説明

ウェットシート包装体

【課題】包装体からウェットシートを1枚ずつ容易に取り出すことができるウェットシート包装体を提供する。
【解決手段】開口部11を有する袋状の袋本体10と、開口部11を開閉自在に覆う蓋材20と、を備える包装体30の内部に複数枚が積層された状態でウェットシート1が収納され、開口部11から1枚ずつ取り出されて使用されるウェットシート包装体100において、ウェットシート1は、包装体30収納時に開口部11と対向する位置の上面側に、長手方向又は幅方向に折られることで形成されたつまみ部1aと、長手方向又は幅方向の端部のうち、つまみ部1aが形成されていない方向の両端部が、下方に向けてS字型又はZ字型に折り畳まれて形成された折畳み部1b、1bと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のウェットシートが積層されて収納されたウェットシート包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水分、アルコールや液体の薬剤を含有させたウェットティシューなどのウェットシートを収納する袋状の包装体が知られている。一般に、上記包装体は、再粘着可能なシールを備え、未使用時にはこのシールを取出口としての開口部の周縁に粘着させて開口部を塞ぐことが可能となっている。
【0003】
上記のような構成の包装体を使用する場合、ウェットシートは、複数枚が積層された状態で収納される。
上記ウェットシートの収納方法として、右側シートと左側シートとを交互に積み重ねたウェットシート積層体において、積み重ねた状態で厚みが均等になるように構成したものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−245862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1記載のウェットシートの場合、積層された状態ではシートが平板状であるので、使用者がシートを取り出す際に掴みにくかったり、複数枚のシートを同時に掴んでしまったりすることがあった。また、平板状のシート同士が貼り付いてしまい、1枚ずつ取り出すことが困難であった。
【0006】
本発明は、包装体からウェットシートを1枚ずつ容易に取り出すことができるウェットシート包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、
開口部を有する袋状の袋本体と、前記開口部を開閉自在に覆う蓋材と、を備える包装体の内部に複数枚が積層された状態でウェットシートが収納され、前記開口部から1枚ずつ取り出されて使用されるウェットシート包装体において、
前記ウェットシートは、前記包装体収納時に前記開口部と対向する位置の上面側に、長手方向又は幅方向に折られることで形成されたつまみ部と、
長手方向又は幅方向の端部のうち、前記つまみ部が形成されていない方向の両端部が、下方に向けてS字型又はZ字型に折り畳まれて形成された折畳み部と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のウェットシート包装体において、
前記ウェットシートは、前記つまみ部が形成されていない方向の一方の端部側と他方の端部側とに交互に前記つまみ部が倒されて積層されることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のウェットシート包装体において、
前記つまみ部は、天面部と側面部とが形成されるように折られて形成されるとともに、前記つまみ部が形成されていない方向のいずれかの端部寄りの位置に形成され、
前記ウェットシートは、前記つまみ部が上下方向に重ならないように積層されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、包装体収納時に開口部と対向する位置の上面側に、長手方向又は幅方向に折られることで形成されたつまみ部を備えるので、使用者がウェットシートを取り出す際の取出し易さを向上させることができる。
また、ウェットシートは、長手方向又は幅方向の端部のうち、つまみ部が形成されていない方向の両端部が、下方に向けてS字型又はZ字型に折り畳まれて形成された折畳み部を備えるので、つまみ部が形成された部分の嵩張りを吸収することができることとなって、ウェットシート積層体の厚みを均等にすることができる。さらに、折畳み部を備えることにより、次のウェットシートとの接触面積を減らすことができることとなって、次のウェットシートとの貼り付きを防止することができ、1枚ずつ取り出すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態のウェットシート包装体の全体構成を示す外観斜視図である。
【図2】図1の状態から蓋材を開いた様子の一例を示す外観斜視図である。
【図3】図2のIII−III部の一例を示す断面図である。
【図4】本実施形態のウェットシート包装体に収納されるウェットシートの収納形状の一例を示す側面図である。
【図5】ウェットシートの収納形状の一変形例を示す側面断面図である。
【図6】本実施形態及び変形例2のウェットシート包装体の全体構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
本実施形態に係るウェットシート包装体100は、図1及び図2に示すように、開口部11を有する袋状の袋本体10と、開口部11を開閉自在に覆う蓋材20と、を備える包装体30の内部に複数枚が積層された状態でウェットシート1が収納され、開口部11から1枚ずつ取り出されて使用されるようになっている。
なお、以下の説明では、包装体30において、開口部11が形成された面を上面、開口部11が形成された面と反対側の面を底面とする。
【0014】
袋本体10は、シート材により袋状に構成されている。シート材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂シートの単材又は複合材、或いはこれら合成樹脂シートとアルミフォイル、紙等を張り合わせた複合シート等を使用することができる。なお、袋本体10を構成するシート材には、液密性又は気密性を有するシート材を用いるのが好ましい。
また、袋本体10を構成するシート材は、袋本体10の底面側(図示略)で袋本体10の長手方向に沿って接合されるとともに、袋本体10の長手方向の両端部で対向する面同士が接合されている。
【0015】
袋本体10の上面には、内部に収納するウェットシート1を取り出すための開口部11が形成されている。開口部11の形状は、特に限定されることはなく、図2に示したような楕円形としてもよいし、或いは円形、方形、方形の角を丸めた形状など任意の形状とすることができる。
また、袋本体10の上面には、後述する蓋材20が剥離された際に開口部11が形成されるように、ミシン目(図示省略)で区切られた閉ループ部11aが形成されている(図2参照)。
【0016】
蓋材20は、袋本体10とは別体のシート片により、開口部11を開閉自在に覆うように構成されている。蓋材20の材質としては、袋本体10と同様に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂シートの単材又は複合材、或いはこれら合成樹脂シートとアルミフォイル、紙等を張り合わせた複合シート等を使用することができる。蓋材20の形状は、開口部11を完全に覆うことができれば特に限定されることはなく、例えば、矩形状、楕円形状など任意の形状とすることができる。
【0017】
また、蓋材20の一端には、蓋材20を剥離する際に使用者が摘むための摘み部21が形成されている。摘み部21の形状は、使用者が摘み易い形状であれば特に限定されることはなく、任意の形状とすることができる。
ここで、使用者が摘み部21を摘んで蓋材20を最初に剥離した際、袋本体10の上面に形成された閉ループ部11aは、図2に示すように、袋本体10から切り離されて蓋材20の裏面(袋本体10に接する側の面)に粘着したまま保持される。そして、袋本体10の上面には、閉ループ部11aが切り離された部分に開口部11が形成される。
【0018】
また、蓋材20の裏面には、ポリエステル系、アクリル系、ゴム系等の感圧接着剤が塗布されており、蓋材20は、開口部11を開閉自在に覆うように袋本体10に粘着されている。なお、摘み部21には感圧接着剤は塗布されず、使用者が摘み易いように袋本体10からわずかに浮かび上がった状態となっている。
【0019】
また、蓋材20の他端(摘み部21が形成された端部と反対側の端部)には、切り込み22、22が設けられ、この切り込み22、22により、他端にかけて固定部23が形成され、蓋材20が袋本体10に固定される。
【0020】
ウェットシート1は、図3に示すように、上記の包装体30の内部に、複数枚が積層された状態(ウェットシート積層体S)で収納されている。なお、ウェットシート1を積層する枚数としては、10〜100枚程度であることが好ましい。ウェットシート1は、所定の繊維を繊維素材として、例えば、スパンレース、エアスルー、エアレイド、ポイントボンド、スパンボンド、ニードルパンチ等の周知の技術により製造される不織布である。所定の繊維としては、例えば、レーヨン、リヨセル、テンセル、コットン等のセルロース系繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール等のポリオレフィン系繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル繊維、ナイロン等のポリアミド系繊維が挙げられる。これらは単独で、或いは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0021】
ウェットシート積層体Sを構成する各ウェットシート1は、図2〜図4に示すように、包装体30収納時に開口部11と対向する位置の上面側に、幅方向に折られることで形成されたつまみ部1aを備える。なお、つまみ部1aの幅は、5mm以上であることが好ましい。また、各ウェットシート1は、長手方向又は幅方向の端部のうち、つまみ部1aが形成されていない方向、即ち、長手方向の両端部が、下方に向けてS字型又はZ字型に折り畳まれて形成された折畳み部1b、1bを備える。
また、各ウェットシート1は、図3及び図4に示すように、つまみ部1aが形成されていない方向、即ち、長手方向の一方の端部側(図4の右方向)と他方の端部側(図4の左方向)とに交互につまみ部1aが倒されて積層されている。
【0022】
次に、本実施形態に係るウェットシート包装体100の使用方法について説明する。
まず、使用者は、包装体30に設けられた蓋材20の摘み部21を摘みながら蓋材20を剥離し、開口部11を表出させる。
次に、使用者は、開口部11を介して、ウェットシート1の上面に形成されたつまみ部1aを摘みながら上方に引き出すことによりウェットシート1を取り出して使用する。本実施形態では、ウェットシート1が1枚ずつ積層された状態で収納されているので、ウェットシート1を取り出す際に、次のウェットシート1が引き出されることなく、1枚ずつ取り出すことができる。
最後に、使用者は、開口部11を覆うように蓋材20を貼着し、包装体30の内部を再度密封する。
【0023】
以上のように、本実施形態に係るウェットシート包装体100によれば、ウェットシート1は、包装体30収納時に開口部11と対向する位置の上面側に、幅方向に折られることで形成されたつまみ部1aを備えるので、使用者がウェットシート1を取り出す際の取出し易さを向上させることができる。
また、ウェットシート1は、長手方向又は幅方向の端部のうち、つまみ部1aが形成されていない方向(長手方向)の両端部が、下方に向けてS字型又はZ字型に折り畳まれて形成された折畳み部1b、1bを備えるので、つまみ部1aが形成された部分の嵩張りを吸収することができることとなって、ウェットシート積層体Sの厚みを均等にすることができる。さらに、折畳み部1b、1bを備えることにより、次のウェットシート1との接触面積を減らすことができることとなって、次のウェットシート1との貼り付きを防止することができ、1枚ずつ取り出すことが可能となる。
【0024】
また、本実施形態に係るウェットシート包装体100によれば、ウェットシート1は、つまみ部1aが倒されて積層されているので、ウェットシート積層体Sの厚みを抑えることができる。さらに、ウェットシート1は、つまみ部1aが形成されていない方向(長手方向)の一方の端部側と他方の端部側とに交互につまみ部1aが倒されて積層されているので、つまみ部1aが形成された部分の嵩張りを抑えることができることとなって、ウェットシート積層体Sの厚みを更に抑えることが可能となる。
【0025】
以上、本発明に係る実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0026】
(変形例1)
例えば、図5に示す例では、実施形態と比べ、つまみ部1aの形状及びつまみ部1aの形成位置が異なっている。具体的には、つまみ部1aは、天面部1cと側面部1d、1dとが形成されるように、上面側で新たに2回程折られて形成されている。また、つまみ部1aは、つまみ部1aが形成されていない方向、即ち、長手方向のいずれかの端部寄りの位置に形成されている。
そして、各ウェットシート1は、図5に示すように、つまみ部1aが上下方向に重ならないように積層されている。
【0027】
以上のように、変形例1に係るウェットシート包装体100によれば、つまみ部1aは、天面部1cと側面部1d、1dとが形成されるように折られて形成されているので、つまみ部1aを摘み易くすることができることとなって、使用者がウェットシート1を取り出す際の取出し易さを更に向上させることができる。
また、つまみ部1aは、つまみ部1aが形成されていない方向(長手方向)のいずれかの端部寄りの位置に形成され、ウェットシート1は、つまみ部1aが上下方向に重ならないように積層されているので、つまみ部1aが形成された部分の嵩張りを抑えることができることとなって、ウェットシート積層体Sの厚みを抑えることが可能となる。
【0028】
(変形例2)
例えば、図6(B)に示す例では、実施形態(図6(A)参照)と比べ、つまみ部1aを形成する方向が異なっている。具体的には、つまみ部1aは、長手方向に折られることで形成されている。また、特に図示はしないが、折畳み部1b、1bは、長手方向又は幅方向の端部のうち、つまみ部1aが形成されていない方向、即ち、幅方向の両端部が下方に向けて折り畳まれて形成され、各ウェットシート1は、つまみ部1aが形成されていない方向、即ち、幅方向の一方の端部側と他方の端部側とに交互につまみ部1aが倒されて積層されている。
なお、変形例1と変形例2とを組み合わせることも、当然に可能である。
【0029】
その他、ウェットシート及び包装体の細部構成に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0030】
100 ウェットシート包装体
1 ウェットシート
1a つまみ部
1b 折畳み部
30 包装体
10 袋本体
11 開口部
11a 閉ループ部
20 蓋材
21 摘み部
22 切り込み
23 固定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する袋状の袋本体と、前記開口部を開閉自在に覆う蓋材と、を備える包装体の内部に複数枚が積層された状態でウェットシートが収納され、前記開口部から1枚ずつ取り出されて使用されるウェットシート包装体において、
前記ウェットシートは、前記包装体収納時に前記開口部と対向する位置の上面側に、長手方向又は幅方向に折られることで形成されたつまみ部と、
長手方向又は幅方向の端部のうち、前記つまみ部が形成されていない方向の両端部が、下方に向けてS字型又はZ字型に折り畳まれて形成された折畳み部と、
を備えることを特徴とするウェットシート包装体。
【請求項2】
前記ウェットシートは、前記つまみ部が形成されていない方向の一方の端部側と他方の端部側とに交互に前記つまみ部が倒されて積層されることを特徴とする請求項1に記載のウェットシート包装体。
【請求項3】
前記つまみ部は、天面部と側面部とが形成されるように折られて形成されるとともに、前記つまみ部が形成されていない方向のいずれかの端部寄りの位置に形成され、
前記ウェットシートは、前記つまみ部が上下方向に重ならないように積層されることを特徴とする請求項1に記載のウェットシート包装体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate