説明

ウェブ搬送装置の点検方法

【課題】従来技術では測定が困難なガイドローラを含む各ガイドローラの設置精度の測定を簡易な方法により行うことができるウェブ搬送装置の点検方法を提供する。
【解決手段】ウェブ搬送装置20の点検方法において、各ガイドローラ22に張架された状態でウェブを搬送し、ウェブが搬送されている状態で各ガイドローラ22の回転を停止させる。そして、ガイドローラ22が回転している状態でウェブが搬送されているときのガイドローラ22上のウェブの位置とこのガイドローラ22の回転が停止された後のガイドローラ22上のウェブの位置との間の距離であるシフト量を実測シフト量Shとしてガイドローラ22毎に測定する。そして、ガイドローラ22毎に測定された実測シフト量Shに基づいて、各ガイドローラ22について正常な状態で設置されているか否かの判断を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、略平行に延びる複数のガイドローラを有するウェブ搬送装置の点検方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、紙、フィルム等のウェブを搬送するウェブ搬送装置において、ウェブの走行を補助するガイドローラの設置精度が悪い場合、ウェブの走行が安定しないという問題があった。より詳細には、ウェブ搬送装置には略平行に延びる複数のガイドローラが設けられており、ガイドローラの設置精度は、ガイドローラの実際に延びる方向が予め設定された所定の方向(より詳細には、水平方向であり、かつウェブの全体的な搬送方向に直交する方向)から傾いた角度を基準として算出されるようになっている。ここで、ガイドローラの実際に延びる方向が前述の所定の方向に一致する場合は、ガイドローラの設置精度は良好であり、一方、ガイドローラの実際に延びる方向が所定の方向とは大きく離れている場合は、ガイドローラの設置精度が悪く、メンテナンスを行う必要があるといえる。
【0003】
従来のウェブ搬送装置やこのウェブ搬送装置を備えた印刷機において、例えば、ウェブの材質や厚み、また、使用するインキや乾燥条件、ウェブに与える張力や走行速度、版胴と圧胴との間の押圧力等の様々な条件により、印刷中のウェブに横ズレや蛇行等の問題が発生する場合がある。ウェブに横ズレや蛇行等が発生するとこのウェブに対して正常に印刷を行うことができないため、不具合発生箇所の近辺に設けられたガイドローラの平行度、すなわち予め設定された所定の方向に対する実際のガイドローラの角度を調整し、ウェブの横ズレや蛇行等の問題の発生を抑制するようになっている。
【0004】
ウェブ搬送装置のガイドローラの設置精度を測定する場合、すなわち予め設定された所定の方向に対してガイドローラの実際に延びる方向がどれくらい傾いているかを測定する場合、従来ではウェブ搬送装置を長時間停止し、水準器やダイヤルゲージ等を用いて、それぞれのガイドローラについて設置精度の測定を行っていた。
【0005】
また、特許文献1には、幅方向のウェブの動きを制御することで、メンテナンスの簡略化を図るような発明が開示されている。具体的には、メンテナンスの簡略化の方法として、ウェブとガイドローラとの間のスリップ量を算出し、このスリップ量に基づいてガイドローラの回転速度、およびウェブの張力を調整するようになっている。また、特許文献2には、ガイドローラの回転速度からウェブとガイドローラとの間に働く摩擦力を測定する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−326657号公報
【特許文献2】特開2008−081248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のように、ウェブ搬送装置に設けられたガイドローラの設置精度の測定を水準器やダイヤルゲージ等を用いて行うためには、狭いウェブ搬送装置内に入り込みながらの測定を行う必要があり、メンテナンス員にとって莫大な時間が必要であった。また、ウェブ搬送装置内には、隣り合うガイドローラが近接しており直接測定することができなかったり、複数の測定器を用いてようやく測定が可能になったりするような測定困難なガイドローラも存在していた。
【0008】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、従来技術では測定が困難なガイドローラを含む各ガイドローラの設置精度の測定を簡易な方法により行うことができるウェブ搬送装置の点検方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のウェブ搬送装置の点検方法は、略平行に延びる複数のガイドローラを有するウェブ搬送装置の点検方法であって、各ガイドローラに張架された状態でウェブを搬送する工程と、ウェブが搬送されている状態で各ガイドローラの回転を停止させる工程と、ガイドローラが回転している状態でウェブが搬送されているときのガイドローラ上のウェブの位置とこのガイドローラの回転が停止された後のガイドローラ上のウェブの位置との間の距離であるシフト量を実測シフト量としてガイドローラ毎に測定する工程と、ガイドローラ毎に測定された実測シフト量に基づいて、各ガイドローラについて正常な状態で設置されているか否かの判断を行う工程と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
このようなウェブ搬送装置の点検方法によれば、ガイドローラの設置精度が悪い場合には走行中のウェブのシフト量がガイドローラの回転速度に関連することを利用し、ウェブが搬送されている状態でガイドローラの回転を停止させ、ガイドローラの回転を停止する前後におけるウェブのシフト量をガイドローラ毎に測定することにより、各ガイドローラについて正常な状態で設置されているか否かの判断を行うようになっている。このことにより、従来技術では測定が困難なガイドローラの設置精度が測定可能となる。また、水準器やダイヤルゲージ等を用いた測定等、余計な測定に時間を費やすことがなくなり、ガイドローラのメンテナンスを短時間で行うことができるようになる。
【0011】
本発明のウェブ搬送装置の点検方法は、略平行に延びる複数のガイドローラを有するウェブ搬送装置の点検方法であって、各ガイドローラ間の距離を準備する工程と、各ガイドローラ間の距離に基づいて、各々のガイドローラについてウェブの進行方向におけるガイドローラ上のウェブの両側縁部の間の距離であるピッチ量が一定値となったと仮定したときの予測シフト量を算出する工程と、各ガイドローラに張架された状態でウェブを搬送する工程と、ウェブが搬送されている状態で各ガイドローラの回転を停止させる工程と、ガイドローラが回転している状態でウェブが搬送されているときのガイドローラ上のウェブの位置とこのガイドローラの回転が停止された後のガイドローラ上のウェブの位置との間の距離であるシフト量を実測シフト量としてガイドローラ毎に測定する工程と、各々のガイドローラについて、予測シフト量に対する実測シフト量の割合の大きさに基づいて、各ガイドローラについて正常な状態で設置されているか否かの判断を行う工程と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
このようなウェブ搬送装置の点検方法によれば、ガイドローラの設置精度が悪い場合には走行中のウェブのシフト量がガイドローラの回転速度に関連することを利用し、ウェブが搬送されている状態でガイドローラの回転を停止させ、ガイドローラの回転を停止する前後におけるウェブのシフト量をガイドローラ毎に測定することにより、各ガイドローラについて正常な状態で設置されているか否かの判断を行うようになっている。このことにより、従来技術では測定が困難なガイドローラの設置精度が測定可能となる。また、水準器やダイヤルゲージ等を用いた測定等、余計な測定に時間を費やすことがなくなり、ガイドローラのメンテナンスを短時間で行うことができるようになる。
【0013】
このようなウェブ搬送装置の点検方法では、予測シフト量を算出する工程において、一定値であるピッチ量をδa、搬送されるべきウェブの幅の大きさをW、対象となるガイドローラとこのガイドローラの直前に設けられたガイドローラとの間の距離をaとしたときに、予測シフト量Shは、Sh=a×δa/Wの式により算出されるようになっていてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明のウェブ搬送装置の点検方法によれば、従来技術では測定が困難なガイドローラを含む各ガイドローラの設置精度の測定を簡易な方法により行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一の実施の形態によるグラビア印刷機の構成を示す構成図である。
【図2】図1に示すグラビア印刷機のウェブ搬送装置において、各ガイドローラに張架された状態でウェブが搬送されるときの状態を示す説明図である。
【図3】本発明の一の実施の形態におけるウェブ搬送装置の点検方法を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一の実施の形態におけるウェブ搬送装置の点検方法において、ウェブが搬送されているときおよびウェブの搬送が停止されたときのウェブおよびガイドローラの状態を示す説明図である。
【図5】本発明の一の実施の形態におけるウェブ搬送装置の点検方法において、予測シフト量を算出する際のウェブおよびガイドローラの状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の一の実施の形態について説明する。図1乃至図5は、本実施の形態に係るウェブ搬送装置の点検方法を示す図である。
【0017】
まず、ウェブ搬送装置を備えたグラビア印刷機の構成について図1を用いて説明する。図1に示すグラビア印刷機10は、給紙装置12と、インフィード装置14と、直列に設けられた複数の印刷装置16と、アウトフィード装置18と、巻取り装置19とを備えている。ここで、給紙装置12は、当該給紙装置12のローラに巻かれたウェブを各印刷装置16に供給するようになっている。また、インフィード装置14は、各印刷装置16の上流側に設けられており、これらの印刷装置16に送られるべきウェブのテンションを調整するようになっている。また、アウトフィード装置18は、各印刷装置16の下流側に設けられており、これらの印刷装置16から送られたウェブのテンションを調整するようになっている。また、各印刷装置16には版胴16aおよび圧胴16bが設けられており、各印刷装置16に送られたウェブは、版胴16aと圧胴16bとの間で挟圧された状態で、版胴16aにより印刷が施されるようになっている。
【0018】
また、図1に示すように、インフィード装置14、各印刷装置16およびアウトフィード装置18には、複数のガイドローラ22が設けられている。これらのガイドローラ22は略平行に延びるようになっている。すなわち、各々のガイドローラ22は図1の紙面に対してそれぞれ垂直な方向に延びている。これらのガイドローラ22によりウェブを搬送するためのウェブ搬送装置20が構成されている。
【0019】
概して、ウェブ搬送装置20においてウェブの搬送速度が十分に小さい場合、ウェブ搬送装置20により搬送されるウェブは、各ガイドローラ22の延びる方向に対して直交する方向から、すなわち各ガイドローラ22の軸方向に対して直交する方向から、各々のガイドローラ22に進入するようになっている。このことについて図2を用いて詳しく説明する。
【0020】
図2(a)は、ウェブ搬送装置20の各ガイドローラ22の構成を示す側面図であり、図2(b)は、図2(a)に示す各ガイドローラ22を図2(a)の左方から見たときの図である。図2(b)に示すように、各々のガイドローラ22のうちガイドローラ22a、22b、22c、22e、22fはそれぞれ軸が水平方向に延びており、これらのガイドローラ22a、22b、22c、22e、22fの設置状態は正常な状態となっている。一方、各々のガイドローラ22のうちガイドローラ22dは軸が水平方向から傾斜しており、このガイドローラ22dの設置状態は正常な状態ではないようになっている。このように、あるガイドローラ22dの設置状態が正常な状態ではない場合において、図2(b)に示すように、ウェブの搬送速度が十分に小さく上述のガイドローラ22dの回転速度が十分に小さい場合には、このガイドローラ22dに対して、ウェブは、当該ガイドローラ22dの延びる方向に対して直交する方向から、すなわちガイドローラ22dの軸方向に対して直交する方向から進入するようになる。なぜならば、ウェブとガイドローラ22dとの間で摩擦力が十分に働いているからである。
【0021】
一方、図2に示す状態からウェブの搬送速度が増加し、各々のガイドローラ22の回転速度も増加すると、設置状態が正常な状態ではないようなガイドローラ22dに対してウェブが進入する角度は、当該ガイドローラ22dに対して直交する方向ではなくなる。すなわち、ウェブの搬送速度が増加し、ガイドローラ22dの回転速度が増加するにつれて、ウェブはガイドローラ22dに沿ってシフトし(すなわち、ガイドローラ22dの軸方向に移動し)、ウェブは繰出し側(給紙装置12側)から巻取り装置側(巻取り装置19側)まで真っ直ぐに(すなわち、図2における上方向に)進行しようとするようになる。すなわち、図4(a)に示すように、ウェブの搬送速度が十分に小さくガイドローラ22の回転速度も十分に小さい場合には、ウェブの走行方向は本来の走行方向(各ガイドローラ22の設置状態が正常な状態であるときのウェブの走行方向、すなわち図4における上方向)に対して大きく傾斜しているが、ウェブの搬送速度が増加すると、ウェブとガイドローラ22dとの間で働く摩擦力が小さくなり、図4(b)に示すように、ウェブの走行方向は本来の走行方向(図2および図4における上方向)に近づくようになる。このように、図2に示す状態からウェブの搬送速度が増加するにつれて、ウェブは図4における実測シフト量Sh分だけガイドローラ22dに沿ってシフトする。
【0022】
次に、本実施の形態によるウェブ搬送装置20の点検方法について図3に示すフローチャートを用いて以下に説明する。
【0023】
まず、ウェブ搬送装置20における各ガイドローラ22間の距離aを準備する(図3のSTEP1参照)。このような各ガイドローラ22間の距離aは、例えばグラビア印刷機10の導入時に予め設定されたものである。また、各ガイドローラ22間の距離aを操作者が都度入力することができるようになっていてもよい。
【0024】
次に、図5に示すように、各々のガイドローラ22について、このガイドローラ22が所定のピッチ差δa(例えば0.2mm)分ずれたと仮定して、予測シフト量Shを算出する(図3のSTEP2)。ここで、ピッチ差δaは各々のガイドローラ22で全て同じ値となっている。なお、ガイドローラ22がピッチ差δa分ずれるとは、ガイドローラ22が正常な状態から図2(b)のガイドローラ22dのように傾斜して、ウェブの進行方向におけるガイドローラ22上のウェブの右側縁部と左側縁部との間の距離が図5に示すようにピッチ量δaの大きさとなることをいう。また、予測シフト量Shとは、ガイドローラ22が正常な状態からもし仮に図5に示すように傾斜した場合の、ガイドローラ22に沿ってウェブがシフトする量のことをいう。ここで、予測シフト量Shを算出するにあたり、一定値であるピッチ量をδa、搬送されるべきウェブの幅の大きさをW、対象となるガイドローラとこのガイドローラの直前に設けられたガイドローラとの間の距離をaとしたときに、予測シフト量Shは、Sh=a×δa/Wの式により算出されるようになる。以上のように、各々のガイドローラ22について、このガイドローラ22が所定のピッチ差δa分ずれたと仮定したときの、ガイドローラ22上でウェブがシフトするであろうと予測される量である予測シフト量Shが算出される。
【0025】
次に、各ガイドローラ22に張架された状態において所定の速度でウェブを搬送し、その後、ウェブが搬送されている状態でガイドローラ22の回転を停止させる(図3のSPEP3)。そして、図4に示すように、ガイドローラ22が回転している状態でウェブが搬送されているときのガイドローラ22上のウェブの側縁部の位置と、このガイドローラ22の回転が停止された後のガイドローラ22上のウェブの側縁部の位置との間の距離であるシフト量を、実測シフト量Shとして、ガイドローラ22毎に測定する(図3のSTEP4)。すなわち、図4の左右方向における、ウェブが搬送されているときのガイドローラ22上のウェブの側縁部の位置と、ウェブが搬送されている状態でガイドローラ22の回転が停止された後のガイドローラ22上のウェブの側縁部の位置との間のずれの大きさを、実測シフト量Shとしてガイドローラ22毎に測定する。
【0026】
そして、図3のSTEP5に示すように、各々のガイドローラ22について、実測シフト量Shを予測シフト量Shで割ることによりメンテナンス係数を算出する。このメンテナンス係数が大きければ大きいほど、ガイドローラ22は本来の正常な状態から傾斜しているといえる。このため、メンテナンス員は、各々のガイドローラ22についてメンテナンス係数の大きい順にメンテナンス(すなわち、ガイドローラ22の平行度の調整等)を行うこととなる。一方、メンテナンス係数が0または0に非常に近い大きさである場合には、操作者はこのガイドローラ22のメンテナンスを行う必要がない。このように、各々のガイドローラ22について、予測シフト量Shに対する実測シフト量Shの割合の大きさに基づいて、各ガイドローラ22について正常な状態で設置されているか否かの判断を行う(図3のSTEP5)。
【0027】
以上のように本実施の形態のウェブ搬送装置20の点検方法によれば、各ガイドローラ22間の距離を準備し、各ガイドローラ22間の距離に基づいて、各々のガイドローラ22についてウェブの進行方向におけるガイドローラ22上のウェブの両側縁部の間の距離であるピッチ量が一定値となったと仮定したときの予測シフト量Shを算出する。そして、各ガイドローラ22に張架された状態でウェブを搬送し、ウェブが搬送されている状態で各ガイドローラ22の回転を停止させる。そして、ガイドローラ22が回転している状態でウェブが搬送されているときのガイドローラ22上のウェブの位置とこのガイドローラ22の回転が停止された後のガイドローラ22上のウェブの位置との間の距離であるシフト量を実測シフト量Shとしてガイドローラ22毎に測定する。そして、各々のガイドローラ22について、予測シフト量Shに対する実測シフト量Shの割合の大きさに基づいて、各ガイドローラ22について正常な状態で設置されているか否かの判断を行う。
【0028】
このようなウェブ搬送装置20の点検方法によれば、ガイドローラ22の設置精度が悪い場合には走行中のウェブのシフト量がガイドローラ22の回転速度に関連することを利用し、ウェブが搬送されている状態でガイドローラ22の回転を停止させ、ガイドローラ22の回転を停止する前後におけるウェブのシフト量をガイドローラ22毎に測定することにより、各ガイドローラ22について正常な状態で設置されているか否かの判断を行うようになっている。このことにより、従来技術では測定が困難なガイドローラ22の設置精度が測定可能となる。また、水準器やダイヤルゲージ等を用いた測定等、余計な測定に時間を費やすことがなくなり、ガイドローラ22のメンテナンスを短時間で行うことができるようになる。
【0029】
なお、本実施の形態によるウェブ搬送装置20の点検方法は、上記の態様に限定されるものではなく、様々の変更を加えることができる。
【0030】
例えば、本実施の形態によるウェブ搬送装置20の点検方法において、予測シフト量Shを算出する工程を省略することもできる。この場合、各々のガイドローラ22について実測シフト量Shのみが算出されるようになるが、ガイドローラ22毎に測定された実測シフト量Shに基づいて、各ガイドローラ22について正常な状態で設置されているか否かの判断を行うことができる。より詳細には、実測シフト量Shが大きければ大きいほど、ガイドローラ22は本来の正常な状態から傾斜していると考えられるので、メンテナンス員は、各々のガイドローラ22について実測シフト量Shの大きさを考慮してメンテナンス(すなわち、ガイドローラ22の平行度の調整等)を行うこととなる。しかしながら、この実測シフト量Shには、ガイドローラ22間の距離aは反映されていないので、前述のようなメンテナンス係数と比較して信頼性が低いものとなる。また、このようなウェブ搬送装置20の点検方法において、実測シフト量Shが0または0に非常に近い大きさである場合には、操作者はこのガイドローラ22のメンテナンスを行う必要がない。
【符号の説明】
【0031】
10 グラビア印刷機
12 給紙装置
14 インフィード装置
16 印刷装置
16a 版胴
16b 圧胴
18 アウトフィード装置
19 巻取り装置
20 ウェブ搬送装置
22、22a〜22f ガイドローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略平行に延びる複数のガイドローラを有するウェブ搬送装置の点検方法であって、
各ガイドローラに張架された状態でウェブを搬送する工程と、
ウェブが搬送されている状態で各ガイドローラの回転を停止させる工程と、
ガイドローラが回転している状態でウェブが搬送されているときのガイドローラ上のウェブの位置とこのガイドローラの回転が停止された後のガイドローラ上のウェブの位置との間の距離であるシフト量を実測シフト量としてガイドローラ毎に測定する工程と、
ガイドローラ毎に測定された実測シフト量に基づいて、各ガイドローラについて正常な状態で設置されているか否かの判断を行う工程と、
を備えたことを特徴とする、ウェブ搬送装置の点検方法。
【請求項2】
略平行に延びる複数のガイドローラを有するウェブ搬送装置の点検方法であって、
各ガイドローラ間の距離を準備する工程と、
各ガイドローラ間の距離に基づいて、各々のガイドローラについてウェブの進行方向におけるガイドローラ上のウェブの両側縁部の間の距離であるピッチ量が一定値となったと仮定したときの予測シフト量を算出する工程と、
各ガイドローラに張架された状態でウェブを搬送する工程と、
ウェブが搬送されている状態で各ガイドローラの回転を停止させる工程と、
ガイドローラが回転している状態でウェブが搬送されているときのガイドローラ上のウェブの位置とこのガイドローラの回転が停止された後のガイドローラ上のウェブの位置との間の距離であるシフト量を実測シフト量としてガイドローラ毎に測定する工程と、
各々のガイドローラについて、予測シフト量に対する実測シフト量の割合の大きさに基づいて、各ガイドローラについて正常な状態で設置されているか否かの判断を行う工程と、
を備えたことを特徴とする、ウェブ搬送装置の点検方法。
【請求項3】
予測シフト量を算出する工程において、一定値であるピッチ量をδa、搬送されるべきウェブの幅の大きさをW、対象となるガイドローラとこのガイドローラの直前に設けられたガイドローラとの間の距離をaとしたときに、予測シフト量Shは、Sh=a×δa/Wの式により算出されるようになっていることを特徴とする、請求項2記載のウェブ搬送装置の点検方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−66887(P2012−66887A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211103(P2010−211103)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】