説明

ウォータサーバ

【課題】 雰囲気温度を検出するためのセンサを新たに設けることなく、殺菌灯の点灯周期を最適化して殺菌灯の延命化を図り得るウォータサーバを提供する。
【解決手段】 冷水温度範囲(5〜12℃)内の設定温度範囲(6〜8℃)で昇温するのに要した昇温所要時間Tsw,Tssを計測し、計測した昇温所要時間の長・短如何に対応させて、関係テーブルから紫外線灯の点灯周期を割り出して変更設定する。取水が発生すれば、計測をキャンセルする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウォータボトル等の容器に充填されたミネラルウォータ等の飲料水の補給をタンクに受けて保冷しつつ貯留し、その飲料水をユーザの取水要求に応じて供給するウォータサーバに関し、特にタンク内において飲料水を殺菌するための殺菌灯の点灯制御に関する技術に係る。
【背景技術】
【0002】
従来、ウォータサーバとしては「ディスペンサ」とも称され、交換可能に装着されたウォータボトルから飲料水の供給を内蔵タンクに受け、これを冷却して冷水状態に維持し、ユーザのレバー操作やコック操作により冷水を飲用として供給するものが提供されている。
【0003】
そして、特許文献1、2、3には同種の冷水機において殺菌灯を照射することにより殺菌を行うことが記載されている。中でも、特許文献1には殺菌灯を電源投入時、給水時、給水停止直後、及び、非給水時に所定時間経過毎に一定時間点灯させることが記載され、特許文献2には殺菌灯を常時点灯ではなくて流水検知により点灯させることが記載され、特許文献3にはタンク内の水の流動検知等により所定時間だけ点灯させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭59−143288号公報
【特許文献2】実開昭49−35562号公報
【特許文献3】特開昭62−221485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ウォータサーバにおいては、殺菌灯の消灯状態では細菌の繁殖が進むことになるため、この細菌の繁殖を一定数以下に制限するために定期的に点灯を繰り返すようにすることが考えられている。つまり、殺菌灯を常時点灯させるのではなくて所定時間経過毎に一定時間点灯させる以外は消灯状態に維持するという点灯周期を設定し、この点灯周期に基づいて殺菌制御を行うことが考えられており、この場合、点灯周期の設定の如何によって殺菌灯の耐久性又は寿命に大きく影響を及ぼすことが考えられる。
【0006】
すなわち、殺菌灯は、その累積点灯時間や点灯回数が増加すると、殺菌灯の寿命がより短くなる、つまり短命化を招くことになる。従って、点灯周期が短くなると、それに伴い、点灯回数が増加することになり、殺菌灯の短命化を招くことになる。一方、水中における雑菌の繁殖は、雰囲気温度が高くなる夏場には促進され、雰囲気温度が低くなる冬場には鈍化するという傾向にある。そして、夏場又は冬場の如何を問わずに殺菌灯の点灯周期を固定にして殺菌制御を行うようにした場合、殺菌性能を高く維持するためには、夏場の繁殖速度を基準にして点灯周期を設定せざるを得なくなり、殺菌灯の点灯周期を短く設定せざるを得なくなる。この結果、殺菌灯の短命化を招いてしまうという不具合が生じることになる。
【0007】
このような不都合を解消するために、雰囲気温度を検出するためのセンサを設置して、このセンサにより検出される雰囲気温度の如何に応じて殺菌灯の点灯周期を変更するという殺菌制御も考えられるが、このようにすると雰囲気温度検出用のセンサを新たに設置する必要が生じ、部品増やコスト増を招くことになる。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、雰囲気温度を検出するためのセンサを新たに設けることなく、殺菌灯の点灯周期を最適化して殺菌灯の寿命増大化(延命化)を図り得るウォータサーバを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、第1の発明では、給水ボトルから給水を受けて飲料水を貯留する貯留タンクと、コンプレッサの作動により上記貯留タンク内の飲料水を冷却する冷凍回路と、点灯されることにより上記貯留タンク内の飲料水を殺菌する殺菌灯と、この殺菌灯の点灯・消灯の各作動を制御することにより上記貯留タンク内の飲料水の殺菌処理を制御する殺菌制御手段とを備えたウォータサーバを対象にして、次の特定事項を備えることとした。すなわち、上記冷凍回路による冷却対象である貯留タンク内の飲料水の温度を検出する温度センサを備え、上記冷凍回路のコンプレッサは、貯留タンク内の飲料水が所定の冷水温度範囲に維持されるように上記温度センサによる検出温度に基づきON・OFF作動される構成とする。そして、上記殺菌制御手段として、上記コンプレッサが前回のON作動の終了から次回のON作動の開始までOFF状態に維持されるOFF期間において、上記温度センサによる検出温度を監視し上記貯留タンク内の冷却された飲料水が上記冷水温度範囲内の設定温度範囲で昇温するのに要した昇温所要時間を計測し、計測された昇温所要時間の長・短如何に対応させて、殺菌灯が点灯状態に維持される点灯時間及び/又は消灯状態に維持される消灯時間を変更設定する構成とする(請求項1)。
【0010】
この発明の場合、昇温所要時間が長ければ雰囲気温度は低く、昇温所要時間が短ければ雰囲気温度は高いというように、昇温所要時間を計測することにより、雰囲気温度の高・低の如何を把握し得ることになる。そして、雰囲気温度の高・低に起因して、殺菌灯の点灯が必要となる雑菌数の状態と、上記の昇温所要時間の長・短如何とが対応することになる。つまり、昇温所要時間の長・短如何によって、貯留タンク内の雑菌繁殖速度の如何を推定・把握することができ、把握された雑菌繁殖速度に応じて殺菌灯の点灯周期を変更設定することにより最適な殺菌処理を行い得ることになる。以上より、雰囲気温度を検出するための温度センサを新たに設けることなく、貯留タンクの保冷運転制御のコンプレッサOFF期間内における所定の設定温度範囲だけ昇温に要する時間の変動を監視することにより、雰囲気温度の高低に起因する雑菌繁殖速度に合致した最適な殺菌制御を実現させることが可能となる。
【0011】
この発明においては、次の如く種々の特定を加えることで、より良い作用を得ることができる。すなわち、第1として、上記設定温度範囲として上記冷水温度範囲の低温側領域に設定することができる(請求項2)。このようにすることで、冷水温度範囲の下限値まで冷却されてコンプレッサがOFFにされると、OFF期間の進行に伴い貯留タンク内が昇温する傾向となるため、雰囲気温度の高・低如何の影響が最も強く表れる低温側領域に設定温度範囲を設定することで、昇温所要時間によって雰囲気温度をより的確に把握し得ることになる。加えて、上記の低温側領域では、雰囲気温度と貯留タンク内の水温との温度差が大きくなり、この温度差が大きい領域であるほど、温度上昇幅も大きくなるため、昇温所要時間の取得も短時間で行い得るようになる。なお、上記設定温度範囲の設定は、その設定温度範囲の全体が上記の低温側領域に含まれることになるようにしてもよいし、あるいは、その設定温度範囲の大部分が上記の低温側領域に含まれることになるようにしてもよいし、請求項2はいずれをも含むものである。
【0012】
第2として、上記設定温度範囲として、コンプレッサのON作動が終了してOFF状態に切換えられることになる上記冷水温度範囲の下限値から貯留タンク内の温度が均一化されるまでの温度変動分を除外して設定することができる(請求項3)。このようにすることで、上記設定温度範囲で計測された昇温所要時間による雰囲気温度の把握をより的確に行い得ることになる。
【0013】
第3として、上記殺菌制御手段として、コンプレッサのOFF期間における昇温所要時間の計測期間中に貯留タンクからの取水操作が発生した場合、その昇温所要時間の計測をキャンセルする構成とすることができる(請求項4)。取水操作が発生すれば給水ボトルから新たな飲料水の供給が貯留タンクに行われることになり、貯留タンク内の温度変動が雰囲気温度の高・低如何を反映しないものとなる。このため、昇温所要時間の計測期間中に取水操作が発生すれば、その昇温所要時間の計測をキャンセルするようにすることで、雰囲気温度の如何を反映していない、従って、雑菌の繁殖速度を反映していない昇温所要時間の計測を防止し得ることになる。つまり、このような繁殖速度を反映していない昇温所要時間を、点灯時間及び/又は消灯時間の変更設定から除外し得ることになる。
【0014】
第4として、上記殺菌制御手段として、上記昇温所要時間の長・短変化と、上記殺菌灯の点灯時間及び/又は消灯時間の長・短変更との対応関係について規定したものであって、予め入力設定された関係テーブルを備え、この関係テーブルから、計測された昇温所要時間に対応する上記点灯時間及び/又は消灯時間を割り出し、割り出した点灯時間及び/又は消灯時間に基づいて殺菌灯の点灯・消灯の各作動を制御する構成とすることができる(請求項5)。このようにすることで、昇温所要時間の長・短変化と雰囲気温度との関係や、この関係に基づいてどの程度の殺菌灯の点灯により殺菌作用が期待し得るか等について試験や理論計算に基づいて、予め最適な関係テーブルを設定し、これを入力設定しておくことにより、簡易化した制御に基づいて有効かつ的確な殺菌処理を実現させ得ることになる。
【0015】
一方、第2の発明では、給水ボトルから給水を受けて飲料水を貯留する貯留タンクと、コンプレッサの作動により上記貯留タンク内の飲料水を冷却する冷凍回路と、点灯されることにより上記貯留タンク内の飲料水を殺菌する殺菌灯と、この殺菌灯の点灯・消灯の各作動を制御することにより上記貯留タンク内の飲料水の殺菌処理を制御する殺菌制御手段とを備えたウォータサーバを対象にして、次の特定事項を備えることとした。すなわち、上記冷凍回路による冷却対象である貯留タンク内の飲料水の温度を検出する温度センサを備え、上記冷凍回路のコンプレッサは、貯留タンク内の飲料水が所定の冷水温度範囲に維持されるように上記温度センサによる検出温度に基づきON・OFF作動される構成とする。そして、上記殺菌制御手段として、上記コンプレッサが前回のON作動の終了から次回のON作動の開始までOFF状態に維持されるOFF期間において、上記温度センサによる検出温度に基づいて上記貯留タンク内の冷却された飲料水の温度上昇率を計測し、計測された温度上昇率の高・低如何に対応させて、殺菌灯が点灯状態に維持される点灯時間及び/又は消灯状態に維持される消灯時間を変更設定する構成とする(請求項6)。
【0016】
この第2の発明の場合、温度上昇率が低ければ雰囲気温度は低く、温度上昇率が高ければ雰囲気温度は高いというように、温度上昇率を計測することにより、雰囲気温度の高・低の如何を把握し得ることになる。そして、雰囲気温度の高・低に起因して、殺菌灯の点灯が必要となる雑菌数の状態と、上記の温度上昇率の高・低如何とが対応することになる。つまり、温度上昇率の高・低如何によって、貯留タンク内の雑菌繁殖速度の如何を推定・把握することができ、把握された雑菌繁殖速度に応じて殺菌灯の点灯周期を変更設定することにより最適な殺菌処理を行い得ることになる。以上より、雰囲気温度を検出するための温度センサを新たに設けることなく、貯留タンクの保冷運転制御のコンプレッサOFF期間内における温度上昇率の変動を監視することにより、雰囲気温度の上昇・下降の変動に起因する雑菌繁殖度合の変動に合致した最適な殺菌制御を実現させることが可能となる。
【0017】
この第2の発明においては、次の如く種々の特定を加えることで、より良い作用を得ることができる。すなわち、第1として、上記殺菌制御手段として、上記温度上昇率を、上記冷水温度範囲内に設定された設定温度範囲での温度上昇に要する時間に基づいて計測する構成とすることができる(請求項7)。このようにすることで、迅速かつ簡易に温度上昇率の計測や、温度上昇率に基づく雰囲気温度の把握が可能となる。ここで、上記の設定温度範囲として冷水温度範囲の内でも低温側領域に設定することが好ましい。この場合、冷水温度範囲の下限値まで冷却されてコンプレッサがOFFにされ、OFF期間の進行に伴い貯留タンク内が昇温する傾向となるため、雰囲気温度の高・低如何の影響が最も強く表れる低温側領域に上記の設定温度範囲を設定することで、昇温所要時間によって雰囲気温度をより的確に把握し得ることになる。
【0018】
第2として、上記殺菌制御手段として、上記温度上昇率を、コンプレッサのOFF期間内において設定される第1の経過時間と、その後の第2の経過時間との間に昇温した温度上昇分に基づいて計測される構成とすることができる(請求項8)。このようにすることで、コンプレッサのOFF期間の経過を待つことなく第1の経過時間から第2の経過時間までの時間間隔において温度上昇率の計測を迅速に行うことが可能となる。
【0019】
第3として、上記殺菌制御手段として、コンプレッサのOFF期間に貯留タンクからの取水操作が発生した場合、その取水操作が発生する時点までの範囲内で温度上昇率を計測する構成とすることができる(請求項9)。取水操作が発生すれば給水ボトルから新たな飲料水の供給が貯留タンクに行われることになり、貯留タンク内の温度変動が雰囲気温度の高・低如何を反映しないものとなる。このため、取水操作が発生すればその取水操作が発生する時点までの範囲内での温度上昇率の計測とすることで、雰囲気温度の如何を反映していない、従って、雑菌の繁殖速度を反映していない温度上昇を温度上昇率の計測に含めてしまうことを防止し得ることになる。これにより、雰囲気温度を反映していない状態での温度上昇を含めずに、取水操作発生時点までの範囲内で温度上昇率を計測することになるため、計測結果に対する信頼性がより高くなる。
【0020】
第4として、上記殺菌制御手段として、コンプレッサのOFF期間における温度上昇率の計測期間中に貯留タンクからの取水操作が発生した場合、その温度上昇率の計測をキャンセルする構成とすることができる(請求項10)。上記の如く、取水操作が発生すれば給水ボトルから新たな飲料水の供給が貯留タンクに行われることになり、貯留タンク内の温度変動が雰囲気温度の高・低如何を反映しないものとなる。このため、温度上昇率の計測期間中に取水操作が発生すればその温度上昇率の計測をキャンセルするようにすることで、雰囲気温度の如何を反映していない、従って、雑菌の繁殖速度を反映していない温度上昇率の計測が回避されることになって、計測結果に対する信頼性をより高くし得ることになる。
【0021】
第5として、上記殺菌制御手段として、温度上昇率の計測を、コンプレッサのOFF期間内であって、コンプレッサのON作動が終了してOFF状態に切換えられた時点から貯留タンク内の温度が均一化されるまでの所定時間領域を除外した期間内で行う構成とすることができる(請求項11)このようにすることで、計測された温度上昇率による雰囲気温度の把握をより的確に行い得ることになる。
【0022】
第6として、上記殺菌制御手段として、上記温度上昇率の高・低変化と、上記殺菌灯の点灯時間及び/又は消灯時間の長・短変更との対応関係について規定したものであって、予め入力設定された関係テーブルを備え、この関係テーブルから、計測された温度上昇率に対応する上記点灯時間及び/又は消灯時間を割り出し、割り出した点灯時間及び/又は消灯時間に基づいて殺菌灯の点灯・消灯の各作動を制御する構成とすることができる(請求項12)。このようにすることで、温度上昇率の高・低変化と雰囲気温度との関係や、この関係に基づいてどの程度の殺菌灯の点灯により殺菌作用が期待し得るか等について試験や理論計算に基づいて、予め最適な関係テーブルを設定し、これを入力設定しておくことにより、簡易化した制御に基づいて有効かつ的確な殺菌処理を実現させ得ることになる。
【0023】
第7として、上記殺菌制御手段として、上記温度上昇率の計測を時間経過に沿って複数回実行し、計測された複数の温度上昇率を平均化することにより得られる温度上昇率に基づいて、殺菌灯が点灯状態に維持される点灯時間及び/又は消灯状態に維持される消灯時間を変更設定する構成とすることができる(請求項13)。このようにすることで、温度上昇率に基づく雰囲気温度の把握、そして殺菌灯の最適な点灯周期の設定を、より的確に行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0024】
以上、説明したように、請求項1〜請求項5のいずれかのウォータサーバによれば、昇温所要時間を計測することで雰囲気温度の高・低の如何を把握することができるようになり、この昇温所要時間の長・短如何と、雰囲気温度の高・低に起因して殺菌灯の点灯が必要となる雑菌数の状態とが対応することになるため、計測された昇温所要時間の長・短如何によって、貯留タンク内の雑菌繁殖速度の如何を推定・把握することができ、把握された雑菌繁殖速度に応じて殺菌灯の点灯周期を変更設定することにより最適な殺菌処理を行うことができるようになる。このため、雰囲気温度を検出するための温度センサを新たに設けることなく、貯留タンクの保冷運転制御のコンプレッサOFF期間内における所定の設定温度範囲だけ昇温に要する時間の変動を監視することにより、雰囲気温度の上昇・下降の変動に起因する雑菌繁殖度合の変動に合致した最適な殺菌制御を実現させることができるようになる。
【0025】
特に、請求項2によれば、雰囲気温度の高・低如何の影響が最も強く表れる低温側領域に設定温度範囲を設定することで、昇温所要時間によって雰囲気温度をより的確に把握することができるようになる。加えて、雰囲気温度と貯留タンク内の水温との温度差が大きくなる上記低温側領域に設定温度範囲を設定することで、昇温所要時間の取得を短時間で行うことができるようになる。
【0026】
請求項3によれば、設定温度範囲で計測された昇温所要時間による雰囲気温度の把握をより的確に行うことができるようになる。
【0027】
請求項4によれば、昇温所要時間の計測期間中に取水操作が発生すれば、その昇温所要時間の計測をキャンセルするようにすることで、雰囲気温度の如何を反映していない、従って、雑菌の繁殖速度を反映していない昇温所要時間の計測を防止することができ、従って、このような雑菌の繁殖速度を反映していない昇温所要時間に基づき点灯周期が割り出されてしまうことを防止することができるようになる。
【0028】
請求項5によれば、昇温所要時間の長・短変化と雰囲気温度との関係や、この関係に基づいてどの程度の殺菌灯の点灯により殺菌作用が期待し得るか等について試験や理論計算に基づいて、予め最適な関係テーブルを設定し、これを入力設定しておくことにより、簡易化した制御に基づいて有効かつ的確な殺菌処理を実現させることができるようになる。
【0029】
又、請求項6〜請求項13のいずれかのウォータサーバによれば、温度上昇率を計測することで雰囲気温度の高・低の如何を把握することができるようになり、この温度上昇率の高・低如何と、雰囲気温度の高・低に起因して殺菌灯の点灯が必要となる雑菌数の状態とが対応することになるため、計測された温度上昇率の高・低如何によって、貯留タンク内の雑菌繁殖速度の如何を推定・把握することができ、把握された雑菌繁殖速度に応じて殺菌灯の点灯周期を変更設定することにより最適な殺菌処理を行うことができるようになる。このため、雰囲気温度を検出するための温度センサを新たに設けることなく、貯留タンクの保冷運転制御のコンプレッサOFF期間内における温度上昇率の変動を監視することにより、雰囲気温度の上昇・下降の変動に起因する雑菌繁殖度合の変動に合致した最適な殺菌制御を実現させることができるようになる。
【0030】
特に、請求項7によれば、迅速かつ簡易に、温度上昇率の計測や、温度上昇率に基づく雰囲気温度の把握を行うことができるようになる。
【0031】
請求項8によれば、コンプレッサのOFF期間の経過を待つことなく第1の経過時間から第2の経過時間までの時間間隔において温度上昇率の計測を迅速に行うことができるようになる。
【0032】
請求項9によれば、取水操作が発生した場合であっても、雰囲気温度を反映していない温度上昇を含めずに、取水操作発生時点までの範囲内で温度上昇率の計測が行われることになるため、計測結果に対する信頼性をより高くすることができる。
【0033】
請求項10によれば、温度上昇率の計測期間中に取水操作が発生した場合には、その温度上昇率の計測をキャンセルするようにしているため、雰囲気温度を反映していない温度上昇率の計測が行われることが回避され、計測結果に対する信頼性をより高くすることができる。
【0034】
請求項11によれば、計測された温度上昇率による雰囲気温度の把握をより的確に行い得ることになる。
【0035】
請求項12によれば、温度上昇率の高・低変化と雰囲気温度との関係や、この関係に基づいてどの程度の殺菌灯の点灯により殺菌作用が期待し得るか等について試験や理論計算に基づいて、予め最適な関係テーブルを設定し、これを入力設定しておくことにより、簡易化した制御に基づいて有効かつ的確な殺菌処理を実現させることができるようになる。
【0036】
請求項13によれば、複数の温度上昇率を平均化することで、温度上昇率に基づく雰囲気温度の把握、そして殺菌灯の最適な点灯周期の設定を、より的確に行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施形態を示す模式図である。
【図2】実施形態の外観構成例を示す斜視図である。
【図3】図1の部分拡大図である。
【図4】殺菌制御に係るブロック図である。
【図5】雰囲気温度、コンプレッサのON・OFF作動状況、冷水タンク内の冷水温度の変化及び紫外線灯の点灯周期の変更特性の相互関係を示すタイムチャートである。
【図6】コンプレッサOFF期間における冷水温度の変化と、時間経過との関係を示すタイムチャートである。
【図7】冷水タンク内の温度分布の傾向を示す説明図である。
【図8】第2実施形態における殺菌制御に係るブロック図である。
【図9】コンプレッサOFF期間における冷水温度の変化と、時間経過との関係を示すタイムチャートである。
【図10】図5とは異なる紫外線灯の点灯周期の例を示すものであり、コンプレッサのON・OFF作動状況に同期させて紫外線灯の点灯周期を変更させる場合の相互関係を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0039】
<第1実施形態>
図1は本発明の実施形態に係るウォータサーバの装置構成を、図2はこのウォータサーバの外観構成例を示す。両図において、符号1は外装となるハウジング、2(図1にのみ表れる)は貯留タンクとしての冷水タンク、3は上記冷水タンク2の上側に着脱可能に装着されて冷水タンク2への飲料水の供給源となる給水ボトルとしてのウォータボトル、4(図1にのみ表れる)は冷水タンク2内の水を冷却する冷凍回路、5(図1にのみ表れる)は冷水タンク2を介して水の供給を受ける温水タンク、6(図1にのみ表れる)は温水タンク5内の水を加熱するヒータ、7(図1にのみ表れる)は後述の殺菌手段としての紫外線灯28a,28bを点灯・消灯させる殺菌制御を含むウォータサーバの作動制御を行う制御手段としてのコントローラである。
【0040】
ハウジング1の上面中央部位にはウォータボトル3を装着させるための連結凹部11が形成されている。この連結凹部11は、ウォータボトル3の首部31を天地逆転した状態で内嵌させ得る内面形状を有すると共に、その中心軸に沿って上向きに突出する連通筒部12(図1参照)を備えている。この連結凹部11に対し、ウォータボトル3の天地を逆にした状態で首部31を上から下に内嵌させることにより、連通筒部12がウォータボトル3の首部31内に上向きに挿入されてウォータボトル3内と冷水タンク2内とを互いに連通した状態にして、ウォータボトル3と冷水タンク2とが互いに連結されるようになっている。又、ハウジング1の前面の中段位置には冷水及び温水の2種類の飲料水を受けるコップ置き場13(図2にのみ表れる)が形成され、このコップ置き場13の上側位置に上記冷水及び温水の各取水口271,521が配置されている。又、このコップ置き場13の上側位置の前面には、ユーザが各種の入力操作を行うための操作パネル14が配設されている。この操作パネル14には温水取り出しのための温水用の取水スイッチ15と、冷水取り出しのための冷水用の取水スイッチ16とが配設されている。
【0041】
冷水タンク2は上方に開放された容器であり、その上端開口に対し遮光板を兼ねる蓋21がパッキン等を介して嵌め込まれて、密閉されている。蓋21の略中央部位は上記連結凹部11に対し下側から外嵌し得る凹部22とされ、この凹部22の中心位置には上記の連通筒部12が挿通される貫通孔が形成されている。さらに、冷水タンク2内の所定レベル位置には水平方向に拡がるバッフルプレート23が配設され、このバッフルプレート23の中央位置に対し上流端が開口するように接続管24が接続されている。この接続管24の下流端が温水タンク5の底部に連通されている。そして、冷水タンク2の底部に対し凹状に形成された溜まり部25から冷水取水管26がハウジング1のコップ置き場13の上方位置まで延ばされ、その冷水取水管26の下流端側に設置された冷水取水弁27が開作動されることによりその取水口271から冷水タンク2内の冷水が吐出されるようになっている。この冷水取水弁27は電磁式開閉制御弁により構成されており、通常は閉状態に維持されて、ユーザが取水スイッチ16をON操作(押圧操作)すると、その操作信号の出力を受けてコントローラ7により開切換制御されて冷水を取水口271から吐出させ、取水スイッチ16がOFF(押圧解除)されると元の閉状態に切換えるようになっている。
【0042】
一方、冷水タンク2内には殺菌灯として複数の紫外線灯28a,28bが設置され、これら紫外線灯28a,28bの点灯による紫外線照射によって内部に貯留されている飲料水が殺菌処理されるようになっている。一方の紫外線灯28aの下端部は上記溜まり部25内まで延ばされて冷水取水管26の内方まで照らし得るようにされている。より詳細に説明すると、図3に示すように、取水経路である冷水取水管26は溜まり部25から冷水取水弁27まで側方に一直線状に延ばされている。冷水取水管26の上流端261は溜まり部25に対し側方から開口して連通し、下流端262は冷水取水弁27の弁体272に相対向して弁体272が着座する弁座を構成している。そして、溜まり部25には紫外線灯28aの下端部が上から下に挿入されて、紫外線灯28aから照射される紫外線が冷水取水管26の内部空間を一直線に延びて冷水取水弁27の弁体272に突き当たることになるように、紫外線灯28aと、冷水取水管26及び冷水取水弁27との位置関係が設定されている。つまり、紫外線灯28aを点灯すれば、紫外線灯28aからの紫外線により、冷水タンク2の内部空間に貯留された冷水のみならず、冷水取水管26内の上流端261から冷水取水弁27の弁体272位置の下流端262(冷水取水口271近傍位置)までの全範囲の内部空間に亘って照射されて冷水取水管26の内部空間に存する冷水も殺菌されるようになっている。なお、同図中の符号281は紫外線ランプの保護シースであり、符号282は紫外線ランプの端部であり、この端部は冷水取水管26よりも下位置になるように溜まり部25内に挿入されて固定されている。又、図1中の符号29は冷水タンク2内の冷水温度を検出する冷水温度検出手段としての冷水温度センサであり、冷水タンク2の底部付近に設置されている。
【0043】
ウォータボトル3は「ガロンボトル」とも言われ、内部に飲料水が充填・収容された状態で提供されるものである。そして、このウォータボトル3がウォータサーバに対し上記の如く装着され、装着されたウォータボトル3内の飲料水が消費されて空になるたびに、新しいウォータボトル3に交換されるようになっている。なお、ここでいう「飲料水」としては、ミネラルウォータ等の水の他に、お茶やジュース等の飲用の水分を含むものである。
【0044】
冷凍回路4は、内部に冷媒を封入した循環経路41上に蒸発器を構成する冷却管42を備えている。そして、この冷却管42を上記冷水タンク2の周囲に巻き付け、コンプレッサ43により圧縮した冷媒を放熱器44で放熱させて液化させ、これを膨張させて冷却管42に供給することにより冷水タンク2内の水から熱を奪って冷却するようになっている。この冷凍回路4は冷水温度センサ29から出力される冷水温度検出値に基づきコントローラ7による保冷運転制御により作動されるようになっており、この保冷運転制御は電源が投入されてウォータサーバが使用される際に開始され、冷凍回路4を作動させて冷水タンク2内の飲料水を所定温度まで冷却した後、その飲料水が上限値(例えば10℃)と下限値(例えば5℃)との間の一定の冷水温度範囲に維持されるように保冷運転を行うようになっている。
【0045】
温水タンク5は冷水タンク2よりも下位に、従ってウォータボトル3よりも下位に配置された密閉容器であり、内部にヒータ6が配設されている。この温水タンク5には、上記接続管24を通して冷水タンク2内(あるいはウォータボトル3内)から水頭差に基づき水が注水され、かつ、取水により減った分だけ補給されるようになっている。従って、温水タンク5から見ると、上記ウォータボトル3のみならず冷水タンク2も水源容器を構成することになる。又、温水タンク5の頂部から温水取水管51がハウジング1のコップ置き場の上方位置まで延ばされ、その温水取水管51の下流端側に介装された温水取水弁52が開作動されることによりその温水取水口521から温水タンク5内の温水が吐出されるようになっている。この温水取水弁52も冷水取水弁27と同様に電磁式開閉制御弁により構成されており、通常は閉状態に維持されて、ユーザが取水スイッチ15をON操作(押圧操作)すると、その操作信号の出力を受けてコントローラ7により開切換制御されて温水を取水口521から吐出させ、取水スイッチ15がOFF(押圧解除)されると元の閉状態に切換えるようになっている。なお、図1中の符号241は水抜き用配管であり、この水抜き用配管241は接続管24から分岐してハウジング1まで延ばされており、その下流端の接続口から冷水タンク2内の冷水や温水タンク5内の温水を排出させてウォータサーバ内から水抜きし得るようになっている。又、図1中の符号53は過熱防止装置であり、54は温度センサであり、過熱防止装置53はバイメタルを用いて沸騰直前の温度(例えば95℃)の検知によりヒータ6に対する通電を遮断するようになっている。
【0046】
ヒータ6はコントローラ7による保温運転制御により作動されるようになっており、この保温運転制御は電源が投入されてウォータサーバが使用される際に開始され、ヒータ6を作動させて温水タンク5内の飲料水を所定温度まで加熱した後、その飲料水が上限値(例えば90℃)と下限値(例えば80℃)との間の一定の温水温度範囲に維持されるように保温運転を行うようになっている。従って、温水タンク5内の温水については加熱殺菌が施されることになる。
【0047】
コントローラ7は、ヒータ6等の電気駆動式の要素に対する電源供給と、冷凍回路4による保冷運転制御及びヒータ6による保温運転制御と、冷水スイッチ16又は温水スイッチ15からの出力に基づく冷水又は温水の供給運転に係る制御と、殺菌灯である紫外線灯28a、28bを所定の点灯周期に基づいて点灯(ON)・消灯(OFF)を定期的に繰り返す殺菌運転制御とを行うようになっている。すなわち、コントローラ7は、図4に示すように、冷凍回路4を構成するコンプレッサ43を冷水温度センサ29からの検出冷水温度に基づいてON・OFF運転制御することにより保冷運転制御を行う保冷制御部71と、この保冷制御部71から出力されるコンプレッサ43の運転情報及び上記冷水温度センサ29からの検出冷水温度の変動状況に基づいて紫外線灯28a,28bの点灯周期を変更設定する点灯周期設定部72と、この点灯周期設定部72で設定された点灯周期に基づいて紫外線灯28a,28bを定期的にON・OFFさせて紫外線を照射させることにより冷水タンク2内等にある飲料水を殺菌する点灯制御部73とを備えている。上記の点灯周期設定部72と、点灯制御部73とによって、殺菌制御手段が構成されている。
【0048】
保冷制御部71は、冷水タンク2内の飲料水が予め設定された冷水温度範囲、あるいは、自動又はユーザ自身の設定操作により変更設定された冷水温度範囲に維持されるようにコンプレッサ43をON・OFF作動させるものである。すなわち、図5に例示するように、冷水温度センサ29の検出冷水温度が冷水温度範囲の上限値まで上昇すればコンプレッサ43を作動(ON)させて冷水タンク2内を冷却し、この冷却により検出冷水温度が上記冷水温度範囲の下限値まで下降すればコンプレッサ43を停止(OFF)させ、コンプレッサ43の停止に伴い冷水タンク2内の飲料水が昇温して上記の上限値に到達すればコンプレッサ43をONさせる、というON・OFF作動を繰り返すようになっている。冷水温度範囲の下限値が例えば5℃、上限値が例えば12℃に設定されている場合には、冷水温度センサ29の検出冷水温度が12℃以上まで上昇すればコンプレッサ43を作動(ON)させて冷水タンク2内を冷却し、この冷却により検出冷水温度が5℃以下まで下降すればコンプレッサ43を停止(OFF)させ、コンプレッサ43の停止に伴い冷水タンク2内の飲料水が昇温して12℃に到達すればコンプレッサ43を再びONさせる、というON・OFF作動を繰り返すことになる。
【0049】
コンプレッサ43がOFF状態であると、冷水タンク2内の冷水温度は雰囲気温度の如何に大きく影響されるため、例えば図5に示すように夏場のように雰囲気温度が高温状態であると吸熱により冷水温度の上昇速度が速くなって前回のコンプレッサ43のON作動により5℃まで冷却されたとしても早期に12℃まで上昇してしまうことになる。この結果、コンプレッサ43がOFF状態に維持されるOFF時間(図5のTcs参照)も比較的短いものとなって、より早いタイミングでコンプレッサ43はOFFからONに切換えられることになる。その一方、冬場のように雰囲気温度が低温状態であると冷水温度の上昇速度も緩やかになって5℃から12℃まで上昇するまでに夏場よりも時間がかかりコンプレッサ43のOFF時間(図5のTcw参照)も比較的長いものとなる。なお、以上の如くコンプレッサ43のOFF時間は雰囲気温度に左右されて変化するものの、コンプレッサ43がON状態を維持するON時間はほぼ一定となる。つまり、このON時間は、冷水タンク2内の一定容量分の飲料水(冷却対象)を12℃から5℃まで冷却するのに必要な時間であるため、コンプレッサ43の冷却能力との関係でほぼ一定の固定値となる。
【0050】
点灯周期設定部72は、コンプレッサ43がOFFにされている期間(以下「コンプレッサOFF期間」という)、つまり冷却が停止されて冷水温度が雰囲気温度の影響を受けて昇温傾向になる期間内において、予め設定した設定温度範囲での昇温に要した時間(昇温所要時間)を計測し、この計測した昇温所要時間の長・短の如何により現在の雰囲気温度の高・低の如何を判定・把握し、これに基づいて点灯周期を設定するようになっている。具体的には、点灯周期設定部72は、上記の昇温所要時間を計測(カウント)するタイマにより構成された昇温所要時間計測部721と、この昇温所要時間計測部721から昇温所要時間の計測結果の出力を受けて後述の関係テーブルから紫外線灯28a,28bの点灯時間と消灯時間とを割り出す点灯周期割出部722とを備えている。ここで、本実施形態での点灯周期の変更設定は、次に説明するように上記の点灯時間(点灯状態に維持する時間値)及び消灯時間(消灯状態に維持する時間値)を共に変更設定するように構成されているが、例えば点灯時間を一定の固定値にして消灯時間のみを長・短変更するようにしても、あるいは、消灯時間を一定の固定値にして点灯時間のみを長・短変更するようにしても、いずれかにしてもよい。
【0051】
上記の設定温度範囲は、保冷制御部71の保冷制御により維持される冷水温度範囲の内でも、特に雰囲気温度の影響がより明確に反映される低温側領域に設定するのが好ましい。冷水温度範囲が例えば5℃〜12℃であれば、上記設定温度範囲として例えば5℃〜8℃に設定するのである。但し、上記設定温度範囲の設定は、その設定温度範囲の全体が上記の低温側領域に含まれることになるようにしてもよいし、あるいは、その設定温度範囲の大部分が上記の低温側領域に含まれることになるようにしてもよい。さらに、上記の低温側範囲であって、冷水温度範囲の所定の下限値近傍を除いた範囲に設定することが、より好ましいものとなる。図6に示すように、冷水温度範囲が例えば5℃〜12℃であれば、上記設定温度範囲として例えば6℃〜8℃を設定するのである。除かれる下限値近傍の5℃〜6℃の温度差1℃分は、コンプレッサ43がON状態からOFFにされた時点から冷水温度センサ29が設置された部位の冷水タンク2内の温度分布が安定するのに要する時間の経過に伴い昇温する温度差に相当する。例えば図7に冷水タンク2内の温度分布を示すように、コンプレッサ43がON状態からOFFにされた時点においては冷水タンク2内の冷水は冷却管42が設けられた外周側の方が中心側よりも低温となっているが、コンプレッサOFF期間の進行に伴い対流が生じて冷水タンク2内の冷水の温度分布がより均一化された状態で昇温傾向に転じることになる。このように冷水タンク2内の冷水温度分布がより均一化された状態になるまでに要する時間分又は温度差分を除外することにより、雰囲気温度の把握をより的確に行うようにしている。
【0052】
図6を参照しつつ、雰囲気温度の把握の原理について説明すると、コンプレッサOFF期間において、冬場の如く雰囲気温度(又は外気温)が低いときの冷水温度(同図の実線参照)の昇温度合は、夏場の如く雰囲気温度が高いときの冷水温度(同図の一点鎖線参照)の昇温度合よりも緩やかなものとなる。このときに、雰囲気温度が低いときには設定温度範囲(例えば6℃〜8℃)の昇温に要する昇温所要時間(図6のTsw参照)の方が雰囲気温度が高いときの昇温所要時間(図6のTss参照)よりも長くかかることになる。つまり、昇温所要時間が長ければ雰囲気温度は低く、昇温所要時間が短ければ雰囲気温度は高いというように、昇温所要時間Tsw,Tssを計測することにより、雰囲気温度の高・低の如何を把握し得ることになる。
【0053】
そして、雰囲気温度が高くなれば、その雰囲気に接触しているウォータボトル3内の飲料水の水温も雰囲気温度の上昇に伴い高くなって雑菌の繁殖速度が速くなる。この結果、このウォータボトル3から冷水タンク2内に供給される飲料水に含まれる雑菌数も増加して、冷水タンク2内に流入する雑菌数も増加する。この場合には、紫外線灯28a,28bの点灯周期を短くして頻繁に殺菌する必要がある。逆に、雰囲気温度が低くなるとウォータボトル3内の飲料水の水温も低くなって雑菌の繁殖速度が遅くなり、この結果、冷水タンク2内に流入する雑菌数も抑制されることになる。そして、この場合には、紫外線灯28a,28bの点灯周期も比較的長めにして頻繁には殺菌しなくてもよいことになる。従って、雰囲気温度の高・低に起因して、殺菌のための紫外線灯28a,28bの点灯が必要となる雑菌数の状態と、上記の昇温所要時間の長・短如何とが対応することになる。つまり、昇温所要時間の長・短如何によって、冷水タンク2内の雑菌繁殖速度の如何を推定・把握することができ、把握された雑菌繁殖速度に応じて紫外線灯28a,28bの点灯周期を変更設定することにより最適な殺菌処理を行い得ることになる。
【0054】
具体的には、昇温所要時間計測部721は冷水温度センサ29により検出される冷水温度を監視し、昇温過程にある検出冷水温度が設定温度範囲の下側温度(例えば6℃)に到達すればタイマによる所要時間のカウントを開始し、検出冷水温度が昇温して設定温度範囲の上側温度(例えば8℃)まで到達すればタイマによるカウントを終了し、カウント値である昇温所要時間を点灯周期割出部722に出力する。
【0055】
又、点灯周期割出部722には、かかる昇温所要時間の長・短如何と、それにより把握される雰囲気温度の高・低如何に基づく紫外線灯28a,28bの点灯時間及び消灯時間の組み合わせについての関係テーブルが予め入力されて記憶設定されている。具体的には、関係テーブルは、昇温所要時間が標準値よりも短ければ(図6のTss参照)、紫外線灯28a,28bの点灯時間(図5のTns参照)を長めに消灯時間(図5のTfs参照)を短めにする一方、昇温所要時間が標準値よりも長ければ(図6のTsw参照)、紫外線灯28a,28bの点灯時間(図5のTnw参照)を短めに消灯時間(図5のTfw参照)を長めにするというように、それぞれ点灯周期が変更されるように設定されている。
【0056】
そして、昇温所要時間計測部721から出力された昇温所要時間に基づいて上記関係テーブルから該当する紫外線灯28a,28bの点灯時間Tn及び消灯時間Tfの組み合わせ、つまり点灯周期を割出し、このTn及びTfの組み合わせからなる点灯周期を点灯制御部73に出力し、点灯制御部73はこの点灯周期に基づいて紫外線灯28a,28bの点灯及び消灯の切換制御を実行することになる。すなわち、点灯制御部73はタイマを備え、紫外線灯28a,28bを点灯時間Tnだけ点灯(ON)させ、続いて消灯時間Tfだけ消灯(OFF)させるという作動を繰り返す。なお、上記の設定温度範囲は、後に、ユーザ操作あるいはメンテナンスを行う作業員の操作により変更設定することが可能となっているほか、上記の関係テーブルもメンテナンスを行う作業員の操作により更新することが可能となっている。又、上記の関係テーブルは点灯周期割出部722に記憶設定する代わりに、別に独立した専用の記憶部を設けてこの記憶部に記憶設定するようにしてもよい。
【0057】
但し、コンプレッサOFF期間内であって、上記の昇温所要時間の計測中に、冷水用の取水スイッチ16がON操作(押圧操作)されて冷水タンク2内の冷水が取水口271から吐出された時には、昇温所要時間の計測をキャンセルして点灯周期の割出から除外するようになっている。このようにする理由は次の通りである。すなわち、冷水が吐出されると、その吐出された分だけウォータボトル3から非冷却状態の飲料水が冷水タンク2の側へ自動供給され、この供給に伴い冷水温度が保冷上限値である12℃まで急上昇してしまい、短時間でコンプレッサ43がON作動されてしまう場合があるからである。つまり、この場合に昇温所要時間の計測を続行したとしても、得られる昇温所要時間は、雰囲気温度の如何を反映していない、従って、雑菌の繁殖速度を反映していない値となるため、これを除外することとしたものである。
【0058】
以上により、本実施形態では雰囲気温度を検出するための温度センサを新たに設けることなく、冷水タンク2の保冷運転制御のコンプレッサOFF期間内における所定の温度範囲だけ昇温に要する時間の変動を監視することにより、雰囲気温度の高低に起因する雑菌繁殖速度の変動に合致した最適な殺菌制御を実現させることができるようになる。
【0059】
<第2実施形態>
図8は第2実施形態に係るコントローラ7aのブロック図である。第2実施形態はコントローラ7aを構成する点灯周期設定部74においてのみ第1実施形態と異なり、その他の装置構成は第1実施形態と同じである。このため、第1実施形態と同じ構成については第1実施形態と同様の符号を付して、重複した詳細説明は省略する。
【0060】
コントローラ7aは、第1実施形態と同様に、ヒータ6等の電気駆動式の要素に対する電源供給と、冷凍回路4による保冷運転制御及びヒータ6による保温運転制御と、冷水スイッチ16又は温水スイッチ15からの出力に基づく冷水又は温水の供給運転に係る制御と、殺菌灯である紫外線灯28a、28bを所定の点灯周期に基づいて点灯(ON)・消灯(OFF)を定期的に繰り返す殺菌運転制御とを行うようになっている。すなわち、コントローラ7aは、冷凍回路4を構成するコンプレッサ43を冷水温度センサ29からの検出冷水温度に基づいてON・OFF運転制御することにより保冷運転制御を行う保冷制御部71と、この保冷制御部71から出力されるコンプレッサ43の運転情報及び上記冷水温度センサ29からの検出冷水温度の変動状況に基づいて紫外線灯28a,28bの点灯周期を変更設定する点灯周期設定部74と、この点灯周期設定部74で設定された点灯周期に基づいて紫外線灯28a,28bを定期的にON・OFFさせて紫外線を照射させることにより冷水タンク2内等にある飲料水を殺菌する点灯制御部73とを備えている。第2実施形態においては、上記の点灯周期設定部74と、点灯制御部73とによって、殺菌制御手段が構成されている。
【0061】
コンプレッサ43による冷却が停止されて冷水温度が雰囲気温度の影響を受けて昇温傾向になる期間であるコンプレッサOFF期間内において、所定の時間経過範囲における温度上昇に基づいて温度上昇率を計測し、この温度上昇率の高・低の如何により現在の雰囲気温度の高・低の如何を判定・把握し、これに基づいて点灯周期を設定するようになっている。具体的には、点灯周期設定部74は、温度上昇率計測部741と、点灯周期割出部742とを備えて構成されており、温度上昇率計測部741は、タイマを備え、このタイマ出力と、冷水温度センサ29からの検出冷水温度の出力とに基づいて温度上昇率を計測するようになっている。具体的には、温度上昇率計測部741は、コンプレッサ43のONからOFFに切換えられた時点からタイマをスタートさせ、第1の経過時間Tp1(図9参照)と、その後の第2の経過時間Tp2とのそれぞれの時点での検出冷水温度を得る。そして、2つの時点での検出冷水温度の温度差(温度上昇分)Psを、第1の経過時間Tp1から第2の経過時間Tp2までの時間間隔Trで除すことにより、温度上昇率R(R=Ps/Tr)を演算により求め、これを点灯周期割出部742に対し出力することになる。
【0062】
図9を参照しつつ、第2実施形態による雰囲気温度の把握の原理について説明すると、コンプレッサOFF期間において、第1実施形態で説明したように、冬場の如く雰囲気温度(又は外気温)が低いときの冷水温度(同図の実線参照)の昇温度合は、夏場の如く雰囲気温度が高いときの冷水温度(同図の一点鎖線参照)の昇温度合よりも緩やかなものとなる。このときに、雰囲気温度が低いときの冷水温度の温度上昇率の方が、雰囲気温度が高いときの温度上昇率よりも低くなる。つまり、温度上昇率が低ければ雰囲気温度は低く、温度上昇率が高ければ雰囲気温度は高いというように、温度上昇率を計測することにより、雰囲気温度の高・低の如何を把握し得ることになる。そして、雰囲気温度の高・低の如何は、第1実施形態で説明したように、雑菌の繁殖速度に影響するため、雰囲気温度の高・低に起因して、殺菌のための紫外線灯28a,28bの点灯が必要となる雑菌数の状態と、上記の温度上昇率の高・低如何とが対応することになる。つまり、温度上昇率の高・低如何によって、冷水タンク2内の雑菌繁殖速度の如何を推定・把握することができ、把握された雑菌繁殖速度に応じて紫外線灯28a,28bの点灯周期を変更設定することにより最適な殺菌処理を行い得ることになる。
【0063】
点灯周期割出部742には、温度上昇率の高・低如何と、それにより把握される雰囲気温度の高・低如何に基づく紫外線灯28a,28bの点灯時間及び消灯時間の組み合わせについての関係テーブルが予め入力されて記憶設定されている。具体的には、この関係テーブルは、温度上昇率が標準値よりも高ければ(図9の一点鎖線の場合を参照)、紫外線灯28a,28bの点灯時間(図5のTns参照)を長めに消灯時間(図5のTfs参照)を短めにする一方、温度上昇率が標準値よりも低ければ(図9の実線参照)、紫外線灯28a,28bの点灯時間(図5のTnw参照)を短めに消灯時間(図5のTfw参照)を長めにするというように、それぞれ点灯周期が変更されるように設定されている。ここで、点灯周期の変更設定としては、第1実施形態でも説明したように、点灯時間(点灯状態に維持する時間値)及び消灯時間(消灯状態に維持する時間値)を共に変更設定するように構成されているが、例えば点灯時間を一定の固定値にして消灯時間のみを長・短変更するようにしても、あるいは、消灯時間を一定の固定値にして点灯時間のみを長・短変更するようにしても、いずれにしてもよい。
【0064】
そして、温度上昇率計測部741から出力された温度上昇率に基づいて上記関係テーブルから該当する紫外線灯28a,28bの点灯時間Tn及び消灯時間Tfの組み合わせ、つまり点灯周期を割出し、このTn及びTfの組み合わせからなる点灯周期を点灯制御部73に出力し、点灯制御部73はこの点灯周期に基づいて紫外線灯28a,28bの点灯及び消灯の切換制御を実行することになる。すなわち、点灯制御部73はタイマを備え、紫外線灯28a,28bを点灯時間Tnだけ点灯(ON)させ、続いて消灯時間Tfだけ消灯(OFF)させるという作動を繰り返す。なお、上記の第1の経過時間Tp1及び/又は第2経過時間Tp2は、後に、ユーザ操作あるいはメンテナンスを行う作業員の操作により変更設定することが可能となっているほか、上記の関係テーブルもメンテナンスを行う作業員の操作により更新することが可能となっている。又、上記の関係テーブルは点灯周期割出部742に記憶設定する代わりに、別に独立した専用の記憶部を設けてこの記憶部に記憶設定するようにしてもよい。
【0065】
次に、温度上昇率を計測するための時間間隔(第1の経過時間Tp1及び第2の経過時間Tp2)の設定について詳細に説明する。原則はコンプレッサOFF期間の範囲内で設定すればよいが、取水操作がユーザにより行われた後の時間領域T2(図9参照)を除外する他、コンプレッサ43がON状態からOFFに切換えられた直後の所定時間領域T1(図9参照)を除外した計測時間範囲内で設定することが好ましい。取水操作とは、冷水タンク2内の冷水を取水口271から吐出させるために冷水用の取水スイッチ16をON操作(押圧操作)することであり、取水操作が行われると、第1実施形態でも説明したように、冷水が吐出されるため、その吐出された分だけウォータボトル3から非冷却状態の飲料水が冷水タンク2の側へ自動供給され、この供給に伴い冷水温度が保冷上限値である12℃まで急上昇してしまい、短時間でコンプレッサ43がON作動されてしまう場合があるからである。つまり、この場合の変動を含んだ状態で温度上昇率の計測を行ったとしても、得られる温度上昇率は、雰囲気温度の如何を反映していない、従って、雑菌の繁殖速度を反映していない値となるため、この取水操作が行われた以後の時間領域を除外することとして計測結果の信頼性を高めるようにしたものである。又、上記の所定時間領域T1は、第1実施形態において説明したように冷水タンク2内の冷水温度分布がより均一化された状態になるまでに要する時間経過分のことであり、この時間領域T1を除外することにより、雰囲気温度の把握をより的確に行うようにしている。
【0066】
なお、上記の取水操作が発生した場合であって、その取水操作が発生するまでの計測時間範囲(図9参照)を対象にして、温度上昇率を計測するための時間間隔の設定、そしてこの時間間隔での温度上昇率の計測を行うようにする場合には、その取水操作が発生するまでの計測時間範囲が所定時間以上あった場合に限り、上記の取水操作が発生する時点までに計測した温度上昇率を作用するようにし、所定時間未満の場合には温度上昇率の計測をキャンセルするようにしてもよい。これにより、計測結果の信頼性をより一層高めることができる。もちろん、コンプレッサOFF期間に取水操作が発生した場合には、その期間内における温度上昇率の計測をキャンセルするようにしてもよい。
【0067】
又、上記の時間間隔(第1の経過時間Tp1及び第2の経過時間Tp2)の設定として、保冷制御上の冷水温度範囲の低温側の温度範囲(例えば第1実施形態で説明した設定温度範囲;冷水温度範囲が5℃〜12℃であれば6℃〜8℃の温度範囲)を予め定め、この温度範囲の下側温度を通過した時点を第1の経過時間Tp1とし、上側温度を通過した時点を第2の経過時間Tp2として、それぞれの経過時間を逆にタイマから読み取るようにしてもよい。つまり、温度上昇率Rの演算式(R=Ps/Tr)の内のPsを固定にし(上記の例ではPs=8℃−6℃)、Trを計測(設定)することにより温度上昇率Rを得るようにするのである。この場合には、第1実施形態の技術とほぼ等価な技術となる。
【0068】
さらに、温度上昇率計測部741から点灯周期割出部742に出力されて点灯周期の割出に用いられる温度上昇率として、温度上昇率についての1回の計測値をそのまま用いてもよいし、温度上昇率計測部741により複数回(複数の時間間隔)に亘って計測した複数の温度上昇率を平均化したものを用いてもよい。すなわち、上記の時間領域T1あるいはT1,T2を除外した計測時間範囲(図9参照)において、コンプレッサOFF期間の進行に沿って所定時間間隔毎に第1の経過時間Tp1及び第2の経過時間Tp2を設定し、この設定された複数回の時間間隔毎の温度上昇率の計測を温度上昇率計測部741により行うようにするのである。そして、得られた複数の温度上昇率を平均化し、平均化された温度上昇率を点灯周期設定部742に出力する。あるいは、これら複数の温度上昇率のそれぞれから得た想定雰囲気温度に基づいて点灯周期を変更設定して殺菌制御を行うようにしてもよい。さらに、これら複数の温度上昇率を平均化することなく、所定回数分の温度上昇率の計測結果の和を基準にして、この合計値に基づいて点灯周期を変更設定して殺菌制御を行うようにしてもよい。
【0069】
以上の第2実施形態によっても、第1実施形態と同様に、雰囲気温度を検出するための温度センサを新たに設けることなく、冷水タンク2の保冷運転制御のコンプレッサOFF期間内における温度上昇率の変動を監視することにより、雰囲気温度の上昇・下降の変動に起因する雑菌繁殖度合の変動に合致した最適な殺菌制御を実現させることができるようになる。
【0070】
<他の実施形態>
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、上記実施形態では点灯制御部73による点灯制御の対象を2本の紫外線灯28a,28bとしたが、これに限らず、1本のみ設置してこの1本のみを対象にして点灯・消灯を繰り返す本実施形態での点灯制御を適用するようにしてもよい。
【0071】
2本又は3本以上の複数本の紫外線灯を設置する場合には、本実施形態による点灯周期で点灯制御する紫外線灯と、取水に連動して点灯させるという取水連動点灯制御を行う紫外線灯とに種類分けするようにしてもよい。図1の構成を例にすると、例えば一方の紫外線灯28aを取水連動用とし、他方の紫外線灯28bを本実施形態による点灯周期で点灯させる定期点灯用としてそれぞれ役割設定(用途設定)し、コントローラ7,7aに冷水の取水に連動して紫外線灯28aを点灯させる取水時連動制御を実行させる取水時連動制御部を設けて、両紫外線灯28a,28bを互いの役割に応じて点灯制御するようにしてもよい。この場合、定期点灯用の紫外線灯28bが消灯時間にあるときに取水連動制御に基づく紫外線灯28aの点灯が生じたときには、紫外線灯28bの消灯時間のタイマカウントを最初からやり直すようにしてもよい。
【0072】
なお、コンプレッサのON・OFF作動に同期させて紫外線灯28a,28bを点灯・消灯させるようにしてもよい。コンプレッサ43のOFF時間の長・短は冷水タンク2内の冷水が吸熱により温度上昇する上昇速度の速い・遅いにより主として決まり、その吸熱の度合は雰囲気温度の高・低に大きく影響を受けることになる。このような理屈でコンプレッサ43のOFF時間は長・短変化することになる。一方、冷水タンク2内の冷水温度が上昇するほど雑菌繁殖速度も高くなるため冷水温度の上昇に対応させて殺菌灯である紫外線灯28a,28bを所定時間点灯させるようにすれば、雑菌繁殖速度に対応した殺菌処理が可能となり、殺菌処理のための殺菌灯の点灯周期の最適化も図り得る。従って、1回のOFF時間の長・短如何に応じて殺菌灯である紫外線灯28a,28bの点灯周期を設定し、加えて、冷水温度を上限値である12℃から下限値である5℃まで低下させ得るコンプレッサ43のON時間と、冷水タンク2内の容量とが対応するように設定することにより、例えば図10に例示するように、コンプレッサ43のON・OFF作動に同期させて紫外線灯28a,28bを点灯・消灯させることができるようになる。すなわち、コンプレッサ43がON作動すれば紫外線灯28a,28bを点灯させ、コンプレッサ43がOFF作動すれば紫外線灯28a,28bも消灯させる、というようにコンプレッサ43のON・OFF作動と完全に同期させて紫外線灯28a,28bのON・OFF(点灯・消灯)作動の制御を行うようにすることができる。
【0073】
さらに、割り出された点灯周期に基づいて点灯制御を実行する際に、紫外線灯28a,28bの消灯時間Tfの時間範囲内における冷水温度の温度上昇率を監視し、その温度上昇率がもしも設定上昇率よりも大きくなる場合には、消灯時間Tfの経過を待つことなく紫外線灯28a,28bを点灯時間Tnだけ例外的に点灯させるという例外的点灯制御を付加するようにしてもよい。
【0074】
上記各実施形態では、冷水タンク2の他に温水タンク5をも備えた例を示しているが、これに限らず、本発明は少なくとも冷水タンク2を備えて構成されたウォータサーバであれば適用することができる。従って、温水タンク5を備えないウォータサーバであってもよい。又、温水タンク5を併有する場合には接続管24の配設状況として、上記実施形態以外にも、例えば冷水タンク2の外側を通して温水タンク5に接続させるような配設状況に変更してもよい。
【0075】
上記各実施形態では、紫外線灯28aとして、下端部を溜まり部25まで延ばして冷水取水管26の下流端まで紫外線を照射し得るように配置した例を示したが、これに限らず、溜まり部25を省略してもよい。
【符号の説明】
【0076】
2 冷水タンク(貯留タンク)
3 ウォータボトル(給水ボトル)
4 冷凍回路
28a,28b 紫外線灯(殺菌灯)
29 冷水温度センサ(温度センサ)
43 コンプレッサ
71 保冷制御部
72,74 点灯周期設定部(殺菌制御手段)
73 点灯制御部(殺菌制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水ボトルから給水を受けて飲料水を貯留する貯留タンクと、コンプレッサの作動により上記貯留タンク内の飲料水を冷却する冷凍回路と、点灯されることにより上記貯留タンク内の飲料水を殺菌する殺菌灯と、この殺菌灯の点灯・消灯の各作動を制御することにより上記貯留タンク内の飲料水の殺菌処理を制御する殺菌制御手段とを備えたウォータサーバであって、
上記冷凍回路による冷却対象である貯留タンク内の飲料水の温度を検出する温度センサを備え、
上記冷凍回路のコンプレッサは、貯留タンク内の飲料水が所定の冷水温度範囲に維持されるように上記温度センサによる検出温度に基づきON・OFF作動されるよう構成され、
上記殺菌制御手段は、上記コンプレッサが前回のON作動の終了から次回のON作動の開始までOFF状態に維持されるOFF期間において、上記温度センサによる検出温度を監視し上記貯留タンク内の冷却された飲料水が上記冷水温度範囲内の設定温度範囲で昇温するのに要した昇温所要時間を計測し、計測された昇温所要時間の長・短如何に対応させて、殺菌灯が点灯状態に維持される点灯時間及び/又は消灯状態に維持される消灯時間を変更設定するように構成されている
ことを特徴とするウォータサーバ。
【請求項2】
請求項1に記載のウォータサーバであって、
上記設定温度範囲が上記冷水温度範囲の低温側領域に設定されている、ウォータサーバ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のウォータサーバであって、
上記設定温度範囲は、コンプレッサのON作動が終了してOFF状態に切換えられることになる上記冷水温度範囲の下限値から貯留タンク内の温度が均一化されるまでの温度変動分を除外して設定されている、ウォータサーバ。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載のウォータサーバであって、
上記殺菌制御手段は、コンプレッサのOFF期間における昇温所要時間の計測期間中に貯留タンクからの取水操作が発生した場合、その昇温所要時間の計測をキャンセルするように構成されている、ウォータサーバ。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載のウォータサーバであって、
上記殺菌制御手段は、上記昇温所要時間の長・短変化と、上記殺菌灯の点灯時間及び/又は消灯時間の長・短変更との対応関係について規定したものであって、予め入力設定された関係テーブルを備え、この関係テーブルから、計測された昇温所要時間に対応する上記点灯時間及び/又は消灯時間を割り出し、割り出した点灯時間及び/又は消灯時間に基づいて殺菌灯の点灯・消灯の各作動を制御するように構成されている、ウォータサーバ。
【請求項6】
給水ボトルから給水を受けて飲料水を貯留する貯留タンクと、コンプレッサの作動により上記貯留タンク内の飲料水を冷却する冷凍回路と、点灯されることにより上記貯留タンク内の飲料水を殺菌する殺菌灯と、この殺菌灯の点灯・消灯の各作動を制御することにより上記貯留タンク内の飲料水の殺菌処理を制御する殺菌制御手段とを備えたウォータサーバであって、
上記冷凍回路による冷却対象である貯留タンク内の飲料水の温度を検出する温度センサを備え、
上記冷凍回路のコンプレッサは、貯留タンク内の飲料水が所定の冷水温度範囲に維持されるように上記温度センサによる検出温度に基づきON・OFF作動されるよう構成され、
上記殺菌制御手段は、上記コンプレッサが前回のON作動の終了から次回のON作動の開始までOFF状態に維持されるOFF期間において、上記温度センサによる検出温度に基づいて上記貯留タンク内の冷却された飲料水の温度上昇率を計測し、計測された温度上昇率の高・低如何に対応させて、殺菌灯が点灯状態に維持される点灯時間及び/又は消灯状態に維持される消灯時間を変更設定するように構成されている
ことを特徴とするウォータサーバ。
【請求項7】
請求項6に記載のウォータサーバであって、
上記殺菌制御手段は、上記温度上昇率を、上記冷水温度範囲内に設定された設定温度範囲での温度上昇に要する時間に基づいて計測するように構成されている、ウォータサーバ。
【請求項8】
請求項6に記載のウォータサーバであって、
上記殺菌制御手段は、上記温度上昇率を、コンプレッサのOFF期間内において設定される第1の経過時間と、その後の第2の経過時間との間に昇温した温度上昇分に基づいて計測されるように構成されている、ウォータサーバ。
【請求項9】
請求項6〜請求項8のいずれかに記載のウォータサーバであって、
上記殺菌制御手段は、コンプレッサのOFF期間に貯留タンクからの取水操作が発生した場合、その取水操作が発生する時点までの範囲内で温度上昇率を計測するように構成されている、ウォータサーバ。
【請求項10】
請求項6〜請求項8のいずれかに記載のウォータサーバであって、
上記殺菌制御手段は、コンプレッサのOFF期間における温度上昇率の計測期間中に貯留タンクからの取水操作が発生した場合、その温度上昇率の計測をキャンセルするように構成されている、ウォータサーバ。
【請求項11】
請求項6〜請求項10のいずれかに記載のウォータサーバであって、
上記殺菌制御手段は、温度上昇率の計測を、コンプレッサのOFF期間内であって、コンプレッサのON作動が終了してOFF状態に切換えられた時点から貯留タンク内の温度が均一化されるまでの所定時間領域を除外した期間内で行うように構成されている、ウォータサーバ。
【請求項12】
請求項6〜請求項11のいずれかに記載のウォータサーバであって、
上記殺菌制御手段は、上記温度上昇率の高・低変化と、上記殺菌灯の点灯時間及び/又は消灯時間の長・短変更との対応関係について規定したものであって、予め入力設定された関係テーブルを備え、この関係テーブルから、計測された温度上昇率に対応する上記点灯時間及び/又は消灯時間を割り出し、割り出した点灯時間及び/又は消灯時間に基づいて殺菌灯の点灯・消灯の各作動を制御するように構成されている、ウォータサーバ。
【請求項13】
請求項6〜請求項12のいずれかに記載のウォータサーバであって、
上記殺菌制御手段は、上記温度上昇率の計測を時間経過に沿って複数回実行し、計測された複数の温度上昇率を平均化することにより得られる温度上昇率に基づいて、殺菌灯が点灯状態に維持される点灯時間及び/又は消灯状態に維持される消灯時間を変更設定するように構成されている、ウォータサーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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