ウインチ及び該ウインチを用いた移動システム
【課題】複数のワイヤロープ等の紐状体をそれぞれ1台のウインチで移動することで装置全体を簡素化し、各ワイヤロープ等の紐状体の調整が容易に行え、安全性にとんだウインチ及び該ウインチを用いた移動システムを提供する。
【解決手段】巻回ドラムを回転駆動することでワイヤロープ等の紐状体を取り込み移動するとともに取り出し移動する無端状のウインチ1において、ウインチ本体には、少なくとも2以上の駆動軸3が設けられ、各駆動軸には径がそれぞれ同一又は相違する巻回ドラム5が設けられ、且つ各巻回ドラムの一又は複数の溝に巻回されたワイヤロープ等の紐状体の取り込み移動及び取り出し移動又は各巻回ドラム間の移動を補助すべく、各巻回ドラムの回転に連動してワイヤロープ等の紐状体を断続的に押圧しながらワイヤロープ等の紐状体の移動をガイドするための押圧ガイド手段6が、1又は複数個設けられている。
【解決手段】巻回ドラムを回転駆動することでワイヤロープ等の紐状体を取り込み移動するとともに取り出し移動する無端状のウインチ1において、ウインチ本体には、少なくとも2以上の駆動軸3が設けられ、各駆動軸には径がそれぞれ同一又は相違する巻回ドラム5が設けられ、且つ各巻回ドラムの一又は複数の溝に巻回されたワイヤロープ等の紐状体の取り込み移動及び取り出し移動又は各巻回ドラム間の移動を補助すべく、各巻回ドラムの回転に連動してワイヤロープ等の紐状体を断続的に押圧しながらワイヤロープ等の紐状体の移動をガイドするための押圧ガイド手段6が、1又は複数個設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同時に複数のワイヤロープ等の紐状体を無端状に移動することのできるウインチ及び該ウインチを用いた移動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ゴルフ練習場等の屋外の施設で防球用として使用するネットは、空間部の大きさに応じて設置された複数の無端状ウインチと、空間部を形成する支柱間にカイド用ワイヤロープに沿って吊り張りされた複数のネットと、各支柱の上下間に滑車を介して吊り張りされた駆動用ワイヤロープとから構成され、各ウインチを駆動することで駆動軸を回転駆動して巻回ドラムを回転する。そして、該巻回ドラムの外周縁に形成された溝に巻回された駆動用ワイヤロープを滑車間で無端状に移動し、該駆動用ワイヤロープに一端を連結したネットをガイド用ワイヤロープに沿って昇降移動する。
【0003】
また、室内練習場等の屋内の施設で防球用や間仕切り用として使用するネットは、大空間部に対応するためにその面積が大きくなりこのため、複数に分割したネットを組み合わせて防球用や間仕切り用として使用する。前記各ネットを開閉する場合は、ネットの上端側に複数の吊張用ワイヤロープを連結し、複数のウインチを用いて該吊張用ワイヤロープを昇降移動する方式、又は上記と同様にガイド用ワイヤロープに沿って吊り張りされた複数のネットを、複数のウインチで駆動する複数の駆動用ワイヤロープを滑車間で無端状に移動して、ネットをガイド用ワイヤロープに沿って移動することで開閉移動する方式等が採用されている。
【0004】
また、他の施設の使用として、レジャー施設の大型のプールの上方全体に紫外線をカットするためのUVシート(複数に分割したシート)の開閉移動、高層建築等の建設現場における防雨対策/安全対策用ネットやシートの昇降移動、高速道路における防霧用/防雪用のネットやシート等がある。
【0005】
上記のように、ウインチを用いた移動システムは大きく分けると屋内用システムと、屋外用システムに分けることができる。
【0006】
屋内の場合は、天井部分又はその周辺上部を利用してウインチを設置し、使用目的に応じて空間部を囲むように防球用ネットを取り付け、又は間仕切り用ネットを取り付けて開閉/昇降移動したり又は収納移動したりするシステムとして利用され、屋外の場合は、自然の影響、特に風の影響を受けやすく、風の強い日に素早くネットを収納する必要があり、空間部を囲むように防球用ネットを取り付けて開閉移動するネット等を速やかに開閉移動するシステムが使用されている。
【0007】
上記屋内外で使用されるウインチとしては、全体が矩形状のウインチ本体と、ウインチ本体に駆動軸を介して取り付けられたモーターよりなる駆動部(電動式の場合)とから構成され、前記駆動軸にはワイヤロープを外周に形成された溝に巻回して移動する巻回ドラムが取り付けられ、巻回ドラムの外周にはワイヤロープが巻回されている範囲に沿ってワイヤロープを溝側へ押圧して移動するローラーチェーンが設けられ、該ローラーチェーンの両端側はウインチ本体に設けられた弾性体により張設されている(特開2000−351580号公報参照)ウインチが使用されている。
【0008】
上記従来のウインチは上記構成により、常に巻回ドラムの回転方向にローラーチェーンが引っ張られた状態となり、ワイヤロープの巻回ドラムへの取り込み側が押圧されワイヤロープの巻回ドラムよりの取り出し側がフリー状態となるために、ワイヤロープ移動中の力をロスなく、適切に移動することができる。このために、上記各施設等においては、複数の上記ウインチを制御盤を介して同期させて大面積のネットや複数のネットを開閉等に移動していた。
【0009】
しかしながら、上記従来より使用されているウインチは、1つの巻回ドラムで1本のワイヤロープを移動しているために、複数のネットをワイヤロープで移動するシステムにおいては、複数台のウインチを同期して駆動する必要があるが、ウインチの数が多くなるとそれぞれのウインチで移動するワイヤロープの移動距離が相違するために、ワイヤロープに弛みや撓みが発生しやすく、各ウインチを同期して駆動することは困難を要する。
【0010】
また、空間部を広く利用するためには複数台ウインチを必要とするが、施設によってはウインチの設置スペースが十分でなく全てのウインチを適切に設置できない。
【0011】
そこで、ウインチの本体に2つ又は複数の巻回ドラムを設け、1台のウインチで同時に複数のワイヤロープを移動することが可能とすることで、各ウインチの同期が容易で、しかも設置スペースを少なくして上記各問題を解決することが考えられた。
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記2つ又は複数の巻回ドラムを設けたウインチにおいては、各巻回ドラムに巻回されたワイヤロープにかかる荷重が相違するとワイヤロープに弛み又は撓みが発生し、各ワイヤロープをスムーズに移動することができないという欠点があった。
【0013】
また、各巻回ドラム間に1本のワイヤロープを巻回して使用する場合においても、巻回ドラムに複数回巻き付けて使用するために巻回ドラムの溝の幅等によりワイヤロープに弛み又は撓みが発生し、各ワイヤロープをスムーズに移動することができないという欠点があった。
【0014】
さらに、各ワイヤロープにかかる荷重の相違により各巻回ドラムへの巻回が十分にできない場合が発生するという欠点があった。
【0015】
そこで、本発明は、複数のワイヤロープ等の紐状体をそれぞれ1台のウインチで移動することで駆動システム全体を簡素化し、各ワイヤロープ等の紐状体の調整が容易に行え、安全性にとんだウインチ及び該ウインチを用いた移動システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は上記課題を解決するためのウインチの第1の手段は、請求項1に記載のように、ワイヤロープ等の紐状体を外周に形成された溝に巻回するための巻回ドラムと、巻回ドラムを正回転又は逆回転駆動するための駆動軸とが設けられたウインチ本体から構成され、巻回ドラムを回転駆動することでワイヤロープ等の紐状体を取り込み移動するととともに取り出し移動する無端状のウインチにおいて、ウインチ本体には、少なくとも2以上の駆動軸が設けられ、各駆動軸には径がそれぞれ同一又は相違する巻回ドラムが設けられ、且つ各巻回ドラムの一又は複数の溝に巻回されたワイヤロープ等の紐状体の取り込み移動及び取り出し移動又は各巻回ドラム間の移動を補助すべく、各巻回ドラムの回転に連動してワイヤロープ等の紐状体を断続的に押圧しながら、ワイヤロープ等の紐状体の移動をガイドするための押圧ガイド手段が、1又は複数個設けられていることを特徴とする。
【0017】
本発明は上記課題を解決するためのウインチを用いた移動システムの第1の解決手段は、請求項2に記載のように、ウインチ本体に設けられた駆動軸を用いて巻回ドラムを正回転又は逆回転駆動することでワイヤロープ等の紐状体を巻回ドラム側に取り込み移動するとともに取り出し移動する無端状のウインチを用いてネット等の吊張体を開閉/昇降移動するウインチを用いた移動システムにおいて、ウインチ本体に設けられた少なくとも2以上の駆動軸にそれぞれ設けられた同一又は相違する径の巻回ドラムをそれぞれ同時に回転駆動することにより各巻回ドラムの一又は複数の溝にそれぞれ巻回された複数のワイヤロープ等の紐状体を溝側に断続的に押圧しながら、その移動方向に応じてその移動をガイドして、同時に複数のワイヤロープ等の紐状体を取り込み移動及び取り出し移動することで複数のネット等の吊張体を吊り張り形状に応じて開閉/昇降移動することを特徴とする。
【0018】
本発明は上記課題を解決するためのウインチを用いた移動システムの第2の解決手段は、請求項3に記載のように、ウインチ本体に設けられた駆動軸を用いて巻回ドラムを正回転又は逆回転駆動することでワイヤロープ等の紐状体を巻回ドラム側に取り込み移動するとともに取り出し移動する無端状のウインチを用いてネット等の吊張体を開閉/昇降移動するウインチを用いた移動システムにおいて、ウインチ本体に設けられた少なくとも2以上の駆動軸にそれぞれ設けられた同一又は相違する径の巻回ドラムをそれぞれ同時に回転駆動することにより各巻回ドラムの一又は複数の溝にそれぞれ巻回された一つのワイヤロープ等の紐状体を溝側に断続的に押圧しながら、その移動方向に応じてその移動をガイドして、ワイヤロープ等の紐状体を各巻回ドラム間で駆動移動するとともに巻回ドラムの一方より取り込み移動し巻回ドラムの他方より取り出し移動することで複数のネット等の吊張体を開閉/昇降移動することを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0019】
本発明の第1の手段によるウインチは、先ず、ネットに連結され、滑車間で無端状に吊り張りした複数のワイヤロープ等の紐状体をウインチ本体に設けられた少なくとも2以上の巻回ドラムのそれぞれ外周に形成された一又は複数の溝に巻回して取り付ける。この状態で複数のワイヤロープ等の紐状体は、別々の巻回ドラムにそれぞれ巻回され、巻回ドラムの回転が別々に伝達されることとなる。
【0020】
その後、ウインチ本体に設けられた各駆動軸を正方向に回転駆動することで、上記2以上の巻回ドラムそれぞれ同期して回転し、ワイヤロープ等の紐状体を巻回ドラムの回転にそって移動することで、該ワイヤロープ等の紐状体に連結されたネット等の吊張体を所望の方向(水平方向又は昇降方向)に吊り張り移動する。
【0021】
この際、ウインチ本体には、押圧ガイド手段が設けられているために、各巻回ドラムの溝に巻回された各ワイヤロープ等の紐状体をそれぞれ連動しながら巻回ドラム側に断続的に押圧するとともに、各ワイヤロープ等の紐状体をガイドに沿って移動して、スムーズに各ワイヤロープ等の紐状体を各巻回ドラムの一方側より取り込み移動するととともに各巻回ドラムの他方側より取り出し移動する。
【0022】
次に、前記ウインチ本体に設けられた各駆動軸を上記と逆方向に回転駆動することで、2以上の巻回ドラムをそれぞれ同期して逆回転し、ワイヤロープ等の紐状体を巻回ドラムの回転にそって上記と逆方向に移動することで、連結されたネットを水平方向、又は昇降方向に収納移動する。
【0023】
この際も、前記と同様に押圧ガイド手段により、各巻回ドラムの溝に巻回されたワイヤロープ等の紐状体をそれぞれ連動しながら巻回ドラム側に断続的に押圧するとともに、各ワイヤロープ等の紐状体をガイドに沿って移動してスムーズに各ワイヤロープ等の紐状体を各巻回ドラムの他方側より取り込み移動するととともに各巻回ドラムの他方側より一方側に取り出し移動する。
【0024】
また、上記駆動軸を駆動する際、各駆動軸に設けられている各巻回ドラムの大きさ(径)が同一の場合は、各巻回ドラムに巻回されたワイヤロープ等の紐状体を同じ距離のみ移動することができ、各巻回ドラムの大きさ(径)が相違する場合は、相違する移動距離応じた巻回ドラムを選択して、それぞれ相違する距離ワイヤロープ等の紐状体を移動することができる。
【0025】
また、各ワイヤロープ等の紐状体の移動距離の相違による荷重等の調整も上記押圧ガイド手段でスムーズ行うことができるので、巻回ドラムの径の調整も容易に行うことが可能である。
【0026】
このため、1台のウインチであっても、ウインチ本体に設けられた駆動軸の数に応じたウインチ台数と同様の効果を得ることができる。
【0027】
しかも、各ワイヤロープ等の紐状体のそれぞれの移動方向がそれぞれ相違する場合であっても、ウインチ本体への押圧ガイド手段の取り付け位置を変更することで、自在に対応することができるために、施設等でウインチの取り付け位置等に制限がある場合であっても自在に対応することができる。
【0028】
このため、メンテナンスにおいても、点検/取り替えするウインチ数が少なく、また、各ワイヤロープ等の紐状体の使用による弛み/撓みも巻回ドラムの取り替え等で容易に処理でき、メンテナンス作業が従来に比し格段にスムーズに行えることとなる。
【0029】
また、1本のワイヤロープ等の紐状体をウインチ本体に設けられた2以上の巻回ドラムに巻回することで、従来と同様に1本のワイヤロープ等の紐状体をウインチで移動できる。この際、各巻回ドラムを同期して回転することで1つの巻回ドラムでワイヤロープ等の紐状体を移動する場合に比し、強い回転駆動力でワイヤロープ等の紐状体をスムーズに取り込み及び取り出し移動することができる。
【0030】
このため、従来のように巻回ドラムがワイヤロープ等の紐状体の荷重に対応できずに、空回りすることなく確実に移動することができ、ワイヤロープ等の紐状体の磨耗も極力抑えることができる。
【0031】
このように、本発明のウインチは、1台で同時に複数のワイヤロープ等の紐状体を移動することができるので、設置するウインチの台数を少なくしコストの低減を可能とする。
【0032】
従って、簡易な構成で複数のワイヤロープ等の紐状体を移動することができるので、少ないスペースにウインチを設置することができる。
【0033】
また、巻回ドラムが駆動軸に着脱可能なので適切な大きさ(径)の巻回ドラムを装着して対応することができるので、あらゆる種類の施設や装置に対応して、設置及び使用することができる。
【0034】
また、各巻回ドラムへのワイヤロープ等の紐状体の取り入れ側と取り出し側とが相違する場合であっても、それぞれ各巻回ドラムに巻回して自在に移動することができる。
【0035】
また、駆動軸に設けられた同一又は相違する径の少なくとも1以上の巻回ドラムをそれぞれ同時に回転駆動することにより制御した複数のワイヤロープ等の紐状体を同時に同方向又は相違する方向に移動して、ネット等の吊張体を左右/昇降移動することガできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明のウインチ及び該ウインチを用いた移動システムの一実施例について下記のような各図面を用いて説明する。
【0037】
図1は本発明のウインチを示す概略説明正面図であり、図2は押圧ガイド体を示す概略説明正面図であり、図3、図4はウインチの巻回ドラムにそれぞれ別の紐状体を巻回した使用状態を示す概略説明正面図であり、図5、図6ウインチの巻回ドラムに1つの紐状体を巻回した使用状態を示す概略説明正面図であり、図7、図8は、本発明のウインチを用いた移動システムを示す概略説明図であり、図9、図10は、本発明の巻回ドラムに対しての押圧ガイド体の押圧状態を示す概略説明側面図、図11、図12は本発明の2個の巻回ドラムに1つの紐状体に巻回した場合を示す概略説明図、図13は複数のネット等の吊張体を吊り張りする場合を示す概略説明図である。
【0038】
本発明のウインチ1は、略矩形箱状のウインチ本体2と、該ウインチ本体2に連結された駆動部(図示せず、手動の場合はハンドル、電動の場合はモータ等)とから構成されている。
【0039】
ウインチ本体2には、所望の間隔を開けて回転自在に設けられた2本の駆動軸3(3A,3B)と、該駆動軸3(3A,3B)にそれぞれ取り付けられた外周側面に断面略V字状の溝が形成された略円形状の2個の同一径の巻回ドラム5(5A、5B)と、各巻回ドラム5(5A、5B)の近傍に着脱自在に固定された押圧ガイド手段としての押圧ガイド体6とが設けられている。
【0040】
前記各巻回ドラム5(5A、5B)には、溝4に沿って紐状体7(以下紐状体7とは、ワイヤロープ、通常の強化ロープ、外周にビニールの設けられた線状体及び近年開発された強度のある樹脂ロープ等の総称として記載する)が巻回される。
【0041】
前記押圧ガイド体6は、各巻回ドラム5(5A、5B)間でウインチ本体2の略中央部に取り付けられ、弾性体(図示せず…バネ等の公知体)により各巻回ドラム5(5A、5B)側に押圧された板状の取付板10と、該取付板10に回動自在に取り付けられた3個のローラ体8(8A,8B,8C)とから構成され、各ローラ体8が前記弾性体により揺動しながら巻回ドラム5(5A、5B)の回転方向に応じて、巻回ドラム5(5A、5B)の溝に巻回された一方の紐状体7をガイドしながら押圧し、他方の紐状体7をガイドしながら押圧を解除して移動する。
【0042】
本発明のウインチ1の基本構成は上記より構成されている。次に上記基本構成のウインチ1を使用して2本の紐状体7を同時に移動する場合について説明する。
【0043】
先ず、同一方向に吊り張り移動する2本の紐状体7の場合は、それぞれの紐状体7を、別々に巻回ドラム5(5A、5B)側に取り入れ、その後各駆動軸3(3A,3B)を回転駆動することにより、それぞれの巻回ドラム5(5A、5B)の溝に沿って紐状体7を巻回し、取り入れ方向と同一の方向に紐状体7を取り出し移動する。
【0044】
この際、2本の紐状体7がそれぞれ別々に溝に沿って巻回された巻回ドラム5(5A、5B)は、駆動軸3(3A,3B)が相違するために、2台のウインチを用いる場合と同様に2本の紐状体7を同期して移動することができるという効果を得ることができる。
【0045】
また、巻回ドラム5(5A、5B)の溝に巻回された2本の紐状体7は、1つの押圧ガイド体6の取付板10が押圧しながら揺動すことで該取付板10に設けられた3個のローラ体8(8A,8B,8C)のうちの2個のローラ体8で、取り入れ方向の一方の紐状体7をガイドしながら押圧し、取り出し方向の他方の紐状体7をガイドしながら押圧を解除する。
【0046】
これにより、同時に2本の紐状体7を取り入れ及び取り出しすることができ、スムーズな移動が可能となり、巻回ドラム5(5A、5B)の同期が容易となる。
【0047】
次に上記基本構成のウインチ1を使用した紐状体7の移動を利用したウインチ1の移動システムについて説明する。
【0048】
本構成のウインチ1の移動システムは、主に屋内の空間部で使用され、その構成の特徴は床面側に設置された1台のウインチ1の巻回ドラム5(5A、5B)の溝に巻回され、それぞれ天井側に取り出し天井の傾斜に沿って滑車12間で無端状に吊り張した2本の紐状体7と、該紐状体7に一端側を連結した複数の吊張用ロープ13と、吊張用ロープ13の他端側に連結されたネット11とから構成されている。
【0049】
上記ネット11を吊り張りする場合は、駆動源によりウインチ1の駆動軸3(3A,3B)を正方向に回転駆動すると、巻回ドラム5(5A、5B)もそれぞれ正方向に回転して2本の紐状体7を滑車12間で移動して、吊張用ロープ13を昇降することで、ネット11を空間部に吊り張りする。
【0050】
次にネット11を収納する場合は、ウインチ1の駆動軸3(3A,3B)を上記と逆方向に回転駆動すると、巻回ドラム5(5A、5B)もそれぞれ逆方向に回転して2本の紐状体7を滑車12間で移動して、吊張用ロープ13を下降してネット11を床面側に移動し、該ネット11を吊張用ロープ13より取り外すことでネット11のみを収納する。
【0051】
尚、上記実施例では、2本の紐状体7の移動方向が同一方向として説明したが、本発明において2本の紐状体7の移動方向が相違する場合であっても対応することができる。例えば、上記ウインチ1を天井側に設置し、巻回ドラム5(5A、5B)の巻回した2本の紐状体7をそれぞれ左右方向に取り出すことで上記と同様にネット11を昇降移動することができる。この場合において、1つの押圧ガイド体6を巻回ドラム5(5A、5B)間に取り付けることで上記同様に1つの押圧ガイド体6で2本の紐状体7をそれぞれ同時に押圧しながらガイド移動することができる。
【0052】
次に、1本の紐状体7を巻回ドラム5(5A、5B)両方に巻回して移動するウインチ1の移動システムについて説明する。
【0053】
先ず、紐状体7を支柱15の下端側に取り付けられたウインチ1の巻回ドラム5(5A、5B)に巻回し、滑車12を介して支柱15近傍で上下方向に無端状に吊り張りし、ガイド用ロープ16に設けられたネット11の上端側を連結する。
【0054】
この状態で、ウインチ1の駆動軸3(3A,3B)を回転駆動することで、巻回ドラム5(5A、5B)を正方向及び逆方向に回転して紐状体7を滑車12間で移動することで、ガイド用ロープ16に沿ってネット11を昇降して吊り張り又は収納する。
【0055】
この際、紐状体7は巻回ドラム5(5A、5B)に交差して複数巻きされることとなり複数の溝の形成された巻回ドラム5(5A、5B)を使用するが、溝はそれぞれ螺旋状に連続していないために紐状体7は各巻回ドラム5(5A、5B)間で少しずれた状態で螺旋状に2重以上に巻回されることとなり、溝部分より受ける摩擦等によりそれぞれの緊張が相違し、連続して使用すると弛み又は撓みが発生する。しかしながら、巻回ドラム5(5A、5B)間には、1つの押圧ガイド体6が溝方向に沿って幅L(各ローラ体8(8A,8B,8C)を円柱状に形成するか、又は幅方向に複数のローラ体8それぞれ設け巻回された各紐状体7を押圧及びガイドするように構成する)を有して設けられ、さらに弾性体により各巻回ドラム5(5A、5B)側に押圧されているために、それぞれの溝に巻回された紐状体7の緊張する度合いに応じて押圧力を調整しながら押圧及びガイドするために、各巻回ドラム5(5A、5B)の溝部分より受ける摩擦等によりそれぞれの緊張が相違し、弛み又は撓みが発生しても押圧力の調整により確実に紐状体7を溝側に押圧移動できるので、連続して使用することが可能となる。
【0056】
また、上記紐状体7を巻回ドラム5(5A、5B)間に交差することなく複数巻きする場合は、紐状体7の移動に沿って押圧ガイド体6を上下に取り付ける。この際、紐状体7の巻回本数の幅Lに沿って複数のローラ体8それぞれ設け各紐状体7を押圧及びガイドすることで、紐状体7にかかる荷重や巻回ドラム5(5A、5B)の溝部分より受ける摩擦等によりそれぞれの緊張の相違により発生する紐状体7の弛み又は撓みを解消することができるために、紐状体7を各巻回ドラム5(5A、5B)の溝に当接させてスムーズに移動することができる。
【0057】
尚、上記のように押圧ガイド体6を上下に取り付けるとともに、巻回ドラム5(5A、5B)の溝側へ押圧すべく取り付けることで、巻回ドラム5(5A、5B)の回転駆動を確実に紐状体7に伝動することが可能となる。
【0058】
上記押圧ガイド体6は、巻回ドラム5(5A、5B)間で十字状に交差する紐状体7部分では3個のローラ体8(8A,8B,8C)のうち、2個のローラ体8が押圧及びガイド移動し、巻回ドラム5(5A、5B)間で水平移動する紐状体7部分では、残りの1個のローラ体8で押圧及びガイド移動するために、巻回ドラム5の駆動力を確実に紐状体7に伝達し、スムーズな紐状体7を取り入れ及び取り出しすることができる。
【0059】
上記各実施例においては、ウインチ本体2には2本の駆動軸3(3A,3B)と2個の巻回ドラム5(5A、5B)を取り付けたが、本発明において駆動軸3の数はこれに限定されるものでなく、3本でも4本でも可能である。要は、無端状に移動する紐状体7の数に応じて巻回ドラム5を取り付ける駆動軸3を設ければよい。
【0060】
また、上記実施例では2本の駆動軸3(3A,3B)に径の同一の巻回ドラム5(5A、5B)を設けることで紐状体7の移動距離を同一としたが径の相違する巻回ドラム5(5A、5B)を設けることで、その移動距離を巻回ドラム5部分で調整することも可能である。この場合、押圧ガイド体6の形状も変更し、小さい径の巻回ドラム5には径の大きなローラ体8を対応させるか、又は取付板10の変更することで対応する。
【0061】
このように、ウインチ1に2以上の駆動軸3を設け、2以上で、且つ径の同一又は相違する巻回ドラム5を設けることで、1台のウインチ1で複数の紐状体7を同期して自在に移動することができ、またそれぞれの移動距離が相違する場合も移動することができる。
【0062】
また、上記実施例では、紐状体7は巻回ドラム5の外周の一周の溝に沿って一方より他方へ移動したが、2周又は3周に形成することで紐状体7の取り出し方向と取り込み方向を自在に設定して移動することも可能である。
【0063】
また、ウインチ1の構成が簡易であり、コストの面でも従来のウインチを複数設置する場合に比し、格段に低減することができる。
【0064】
また、2本以上の紐状体7を同時に利用しての作業が可能であるために、1本が損傷しても他の1本で支持できるために安全性の面においても従来にない格別の効果を得た。
【0065】
又、上記各実施例では、主として屋内のネット体の移動用としてウインチ1を使用したが、本発明のウインチ1及び該ウインチを用いた移動システムはこれに限定されるものでなく、例えば、屋内の緞帳用として、又は屋外の防球用ネット用としても使用可能であり、また、工事用リフト、作業用の吊りワイヤートしても使用可能である。
【0066】
尚、上記実施例では、巻回ドラム5の溝については特に明記していないが、径が相違する紐状体7に取り替える場合であっても、溝の拡大した巻回ドラム5を取り替えるだけで対応することができる。
【0067】
又、上記実施例では、押圧ガイド体6を揺動自在に取り付けられた取付板10と、該取付板10に回動自在に取り付けられた3個のローラ体8(8A,8B,8C)とから構成したが、本発明において押圧ガイド体6の構成はこれに限定するものでなく、例えば、紐状体7をガイドする溝と、該溝に沿って紐状体7を押圧するローラとで構成することも可能であり、また、各ローラ体8の幅Lを、巻回ドラム5の溝に対応して複数個の滑車を回転自在に中心軸で連結して構成することも可能である。要は、紐状体7の移動をガイドするとともに巻回ドラム5側に押圧するば、その構成は特に問うものでない。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明のウインチを示す概略説明正面図
【図2】押圧ガイド体を示す概略説明正面図
【図3】ウインチの巻回ドラムにそれぞれ別の紐状体を巻回した使用状態を示す概略説明正面図
【図4】ウインチの巻回ドラムにそれぞれ別の紐状体を巻回した使用状態を示す概略説明正面図
【図5】ウインチの巻回ドラムに1つの紐状体を巻回した使用状態を示す概略説明正面図
【図6】ウインチの巻回ドラムに1つの紐状体を巻回した使用状態を示す概略説明正面図
【図7】本発明のウインチを用いた移動システムを示す概略説明図
【図8】本発明のウインチを用いた移動システムを示す概略説明図
【図9】本発明の巻回ドラムに対しての押圧ガイド体の押圧状態を示す概略説明側面図
【図10】本発明の巻回ドラムに対しての押圧ガイド体の押圧状態を示す概略説明側面図
【図11】本発明の2個の巻回ドラムに1つの紐状体に巻回した場合を示す概略説明図
【図12】本発明の2個の巻回ドラムに1つの紐状体に巻回した場合を示す概略説明図
【図13】複数のネット等の吊張体を吊り張りする場合を示す概略説明図
【符号の説明】
【0069】
1…ウインチ、5…巻回ドラム、3…駆動軸、6…押圧ガイド体
7…紐状体、11…ネット
【技術分野】
【0001】
本発明は、同時に複数のワイヤロープ等の紐状体を無端状に移動することのできるウインチ及び該ウインチを用いた移動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ゴルフ練習場等の屋外の施設で防球用として使用するネットは、空間部の大きさに応じて設置された複数の無端状ウインチと、空間部を形成する支柱間にカイド用ワイヤロープに沿って吊り張りされた複数のネットと、各支柱の上下間に滑車を介して吊り張りされた駆動用ワイヤロープとから構成され、各ウインチを駆動することで駆動軸を回転駆動して巻回ドラムを回転する。そして、該巻回ドラムの外周縁に形成された溝に巻回された駆動用ワイヤロープを滑車間で無端状に移動し、該駆動用ワイヤロープに一端を連結したネットをガイド用ワイヤロープに沿って昇降移動する。
【0003】
また、室内練習場等の屋内の施設で防球用や間仕切り用として使用するネットは、大空間部に対応するためにその面積が大きくなりこのため、複数に分割したネットを組み合わせて防球用や間仕切り用として使用する。前記各ネットを開閉する場合は、ネットの上端側に複数の吊張用ワイヤロープを連結し、複数のウインチを用いて該吊張用ワイヤロープを昇降移動する方式、又は上記と同様にガイド用ワイヤロープに沿って吊り張りされた複数のネットを、複数のウインチで駆動する複数の駆動用ワイヤロープを滑車間で無端状に移動して、ネットをガイド用ワイヤロープに沿って移動することで開閉移動する方式等が採用されている。
【0004】
また、他の施設の使用として、レジャー施設の大型のプールの上方全体に紫外線をカットするためのUVシート(複数に分割したシート)の開閉移動、高層建築等の建設現場における防雨対策/安全対策用ネットやシートの昇降移動、高速道路における防霧用/防雪用のネットやシート等がある。
【0005】
上記のように、ウインチを用いた移動システムは大きく分けると屋内用システムと、屋外用システムに分けることができる。
【0006】
屋内の場合は、天井部分又はその周辺上部を利用してウインチを設置し、使用目的に応じて空間部を囲むように防球用ネットを取り付け、又は間仕切り用ネットを取り付けて開閉/昇降移動したり又は収納移動したりするシステムとして利用され、屋外の場合は、自然の影響、特に風の影響を受けやすく、風の強い日に素早くネットを収納する必要があり、空間部を囲むように防球用ネットを取り付けて開閉移動するネット等を速やかに開閉移動するシステムが使用されている。
【0007】
上記屋内外で使用されるウインチとしては、全体が矩形状のウインチ本体と、ウインチ本体に駆動軸を介して取り付けられたモーターよりなる駆動部(電動式の場合)とから構成され、前記駆動軸にはワイヤロープを外周に形成された溝に巻回して移動する巻回ドラムが取り付けられ、巻回ドラムの外周にはワイヤロープが巻回されている範囲に沿ってワイヤロープを溝側へ押圧して移動するローラーチェーンが設けられ、該ローラーチェーンの両端側はウインチ本体に設けられた弾性体により張設されている(特開2000−351580号公報参照)ウインチが使用されている。
【0008】
上記従来のウインチは上記構成により、常に巻回ドラムの回転方向にローラーチェーンが引っ張られた状態となり、ワイヤロープの巻回ドラムへの取り込み側が押圧されワイヤロープの巻回ドラムよりの取り出し側がフリー状態となるために、ワイヤロープ移動中の力をロスなく、適切に移動することができる。このために、上記各施設等においては、複数の上記ウインチを制御盤を介して同期させて大面積のネットや複数のネットを開閉等に移動していた。
【0009】
しかしながら、上記従来より使用されているウインチは、1つの巻回ドラムで1本のワイヤロープを移動しているために、複数のネットをワイヤロープで移動するシステムにおいては、複数台のウインチを同期して駆動する必要があるが、ウインチの数が多くなるとそれぞれのウインチで移動するワイヤロープの移動距離が相違するために、ワイヤロープに弛みや撓みが発生しやすく、各ウインチを同期して駆動することは困難を要する。
【0010】
また、空間部を広く利用するためには複数台ウインチを必要とするが、施設によってはウインチの設置スペースが十分でなく全てのウインチを適切に設置できない。
【0011】
そこで、ウインチの本体に2つ又は複数の巻回ドラムを設け、1台のウインチで同時に複数のワイヤロープを移動することが可能とすることで、各ウインチの同期が容易で、しかも設置スペースを少なくして上記各問題を解決することが考えられた。
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記2つ又は複数の巻回ドラムを設けたウインチにおいては、各巻回ドラムに巻回されたワイヤロープにかかる荷重が相違するとワイヤロープに弛み又は撓みが発生し、各ワイヤロープをスムーズに移動することができないという欠点があった。
【0013】
また、各巻回ドラム間に1本のワイヤロープを巻回して使用する場合においても、巻回ドラムに複数回巻き付けて使用するために巻回ドラムの溝の幅等によりワイヤロープに弛み又は撓みが発生し、各ワイヤロープをスムーズに移動することができないという欠点があった。
【0014】
さらに、各ワイヤロープにかかる荷重の相違により各巻回ドラムへの巻回が十分にできない場合が発生するという欠点があった。
【0015】
そこで、本発明は、複数のワイヤロープ等の紐状体をそれぞれ1台のウインチで移動することで駆動システム全体を簡素化し、各ワイヤロープ等の紐状体の調整が容易に行え、安全性にとんだウインチ及び該ウインチを用いた移動システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は上記課題を解決するためのウインチの第1の手段は、請求項1に記載のように、ワイヤロープ等の紐状体を外周に形成された溝に巻回するための巻回ドラムと、巻回ドラムを正回転又は逆回転駆動するための駆動軸とが設けられたウインチ本体から構成され、巻回ドラムを回転駆動することでワイヤロープ等の紐状体を取り込み移動するととともに取り出し移動する無端状のウインチにおいて、ウインチ本体には、少なくとも2以上の駆動軸が設けられ、各駆動軸には径がそれぞれ同一又は相違する巻回ドラムが設けられ、且つ各巻回ドラムの一又は複数の溝に巻回されたワイヤロープ等の紐状体の取り込み移動及び取り出し移動又は各巻回ドラム間の移動を補助すべく、各巻回ドラムの回転に連動してワイヤロープ等の紐状体を断続的に押圧しながら、ワイヤロープ等の紐状体の移動をガイドするための押圧ガイド手段が、1又は複数個設けられていることを特徴とする。
【0017】
本発明は上記課題を解決するためのウインチを用いた移動システムの第1の解決手段は、請求項2に記載のように、ウインチ本体に設けられた駆動軸を用いて巻回ドラムを正回転又は逆回転駆動することでワイヤロープ等の紐状体を巻回ドラム側に取り込み移動するとともに取り出し移動する無端状のウインチを用いてネット等の吊張体を開閉/昇降移動するウインチを用いた移動システムにおいて、ウインチ本体に設けられた少なくとも2以上の駆動軸にそれぞれ設けられた同一又は相違する径の巻回ドラムをそれぞれ同時に回転駆動することにより各巻回ドラムの一又は複数の溝にそれぞれ巻回された複数のワイヤロープ等の紐状体を溝側に断続的に押圧しながら、その移動方向に応じてその移動をガイドして、同時に複数のワイヤロープ等の紐状体を取り込み移動及び取り出し移動することで複数のネット等の吊張体を吊り張り形状に応じて開閉/昇降移動することを特徴とする。
【0018】
本発明は上記課題を解決するためのウインチを用いた移動システムの第2の解決手段は、請求項3に記載のように、ウインチ本体に設けられた駆動軸を用いて巻回ドラムを正回転又は逆回転駆動することでワイヤロープ等の紐状体を巻回ドラム側に取り込み移動するとともに取り出し移動する無端状のウインチを用いてネット等の吊張体を開閉/昇降移動するウインチを用いた移動システムにおいて、ウインチ本体に設けられた少なくとも2以上の駆動軸にそれぞれ設けられた同一又は相違する径の巻回ドラムをそれぞれ同時に回転駆動することにより各巻回ドラムの一又は複数の溝にそれぞれ巻回された一つのワイヤロープ等の紐状体を溝側に断続的に押圧しながら、その移動方向に応じてその移動をガイドして、ワイヤロープ等の紐状体を各巻回ドラム間で駆動移動するとともに巻回ドラムの一方より取り込み移動し巻回ドラムの他方より取り出し移動することで複数のネット等の吊張体を開閉/昇降移動することを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0019】
本発明の第1の手段によるウインチは、先ず、ネットに連結され、滑車間で無端状に吊り張りした複数のワイヤロープ等の紐状体をウインチ本体に設けられた少なくとも2以上の巻回ドラムのそれぞれ外周に形成された一又は複数の溝に巻回して取り付ける。この状態で複数のワイヤロープ等の紐状体は、別々の巻回ドラムにそれぞれ巻回され、巻回ドラムの回転が別々に伝達されることとなる。
【0020】
その後、ウインチ本体に設けられた各駆動軸を正方向に回転駆動することで、上記2以上の巻回ドラムそれぞれ同期して回転し、ワイヤロープ等の紐状体を巻回ドラムの回転にそって移動することで、該ワイヤロープ等の紐状体に連結されたネット等の吊張体を所望の方向(水平方向又は昇降方向)に吊り張り移動する。
【0021】
この際、ウインチ本体には、押圧ガイド手段が設けられているために、各巻回ドラムの溝に巻回された各ワイヤロープ等の紐状体をそれぞれ連動しながら巻回ドラム側に断続的に押圧するとともに、各ワイヤロープ等の紐状体をガイドに沿って移動して、スムーズに各ワイヤロープ等の紐状体を各巻回ドラムの一方側より取り込み移動するととともに各巻回ドラムの他方側より取り出し移動する。
【0022】
次に、前記ウインチ本体に設けられた各駆動軸を上記と逆方向に回転駆動することで、2以上の巻回ドラムをそれぞれ同期して逆回転し、ワイヤロープ等の紐状体を巻回ドラムの回転にそって上記と逆方向に移動することで、連結されたネットを水平方向、又は昇降方向に収納移動する。
【0023】
この際も、前記と同様に押圧ガイド手段により、各巻回ドラムの溝に巻回されたワイヤロープ等の紐状体をそれぞれ連動しながら巻回ドラム側に断続的に押圧するとともに、各ワイヤロープ等の紐状体をガイドに沿って移動してスムーズに各ワイヤロープ等の紐状体を各巻回ドラムの他方側より取り込み移動するととともに各巻回ドラムの他方側より一方側に取り出し移動する。
【0024】
また、上記駆動軸を駆動する際、各駆動軸に設けられている各巻回ドラムの大きさ(径)が同一の場合は、各巻回ドラムに巻回されたワイヤロープ等の紐状体を同じ距離のみ移動することができ、各巻回ドラムの大きさ(径)が相違する場合は、相違する移動距離応じた巻回ドラムを選択して、それぞれ相違する距離ワイヤロープ等の紐状体を移動することができる。
【0025】
また、各ワイヤロープ等の紐状体の移動距離の相違による荷重等の調整も上記押圧ガイド手段でスムーズ行うことができるので、巻回ドラムの径の調整も容易に行うことが可能である。
【0026】
このため、1台のウインチであっても、ウインチ本体に設けられた駆動軸の数に応じたウインチ台数と同様の効果を得ることができる。
【0027】
しかも、各ワイヤロープ等の紐状体のそれぞれの移動方向がそれぞれ相違する場合であっても、ウインチ本体への押圧ガイド手段の取り付け位置を変更することで、自在に対応することができるために、施設等でウインチの取り付け位置等に制限がある場合であっても自在に対応することができる。
【0028】
このため、メンテナンスにおいても、点検/取り替えするウインチ数が少なく、また、各ワイヤロープ等の紐状体の使用による弛み/撓みも巻回ドラムの取り替え等で容易に処理でき、メンテナンス作業が従来に比し格段にスムーズに行えることとなる。
【0029】
また、1本のワイヤロープ等の紐状体をウインチ本体に設けられた2以上の巻回ドラムに巻回することで、従来と同様に1本のワイヤロープ等の紐状体をウインチで移動できる。この際、各巻回ドラムを同期して回転することで1つの巻回ドラムでワイヤロープ等の紐状体を移動する場合に比し、強い回転駆動力でワイヤロープ等の紐状体をスムーズに取り込み及び取り出し移動することができる。
【0030】
このため、従来のように巻回ドラムがワイヤロープ等の紐状体の荷重に対応できずに、空回りすることなく確実に移動することができ、ワイヤロープ等の紐状体の磨耗も極力抑えることができる。
【0031】
このように、本発明のウインチは、1台で同時に複数のワイヤロープ等の紐状体を移動することができるので、設置するウインチの台数を少なくしコストの低減を可能とする。
【0032】
従って、簡易な構成で複数のワイヤロープ等の紐状体を移動することができるので、少ないスペースにウインチを設置することができる。
【0033】
また、巻回ドラムが駆動軸に着脱可能なので適切な大きさ(径)の巻回ドラムを装着して対応することができるので、あらゆる種類の施設や装置に対応して、設置及び使用することができる。
【0034】
また、各巻回ドラムへのワイヤロープ等の紐状体の取り入れ側と取り出し側とが相違する場合であっても、それぞれ各巻回ドラムに巻回して自在に移動することができる。
【0035】
また、駆動軸に設けられた同一又は相違する径の少なくとも1以上の巻回ドラムをそれぞれ同時に回転駆動することにより制御した複数のワイヤロープ等の紐状体を同時に同方向又は相違する方向に移動して、ネット等の吊張体を左右/昇降移動することガできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明のウインチ及び該ウインチを用いた移動システムの一実施例について下記のような各図面を用いて説明する。
【0037】
図1は本発明のウインチを示す概略説明正面図であり、図2は押圧ガイド体を示す概略説明正面図であり、図3、図4はウインチの巻回ドラムにそれぞれ別の紐状体を巻回した使用状態を示す概略説明正面図であり、図5、図6ウインチの巻回ドラムに1つの紐状体を巻回した使用状態を示す概略説明正面図であり、図7、図8は、本発明のウインチを用いた移動システムを示す概略説明図であり、図9、図10は、本発明の巻回ドラムに対しての押圧ガイド体の押圧状態を示す概略説明側面図、図11、図12は本発明の2個の巻回ドラムに1つの紐状体に巻回した場合を示す概略説明図、図13は複数のネット等の吊張体を吊り張りする場合を示す概略説明図である。
【0038】
本発明のウインチ1は、略矩形箱状のウインチ本体2と、該ウインチ本体2に連結された駆動部(図示せず、手動の場合はハンドル、電動の場合はモータ等)とから構成されている。
【0039】
ウインチ本体2には、所望の間隔を開けて回転自在に設けられた2本の駆動軸3(3A,3B)と、該駆動軸3(3A,3B)にそれぞれ取り付けられた外周側面に断面略V字状の溝が形成された略円形状の2個の同一径の巻回ドラム5(5A、5B)と、各巻回ドラム5(5A、5B)の近傍に着脱自在に固定された押圧ガイド手段としての押圧ガイド体6とが設けられている。
【0040】
前記各巻回ドラム5(5A、5B)には、溝4に沿って紐状体7(以下紐状体7とは、ワイヤロープ、通常の強化ロープ、外周にビニールの設けられた線状体及び近年開発された強度のある樹脂ロープ等の総称として記載する)が巻回される。
【0041】
前記押圧ガイド体6は、各巻回ドラム5(5A、5B)間でウインチ本体2の略中央部に取り付けられ、弾性体(図示せず…バネ等の公知体)により各巻回ドラム5(5A、5B)側に押圧された板状の取付板10と、該取付板10に回動自在に取り付けられた3個のローラ体8(8A,8B,8C)とから構成され、各ローラ体8が前記弾性体により揺動しながら巻回ドラム5(5A、5B)の回転方向に応じて、巻回ドラム5(5A、5B)の溝に巻回された一方の紐状体7をガイドしながら押圧し、他方の紐状体7をガイドしながら押圧を解除して移動する。
【0042】
本発明のウインチ1の基本構成は上記より構成されている。次に上記基本構成のウインチ1を使用して2本の紐状体7を同時に移動する場合について説明する。
【0043】
先ず、同一方向に吊り張り移動する2本の紐状体7の場合は、それぞれの紐状体7を、別々に巻回ドラム5(5A、5B)側に取り入れ、その後各駆動軸3(3A,3B)を回転駆動することにより、それぞれの巻回ドラム5(5A、5B)の溝に沿って紐状体7を巻回し、取り入れ方向と同一の方向に紐状体7を取り出し移動する。
【0044】
この際、2本の紐状体7がそれぞれ別々に溝に沿って巻回された巻回ドラム5(5A、5B)は、駆動軸3(3A,3B)が相違するために、2台のウインチを用いる場合と同様に2本の紐状体7を同期して移動することができるという効果を得ることができる。
【0045】
また、巻回ドラム5(5A、5B)の溝に巻回された2本の紐状体7は、1つの押圧ガイド体6の取付板10が押圧しながら揺動すことで該取付板10に設けられた3個のローラ体8(8A,8B,8C)のうちの2個のローラ体8で、取り入れ方向の一方の紐状体7をガイドしながら押圧し、取り出し方向の他方の紐状体7をガイドしながら押圧を解除する。
【0046】
これにより、同時に2本の紐状体7を取り入れ及び取り出しすることができ、スムーズな移動が可能となり、巻回ドラム5(5A、5B)の同期が容易となる。
【0047】
次に上記基本構成のウインチ1を使用した紐状体7の移動を利用したウインチ1の移動システムについて説明する。
【0048】
本構成のウインチ1の移動システムは、主に屋内の空間部で使用され、その構成の特徴は床面側に設置された1台のウインチ1の巻回ドラム5(5A、5B)の溝に巻回され、それぞれ天井側に取り出し天井の傾斜に沿って滑車12間で無端状に吊り張した2本の紐状体7と、該紐状体7に一端側を連結した複数の吊張用ロープ13と、吊張用ロープ13の他端側に連結されたネット11とから構成されている。
【0049】
上記ネット11を吊り張りする場合は、駆動源によりウインチ1の駆動軸3(3A,3B)を正方向に回転駆動すると、巻回ドラム5(5A、5B)もそれぞれ正方向に回転して2本の紐状体7を滑車12間で移動して、吊張用ロープ13を昇降することで、ネット11を空間部に吊り張りする。
【0050】
次にネット11を収納する場合は、ウインチ1の駆動軸3(3A,3B)を上記と逆方向に回転駆動すると、巻回ドラム5(5A、5B)もそれぞれ逆方向に回転して2本の紐状体7を滑車12間で移動して、吊張用ロープ13を下降してネット11を床面側に移動し、該ネット11を吊張用ロープ13より取り外すことでネット11のみを収納する。
【0051】
尚、上記実施例では、2本の紐状体7の移動方向が同一方向として説明したが、本発明において2本の紐状体7の移動方向が相違する場合であっても対応することができる。例えば、上記ウインチ1を天井側に設置し、巻回ドラム5(5A、5B)の巻回した2本の紐状体7をそれぞれ左右方向に取り出すことで上記と同様にネット11を昇降移動することができる。この場合において、1つの押圧ガイド体6を巻回ドラム5(5A、5B)間に取り付けることで上記同様に1つの押圧ガイド体6で2本の紐状体7をそれぞれ同時に押圧しながらガイド移動することができる。
【0052】
次に、1本の紐状体7を巻回ドラム5(5A、5B)両方に巻回して移動するウインチ1の移動システムについて説明する。
【0053】
先ず、紐状体7を支柱15の下端側に取り付けられたウインチ1の巻回ドラム5(5A、5B)に巻回し、滑車12を介して支柱15近傍で上下方向に無端状に吊り張りし、ガイド用ロープ16に設けられたネット11の上端側を連結する。
【0054】
この状態で、ウインチ1の駆動軸3(3A,3B)を回転駆動することで、巻回ドラム5(5A、5B)を正方向及び逆方向に回転して紐状体7を滑車12間で移動することで、ガイド用ロープ16に沿ってネット11を昇降して吊り張り又は収納する。
【0055】
この際、紐状体7は巻回ドラム5(5A、5B)に交差して複数巻きされることとなり複数の溝の形成された巻回ドラム5(5A、5B)を使用するが、溝はそれぞれ螺旋状に連続していないために紐状体7は各巻回ドラム5(5A、5B)間で少しずれた状態で螺旋状に2重以上に巻回されることとなり、溝部分より受ける摩擦等によりそれぞれの緊張が相違し、連続して使用すると弛み又は撓みが発生する。しかしながら、巻回ドラム5(5A、5B)間には、1つの押圧ガイド体6が溝方向に沿って幅L(各ローラ体8(8A,8B,8C)を円柱状に形成するか、又は幅方向に複数のローラ体8それぞれ設け巻回された各紐状体7を押圧及びガイドするように構成する)を有して設けられ、さらに弾性体により各巻回ドラム5(5A、5B)側に押圧されているために、それぞれの溝に巻回された紐状体7の緊張する度合いに応じて押圧力を調整しながら押圧及びガイドするために、各巻回ドラム5(5A、5B)の溝部分より受ける摩擦等によりそれぞれの緊張が相違し、弛み又は撓みが発生しても押圧力の調整により確実に紐状体7を溝側に押圧移動できるので、連続して使用することが可能となる。
【0056】
また、上記紐状体7を巻回ドラム5(5A、5B)間に交差することなく複数巻きする場合は、紐状体7の移動に沿って押圧ガイド体6を上下に取り付ける。この際、紐状体7の巻回本数の幅Lに沿って複数のローラ体8それぞれ設け各紐状体7を押圧及びガイドすることで、紐状体7にかかる荷重や巻回ドラム5(5A、5B)の溝部分より受ける摩擦等によりそれぞれの緊張の相違により発生する紐状体7の弛み又は撓みを解消することができるために、紐状体7を各巻回ドラム5(5A、5B)の溝に当接させてスムーズに移動することができる。
【0057】
尚、上記のように押圧ガイド体6を上下に取り付けるとともに、巻回ドラム5(5A、5B)の溝側へ押圧すべく取り付けることで、巻回ドラム5(5A、5B)の回転駆動を確実に紐状体7に伝動することが可能となる。
【0058】
上記押圧ガイド体6は、巻回ドラム5(5A、5B)間で十字状に交差する紐状体7部分では3個のローラ体8(8A,8B,8C)のうち、2個のローラ体8が押圧及びガイド移動し、巻回ドラム5(5A、5B)間で水平移動する紐状体7部分では、残りの1個のローラ体8で押圧及びガイド移動するために、巻回ドラム5の駆動力を確実に紐状体7に伝達し、スムーズな紐状体7を取り入れ及び取り出しすることができる。
【0059】
上記各実施例においては、ウインチ本体2には2本の駆動軸3(3A,3B)と2個の巻回ドラム5(5A、5B)を取り付けたが、本発明において駆動軸3の数はこれに限定されるものでなく、3本でも4本でも可能である。要は、無端状に移動する紐状体7の数に応じて巻回ドラム5を取り付ける駆動軸3を設ければよい。
【0060】
また、上記実施例では2本の駆動軸3(3A,3B)に径の同一の巻回ドラム5(5A、5B)を設けることで紐状体7の移動距離を同一としたが径の相違する巻回ドラム5(5A、5B)を設けることで、その移動距離を巻回ドラム5部分で調整することも可能である。この場合、押圧ガイド体6の形状も変更し、小さい径の巻回ドラム5には径の大きなローラ体8を対応させるか、又は取付板10の変更することで対応する。
【0061】
このように、ウインチ1に2以上の駆動軸3を設け、2以上で、且つ径の同一又は相違する巻回ドラム5を設けることで、1台のウインチ1で複数の紐状体7を同期して自在に移動することができ、またそれぞれの移動距離が相違する場合も移動することができる。
【0062】
また、上記実施例では、紐状体7は巻回ドラム5の外周の一周の溝に沿って一方より他方へ移動したが、2周又は3周に形成することで紐状体7の取り出し方向と取り込み方向を自在に設定して移動することも可能である。
【0063】
また、ウインチ1の構成が簡易であり、コストの面でも従来のウインチを複数設置する場合に比し、格段に低減することができる。
【0064】
また、2本以上の紐状体7を同時に利用しての作業が可能であるために、1本が損傷しても他の1本で支持できるために安全性の面においても従来にない格別の効果を得た。
【0065】
又、上記各実施例では、主として屋内のネット体の移動用としてウインチ1を使用したが、本発明のウインチ1及び該ウインチを用いた移動システムはこれに限定されるものでなく、例えば、屋内の緞帳用として、又は屋外の防球用ネット用としても使用可能であり、また、工事用リフト、作業用の吊りワイヤートしても使用可能である。
【0066】
尚、上記実施例では、巻回ドラム5の溝については特に明記していないが、径が相違する紐状体7に取り替える場合であっても、溝の拡大した巻回ドラム5を取り替えるだけで対応することができる。
【0067】
又、上記実施例では、押圧ガイド体6を揺動自在に取り付けられた取付板10と、該取付板10に回動自在に取り付けられた3個のローラ体8(8A,8B,8C)とから構成したが、本発明において押圧ガイド体6の構成はこれに限定するものでなく、例えば、紐状体7をガイドする溝と、該溝に沿って紐状体7を押圧するローラとで構成することも可能であり、また、各ローラ体8の幅Lを、巻回ドラム5の溝に対応して複数個の滑車を回転自在に中心軸で連結して構成することも可能である。要は、紐状体7の移動をガイドするとともに巻回ドラム5側に押圧するば、その構成は特に問うものでない。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明のウインチを示す概略説明正面図
【図2】押圧ガイド体を示す概略説明正面図
【図3】ウインチの巻回ドラムにそれぞれ別の紐状体を巻回した使用状態を示す概略説明正面図
【図4】ウインチの巻回ドラムにそれぞれ別の紐状体を巻回した使用状態を示す概略説明正面図
【図5】ウインチの巻回ドラムに1つの紐状体を巻回した使用状態を示す概略説明正面図
【図6】ウインチの巻回ドラムに1つの紐状体を巻回した使用状態を示す概略説明正面図
【図7】本発明のウインチを用いた移動システムを示す概略説明図
【図8】本発明のウインチを用いた移動システムを示す概略説明図
【図9】本発明の巻回ドラムに対しての押圧ガイド体の押圧状態を示す概略説明側面図
【図10】本発明の巻回ドラムに対しての押圧ガイド体の押圧状態を示す概略説明側面図
【図11】本発明の2個の巻回ドラムに1つの紐状体に巻回した場合を示す概略説明図
【図12】本発明の2個の巻回ドラムに1つの紐状体に巻回した場合を示す概略説明図
【図13】複数のネット等の吊張体を吊り張りする場合を示す概略説明図
【符号の説明】
【0069】
1…ウインチ、5…巻回ドラム、3…駆動軸、6…押圧ガイド体
7…紐状体、11…ネット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤロープ等の紐状体を外周に形成された溝に巻回するための巻回ドラムと、巻回ドラムを正回転又は逆回転駆動するための駆動軸とが設けられたウインチ本体から構成され、巻回ドラムを回転駆動することでワイヤロープ等の紐状体を取り込み移動するととともに取り出し移動する無端状のウインチにおいて、ウインチ本体には、少なくとも2以上の駆動軸が設けられ、各駆動軸には径がそれぞれ同一又は相違する巻回ドラムが設けられ、且つ各巻回ドラムの一又は複数の溝に巻回されたワイヤロープ等の紐状体の取り込み移動及び取り出し移動又は各巻回ドラム間の移動を補助すべく、各巻回ドラムの回転に連動してワイヤロープ等の紐状体を断続的に押圧しながらワイヤロープ等の紐状体の移動をガイドするための押圧ガイト手段が、1又は複数個設けられていることを特徴とするウインチ。
【請求項2】
ウインチ本体に設けられた駆動軸を用いて巻回ドラムを正回転又は逆回転駆動することでワイヤロープ等の紐状体を巻回ドラム側に取り込み移動するとともに取り出し移動する無端状のウインチを用いてネット等の吊張体を開閉/昇降移動するウインチを用いた移動システムにおいて、ウインチ本体に設けられた少なくとも2以上の駆動軸にそれぞれ設けられた同一又は相違する径の巻回ドラムをそれぞれ同時に回転駆動することにより各巻回ドラムの一又は複数の溝にそれぞれ別々に巻回された複数のワイヤロープ等の紐状体を溝側に断続的に押圧しながら、その移動方向に応じてその移動をガイドして、同時に複数のワイヤロープ等の紐状体を取り込み移動及び取り出し移動することで複数のネット等の吊張体を吊り張り形状に応じて開閉/昇降移動することを特徴とするウインチを用いた移動システム。
【請求項3】
ウインチ本体に設けられた駆動軸を用いて巻回ドラムを正回転又は逆回転駆動することでワイヤロープ等の紐状体を巻回ドラム側に取り込み移動するとともに取り出し移動する無端状のウインチを用いてネット等の吊張体を開閉/昇降移動するウインチを用いた移動システムにおいて、ウインチ本体に設けられた少なくとも2以上の駆動軸にそれぞれ設けられた同一又は相違する径の巻回ドラムをそれぞれ同時に回転駆動することにより各巻回ドラムの一又は複数の溝にそれぞれ巻回された一つのワイヤロープ等の紐状体を溝側に断続的に押圧しながら、その移動方向に応じてその移動をガイドして、ワイヤロープ等の紐状体を各巻回ドラム間で駆動移動するとともに巻回ドラムの一方より取り込み移動し巻回ドラムの他方より取り出し移動することでネット等の吊張体を開閉/昇降移動することを特徴とするウインチを用いた移動システム。
【請求項1】
ワイヤロープ等の紐状体を外周に形成された溝に巻回するための巻回ドラムと、巻回ドラムを正回転又は逆回転駆動するための駆動軸とが設けられたウインチ本体から構成され、巻回ドラムを回転駆動することでワイヤロープ等の紐状体を取り込み移動するととともに取り出し移動する無端状のウインチにおいて、ウインチ本体には、少なくとも2以上の駆動軸が設けられ、各駆動軸には径がそれぞれ同一又は相違する巻回ドラムが設けられ、且つ各巻回ドラムの一又は複数の溝に巻回されたワイヤロープ等の紐状体の取り込み移動及び取り出し移動又は各巻回ドラム間の移動を補助すべく、各巻回ドラムの回転に連動してワイヤロープ等の紐状体を断続的に押圧しながらワイヤロープ等の紐状体の移動をガイドするための押圧ガイト手段が、1又は複数個設けられていることを特徴とするウインチ。
【請求項2】
ウインチ本体に設けられた駆動軸を用いて巻回ドラムを正回転又は逆回転駆動することでワイヤロープ等の紐状体を巻回ドラム側に取り込み移動するとともに取り出し移動する無端状のウインチを用いてネット等の吊張体を開閉/昇降移動するウインチを用いた移動システムにおいて、ウインチ本体に設けられた少なくとも2以上の駆動軸にそれぞれ設けられた同一又は相違する径の巻回ドラムをそれぞれ同時に回転駆動することにより各巻回ドラムの一又は複数の溝にそれぞれ別々に巻回された複数のワイヤロープ等の紐状体を溝側に断続的に押圧しながら、その移動方向に応じてその移動をガイドして、同時に複数のワイヤロープ等の紐状体を取り込み移動及び取り出し移動することで複数のネット等の吊張体を吊り張り形状に応じて開閉/昇降移動することを特徴とするウインチを用いた移動システム。
【請求項3】
ウインチ本体に設けられた駆動軸を用いて巻回ドラムを正回転又は逆回転駆動することでワイヤロープ等の紐状体を巻回ドラム側に取り込み移動するとともに取り出し移動する無端状のウインチを用いてネット等の吊張体を開閉/昇降移動するウインチを用いた移動システムにおいて、ウインチ本体に設けられた少なくとも2以上の駆動軸にそれぞれ設けられた同一又は相違する径の巻回ドラムをそれぞれ同時に回転駆動することにより各巻回ドラムの一又は複数の溝にそれぞれ巻回された一つのワイヤロープ等の紐状体を溝側に断続的に押圧しながら、その移動方向に応じてその移動をガイドして、ワイヤロープ等の紐状体を各巻回ドラム間で駆動移動するとともに巻回ドラムの一方より取り込み移動し巻回ドラムの他方より取り出し移動することでネット等の吊張体を開閉/昇降移動することを特徴とするウインチを用いた移動システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−116265(P2010−116265A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−312683(P2008−312683)
【出願日】平成20年11月11日(2008.11.11)
【出願人】(592206156)東田商工株式会社 (54)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月11日(2008.11.11)
【出願人】(592206156)東田商工株式会社 (54)
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