膨張時にウェビングを迅速にかつスムーズに膨張させることができる。特に、編布にたて糸を挿入してウェビングを形成するとともに、このたて糸を編布における所定数の編み糸に対して一側で交差させ、次にたて糸が交差する所定数の編み糸に対してこの一側と反対側で交差させることを繰り返すようにして編み糸に対して交互の側に繰り返し位置するように配置させているので、ウェビング自体の長手方向の強度を大きくしてウェビングの長手方向の伸びをより効果的に抑制できるとともに、たて糸に対する編み糸の位置ずれを抑制することができる。しかも、ウェビングに大きな引張り力が加えられても、この力は、主にこのたて糸によって支持されるようになるので、編布を形成する編み糸に比較的細い糸を使用することができるようになる。
【0062】また本発明によれば、ウェビングの折畳みを必要としないので、通常時のシートベルトの厚みをきわめて薄くすることができる。これにより、シートベルトの引き出し、巻取りをスムーズに行うことができるようになるとともに、シートベルトリトラクタのベルト巻取り容量が小さくて済むので、シートベルトリトラクタをより一層小型に形成することができる。
【0063】更に、シートベルトを折り畳む必要がないことから、シートベルト組付時に手間のかかるシートベルト折り畳み作業が不要となり、作業工数が削減できるとともに、ベルトをきわめて簡単に組み付けることができる。
【0064】更に、シートベルトを構成する筒状のウェビングの編布は、平らにした状態の幅が通常のシートベルトの幅に設定できるので、従来のインフレータブルシートベルトに比べて基布の使用量を大幅に削減することができる。
【0065】更にウェビングに編布を用いることにより、織布に比べて、よこ方向に伸びが大きく、たて方向に小さいという、きわめて良好な伸縮特性が得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るインフレータブルシートベルト装置の一実施例を示す概略全体構成図である。
【図2】 この実施例に用いられる肩ベルトを示し、(a)は各構成要素をずらして示す斜視図、(b)は横断面図である。
【図3】 肩ベルトの通常状態と膨張状態を示す、図1におけるIIIーIII線に沿う断面図である。
【図4】 この実施例に用いられる平編みからなるよこ編みの編布により形成されたウェビングを示す図である。
【図5】 編布としてゴム編みの例を示す図である。
【図6】 編布としてパール編みの例を示す図である。
【図7】 この実施例に用いられるバックル装置、タングおよびガス発生手段を示す分解斜視図である。
【図8】 (a)はタング側キャップを示す図、(b)はバックル側キャップ示す図である。
【図9】 バックル装置とタングとが係合した状態を示す部分断面図である。
【図10】本発明の他の実施例を示し、疑似パール編みからなるたて編みの編布により形成されたウェビングを示す図である。
【図11】図1に示す実施例に用いられている、平編みのよこ編みからなる編布に、たて糸を挿入したウェビングを示す図である。
【図12】シングルデンビのたて編みからなる編布にたて糸を挿入したウェビングの他の例を示す図である。
【図13】たて編みからなる編布にたて糸を挿入したウェビングの他の例を示す図である。
【図14】たて編みからなる編布にたて糸を挿入したウェビングの更に他の例を示す図である。
【図15】編布に使用される編糸の荷重ー伸び特性を示す図である。
【図16】本発明のインフレータブルシートベルト装置に用いられるタングの変形例を示す平面図である。
【図17】従来のインフレータブルシートベルトの折り畳み方法を説明する断面図である。
【図18】従来のインフレータブルシートベルトの他の折り畳み方法を説明する断面図である。
【符号の説明】
1…インフレータブルシートベルト装置、2…肩ベルト、3…ラップベルト、4…バックル装置、4a…ガス流動孔、4b…バックル本体、4d…溝、4f…パウル、4g,4j,4r…スプリング、4k…アッパーカバー、4m…操作ボタン、4q…ロアカバー、5…タング、、5a…ガス流動孔、5c…溝、5d…係合部、6…中間ガイド、7…クランプ付シートベルトリトラクタ、8…シートベルトリトラクタ、9…ガスジェネレータ(ガス発生手段)、10…フィルタ、11,12…キャップ、13,14…たて糸、11…ウェビング、16…チューブ、17…カバー、

【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両衝突時等の緊急時に発生する車両減速度が第1設定減速度を超えたとき、作動してガスを発生するガス発生手段と、乗員当接部の少なくとも一部が袋状部分に形成されており、前記ガス発生手段からガスが発生されないときは所定幅の帯状に保形されるとともに、前記ガス発生手段からガスが発生されたときはそのガスにより前記袋状部分が膨張するウェビングと、車両減速度が前記第1設定減速度より小さな第2設定減速度以下のときはこのウェビングの巻取りおよび引出しを自由に設定するとともに、車両減速度が前記第2設定減速度を超えたときは前記ウェビングの引出しを阻止するリトラクタと、前記ウェビングに連結されたタングと、このタングが係脱可能に挿入係合するバックル装置を少なくとも備えているインフレータブルシートベルト装置において、前記ウェビングの前記袋状部分が、前記ウェビングの長手方向にほとんど伸縮しなくかつ前記ウェビングの幅方向に大きく伸縮する荷重・伸び特性を有する編布によって形成されており、前記編布にたて糸を挿入して前記ウェビング形成するとともに、前記たて糸は、前記編布におけるこのたて糸が交差する所定数の編み糸に対して一側で交差し、たて糸が次に交差する所定数の編み糸に対して前記一側と反対側で交差することを繰り返すようにして前記編み糸に対して交互の側に位置するように配置されていることを特徴とするインフレータブルシートベルト装置。
【請求項2】 前記ウェビングの前記袋状部分を覆い、前記ガスの圧力で前記ウェビングから外れるカバーが設けられていることを特徴とする請求項1記載のインフレータブルシートベルト装置。
【請求項3】 前記ウェビングの前記袋状部分に、前記ガスにより膨張可能なチューブが挿入されていることを特徴とする請求項1または2記載のインフレータブルシートベルト装置。
【請求項4】 前記チューブは、ウレタンゴムまたはシリコーンゴムから形成されていることを特徴とする請求項記載のインフレータブルシートベルト装置。
【請求項5】 前記タングは前記ウェビングの前記袋状部分に連結されているとともに、このタングにガス流通孔が形成されており、前記バックル装置に前記ガス発生手段が設けられているとともに、このガス発生手段に連通するガス流通孔が形成されており、前記タングに形成されたガス流通孔と前記バックル装置に形成されたガス流通孔とは、前記タングが前記バックル装置に挿入係合したとき、前記ガス発生手段で発生したガスを前記ウェビングの前記袋状部分に導入するガス流通路を形成するようになっていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1記載のインフレータブルシートベルト装置。

【図8】
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【図17】
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【図1】
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【図2】
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【図13】
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【図14】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図11】
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【図10】
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【図12】
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【図16】
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【図7】
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【図9】
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【図15】
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【図18】
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【特許番号】特許第3278075号(P3278075)
【登録日】平成14年2月15日(2002.2.15)
【発行日】平成14年4月30日(2002.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−210355
【出願日】平成4年8月6日(1992.8.6)
【公開番号】特開平6−56001
【公開日】平成6年3月1日(1994.3.1)
【審査請求日】平成11年8月4日(1999.8.4)
【出願人】(000108591)タカタ株式会社 (111)
【参考文献】
【文献】特開 昭63−258239(JP,A)
【文献】特開 平4−27640(JP,A)
【文献】特開 昭58−156062(JP,A)
【文献】特開 昭47−2083(JP,A)
【文献】特開 平2−208150(JP,A)
【文献】実開 平3−15249(JP,U)
【文献】登録実用新案5696(JP,Z2)
【文献】登録実用新案18658(JP,Z2)