説明

ウォータサーバ

【課題】 取水時における動水状態の飲料水に対し紫外線を照射することにより殺菌処理を行うにあたり、大型化を招くことなく殺菌性能の確実化・増大化を図り得るウォータサーバを提供する。
【解決手段】 冷水タンク2の底部に殺菌流路26を設けて動水状態の冷水が流れる流路全長に亘り紫外線が照射されるようにする。紫外線灯29を中心にして同心円状に配設した内側筒壁261と外側筒壁262とで、流路が上向き・下向きの2回に亘り蛇行する二重構造を形成する。内側筒壁261と外側筒壁262とを紫外線透過素材で形成する。紫外線灯をその下端部が溜まり部から一直線状に延びる冷水取水管27内に臨むように配置して、紫外線が取水弁28の弁体282まで照射されるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウォータボトル等の容器に充填されたミネラルウォータ等の飲料水の補給をタンクに受けて保冷しつつ貯留し、その飲料水をユーザの取水要求に応じて供給するウォータサーバに関し、特に取水時の殺菌技術、つまりタンク内から流れ出ることになる動水状態の飲料水を紫外線灯により効果的に殺菌するための技術に係る。
【背景技術】
【0002】
従来、ウォータサーバとしては「ディスペンサ」とも称され、交換可能に装着されたウォータボトルから飲料水の供給を内蔵タンクに受け、この飲料水をユーザのレバー操作やコック操作により飲用として取水し得るようにしたものが提供されている。
【0003】
動水状態の水に対し紫外線を照射することにより殺菌する技術として、次のものが知られている。すなわち、特許文献1には、浄水器や観賞用水槽等における流体を紫外線照射により殺菌浄化処理する装置として、棒状の紫外線ランプの周囲に3本の紫外線透過ガラス製のパイプを平行に配置し、1本目のパイプにその一端から他端に流体を流し、他端を2本目の他端に連通させて流体を2本目の他端から一端へ流し、さらに、その一端を3本目のパイプの一端に連通させて流体を3本目の一端から他端へ流す、というように棒状の紫外線ランプに沿って流体を1往復半流し得るようにしたものが開示されている。
【0004】
又、特許文献2には、紫外線放射により流動状態の水を滅菌するシステムとして、両端開口のパイプを容器内に立て込み、パイプの上端開口を入口として水を流し込み下端開口から出た水を容器の底で折り返させて容器の上端側の出口から流出し得るようにする一方、パイプの下端開口に相対向するように容器の外部に配置した高強度の紫外線灯から紫外線を放射させ、この紫外線が容器底部の窓からパイプ内に入り込み、パイプ内面で全内反射しながら上端開口まで伝搬されるようにしたものが開示されている。
【0005】
さらに、特許文献3には、飲料水ディスペンサにおいて、取水のための開閉弁の直前位置に紫外線灯を設置し、飲料水ディスペンサの前面に利用者が来たことを赤外線センサにより検知したときに紫外線灯を点灯させるようにすることが開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開平9−271766号公報
【特許文献2】特表2005−506180号公報
【特許文献3】特開2000−128292号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、ウォータサーバにおいて取水のために流動している動水状態の飲料水に対し、紫外線照射(紫外線暴露)による殺菌を適用する場合、その殺菌の確実化又は殺菌性能の向上を図ろうとするとウォータサーバの大型化を招くという不都合を生じることになる。
【0008】
すなわち、ウォータサーバ内のタンクに貯留された飲料水について貯留状態のまま、つまり静水状態のままで紫外線照射により殺菌する場合には、主としてその紫外線の照射時間を長くすることで殺菌性能を高めることが可能となる。しかしながら、取水の際にタンク内から取水管に流れていく動水状態の飲料水を対象にして紫外線照射により殺菌する場合には、主として紫外線を照射し得る距離を長くすることで殺菌性能を高めざるを得なくなる。このため、タンクからの流路長を長くしたり、それに併せて紫外線灯を長くしたり等の対策を施すと、ウォータサーバ自体の大型化を招く結果になってしまうことになる。
【0009】
ここで、図6(a)に例示するように、タンク200から取水用の開閉弁201までの取水管202の上流端をタンク200底部に凹状に形成した溜まり部203から分岐させるようにし、かつ、その溜まり部203に紫外線灯204の一部を挿入する構造の採用を出願人は考えている。この場合に取水時にタンク200内から溜まり部203に流入して取水管202を通して取水弁201から外部に供給される間に紫外線がその動水状態の飲料水に対し照射される距離は、図6(a)の場合であると同図にL1として示すように溜まり部203の深さに対応するごく短いものとなり、この距離L1をより長くするには溜まり部203をより深くする必要が生じる。一方、図6(b)に示すように取水管202に沿って紫外線灯205を配置して紫外線を取水管202の外部から照射するようにすれば、紫外線の照射距離はL2となってより長くすることができるものの、紫外線灯205から照射される紫外線の内、取水管202側に照射される紫外線だけの利用しかできなくなる上に、取水管202に対し紫外線灯を組み合わせる必要からより大きなスペースが必要となる。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、取水時における動水状態の飲料水に対し紫外線を照射することにより殺菌処理を行うにあたり、大型化を招くことなく殺菌性能の確実化・増大化を図り得るウォータサーバを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明では、給水ボトルから給水を受けて飲料水を貯留する貯留タンクと、この貯留タンクからの取水時に点灯されて紫外線照射により殺菌する紫外線灯とを備えたウォータサーバを対象にして、次の特定事項を備えることにした。すなわち、上記貯留タンク内からの取水時に動水状態になる飲料水を殺菌するための殺菌流路を備えるようにし、上記殺菌流路として、上記冷水タンク内から飲料水が取水される取水部位において冷水タンクの内外方向に延びるように配設された棒状の紫外線灯と、この紫外線灯の外周面を囲むように互いに間隔を隔てて配設された2以上の筒壁とを備え、上記紫外線灯とこれに外周側で隣接する筒壁との間、及び、この筒壁とこれに外周側で隣接する他の筒壁との間により上記紫外線灯の長手方向に互いに向きを変えて蛇行する流路を構成し、かつ、少なくとも最内周側の筒壁を紫外線透過素材により形成することとした(請求項1)。
【0012】
この発明の場合、2以上の筒壁によって、それらの筒壁が円筒状であれば断面形状がドーナッツ環状の流路が取水部位において紫外線灯の長手方向に互いに向きを変えて蛇行するように形成されることになる。しかも、最内周側の筒壁が紫外線透過素材により形成されているため、殺菌流路を流れることになる動水状態の飲料水の流路長さが蛇行回数に対応して棒状の紫外線灯の長さの少なくとも倍になる。このため、紫外線灯の点灯により紫外線が照射される距離が、単に紫外線灯に沿うだけの流路の場合に比して飛躍的に長くなって、短い紫外線灯であっても紫外線照射による殺菌性能を大幅に向上させ得ることになる。しかも、かかる殺菌性能の向上を装置の大型化を伴うことなく実現させ得ることになる。
【0013】
以上の発明においては、2以上の筒壁の全てを紫外線透過素材により形成することができ(請求項2)、このようにすることで紫外線灯からの紫外線を殺菌流路のみならず、殺菌流路を構成する最外周側の筒壁の外周側領域にまで照射させ得ることになり、1本の紫外線灯により広範囲に対する紫外線照射が可能になる。
【0014】
又、上記2以上の筒壁の内、最外周側の筒壁として、上記紫外線灯から照射される紫外線を内側に向けて反射させる構成とし、他の内周側の筒壁を紫外線透過素材により形成するようにすることができる(請求項3)。紫外線を反射させる構成としては該当する筒壁の全体を紫外線反射素材(紫外線非透過素材)により形成するようにしてもよいし、反射層をコーティング等により形成するようにしてもよい。このようにすることで、紫外線灯からの直接の紫外線照射と、反射された紫外線とによって、殺菌流路内の殺菌度合をより増大させ得ることになる。
【0015】
さらに、上記取水部位として冷水タンクの底部に対し溜まり部を凹状に形成し、この溜まり部から下流側に向けて取水経路を延ばすようにし、上記紫外線灯として、上記殺菌流路から溜まり部内まで延ばして、その点灯により、上記殺菌流路と、上記取水経路の下流端までの内部空間との双方に対し紫外線が照射されるように配設することができる(請求項4)。このようにすることで、殺菌流路内を流動する飲料水の殺菌に加え、取水経路内を流動する飲料水の殺菌をも確実に行い得るようになり、取水時における動水状態の飲料水に対する必要・十分な殺菌をより一層確実に担保させることが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
以上、説明したように、請求項1〜請求項4のいずれかのウォータサーバによれば、殺菌流路を流れることになる動水状態の飲料水の流路長さを流路の蛇行回数に対応して棒状の紫外線灯の長さの少なくとも倍にすることができる上に、最内周側の筒壁を紫外線が透過することになるため、紫外線灯の点灯により紫外線が照射される距離を、単に紫外線灯に沿うだけの流路の場合に比して飛躍的に長くすることができる。これにより、短い紫外線灯であっても紫外線照射による殺菌性能を大幅に向上させることができ、しかも、かかる殺菌性能の向上を装置の大型化を伴うことなく実現させることができるようになる。
【0017】
特に、請求項2によれば、紫外線灯からの紫外線を殺菌流路のみならず、殺菌流路を構成する最外周側の筒壁の外周側領域にまで照射させることができるようになり、1本の紫外線灯により広範囲に対する紫外線照射を行うことができるようになる。
【0018】
請求項3によれば、紫外線灯からの直接の紫外線照射と、最外周側の筒壁により反射された紫外線とによって、殺菌流路内の殺菌度合のより増大化を図ることができるようになる。
【0019】
請求項4によれば、殺菌流路内を流動する飲料水の殺菌に加え、取水経路内を流動する飲料水の殺菌をも確実に行うことができるようになり、取水時における動水状態の飲料水に対する必要・十分な殺菌をより一層確実に担保させることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
<第1実施形態>
図1は本発明の実施形態に係るウォータサーバの装置構成を、図2はこのウォータサーバの外観構成例を示す。両図において、符号1は外装となるハウジング、2(図1にのみ表れる)は貯留タンクとしての冷水タンク、3は上記冷水タンク2の上側に着脱可能に装着されて冷水タンク2への飲料水の供給源となる給水ボトルとしてのウォータボトル、4(図1にのみ表れる)は冷水タンク2内の水を冷却する冷凍回路、5(図1にのみ表れる)は冷水タンク2を介して水の供給を受ける温水タンク、6(図1にのみ表れる)は温水タンク5内の水を加熱するヒータ、7(図1にのみ表れる)は後述の紫外線灯29の点灯・消灯の制御(殺菌制御)を含むウォータサーバの作動制御を行う制御手段としてのコントローラである。
【0022】
ハウジング1の上面中央部位にはウォータボトル3を装着させるための連結凹部11が形成されている。この連結凹部11は、ウォータボトル3の首部31を天地逆転した状態で内嵌させ得る内面形状を有すると共に、その中心軸に沿って上向きに突出する連通筒部12(図1参照)を備えている。この連結凹部11に対し、ウォータボトル3の天地を逆にした状態で首部31を上から下に内嵌させることにより、連通筒部12がウォータボトル3の首部31内に上向きに挿入されてウォータボトル3内と冷水タンク2内とを互いに連通した状態にして、ウォータボトル3と冷水タンク2とが互いに連結されるようになっている。又、ハウジング1の前面の中段位置には冷水及び温水の2種類の飲料水を受けるコップ置き場13(図2にのみ表れる)が形成され、このコップ置き場13の上側位置に上記冷水及び温水の各取水口281,521が配置されている。又、このコップ置き場13の上側位置の前面には、ユーザが各種の入力操作を行うための操作パネル14が配設されている。この操作パネル14には温水取り出しのための温水用の取水スイッチ15と、冷水取り出しのための冷水用の取水スイッチ16とが配設されている。
【0023】
冷水タンク2は上方に開放された容器であり、その上端開口に対し遮光板を兼ねる蓋21がパッキン等を介して嵌め込まれて、密閉されている。蓋21の略中央部位は上記連結凹部11に対し下側から外嵌し得る凹部22とされ、この凹部22の中心位置には上記の連通筒部12が挿通される貫通孔が形成されている。さらに、冷水タンク2内の所定レベル位置には水平方向に拡がるバッフルプレート23が配設され、このバッフルプレート23の中央位置に対し上流端が開口するように接続管24が接続されている。この接続管24の下流端が温水タンク5の底部に連通されている。
【0024】
そして、冷水タンク2の底部に対し凹状に形成された溜まり部25と、冷水タンク2内から溜まり部25に至る部位に形成された後述の殺菌流路26とが設けられている。上記溜まり部25からは取水経路である冷水取水管27が側方に延ばされ、その下流端がハウジング1のコップ置き場13の上方位置まで延ばされている。この冷水取水管27の下流端側に設置された冷水取水弁28が開作動されることにより、取水口281から冷水タンク2内の冷水が吐出されるようになっている。この冷水取水弁28は電磁式開閉制御弁により構成されており、通常は閉状態に維持されて、ユーザが取水スイッチ16をON操作(押圧操作)すると、その操作信号の出力を受けてコントローラ7により開切換制御されて冷水を取水口281から吐出させ、取水スイッチ16がOFF(押圧解除)されると元の閉状態に切換えるようになっている。一方、冷水タンク2内には殺菌のための紫外線灯29が設置され、この紫外線灯29の点灯による紫外線照射によって、冷水タンク2内に貯留されている冷水及び取水時に殺菌流路26を流れる冷水が共に殺菌処理されるようになっている。紫外線灯29の下端部は上記溜まり部25内まで延ばされて冷水取水管27の内方まで照らし得るようにされている。
【0025】
より詳細に説明すると、図3に示すように、取水時には冷水タンク2内の飲料水は冷水タンク2の底部から殺菌流路26に流入し、ついで溜まり部25を経て冷水取水管27を通して冷水取水弁28まで流下して取水されることになる。これに対し、棒状の紫外線灯29は周囲を保護シース291により覆われた状態で冷水タンク2の上から下に差し込まれ、その下端電極部292が溜まり部25の底部に収容された状態で配設されている。この状態では点灯されると、冷水タンク2内の上から下までの範囲と、殺菌流路26内と、溜まり部25内と、冷水取水管27を通して冷水取水弁28の弁体282までの範囲とに対し紫外線を照射し得ることになる。
【0026】
すなわち、殺菌流路26は、溜まり部25に連通して紫外線灯29の下端部の周囲を囲むように冷水タンク2の底壁から立ち上がる内側筒壁261と、この内側筒壁261の周囲を囲む外側筒壁262との2つの隔壁により、断面形状がドーナッツ環状となる流路が上下方向に蛇行するものとして形成されている。外側筒壁262は内側筒壁261の上端開口を所定距離上方位置から覆う頂壁263を一体に備え、この頂壁263の内周縁側が例えば紫外線灯29の保護シース291に結合されて支持されることにより外側筒壁262の下端縁と冷水タンク2の底壁面との間にドーナッツ環状の流入口264が開口されるようになっている。そして、取水時には、冷水タンク2内の冷水が流入口264から殺菌流路26内に流入し、外側筒壁262と内側筒壁261との間の流路を上向きに流れ、頂壁263で下向きに流れの向きを変え、内側筒壁261と保護シース291との間の流路を下向きに流れて溜まり部25内の紫外線灯29の周囲に至り、冷水取水管27内を通して取水口281に至ることになる。なお、内側筒壁261と外側筒壁262とは図3(b)に示すように紫外線灯29を囲んで同心円状に配置されているが、同心円状配置に限られることはない。又、内側筒壁261と外側筒壁262とは紫外線灯29を囲んで殺菌流路26の流路を区画形成すればよく、必ずしも円形でなくても楕円形、三角形、四角形等の断面形状に形成されていてもよい。
【0027】
加えて、上記の内側筒壁261と外側筒壁262とは、あるいは、これらに頂壁263を加えたものは、それぞれ紫外線を透過し得る素材により形成されている。紫外線透過素材としては例えば石英ガラスや、耐紫外線性能を有するフッ素樹脂等を用いればよい。これにより、図3(a),(b)に点線の矢印で示すように紫外線灯29の点灯により紫外線が内側筒壁261を透過して殺菌流路26の流路全長の全てに照射される一方、外側筒壁262を透過して冷水タンク2の底部近傍に存在する冷水にも照射されるようになっている。
【0028】
一方、冷水取水管27は溜まり部25から冷水取水弁28まで側方に一直線状に延ばされている。冷水取水管27の上流端271は溜まり部25に対し側方から開口して連通し、下流端272は冷水取水弁28の弁体282に相対向して弁体282が着座する弁座を構成している。そして、紫外線灯29から照射される紫外線が冷水取水管27の内部空間を一直線に延びて冷水取水弁28の弁体282に突き当たることになるように、紫外線灯29と、冷水取水管27及び冷水取水弁28との位置関係が設定されている。つまり、紫外線灯29の下端電極部292が冷水取水管27の上流端271よりも下に位置するように溜まり部25の底に配置されて、紫外線灯29を点灯すれば、紫外線灯29からの紫外線により、冷水取水管27内の上流端271から冷水取水弁28の弁体282位置の下流端272(冷水取水口281近傍位置)までの全範囲の内部空間に亘って照射されて冷水取水管27の内部空間に存する冷水も殺菌されるようになっている。
【0029】
ウォータボトル3は「ガロンボトル」とも言われ、内部に飲料水が充填・収容された状態で提供されるものである。そして、このウォータボトル3がウォータサーバに対し上記の如く装着され、装着されたウォータボトル3内の飲料水が消費されて空になるたびに、新しいウォータボトル3に交換されるようになっている。なお、ここでいう「飲料水」としては、ミネラルウォータ等の水の他に、お茶やジュース等の飲用の水分を含むものである。
【0030】
冷凍回路4は、内部に冷媒を封入した循環経路41上に蒸発器を構成する冷却管42を備えている。そして、この冷却管42を上記冷水タンク2の周囲に巻き付け、コンプレッサ43により圧縮した冷媒を放熱器44で放熱させて液化させ、これを膨張させて冷却管42に供給することにより冷水タンク2内の水から熱を奪って冷却するようになっている。この冷凍回路4は、冷水タンク2内の冷水の温度を検出するよう例えば冷水タンク2の底部に設置された冷水温度センサから出力される冷水温度検出値に基づきコントローラ7による保冷運転制御により作動されるようになっており、この保冷運転制御は電源が投入されてウォータサーバが使用される際に開始され、冷凍回路4を作動させて冷水タンク2内の飲料水を所定温度まで冷却した後、その飲料水が上限値(例えば10℃)と下限値(例えば5℃)との間の一定の冷水温度範囲に維持されるように保冷運転を行うようになっている。
【0031】
温水タンク5は冷水タンク2よりも下位に、従ってウォータボトル3よりも下位に配置された密閉容器であり、内部にヒータ6が配設されている。この温水タンク5には、上記接続管24を通して冷水タンク2内(あるいはウォータボトル3内)から水頭差に基づき水が注水され、かつ、取水により減った分だけ補給されるようになっている。従って、温水タンク5から見ると、上記ウォータボトル3のみならず冷水タンク2も水源容器を構成することになる。又、温水タンク5の頂部から温水取水管51がハウジング1のコップ置き場の上方位置まで延ばされ、その温水取水管51の下流端側に介装された温水取水弁52が開作動されることによりその温水取水口521から温水タンク5内の温水が吐出されるようになっている。この温水取水弁52も冷水取水弁27と同様に電磁式開閉制御弁により構成されており、通常は閉状態に維持されて、ユーザが取水スイッチ15をON操作(押圧操作)すると、その操作信号の出力を受けてコントローラ7により開切換制御されて温水を取水口521から吐出させ、取水スイッチ15がOFF(押圧解除)されると元の閉状態に切換えるようになっている。なお、図1中の符号241は水抜き用配管であり、この水抜き用配管241は接続管24から分岐してハウジング1まで延ばされており、その下流端の接続口から冷水タンク2内の冷水や温水タンク5内の温水を排出させてウォータサーバ内から水抜きし得るようになっている。又、図1中の符号53は過熱防止装置であり、54は温度センサであり、過熱防止装置53はバイメタルを用いて沸騰直前の温度(例えば95℃)の検知によりヒータ6に対する通電を遮断するようになっている。
【0032】
ヒータ6はコントローラ7による保温運転制御により作動されるようになっており、この保温運転制御は電源が投入されてウォータサーバが使用される際に開始され、ヒータ6を作動させて温水タンク5内の飲料水を所定温度まで加熱した後、その飲料水が上限値(例えば90℃)と下限値(例えば80℃)との間の一定の温水温度範囲に維持されるように保温運転を行うようになっている。従って、温水タンク5内の温水については加熱殺菌が施されることになる。
【0033】
コントローラ7は、ヒータ6等の電気駆動式の要素に対する電源供給と、冷凍回路4による保冷運転制御及びヒータ6による保温運転制御と、冷水スイッチ16又は温水スイッチ15からの出力に基づく冷水又は温水の供給運転に係る制御と、紫外線灯29を点灯(ON)又は消灯(OFF)させて殺菌する殺菌運転制御とを行うようになっている。殺菌運転制御としては、例えば冷水取水弁28による冷水の取水に連動して点灯させる取水連動制御や、定期的に点灯させる定期点灯制御等が行われる。取水連動制御としては、例えば冷水用の取水弁28の開作動に連動して予め設定された時間だけ紫外線灯29を点灯させるようにすればよい。
【0034】
そして、取水時に連動して紫外線灯29が点灯されると、冷水タンク2内の冷水が流入口264から殺菌流路26内に流入し次いで溜まり部25及び冷水取水管27を流れて冷水取水口281から外部に取水される間に、動水状態となった冷水に対し紫外線が照射されて殺菌されることになる。この際、流入口264から流入した冷水が殺菌流路26内を下から上に、次いで上から下にというように蛇行する間の全流路に亘り紫外線の照射を受け続けて殺菌されることになり、殺菌流路26が存在せずに冷水タンク2から溜まり部25に直接に流れ込む場合に比べ、動水状態の冷水が紫外線の照射を受ける距離を飛躍的に長くすることができる。加えて、殺菌流路26内を流れる間のみならず、溜まり部25及び冷水取水管27内を流れる間の全てに亘り、紫外線照射を受けることになり、紫外線照射による殺菌性能を大幅に向上させることができるようになる。
【0035】
しかも、殺菌流路26により、冷水タンク2の底部近傍の比較的短い上下寸法の範囲で冷水の流動距離をほぼ倍以上に長くすることができ、冷水タンク2等の大型化を招くことなく殺菌性能の確実化や向上を図ることができるようになる。
【0036】
<第2実施形態>
図4は、本発明の第2実施形態に係るウォータサーバを示し、この第2実施形態は殺菌流路26を構成する外側筒壁262aの構成素材として紫外線を透過しない、つまり反射させるもの(例えばステンレス)を採用した点で第1実施形態と大きく異なり、その構成素材の変更に伴い、殺菌流路26等を流れる動水状態の冷水用の紫外線灯29aと、冷水タンク2内に貯留された静水状態の冷水用の紫外線灯29bとの2種類の紫外線灯を備えるようにした点で第1実施形態と異なるものである。その他の構成要素や配置・構成は全て第1実施形態のものと同様であり、図4に表れる同一構成要素には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0037】
この第2実施形態の場合には、紫外線灯29aとしては少なくとも殺菌流路26を照射し得る長さのもの、好ましくは溜まり部25内の冷水取水管27に臨む範囲まで照射し得る長さのものでよく、紫外線灯29bとしては冷水タンク2の上下範囲の全長に亘る範囲に紫外線を照射し得る長さのものを採用すればよい。
【0038】
第2実施形態の場合、外側筒壁262aが紫外線反射素材(紫外線非透過素材)により形成されているため、紫外線灯29aが点灯されると、紫外線透過素材で形成された内側筒壁261を透過した紫外線が外側筒壁262aの内側流路まで至り、外側筒壁262aの内面で反射されて再び内側筒壁261の側に進むことになる。これにより、殺菌流路26内での紫外線照射による殺菌度合をより増大させることができるようになる。一方、紫外線灯29aが点灯されても、外側筒壁262aの外側領域には紫外線が延びないことになる。これに対し、紫外線灯29bの点灯により、外側筒壁262aの外側領域の冷水タンク2内にも紫外線灯29bからの紫外線が照射されるため、冷水タンク2に貯留された静水状態の冷水や、取水時に取水口281まで流動して動水状態になる冷水のいずれにも紫外線照射による殺菌を有効かつ確実に行うことができるようになる。
【0039】
<第3実施形態>
図5は、本発明の第3実施形態に係るウォータサーバを示し、この第3実施形態は殺菌流路26を構成する外側筒壁262aが紫外線反射素材(紫外線非透過素材;例えばステンレス)により形成されている点で第2実施形態と同じであるが、殺菌流路26を冷水タンク2の底壁20の内面よりも下位に配設するようにした点で第2実施形態と異なるものである。その他の構成要素や配置・構成は以下で特に言及しない限り第2実施形態の場合と同様であり、図5に表れる同一構成要素には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0040】
この第3実施形態の場合には、冷水タンク2の底壁20の一部であって取水部位に該当する部分に所定形状の凹部20aを形成し、この凹部20a内に殺菌流路26がそっくり収容されている。すなわち、凹部20aとしては、殺菌流路26の外周囲の形状よりも所定幅(例えば取水のために冷水タンク2内から飲料水がスムースに流動し得る流路幅に相当する寸法)だけ広く、かつ、殺菌流路26の構成部分である外側筒壁262a(好ましくは外側筒壁262a及び頂壁263)が底壁20の内面位置よりも下位に配置されることになるような深さを有するものとし、このような凹部20aを底壁20の内面から下向きに凹ませて形成する。
【0041】
この第3実施形態の場合、紫外線反射素材により形成された外側筒壁262aや頂壁263が冷水タンク2の底壁20の内面よりも下位に配置されているため、図示省略の紫外線灯29b(図4参照)の点灯により紫外線が冷水タンク2の全ての領域に照射されることになる。つまり、第2実施形態の場合には、紫外線灯29bを点灯したとしても、外側筒壁262aの背後は死角となるため、たとえ僅かな領域とはいえ、紫外線が照射されない又は照射が弱い領域が生じる可能性があるのに対し、第3実施形態の場合にはこのような不都合は全く生じない。これにより、紫外線灯29bによる紫外線照射によって冷水タンク2内の飲料水に対する殺菌を確実に行うことができるようになる。
【0042】
なお、図5には殺菌流路26、溜まり部25及び冷水取水管27内に対する紫外線照射用として専用の紫外線灯29aを設置し、冷水タンク2内に対する紫外線照射用としては図示省略の紫外線灯29b(図4参照)を設置するようにしているが、これに限らず、紫外線灯29aの代わりに第1実施形態に用いた紫外線灯29(図1又は図3参照)のように冷水タンク2の上から溜まり部25の底部まで延びるような長めの紫外線灯を設置するようにしてもよい。このようにすることで、殺菌流路26等での動水状態の冷水に対する殺菌と、冷水タンク2内の静水状態の冷水に対する殺菌との双方を1本の紫外線灯からの紫外線照射によって行うことができ、これにより、紫外線灯29bを省略することが可能になる。
【0043】
<他の実施形態>
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、上記第1実施形態では1本の紫外線灯29で冷水タンク2内の貯留状態の冷水のみならず、動水状態になる殺菌流路26内等の冷水に対する殺菌を行うように構成しているが、これに限らず、第1実施形態に対し第2実施形態の如き2種類の紫外線灯29a,29bを適用するようにしてもよい。又、紫外線灯として1本だけではなくて、2本又は3本以上の複数本の紫外線灯を設置するようにしてもよい。
【0044】
上記各実施形態では内側筒壁261と外側筒壁262とで2回に亘り流路を折り返して蛇行する二重構造を示したが、これに限らず、さらに筒壁の数を増やして三重構造や四重構造にしてもよい。筒壁の数を増やす場合には、少なくとも最内周側の筒壁を紫外線透過素材により形成すればよい。又、第2実施形態の構成を適用する場合には、最外周側の筒壁を紫外線反射素材により形成すればよい。なお、第2実施形態においては、紫外線を反射できればよく、このため内表面層又は外表面層に紫外線を反射し得る反射層をコーティング等の手段により形成するようにしてもよい。
【0045】
上記各実施形態では、冷水タンク2の他に温水タンク5をも備えた例を示しているが、これに限らず、本発明は少なくとも冷水タンク2を備えて構成されたウォータサーバであれば適用することができる。従って、温水タンク5を備えないウォータサーバであってもよい。又、温水タンク5を併有する場合には接続管24の配設状況として、上記実施形態以外にも、例えば冷水タンク2の外側を通して温水タンク5に接続させるような配設状況に変更してもよい。
【0046】
上記各実施形態では、溜まり部25を付設しているが、溜まり部25を省略してもよい。この場合は紫外線灯29又は29aと、これを囲む殺菌流路26とを備えるようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1実施形態を示す模式図である。
【図2】第1又は第2実施形態の外観構成例を示す斜視図である。
【図3】図3(a)は図1の部分拡大図であり、図3(b)は図3(a)のA−A線断面説明図である。
【図4】第2実施形態の図3対応図であり、図4(a)は図1の対応する部分の部分拡大図であり、図4(b)は図4(a)のB−B線断面説明図である。
【図5】第3実施形態の図3(a)対応図である。
【図6】課題を説明するための対比構造を示す模式図であり、図6(a)は溜まり部を形成して溜まり部内に紫外線を照射する場合、図6(b)は取水管の外部から紫外線を照射する場合をそれぞれ示す。
【符号の説明】
【0048】
2 冷水タンク(貯留タンク)
3 ウォータボトル(給水ボトル)
25 溜まり部
26 殺菌流路
27 冷水取水管(取水経路)
29,29a,29b 紫外線灯
261 内側筒壁
262,262a 外側筒壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水ボトルから給水を受けて飲料水を貯留する貯留タンクと、この貯留タンクからの取水時に点灯されて紫外線照射により殺菌する紫外線灯とを備えたウォータサーバであって、
上記貯留タンク内からの取水時に動水状態になる飲料水を殺菌するための殺菌流路を備え、
上記殺菌流路は、上記冷水タンク内から飲料水が取水される取水部位において冷水タンクの内外方向に延びるように配設された棒状の紫外線灯と、この紫外線灯の外周面を囲むように互いに間隔を隔てて配設された2以上の筒壁とを備え、上記紫外線灯とこれに外周側で隣接する筒壁との間、及び、この筒壁とこれに外周側で隣接する他の筒壁との間により上記紫外線灯の長手方向に互いに向きを変えて蛇行する流路が構成され、かつ、少なくとも最内周側の筒壁が紫外線透過素材により形成されている
ことを特徴とするウォータサーバ。
【請求項2】
請求項1に記載のウォータサーバであって、
上記2以上の筒壁の全てが紫外線透過素材により形成されている、ウォータサーバ。
【請求項3】
請求項1に記載のウォータサーバであって、
上記2以上の筒壁の内、最外周側の筒壁が上記紫外線灯から照射される紫外線を内側に向けて反射させるように構成され、他の内周側の筒壁が紫外線透過素材により形成されている、ウォータサーバ。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載のウォータサーバであって、
上記取水部位として冷水タンクの底部に対し溜まり部が凹状に形成され、この溜まり部から下流側に向けて取水経路が延ばされており、
上記紫外線灯は、上記殺菌流路から溜まり部内まで延ばされて、その点灯により、上記殺菌流路と、上記取水経路の下流端までの内部空間との双方に対し紫外線が照射されるように配設されている、ウォータサーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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