説明

ウエットシート包装体

【課題】本発明は、溶剤あるいは薬液が浸漬されているウエットシートを乾燥しないように、密封性の高い包装体内に収納し、前記ウエットシートに手や指が直接触れないで、前記ウエットシートを使用できるウエットシート包装体に関するものである。
【解決手段】本発明の溶剤または薬液が浸漬されているウエットシートは、易開封性フィルムおよび直線カット性フィルムからなる二重フィルムによって上下から被覆されている。前記易開封性フィルムおよび直線カット性フィルムは、熱圧着または接着剤により互いに接着されて一枚のフィルムとなっている。前記シール部の外側端部には、前記二箇所の切込み部で挟まれ、前記二重フィルムどうしが接着されていない非接着部が設けられている。前記非接着部は、指で一方の二重フィルムを摘まみ、たとえば、一方から他方に向けて移動することにより、前記切込みによって挟まれた部分を直線カット性フィルムで決まる方向に剥離することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マニキュア落とし用溶剤、毛染め用着色剤、洗剤、あるいは消毒用薬液が浸漬されているウエットシートを乾燥しないように、密封性の高い包装体内に収納し、前記ウエットシートに手や指が直接触れないで、前記ウエットシートを使用できるウエットシート包装体に関するものである。本発明の「ウエットシート」は、前記溶剤または薬液等が浸漬された紙、綿、織布、不織布等からなるものである。
【背景技術】
【0002】
図4(イ)および(ロ)は従来のウエットシート包装体を説明するための図である。図4(イ)において、一枚のウエットシート411は、ポリプロピレン、ポリエチレン、または、ポリエチレンテレフタレート等からなる二枚の樹脂フィルム421、422の四方を熱圧着したシール部43からなる矩形状のウエットシート包装体41内に収納されている。また、前記ウエットシート包装体41は、前記二枚の樹脂フィルム421、422の一辺に非シール部44が設けられている。前記非シール部44には、二箇所に切込み部45が設けられている。
【0003】
図4(ロ)において、前記ウエットシート包装体41の使用者は、前記非シール部44の一方を指で摘まみ、一方から他方に移動させる。上方の樹脂フィルム421は、二箇所の切込み部45に沿って、右方向に切れ、図4(ロ)に示されているように、剥離片46が前記ウエットシート包装体41の端部に残される。前記ウエットシート411は、図4(ロ)に示された状態で、たとえば、注射針を消毒するのに使用される。前記ウエットシート包装体41は、特開2001−225866号公報に詳述されている。
【特許文献1】特開2001−225866号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記ウエットシート包装体41は、剥離片46が残された状態になっているため、注射針を消毒する場合、ウエットシート411の使用が長手方向に限定されていた。前記ウエットシート包装体41は、短手方向に使用しようとすると、前記剥離片46が邪魔になった。また、ウエットシート411を長手方向に使用する場合、樹脂フィルム421が両端に残されているため、注射針の一部が消毒されていない前記樹脂フィルム421に触れる場合があった。さらに、前記樹脂フィルム421は、切込み部45から所望の方向に切れない場合が発生することがあった。
【0005】
以上のような課題を解決するために、本発明は、切込み部から所定方向に切り離され、ウエットシートで行う消毒等に何ら支障が発生しないウエットシート包装体を提供することを目的とする。また、本発明は、ウエットシート包装体の樹脂フィルムの剥離およびウエットシートによる作業が容易なウエットシート包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(第1発明)
第1発明のウエットシート包装体は、溶剤または薬液が浸漬されているウエットシートを乾燥しないように収納するものであり、溶剤または薬液が浸漬されているウエットシートと、前記ウエットシートの上下を被覆する易開封性フィルムおよび直線カット性フィルムからなる二重フィルムと、前記ウエットシートの周囲を囲み、前記二重フィルムどうしを接着するシール部と、前記シール部の外側端部において、一方から他方、および/または他方から一方に向けて設けられた少なくとも二箇所の切込み部と、前記シール部の外側端部において、前記二箇所の切込み部で挟まれ、前記二重フィルムどうしが一部接着されていない非接着部とから少なくとも構成されていることを特徴とする。
【0007】
(第2発明)
第2発明のウエットシート包装体は、第1発明の二箇所の切込み部で挟まれた前記二重フィルムが一方から他方に向かって剥離された切断片となり、前記ウエットシートが露出するとともに、ウエットシート包装体から分離されることを特徴とする。
【0008】
(第3発明)
第3発明のウエットシート包装体は、溶剤または薬液が浸漬されているウエットシートを乾燥しないように収納するものであり、溶剤または薬液が浸漬されているウエットシートと、前記ウエットシートの上下を被覆する易開封性フィルムおよび直線カット性フィルムからなる二重フィルムと、前記ウエットシートの周囲を囲み、前記二重フィルムどうしを接着するシール部と、前記二重フィルムにおける所定の開口幅を有する切込み部と、前記切込み部に取り付けられて内部を密封するラベルフラップとから少なくとも構成されていることを特徴とする。
【0009】
(第4発明)
第4発明のウエットシート包装体は、第3発明のラベルフラップが取り付けられた前記二重フィルムが一方から他方に向かって剥離された切断片となり、前記ウエットシートが露出するとともに、ウエットシート包装体から分離されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、易開封性フィルムおよび直線カット性フィルムの二重フィルムにおける切込み部から所定方向に確実に切り離され、ウエットシートの所望部分をウエットシート包装体の外部に露出させることができる。
【0011】
本発明によれば、前記二重フィルムの所定領域を完全に除去するため、ウエットシートの長手方向あるいは短手方向の使用であっても、支障なく使うことができるようになった。特に、ウエットシートは、長手方向を二つ折りにした場合、前記下部の二重フィルムが一段低い位置にあるため、使用者の使い勝手が容易になる。
【0012】
本発明によれば、二箇所の切込み部で囲まれた前記二重フィルムが完全に除去されるため、使用者の使い勝手が良いだけでなく、右利き、左利きに関係なく、使用することができるようになった。
【0013】
本発明によれば、二箇所の切込み部で囲まれた前記二重フィルムが完全に除去されるため、前記二重フィルムに付着した溶剤または薬液等が手や指に付着することが無くなった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第1発明)
第1発明のウエットシート包装体は、たとえば、洗剤、マニキュア落とし用溶剤、毛染め用溶剤、注射針等を消毒する消毒用等の薬液が浸漬されているウエットシートを乾燥しないように収納するものである。前記溶剤または薬液が浸漬されているウエットシートは、易開封性フィルムおよび直線カット性フィルムからなる二重フィルムによって上下から被覆されている。前記易開封性フィルムおよび直線カット性フィルムは、熱圧着または接着剤により互いに接着されて一枚のフィルムとなっている。また、前記二重フィルムは、前記易開封性フィルムのシール部によって、前記ウエットシートの周囲を囲み、前記ウエットシートが乾燥しないように包装するものである。
【0015】
前記シール部の外側端部には、一方から他方、および/または他方から一方に向けて少なくとも二箇所の切込み部が設けられている。前記切込み部は、たとえば、一方から他方に向けて二箇所、他方から一方に向けて二箇所の合計四箇所とするか、あるいはいずれか一方において、一方から他方に向けて二箇所とするか、または、他方から一方に向けて二箇所とすることができる。また、前記シール部の外側端部には、前記二箇所の切込み部で挟まれ、前記二重フィルムどうしが接着されていない非接着部が設けられている。
【0016】
前記非接着部は、指で一方の二重フィルムを摘まみ、たとえば、一方から他方に向けて移動することにより、前記切込みによって挟まれた部分を直線カット性フィルムで決まる方向に剥離することができる。前記二箇所の切込み部で挟まれた領域は、完全に二重フィルムが無くなる。露出された前記ウエットシートは、露出されていない部分を指で持つことにより、所望の物に対する処理を容易に行うことができる。前記切込み部は、四箇所とすることで、一方または他方のいずれの方向からも引き裂くことができる。また、前記切込み部は、ウエットシートに対する長手方向または短手方向のいずれとすることもできる。
【0017】
(第2発明)
第2発明のウエットシート包装体は、二箇所の切込み部で挟まれた前記二重フィルム部分が一方から他方に向かって剥離された切断片となる。前記切断片は、ウエットシートの一部を露出するとともに、ウエットシート包装体から切り離される。前記切断片は、前記ウエットシート包装体に付着された状態にないため、前記ウエットシートを長手方向または短手方向のいずれに使用することも容易になった。
【0018】
(第3発明)
第3発明のウエットシート包装体は、前記二重フィルムにおける所定の開口幅を有する切込み部と、前記切込み部に取り付けられて内部を密封するラベルフラップとを有する点で、第1発明と異なっている。前記ラベルフラップは、一方または他方に引きながら、前記ラベルフラップの幅で開口部が得られる。
【0019】
(第4発明)
第4発明のウエットシート包装体は、前記ラベルフラップを、たとえば、一方から他方に向かって引き剥がす。前記ラベルフラップは、剥離されて切断片となる。前記ラベルフラップの幅からなる開口部は、前記切断片がなくなっているため、溶剤または薬液による処理が容易にでき、手や指に前記溶剤または薬液が付くことがない。
【実施例1】
【0020】
図1(イ)および(ロ)は本発明のウエットシート包装体を説明するための模式図である。図2(イ)は図1(イ)のA−A断面図、(ロ)は図1(イ)のB−B断面図である。図1(イ)および図2(イ)、(ロ)において、ウエットシート包装体11は、ポリプロピレン、ポリエチレン、または、ポリエチレンテレフタレート等からなり、易開封性フィルム122の上に直線カット性フィルム123が接着されている二重フィルム113の四方を熱圧着したシール部114からなる矩形状をしている。ウエットシート111は、前記二重フィルム113により被覆され、前記ウエットシート包装体11の内部に収納されている。また、前記ウエットシート包装体11は、前記二重フィルム113の対向する二辺に非シール部115、116が設けられている。前記非シール部115、116には、二箇所に切込み部117、118および/または切込み部119、120が設けられている。
【0021】
図1(ロ)において、前記ウエットシート包装体11の使用者は、前記非シール部115または116における二重フィルム113の一方を指で摘まみ、一方から他方に移動させる。上方の二重フィルム113は、二箇所の切込み部117、118から他方に向かって切れる。前記二重フィルム113は、最後まで切れ、図1(ロ)に示されているように、切断片121が前記ウエットシート包装体11の端部に残されない。前記ウエットシート111は、図1(ロ)に示された状態で、長手方向または短手方向のいずれの方向からでも、たとえば、注射針を消毒することができる。
【0022】
たとえば、毛染め用着色剤が浸漬したウエットシートは、二重フィルムの部分の端を指で摘まみ、一方に引くことにより、断片が残らずに、切込み部の幅からなる開口部ができる。前記毛染め用着色剤が浸漬したウエットシートは、指等を汚すことなく、所定の部分の毛を染めることができる。本発明のウエットシートは、開口した際に断片が残らないため、右利き左利きに関係なく、注射針の消毒が容易にできる。
【実施例2】
【0023】
図3(イ)および(ロ)は本発明の他のウエットシート包装体を説明するための模式図である。第2実施例におけるウエットシート包装体31は、スリット35および前記スリット35に取り付けられたラベルフラップ37が設けられている点で、第1実施例と異なっている。前記スリット35は、前記ラベルフラップ37を一方に引くことにより、開口部ができるだけでなく、前記ラベルフラップ37が切り離される。その後の使用方法は、第1実施例と同じである。
【0024】
以上、本実施例を詳述したが、本発明は、前記本実施例に限定されるものではない。そして、本発明は、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。本発明の切込み部の間隔、シール部および非シール部の幅等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することができる。
【0025】
また、本発明のウエットシートに使用される溶剤または薬液は、実施例以外に、公知または周知のものを含む。さらに、本発明のシール部および二重フィルムどうしの接着は、公知または周知の手段を含む。また、易開封性フィルムおよび直線カット性フィルムは、公知または周知のフィルムを使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】(イ)および(ロ)は本発明のウエットシート包装体を説明するための模式図である。(実施例1)
【図2】(イ)は図1(イ)のA−A断面図、(ロ)は図1(イ)のB−B断面図である。
【図3】(イ)および(ロ)は本発明の他のウエットシート包装体を説明するための模式図である。(実施例2)
【図4】(イ)および(ロ)は従来のウエットシート包装体を説明するための図である。
【符号の説明】
【0027】
11・・・ウエットシート包装体
111・・・ウエットシート
112、113・・・二重フィルム
114・・・シール部
115、116・・・非シール部
117、118、119、120・・・切込み部
121・・・切断片
122・・・易開封性フィルム
123・・・直線カット性フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶剤または薬液が浸漬されているウエットシートを乾燥しないように収納するウエットシート包装体において、
溶剤または薬液が浸漬されているウエットシートと、
前記ウエットシートの上下を被覆する易開封性フィルムおよび直線カット性フィルムからなる二重フィルムと、
前記ウエットシートの周囲を囲み、前記二重フィルムどうしを接着するシール部と、
前記シール部の外側端部において、一方から他方、および/または他方から一方に向けて設けられた少なくとも二箇所の切込み部と、
前記シール部の外側端部において、前記二箇所の切込み部で挟まれ、前記二重フィルムどうしが一部接着されていない非接着部と、
から少なくとも構成されていることを特徴とするウエットシート包装体。
【請求項2】
前記二箇所の切込み部で挟まれた前記二重フィルムは、一方から他方に向かって剥離された切断片となり、前記ウエットシートが露出するとともに、ウエットシート包装体から分離されることを特徴とする請求項1に記載されたウエットシート包装体。
【請求項3】
溶剤または薬液が浸漬されているウエットシートを乾燥しないように収納するウエットシート包装体において、
溶剤または薬液が浸漬されているウエットシートと、
前記ウエットシートの上下を被覆する易開封性フィルムおよび直線カット性フィルムからなる二重フィルムと、
前記ウエットシートの周囲を囲み、前記二重フィルムどうしを接着するシール部と、
前記二重フィルムにおける所定の開口幅を有する切込み部と、
前記切込み部に取り付けられて内部を密封するラベルフラップと、
から少なくとも構成されていることを特徴とするウエットシート包装体。
【請求項4】
前記ラベルフラップが取り付けられた前記二重フィルムは、一方から他方に向かって剥離された切断片となり、前記ウエットシートが露出するとともに、ウエットシート包装体から分離されることを特徴とする請求項3に記載されたウエットシート包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−114880(P2008−114880A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−298917(P2006−298917)
【出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(592163789)大一紙工株式会社 (6)
【Fターム(参考)】