説明

ウェットティッシュの連続取出し構造

【課題】取出口からウェットティッシュを掴み取り易くし、衛生的に使用できるようにする。
【解決手段】積層体の幅寸法と略同じ長さに形成された第1の中間片11と、第1の折れ線S1で積層方向下側に折られ、第1の中間片11の略1/2の幅に、第1の中間片11と隣接して形成された第2の中間片12と、第2の中間片12から第2の折れ線S2で積層方向下側に折り返され第2の中間片12と略同じ幅に形成された第1の折片13と、第2の中間片12と対向する位置において、第1の中間片11から第3の折れ線S3で積層方向下側に折り返された所定の幅寸法の第2の折片14とを有する上位ウェットティッシュ10Hの第1の中間片11と第2の中間片12とが、下位ウェットティッシュ10Lの第1の中間片11と第2の折片14とを形成する第3の折れ線S3を挟持するように積層させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェットティッシュの連続取出し構造に関し、ウェットティッシュが折り畳まれた状態で、このウェットティッシュを連続して取り出せるように積層したウェットティッシュの連続取出し構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アルコール、保湿剤、界面活性剤等を含む薬液を紙、織布又は不織布の繊維素材に含浸させたウェットティッシュは、気密性や液密性を有する容器に収容される。ウェットティッシュは、皮膚の汚れ拭き取り、化粧落とし、乳幼児のおしりふき、トイレの清掃等、様々な用途に用いられている。この種の容器は、容器の一箇所に開閉蓋を有する取出口が設けられ、この取出口から内部に収容されたウェットティッシュを取り出すことができる。また、このウェットティッシュは、様々な形に折り畳まれ、複数枚が積層され、一のウェットティッシュを持ち上げると、その下に積層されたウェットティッシュも持ち上がり、連続して取り出せるように積層した、いわゆるポップアップ式の積層体を形成している。
【0003】
図5に示すように、従来のウェットティッシュの連続取出し構造100は、複数のウェットティッシュ101が折り畳まれ、積層されたものである。詳述すると、ウェットティッシュ101は、折れ線102において折られて形成される上部折片103と下部折片104と、上部折片103と下部折片104の各々の遊離端側を折れ線102で折られた方向とは逆の方向に折り返して各々上部短巾重畳端105と下部短巾重畳端106を形成している。また、上述のように折られたウェットティッシュ101は、折れ線102において折られる方向によって、右向き腰折りウェットティッシュ101Rと左向き腰折りウェットティッシュ101Lとに分けられる。ウェットティッシュの積層体100は、各右向き腰折りウェットティッシュ101Rの上部短巾重畳端105を各左向き腰折りウェットティッシュ101Lの下部短巾重畳端106と相の手に組み、各左向き腰折りウェットティッシュ101Lの上部短巾重畳端105を各右向き腰折りウェットティッシュ101Rの下部短巾重畳端106と相の手に組むことにより形成される。また、ウェットティッシュの積層体100は、相の手を組んだ上部短巾重畳端105及び下部短巾重畳端106とが多重腰折りウェットティッシュの左半部側と右半部側とに按分される構成を有している(特許文献1参照。)。
【0004】
ところで、多用途に用いられるウェットティッシュは、連続して取り出されることの他に、容器から掴み取り出し易いものが望まれている。
【0005】
近年の衛生環境の下では、風邪やインフルエンザ予防、さらには食中毒予防として、どこでも手軽に手や腕の洗浄ができるという利点を活かして、手洗いの他に、殺菌洗浄成分含有のウェットティッシュの利用が広がっており、子供から高齢者まで利用者は多岐に渡る。その中でも特に、免疫力の弱い子供の利用が近年推奨されており、容器の取出口から子供でも簡単に取り出し易いものが望まれている。また、乳幼児のおしりふき等を目的として、外出先でも手軽に乳幼児を抱きかかえたままでも利用しやすいように設計されているものや、高齢化社会の中で介護の現場において、少しでも介護に伴う介護者の肉体的負担を軽減することができ、被介護者自身にも気持ち良い快感を与えるものが望まれている。その他、化粧落とし成分含有のウェットティッシュで手軽に化粧落としができるものなど、ウェットティッシュの利便性に伴い、さらに容器から取り出す際の取り出し易さ、使い易さが望まれている。
【0006】
特許文献1に示す取出し構造は、確かに、各腰折りウェットティッシュの上部折片と下部折片の遊離端側を折り返して上部短巾重畳端と下部短巾重畳端を形成し、この両者を相の手に組んで多重ねを行うようにして、各腰折りウェットティッシュ間における相の手組部の寸法をウェットティッシュ長の略五分の一に縮小しているので、下位の腰折りウェットティッシュ全体が友連れされてしまうという問題点を解消し、使いやすさを向上させている。しかし、特許文献1に示す取出し構造は、容器の取出口からのウェットティッシュの誘出長を可及的に短縮する構成となっているため、誘出長が短いが故に、下位のウェットティッシュが容器の取出口に引っ掛かり、連続的に誘出されないことが多くなり、また誘出されたとしてもその誘出長が短いため、取出口から掴み難くなり煩わしさを伴わせ、片手で簡単に取り出すことができなくなる。
【0007】
このような従来の積層体の連続取出し構造では、誘出長が短いが故に、取出口からウェットティッシュを掴み取り難くなり、子供の使用や、乳幼児を抱きかかえて片手が塞がっている状態での使用等において、とても不便となることがあった。また、誘出長を可及的に短くしているために、下位のウェットティッシュが取出口に引っ掛かり、連続的に取出口から誘出されないことも多くなり、容器内の残余数が少なくなってきたときにはさらに一層、その影響は大きいものとなる。そして、このように誘出されなかったときには、やむを得ず容器を開けて容器内部まで手を入れて掴み取るようにしなければならず、そうすると、洗浄する前の雑菌のついた手を容器の内部まで入れることになるので、容器内部で積層されているウェットティッシュ全体が汚染され不衛生となり、その使用目的である殺菌洗浄の用を満足させないものとなる。一方で、誘出長を長くさせるために、ウェットティッシュ全体を大きいサイズにし、従来からの連続取出し構造を形成させると、必然的にウェットティシュの積層体の幅は従来のものより大きくなってしまい、従来から使用されている容器にウェットティッシュが納まらなくなり、改めて大きい容器を製造しなければならなくなる。
【0008】
以上のように、従来のようなウェットティッシュの誘出長を可及的に短くする構造では、その簡易、利便性の減弱や不衛生感の増大という種々の問題点を生み出していた。さらに、誘出長を長くするに至っては、ウェットティッシュ全体の拡大を伴い、従来サイズの容器に収容することできず、容器の拡大を余儀なくされていた。
【0009】
【特許文献1】特許第3832783号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明は、上述の問題点に鑑みて、従来と変わらない大きさのウェットティッシュでありながら、取出口からの誘出長を長くして、取出口から掴み取り易く、容器内の残余数が少なくなっても確実に取り出し可能で、さらに、使用時にウェットティッシュを広げて使用する手間を省き、衛生的に使用することができるウェットティッシュの連続取出し構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るウェットティッシュの連続取出し構造は、上記課題を解決するため、容器に収納されたウェットティッシュの上位ウェットティッシュと下位ウェットティッシュとが左右対称となるように互いに折り畳まれて、上記上位ウェットティッシュを引き出すことにより摩擦係合する上記下位ウェットティッシュが連続して取り出されるように積層されたウェットティッシュの連続取出し構造において、上記ウェットティッシュは、所望とする積層体の幅寸法と略同じ長さの幅に形成された第1の中間片と、上記ウェットティッシュの一辺と平行な第1の折れ線で積層方向下側に折られ、上記第1の中間片の略1/2の幅に、上記第1の中間片と隣接して形成された第2の中間片と、上記第2の中間片から上記第1の折れ線と平行な第2の折れ線で積層方向下側に折り返され上記第2の中間片と略同じ幅に形成された第1の折片と、上記第2の中間片と対向する位置において、上記第1の中間片から上記第1の折れ線と平行な第3の折れ線で積層方向下側に折り返され所定の幅寸法の第2の折片とを有し、上記上位ウェットティッシュの上記第1の中間片と上記第2の中間片とが、次に連続する上記下位ウェットティッシュの上記第1の中間片と上記第2の折片とを形成する第3の折れ線を挟持して積層されており、上記容器から上記上位ウェットティッシュが取り出されるときに、上記下位ウェットティッシュの上記第2の折片が伸展された状態で誘出されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、積層方向下側に折り返された第2の折片が設けられており、上位ウェットティッシュの第1の中間片と第2の中間片とが、下位ウェットティッシュの当該第2の折片を形成する折れ線を挟持するように積層しているので、ウェットティッシュの連続取り出しに際し、下位ウェットティッシュの第2の折片が上位ウェットティッシュの第2の中間片と摩擦係合するようになり、このことにより上位ウェットティッシュの取り出しに伴って下位ウェットティッシュが第2の折片を伸展させた状態で誘出するため、容器の取出口からの誘出長を長くすることができ、掴み取り出し易さを向上させるとともに、このように誘出長を長くしても、従来と変わらない大きさの積層体の連続取出し構造を形成することができる。また、下位ウェットティッシュの第2の折片が伸展されて誘出するので、使用時に、ウェットティッシュを広げる手間を省くことができ、手で広げることに伴う不衛生感を排除することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係るウェットティッシュの連続取出し構造の最良の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明に係る折り畳み構造を形成するウェットティッシュ10の展開図を示す。図1に示すように、ウェットティッシュ10は、所望とする積層体の幅寸法と略同じ長さの幅に形成された第1の中間片11と、積層方向下側に折られ、第1の中間片11の略1/2の幅に第1の中間片11に隣接して形成された第2の中間片12と、第2の中間片12から積層方向下側に折り返され、第2の中間片12と略同じ幅に形成された第1の折片13と、第1の中間片11の第2の中間片12と対向する側から積層方向下側に折り返され、所定の幅寸法の第2の折片14とから構成されている。また、図2に示すようにウェットティッシュ10は折られ、各ウェットティッシュ10が折り重ねられ、ウェットティッシュの連続取出し構造1を形成している。
【0015】
なお、説明上、本発明においては、図2に示すx軸方向、つまりウェットティッシュ10の長辺と平行する方向をウェットティッシュ10の長さ方向、図2に示すy軸方向、つまりウェットティッシュ10の長辺と直交する方向をウェットティッシュ10の幅方向、図2に示すz軸方向、つまり各ウェットティッシュ10が折り重ねられ形成されるウェットティッシュ10の積層される方向を各ウェットティッシュ10が積層される積層方向と称する。
【0016】
ウェットティッシュ10は、長辺E1、E2及び短辺E3、E4とによって形成される略矩形の布帛からなり、例えば、天然繊維又は合成繊維が織布、不織布、編布に形成された布帛を用いる。この中でも汎用性やコスト等から不織布からなる布帛が最も好ましく用いられる。具体的に、天然繊維としては、例えば綿、絹、麻、ウール、パルプなどが挙げられ、合成繊維としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリル、ナイロン、ビニロン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、レーヨン等が挙げられる。また、これら天然繊維と合成繊維とを混合させた布帛を用いることができる。本発明においては、合成繊維からなる不織布、特に、合成繊維に高圧ウォータージェット流(繊維を交絡させるための水)を施し、繊維を交絡させて、乾燥状態では使用に耐え得る十分な強度を有するとともに、液体による湿潤状態ではウェブ形状を保持し、極めて容易且つ速やかな吸水性を有するスパンレース不織布が最も好ましく用いられる。また、ウェットティッシュ10は、図1に示すように、ウェットティッシュ10の一方の短辺E3から長さ方向にかけて、第2の折片14、第1の中間片11、第2の中間片12、第1の折片13が順に設けられている。
【0017】
第1の中間片11は、図1に示すように、ウェットティッシュ10の長さ方向に平行な長辺E1、E2と、ウェットティッシュ10の幅方向に平行な第1の折れ線S1及び第3の折れ線S3とによって囲まれる部分である。第1の折れ線S1は、ウェットティッシュ10の幅方向と平行な折れ線であり、ウェットティッシュ10を略5等分して、ウェットティッシュ10の幅方向の短辺E3から略5分の3の位置に設定し、また第3の折れ線S3は、第1の折れ線S1と平行な折れ線であり、上記同様に略5等分した時の、短辺E3から略5分の1以下の位置に設定している。ウェットティッシュ10の長辺E1、E2の第1の中間片11の幅にあたる部分、つまり第1の折れ線S1と第3の折れ線S3との距離Aは、その長さが最終的に形成されるウェットティッシュ10の積層体の幅の長さと略同一となる長さである。なお、後述するが、第3の折れ線S3は、第2の折片14の幅寸法が所望とする幅寸法となるように調整される。そのとき、調整した第3の折れ線S3の位置が、当初ウェットティッシュ10を略5等分したときの、短辺E3から略5分の1以下の位置に設定されたとしても、その他の第1の折れ線S1や第2の折れ線S2の位置は変わらない。
【0018】
なお、説明上、第1の中間片11、第2の中間片12、第1の折片13、第2の折片14及びウェットティッシュ10の積層体において、その各片及び積層体の幅とは、折れ線S1、S2、S3と直交する方向の距離をいうものとする。
【0019】
第2の中間片12は、第1の中間片11と隣接し、ウェットティッシュ10の長さ方向に平行な長辺E1、E2と、ウェットティッシュ10の幅方向に平行な第1の折れ線S1及び第2の折れ線S2とによって囲まれる部分である。第2の折れ線S2は、第1の折れ線S1と平行な折れ線であり、ウェットティッシュ10を略5等分した時の、ウェットティッシュ10の幅方向の短辺E3から略5分の4の位置に設定している。ウェットティッシュ10の長辺E1、E2の第2の中間片12の幅にあたる部分、つまり第1の折れ線S1と第2の折れ線S2との距離Bは、第1の中間片11の幅の長さである距離Aの略1/2の長さである。
【0020】
第1の折片13は、第2の中間片12と隣接し、ウェットティッシュ10の長さ方向に平行な長辺E1、E2と、第2の折れ線S2と、短辺E4とによって囲まれる部分である。ウェットティッシュ10の長辺E1、E2の第1の折片13の幅にあたる部分、つまり第2の折れ線S2と短辺E4との距離Cは、第2の中間片12の幅の長さである距離Bと略同一の長さである。
【0021】
第2の折片14は、第2の中間片12と対向する位置において、第1の中間片11と隣接し、ウェットティッシュ10の長さ方向に平行な長辺E1、E2と、第3の折れ線S3と短辺E3とによって囲まれる部分である。ウェットティッシュ10の長辺E1、E2の第2の折片14の幅にあたる部分、つまり第3の折れ線S3と短辺E3との距離Dは、D≦Cの関係を有する。つまり、距離Dは、距離Aの略半分以下の値である。
【0022】
以上のように構成されるウェットティッシュ10は、図2及び図3に示すように、各折れ線S1、S2、S3において折り返される。つまり、ウェットティッシュ10は、第1の折れ線S1において積層方向とは反対方向(−z方向)に折り返し第1の中間片11及び第2の中間片12を形成し、第2の折れ線S2において積層方向とは反対方向(−z方向)に折り返し第1の折片13を形成し、第3の折れ線S3において積層方向とは反対方向(−z方向)に折り返し第2の折片14を形成する。
【0023】
次に、ウェットティッシュの連続取出し構造1について、図2及び図3を用いて説明する。
【0024】
ウェットティッシュの連続取出し構造1は、ウェットティッシュ10が互いに交差掛けされて構成されている。つまり、ウェットティッシュの連続取出し構造1は、上位ウェットティッシュ10Hと下位ウェットティッシュ10Lとが、互いに左右対称となる位置において交差掛けされて、折り畳まれた構造となっており、上位ウェットティッシュ10Hを引き出すことにより摩擦係合する下位ウェットティッシュ10Lが連続して取り出されるように積層されている。
【0025】
なお、便宜上、ウェットティッシュ10を2枚単位で見たときに、互いに交差掛けされたこの2枚のウェットティッシュ10の内、上位に位置するものを上位ウェットティッシュ10Hとし、下位に位置するものを下位ウェットティッシュ10Lと称する。従って、図3に示すウェットティッシュ10a(以下、10aとする。)とウェットティッシュ10b(以下、10bとする。)の2枚では、上位ウェットティッシュ10Hが10aであり、下位ウェットティッシュ10Lが10bとなるが、10bとウェットティッシュ10c(以下、10cとする。)の2枚では、上位ウェットティッシュ10Hが10bとなり、下位ウェットティッシュ10Lが10cとなる。
【0026】
具体的には、上位ウェットティッシュ10Hの第1の中間片11と第2の中間片12とが、下位のウェットティッシュ10Lの第1の中間片11と第2の折片14とを形成する第3の折れ線S3を挟持するように互いに交差掛けし、下位ウェットティッシュ10Lの第2の折片14が、上位ウェットティッシュ10Hの第2の中間片12と接触しており、互いに摩擦係合するように積層しており、以下同様に繰り返して多数枚のウェットティッシュ10を積層している。
【0027】
好ましくは、第3の折れ線S3を調整することによって、第2の折片14の第3の折れ線S3と短辺E3との距離Dを、距離Bとの関係において、D<Bとなるようにし、更に、短辺E3が第2の中間片12上に位置するように積層する方が良い。つまり、下位ウェットティッシュ10Lの第2の折片14全体が、上位ウェットティッシュ10Hの第2の中間片12上に乗るように積層する。このことによって、下位ウェットティッシュ10Lの第2の折片14の全体と、上位ウェットティッシュ10Hの第2の中間片12とが摩擦係合するようになるので、下位ウェットティッシュ10Lの第2の折片14が、上位ウェットティッシュ10Hの第2の中間片12によって巻き取られるように誘出され、確実に第2の折片14を伸展させた状態で誘出させることができる。
【0028】
なお、このウェットティッシュの連続取出し構造1では、下位ウェットティッシュ10Lの第1の中間片11と第2の折片14とを形成する第3の折れ線S3の位置を、上位ウェットティッシュ10Hの第2の中間片12上における所望とする位置に調整することができる。このことによって、上位ウェットティッシュ10Hの第2の中間片12と下位ウェットティッシュ10Lの第2の折片14との重なりを調節することができ、上位ウェットティッシュ10Hの引き出しに伴って、下位ウェットティッシュ10Lが友連れされてしまうことを防止することが可能となる。また、例えば、上位ウェットティッシュ10Hの第2の中間片12上において、第3の折れ線S3を上位ウェットティッシュ10Hの第1の折れ線S1の近傍に位置するように調整した場合、上位ウェットティッシュ10Hの第1の中間片11と第2の中間片12との間の大部分に、下位ウェットティッシュ10Lの所定部位が挟み込まれるようになるので、これら上位ウェットティッシュ10Hの第1の中間片11と第2の中間片12との接触が少なくなり、接触による薬液の過度の湿潤に基づくべとつきを軽減することができ、ウェットティッシュ10の第1の中間片11と第2の中間片12とが離れ、広がった状態で取り出すことが可能となるので、使用時に、ウェットティッシュを広げる手間を省き、手で広げることに伴う不衛生感をより一層排除することができる。さらに、下位ウェットティッシュ10Lの第3の折れ線S3を上位ウェットティッシュ10Hの第1の折れ線S1の近傍に位置するようにしたことにより、ウェットティッシュ10の積層体の両端部の嵩が低くなることによるウェットティッシュ積層体のバランスの不安定感を防止することができる。
【0029】
図4(A)乃至(C)に示すように、上述したような構造で連続して上位ウェットティッシュ10Hと下位ウェットティッシュ10Lを交差掛けすることによって積層させたウェットティッシュ10は、容器15に収容されており、その容器15の天板に設けた取出口16から上位ウェットティッシュ10Hを掴み取って引き出すごとに、上位ウェットティッシュ10Hの第2の中間片12と摩擦係合する第2の折片14を有する下位ウェットティッシュ10Lを取出口16から誘出させて、連続取出しが行えるようにする。具体的には、特に図4(B)及び(C)に示すように、下位ウェットティッシュ10Lの第2の折片14が、引き出している上位ウェットティッシュ10Hの第2の中間片12と摩擦係合することによって、下位ウェットティッシュ10Lが連続的に引き出されて誘出されると同時に、第2の折片14が積層方向下側に折り返されていたことによって、その摩擦係合に際して、折り返されていた第2の折片14が伸展されながら取出口16から誘出されるようになっている。
【0030】
なお、このウェットティッシュ10の容器15の天板に設けられた取出口16にキャップ構造を設け、取出口16とキャップ構造と間に空間を設けるようにしても良い。このことによって、引き出されたウェットティッシュ10がすぐには使用に供されないときに、この空間にウェットティッシュ10を閉じ込め、キャップを閉めた状態にしておくことで、ウェットティッシュ10の乾燥を防止することが可能となる。
【0031】
以上のように構成されたウェットティッシュの連続取出し構造1は、そのウェットティッシュ10に積層方向下側に折り返された第2の折片14が備えられており、下位ウェットティッシュ10Lの第2の折片14が上位ウェットティッシュ10Hの第2の中間片12と接触するように積層されているので、上位ウェットティッシュ10Hを引き出すと、摩擦係合した下位ウェットティッシュ10Lの当該第2の折片14が伸展された状態で取出口16から誘出する。その結果、積層方向下側に折り返していた第2の折片14の長さ分だけ、誘出長が長くなり、ウェットティッシュ10を使用時に掴み取り出し易くすることができ、また容器15内のウェットティッシュ10の残余数が少なくなっても、容器15内への落ち込みをなくすことができる。さらに、このように積層方向下側に折り返して第2の折片14を形成しているので、折り返しの幅を調整することによって、所望とする誘出長を調節することができるとともに、従来と変わらない大きさの積層体を形成することができるので、従来から使用されていた容器に収容させることができ、改めて容器の設計変更等を行う必要がなくなる。
【0032】
さらにまた、上述のように、第2の折片14が伸展された状態で取出口16から誘出されることから、従来の連続取出し構造のような、使用時にわざわざ折り畳まれたウェットティッシュを手で広げるという手間を省くことができる。このことにより、素手で広げることに伴う不衛生感を排除することができる。
【0033】
また、このウェットティッシュの連続取出し構造1では、そのウェットティッシュ10に積層方向下側に折り返された第1の折片13が設けられているので、上位ウェットティッシュ10Hと下位ウェットティッシュ10Lとの接着面積が、ウェットティッシュ10の長辺の長さの略5分の1と小さくなり、上位ウェットティッシュ10Hの引き出しに伴って、下位ウェットティッシュ10Lが友連れされてしまうことを防止することができる。即ち、ウェットティッシュ10の長辺の長さの略5分の1の長さの幅を持つ上位ウェットティッシュ10Hの第2の中間片12においてのみ、下位ウェットティッシュ10Lが上位ウェットティッシュ10Hと薬液により接されているので、他の略5分の4には引張力が作用しないことにより、下位ウェットティッシュ10Lが上位ウェットティッシュ10Hの引き出しに伴って友連れされてしまうことを防止できる。
【0034】
なお、この発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。例えば、本実施形態においては、図1に示したように、ウェットティッシュ10を略5等分して、各々所定の位置に折れ線S1、S2、S3を設け、第1の中間片11、第2の中間片12、第1の折片13、第2の折片14を形成したが、折れ線S1、S2、S3に直交する各片の幅の長さは、ウェットティッシュ10を5等分したときの長さに限られない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明のウェットティッシュの連続取出し構造に係るウェットティッシュの展開図である。
【図2】本発明のウェットティッシュの連続取出し構造を説明するための斜視図である。
【図3】本発明のウェットティッシュの連続取出し構造に係るの積層構造を説明するための断面図である。
【図4】容器に収容された本発明のウェットティッシュの連続取出し構造を示す概略断面図であり、(A)がウェットティッシュを容器内に収容した状態を示す図であり、(B)が上位ウェットティッシュ10Hを取り出した際の、下位ウェットティッシュ10Lと摩擦係合する状態を示す図であり、(C)が上位ウェットティッシュ10Hを完全に取り出す際の、下位ウェットティッシュ10Lの第2の折片14が伸展される状態を示す図である。
【図5】従来のウェットティッシュの連続取出し構造を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0036】
10 10a 10b 10c 10d ウェットティッシュ、E1 E2 長辺、E3 E4 短辺、11 第1の中間片、12 第2の中間片、13 第1の折片、14 第2の折片、S1 第1の折れ線、S2 第2の折れ線、S3 第3の折れ線、15 容器、16 取出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に収納されたウェットティッシュの上位ウェットティッシュと下位ウェットティッシュとが左右対称となるように互いに折り畳まれて、上記上位ウェットティッシュを引き出すことにより摩擦係合する上記下位ウェットティッシュが連続して取り出されるように積層されたウェットティッシュの連続取出し構造において、
上記ウェットティッシュは、所望とする積層体の幅寸法と略同じ長さの幅に形成された第1の中間片と、
上記ウェットティッシュの一辺と平行な第1の折れ線で積層方向下側に折られ、上記第1の中間片の略1/2の幅に、上記第1の中間片と隣接して形成された第2の中間片と、
上記第2の中間片から上記第1の折れ線と平行な第2の折れ線で積層方向下側に折り返され上記第2の中間片と略同じ幅に形成された第1の折片と、
上記第2の中間片と対向する位置において、上記第1の中間片から上記第1の折れ線と平行な第3の折れ線で積層方向下側に折り返された所定の幅寸法の第2の折片とを有し、
上記上位ウェットティッシュの上記第1の中間片と上記第2の中間片とが、次に連続する上記下位ウェットティッシュの上記第1の中間片と上記第2の折片とを形成する第3の折れ線を挟持して積層されており、
上記容器から上記上位ウェットティッシュが取り出されるときに、上記下位ウェットティッシュの上記第2の折片が伸展された状態で誘出される
ことを特徴とするウェットティッシュの連続取出し構造。
【請求項2】
上記第2の折片の幅は、上記第2の中間片の幅以下であり、更に、上記下位ウェットティッシュの上記第2の折片の端辺が、上記上位ウェットティッシュの上記第2の中間片上に位置するように積層されていることを特徴とする請求項1記載のウェットティッシュの連続取出し構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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