説明

ウイング車輌におけるキャンバスシートの端部取付構造

【課題】振動や外圧に耐えて離脱や浸水を起さないキャンバスシートの取り付けが容易にできるウイング車輌におけるキャンバスシートの端部固定構造を提供すること。
【解決手段】ウイング扉1が長手架材2に枢着される部分の外側を覆うキャンバスシート4の端部を、受部材5と抑え部材6による挟持でウイング扉1の端部に取り付けるウイング車輌におけるキャンバスシートの端部取付構造Aであって、上記受部材5は、ウイング扉1の枢着端側に固定されて、上側にキャバスシート4の端部を撓み込ませる係止溝7を、溝壁にキャンバスシートの戻り止め8を備えるように形成され、上記抑え部材6は、キャンバスシート4の端部を挟ませて上記係止溝7へ圧入すると、係止溝7とでキャンバスシート4の端部を挟持する係合体9が形成されていること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウイング扉の枢着部を覆うキャンバスシートの端部をウイング扉に強固に取り付ける取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ウイング車輌におけるキャンバスシートの取付構造として、荷台床の前後部に立設された前壁と後壁の頂部間に左右1対のL型屋根を上下回動可能に枢支したウイング車両における前記1対のL型屋根の中央部を被覆するキャンバスシートの取付構造において、L型屋根の側枠材(14)の上方隅部近傍に長手方向に巾広の凹溝(15)を設け、前記1対のL型屋根の各側枠材(14)間を覆うキャンバスシート(16)の両端縁部を芯材を介して折曲げて膨大部を形成し、該膨大部を前記側枠材(14)の一方の側溝(15a)内に挿入したのち中央部に長手方向のV型カット部(24)を有する押圧部材(22)を前記凹溝(15)内に庄入して側枠材(14)に対し止着する技術は、特許文献1により知られている。また、荷台床の前後部に立設された前壁と後壁の頂部間に左右1対のL型屋根を上下回動可能に枢支したウイング車両における前記1対のL型屋根の中央部を被覆するキャンバスシートの取付構造において、L型屋根の側枠材(14)は上部に上方が開口した断面円形の凹構(15)を有し、該凹溝(15)にキャンバスシート(16)の端縁折返し部に柔軟性を有するチューブを挿入して巻き込んだものを挿入したのち、前記チューブ(21)内に化学反応で固化する液状体を注入して止着する技術は、特許文献2により知られている。
【特許文献1】実公平7−24276号
【特許文献2】実公平7−24277号
【0003】
しかしながら、膨大部を有するキャンバスシートの端部を押圧部材で凹溝に圧入保持する程度では、キャンバスシートの固定強度が不足して、車輌の走行中の振動、風等の外圧の作用に耐えられないため、キャンバスシートの外れを生じ易く、また、止水の機能に乏しいから、雨天時には取付部からの浸水を起し易い問題点を有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は前記問題点を解消し、振動や外圧に耐えて外れや浸水を起さないキャンバスシートの取り付けが容易にできるウイング車輌におけるキャンバスシートの端部固定構造を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、ウイング扉が長手架材に枢着される部分の外側を覆うキャンバスシートの端部を、受部材と抑え部材による挟持でウイング扉の端部に取り付けるウイング車輌におけるキャンバスシートの端部取付構造であって、上記受部材は、ウイング扉の枢着端側に固定されて、上側にキャバスシートの端部を撓み込ませる係止溝を、溝壁にキャンバスシートの戻り止めを備えるように形成され、上記抑え部材は、キャンバスシートを挟ませて係止溝へ圧入すると、係止溝とでキャンバスシートの端部を挟持する係合体が形成されていることを特徴とする。
【0006】
請求項2に係る発明は、上記受部材の係止溝へ抑え部材の係合体によりキャンバスシートを押さえ込んで該シートの挟持を行わせる受部材と抑え部材が連結部材で連結されていることを特徴とする。
【0007】
請求項3に係る発明は、上記受部材の係止溝と抑え部材の係合体とに挟持されるキャンバスシートの端部に、該シートの折り曲げ、巻き丸め、その他によって外れ止めを形成してあることを特徴とする。
【0008】
請求項4に係る発明は、上記係止溝と係合体との係合によって受部材と抑え部材を接合した後、外側と内側の両方、又は一方にコーキングを施して浸水する隙間を密封させたことを特徴とする。
【0009】
請求項5に係る発明は、ウイング扉が長手架材に枢着される部分の外側を覆うキャンバスシートの端部を、受部材と抑え部材による挟持でウイング扉の端部に取り付けるウイング車輌におけるキャンバスシートの端部取付構造であって、上記受部材は、ウイング扉の枢着端側に固定されて、上部にキャバスシートの端部を被着する係止溝を設けられ、上記抑え部材は、上記係合体にキャンバスシートの端部を挟ませて圧嵌すると、係合体とでキャンバスシートの端部を挟持するため、この係止溝は溝壁にキャンバスシートの戻り止めを形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、受部材の係止溝にキャンバスシートの端部を撓み込ませて抑え部材の係合体を係止溝に圧入すると、係止溝と係合体がシートを挟んで係合し、抑え部材と受部材を強力に接合するとともに、キャンバスシートの端部が挟持で強力に固定された該シートの取り付けができるので、取付の作業性がよくて、しかも、係止溝と係合体による該シートの挟持は、該シートを屈曲又は弯曲させて滑らない状態にできるため、車輌の走行中の振動や風等などの外圧が作用しても外れることがない強固な取り付けが可能であって、止水の効果にも優れるので、雨天時等でも内部へ水が浸入することがない。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、係合体と係止溝をキャンバスシートの端部を挟んで係合させてから、抑え部材と受部材を連結部材で結合すれば、係合体と係止溝の外れによって起きるキャンバスシート外れが完全に防止できる。
【0012】
請求項3に係る発明によれば、キャンバスシートの端部に折り曲げ、巻き丸め、その他で外れ止めを形成すれば、係止溝と係合体との係合に緩みが生じた場合でも、外れ止めでキャンバスシートが制止されて外れることがない。
【0013】
請求項4に係る発明によれば、係止溝と係合体との係合によって接合された受部材と抑え部材との両側又は一側にコーキングを施せば、浸水するおそれがある隙間が密封されるため、雨天等に走行しても内部へ水が侵入することを防止できる。
【0014】
請求項5に係る発明によれば、受部材の係止溝にキャンバスシートの端部を被着して抑え部材の係合体を圧嵌すると、係止溝と係合体がシートを挟んで嵌まり合って、抑え部材と受部材を強力に接合するとともに、キャンバスシートの端部が挟持によって強力に固定された該シートの取り付けができるので、取付の作業性がよくて、しかも、係止溝と係合体による該シートの挟持は、該シートを屈曲又は弯曲させて滑らない状態にできるため、車輌の走行中の振動や風等などの外圧が作用しても外れることがない強固な取り付けが可能であって、止水の効果にも優れるので、雨天時等でも内部へ水が浸入することがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に本発明に係るウイング車輌におけるキャンバスシートの端部固定構造の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において、各部材の内側外側の記載は、ウイング扉の枢着端側を内側、先端側を外側として行なう。
【0016】
〔実施形態1〕
図2は本発明に係るウイング車輌(図面省略)におけるキャンバスシートの端部取付構造の実施形態1を示す。この実施形態1に示す取付構造Aは、図1に示す通り、左右のウイング扉1、1が中央部の長手架材2にヒンジ3、ヒンジ3により枢着される部分の外側を覆うキャンバスシート4の端部を、受部材5と抑え部材6による挟持でウイング扉1の端部に取り付けるものであって、上記受部材5は、ウイング扉1の枢着端側へ固定されて、上側にキャンバスシート4の端部を撓み込ませる係止溝7を、溝壁にシートの戻り止め8を備えるように形成され、上記抑え部材6は、下側にキャンバスシート4を挟ませて係止溝7へ圧入すると、係止溝7とでキャンバスシート4の端部を挟持する係合体9が形成されている。
【0017】
この実施形態1に用いる受部材5は、アルミニウム等の押出成形で形成された長尺材であって、図3(a)に示す通り、内端側にウイング扉1の枢着側に取り付けるための取付孔10を所定の間隔であけられ、中央部の上側には開口が上を向くコの字形の係止溝7が設けられ、この係止溝7は両溝壁7aと溝壁7bの開口側に楔形をなす小さな戻り止め8、戻り止め8が複数ずつ形成され、更に上記係止溝7の外側には、キャンバスシート4の端末を受けて抑え部材6の下面とで挟持するキャンバスシートの受部11が付設され、この受部11は抑え部材6と接合するための接合孔12があけられている。
【0018】
抑え部材6は、アルミニウム等の押出成形で形成された長尺材であって、図3(b)に示す通り、内端部の下側に上記係止溝7に圧入する係合体9が設けられ、この係合体9は先端に円軸等の抜け止め13を形成し、更に、中央部に受部材5に付設したキャンバスシートの受部11と接合するための接合孔12があけられ、外端側には係合体9を係止溝7に圧入したとき、先端をウイング扉1へ当接して抑え部材6をほぼ水平の状態に保持する補助片14が付設されている。
【0019】
この実施形態1に示す取付構造Aは、受部材5の内端側を図2に示す通り、ポップリベット15等でウイング扉1の内端部に固定し、この受部材5の上に端末が受部11の外端に達するようにキャンバスシート4の端部を乗せて、係止溝7に対応する部分を係止溝7に撓み込ませる。そして、抑え部材6に設けた係合体9をキャンバスシート4を挟ませて係止溝7に圧入すると、係止溝7の溝壁が変形して係合体9を受け入れた後に復元し、係合体9を挟み付けて戻り止め8、戻り止め8と抜け止め13とによって形成された外れ止めにキャンバスシート4の端部に食い込ませる。このため、抑え部材6と受部材5の接合が行われるとともに、キャンバスシート4の端部の屈曲変形と挟持とによる固定が行われるので、この状態において、受部材5の受部11と抑え部材6の中央部とをポップリベット15等で接合し、抑え部材6とウイング扉1との間に生ずる間隙をコーキング16の充填で密封すれば、キャンバスシート4は強固で止水効果に優れた取り付けが容易にできる。
【0020】
なお、この実施形態1では、受部材5の係止溝7に抑え部材6の係合体9をキャンバスシート4を挟ませて圧入するとともに、キャンバスシート4の端末を受部材5に設けたシートの受部11と抑え部材6とで挟持させ、更に、抑え部材6と受部材5とをポップリベット等で接合するようにしたから、キャンバスシート4の端部をウイング扉へ強固に取り付けて、走行中の振動や風等の外圧が作用してもシートの外れを生ずることがない。
【0021】
〔実施形態2〕
図4は、本発明に係るウイング車輌(図面省略)におけるキャンバスシートの端部取付構造の実施形態2を示す。
【0022】
この実施形態2に用いる受部材5は、アルミニウム等の押出成形で形成された長尺材であって、図5(a)に示す通り、中央部にウイング扉1の枢着側端側へ取り付けるための取付孔10を所定の間隔であけられ、上側の内端と外端には図において左側に傾く立上片17と略垂直の立上片18とが設けられ、外側の立上片18は後記する垂下片19との接合孔12があけられる。また、内側の立上片17の図において右側には、立上片17に近付けて上向きのコ字形をなす係止溝7を溝壁7a、溝壁7bの高さが立上片17及び立上片18と揃うように設けられる。そして、この係止溝7は両溝壁7a、溝壁7bの開口側に鋸歯形の小さな戻り止め8、戻り止め8を複数ずつ形成する。
【0023】
抑え部材6は、アルミニウム等の押出成形で形成された長尺材であって、図5(b)に示す通り、下側の内端側と外端側に垂下片19と垂下片20を設けられて、内端側の垂下片19は上下の2箇所で上記立上片17と接するように垂直部19aと折曲部19bとで鉤形をなすように形成され、外端側の垂下片20は立上片18の外側へ馴染む傾きを有する形状に形成されて、立上片18との接合孔12があけられる。また、下側の中央部には受部材5の係止溝7へ圧入する係合体9を設けられ、この係合体9は先端に円軸等の抜け止め13が形成されている。
【0024】
この実施形態2に示す取付構造Aは、受部材5の中央部を図4に示す通りポップリベット15等でウイング扉1の内端部に固定し、この受部材5の係止溝7の上にキャンバスシート4の端部を係止溝7の外側に余剰部を取って乗せる。そして、抑え部材6を図4に示す通り、内端側が下がるように傾けて、垂下片19の折曲部19bを受部材5に設けた立上片17の基部に係合させておいて、抑え部材6の外端側を押し下げると、係合体9が係止溝7にキャンバスシート4を挟んで圧入される。このため、係止溝7の溝壁7a、溝壁7bは変形して係合体9を受け入れた後に復元し、キャンバスシート4を介して係合体9を挟み付け、戻り止め8、戻り止め8及び抜け止め13をキャンバスシート4の端部へ食い込ませるので、抑え部材6と受部材5の接合が行われるとともに、キャンバスシート4の端部は係止溝7内の部分はU字形に、抑え部材6の垂下片19と受部材5の立上片17との間の部分はZ字形に変形されて挟持力を受けるので、この状態において、受部材5の立上片18と抑え部材6の垂下片20とをポップリベット15等で接合し、抑え部材6の外側部のウイング扉1との間隙と抑え部材6の内側部とキャンバスシート4との間隙をコーキング16の充填によって閉塞すれば、キャンバスシート4は強固で止水効果に優れた取り付けが容易にできる。
【0025】
なお、この実施形態2では、受部材5に設けた係止溝7へ抑え部材6に設けた係合体9をキャンバスシート4の端部を挟ませて圧入すると、係止溝7内でキャンバスシート4の端部がU字形に変形されて挟持により内外へ戻り止め8、戻り止め8と抜け止め13が係合されるので、受部材5と抑え部材6が外れないように接合されるとともに、キャンバスシート4の端部は、上記U字形の変形に加えて、抑え部材6に設けた垂下片19と受部材5に設けた立上片17とに挟れる部分がZ字形に変形されるから、キャンバスシート4の端部は走行中に振動や風等の外圧が作用しても外れることがない強固で確実な取り付けを行われる。更に、受部材5に設けた立上片18と抑え部材6に設けた垂下片20をポップリベット15等で連結すれば、受部材5と抑え部材6との接合とシート4の端部の固定は一層強固なものとなる。
【0026】
〔実施形3〕
図6は、本発明に係るウイング車輌(図面省略)におけるキャンバスシートの端部取付構造の実施形態3を示す。
【0027】
この実施形態3に用いる受部材5は、アルミニウム等の押出成形で形成された長尺材であって、図7(a)に示す通り、内端側にウイング扉1の枢着側端部へ取り付けるための取付孔10を所定の間隔であけられ、上側の外端側にはコの字形をなす係止溝7を設けられて、この係止溝7は両溝壁7a、溝壁7bの開口側に鋸歯形をなす戻り止め8、戻り止め8が一個ずつ形成されている。
【0028】
抑え部材6は、アルミニウム等の押出成形で形成された長尺材であって、図7(b)に示す通り、下側に受部材5に設けた係止溝7に圧入する係合体9を設けられて、この係合体9は先端に円軸等の抜け止め13を形成され、係合体9より外側は下側ほど係合体9から離れるように傾斜する垂下片21が形成されている。
【0029】
この実施形態3に示す取付構造Aは、受部材5の内端側を図6に示す通りポップリベット15等でウイング扉1の内端部へ固定し、この受部材5に設けた係止溝7の上へキャンバスシート4の端部を乗せる。そして、端部の係止溝7に対応する部分を係止溝7へ撓み込ませ、抑え部材6に設けた係合体9を係止溝7内に圧入すると、係止溝7の溝壁7a、溝壁7bが変形して係合体9を受け入れた後に復元し、キャンバスシート4を介して係合体9を挟み付け、戻り止め8、戻り止め8及び抜け止め13をキャンバスシート4へ食い込ませる。このため、抑え部材6と受部材5の接合が行われるとともに、キャンバスシート4の屈曲変形と挟持とによるキャンバスシート4の端部の固定が行われる。したがって、この状態で抑え部材6の外側に図6に示す通り、コーキング16を施し、抑え部材6の内端側とキャンバスシート4との隙間及び抑え部材6の外端側とウイング扉1との間隙を密閉させれば、キャンバスシート4は強固で止水効果に優れた取り付けが容易にできる。
【0030】
〔実施形態4〕
図8は、本発明に係るウイング車輌(図面省略)におけるキャンバスシートの端部取付構造の実施形態4を示す。
【0031】
この実施形態4に用いる受部材5は、アルミニウム等の押出成形で形成された長尺材であって、図9(a)に示す通り、内端側にウイング扉1の枢着側端部に取り付けるための取付孔10を所定の間隔であけられ、上側の外端側には、上向きのコ字形をなす係止溝7を設けられ、この係止溝7は両溝壁7a、溝壁7bの開口側に鋸歯形をなす戻り止め8、戻り止め8が一個ずつ形成され、更に、係止溝7の外側には立上片22が設けられ、この立上片22は外側の上部に鋸歯形をなす係止爪23が形成されている。
【0032】
抑え部材6は、アルミニウム等の押出成形で形成された長尺材であって、図9(b)に示す通り、内端側の下側に受部材5に設けた係止溝7に圧入する斜めの係合体9が設けられ、外端側の下側には垂下片24が設けられて、この垂下片24の内側の下側に上記係止爪23とは反対向きに鋸歯形の係合爪25が形成されている。
【0033】
この実施形態4に示す取付構造Aは、受部材5の内端側を図8に示す通り、ポップリベット15等でウイング扉1の内端部に固定し、この受部材5に設けた係止溝7の上にキャンバスシート4の端部を乗せる。そして、端部の係止溝7に対応する部分を係止溝7へ撓み込ませ、抑え部材6に設けた係合体9を係止溝7内へ圧入すると、係止溝7の溝壁が変形して係合体9を受け入れた後に復元し、キャンバスシート4を介して係合体9を挟み付け、戻り止め8、戻り止め8をキャンバスシート4へ食い込ませるとともに、垂下片24に設けた係合爪25の斜面と、立上片22に設けた係止爪23の斜面とが係合し、垂下片24と立上片22を変形させて係合爪25と係止爪23を掛かり合わせるので、抑え部材6と受部材5の接合が行われるとともに、キャンバスシート4の屈曲変形と挟持とによるキャンバスシート4の端部の固定が行われる。したがって、この状態において抑え部材6の外側に図8に示す通りに抑え部材6を包み込むようにコーキング16を施し、抑え部材6の内端側とキャンバスシート4との隙間及び抑え部材6の外端側とウイング扉1との間隙を密閉させれば、キャンバスシート4は強固で止水効果に優れた取り付けが容易にできる。
【0034】
なお、この実施形態4では、受部材5に設けた係止溝7に抑え部材6に設けた係合体9をシートの端部を挟ませて圧入すると、係止溝7内でキャンバスシート4の端部がU字形に変形されて溝壁と係合体9とで挟持され、これに伴い、受部材5に設けた立上片22と抑え部材6に設けた垂下片24とは、係止爪23と係合爪25との掛かり合いによって連結され、受部材5と抑え部材6との接合を安定させる。
【0035】
〔実施形態5〕
図10は、本発明に係るウイング車輌(図面省略)におけるキャンバスシートの端部取付構造の実施形態5を示す。
【0036】
この実施形態5に用いる受部材5は、アルミニウム等の押出成形で形成された長尺材であって、図11(a)に示す通り、内端側にウイング扉1の枢着側に取り付けるための取付孔10が所定の間隔であけられ、中央部の上側には、内側に欠円形の係止溝7を、その外側には開口側が曲込縁26で若干搾られた上向きのコ字形溝27を形成され、外側端の上側には係止溝7とコ字形溝27に高さを合わせた立上片28を設けられて、この立上片28は上部の外側に鋸歯形をなす係合爪29が形成されている。
【0037】
抑え部材6は、アルミニウム等の押出成形で形成された長尺材であって、図11(b)に示す通り、下側に上記受部材5に設けた係止溝7に圧入する係合体9と、コ字形溝27の開口に入り込む凸部30が設けられ、係合体9は先端に円軸等の抜け止め13が形成されている。また、抑え部材6は内端側の下側に受部材5に設けた係止溝7とでキャンバスシート4の端部を挟む垂下片31が設けられて、この垂下片31の係止溝7に対応する側に複数の凸部32を形成され、外端側の下側には受部材5に設けた立上片28に対応する垂下片33が設けられて、この垂下片33の基部内側には立上片28に設けた係合爪29を係合させる凹部34が形成されている。
【0038】
この実施形態5に示す取付構造Aは、受部材5の内端側を図10に示す通り、ポップリベット15等でウイング扉1の内端部に固定し、この受部材5の上へキャンバスシート4の端部を引き入れて、その端部に図10に示す通り、芯材35の巻き込み等で形成されている止め部材36をコ字形溝27に収まらせ、係止溝7に対応する部分を係止溝7に撓み込ませて、係合体9を係止溝7に合わせて抑え部材6を押し下げると、抑え部材6に設けた係合体9が係止溝7を変形させて溝内へ圧入される。すると、係合体9と係止溝7との間でキャンバスシート4の端部が屈曲、弯曲等の変形をした状態で挟持され、係止溝7と抑え部材6に設けた垂下片31との間でもキャンバスシート4が弯曲されて挟持され、更に、コ字形溝27では凸部30による止め部材36の抑え込みが行われ、これに伴い、受部材5に設けた立上片28の係合爪29が、抑え部材6に設けた垂下片33の凹部34へ係止して、係止溝7への係合体9の係合と相俟って抑え部材6と受部材5との接合を行うので、この状態において抑え部材6の外端側に図10に示す通りコーキング16を施し、抑え部材6の外端側とウイング扉1との間隙を密閉させれば、キャンバスシート4は強固で止水効果に優れた取り付けが容易にできる。
【0039】
なお、この実施形態5では、受部材5に設けた係止溝7に抑え部材6に設けた係合体9をシート4の端部を挟ませて圧入すると、係止溝7内でシート4の端部が弯曲や屈曲変形されて係止溝7と係合体9で挟持されるとともに、コ字形溝27内には凸部30で止め部材36が抑え込まれ、更に、係止溝7と抑え部材6に設けた垂下片31の間でもキャンバスシート4の挟持が行われて、キャンバスシート4の取り付けを極めて強固なものとなるので、走行中の振動や風などの外圧が作用してもシートの端部が外れない取り付けができる。
【0040】
〔実施形態6〕
図12は、本発明に係るウイング車輌(図面省略)におけるキャンバスシートの端部取付構造の実施形態6を示す。
【0041】
この実施形態6に用いる受部材5は、アルミニウム等の押出成形で形成された長尺材であって、図13(a)に示す通り、内端側に滑り止めの部材37を収めて接合等で固定する凹部38を設けられ、この凹部38にはウイング扉1の枢着側に取り付けるための取付孔10が所定の間隔であけられる。そして、外端側の上部には開口を内端側に向けたコ字形の係止溝7が設けられて、この係止溝7の下側の溝壁7bの内側には鋸歯形をなす数個の戻り止め8を形成され、上側の溝壁7aの内側端には先端が円弧形をなす凸部39を形成され、外側端側には張出片40が付設されている。
【0042】
抑え部材6は、アルミニウム等の押出成形で形成された長尺材であって、図13(b)に示す通り、下側の全面をシート4の抑え部41としてあり、外端側には先丸の楔形をなす係合体9を外向きに設けられて、この係合体9の内側端の上部に上記係止溝7の溝壁7aに設けた凸部39を係合させる受溝42が形成されている。
【0043】
この実施形態6に示す取付構造Aは、受部材5の内端側に設けた凹部38を図12に示す通り、ポップリベット15等でウイング扉1の内端部へ固定し、凹部38に滑り止め部材37を嵌合して接着等で固定する。そして、受部材5に設けた係止溝7にキャンバスシート4の端部を先端が溝底へ達するように乗せて、係止溝7へに抑え部材6に設けた楔形の係合体9を圧入すると、係合体9は斜面により係止溝7の上側の溝壁7aを押し上げながら進み、押し上げの反力をキャンバスシート4に加えて、係合体9と受部材5によるキャンバスシート4の挟持が十分な力で行われるようになったとき、係止溝7の溝壁7aに設けた凸部39が係合体9の受溝42へ係合して係合体9を制止するので、抑え部材6と受部材5の接合が行われるとともに、キャンバスシート4の端部は広面積の挟持と戻り止め8及び滑り止め部材37の作用で確実に固定される。従って、この状態において受部材5の張出片40とウイング扉1との間へコーキング16を充填して、受部材5とウイング扉1との間隙を密閉させれば、キャンバスシート4は強固で止水効果に優れた取り付けが容易にできる。
【0044】
なお、この実施形態6では、受部材5に設けた係止溝7に抑え部材6に設けた係合体9をキャンバスシート4の端部を挟ませて圧嵌すると、キャンバスシート4が抑え部材6により受部材5へ押し付けられて、広い面積による挟持を行われるとともに、受部材5にはシート4の戻り止め8と滑り止め部材37が設けられて、キャンバスシート4の固定力を強化している。
【0045】
〔実施形態7〕
図14は、本発明に係るウイング車輌(図面省略)におけるキャンバスシートの端部取付構造の実施形態7を示す。
【0046】
この実施形態7に用いる受部材5は、アルミニウム等の押出成形で形成された長尺材であって、図15(a)に示す通り内端側にウイング扉1の枢着側に取り付けるための取付孔10を所定の間隔であけられ、中間の上側に梯形をなす凸部43を設けられて、外端側の上部には開口を内端側に向けたコ字形の係止溝7を設けられ、この係止溝7は上下の溝壁7aと溝壁7bの開口側に楔形をなす一対の戻り止め8、戻り止め8が形成されている。
【0047】
抑え部材6は、アルミニウム等の押出成形で形成された長尺材であって、図15(b)に示す通り、上片6aと下片6bが連結片6cで連結されて横向きのH字形断面をなすように成形されて、その幅は下片6bの内側端が受部材5の中間に設けた凸部43へ接近して、この凸部43とでキャンバスシート4を挟むように設定される。そして、上片6aと下片6bの外端側には、上記係止溝7へ圧入する一対の係合体9、係合体9が付設されて、これら係合体9、係合体9は、上側及び下側に係止溝7の溝壁7a、溝壁7bに設けた戻り止め8、戻り止め8を係合させる係止溝44、係止溝44が形成されている。
【0048】
また、抑え部材6は、図14に示す通り受部材5に設けた係止溝7内に収めて係止溝7の溝壁7cとでシート4の端部を挟ませる抑え材45と、係止溝7内に圧入した係合体9、係合体9の間へ挿し入れて、係合体9、係合体9に設けた係止溝44、係止溝44に係止溝7に設けた戻り止め8、戻り止め8が係合した状態を保持させる挟み材46を組み合わせて使用するものであり、上記抑え材45はゴム等の滑りにくい材料で図15(c)に示す通りの方形断面の長尺材に形成し、挟み材46はアルミニウム等の押出成形で図15(d)に示す通り、横向きの変形T字形断面をなす長尺材に形成してある。
【0049】
更に、上記抑え部材6は、上片6aと下片6bとを連結する連結片6cに、図15(b)に示す通りねじ孔47をあけ、このねじ孔47へ水密リング48を装着したねじ49を螺合して、このねじ49で挟み材46を抑えさるようにしてある。
【0050】
この実施形態7に示す取付構造Aは、受部材5の内端側を図14に示す通りポップリベット15等でウイング扉1の内端部に固定し、この受部材5の上にキャンバスシート4の端部を引き入れて、その先端を抑え材45で図14に示す通り、係止溝7の奥側に抑え込む。そして、係止溝7の開口側に抑え部材6に設けた係合体9、係合体9を圧入すると、係合体9、係合体9は相互に接近するように変形して、係止溝7に設けた戻り止め8、戻り止め8を乗り越えて係止溝7内に収まり、先端を抑え材45に接するから、係合体9、係合体9の間へ挟み材46を挿入して、この挟み材46を連結片6cに設けたねじ孔47にねじ49を螺合し、挟み材46を抑えさせておけば、受部材5と抑え部材6は、抑え材45と挟み材46とねじ49とから構成される連結部材で連結されるとともに、キャンバスシート4の端部が係止溝7内での屈曲変形と、抑え部材6と受部材5による広面積での挟持及び複数の屈曲変形で確実に固定される。従って、この状態において係止溝7の外側と、抑え部材6の内側に図14に示す通り、コーキング16を施して、抑え部材6とウイング扉1と隙間及び抑え部材6とキャンバスシート4との間隙を密閉させれば、キャンバスシート4は強固で止水効果に優れた取り付けが容易にできる。
【0051】
なお、この実施形態7では、受部材5に設けた係止溝7に抑え部材6に設けた係合体9、係合体9をキャンバスシート4の端部を挟ませて圧入すると、係止溝7内でキャンバスシート4の端部がコ字形に屈曲変形されるとともに、抑え部材6と受部材5との間では広面積の挟持に加えて、複数の屈曲変形が行われるので、シートの端部は走行中の振動や風等の外圧が作用しても外れることがない強固で確実な取り付けが行われる。更に、この取り付け構造は、係合体9を係止溝7に係合させた後、係合体9、係合体9の間に挟み材46を入れて、係止溝7よりの外れを防止したから、抑え部材6と受部材5との接合及びキャンバスシート4の端部の固定が一層強固に行なわれる。
【0052】
〔実施形態8〕
図16は、本発明に係るウイング車輌(図面省略)におけるキャンバスシートの端部取付構造の実施形態8を示す。
【0053】
この実施形態8に用いる受部材5は、アルミニウム等の押出成形で形成された長尺材であって、図17(a)に示す通り、中央部にウイング扉1の枢着側に取り付けるための取付孔10が所定の間隔であけられ、外端側の上側にはキャンバスシート4の端部を被せ着ける係合体9を設けられて、この係合体9は立上部9aとその上端から外側に張り出す水平部9bとで形成される。また、この係合体9は、外側端の下側に鋸歯形をなす係止爪50が形成されている。
【0054】
抑え部材6は、アルミニウム等の押出成形で形成された長尺材であって、図17(b)に示す通り、外端側の下側に上記係合体9に圧嵌するコの字形の係止溝7を開口が内側へ向くように形成されて、下側の溝壁7bの先端下部に鋸歯形をなす係合爪51を形成され、また、内側端の下側には係止溝7の底部とで溝壁とで上記係合体9の水平部9bを挟む凸部52が形成されている。
【0055】
この実施形態8に示す取付構造Aは、受部材5の中央部を図16に示す通りポップリベット15等でウイング扉1の内端部へ固定し、この受部材5に設けた係合体9の水平部9bに、キャンバスシート4の端部を水平部9bより先へ十分な余剰部が出るように乗せる。そして、係合体9の水平部9bに抑え部材6に設けた係止溝7を、キャンバスシート4を挟ませて圧嵌すると、キャンバスシート4の端部は係止溝7によりU字形に折り返されて係合体9との間に挟持され、これに伴い、係止溝7の下側の溝壁7bに設けた係合爪51は、受部材5に設けた係止爪50を乗り越え、この係止爪50と掛かり合って抑え部材6と受部材5を接合するので、この状態において図16に示す通り、抑え部材6を包み込むようにコーキング16を施して、抑え部材6の内端側とキャンバスシート4との隙間及び抑え部材6の外端側とウイング扉1との間隙を密閉させれば、キャンバスシート4は強固で止水効果に優れた取り付けが容易にできる。
【0056】
なお、この実施形態8では、受部材5に設けた係合体9へ抑え部材6に設けた係止溝7をシートの端部を挟ませて圧入すると、係止溝7内でキャンバスシート4の端部がU字形に変形されて溝壁7bと係合体9とで挟持され、これに伴い、係止溝7の溝壁7bに設けた係合爪51が受部材5に設けた係止爪50に係合するため、抑え部材6と受部材5との接合が確実に行なわれる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明に係る取付構造は、ウイング扉の枢着部を覆うキャンバスシートの端部をウイング扉へ外れや浸水を起さないように容易に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明に係る取付構造でキャンバスシートの端部をウイング扉に取り付けた説明図。
【図2】同上取付構造の実施形態1を示す断面図。
【図3】(a)(b)は、同上実施形態に用いた受部材と抑え部材の断面図。
【図4】同上取付構造の実施形態2を示す断面図。
【図5】(a)(b)は、同上実施形態に用いた受部材と抑え部材の断面図。
【図6】同上取付構造の実施形態3を示す断面図。
【図7】(a)(b)は、同上実施形態に用いた受部材と抑え部材の断面図。
【図8】同上取付構造の実施形態4を示す断面図。
【図9】(a)(b)は、同上実施形態に用いた受部材と抑え部材の断面図。
【図10】同上取付構造の実施形態5を示す断面図。
【図11】(a)(b)は、同上実施形態に用いた受部材と抑え部材の断面図。
【図12】同上取付構造の実施形態6を示す断面図。
【図13】(a)(b)は、同上実施形態に用いた受部材と抑え部材の断面図。
【図14】同上取付構造の実施形態7を示す断面図。
【図15】(a)(b)(c)(d)は、同上実施形態に用いた受部材、抑え部材、抑え材、挟み材の断面図。
【図16】同上取付構造の実施形態8を示す断面図。
【図17】(a)(b)は、同上実施形態に用いた受部材と抑え部材の断面図。
【符号の説明】
【0059】
A キャンバスシートの端部取付構造
1 ウイング扉
2 長手架材
4 キャンバスシート
5 受部材
6 抑え部材
7 係止溝
8 戻り止め
9 係合体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウイング扉が長手架材に枢着される部分の外側を覆うキャンバスシートの端部を、受部材と抑え部材による挟持でウイング扉の端部に取り付けるウイング車輌におけるキャンバスシートの端部取付構造であって、
上記受部材は、ウイング扉の枢着端側に固定されて、上側にキャバスシートの端部を撓み込ませる係止溝を、溝壁にキャンバスシートの戻り止めを備えるように形成され、
上記抑え部材は、キャンバスシートの端部を挟ませて上記係止溝に圧入すると、係止溝とでキャンバスシートの端部を挟持する係合体が形成されている
ことを特徴としたウイング車輌におけるキャンバスシートの端部取付構造。
【請求項2】
上記受部材の係止溝に抑え部材の係合体によりキャンバスシートの端部を抑え込んで該シートの挟持を行わせる受部材と抑え部材とが連結部材で連結されている
ことを特徴とする請求項1に記載のウイング車輌におけるキャンバスシートの端部取付構造。
【請求項3】
上記受部材の係止溝と抑え部材の係合体とに挟持されるキャンバスシートの端部に、該シートの折り曲げ、巻き丸め、その他によって外れ止めが形成されている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のウイング車輌におけるキャンバスシートの端部取付構造。
【請求項4】
上記係止溝と係合体との係合によって受部材と抑え部材を接合した後、外側と内側の両方又は一方にコーキングを施して浸水する隙間を密封させた
ことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載のウイング車輌におけるキャンバスシートの端部取付構造。
【請求項5】
ウイング扉が長手架材に枢着される部分の外側を覆うキャンバスシートの端部を、受部材と抑え部材による挟持でウイング扉の端部に取り付けるウイング車輌におけるキャンバスシートの端部取付構造であって、
上記受部材は、ウイング扉の枢着端側に固定されて、上部にキャバスシートの端部を被着する係止溝を設けられ、
上記抑え部材は、上記係合体にキャンバスシートの端部を挟ませて圧嵌すると、係合体とでキャンバスシートの端部を挟持する係合体を設けられて、この係止溝は溝壁にキャンバスシートの戻り止めを形成されている
ことを特徴としたウイング車輌におけるキャンバスシートの端部取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−44513(P2008−44513A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−221433(P2006−221433)
【出願日】平成18年8月15日(2006.8.15)
【出願人】(000250432)理研軽金属工業株式会社 (89)