説明

インラインスケートブーツ用補助具及び該補助具付インラインスケートブーツ

【目的】 主として、インラインスケートのフリースタイル競技であるパイプの上を横滑りする、所謂レールスライドをする場合に使用され、その横滑りを円滑に且つフレームやホイール等が損傷しないようにするためにインラインスケートブーツに取付ける補助具を提供することを目的とする。
【構成】 フレーム4 の長手方向に回転自在に取付けられた複数のホイール6,6,…が設けられたインラインスケートブーツ本体1 に取付けられる補助具であって、該補助具本体8 には、前記ホイール6,6 間で且つ該ホイール6,6 の下部6eより上方に、しかも前記フレーム4 の長手方向と略直交する方向に滑走面部18が設けられてなるインラインスケートブーツ用補助具。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、インラインスケート競技に於いて行われるフリースタイル競技に使用されるインラインスケートブーツ用補助具及び該補助具付インラインスケートブーツに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、インラインスケート競技では、単にホイールの回転によって滑走するだけでなく、種々の滑走方法、いわゆるフリースタイルが行われている。
前記フリースタイルの例としては、図14に示すように、縁石や斜めに設置されたパイプ20上に乗り、ホイール21とホイール22との間隙に位置するフレーム23をパイプ20に当て、そのパイプ20上をフレーム23の長手方向と略直交する方向、即ち略横向きに擦り降りるという滑走方法である。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、前述のようにパイプ20上を横滑りする際、そのパイプ20にホイール21,22 やフレーム23が接触(摩擦)してブレーキ効果等を生じ、円滑に滑り降りることができないという問題点があった。
同時に、フレーム23やホイール21,22 がパイプ20に摩擦することによりフレーム23やホイール21,22 等が損傷するという問題点もあった。
【0004】
かかる問題点を緩和するためにホイール21及びホイール22の直径と車輪幅を小さくしてホイール21,22 の間隔を開け少しでもホイール21,22 がパイプ20に接触しないようにしてホイール21,22 の損傷を防止する工夫が成されているが、大した効果も上がらず、逆にホイール21,22 を小さくすることにより、通常のスケーティングに於いてスピードが出ないという悪影響を来すという新たな問題点をも生ずることとなった。
【0005】
本考案は、上記の如き従来の問題点に鑑みてなされたもので、フリースタイル競技、例えばパイプ上を横滑りする場合、円滑に横滑り可能で且つフレームやホイール等が損傷しないようにインラインスケートブーツ用補助具を提供すると共に、その補助具の取付けられたインラインスケートブーツをも提供することを課題とする。
【0006】
【問題を解決するための手段】
本考案は、このような課題を解決するためになされたもので、その課題を解決するための手段は、フレーム4 の長手方向に回転自在に取付けられた複数のホイール6,6,…が設けられたインラインスケートブーツ本体1 に取付けられる補助具であって、該補助具本体8 には、前記ホイール6,6 間で且つ該ホイール6,6 の下部6eより上方に、しかも前記フレーム4 の長手方向と略直交する方向に滑走面部18が設けられてなることにある。
【0007】
さらに、請求項4記載の手段は、前記補助具本体8 に、インラインスケートブーツ本体1 のフレーム4 に取付可能な取付部11を有する支持体9 が前記滑走面部18と略直角に設けられ、その支持体9 は、前記滑走面部18を略中央として延出され、しかも該延出部分には前記フレーム4 の下面4cを覆う前記滑走面部18と略同一平面上の保持面部17が設けられて平面視略H字状に形成されてなることにある。
【0008】
また、請求項6記載の手段は、前記補助具本体8 に、前記補助具本体8 には、前記ホイール6 の下部6eより上方で且つ少なくとも前記滑走面部18近傍の前記ホイール6 の外面を保護すべくホイールカバー19が設けられてなることにある。
【0009】
【作用】
上記構成からなるインラインスケート用補助具は、回転自在に取付けられたホイール6,6,…の回転によりフレーム4 の長手方向に滑走可能なインラインスケートブーツ本体1 に取付けて使用するものであるが、かかる補助具を取付けると、前記ホイール6,6 間で且つ前記フレーム4 の長手方向と略直交する方向に滑走面部18が設けられることとなるので、パイプ上を滑走するフリースタイル競技を行った場合、その滑走面部18が直接前記パイプに接することとなり、摩擦係数を押さえ円滑にフレーム4 の長手方向に略直交する方向に滑走可能であると同時にホイール6 やフレーム4 はパイプに接し難い。
尚、滑走面部18は、ホイール6,6 の下部6eより上方に設けられるので、ホイール6,6,…の下部6eは露出して滑走面に接するため、前記補助具を取付けたことによって通常の滑走に何ら影響しない。
【0010】
さらに、請求項4記載の手段の如く、前記補助具本体8 にインラインスケートブーツ本体1 のフレーム4 の下面4c側を覆う滑走面部18と略同一平面上の保持面部17が設けられていることにより、フレーム4 の下面4cは前記パイプに全く当たらず、極めて円滑に滑走可能であり、且つフレーム4 には摩擦や損傷が全く生じない。
【0011】
また、請求項6記載の手段の如く、前記補助具本体8 に、前記ホイール6 の下部6eより上方で且つ少なくとも前記滑走面部18近傍の前記ホイール6 の外面を保護すべくホイールカバー19が設けられてなることにより、通常の滑走にあってはホイール6 は回転可能であり、しかもフリースタイル時のパイプ上にあっては、ホイール6 は前記ホイールカバー19によって保護されるので、ホイール6 は全くパイプに当たらず、極めて円滑に滑走可能であり、且つホイール6 には摩擦や損傷が全く生じない。
【0012】
【実施例】
以下、本考案の一実施例を図面に従って説明する。
図1に於いて、1 は人の足にフィットすべく形成されたブーツ2 と、そのブーツ2 の底面2aに、2枚の略板状の保持板3,3 がブーツ2 の先端部2b側から後端部2c側(長手方向)にかけてホイール6 が遊嵌可能な長溝3aを有して固着されたフレーム4 と、その長溝3aに嵌入され且つ長溝3aに略直角に設けられた軸5 にベアリング(図中省略)を介して回転自在に取付けられた4本のホイール6 と、フレーム4 の後端部4aに固着されたストッパー7 とからなるインラインスケートブーツ本体を示す。
尚、前記ホイール6 は、夫々接触することなく適当な間隔を置いて取付けられている。
【0013】
図2〜図4に於いて、8 は厚み約2mmのステンレス製の金属板からなり、且つ下記に示す滑走面部18が形成された補助具本体を示し、板材の一辺側と相対する一対辺側が同一方向に略直角に折り曲げられて前記滑走面部18を略中央に位置してフレーム4 の長手方向に延出された支持体9,10が形成され、且つその支持体9 の両端部9a,9a 及び支持体10の両端部10a,10a は上方に延出されてフレーム4 に取付けるべく取付部11が形成されてなり、図4に示すように正面視略U字状に形成されてなる。
尚、その取付部11の先端略中央部には孔12が穿設されている。
【0014】
前記滑走面部18は、補助具本体1 の他辺側13と他対辺側14にホイール6 が回転しうる程度の略コの字状の切欠15,16 が対向して削成されることにより形成され、更に、その切欠15,16 と前記支持体9 及び支持体10との間にフレーム4 の下面4c側を覆うことによりそれを保護し且つ前記滑走面部18を支持すべく保持面部17が夫々形成されて恰も平面略H字状に形成されている。
【0015】
前記補助具本体8 からなる本考案に係る補助具は、図1に示すように、その滑走面部18が、ホイール6 が滑走面に接すべくその下部6eの上方に位置し且つインラインスケートブーツ本体1 の第二ホイール6aと第三ホイール6bとの間に介在してフレーム4 の下面4cと長溝3a、即ちフレーム4 の下面4c側を覆い、しかも切欠15,16 を前記第二、第三ホイール6a,6b に遊嵌して保持面部17が第二、第三ホイール6a,6b に近接するフレーム4 の下面4cを覆うべく、取付部11に穿設された孔12を介してフレーム4 の下方に取付けられている。
【0016】
上記構成からなる補助具の取付けられたインラインスケートブーツを使用して例えばフリースタイルでパイプの上を横滑りする場合、その第二、第三ホイール6a,6b 間でパイプ上に乗れば、補助具本体1 の滑走面部18がパイプに接することとなり円滑に横滑り、即ちフレーム4 の長手方向と略直交する方向に滑走することが可能となり、同時にフレーム4 の下面4c及びホイール6a,6b 間は、補助具本体8 の滑走面部18及び保持面部17によって保護されるので、滑走による摩擦を受けずそれらは損傷することがない。
【0017】
また、補助具本体8 を厚み2mmのステンレスで形成しているので、非常に強度がある。
従って、保持面部17の幅を狭く形成してフレーム4 の保持板3 の厚みと略同一にすることが可能、即ち切欠15,16 を大きく形成することが可能となり、その切欠15,16 内を回転する第二、第三ホイール6a,6b は、幅広の車輪を用いることができる。
【0018】
尚、上記実施例に於いて、補助具は滑走面部18と保持面部17とからなるが、必ずしも補助具の形状は上記実施例に限定されるものではなく、例えば図5に示すような3ケ所のホイール6,6 間のフレーム4 の下面4c側に滑走面部18が設けられ、且つ各滑走面部18は支持体9,10によって互いに連結され、しかも支持体9,10に保持面部17が夫々設けられてなる形状であってもよい。
【0019】
かかる補助具をインラインスケートブーツ本体1 に取付けると、図6に示すように第一、第二ホイール6c,6a 間、第二、第三ホイール6a,6b 間、第三、第四ホイール6b,6d 間に滑走面部18が位置し、且つフレーム4 の下面4c側の略全てが保持面17により覆われ保護される。
従って、第二、第三ホイール6a,6b 間のみならず、第一、第二ホイール6c,6a 間及び第三、第四ホイール6b,6d 間でもパイプ上を横滑りでき、フリースタイルの競技の多様化を図ることができる。
【0020】
さらに、他の補助具として、図7に示すような、一方の切欠15のみが設けられて滑走面部18と保持面部17が形成されたものでもよい。
また、図8に示すように、上記実施例の補助具本体8 と異なり保持面部17が設けられておらず滑走面部18と支持体9 と取付部11が設けられた形状、図9に示すように、保持面部17が設けられておらず且つ滑走面部18が下方にやや突出された形状等であってもよい。
【0021】
さらに、図10及び図11に示すように、滑走面部18の両側に略直角に2つの取付部11を有する支持体9 が延設されて正面視略U字状に形成された補助具であってもよい。
要は、少なくとも隣り合うホイール6 間のフレーム4 の下面4c側を覆い、フレーム4 の長手方向と略直交する方向に円滑に滑走可能にすべく滑走面部18が設けられた補助具であればよいのである。
【0022】
さらに、上記補助具8 にホイールカバー19を設けてもよい。
即ち、図12及び図13の如く、補助具本体8 の滑走面部18にホイール6 の外面を覆うホイールカバー19を、そのホイール6 が回転でき通常の滑走に支障が起こらないようにホイール6 の下部6eが露出しうる程度に設けられている。
【0023】
このようなホイールカバー19を設ければ、滑走には何ら支障を来さず、且つフリースタイル競技に於いてパイプ上を滑り降りる場合、ホイール6 とパイプとの間にホイールカバー19の設けられた補助具が介在し、ホイール6 は全く損傷することがなく、又パイプ上を滑る時にホイール6 がパイプに当たらないので、不用意にブレーキ効果を生ずるということを完全に防止できる。
【0024】
尚、上記実施例に於いて、補助具は取付部11を介してインラインスケートブーツ本体1 のフレーム4 に取付けられる構成であるが、必ずしもフレーム4 に取付けなければならないわけではなく、取付部11の形状を変更することによりインラインスケートブーツ本体1 に取付けてもよい。
【0025】
【考案の効果】
叙上のように、本考案に係るインラインスケートブーツ用補助具は、ホイール間に滑走面部が設けられているので、例えばパイプ上を滑り降りるフリースタイル競技を行った場合、フレームやホイールが、そのパイプに接することによる摩擦が起こらないため不用意にブレーキが懸かることもなく、円滑に横滑りすることができると同時に、前記フレームやホイールが損傷するということも起こり難い。
【0026】
従って、従来のように、ホイールの直径と車輪幅を小さくする必要もないので通常と同じスピードでスケーティングでき、又フリースタイルに於いて、スケーターは、ブーツの損傷を気に懸けることもなく、思い存分フリースタイル競技をすることができる。
【0027】
さらに、前記補助具にフレームの下面を覆うべく保持面部が設けられた場合、及びホイールの外面を覆うホイールカバーが設けられた場合には、そのフレームの下面及びホイールの外面には前記パイプが全く当たらないので、円滑に横滑りすることができると同時に、前記フレームやホイールが損傷するということを完全に防止できるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に係る補助具付インラインスケートブーツの一実施例を示す斜視図。
【図2】本考案に係るインラインスケートブーツ用補助具の一実施例を示す平面図。
【図3】同側面図。
【図4】同正面図。
【図5】本考案に係るインラインスケートブーツ用補助具の他実施例を示す斜視図。
【図6】本考案に係る補助具付インラインスケートブーツの他実施例を示す斜視図。
【図7】本考案に係るインラインスケートブーツ用補助具の他実施例を示す平面図。
【図8】本考案に係るインラインスケートブーツ用補助具の他実施例を示す斜視図。
【図9】本考案に係るインラインスケートブーツ用補助具の他実施例を示す斜視図。
【図10】本考案に係るインラインスケートブーツ用補助具の他実施例を示す斜視図。
【図11】本考案に係る補助具付インラインスケートブーツの他実施例を示す斜視図。
【図12】本考案に係るインラインスケートブーツ用補助具の他実施例を示す側面図。
【図13】本考案に係る補助具付インラインスケートブーツの他実施例を示す斜視図。
【図14】従来のインラインスケートブーツの使用状態を示す斜視図。
【符号の説明】
1 …インラインスケートブーツ本体、4 …フレーム、4c…下面、6 …ホイール、6e…下部、8 …補助具本体、9 …支持体、11…取付部、17…保持面部、18…滑走面部、19…ホイールカバー

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 フレーム(4) の長手方向に回転自在に取付けられた複数のホイール(6),(6),…が設けられたインラインスケートブーツ本体(1) に取付けられる補助具であって、該補助具本体(8) には、前記ホイール(6),(6) 間で且つ該ホイール(6),(6) の下部(6e)より上方に、しかも前記フレーム(4) の長手方向と略直交する方向に滑走面部(18)が設けられてなることを特徴とするインラインスケートブーツ用補助具。
【請求項2】 フレーム(4) の長手方向に回転自在に取付けられた複数のホイール(6),(6),…が設けられたインラインスケートブーツ本体(1) のフレーム(4)に取付けられる補助具であって、該補助具本体(8) には、前記ホイール(6),(6)間で且つ該ホイール(6),(6) の下部(6e)より上方に、しかも前記フレーム(4) の長手方向と略直交する方向に滑走面部(18)が設けられ、且つ前記フレーム(4) に取付可能な取付部(11)を有する支持体(9) が前記滑走面部(18)と略直角に設けられて正面視略U字状に形成されてなることを特徴とするインラインスケートブーツ用補助具。
【請求項3】 前記支持体(9) が、前記フレーム(4) の長手方向に延出され、且つ該支持体(9) の端部に前記取付部(11)が設けられてなる請求項2記載のインラインスケートブーツ用補助具。
【請求項4】 前記支持体(9) が、前記滑走面部(18)を略中央として延出され、しかも該延出部分には前記フレーム(4) の下面(4c)を覆う前記滑走面部(18)と略同一平面上の保持面部(17)が設けられて平面視略H字状に形成されてなる請求項3記載のインラインスケートブーツ用補助具。
【請求項5】 前記滑走面部(18)が、複数の前記ホイール(6),(6) 間に夫々設けられ、且つ該滑走面部(18)が前記支持体(9) により連結されてなる請求項2〜4の何れかに記載のインラインスケートブーツ用補助具。
【請求項6】 前記補助具本体(8) には、前記ホイール(6) の下部(6e)より上方で且つ少なくとも前記滑走面部(18)近傍の前記ホイール(6) の外面を保護すべくホイールカバー(19)が設けられてなる請求項1〜5の何れかに記載のインラインスケートブーツ用補助具。
【請求項7】 請求項1〜6の何れかに記載のインラインスケートブーツ用補助具が取付けられてなることを特徴とする補助具付インラインスケートブーツ。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【登録番号】第3008205号
【登録日】平成6年(1994)12月14日
【発行日】平成7年(1995)3月7日
【考案の名称】インラインスケートブーツ用補助具及び該補助具付インラインスケートブーツ
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平6−10497
【出願日】平成6年(1994)8月24日
【出願人】(394018476)株式会社栄和鉄工所 (1)