説明

ウィンチのロープ押さえ装置

【課題】押さえローラの端面とドラムのフランジの内側面とを磨耗させることなく、ドラムの胴部に巻かれるロープがドラムのフランジと押さえローラの端部との間の隙間から抜け出るのを防ぐことが可能なウィンチのロープ押さえ装置を提供する。
【解決手段】このウィンチ102のロープ押さえ装置1では、押さえローラ4が、第1サブローラ26と第2サブローラ28との間に介在してそれら両サブローラ26,28を軸部24に沿って互いに離間させる部分を有し、その部分の軸部24に沿う方向の寸法が可変である離間部30aと、その離間部30aによって第1サブローラ26から離間された第2サブローラ28を前記一方のフランジ104a側へ移動しないように位置固定する固定部30bとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウィンチのロープ押さえ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
クレーンには、巻上ウィンチ及び起伏ウィンチが設けられており、これらウィンチのドラムには吊り作業のためのロープやブームを起伏させるためのロープが巻かれるようになっている。この種のロープは、通常、ドラムの軸方向に隙間なく整列した状態で多層状に巻き取られるようになっているが、ロープに緩みが生じた場合には、ロープが浮き上がってドラムに対して整列した状態に巻き取られず、いわゆる乱巻き状態となってしまう場合がある。また、ドラムの軸方向の寸法誤差とロープの太さの誤差の双方の要因により、ドラムの巻き溝の間隔と実際にドラムにロープが巻かれる間隔との間にずれが生じてドラムにロープがうまく巻き取られなくなり、この場合も前記乱巻きが生じ得る。
【0003】
そこで、下記特許文献1には、このようなロープの乱巻きを抑制するためにウィンチにロープ押さえ装置を設けることが開示されている。このロープ押さえ装置は、押さえローラと、支持部と、付勢ばねとを備えている。前記支持部は、2つに分かれた先端部において押さえローラを軸方向に移動しないように、かつ、回転自在に支持しているとともに、その基端部に設けられた軸を中心として回動可能となっている。この支持部は、前記押さえローラがウィンチのドラムの胴部に接近する方向へ前記軸を中心として回動するように前記付勢ばねによって付勢されている。前記押さえローラは、ウィンチのドラムの一対のフランジ間に配設されており、前記付勢ばねの付勢力によってドラムの胴部に巻かれるロープに押さえ付けられてそのロープが浮き上がるのを抑えるようになっている。これにより、前記ロープの乱巻きが抑制されるようになっている。
【0004】
そして、この特許文献1のロープ押さえ装置には、ドラムの寸法誤差及び押さえローラの寸法誤差等に起因してドラムのフランジと押さえローラの端部との間に隙間が生じ得る場合でも、その隙間からロープが抜け出るのを防ぐことが可能な構成をさらにとっている。具体的には、このロープ押さえ装置では、押さえローラが、その軸方向中央部に配置されるとともに前記支持部に支持された軸ローラと、この軸ローラの軸方向両外側に配設された一対の可動ローラとを備えており、各可動ローラは、軸ローラの端部からドラムのフランジへ向かってばね部材によりそれぞれ付勢されている。これにより、各可動ローラがドラムの対応するフランジに密着してそれらの間に隙間が生じないようになっており、その結果、前記隙間からロープが抜け出るのが防止されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−73079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示されたロープ押さえ装置では、可動ローラがばね部材によって常にドラムのフランジに押し付けられているため、可動ローラの端面とその端面が押し付けられるドラムのフランジの内側面とが磨耗する虞がある。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、押さえローラの端面とドラムのフランジの内側面とを磨耗させることなく、ドラムの胴部に巻かれるロープがドラムのフランジと押さえローラの端部との間の隙間から抜け出るのを防ぐことが可能なウィンチのロープ押さえ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、クレーンに搭載されたウィンチのドラムの一対のフランジ間に位置する胴部に対して巻き付けられるロープを押えるためのウィンチのロープ押さえ装置であって、前記一対のフランジ間に配設され、前記胴部に巻かれる前記ロープに前記胴部の径方向外側から接触してそのロープの浮き上がりを抑える押さえローラと、前記押さえローラをその軸回りに回転自在に支持する支持部とを備え、前記押さえローラは、前記支持部によって回転自在に支持されるとともにその支持部から一方の前記フランジ側へ延びる軸部と、前記支持部よりも前記一方のフランジ側の位置で前記軸部の周りに取り付けられる第1ローラ部と、前記第1ローラ部よりも前記一方のフランジ側の位置で前記軸部の周りに取り付けられるとともにその軸部に沿って移動可能に当該軸部に取り付けられる第2ローラ部と、前記第1ローラ部と前記第2ローラ部との間に介在してそれら両ローラ部を前記軸部に沿って互いに離間させる部分を有し、その部分の前記軸部に沿う方向の寸法が可変である離間部と、その離間部によって前記第1ローラ部から離間された前記第2ローラ部を前記一方のフランジ側へ移動しないように位置固定する固定部とを含むことを特徴とするものである。
【0009】
この請求項1に記載の発明では、離間部を用いて、第2ローラ部が軸部に沿って第1ローラ部から前記一方のフランジ側へ離間する距離を調節することができるとともに、その離間距離を調節した状態で第2ローラ部を固定部により前記一方のフランジ側へ移動しないように位置固定することができる。これにより、ウィンチのドラムの胴部の軸方向の寸法に合わせて、第2ローラ部が前記一方のフランジに接触しない状態を保ちながら、その第2ローラ部とフランジとの間の隙間をドラムの胴部に巻かれるロープが抜け出ないような大きさに調節することができる。その結果、押さえローラの第2ローラ部の端面とドラムのフランジの内側面とを磨耗させることなく、ドラムの胴部に巻かれるロープがドラムのフランジと押さえローラの端部との間の隙間から抜け出るのを防ぐことができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のウィンチのロープ押さえ装置において、前記離間部は、前記第1ローラ部と前記第2ローラ部との間に挟み込まれるように前記軸部に着脱可能な複数のスペーサからなることを特徴とするものである。
【0011】
この請求項2に記載の発明によれば、複数のスペーサのうち両ローラ部間に挟み込む数を調節するか、もしくは、各スペーサを厚みの異なるものにしてそれらのスペーサの中から適当な厚みのスペーサを選んで両ローラ部間に挟み込むことによって第2ローラ部が第1ローラ部から前記一方のフランジ側へ離間する距離を調節することができ、その第2ローラ部とフランジとの間の隙間を調節することができる。そして、この請求項2に記載の発明では、スペーサにより第1ローラ部と第2ローラ部との間の隙間が埋められるので、そのような隙間においてロープの押さえが効かなくなるといった不都合が生じるのを防ぐことができる。すなわち、この請求項2の発明によれば、スペーサによって、第2ローラ部とフランジとの間の隙間の調節及び両ローラ部間の隙間へのロープの入り込みの防止の両方を行うことが可能となる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のウィンチのロープ押さえ装置において、前記スペーサは、前記軸部がその径方向に進入可能な形状の切欠き部を有し、その切欠き部に前記軸部が進入した状態で前記第1ローラ部と前記第2ローラ部との間に挟み込まれることを特徴とするものである。
【0013】
この請求項3に記載の発明によれば、軸部に取り付けられた第2ローラ部を取り外すことなく、第1ローラ部と第2ローラ部との間において軸部にスペーサを径方向に着脱することができる。これにより、スペーサの着脱作業を簡略化することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のウィンチのロープ押さえ装置において、前記第1ローラ部と前記第2ローラ部のうち一方のローラ部の前記軸部に対する取り付け部の周りには、当該一方のローラ部を軸方向に貫通する貫通孔が設けられ、前記離間部は、前記第1ローラ部と前記第2ローラ部のうち他方のローラ部に固定されるとともに前記軸部に沿って延び、前記貫通孔に挿通される調節用雄ねじ部と、前記一方のローラ部と前記他方のローラ部との間で前記調節用雄ねじ部に螺合し、前記一方のローラ部に当接してその一方のローラ部と前記他方のローラ部との間の間隔を設定するための調節用雌ねじ部とを含むことを特徴とするものである。
【0015】
この請求項4に記載の発明によれば、調節用雄ねじ部に螺合する調節用雌ねじ部の位置をその調節用雄ねじ部に沿って無段階に調節することができるので、当該調節用雌ねじ部により設定される前記両ローラ部間の間隔を無段階に調節することができ、それによって第2ローラ部の前記軸部に沿った位置をより精密に調節することができる。その結果、この構成では、ドラムの胴部の軸方向の寸法に非常に微小な誤差がある場合でも、その微小な誤差にきめ細かく対応して、第2ローラ部をドラムのフランジに接触させずに、その第2ローラ部とフランジとの間の隙間をロープが抜け出ないような大きさに調節することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のウィンチのロープ押さえ装置において、前記第1ローラ部と前記第2ローラ部とのいずれか一方には、それら両ローラ部間の隙間の径方向外側を覆うカバー部が設けられていることを特徴とするものである。
【0017】
この請求項5に記載の発明によれば、前記調節用雄ねじ部と前記調節用雌ねじ部によって両ローラ部を互いに離間させることに起因して両ローラ部間に隙間が形成される場合であっても、その隙間の径方向外側をカバー部によって覆うことができ、当該隙間にロープが入り込んでそのロープの押さえが効かなくなるのを防ぐことができる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載のウィンチのロープ押さえ装置において、前記固定部は、前記軸部に設けられた固定用雄ねじ部と、その軸部に対する前記第2ローラ部の取り付け位置よりも前記一方のフランジ側の位置で当該軸部の前記固定用雄ねじ部に対して螺合し、その第2ローラ部が前記一方のフランジ側へ移動するのを規制する固定用雌ねじ部とを含み、前記第2ローラ部の前記一方のフランジに対向する端面には、凹部が形成され、この凹部内に前記固定用雌ねじ部が収容されていることを特徴とするものである。
【0019】
この請求項6に記載の発明によれば、固定用雌ねじ部により第2ローラ部が前記一方のフランジ側へ移動するのを規制して軸部に沿った第2ローラ部の位置を固定することができるとともに、その固定用雌ねじ部を第2ローラ部の端面に設けられた凹部内に収容してその固定用雌ねじ部が前記一方のフランジに当たるのを避けることができる。すなわち、この請求項6に記載の発明によれば、軸部に対する第2ローラ部の取り付け位置よりも前記一方のフランジ側の位置で固定用雌ねじ部により第2ローラ部を位置固定する場合でも、その固定用雌ねじ部が当たることによってドラムのフランジの内側面が磨耗するのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明のウィンチのロープ押さえ装置によれば、押さえローラの端面とドラムのフランジの内側面とを磨耗させることなく、ドラムの胴部に巻かれるロープがドラムのフランジと押さえローラの端部との間の隙間から抜け出るのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態によるロープ押さえ装置が適用されたウィンチの上面図である。
【図2】図1に示したウインチ及びロープ押さえ装置の側面図である。
【図3】図1中のIII−III線に沿ったロープ押さえ装置の断面図である。
【図4】第1実施形態によるロープ押さえ装置の押さえローラの軸方向に直交する断面図である。
【図5】図3に示したロープ押さえ装置の断面図のうち押さえローラ近傍の部分を拡大して示す図である。
【図6】第1実施形態によるロープ押さえ装置の押さえローラに用いられるスペーサの平面図である。
【図7】本発明の第2実施形態によるロープ押さえ装置の押さえローラの軸方向に沿った断面図のうちその押さえローラの軸方向の端部近傍の部分を部分的に示す図である。
【図8】スペーサの変形例を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0023】
(第1実施形態)
まず、図1〜図6を参照して、本発明の第1実施形態によるウィンチ102のロープ押さえ装置1について説明する。
【0024】
この第1実施形態によるロープ押さえ装置1は、クレーンに搭載された各ウィンチ102(巻上ウィンチ又は起伏ウィンチ)に付設されており、そのウィンチ102のドラム104の一対のフランジ104a間に位置する胴部104bに対して巻き付けられるロープ50を押さえるためのものである。このロープ押さえ装置1は、ロープ50を押さえることにより、ドラム104の胴部104bからのロープ50の浮き上がりを抑えてロープ50の乱巻きを抑制する。
【0025】
具体的には、ウィンチ102は、図1に示すように、クレーン(図示せず)上に架台103を介して設置されており、ドラム104と、そのドラム104を回転駆動させる駆動モータ106とを備えている。
【0026】
ドラム104は、その軸方向に離間して配置された一対のフランジ104aと、その一対のフランジ104a間に配置された胴部104bとを有している。このドラム104がその軸回りに駆動モータ106によって回転させられることにより、当該ドラム104の胴部104bの外周に吊り作業又はブームの起伏に用いられるロープ50(図2参照)が巻かれる。このロープ50は、通常、胴部104bの軸方向に隙間なく整列した状態で多層状に巻かれるようになっている。胴部104bの外周面には、多数の溝部104cが当該胴部104bの軸方向に並んで形成されている。胴部104bに巻かれる1層目のロープ50は、この各溝部104cに沿って胴部104bの軸方向の一端側から他端側へ隙間なく巻かれていき、胴部104bの軸方向の他端部まで巻かれると、その1層目の上に2層目が胴部104bの他端側から一端側へ向かって巻かれていく。このように、通常は、胴部104bに対して軸方向に往復しながら多層状にかつ隙間なく整列した状態でロープ50が巻かれるようになっている。
【0027】
しかし、ロープ50に何らかの要因により緩みが生じた場合には、ロープ50が胴部104bの径方向外側へ浮き上がって列飛びが生じたり、隣りの列のロープ50上に重なったりし、それによってロープ50の乱巻きが生じてしまう虞がある。この第1実施形態のロープ押さえ装置1は、このようなロープ50の胴部104bからの浮き上がりを押さえて、ロープ50の乱巻きを抑制するために用いられる。
【0028】
このロープ押さえ装置1は、図3及び図4に示すように、支持機構2と、押さえローラ4とを備えている。
【0029】
支持機構2は、押さえローラ4をその軸回りに回転自在に支持するとともに、その押さえローラ4を前記胴部104bに接近する方向へ付勢するように構成されている。この支持機構2は、支持部取付部6と、支持部8と、付勢部保持部10と、付勢部12とを有する。
【0030】
支持部取付部6は、前記架台103に固定されたベース105に設けられており、支持部8のうち後述する支持アーム8aの基端部を支持している。ベース105は、ドラム104の後方に隣接した位置においてドラム104の軸心と略平行に延びており、支持部取付部6は、このベース105の長手方向、すなわちドラム104の軸方向に離間して一対設けられている。各支持部取付部6は、ドラム104の軸心と略平行に配置されたアーム支持軸6aをそれぞれ備えている。この各支持部取付部6のアーム支持軸6aは、同軸に配置されており、その各アーム支持軸6aによって支持部8の後述する各支持アーム8aの基端部がそれぞれ支持される。
【0031】
支持部8は、押さえローラ4を回転自在に支持するものであり、一対の支持アーム8aと、一対の軸受8bと、連結部材8cとを有する。
【0032】
一対の支持アーム8aは、押さえローラ4の軸方向に互いに離間して配設されており、その押さえローラ4を回転自在に支持する。各支持アーム8aの基端部には、対応する前記アーム支持軸6aに外嵌する嵌合部8dが設けられている。この嵌合部8dは、アーム支持軸6aに対して軸回りに回動可能に外嵌している。これにより、支持アーム8aは、その基端部側を中心として揺動可能となっており、その揺動により当該支持アーム8aの先端部がドラム104の胴部104bに対して接離するようになっている。
【0033】
前記軸受8bは、一対の支持アーム8aの先端部の外側面にそれぞれ設けられている。各支持アーム8aは、この軸受8bを介して押さえローラ4の後述する軸部24をその軸回りに回転自在に支持している。
【0034】
連結部材8cは、図3に示すように、一対の支持アーム8a間に架設されており、それら一対の支持アーム8aを連結して一体化している。この連結部材8cは、各支持アーム8aのうち嵌合部8dから当該支持アーム8aの先端側に隣接した部分同士を連結している。
【0035】
付勢部保持部10は、付勢部12を保持するためのものであり、一対の支持部取付部6の間でそれら各支持部取付部6から均等な距離を隔てた位置においてベース105に取り付けられている。この付勢部保持部10は、前記アーム支持軸6aと同軸に配設された付勢部取付軸10aと、ベース105に固定され、付勢部取付軸10aを支持する取付軸支持部10bとを有している。
【0036】
付勢部12は、両支持アーム8aの先端部が胴部104bに接近するように支持部8を付勢する。これにより、両支持アーム8aの先端部で支持された押さえローラ4が胴部104bに接近する方向へ付勢され、胴部104bに巻かれるロープ50がその押さえローラ4によって押さえつけられる。付勢部12は、図4に示すようにねじりコイルバネからなり、付勢部取付軸10aの周りに巻回されている。この付勢部12のねじりコイルバネの一端は、付勢部保持部10の取付軸支持部10bの一部に当接している一方、他端は、連結部材8cに当接しており、当該ねじりコイルバネの弾発力が連結部材8cに付与されて支持部8が上記のように付勢されるようになっている。
【0037】
押さえローラ4は、ドラム104の一対のフランジ104a間に配設されており、胴部104bに巻かれるロープ50に胴部104bの径方向外側から接触してそのロープ50の浮き上がりを抑える。
【0038】
この押さえローラ4は、図5に示すように、メインローラ22と、一対の軸部24と、一対の第1サブローラ26と、一対の第2サブローラ28と、位置調節部30とを有する。
【0039】
メインローラ22は、押さえローラ4において軸方向の中央部に配置される比較的長いローラである。このメインローラ22の両端部の軸心の位置には、外側へ突出するように軸部24がそれぞれ設けられている。各軸部24は、押さえローラ4の軸方向に延びており、対応する支持アーム8aの先端部によって回転自在に支持されるとともにその支持アーム8aの先端部から外側、すなわち隣接するフランジ104a(図3参照)側へ向かって延びている。この各軸部24は、対応する支持アーム8aの先端部に設けられた軸受8bの内輪部材8eに挿嵌されて固定されており、軸受8bの外輪部材8fは、支持アーム8aの先端部の外側面に固定されている。この構造により、支持アーム8aの先端部に対して軸部24がその軸回りに回転自在となっている。そして、軸部24が支持アーム8aに回転自在に支持されることによって、メインローラ22がその軸回りに回転自在となっている。
【0040】
一対の第1サブローラ26は、メインローラ22の軸方向両外側に分かれて配置されており、メインローラ22と一体的に回転可能となっている。この第1サブローラ26は、本発明の第1ローラ部の概念に含まれるものである。各第1サブローラ26には、その軸心と同軸に挿通孔26aが形成されており、この挿通孔26aに支持アーム8aの先端部から外側へ延びる軸部24が挿通されている。すなわち、第1サブローラ26は、支持部8の軸受8bよりも対応するフランジ104a側の位置で軸部24の周りに取り付けられている。
【0041】
各第1サブローラ26は、メインローラ22と等しい外径を有しており、当該第1サブローラ26の軸受8b側の端面は、その軸受8bの内輪部材8eの端部に当接している。また、各第1サブローラ26には、その軸受8b側の端部から軸受8bの径方向外側を囲うようにメインローラ22側へ延びる第1サブローラカバー部26bが設けられている。この第1サブローラカバー部26bは、第1サブローラ26及びメインローラ22と等しい外径を有しており、この第1サブローラカバー部26bによって第1サブローラ26の軸受8b側の端面と対向する支持アーム8aの先端部の外側面との間の隙間の径方向外側が覆われている。これにより、支持アーム8aの先端部から外側に突出するように軸受8bが設けられていることに起因してその支持アーム8aの先端部と対向する第1サブローラ26の端面との間に隙間が形成されていても、その隙間へのロープ50の入り込みが防止される。
【0042】
各第2サブローラ28は、対応する第1サブローラ26の外側に配置されている。この第2サブローラ28は、本発明の第2ローラ部の概念に含まれるものである。各第2サブローラ28には、その軸心と同軸に挿通孔28aが形成されており、その挿通孔28aに対応する前記軸部24が挿嵌されている。すなわち、各第2サブローラ28は、第1サブローラ26よりも隣接するフランジ104a側の位置で軸部24の周りに取り付けられている。なお、第2サブローラ28は、軸部24に沿って移動可能に当該軸部24に外嵌している。第2サブローラ28のうち第1サブローラ26側の端部から軸方向の中央部辺りまでの部分は、第1サブローラ26と等しい外径を有しており、その中央部辺りから隣接するフランジ104a側の端部までの部分は、その端部側へ向かうにつれて徐々に小径となるように外面がテーパー状に形成されている。また、各第2サブローラ28のうち隣接するフランジ104aに対向する端面には、凹部28bが形成されている。
【0043】
位置調節部30は、一方の第1サブローラ26及び第2サブローラ28と、他方の第1サブローラ26及び第2サブローラ28とに対してそれぞれ設けられており、第2サブローラ28が第1サブローラ26から隣接するフランジ104a側へ軸部24に沿って離間する距離を調節するため及びその離間距離を調節した状態で第2サブローラ28の位置を固定するために用いられるものである。この位置調節部30は、離間部30aと、固定部30bとによって構成されている。
【0044】
離間部30aは、第1サブローラ26と第2サブローラ28との間に介在してそれら両サブローラ26,28を軸部24に沿って互いに離間させるものであり、その両サブローラ26,28間に挟み込まれる部分の軸部24に沿う方向の寸法が可変となっている。
【0045】
具体的には、この離間部30aは、第1サブローラ26と第2サブローラ28との間に挟み込まれるように軸部24に着脱可能な複数のスペーサ30cからなる。各スペーサ30cは、図6に示すように、その軸心と同軸に挿通孔30dが形成された円板状の部材であり、その挿通孔30dに軸部24が挿通するようになっている。このスペーサ30cは、第1サブローラ26の外径及び第2サブローラ28の第1サブローラ26側の端部の外径と等しい外径を有している。このため、スペーサ30cが両サブローラ26,28間の軸部24に装着された状態で、第1サブローラ26、スペーサ30c及び第2サブローラ28の第1サブローラ26側の端部の各外周面は面一となる。
【0046】
そして、複数のスペーサ30cのうち両サブローラ26,28間に挟み込む数を調節するか、もしくは、各スペーサ30cを厚みの異なるものにしておいてそれらのスペーサ30cの中から適当な厚みのスペーサ30cを選んで両サブローラ26,28間に挟み込むことによって両サブローラ26,28間の間隔を調節できるようになっている。この両サブローラ26,28間の間隔の調節によって、第2サブローラ28が第1サブローラ26から隣接するフランジ104a側へ離間する距離が調節可能となっている。
【0047】
固定部30bは、離間部30aによって第1サブローラ26から離間された第2サブローラ28を隣接するフランジ104a側へ移動しないように位置固定するためのものである。この固定部30bは、固定用雄ねじ部30eと固定用雌ねじ部30fとを有する。
【0048】
固定用雄ねじ部30eは、各軸部24の先端部にそれぞれ設けられており、対応する第2サブローラ28の前記凹部28b内に突出している。そして、固定用雌ねじ部30f(ナット)が、各固定用雄ねじ部30eにそれぞれ螺合しており、この各固定用雌ねじ部30fは、対応する第2サブローラ28の凹部28b内に収容されている。すなわち、固定用雌ねじ部30fは、軸部24に対する第2サブローラ28の取り付け位置よりも対応するフランジ104a側の位置で固定用雄ねじ部30eに螺合している。そして、固定用雌ねじ部30fが締め込まれることによって、第2サブローラ28、第1サブローラ26及びそれら両サブローラ26,28間に挟み込まれたスペーサ30cが、軸受8bの内輪部材8eと当該固定用雌ねじ部30fとの間で固定されて軸部24と一体化されるとともに、第2サブローラ28が離間部30aに対して第1サブローラ26側へ向かって押し当てられた状態で位置固定され、その第2サブローラ28が隣接するフランジ104a側へ移動するのが規制されるようになっている。
【0049】
次に、ドラム104の寸法誤差及び押さえローラ4の寸法誤差等があった場合に、この第1実施形態によるロープ押さえ装置1において、押さえローラ4の端部とドラム104のフランジ104aとの間の隙間を調整する方法について説明する。
【0050】
まず、固定用雄ねじ部30eに螺合して締め込まれている固定用雌ねじ部30fを緩めて固定用雄ねじ部30eから固定用雌ねじ部30fを取り外し、その後、第2サブローラ28を軸部24から取り外す。
【0051】
次に、適当な枚数のスペーサ30cもしくは適当な厚みのスペーサ30cを軸部24に外嵌させ、その後、第2サブローラ28を第1サブローラ26との間にスペーサ30cを挟んだ状態で軸部24に取り付け直す。この際、第2サブローラ28の外側の端面と対向するフランジ104aとの間にロープ50が抜け出ないような大きさの隙間が形成されるようにスペーサ30cの枚数を調節するか又は適切な厚みのスペーサ30cを用いることによって第2サブローラ28の軸部24に沿った位置を調節する。
【0052】
最後に、固定用雌ねじ部30fを固定用雄ねじ部30eに螺合させて締め込み、第2サブローラ28の軸部24に沿った位置を固定するとともに、第1サブローラ26、第2サブローラ28及びそれら両サブローラ26,28間に挟み込まれたスペーサ30cを軸部24に対して固定する。
【0053】
以上説明したように、第1実施形態では、離間部30aのスペーサ30cを用いて、第2サブローラ28が軸部24に沿って対応する第1サブローラ26から隣接するフランジ104a側へ離間する距離を調節することができるとともに、その離間距離を調節した状態で第2サブローラ28を固定部30bによりフランジ104a側へ移動しないように位置固定することができる。これにより、ウィンチ102のドラム104の胴部104bの軸方向の寸法に合わせて、第2サブローラ28が隣接するフランジ104aに接触しない状態を保ちながら、その第2サブローラ28とフランジ104aとの間の隙間を胴部104bに巻かれるロープ50が抜け出ないような大きさに調節することができる。その結果、押さえローラ4の第2サブローラ28の端面とドラム104のフランジ104aの内側面とを磨耗させることなく、ドラム104の胴部104bに巻かれるロープ50がドラム104のフランジ104aと押さえローラ4の端部との間の隙間から抜け出るのを防ぐことができる。
【0054】
また、第1実施形態では、第1サブローラ26と第2サブローラ28とを互いに離間させる離間部30aが、第1サブローラ26と第2サブローラ28との間に挟み込まれるように軸部24に着脱可能に取り付けられる複数のスペーサ30cからなるので、複数のスペーサ30cのうち両サブローラ26,28間に挟み込むスペーサ30cの数を調節するか、もしくは、各スペーサ30cを厚みの異なるものにしてそれらのスペーサ30cの中から適当な厚みのスペーサ30cを選んで両サブローラ26,28間に挟み込むことによって第2サブローラ28が第1サブローラ26から隣接するフランジ104a側へ離間する距離を調節することができ、その第2サブローラ28と隣接するフランジ104aとの間の隙間を調節することができる。そして、この第1実施形態では、スペーサ30cにより第1サブローラ26と第2サブローラ28との間の隙間が埋められるので、そのような隙間においてロープ50の押さえが効かなくなるといった不都合が生じるのを防ぐことができる。すなわち、この第1実施形態によれば、スペーサ30cによって、第2サブローラ28と隣接するフランジ104aとの間の隙間の調節及び両サブローラ26,28間の隙間へのロープ50の入り込みの防止の両方を行うことが可能となる。
【0055】
また、第1実施形態では、軸部24の固定用雄ねじ部30eに螺合して、第2サブローラ28が隣接するフランジ104a側へ移動するのを規制する固定用雌ねじ部30fが、第2サブローラ28のフランジ104aに対向する端面に形成された凹部28b内に収容されるので、固定用雌ねじ部30fがフランジ104aに当たるのを避けることができる。すなわち、この第1実施形態では、軸部24に対する第2サブローラ28の取り付け位置よりもフランジ104a側の位置で固定用雌ねじ部30fにより第2サブローラ28の位置を固定する場合でも、その固定用雌ねじ部30fが当たることによってドラム104のフランジ104aの内側面が磨耗するのを防ぐことができる。
【0056】
(第2実施形態)
次に、図7を参照して、本発明の第2実施形態によるウィンチ102のロープ押さえ装置1について説明する。
【0057】
この第2実施形態によるウィンチ102のロープ押さえ装置1は、前記第1実施形態と異なり、調節用雄ねじ部30gと調節用雌ねじ部30hとによって第1サブローラ26と第2サブローラ28との間の間隔を設定するようになっている。
【0058】
具体的には、この第2実施形態では、離間部30aが、調節用雄ねじ部30gと、調節用雌ねじ部30hと、第1固定ナット30iと、第2固定ナット30jとを備えている。
【0059】
第1サブローラ26の軸部24に対する取り付け部の周り、すなわち第1サブローラ26の挿通孔26aの周りには、軸方向に貫通する複数の貫通孔26dが設けられており、第2サブローラ28の軸部24に対する取り付け部の周り、すなわち第2サブローラ28の挿通孔28aの周りには、軸方向に貫通する複数の貫通孔28dが設けられている。両サブローラ26,28の貫通孔26d,28dには、ボルトからなる調節用雄ねじ部30gがメインローラ22側から挿通されている。この調節用雄ねじ部30gは、軸部24に沿って延びており、当該調節用雄ねじ部30gの頭部(ボルト頭)は、第1サブローラ26のメインローラ22側であって第1サブローラカバー部26bにより径方向外側が覆われた空間内に配置されている。調節用雄ねじ部30gには、第1サブローラ26の対応する第2サブローラ28側の位置において第1固定ナット30iが螺合しており、この第1固定ナット30iと調節用雄ねじ部30gの頭部との間で第1サブローラ26を挟み込むことによって調節用雄ねじ部30gが第1サブローラ26に固定されている。
【0060】
そして、調節用雄ねじ部30gのうち両サブローラ26,28間でかつ第1固定ナット30iの螺合箇所よりも先端側の箇所にナットからなる調節用雌ねじ部30hが螺合している。この調節用雌ねじ部30hが第2サブローラ28の第1サブローラ26側の端面に当接することによって両サブローラ26,28間の間隔が設定されるようになっている。そして、前記固定部30bの固定用雌ねじ部30fが、第2サブローラ28を調節用雌ねじ部30hに対して第1サブローラ26側へ向かって押し当てた状態でその第2サブローラ28を位置固定するようになっている。また、調節用雄ねじ部30gの先端部は、第2サブローラ28の貫通孔28dを通って第2サブローラ28の凹部28b内に配置されており、この先端部に第2固定ナット30jが螺合している。従って、第2固定ナット30jは、第2サブローラ28の凹部28b内に収容されている。この第2固定ナット30jと調節用雌ねじ部30hとの間で第2サブローラ28を挟み込むことによって調節用雄ねじ部30gと第2サブローラ28とが互いに固定されている。
【0061】
また、第2サブローラ28には、当該第2サブローラ28と第1サブローラ26との間の隙間の径方向外側を覆う第2サブローラカバー部28fが設けられている。この第2サブローラカバー部28fは、本発明のカバー部の概念に含まれるものである。第2サブローラカバー部28fは、第2サブローラ28の第1サブローラ26側の端部からメインローラ22側へ延びる円筒状に形成されており、両サブローラ26,28間の隙間の径方向外側を覆うとともに第1サブローラ26の外周面に重なっている。第2サブローラ28の位置を軸部24に沿ってずらす場合には、第1サブローラ26の外周面に対して第2サブローラカバー部28fが摺動するようになっている。この第2サブローラカバー部28fは、メインローラ22と等しい外径を有している。
【0062】
この第2実施形態によるロープ押さえ装置1の上記以外の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0063】
次に、この第2実施形態によるロープ押さえ装置1において、押さえローラ4の端部とドラム104のフランジ104aとの間の隙間を調整する場合には、まず、固定用雄ねじ部30eに螺合して締め込まれている固定用雌ねじ部30fを緩めるとともに、調節用雄ねじ部30gに螺合している第2固定ナット30jを緩める。
【0064】
次に、調節用雌ねじ部30hを回して、第2サブローラ28の外側の端面と対向するフランジ104aとの間にロープ50が抜け出ないような大きさの隙間が形成されるように第2サブローラ28の軸部24に沿った位置、すなわち第1サブローラ26から第2サブローラ28が軸部24に沿って離間する距離(両サブローラ26,28間の間隔)を調節する。そして、この調節後、第2固定ナット30jを締め込むとともに固定用雌ねじ部30fを締め込んで第2サブローラ28の軸部24に沿った位置を固定する。
【0065】
この第2実施形態では、調節用雄ねじ部30gに螺合する調節用雌ねじ部30hの位置をその調節用雄ねじ部30gに沿って無段階に調節することができるので、当該調節用雌ねじ部30hにより設定される両サブローラ26,28間の間隔を無段階に調節することができ、それによって第2サブローラ28の軸部24に沿った位置を精密に調節することができる。その結果、この第2実施形態では、ドラム104の胴部104bの軸方向の寸法に非常に微小な誤差がある場合でも、その微小な誤差にきめ細かく対応して、第2サブローラ28をドラム104のフランジ104aに接触させずに、その第2サブローラ28とフランジ104aとの間の隙間をロープ50が抜け出ないような大きさに調節することができる。
【0066】
また、この第2実施形態では、第2サブローラ28に第1サブローラ26との間の隙間の径方向外側を覆う第2サブローラカバー部28fが設けられているので、上記のように調節用雄ねじ部30gと調節用雌ねじ部30hとによって両サブローラ26,28を互いに離間させてそれら両サブローラ26,28間の間隔を設定することに起因して、その両サブローラ26,28間に隙間が形成される場合であっても、その隙間の径方向外側を第2サブローラカバー部28fによって覆うことができる。そのため、当該隙間にロープ50が入り込んでそのロープ50の押さえが効かなくなるのを防ぐことができる。
【0067】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均一の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0068】
例えば、図8に示すように、スペーサ30cが、径方向に軸部24が進入可能な形状の切欠き部30kを有しており、その切欠き部30kに軸部24が進入した状態で両サブローラ26,28間に当該スペーサ30cが挟み込まれるようになっていてもよい。
【0069】
このように構成すれば、固定用雌ねじ部30fを緩めた後、第2サブローラ28を軸部24から取り外すことなく、第1サブローラ26と第2サブローラ28との間において軸部24にスペーサ30cを径方向に着脱することができる。これにより、スペーサ30cの着脱作業を簡略化することができる。
【0070】
また、支持機構2において、支持アーム8aの先端部で支持された押さえローラ4がドラム104の胴部104bに接近するように支持部8を付勢する付勢部12は必ずしも必要ではなく、押さえローラ4が自重により胴部104bに巻かれるロープ50を押さえつけるように構成されていてもよい。
【0071】
また、支持アーム8aは、一対設けられていなくてもよく、所望の強度を持っているのであれば、1つの支持アームが押さえローラ4を片持ち支持するような構成であってもよい。
【0072】
さらに、軸部24、第1サブローラ26及び第2サブローラ28も、一対設けられている必要はなく、片側のみ設けられていてもよい。
【0073】
また、押さえローラ4のうちメインローラ22は、必ずしも必要ではなく、ローラとしては第1サブローラと第2サブローラのみが設けられていてもよい。例えば、支持アームの先端部が押さえローラの軸方向中央部を支持しており、その先端部の両側にそれぞれ第1サブローラ及び第2サブローラが設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 ロープ押さえ装置
4 押さえローラ
8 支持部
24 軸部
26 第1サブローラ(第1ローラ部)
28 第2サブローラ(第2ローラ部)
28b 凹部
28d 貫通孔
28f 第2サブローラカバー部(カバー部)
30a 離間部
30b 固定部
30c スペーサ
30e 固定用雄ねじ部
30f 固定用雌ねじ部
30g 調節用雄ねじ部
30h 調節用雌ねじ部
30k 切欠き部
50 ロープ
102 ウィンチ
104 ドラム
104a フランジ
104b 胴部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレーンに搭載されたウィンチのドラムの一対のフランジ間に位置する胴部に対して巻き付けられるロープを押えるためのウィンチのロープ押さえ装置であって、
前記一対のフランジ間に配設され、前記胴部に巻かれる前記ロープに前記胴部の径方向外側から接触してそのロープの浮き上がりを抑える押さえローラと、
前記押さえローラをその軸回りに回転自在に支持する支持部とを備え、
前記押さえローラは、前記支持部によって回転自在に支持されるとともにその支持部から一方の前記フランジ側へ延びる軸部と、前記支持部よりも前記一方のフランジ側の位置で前記軸部の周りに取り付けられる第1ローラ部と、前記第1ローラ部よりも前記一方のフランジ側の位置で前記軸部の周りに取り付けられるとともにその軸部に沿って移動可能に当該軸部に取り付けられる第2ローラ部と、前記第1ローラ部と前記第2ローラ部との間に介在してそれら両ローラ部を前記軸部に沿って互いに離間させる部分を有し、その部分の前記軸部に沿う方向の寸法が可変である離間部と、その離間部によって前記第1ローラ部から離間された前記第2ローラ部を前記一方のフランジ側へ移動しないように位置固定する固定部とを含むことを特徴とする、ウィンチのロープ押さえ装置。
【請求項2】
前記離間部は、前記第1ローラ部と前記第2ローラ部との間に挟み込まれるように前記軸部に着脱可能な複数のスペーサからなることを特徴とする、請求項1に記載のウィンチのロープ押さえ装置。
【請求項3】
前記スペーサは、前記軸部がその径方向に進入可能な形状の切欠き部を有し、その切欠き部に前記軸部が進入した状態で前記第1ローラ部と前記第2ローラ部との間に挟み込まれることを特徴とする、請求項2に記載のウィンチのロープ押さえ装置。
【請求項4】
前記第1ローラ部と前記第2ローラ部のうち一方のローラ部の前記軸部に対する取り付け部の周りには、当該一方のローラ部を軸方向に貫通する貫通孔が設けられ、
前記離間部は、前記第1ローラ部と前記第2ローラ部のうち他方のローラ部に固定されるとともに前記軸部に沿って延び、前記貫通孔に挿通される調節用雄ねじ部と、前記一方のローラ部と前記他方のローラ部との間で前記調節用雄ねじ部に螺合し、前記一方のローラ部に当接してその一方のローラ部と前記他方のローラ部との間の間隔を設定するための調節用雌ねじ部とを含むことを特徴とする、請求項1に記載のウィンチのロープ押さえ装置。
【請求項5】
前記第1ローラ部と前記第2ローラ部とのいずれか一方には、それら両ローラ部間の隙間の径方向外側を覆うカバー部が設けられていることを特徴とする、請求項4に記載のウィンチのロープ押さえ装置。
【請求項6】
前記固定部は、前記軸部に設けられた固定用雄ねじ部と、その軸部に対する前記第2ローラ部の取り付け位置よりも前記一方のフランジ側の位置で当該軸部の前記固定用雄ねじ部に対して螺合し、その第2ローラ部が前記一方のフランジ側へ移動するのを規制する固定用雌ねじ部とを含み、
前記第2ローラ部の前記一方のフランジに対向する端面には、凹部が形成され、この凹部内に前記固定用雌ねじ部が収容されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のウィンチのロープ押さえ装置。

【図6】
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【図8】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−215336(P2010−215336A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62810(P2009−62810)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(304020362)コベルコクレーン株式会社 (296)