説明

ウィルス検出装置及びウィルス検出方法

【課題】気体中のウィルスをリアルタイムに精度良く検出することができる技術を提供すること。
【解決手段】主配管8にダスト除去部1、霧化部4、レーザー光が照射される蛍光測定部5、吸引ポンプ7をこの順に設け、吸引ポンプ7により主配管8内に吸引流を形成する。一方、各々流路幅が微細な液体流路35とこれに隣接して並ぶ気体流路34とを備えた拡散部3を用い、蛍光抗体Fが含まれる水溶液及び大気を夫々液体流路35及び気体流路34を通過させる。これら流路34、35の出口側に形成され、気体と水溶液とを分離して送り出す分岐部から分岐された案内路40を通して水溶液を前記霧化部4に送り、ここで得られたミスト群が蛍光測定部5に送られる。ウィルスVが取り込まれたミストMの蛍光強度は、ウィルスVが取り込まれない蛍光強度よりも大きいため、蛍光強度を監視することでウィルスVが検出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウィルスを検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インフルエンザ等の感染症の大流行やその感染範囲の拡大が問題視されている。そのことから、迅速な公衆衛生対策を行うため、精度が高く簡便なウィルス分析方法が求められている。現在、防疫検査では鼻腔内拭い液からの分析等が行われているが、感度や診断時間の点で問題がある。また、パンデミックやバイオテロへの対策としては大気中のウィルスを常時監視する必要がある。鼻腔内拭い液からの分析のように人手により行わなければならない分析方法ではウィルス分析の自動化は望めず、大気中のインフルエンザウィルス等の分析としては、培地に付着させた後に培養を行い発生したコロニーを観察、分析する培養法があるが、培養過程で数日の時間を要し自動化も困難であり、新型インフルエンザや口蹄疫ウィルス等の迅速な判断が必要な局面では利用できない。その他に、大気中のウィルスを液中にトラップして検出する方法も、液中分析の感度が低いため精度良くウィルスを検出することが困難である。
【0003】
このような状況の中で、非特許文献1では、蛍光抗体を特定のウィルスに選択的に吸着させその蛍光強度を測定することにより、短時間で高感度にウィルスを検出する方法が記載されている。しかし、当該文献では、粘膜や唾液を分析試料としており、リアルタイムに自動的に分析するものではない。また、当該文献では、蛍光強度のゆらぎの違いを検出することによりウィルスの有無を判断しており、蛍光強度の絶対値によりウィルスを検出しているわけではない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】長谷川慎、”空港検疫、バイオテロ対策向け高感度病原体検出法を開発”、[online]、平成20年10月8日、独立行政法人新エネルギー産業技術総合開発機構、[平成22年7月6日検索]、インターネット<URL:http://www.nedo.go.jp/informations/press/201008_1/201008_1.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような背景の下になされたものであり、その目的は気体中のウィルスをリアルタイムに精度良く検出することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明におけるウィルス検出装置は、
ウィルスを特異的に吸着する蛍光抗体を含む水溶液と検査対象の気体とを接触させて当該気体中のウィルスを水溶液中に拡散させ、気体中に含まれるウィルスに蛍光抗体を吸着させるための拡散部と、
前記水溶液を霧化し、前記気体が拡散された水溶液のミスト群を形成する霧化部と、
前記ミスト群の蛍光強度を測定する蛍光測定部と、
前記霧化部から前記測定部に向う気流を形成するための気流形成機構と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明におけるウィルス検出方法は、
ウィルスを特異的に吸着する蛍光抗体を含む水溶液と検査対象の気体とを接触させて当該気体中のウィルスを水溶液中に拡散させ、気体中に含まれるウィルスに蛍光抗体を吸着させる工程と、
前記水溶液を霧化し、前記気体が拡散された水溶液のミスト群を形成する工程と、
前記ミスト群の蛍光強度を計測する工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、特定のウィルスに吸着する蛍光抗体を含む水溶液に検査対象となる気体中のウィルスを拡散させ、この薬液をミスト化してミストの蛍光強度を監視するようにしている。従って、気体中におけるウィルスの有無をリアルタイムにかつ自動的に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係るウィルス検出装置の構成を示す概要図である。
【図2】上述実施形態に用いられるマイクロ流体チップの一部を示す縦断側面図である。
【図3】上述実施形態に用いられる蛍光測定部を示す縦断側面図である。
【図4】上述拡散部におけるウィルスの薬液中での拡散、蛍光抗体の吸着及び薬液の霧化を説明する概念図である。
【図5】上述拡散部における大気中ダストの薬液中での拡散、蛍光抗体の吸着及び薬液の霧化を説明する概念図である。
【図6】本発明における第2の実施形態に係るウィルス検出装置を示す概要図である。
【図7】本発明における第3の実施形態に係るウィルス検出装置を示す概要図である。
【図8】本発明における第4の実施形態に係るウィルス検出装置を示す概要図である。
【図9】本発明における第5の実施形態に係るウィルス検出装置の霧化部及び蛍光測定部を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態におけるウィルス検出装置の構造について、図1〜図3を用いて説明する。本ウィルス検出装置は、図1に示すように、気流の案内路である主配管8を備え、この主配管8の上流端にはダスト除去部1が、下流端には気流形成機構である吸引ポンプ7が夫々設けられている。このダスト除去部1は、ウィルスVが通過し、また主配管8内に霧化に必要な速い気流が形成される程度の気流抵抗のあるものが用いられ、このため比較的大きなパーティクルを捕捉するためのものである。また、この主配管8の途中には拡散部である後述のマイクロ流体チップ3から供給される薬液をミスト化する霧化部4が介在している。
【0011】
このマイクロ流体チップ3は、図2に示すように、蓋体32と板状の基体33とからなる。基体33の上面には溝部31が形成されており、この溝部31が蓋体32に覆われることにより拡散流路31となる。この拡散流路31は、図2に示すように、2つ横に並んだ下弦の半円がその一部分で重なり合った断面形状をしており、そのため流路中央部には盛り上がり部分30が形成されている。拡散流路31は、この盛り上がり部分30により気体流路34と液体流路35とに区画されている。この拡散流路31の寸法は、例えば流路幅Wが1mm以下、流路深さHは0.5mm、盛り上がり部分30と蓋体32の間の隙間の高さは0.2mmとなっている。また、拡散流路31は、図1に示すように、大気と薬液の接触時間及び接触面積を稼ぐために蛇行している。そして、この拡散流路31の両端は分岐部にて二股に分岐しており、そのままマイクロ流体チップ3の端部に達している。この拡散流路31の一端側(上流端)が大気流入口36及び薬液流入口37に相当し、他端側(下流端)が排気ポート38及び薬液流出ポート39に相当する。
【0012】
マイクロ流体チップ3の大気流入口36には、図1に示すように、ダスト除去部1と霧化部4との間において主配管8から分岐している分岐管13が気密に接続されている。この分岐管13には、気体導入機構である吸気ポンプ11及び大気流量調整部12が上流側からこの順番に介在している。薬液流入口37には、蛍光抗体Fを含有する水溶液である薬液の貯留されている薬液貯留槽2からの配管23が接続されており、この配管23には液体導入機構である薬液供給ポンプ21及び薬液流量調整部22が薬液貯留槽2側からこの順番に介在している。マイクロ流体チップ3の排気ポート38は本装置外部に繋がっており、マイクロ流体チップ3に流入した大気はここから排気される。また、マイクロ流体チップ3の薬液流出ポート39は、案内路である配管40を介して前述した霧化部4に接続されている。
【0013】
霧化部4は、主配管8の口径が急激に絞られた部分81と、そこに突入されて設けられた、マイクロ流体チップ3から薬液を送るための案内路である配管40とからなる。
【0014】
霧化部4の下流側には、測定部である蛍光測定部5が設けられている。蛍光測定部5は、図3に示すように、主配管8に接続され、ミストMを含む気流の通流空間を形成する例えば角形のケース体56を備えている。このケース体56における互いに対向する例えば上下(あるいは左右)の面には、互いに平行な石英からなる光透過窓52a、52bが配置されている。その一方の光透過窓52aの外側には、蛍光抗体Fから発光される蛍光の波長から外れた波長のレーザー光をケース体56内に照射する発光部51が設けられている。もう一方の光透過窓52bの外側には、蛍光抗体Fから発せられる蛍光の波長から外れた波長の光を遮断する光学フィルタ53が設けられている。その更に外側には、蛍光抗体Fの蛍光を受光して電気信号に変換する受光部54が設けられている。この受光部54は、光学フィルタ53からの受光強度に対応する信号レベルの例えば電流が受光出力計測部55に出力される。受光出力計測部55は、例えば前記電流を電圧に変換し、この電圧信号Iaと予め設定されたしきい値Isとを比較し、電圧信号Iaがしきい値Isよりも大きいと判断したときにウィルス検出のアラームを報知あるいは図示しない表示部に表示する。
【0015】
電圧信号Iaは受光強度に対応する信号であるため、しきい値Isは次のように決められる。即ち、ケース体56内を通過する大気に含まれるダストDに付着した蛍光抗体Fや薬液のミストMに含まれる蛍光抗体Fからの蛍光の強度、つまりウィルスVが存在しないときの蛍光強度と、大気中にウィルスVが含まれていて、このウィルスVに蛍光抗体Fが吸着された状態でミストMがケース体56を通過したときの蛍光強度との間の値にしきい値Isが設定される。ウィルスVに対して蛍光抗体Fは特異的に吸着することから、概略的な言い方をすれば、ウィルスVの存在により、後述の作用図である図4及び図5にも示されているように、ウィルスVが存在しないときよりも蛍光抗体Fの密度が高くなり、このためウィルスVの有無に対応する蛍光強度差が発生することになる。
【0016】
蛍光測定部5における霧化薬液の下流側には、薬液のミストMを捕捉するための例えばメッシュ体からなる薬液回収部6が設けられている。この薬液回収部6の下流側には吸引ポンプ7が設けられており、分離された気体は例えば図示しないウィルスを吸着除去するためのフィルタを介して本装置の外部に排気される。
【0017】
次に、本実施形態における作用について説明する。まず、吸引ポンプ7により大気(外気)がダスト除去部1を介して主配管8内に取り込まれ、霧化部4、蛍光測定部5及び薬液回収部6の順に流れる気流が形成され、吸引ポンプ7及び図示しないフィルタを介して排気される。このとき、ダスト除去部1にて、マイクロ流体チップ3の拡散流路31を閉塞したり蛍光測定部5における蛍光検出を妨げる虞のある大気中の粗大なダストが除去される。主配管8内に取り込まれた大気の一部は、吸気ポンプ11により、マイクロ流体チップ3の大気流入口36に送られる。また、蛍光抗体Fを含有する薬液は、薬液供給ポンプ21により薬液貯留槽2からマイクロ流体チップ3の薬液流入口37に送られる。
【0018】
そして、大気供給ポンプ12及び薬液供給ポンプ22により、大気の流量と薬液の流量とを、予め実験で求めた適正値に設定しておくことにより、マイクロ流体チップ3に送られた大気は拡散流路31における気体流路34を排気ポート38に向かって通流すると共に、マイクロ流体チップ3に送られた薬液は拡散流路における液体流路35を薬液流出ポート39に向かって流れ、大気と薬液は拡散流路31の盛り上がり部分30上で境界面を形成し並走して流れる。こうして大気と薬液とがマイクロ流体チップ3内を流れているときに、前記境界面を介して、大気中のウィルスVが薬液中に拡散し、そのウィルスVに薬液中の蛍光抗体Fが特異的に吸着する。大気と薬液は拡散流路31における出口付近の分岐部にて分離され、大気は排気ポート38を介して本装置外へ排気され、薬液は薬液流出ポート39及び案内路である配管40を介して霧化部4に送られる。
【0019】
霧化部4では、主配管8の急激な絞りにより高速化した気流により、マイクロ流体チップ3から配管40を介して送られてきた薬液が霧化部4にて霧化される。即ち、配管40の出口からこの高速気流に引き込まれて引き裂かれ、ミストM群となって当該気流に乗り、主配管8における霧化部4の下流側部分である案内路により蛍光測定部5に案内される。
【0020】
蛍光測定部5では、発光部51から霧化薬液が通流している通流部56に向かって例えば紫外レーザー光が照射される。このとき、霧化薬液中の蛍光抗体Fは紫外レーザー光により蛍光する。紫外レーザー光は光学フィルタ53により遮光されるが、蛍光波長の光は受光部54にて検出される。このとき検出される受光強度は、薬液のミストM中における蛍光抗体Fの体積密度に比例する。薬液のミストM中にウィルスVが存在しない場合、図5に示すように、ミストM中に大気中の微細なダストDが取り込まれていて、このダストDに蛍光抗体Fが付着していても蛍光抗体Fの密度はウィルスVに吸着された蛍光抗体Fの密度よりも格段に小さいことから、受光部54にて検出された受光強度は予め設定されたしきい値Isよりも小さい。これに対して、薬液のミストM中にウィルスVが存在する場合、受光部54にて検出される蛍光強度はしきい値Isよりも大きくなり、受光出力計測部55にてウィルスV検出のアラームが発せられる。
【0021】
蛍光測定部5を通過した霧化薬液Mは、薬液回収部6にて気液分離され、薬液は回収される。一方、気体は、薬液回収部6の下流側に設けられている吸引ポンプ7により、本装置外に排気される。
【0022】
上述の実施形態によれば、特定のウィルスVに吸着する蛍光抗体Fを含む薬液(水溶液)に検査対象となる大気中のウィルスVを拡散させ、この薬液をミスト化してミストMの蛍光強度を監視するようにしている。ウィルスVが存在する場合には、蛍光抗体Fが特異吸着することによりミストM中の蛍光抗体Fの数が多くなり、このためミストMから発せられる蛍光の強度が、ウィルスVが存在しない場合のミストMから発せられる蛍光の強度よりも大きくなる。このため、光学フィルタ53によりレーザー光が遮光され、当該光学フィルタ53を透過した蛍光強度を監視し、ウィルスVが存在しない場合のミストMに対応する蛍光強度(しきい値)と比較することにより、気体中に含まれるウィルスVをリアルタイムに精度良く検出することができる。また、ウィルス検出の自動化が可能なため、ウィルスVを常時モニタリングすることができる。従って、本発明のウィルス検出装置は、空港などに設置することにより迅速にウィルスVを検出することができ、速やかに対応策をとることができるなど、非常に有効である。
【0023】
上述の実施形態では、主配管8において気流を形成する大気とマイクロ流体チップ3にて薬液と接触させる大気とは、共にダスト除去部1を通過した同じ系統から供給されている。しかし、主配管8におけるダスト除去部1とは別個にダスト除去部を設け、主配管8とは別個の配管からマイクロ流体チップ3に大気を供給してもよい。
【0024】
図1の実施形態ではマイクロ流体チップ3を設けていたが、図6に示すように、マイクロ流体チップ3を設けずに、薬液貯留槽2に薬液供給管40の一端側を浸漬すると共に、当該薬液供給管40の他端側を先の実施形態と同様に主配管8の絞り部分81に突入して設け、霧化部4を構成するようにしてもよい。この場合には、吸引ポンプ7により形成される主配管8内の気流により薬液供給管40の他端側が負圧となって、薬液貯留槽2内の薬液が当該薬液供給管40を介して主配管8内に引き込まれて霧化(ミスト化)される。そして、大気中のウィルスVは、主配管8から霧化部4を通過するときに、薬液供給管40の他端側から引き裂かれてミスト化する薬液に取り込まれる。従って、薬液中へのウィルスVの拡散は霧化部4により行われることになるため、この例では霧化部4が拡散部を兼用しているということができる。この例においても、既述の実施形態と同様の効果が得られる。
このように霧化部4が拡散部を兼用する例において、図7に示すように、薬液供給管40の途中に薬液供給ポンプ21を設け、この薬液供給ポンプ21の送液動作により薬液貯留槽2内の薬液を霧化部4に送り出すようにしてもよい。
【0025】
また、図1の実施形態では、拡散部としてマイクロ流体チップ3を用いたが、図8に示すように、拡散部として曝気槽90を用い、当該曝気槽90内の薬液中に散気装置91により大気と薬液とを接触させ、これにより大気中のウィルスVを薬液中に拡散させてもよい。図8中93は、通気ポートである。この場合、配管40の一端を曝気槽90内に浸漬し、吸引ポンプ7の吸引による気流により薬液を配管40の他端側から引き込んで霧化してもよいが、図7と同様に配管40の途中に薬液供給ポンプを設けるようにしてもよい。
【0026】
更にまた、本ウィルス検出装置は、図9に示すように、内管94及び外管95からなる二重管96の前記内管94の先端開口部を絞り、この二重管96の先端側を蛍光測定部5のケース体56に接続し、例えば前記ケース体56における二重管96の先端と対向する面に吸引管97を接続するようにしてもよい。この場合には、二重管96の内管94に薬液を供給すると共に、外管95に大気を通流する。薬液は、例えば図示しない薬液供給ポンプにより内管94に送られるようにしてもよい。吸引ポンプ7を駆動することにより、大気が外管95内に引き込まれ、この大気の気流により内管94からの薬液が霧化されてミスト群がケース体56内に飛散し、発光部51からのレーザー光の透光領域をミスト群が通過することとなる。この例では、二重管96の先端部分が拡散部及び霧化部を兼用することとなる。
【0027】
以上において、大気は外気であってもよいが、人が吐く息であってもよく、この場合、例えば大気取り込み用の配管の一端をラッパ状に広げ、このラッパ状部分に口を近づけて、ここから人の息を当該配管に導入するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0028】
D 大気中のダスト
F 蛍光抗体
V ターゲットウィルス
1 ダスト除去部
11 吸気ポンプ
12 大気流量調整部
13 分岐管
2 薬液貯留槽
21 薬液供給ポンプ
22 薬液流量調整部
3 マイクロ流体チップ
30 盛り上がり部分
31 拡散流路(溝部)
32 蓋体
33 基体
34 気体流路
35 液体流路
36 大気流入口
37 薬液流入口
38 排気ポート
39 薬液流出ポート
4 霧化部
5 蛍光測定部
51 発光部
52 ガラス窓
53 光学フィルタ
54 受光部
55 受光出力計測部
6 薬液回収部
7 吸引ポンプ
8 主配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウィルスを特異的に吸着する蛍光抗体を含む水溶液と検査対象の気体とを接触させて当該気体中のウィルスを水溶液中に拡散させ、気体中に含まれるウィルスに蛍光抗体を吸着させるための拡散部と、
前記水溶液を霧化し、前記気体が拡散された水溶液のミスト群を形成する霧化部と、
前記ミスト群の蛍光強度を測定する蛍光測定部と、
前記霧化部から前記測定部に向う気流を形成するための気流形成機構と、を備えたことを特徴とするウィルス検出装置。
【請求項2】
前記拡散部は、前記水溶液が流れるための液体流路とこの液体流路を流れる水溶液に気体が接触しながら当該気体を通流させるために前記液体流路に並んで設けられた気体流路とからなる拡散流路と、この拡散流路の出口側に形成され、気体と水溶液とを分離して送り出す分岐部と、を備え、
前記拡散流路内に気体及び水溶液を夫々導入するための気体導入機構及び液体導入機構と、
前記分岐部において分離された水溶液を前記霧化部に案内する案内路と、を設けたことを特徴とする請求項1記載のウィルス検出装置。
【請求項3】
前記霧化部は前記拡散部を兼用していることを特徴とする請求項1記載のウィルス検出装置。
【請求項4】
ウィルスを特異的に吸着する蛍光抗体を含む水溶液と検査対象の気体とを接触させて当該気体中のウィルスを水溶液中に拡散させ、気体中に含まれるウィルスに蛍光抗体を吸着させる工程と、
前記水溶液を霧化し、前記気体が拡散された水溶液のミスト群を形成する工程と、
前記ミスト群の蛍光強度を計測する工程と、を含むことを特徴とするウィルス検出方法。
【請求項5】
気体中のウィルスを水溶液中に拡散させ、気体中に含まれるウィルスに蛍光抗体を吸着させる工程は、
前記水溶液が流れるための液体流路とこの液体流路を流れる水溶液に気体が接触しながら当該気体を通流させるために前記液体流路に並んで設けられた気体流路とからなる拡散流路と、この拡散流路の出口側に形成され、気体と水溶液とを分離して送り出す分岐部と、を備えた拡散部を用い、
前記液体流路及び気体流路内に水溶液及び気体を導入する工程であり、
前記ウィルスに蛍光抗体を吸着させる工程の後に、前記分岐部から分離された水溶液を前記霧化部に案内する工程を更に備えたことを特徴とする請求項4記載のウィルス検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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