説明

インラインスケート靴

【課題】 インラインスケート靴の提供。
【解決手段】 第1ローラ31を具え、該第1ローラ31は単方向に回転可能でその配置は他のローラ3の接地面と対して宙づり状態とされ、該第1ローラ31がその他のローラ3の前方に配置される時、該第1ローラ31が前方に単方向回転し、該第1ローラ31がその他のローラ3の後方に配置される時、該第1ローラ31が後方に単方向回転し、良好な抓地力の制動機能と前進の施力点を具え、良好な安全性を提供し人体工学に符合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一種のインラインスケート靴に係り、特に単方向に回転する第1ローラを具え、且つ該第1ローラがその他のローラの接地面に対して宙づり状態に配置され、良好な抓地力の制動機能と前進の施力点を具え、良好な安全性を提供し人体工学に符合するインラインスケート靴に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のインラインスケート靴はレジャー、フィギュア、フィールド、テクニカル、スピードの五種類の形式があり、そのうち、フィールド、テクニカル及びスピード用のインラインスケート靴は特殊場所及び用途に使用され、いずれも特殊で長期の使用訓練により妥当に使用できる。且つその構造及び機能はレジャー用インラインスケート靴と同様であり、ゆえにこれについては説明を省略する。以下にレジャー及びフィギュア用インラインスケート靴について討論及び説明を行なう。
【0003】
図7は周知のレジャー用インラインスケート靴を示し、それはブーツ1、底座4及びローラ3で構成されている。該底座4に四つから六つのローラ3が設置され、各ローラ3はいずれも前後の二方向の回転が可能で、且ついずれも同一高度に位置し同時に地面に接触する。別に、図8に示される周知のフィギュア用インラインスケート靴は、レジャー用インラインスケート靴の第1ローラの位置にゴム製の制動ヘッド2が設けられ、他の全てのローラが縮小され制動ヘッド2の後方に配置されている。
【0004】
上述の周知のフィギュア用インラインスケート靴は(図8参照)、左足で滑る必要がある時、右足のゴム製の制動ヘッド2で地面を押圧し、左足に前向きの推進力を提供し、反対の場合も同様である。ただし全部のローラが後方に近接して配置されているため、全てのローラ間のピッチが短縮され、インラインスケート靴による滑行が遅くなり且つ不安定となる。これがその第1の欠点である。また、前向きの滑りを加速したい時、一方の足の重心を前向きに傾けなければならず、この時、不注意から制動ヘッド2が地面に接触するとスケーターが前向きに転倒することがあり、これが周知のフィギュア用インラインスケート靴の第2の欠点である。
【0005】
また、図7に示されるレジャー用インラインスケート靴は、制動ヘッド2を具備しないため、左足で前向きに滑りたい時は右足を滑る方向に対して僅かに偏らせた後に、地面を押圧しなければ、左足を前進させる力を提供できず、人体工学に違反する。これがレジャー用インラインスケートの欠点である。また、周知のレジャー式インラインスケートは有効な制動配置を提供できないため、あるメーカーではローラの後方に制動ヘッド5を配置した構造を提供している。しかし、この設計は滑る時に不当に力を入れて足裏を持ち上げなければ制動効果を提供できず、人体工学に符合せず、並びに制動ヘッド5の構造は足を交換して滑る時、或いは曲がって滑る動作の時両足が相互に摩擦し転倒を引き起こす。特殊な技法はサイドの両足T字制動であり、すなわち滑る間に突然サイドに両端を開き、両足とスケート方向を90度となして制動機能を得る、というものである。ただしこの技法は長い練習があってこそ効果があり、不注意から転倒や腰や足を捻挫する危険があり、人体工学に符合しない。且つ全ての場所で実施できるわけではなく、滑りにくかったり凹凸のある場所では転倒を引き起しやすく、これがこのようなレジャー式インラインスケート靴の第2の欠点である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述の周知の欠点を解決するため、一種のインラインスケート靴を提供することを目的とし、それは、単方向にのみ回転可能な第1ローラを具え、且つそれが他のローラの接地面に対して宙づり状とされるか或いは第1ローラのサイズがその他のローラより小さくされて宙づり状を呈するものとされ、該第1ローラがインラインスケート靴の複数のローラの前方或いは後方の少なくとも一方に配置され、前方に配置される時、制動或いは前進の施力点を提供し、後方に配置される時、前進の減速装置或いは後ろ向きに滑る施力点を提供し、良好な抓地力の制動機能と前進の施力点を具え、人体工学に符合し、良好な安全性を有するインラインスケート靴であるものとする。
【0007】
上述の目的を達成するため、本発明のインラインスケート靴は、第1ローラを具え、且つ該第1ローラが他のローラの接地面に対して宙づり状をなすよう配置され、且つ第1ローラが単方向のみに回転可能で、第1ローラが前方に配置される時、該第1ローラは前向きに単方向回転し、更に第1ローラが後方に配置される時、該第1ローラは後ろ向きに単方向回転する。
【0008】
該インラインスケート靴において第1ローラがインラインスケート靴の前方に配置される時、該第1ローラは前方のみの単方向回転し、且つ第1ローラは他のローラの接地面に対して宙づり状を呈し、それが後方に回転不能であるため抓地力と摩擦力の機能を具備し、使用者がインラインスケート靴を着用して前向きに滑る時、人体工学によりその重心を前傾させると第1ローラが自然に地面と接触し、後方に施力される時、第1ローラが後方回転不能であるため、地面と摩擦抵抗を形成するので、使用者を迅速に前方に推進させることができる。
【0009】
その次に、足先で施力して後方に押動する力と前進の方向は同一直線上にあり、周知の一方の足を斜めにして後ろ向きに押すのとは異なり、ゆえに力が分散することがなく、有効に動力源を利用でき、且つ人体工学に符合する。
【0010】
更に、インラインスケート靴の第1ローラがインラインスケート靴のその他のローラの後方に設けられる時、該第1ローラは後ろ向きのみに単方向回転可能で、且つ該第1ローラはその他のローラの接地面に対して宙づり状態をなし、使用者が前向きに滑る時に減速或いは制動が必要である時、ただ足裏を持ち上げるだけで、第1ローラが自然に地面と接触するが、第1ローラは後ろ向きのみに回転可能であって前向きに回転しないため第1ローラが自然に地面と摩擦を形成し、これにより減速と制動の効果が発生する。
【0011】
更に本発明の設計は精巧で、その機能は周知のレジャー用とフィギュア用インラインスケート靴の長所を兼ね備え、第1ローラが制動に使用される時、一般の4輪ローラースケート靴とアイススケート靴と同様に、容易に各種の周知のフィギュア用インラインスケート靴の動作を完成できる。前進する時も、制動ヘッドの問題がなく、このため周知のレジャー用及びフィギュア用インラインスケート靴の欠点がなく、周知のレジャー用及びフィギュア用インラインスケート靴よりも優れている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、ブーツ、底座、及び同一直線上に配置された複数のローラを具えたインラインスケート靴において、
第1ローラを具え、該第1ローラが複数のローラの接地面に対して宙づり状となるよう配置され、且つ第1ローラが単方向回転のみ可能とされたことを特徴とする、インラインスケート靴としている。
請求項2の発明は、請求項1記載のインラインスケート靴において、第1ローラの単方向回転構造が単方向軸受とされたことを特徴とする、インラインスケート靴としている。
請求項3の発明は、請求項1記載のインラインスケート靴において、第1ローラの単方向回転構造が単方向ラチェットとされたことを特徴とする、インラインスケート靴としている。
請求項4の発明は、請求項1記載のインラインスケート靴において、第1ローラの単方向回転構造が単方向クラッチとされたことを特徴とする、インラインスケート靴としている。
請求項5の発明は、請求項1記載のインラインスケート靴において、第1ローラが複数のローラの前方に位置することを特徴とする、インラインスケート靴としている。
請求項6の発明は、請求項5記載のインラインスケート靴において、第1ローラが前方のみに単方向回転可能とされたことを特徴とする、インラインスケート靴としている。
請求項7の発明は、請求項1記載のインラインスケート靴において、第1ローラのサイズが複数のローラより小さいことを特徴とする、インラインスケート靴としている。
請求項8の発明は、請求項1記載のインラインスケート靴において、第1ローラが複数のローラの後方に位置することを特徴とする、インラインスケート靴としている。
請求項9の発明は、請求項8記載のインラインスケート靴において、第1ローラが後方のみに単方向回転可能とされたことを特徴とする、インラインスケート靴としている。
請求項10の発明は、請求項1記載のインラインスケート靴において、第1ローラの表面に複数の顆粒或いは粗い表面が設けられたことを特徴とする、インラインスケート靴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明のインラインスケート靴は、第1ローラを具え、該第1ローラは単方向に回転可能でその配置は他のローラの接地面と対して宙づり状態とされ、該第1ローラがその他のローラの前方に配置される時、該第1ローラが前方に単方向回転し、該第1ローラがその他のローラの後方に配置される時、該第1ローラが後方に単方向回転し、良好な抓地力の制動機能と前進の施力点を具え、良好な安全性を提供し人体工学に符合する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1に示されるように、本発明のインラインスケート靴は、ブーツ1、底座4及び複数のローラ3を具えている。
【0015】
本発明の特徴は、該インラインスケート靴の前橋の第1ローラ31の配置が複数のローラ3の接地面に対して宙づり状を呈し、且つ第1ローラ31が前向きのみに単方向回転することにある。
【0016】
そのうち、第1ローラ31の単方向回転の機構は単方向軸受(図5)、単方向ラチェット構造(図6)、単方向クラッチ(図4)或いはその他の同じ効果を有する単方向回転機構とされる。
【0017】
図1と図2及び図3を参照されたい。図2は一般の人の重心線10を示し、人体が前向きに進む時、その重心の移動線20は重心点22から重心点24に至り、最後に重心点26に至る。使用者がインラインスケート靴を着用して前向きに滑る時に施力点が必要である時、人体の重心は前向きに傾斜し、重心は重心点26に移動するため、第1ローラ31は自然に地面と接触し、更に後方に押す時、反作用力方向34と第1ローラ31の単方向回転方向32は反対であるため、第1ローラ31は回転不能であることから、後方に押す反作用力(則ち第1ローラ31が後方に回転不能であり地面と発生する摩擦力)が完全に使用者の身体に伝わり、これにより使用者は迅速に前向きに推進される。使用者が前向きに滑る時、第1ローラ31は地面の凹凸或いは地面に接触する時、それは前向きに回転するため前向きの滑りに影響を与えない。ゆえに本発明は良好な前進の施力点を提供し且つ人体工学に符合し周知のフィギュア式インラインスケート靴のようにつまずき易い欠点がない。
【0018】
また、後方に滑る時、人の重心は自然に後ろに移動し、本発明の第1ローラ31は後方の複数のローラ3の接地面に対して宙づり状態を呈するため(図1のXの距離)、前向きのみに回転する第1ローラ31は滑りに影響を与えず、フィギュア動作の演技をする時も、単方向回転の第1ローラ31を利用して制動と定点機能を形成でき、簡単に各種のフィギュア動作を行なうことができる。
【0019】
図3に示されるように、本発明は前向きに滑る時の施力点を、使用者の前向きの滑りに提供する。さらに、使用者が前向きに滑る時に制動が必要である時、使用者は回転して後ろ向きに滑る状態となした後、足先を立てると、重心が前方に移動して第1ローラ31が地面に接触し、第1ローラ31の単方向回転のメカニズムを利用して第1ローラ31を地面と摩擦させ、これにより制動の効果を得ることができる。
【0020】
図9を参照されたい。第1ローラ31が複数のローラ3の後方に設けられ、図示されるようにそれと地面がYの距離を有する時、使用者が前向きに滑っている時に減速或いは制動が必要な場合は、ただ足裏を起こせば、第1ローラ31が自然に地面と接触し、第1ローラ31は後ろ向きにのみ回転し前向きに回転不能であるため、第1ローラ31が地面と摩擦を形成し、これにより減速と制動の効果を得られる。後ろ向きに滑る時、使用者の重心は後ろに移動し体重がゴムローラに作用するため、第1ローラ31は自然に地面と接触し、第1ローラ31は後ろ向きにのみ回転可能であるため、第1ローラ31は後ろ向きに回転する機能も請け負う。このとき、第1ローラ31は後ろ向きの単方向回転に用いられる。当然第1ローラ31は同時に複数のローラの前方と後方に設けられることも可能で、且つ第1ローラ31の表面に複数の顆粒が設けられるか粗い表面が設けられることで、地面との摩擦力を増すことができる。
【0021】
図3と図10を共に参照されたい。使用者が転ぶ情況は前向きの転倒と後ろ向きの転倒に分けられる。前向きの転倒は人の重心が前に傾倒し、足が前進する速度が人の身体の前進の速度に追いつかないために身体が前のめりとなり足が後ろとなり転ぶのである。本発明の第1ローラ31が複数のローラ3の前方に設けられる時、重心が前傾する時、第1ローラ31が地面に接触し、上述の施力点のメカニズムにより足が後方に滑るのを防止し、これにより前向きに転ぶのを防止できる。また、後ろに倒れる時は、人の重心は後ろに移動し、身体の前進の速度が足が前進する速度におよばず後ろ向きに滑るのである。本発明の第1ローラ31が複数のローラ3の後方に設けられる時、重心が後ろに移動すると、第1ローラ31が地面に接触し、上述の施力点のメカニズムにより足が前方に滑るのを防止して後ろ向きに転倒するのを防止できる。本発明のインラインスケート靴は初心者が身体或いは足が過度に前向き或いは後ろ向きに滑ってコントロールを失い転倒するのを防止できる。
【0022】
ゆえに、本発明のインラインスケート靴は、単方向回転の構造技術を提供し、人体運動工学により、巧妙に配置された部品の位置により回転部品に回転行進と制動の機能を共に具備させ、並びにスケート運動の進行に伴い、回転部品が自動的に適時のスケートと制動の機能を有し、特に第1ローラが不注意による転倒を防止する補助機能を提供し、これによりインラインスケート靴の多くの欠点を改善して制動機能を増加し、人体工学に符合し、従来にはない転倒防止自動補助機能を有している。
【0023】
総合すると、本発明のインラインスケート靴は、第1ローラ31を具え、第1ローラ31は単方向回転のみ可能で、他のローラ3の接地面に対して宙づり状を呈するよう配置され、且つ第1ローラ31が他のローラの前方或いは後方に配置され、これにより、制動機能が増されて転倒を防止し、人体工学に符合するインラインスケート靴とされる。本発明は新規性、進歩性及び産業上の利用価値を有する。なお、以上の実施例は本発明の実施範囲を限定するものではなく、本発明に基づきなしうる細部の修飾或いは改変は、いずれも本発明の請求範囲に属するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明のインラインスケート靴の立体図である。
【図2】本発明の人体重心移動の表示図である。
【図3】本発明のインラインスケート靴の第1ローラの実施表示図である。
【図4】本発明のインラインスケート靴の単方向クラッチ構造の表示図である。
【図5】本発明のインラインスケート靴の単方向軸受の表示図である。
【図6】本発明のインラインスケート靴の単方向ラチェット構造の表示図である。
【図7】周知のレジャー用インラインスケート靴の立体図である。
【図8】周知のフィギュア用インラインスケート靴の立体図である。
【図9】本発明の別の実施例の第1ローラが後方に設置された構造の表示図である。
【図10】本発明のインラインスケート靴の滑行動作の表示図である。
【符号の説明】
【0025】
1 ブーツ
2 制動ヘッド
3 ローラ
31 第1ローラ
4 底座
5 制動ヘッド
10 重心線
20 移動線
22 重心点
24 重心点
26 重心点
32 回転方向
34 反作用力方向
X 距離
Y 距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブーツ、底座、及び同一直線上に配置された複数のローラを具えたインラインスケート靴において、
第1ローラを具え、該第1ローラが複数のローラの接地面に対して宙づり状となるよう配置され、且つ第1ローラが単方向回転のみ可能とされたことを特徴とする、インラインスケート靴。
【請求項2】
請求項1記載のインラインスケート靴において、第1ローラの単方向回転構造が単方向軸受とされたことを特徴とする、インラインスケート靴。
【請求項3】
請求項1記載のインラインスケート靴において、第1ローラの単方向回転構造が単方向ラチェットとされたことを特徴とする、インラインスケート靴。
【請求項4】
請求項1記載のインラインスケート靴において、第1ローラの単方向回転構造が単方向クラッチとされたことを特徴とする、インラインスケート靴。
【請求項5】
請求項1記載のインラインスケート靴において、第1ローラが複数のローラの前方に位置することを特徴とする、インラインスケート靴。
【請求項6】
請求項5記載のインラインスケート靴において、第1ローラが前方のみに単方向回転可能とされたことを特徴とする、インラインスケート靴。
【請求項7】
請求項1記載のインラインスケート靴において、第1ローラのサイズが複数のローラより小さいことを特徴とする、インラインスケート靴。
【請求項8】
請求項1記載のインラインスケート靴において、第1ローラが複数のローラの後方に位置することを特徴とする、インラインスケート靴。
【請求項9】
請求項8記載のインラインスケート靴において、第1ローラが後方のみに単方向回転可能とされたことを特徴とする、インラインスケート靴。
【請求項10】
請求項1記載のインラインスケート靴において、第1ローラの表面に複数の顆粒或いは粗い表面が設けられたことを特徴とする、インラインスケート靴。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−223362(P2006−223362A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−37912(P2005−37912)
【出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【出願人】(505056993)
【Fターム(参考)】