ウォータービークル
【課題】 デッキの上面で乗員が自由に移動したり、デッキの上面における積載性や排水性を向上させたりすることのできるウォータービークルを提供すること。
【解決手段】 デッキ11bの上面を略平面状に形成して、その中央部分よりもやや後部側に台状の操舵席基部12を設け、操舵席基部12の上部にシート13、補助シート14および操舵ハンドル15を設けた。また、エンジンルーム15b内に外気を取り込むための吸気口16aを、操舵席基部12の前面を構成するカウル16に設け、その吸気口16aに、空気と水とを分離してエンジンルーム15b内に水が浸入することを防止するための水分離構造を設けた。さらに、操舵席基部12の上部にハンドレール18を設け、デッキ11bの周縁部における前部側部分にレール部25a,25bを設けた。また、デッキ11bの上面における前側部分に、収容凹部21と蓋体22からなる収容部を設けた。
【解決手段】 デッキ11bの上面を略平面状に形成して、その中央部分よりもやや後部側に台状の操舵席基部12を設け、操舵席基部12の上部にシート13、補助シート14および操舵ハンドル15を設けた。また、エンジンルーム15b内に外気を取り込むための吸気口16aを、操舵席基部12の前面を構成するカウル16に設け、その吸気口16aに、空気と水とを分離してエンジンルーム15b内に水が浸入することを防止するための水分離構造を設けた。さらに、操舵席基部12の上部にハンドレール18を設け、デッキ11bの周縁部における前部側部分にレール部25a,25bを設けた。また、デッキ11bの上面における前側部分に、収容凹部21と蓋体22からなる収容部を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デッキの上面に乗員が移動するための平面部を形成したウォータービークルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、デッキの後部側部分に設けられたシートに座った乗員がデッキの前部側部分に設けられた操舵ハンドルを操舵しながら加減速操作をすることにより推進するウォータービークルがある。このようなウォータービークルの中に、艇体がハルとデッキとで構成され、デッキの前部側部分に操舵用の操舵ハンドルが設けられ、デッキの後部側部分に乗員が乗るためのシートが設けられているとともに、デッキ上に移動用のスペースが設けられているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このウォータービークル(小型ジェット推進艇)では、デッキの外周縁部における後部側部分を除く部分にブルーワーク形成され、デッキの上面における操舵ハンドルの前方部分にもシートが設けられている。そして、デッキの上面における操舵ハンドルや両シートが設けられた部分とブルーワークとの間の部分は平面状の床面に形成されている。このため、乗員は、平面状の床面に沿って移動することができる。
【特許文献1】特許公報第2769330号公報
【発明の開示】
【0004】
しかしながら、前述した従来のウォータービークルでは、デッキの外周縁部における後部側部分以外に幅(厚み)の大きな堰状のブルーワークが形成されているため、デッキの上面における平面状に形成された部分の面積が少なくなっている。このため、乗員が移動できる範囲が狭くなってデッキ上での移動がし難くなったり、デッキの上面を荷物を置くためのスペースとする場合には、そのスペースが狭くなって積載性が低下したりする。
【0005】
また、ウォータービークルが波を被ってデッキ上に水が溜まった場合には、その水はデッキの後部からしか外部に排出できないため排水性が悪くなる。さらに、乗員が水中からウォータービークルに乗り込む場合には、ブルーワークが邪魔になるためブルーワークが形成されていない後部側からしか乗船できないという問題や、デッキの上面における操舵ハンドルの前方部分にもシートが設けられているためエンジンルームに外気を取り込むための吸気口を設けにくいという問題もある。
【0006】
本発明は、前述した問題に対処するためになされたもので、その目的は、デッキの上面で乗員が自由に移動したり、デッキの上面における積載性や排水性を向上させたりすることのできるウォータービークルを提供することである。
【0007】
前述した目的を達成するため、本発明に係るウォータービークルの構成上の特徴は、下部側に配置されるハルと上部側に配置されるデッキとで艇体が構成され、デッキの上面に操舵ハンドルと跨座式シートが設けられるとともに、艇体内にエンジンおよびジェットポンプが設けられ、エンジンの駆動によってジェットポンプを作動させることにより推進するウォータービークルであって、デッキの上面を略平面状に形成して、そのデッキの上面における中央側部分に台状の操舵席基部を設け、操舵席基部の上部に操舵ハンドルおよび跨座式シートを設けたことにある。
【0008】
このように構成した本発明に係るウォータービークルにおいては、従来のウォータービークルが備えるブルーワークが設けられていないため、デッキの上面における略平面状の部分を広くすることができる。このため、乗員によるデッキの上面での移動範囲が広くなるとともに、ウォータービークルの停泊中にデッキ上で乗員が移動し易くなる。これによって、ウォータービークルを推進させるだけでなく、停止させた状態でデッキ上で釣りをする等、レジャー用としての多様な使用が可能になる。また、デッキの上面における荷物等を置く場所も広くなるため、例えば、ウォータービークルを水面で停止させて釣り等をする場合には、釣具やクーラーボックス等の箱状の収容物を多く置くことができるようになる。
【0009】
さらに、デッキの上面の略平面状の部分をデッキの周縁部まで形成しているためウォータービークルが波を被ってもその波の水はデッキの外周縁部のどの部分からでも排水できるようになる。これによって、デッキに水が溜まることが防止され高い排水性を確保できる。また、デッキの外周縁部に、特に、フェンス等を設けない場合には、乗員が水中からウォータービークルに乗る場合に、ウォータービークルの周囲のどの部分からでも乗船することができる。なお、本発明における略平面状とは、完全な平面だけでなく多少の凹凸がある面も含む意味であり、乗員が移動したり物を置くために支障にならない凹凸はあってもよいものとする。
【0010】
また、本発明に係るウォータービークルの他の構成上の特徴は、エンジンが収容されるエンジンルーム内に外気を取り込むための吸気口を、操舵席基部の前面に設けたことにある。これによると、吸気口をウォータービークルの進行方向に向けて開口させることができるため外気をエンジンルームに導入し易くなる。また、吸気口はデッキの上面よりも上方に位置するようになるため、デッキが波を被った場合やデッキの上面に一時的に水が溜まった場合でも吸気口からエンジンルーム内に水が浸入し難くなる。
【0011】
また、本発明に係るウォータービークルのさらに他の構成上の特徴は、吸気口とエンジンルームとの間に、空気と水とを分離してエンジンルーム内に水が浸入することを防止するための水分離構造を設けたことにある。この水分離構造としては、種々の構造を用いることができるが、例えば、空気が流れる流路を吸気口から一旦上方に延ばしたのちに下方のエンジンルームに向かうように構成し、吸気口内に水が浸入した場合に、その水が流路の上端部を越えることなく吸気口側に戻ったり、下方のデッキ側に流れたりするようにすることができる。また、吸気口に空気は通過させるが水は通過させないフィルターを設けることで水分離構造を構成することもできる。この水分離構造によると、エンジンルーム内に水が浸入することをより確実に防止できる。
【0012】
また、本発明に係るウォータービークルのさらに他の構成上の特徴は、操舵席基部の前端部から艇体の前端部までの距離を、操舵席基部の後端部から艇体の後端部までの距離よりも長くしたことにある。これによると、乗員が座るシートがウォータービークルの後部側に位置するようになるため、ウォータービークルが推進する際に、舳先が上方に位置するようになりウォータービークルのバランスがよくなるとともに、スピード感のある推進が可能になる。また、操舵席基部の前面に吸気口を設けた場合には、吸気口から艇体の前端部までの距離が長くなるため、さらに吸気口内に水が浸入し難くなる。
【0013】
また、本発明に係るウォータービークルのさらに他の構成上の特徴は、操舵席基部の上部における操舵ハンドルの近傍に、乗員がデッキ上を移動する際に把持できるグリップ部を設けたことにある。これによると、乗員がデッキ上を移動する際に、このグリップを持つことができるため、乗員がデッキ上で安定した姿勢で移動し易くなる。この場合のグリップ部は、パイプや棒からなる手摺のようなものやレバー状のもの等、手で把持し易いもので構成するとともに手で把持し易い場所に設置することが好ましい。
【0014】
また、本発明に係るウォータービークルのさらに他の構成上の特徴は、グリップ部を操舵ハンドルよりも低い位置に設けたことにある。これによると、ウォータービークルの運転中にグリップ部が乗員の視界を遮ることがなくなる。
【0015】
また、本発明に係るウォータービークルのさらに他の構成上の特徴は、デッキの周縁部における所定部分に、管状部材または棒状部材で構成されるレール部を設けたことにある。これによると、デッキの上面における略平面状の部分の面積を損なうことなくデッキ上での乗員の移動をし易くしたり、デッキ上に荷物を積載した場合にはその荷物の転落を防止したりすることができる。また、レール部に、ウェイクボード、釣竿、鏡等を取り付けるためのホルダーを取り付けたりすることもできる。なお、このレール部は、デッキの周縁部の全周に設けてもよいし、一部に設けてもよい。
【0016】
また、本発明に係るウォータービークルのさらに他の構成上の特徴は、デッキの上面における操舵席基部の前側部分に、デッキの上面から下方に凹んだ凹部と、凹部の上面開口を覆う蓋体からなる収容部を設けたことにある。艇体内部における前部側部分は、通常エンジンやポンプなどは設置されていないデッドスペースになっているため、その部分に凹部と蓋体からなる収容部を設けることにより、デッキ上での居住性を損なうことなくデッドスペースの有効利用が図れる。この収容部は、アンカーやラダー等を収容するために使用することができる。
【0017】
また、本発明に係るウォータービークルのさらに他の構成上の特徴は、収容部における凹部の下端部が、艇体の喫水ラインよりも下方に位置するようにするとともに、凹部の下端部に外部から凹部内に水を導入することのできる水導入路を連通させたことにある。これによると、収容部に物が収容されていないときに、凹部内に水を溜めて釣った魚を入れるための生簀として使用することができる。また、導入路における凹部に開口する部分には、着脱可能な栓を取り付けて、収容部内に物を収容する場合には、凹部内に水が入らないようにしておく。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。図1ないし図5は、同実施形態に係るウォータービークル10を示している。このウォータービークル10では、艇体11が、艇体底部を構成するハル11aと甲板を構成するデッキ11bとで構成されている。そして、ハル11aとデッキ11bとの周縁部全体に、ハル11aとデッキ11bとを水密的に接合するガンネル部11cが形成されている。また、艇体11の上部における前後方向の中央よりもやや後部側部分に、前後方向に延びる平面視が略楕円形の台状の操舵席基部12が設けられている。
【0019】
そして、操舵席基部12の上部における中央部に前後方向に延びる台状に形成され運転操作する乗員が跨いで座るための跨座式のシート13が形成され、シート13の後部に運転者以外の乗員が跨いで座るための跨座式の補助シート14が形成されている。この補助シート14の後部側下部の左右両側には、図6に示したように、下面が上方に向って湾曲した略樋状の把持部14a,14bが前後方向に設けられており補助シート14に座った乗員は、この把持部14a,14bを掴むことによりウォータービークル10が激しく揺れても落下することなく補助シート14に座った状態を維持できる。
【0020】
また、操舵席基部12の上部における前部側には、ウォータービークル10を操舵するための操舵ハンドル15が設けられている。この操舵ハンドル15は、運転操作をする乗員がシート13に座ったときに、その乗員の前に位置するようにして設けられている。そして、操舵席基部12における操舵ハンドル15を支持するハンドルベース15a(図7参照)の前部には、操舵席基部12の前面を構成するカウル16が取り付けられており、カウル16の上部にはウィンドシールド17と本発明のグリップ部としてのハンドレール18とが設けられている。
【0021】
カウル16の前部には、図2に示したように、中央側が低く側部側が高くなるように傾斜したスリット状の複数の穴部が左右対称に形成されており、この複数の穴部で外気を取り込むための吸気口16aが構成されている。また、ハンドルベース15aの内部からエンジンルーム15bにかけて、吸気口16aから取り込んだ空気をエンジンルーム15b内に導入するためのフレキシブルホース19が設けられている。このフレキシブルホース19の上端開口19aは、吸気口16aよりも高い位置に設置されており、吸気口16aからカウル16内に入った空気は、図7に矢印で示したように、カウル16内で一旦上昇したのちに、フレキシブルホース19内に入って下降していく。
【0022】
この際、空気と一緒に水が、吸気口16aからカウル16内に入っても水はカウル16内を上昇できずカウル16とハンドルベース15aとの間の空間を通ってデッキ11bの上面に流れていく。吸気口16a、カウル16内の空間部およびフレキシブルホース19とで本発明の水分離構造が構成される。ウィンドシールド17は透明板からなっており、操舵ハンドル15の前部に上方に延びるように取り付けられている。このため、運転者は、視界を遮ることなく風が体に当たることを防止できる。
【0023】
また、ハンドレール18は、ウィンドシールド17と所定間隔を保った状態でウィンドシールド17の外周縁部を覆うようにしてカウル16の上部に取り付けられており、ウォータービークル10を停止させた状態で、乗員がデッキ11b上を移動する際に、手で持てるように形成されている。このため、ウォータービークル10が揺れても、乗員は、ウォータービークル10から落下することなくデッキ11b上を移動できる。
【0024】
また、デッキ11bにおける前部側部分には、図8に示した収容凹部21と蓋体22とからなる収容部が形成されている。収容凹部21は二段状の凹部になっており、中央に深さが深い凹部21aが形成され、凹部21aの開口周囲に深さが浅く幅の広い凹部21bが形成されている。また、凹部21aの底部は、艇体11の喫水線よりも下方に位置しており、その底部には、艇体11の外部に通じる水導入口21cが形成されている。この水導入口21cは栓(図示せず)によって開閉でき、開けることにより外部の水を喫水線と同じ高さまで導入することができる。
【0025】
凹部21aは、内部に水を溜めていないときには物を収容するために使用でき、内部に水を溜めているときには、釣った魚を入れる生簀等として使用することができる。また、凹部21bには、図8に示した梯子23等の棒状や枠状の物を収容することができる。蓋体22は板からなっており、その後端縁部が左右に間隔を保って配置された一対のヒンジ連結部材22a,22bによって収容凹部21の上端開口の後端縁部に回転可能に取り付けられている。蓋体22を下方に位置させて収容凹部21を閉じることにより蓋体22はデッキ11bの上面の一部を構成し、蓋体22を上方に回転して収容凹部21を開けることにより収容凹部21内に物を出し入れすることができる。
【0026】
また、デッキ11bの外周縁部には、デッキ11bの上面よりも僅かに高くなったリブ部24が形成されており、リブ部24の前部側部分の両側には、管状部材からなる柵状のレール部25a,25bがそれぞれ設けられている。レール部25a,25bは左右対称に形成され、ともにリブ部24の前端側部分から略垂直に上方に延びたのちに屈曲して後方に延びてさらに屈曲して斜め下方に傾斜して延びてリブ部24に連結された略コ字状の部分と、略コ字状の部分における水平に延びる部分の略中央から下方に延びてリブ部24に連結された垂直部分とで構成されている。
【0027】
また、レール部25a,25bの前端部間には、乗員が通過できる程度の間隔が設けられており、リブ部24におけるレール部25a,25bの前端部が位置する部分よりもやや前部側部分には、デッキ11b上の水の排出が行えるとともに、梯子23を取り付けることのできる一対の溝部24a,24bが形成されている。図9は、溝部24a,24bに梯子23を取り付けた状態を示しており、このように梯子23を取り付けることにより、乗員は、梯子23に伝わってデッキ11bの上面から水中に入ったり、水中からデッキ11bの上面に上ったりすることができる。
【0028】
また、レール部25a,25bは、ウォータービークル10を水上で停止させた状態で、乗員がデッキ11bの上面でくつろいだりする際に、背もたれとして使用したり、釣竿を固定するためのホルダーを取り付けるために使用したりすることができる。さらに、シート13に座った運転者が後方を見るための鏡や、ウェイクボードを取り付けるために使用することもできる。また、図3に示したように、リブ部24の後端部両側部分にも、溝部24a,24bと同様の溝部24c,24dが形成され、リブ部24の両側部における所定部分には、間隔を保って複数の排水用の溝部24eが形成されている。
【0029】
なお、図示していないが、艇体11内における底部中央にはエンジンが設けられ、エンジンの後部からはクランク軸が艇体11内を後方に向って延びている。そして、このクランク軸に、インペラー軸が連結され、このインペラー軸が艇体11の船尾に設けられたジェット推進機に連結されている。インペラー軸は、ジェット推進機の内部に取り付けられたインペラーに連結され、エンジンの駆動によるクランク軸の回転力をインペラーに伝達してインペラーを回転させる。
【0030】
ジェット推進機は、さらに艇体11の底部に開口する水導入口と船尾に開口する噴射ノズルとを備えており、水導入口から導入される水をインペラーの回転により噴射ノズルから噴射させることにより艇体11に推進力を生じさせる。そして、噴射ノズルの後部に操向ノズル26が取り付けられている。この操向ノズル26は、操作ワイヤによって操舵ハンドル15に連結され、操舵ハンドル15の操作に応じて左右に揺動する。さらに、操向ノズル26の後方にウォータービークル10の進行方向を前方と後方とに切り換えるためのラダー27が取り付けられている。
【0031】
また、艇体11のハル11aの後端部には、間隔を保って上方に延びる一対の略垂直部分とその略垂直部分の両端部を結ぶ水平部分とからなる略コ字状のリボーディングステップ28が取り付けられている。このリボーディングステップ28は、ばねで上方に付勢されているが、下方に向けて荷重を掛けることにより略水平方向に下降するように構成されており、水中から乗員が乗船する際に下降させて使用される。また、操舵席基部12の後部中央には、平行して後部に延びる一対の棒状部とその先端に形成されたリング状部とからなる取付部12aが設けられており、この取付部12aにはロープ等が連結される。
【0032】
以上の構成において、ウォータービークル10を運転する際には、運転者と同乗者が乗船することができる。そして、運転者が操舵ハンドル15の近傍に設置されたスタートスイッチ(図示せず)をオンにした状態で、操舵ハンドル15のグリップを握るとともに、グリップの近傍に設けられたスロットルレバーをグリップ側に移動させることにより、ジェット推進機が駆動して噴射ノズルから噴流が噴出され、ウォータービークル10は走行を開始する。
【0033】
この場合、スロットルレバーをグリップ側に近づけるほどエンジンは高速回転してウォータービークル10は高速で推進し、スロットルレバーをグリップから遠ざけるほどエンジンは低速回転してウォータービークル10は低速で走行する。また、操舵ハンドル15を、平面視で時計周り方向に回転させることにより、操向ノズル26が右側に回転してウォータービークル10は右旋回し、操舵ハンドル15を、平面視で反時計周り方向に回転させることにより、操向ノズル26が左側に回転してウォータービークル10は左旋回する。この間、乗員は、シート13および補助シート14に座った楽な姿勢でウォータービークル10を走行させることができる。その際、補助シート14に座った乗員は、補助シート14の下部に設けられた把持部14a,14bを掴むことにより、安定した状態を維持できる。
【0034】
また、推進中のウォータービークル10が波を被った場合には、その水はデッキ11bの上面に溜まることなく、デッキ11bの外周部の所定部分から水面に流れていく。そして僅かな水がデッキ11bの上面に残っても、その水は溝部24a,24b,24c,24d,24eから水面に落下していく。また、レール部25aまたはレール部25bに鏡を取り付けた場合には、運転者は、後方を振り返ることなく鏡によって後方を確認することができる。
【0035】
また、ウォータービークル10を水上に停止させて、釣りをしたり水泳をしたりすることもできる。この場合、予め、収容部の凹部21a内にアンカーを収容しておき、このアンカーを凹部21aから取り出して水中に投入することによりウォータービークル10を停止状態に維持する。この際、乗員は、ハンドレール18を持つことによりデッキ11b上を安定した姿勢で移動することができる。また、レール部25a,25bを背もたれにしてデッキ11b上に座って釣りをしたり、レール部25a,25bにホルダーを介して釣竿を固定して釣りをしたりすることができる。
【0036】
また、釣った魚は、空になった凹部21aの栓を抜くことにより、凹部21a内に水を溜めて凹部21a内に入れておくことができる。そして、水泳をする場合には、デッキ11b上から水中に飛び込んだり、収容部の凹部21bから梯子23を取り出して、図9のように艇体11の先端部に取り付け、その梯子23を使って水中に入ったりすることができる。水中から出る場合には、梯子23を使ってデッキ11b上に上ってもよいし、デッキ11bの周縁部から直接デッキ11bの上面によじ登ることもできる。
【0037】
また、予めレール部25aまたはレール部25bにウェイクボードを取り付けておき、そのウェイクボードを使用する場合には、まず、ウェイクボードをレール部25aまたはレール部25bから取り外すとともに、使用するロープの端部を操舵席基部12の後端部に設けられた取付部12aに縛り付ける。つぎに、ウェイクボードを水上に浮かべ、乗員のうちの一人は、ロープの先端部に連結された把持部を持ってウェイクボードの上に乗る。そして、乗員のうちの他の人は、ウォータービークル10を操縦して推進させる。
【0038】
このように、ウォータービークル10を推進させているときには、外気が吸気口16aからカウル16内およびフレキシブルホース19を介してエンジンルーム内に取り込まれるが、このときに、空気と一緒に水が、吸気口16aからカウル16内に入っても、その水はフレキシブルホース19内に入ることは防止される。このため、エンジン内に水が浸入してエンジンの駆動に支障が生じたりエンジンに故障が生じたりすることがなくなる。また、デッキ11b上は、種々の荷物等を積載するためのスペースとして利用することもできる。
【0039】
さらに、デッキ11bの上面の他の利用方法として、図10に示したように、デッキ11bの前部側部分における収容部の蓋体22の後部側にスタンド式のシート29a,29bを取り付けることもできる。この場合、デッキ11bにボルト取り付け用のねじ穴を設けておくとともに、シート29a,29bの下部にボルト挿通穴を設けておき、ボルトをシート29a,29bのボルト挿通穴に通した状態でねじ穴に螺合させることによりシート29a,29bをデッキ11bに固定する。これによると、シート13および補助シート14だけでなく、シート29a,29bに座ってくつろぐこともできる。
【0040】
このように、本実施形態に係るウォータービークル10では、デッキ11bの上面における操舵席基部12が設けられた中央側部分以外の部分は、略平面状に形成されているため、デッキ11bの上面における平面状の部分を広くすることができる。このため、乗員によるデッキ11bの上面での移動範囲が広くなるとともに、その移動がし易くなる。また、デッキ11bの上面における荷物等を置く場所も広くなるため、ウォータービークル10の上で釣り等をする場合には、釣具やクーラーボックス等の箱状の収容物を多く並べて置くことができる。
【0041】
さらに、デッキ11bの上面の平面状の部分をデッキ11bの周縁部まで形成し、その周縁部には、僅かに上方に突出したリブ部24が形成されていているだけであるためウォータービークル10が波を被ってもその波の水はデッキ11bの外周縁部のどの部分からでも排水できる。このため、デッキ11bに水が溜まることが防止される。また、乗員が水中からに乗り込む場合に、ウォータービークル10のどの部分からでも乗船することができる。特に、乗員がウォータービークル10の後部側から乗り込む場合には、リボーディングステップ28を利用することにより楽に乗り込むことができる。
【0042】
また、エンジンルーム内に外気を取り込むための吸気口16aを、操舵席基部12の前面を構成するカウル16に設けたため、吸気口16aをウォータービークル10の進行方向に向けて開口させることができ、これによって外気をエンジンルームに導入し易くなる。また、吸気口16aはデッキ11bの上面よりも上方に位置に位置するため、ウォータービークル10が波を被ってデッキ11bの上面に水が溜まった場合でも吸気口16aからエンジンルーム内に水が浸入し難くなる。
【0043】
さらに、吸気口16a内に入る空気と水とを分離してエンジンルーム内に水が浸入することを防止するための水分離構造を、吸気口16aからカウル16内の上方に向う空気流路と、上端開口19aの位置が吸気口16aよりも高い位置になったフレキシブルホース19とで構成している。このため、吸気口16a内に水が入っても、その水はフレキシブルホース19内に入ることなくカウル16の下方に流れる。これによって、エンジンルーム内に水が浸入することを確実に防止できる。
【0044】
また、操舵席基部12の前端部から艇体11の前端部までの距離を、操舵席基部12の後端部から艇体11の後端部までの距離よりも長くしたため、吸気口16aから艇体11の前端部までの距離が長くなって、さらに吸気口16a内に水が浸入し難くなる。さらに、カウル16の上部における操舵ハンドル15の近傍に、乗員がデッキ11b上を移動する際に把持できるハンドレール18を設けたため、このハンドレール18を掴むことによって乗員がデッキ11b上で移動し易くなる。
【0045】
さらに、デッキ11bの周縁部の前部側部分に、レール部25a,25b部を設けたため、デッキ11b上での乗員の移動をし易くしたり、デッキ11b上に荷物を積載した場合にはその荷物の転落を防止したりすることができる。また、デッキ11bの上面における前側部分に、収容凹部21と蓋体22からなる収容部を設けたため、本来デッドスペースになる部分に、梯子23やアンカー等を収容することができる。さらに、収容凹部21の凹部21aの下端部が、艇体11の喫水ラインよりも下方に位置するようにするとともに、凹部21aの下端部に水導入口21cを設けて、この水導入口21cを外部から凹部21a内に水を導入することのできる水導入路に連通させたため、凹部21a内に水を溜めて生簀として使用することもできる。
【0046】
また、図11は、本発明の他の実施形態に係るウォータービークル10aを示している。このウォータービークル10aでは、ハンドレール18aが、ウィンドシールド17aの外周部でなく、前面を囲うようにして水平に取り付けられている。また、このハンドレール18aは、操舵ハンドル15cよりも低い位置に配置されている。このウォータービークル10aのそれ以外の部分の構成については、前述したウォータービークル10と同一である。したがって、同一部分に同一符号を記して説明は省略する。このように、構成したため、ウォータービークル10aでは、運転中にハンドレール18aが運転者の視界を遮ることがなくなる。このウォータービークル10aのそれ以外の作用効果については、前述したウォータービークル10と同様である。
【0047】
また、本発明に係るウォータービークルは、前述した実施形態に限定するものでなく、適宜変更して実施することが可能である。例えば、前述した実施形態では、デッキ11bの周縁部にリブ部24を形成しているが、このリブ部24を設けず、デッキ11bの周縁部も平面にすることができる。これによるとデッキ11bの上面の排水性がさらに向上する。また、前述した実施形態では、デッキ11bの周縁部の前部側部分に、レール部25a,25b部を設けているが、このレール部25a,25b部は省略してもよく、他の部分に設けたり、デッキ11bの周縁部の全体に設けたりしてもよい。さらに、ウォータービークル10,10aを構成するその他の部分の構成についても、本発明の技術的範囲内で適宜変更して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施形態に係るウォータービークルを側方から見た斜視図である。
【図2】ウォータービークルを前方から見た斜視図である。
【図3】ウォータービークルを後方から見た斜視図である。
【図4】ウォータービークルを斜め前方から見た斜視図である。
【図5】ウォータービークルを斜め後方から見た斜視図である。
【図6】補助シートの把持部を示した斜視図である。
【図7】水分離構造を示した側面図である。
【図8】デッキに設けられた収容部を示した斜視図である。
【図9】ウォータービークルの先端部に梯子を取り付けた状態を示した斜視図である。
【図10】ウォータービークルのデッキ前部側にシートを取り付けた状態を示した斜視図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係るウォータービークルを側方から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0049】
10,10a…ウォータービークル、11…艇体、11a…ハル、11b…デッキ、12…操舵席基部、13…シート、14…補助シート、15b…エンジンルーム、15,15c…操舵ハンドル、16…カウル、16a…吸気口、18,18a…ハンドレール、19…フレキシブルホース、21…収容凹部、21a,21b…凹部、21c…水導入口、22…蓋体、25a,25b…レール部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、デッキの上面に乗員が移動するための平面部を形成したウォータービークルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、デッキの後部側部分に設けられたシートに座った乗員がデッキの前部側部分に設けられた操舵ハンドルを操舵しながら加減速操作をすることにより推進するウォータービークルがある。このようなウォータービークルの中に、艇体がハルとデッキとで構成され、デッキの前部側部分に操舵用の操舵ハンドルが設けられ、デッキの後部側部分に乗員が乗るためのシートが設けられているとともに、デッキ上に移動用のスペースが設けられているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このウォータービークル(小型ジェット推進艇)では、デッキの外周縁部における後部側部分を除く部分にブルーワーク形成され、デッキの上面における操舵ハンドルの前方部分にもシートが設けられている。そして、デッキの上面における操舵ハンドルや両シートが設けられた部分とブルーワークとの間の部分は平面状の床面に形成されている。このため、乗員は、平面状の床面に沿って移動することができる。
【特許文献1】特許公報第2769330号公報
【発明の開示】
【0004】
しかしながら、前述した従来のウォータービークルでは、デッキの外周縁部における後部側部分以外に幅(厚み)の大きな堰状のブルーワークが形成されているため、デッキの上面における平面状に形成された部分の面積が少なくなっている。このため、乗員が移動できる範囲が狭くなってデッキ上での移動がし難くなったり、デッキの上面を荷物を置くためのスペースとする場合には、そのスペースが狭くなって積載性が低下したりする。
【0005】
また、ウォータービークルが波を被ってデッキ上に水が溜まった場合には、その水はデッキの後部からしか外部に排出できないため排水性が悪くなる。さらに、乗員が水中からウォータービークルに乗り込む場合には、ブルーワークが邪魔になるためブルーワークが形成されていない後部側からしか乗船できないという問題や、デッキの上面における操舵ハンドルの前方部分にもシートが設けられているためエンジンルームに外気を取り込むための吸気口を設けにくいという問題もある。
【0006】
本発明は、前述した問題に対処するためになされたもので、その目的は、デッキの上面で乗員が自由に移動したり、デッキの上面における積載性や排水性を向上させたりすることのできるウォータービークルを提供することである。
【0007】
前述した目的を達成するため、本発明に係るウォータービークルの構成上の特徴は、下部側に配置されるハルと上部側に配置されるデッキとで艇体が構成され、デッキの上面に操舵ハンドルと跨座式シートが設けられるとともに、艇体内にエンジンおよびジェットポンプが設けられ、エンジンの駆動によってジェットポンプを作動させることにより推進するウォータービークルであって、デッキの上面を略平面状に形成して、そのデッキの上面における中央側部分に台状の操舵席基部を設け、操舵席基部の上部に操舵ハンドルおよび跨座式シートを設けたことにある。
【0008】
このように構成した本発明に係るウォータービークルにおいては、従来のウォータービークルが備えるブルーワークが設けられていないため、デッキの上面における略平面状の部分を広くすることができる。このため、乗員によるデッキの上面での移動範囲が広くなるとともに、ウォータービークルの停泊中にデッキ上で乗員が移動し易くなる。これによって、ウォータービークルを推進させるだけでなく、停止させた状態でデッキ上で釣りをする等、レジャー用としての多様な使用が可能になる。また、デッキの上面における荷物等を置く場所も広くなるため、例えば、ウォータービークルを水面で停止させて釣り等をする場合には、釣具やクーラーボックス等の箱状の収容物を多く置くことができるようになる。
【0009】
さらに、デッキの上面の略平面状の部分をデッキの周縁部まで形成しているためウォータービークルが波を被ってもその波の水はデッキの外周縁部のどの部分からでも排水できるようになる。これによって、デッキに水が溜まることが防止され高い排水性を確保できる。また、デッキの外周縁部に、特に、フェンス等を設けない場合には、乗員が水中からウォータービークルに乗る場合に、ウォータービークルの周囲のどの部分からでも乗船することができる。なお、本発明における略平面状とは、完全な平面だけでなく多少の凹凸がある面も含む意味であり、乗員が移動したり物を置くために支障にならない凹凸はあってもよいものとする。
【0010】
また、本発明に係るウォータービークルの他の構成上の特徴は、エンジンが収容されるエンジンルーム内に外気を取り込むための吸気口を、操舵席基部の前面に設けたことにある。これによると、吸気口をウォータービークルの進行方向に向けて開口させることができるため外気をエンジンルームに導入し易くなる。また、吸気口はデッキの上面よりも上方に位置するようになるため、デッキが波を被った場合やデッキの上面に一時的に水が溜まった場合でも吸気口からエンジンルーム内に水が浸入し難くなる。
【0011】
また、本発明に係るウォータービークルのさらに他の構成上の特徴は、吸気口とエンジンルームとの間に、空気と水とを分離してエンジンルーム内に水が浸入することを防止するための水分離構造を設けたことにある。この水分離構造としては、種々の構造を用いることができるが、例えば、空気が流れる流路を吸気口から一旦上方に延ばしたのちに下方のエンジンルームに向かうように構成し、吸気口内に水が浸入した場合に、その水が流路の上端部を越えることなく吸気口側に戻ったり、下方のデッキ側に流れたりするようにすることができる。また、吸気口に空気は通過させるが水は通過させないフィルターを設けることで水分離構造を構成することもできる。この水分離構造によると、エンジンルーム内に水が浸入することをより確実に防止できる。
【0012】
また、本発明に係るウォータービークルのさらに他の構成上の特徴は、操舵席基部の前端部から艇体の前端部までの距離を、操舵席基部の後端部から艇体の後端部までの距離よりも長くしたことにある。これによると、乗員が座るシートがウォータービークルの後部側に位置するようになるため、ウォータービークルが推進する際に、舳先が上方に位置するようになりウォータービークルのバランスがよくなるとともに、スピード感のある推進が可能になる。また、操舵席基部の前面に吸気口を設けた場合には、吸気口から艇体の前端部までの距離が長くなるため、さらに吸気口内に水が浸入し難くなる。
【0013】
また、本発明に係るウォータービークルのさらに他の構成上の特徴は、操舵席基部の上部における操舵ハンドルの近傍に、乗員がデッキ上を移動する際に把持できるグリップ部を設けたことにある。これによると、乗員がデッキ上を移動する際に、このグリップを持つことができるため、乗員がデッキ上で安定した姿勢で移動し易くなる。この場合のグリップ部は、パイプや棒からなる手摺のようなものやレバー状のもの等、手で把持し易いもので構成するとともに手で把持し易い場所に設置することが好ましい。
【0014】
また、本発明に係るウォータービークルのさらに他の構成上の特徴は、グリップ部を操舵ハンドルよりも低い位置に設けたことにある。これによると、ウォータービークルの運転中にグリップ部が乗員の視界を遮ることがなくなる。
【0015】
また、本発明に係るウォータービークルのさらに他の構成上の特徴は、デッキの周縁部における所定部分に、管状部材または棒状部材で構成されるレール部を設けたことにある。これによると、デッキの上面における略平面状の部分の面積を損なうことなくデッキ上での乗員の移動をし易くしたり、デッキ上に荷物を積載した場合にはその荷物の転落を防止したりすることができる。また、レール部に、ウェイクボード、釣竿、鏡等を取り付けるためのホルダーを取り付けたりすることもできる。なお、このレール部は、デッキの周縁部の全周に設けてもよいし、一部に設けてもよい。
【0016】
また、本発明に係るウォータービークルのさらに他の構成上の特徴は、デッキの上面における操舵席基部の前側部分に、デッキの上面から下方に凹んだ凹部と、凹部の上面開口を覆う蓋体からなる収容部を設けたことにある。艇体内部における前部側部分は、通常エンジンやポンプなどは設置されていないデッドスペースになっているため、その部分に凹部と蓋体からなる収容部を設けることにより、デッキ上での居住性を損なうことなくデッドスペースの有効利用が図れる。この収容部は、アンカーやラダー等を収容するために使用することができる。
【0017】
また、本発明に係るウォータービークルのさらに他の構成上の特徴は、収容部における凹部の下端部が、艇体の喫水ラインよりも下方に位置するようにするとともに、凹部の下端部に外部から凹部内に水を導入することのできる水導入路を連通させたことにある。これによると、収容部に物が収容されていないときに、凹部内に水を溜めて釣った魚を入れるための生簀として使用することができる。また、導入路における凹部に開口する部分には、着脱可能な栓を取り付けて、収容部内に物を収容する場合には、凹部内に水が入らないようにしておく。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。図1ないし図5は、同実施形態に係るウォータービークル10を示している。このウォータービークル10では、艇体11が、艇体底部を構成するハル11aと甲板を構成するデッキ11bとで構成されている。そして、ハル11aとデッキ11bとの周縁部全体に、ハル11aとデッキ11bとを水密的に接合するガンネル部11cが形成されている。また、艇体11の上部における前後方向の中央よりもやや後部側部分に、前後方向に延びる平面視が略楕円形の台状の操舵席基部12が設けられている。
【0019】
そして、操舵席基部12の上部における中央部に前後方向に延びる台状に形成され運転操作する乗員が跨いで座るための跨座式のシート13が形成され、シート13の後部に運転者以外の乗員が跨いで座るための跨座式の補助シート14が形成されている。この補助シート14の後部側下部の左右両側には、図6に示したように、下面が上方に向って湾曲した略樋状の把持部14a,14bが前後方向に設けられており補助シート14に座った乗員は、この把持部14a,14bを掴むことによりウォータービークル10が激しく揺れても落下することなく補助シート14に座った状態を維持できる。
【0020】
また、操舵席基部12の上部における前部側には、ウォータービークル10を操舵するための操舵ハンドル15が設けられている。この操舵ハンドル15は、運転操作をする乗員がシート13に座ったときに、その乗員の前に位置するようにして設けられている。そして、操舵席基部12における操舵ハンドル15を支持するハンドルベース15a(図7参照)の前部には、操舵席基部12の前面を構成するカウル16が取り付けられており、カウル16の上部にはウィンドシールド17と本発明のグリップ部としてのハンドレール18とが設けられている。
【0021】
カウル16の前部には、図2に示したように、中央側が低く側部側が高くなるように傾斜したスリット状の複数の穴部が左右対称に形成されており、この複数の穴部で外気を取り込むための吸気口16aが構成されている。また、ハンドルベース15aの内部からエンジンルーム15bにかけて、吸気口16aから取り込んだ空気をエンジンルーム15b内に導入するためのフレキシブルホース19が設けられている。このフレキシブルホース19の上端開口19aは、吸気口16aよりも高い位置に設置されており、吸気口16aからカウル16内に入った空気は、図7に矢印で示したように、カウル16内で一旦上昇したのちに、フレキシブルホース19内に入って下降していく。
【0022】
この際、空気と一緒に水が、吸気口16aからカウル16内に入っても水はカウル16内を上昇できずカウル16とハンドルベース15aとの間の空間を通ってデッキ11bの上面に流れていく。吸気口16a、カウル16内の空間部およびフレキシブルホース19とで本発明の水分離構造が構成される。ウィンドシールド17は透明板からなっており、操舵ハンドル15の前部に上方に延びるように取り付けられている。このため、運転者は、視界を遮ることなく風が体に当たることを防止できる。
【0023】
また、ハンドレール18は、ウィンドシールド17と所定間隔を保った状態でウィンドシールド17の外周縁部を覆うようにしてカウル16の上部に取り付けられており、ウォータービークル10を停止させた状態で、乗員がデッキ11b上を移動する際に、手で持てるように形成されている。このため、ウォータービークル10が揺れても、乗員は、ウォータービークル10から落下することなくデッキ11b上を移動できる。
【0024】
また、デッキ11bにおける前部側部分には、図8に示した収容凹部21と蓋体22とからなる収容部が形成されている。収容凹部21は二段状の凹部になっており、中央に深さが深い凹部21aが形成され、凹部21aの開口周囲に深さが浅く幅の広い凹部21bが形成されている。また、凹部21aの底部は、艇体11の喫水線よりも下方に位置しており、その底部には、艇体11の外部に通じる水導入口21cが形成されている。この水導入口21cは栓(図示せず)によって開閉でき、開けることにより外部の水を喫水線と同じ高さまで導入することができる。
【0025】
凹部21aは、内部に水を溜めていないときには物を収容するために使用でき、内部に水を溜めているときには、釣った魚を入れる生簀等として使用することができる。また、凹部21bには、図8に示した梯子23等の棒状や枠状の物を収容することができる。蓋体22は板からなっており、その後端縁部が左右に間隔を保って配置された一対のヒンジ連結部材22a,22bによって収容凹部21の上端開口の後端縁部に回転可能に取り付けられている。蓋体22を下方に位置させて収容凹部21を閉じることにより蓋体22はデッキ11bの上面の一部を構成し、蓋体22を上方に回転して収容凹部21を開けることにより収容凹部21内に物を出し入れすることができる。
【0026】
また、デッキ11bの外周縁部には、デッキ11bの上面よりも僅かに高くなったリブ部24が形成されており、リブ部24の前部側部分の両側には、管状部材からなる柵状のレール部25a,25bがそれぞれ設けられている。レール部25a,25bは左右対称に形成され、ともにリブ部24の前端側部分から略垂直に上方に延びたのちに屈曲して後方に延びてさらに屈曲して斜め下方に傾斜して延びてリブ部24に連結された略コ字状の部分と、略コ字状の部分における水平に延びる部分の略中央から下方に延びてリブ部24に連結された垂直部分とで構成されている。
【0027】
また、レール部25a,25bの前端部間には、乗員が通過できる程度の間隔が設けられており、リブ部24におけるレール部25a,25bの前端部が位置する部分よりもやや前部側部分には、デッキ11b上の水の排出が行えるとともに、梯子23を取り付けることのできる一対の溝部24a,24bが形成されている。図9は、溝部24a,24bに梯子23を取り付けた状態を示しており、このように梯子23を取り付けることにより、乗員は、梯子23に伝わってデッキ11bの上面から水中に入ったり、水中からデッキ11bの上面に上ったりすることができる。
【0028】
また、レール部25a,25bは、ウォータービークル10を水上で停止させた状態で、乗員がデッキ11bの上面でくつろいだりする際に、背もたれとして使用したり、釣竿を固定するためのホルダーを取り付けるために使用したりすることができる。さらに、シート13に座った運転者が後方を見るための鏡や、ウェイクボードを取り付けるために使用することもできる。また、図3に示したように、リブ部24の後端部両側部分にも、溝部24a,24bと同様の溝部24c,24dが形成され、リブ部24の両側部における所定部分には、間隔を保って複数の排水用の溝部24eが形成されている。
【0029】
なお、図示していないが、艇体11内における底部中央にはエンジンが設けられ、エンジンの後部からはクランク軸が艇体11内を後方に向って延びている。そして、このクランク軸に、インペラー軸が連結され、このインペラー軸が艇体11の船尾に設けられたジェット推進機に連結されている。インペラー軸は、ジェット推進機の内部に取り付けられたインペラーに連結され、エンジンの駆動によるクランク軸の回転力をインペラーに伝達してインペラーを回転させる。
【0030】
ジェット推進機は、さらに艇体11の底部に開口する水導入口と船尾に開口する噴射ノズルとを備えており、水導入口から導入される水をインペラーの回転により噴射ノズルから噴射させることにより艇体11に推進力を生じさせる。そして、噴射ノズルの後部に操向ノズル26が取り付けられている。この操向ノズル26は、操作ワイヤによって操舵ハンドル15に連結され、操舵ハンドル15の操作に応じて左右に揺動する。さらに、操向ノズル26の後方にウォータービークル10の進行方向を前方と後方とに切り換えるためのラダー27が取り付けられている。
【0031】
また、艇体11のハル11aの後端部には、間隔を保って上方に延びる一対の略垂直部分とその略垂直部分の両端部を結ぶ水平部分とからなる略コ字状のリボーディングステップ28が取り付けられている。このリボーディングステップ28は、ばねで上方に付勢されているが、下方に向けて荷重を掛けることにより略水平方向に下降するように構成されており、水中から乗員が乗船する際に下降させて使用される。また、操舵席基部12の後部中央には、平行して後部に延びる一対の棒状部とその先端に形成されたリング状部とからなる取付部12aが設けられており、この取付部12aにはロープ等が連結される。
【0032】
以上の構成において、ウォータービークル10を運転する際には、運転者と同乗者が乗船することができる。そして、運転者が操舵ハンドル15の近傍に設置されたスタートスイッチ(図示せず)をオンにした状態で、操舵ハンドル15のグリップを握るとともに、グリップの近傍に設けられたスロットルレバーをグリップ側に移動させることにより、ジェット推進機が駆動して噴射ノズルから噴流が噴出され、ウォータービークル10は走行を開始する。
【0033】
この場合、スロットルレバーをグリップ側に近づけるほどエンジンは高速回転してウォータービークル10は高速で推進し、スロットルレバーをグリップから遠ざけるほどエンジンは低速回転してウォータービークル10は低速で走行する。また、操舵ハンドル15を、平面視で時計周り方向に回転させることにより、操向ノズル26が右側に回転してウォータービークル10は右旋回し、操舵ハンドル15を、平面視で反時計周り方向に回転させることにより、操向ノズル26が左側に回転してウォータービークル10は左旋回する。この間、乗員は、シート13および補助シート14に座った楽な姿勢でウォータービークル10を走行させることができる。その際、補助シート14に座った乗員は、補助シート14の下部に設けられた把持部14a,14bを掴むことにより、安定した状態を維持できる。
【0034】
また、推進中のウォータービークル10が波を被った場合には、その水はデッキ11bの上面に溜まることなく、デッキ11bの外周部の所定部分から水面に流れていく。そして僅かな水がデッキ11bの上面に残っても、その水は溝部24a,24b,24c,24d,24eから水面に落下していく。また、レール部25aまたはレール部25bに鏡を取り付けた場合には、運転者は、後方を振り返ることなく鏡によって後方を確認することができる。
【0035】
また、ウォータービークル10を水上に停止させて、釣りをしたり水泳をしたりすることもできる。この場合、予め、収容部の凹部21a内にアンカーを収容しておき、このアンカーを凹部21aから取り出して水中に投入することによりウォータービークル10を停止状態に維持する。この際、乗員は、ハンドレール18を持つことによりデッキ11b上を安定した姿勢で移動することができる。また、レール部25a,25bを背もたれにしてデッキ11b上に座って釣りをしたり、レール部25a,25bにホルダーを介して釣竿を固定して釣りをしたりすることができる。
【0036】
また、釣った魚は、空になった凹部21aの栓を抜くことにより、凹部21a内に水を溜めて凹部21a内に入れておくことができる。そして、水泳をする場合には、デッキ11b上から水中に飛び込んだり、収容部の凹部21bから梯子23を取り出して、図9のように艇体11の先端部に取り付け、その梯子23を使って水中に入ったりすることができる。水中から出る場合には、梯子23を使ってデッキ11b上に上ってもよいし、デッキ11bの周縁部から直接デッキ11bの上面によじ登ることもできる。
【0037】
また、予めレール部25aまたはレール部25bにウェイクボードを取り付けておき、そのウェイクボードを使用する場合には、まず、ウェイクボードをレール部25aまたはレール部25bから取り外すとともに、使用するロープの端部を操舵席基部12の後端部に設けられた取付部12aに縛り付ける。つぎに、ウェイクボードを水上に浮かべ、乗員のうちの一人は、ロープの先端部に連結された把持部を持ってウェイクボードの上に乗る。そして、乗員のうちの他の人は、ウォータービークル10を操縦して推進させる。
【0038】
このように、ウォータービークル10を推進させているときには、外気が吸気口16aからカウル16内およびフレキシブルホース19を介してエンジンルーム内に取り込まれるが、このときに、空気と一緒に水が、吸気口16aからカウル16内に入っても、その水はフレキシブルホース19内に入ることは防止される。このため、エンジン内に水が浸入してエンジンの駆動に支障が生じたりエンジンに故障が生じたりすることがなくなる。また、デッキ11b上は、種々の荷物等を積載するためのスペースとして利用することもできる。
【0039】
さらに、デッキ11bの上面の他の利用方法として、図10に示したように、デッキ11bの前部側部分における収容部の蓋体22の後部側にスタンド式のシート29a,29bを取り付けることもできる。この場合、デッキ11bにボルト取り付け用のねじ穴を設けておくとともに、シート29a,29bの下部にボルト挿通穴を設けておき、ボルトをシート29a,29bのボルト挿通穴に通した状態でねじ穴に螺合させることによりシート29a,29bをデッキ11bに固定する。これによると、シート13および補助シート14だけでなく、シート29a,29bに座ってくつろぐこともできる。
【0040】
このように、本実施形態に係るウォータービークル10では、デッキ11bの上面における操舵席基部12が設けられた中央側部分以外の部分は、略平面状に形成されているため、デッキ11bの上面における平面状の部分を広くすることができる。このため、乗員によるデッキ11bの上面での移動範囲が広くなるとともに、その移動がし易くなる。また、デッキ11bの上面における荷物等を置く場所も広くなるため、ウォータービークル10の上で釣り等をする場合には、釣具やクーラーボックス等の箱状の収容物を多く並べて置くことができる。
【0041】
さらに、デッキ11bの上面の平面状の部分をデッキ11bの周縁部まで形成し、その周縁部には、僅かに上方に突出したリブ部24が形成されていているだけであるためウォータービークル10が波を被ってもその波の水はデッキ11bの外周縁部のどの部分からでも排水できる。このため、デッキ11bに水が溜まることが防止される。また、乗員が水中からに乗り込む場合に、ウォータービークル10のどの部分からでも乗船することができる。特に、乗員がウォータービークル10の後部側から乗り込む場合には、リボーディングステップ28を利用することにより楽に乗り込むことができる。
【0042】
また、エンジンルーム内に外気を取り込むための吸気口16aを、操舵席基部12の前面を構成するカウル16に設けたため、吸気口16aをウォータービークル10の進行方向に向けて開口させることができ、これによって外気をエンジンルームに導入し易くなる。また、吸気口16aはデッキ11bの上面よりも上方に位置に位置するため、ウォータービークル10が波を被ってデッキ11bの上面に水が溜まった場合でも吸気口16aからエンジンルーム内に水が浸入し難くなる。
【0043】
さらに、吸気口16a内に入る空気と水とを分離してエンジンルーム内に水が浸入することを防止するための水分離構造を、吸気口16aからカウル16内の上方に向う空気流路と、上端開口19aの位置が吸気口16aよりも高い位置になったフレキシブルホース19とで構成している。このため、吸気口16a内に水が入っても、その水はフレキシブルホース19内に入ることなくカウル16の下方に流れる。これによって、エンジンルーム内に水が浸入することを確実に防止できる。
【0044】
また、操舵席基部12の前端部から艇体11の前端部までの距離を、操舵席基部12の後端部から艇体11の後端部までの距離よりも長くしたため、吸気口16aから艇体11の前端部までの距離が長くなって、さらに吸気口16a内に水が浸入し難くなる。さらに、カウル16の上部における操舵ハンドル15の近傍に、乗員がデッキ11b上を移動する際に把持できるハンドレール18を設けたため、このハンドレール18を掴むことによって乗員がデッキ11b上で移動し易くなる。
【0045】
さらに、デッキ11bの周縁部の前部側部分に、レール部25a,25b部を設けたため、デッキ11b上での乗員の移動をし易くしたり、デッキ11b上に荷物を積載した場合にはその荷物の転落を防止したりすることができる。また、デッキ11bの上面における前側部分に、収容凹部21と蓋体22からなる収容部を設けたため、本来デッドスペースになる部分に、梯子23やアンカー等を収容することができる。さらに、収容凹部21の凹部21aの下端部が、艇体11の喫水ラインよりも下方に位置するようにするとともに、凹部21aの下端部に水導入口21cを設けて、この水導入口21cを外部から凹部21a内に水を導入することのできる水導入路に連通させたため、凹部21a内に水を溜めて生簀として使用することもできる。
【0046】
また、図11は、本発明の他の実施形態に係るウォータービークル10aを示している。このウォータービークル10aでは、ハンドレール18aが、ウィンドシールド17aの外周部でなく、前面を囲うようにして水平に取り付けられている。また、このハンドレール18aは、操舵ハンドル15cよりも低い位置に配置されている。このウォータービークル10aのそれ以外の部分の構成については、前述したウォータービークル10と同一である。したがって、同一部分に同一符号を記して説明は省略する。このように、構成したため、ウォータービークル10aでは、運転中にハンドレール18aが運転者の視界を遮ることがなくなる。このウォータービークル10aのそれ以外の作用効果については、前述したウォータービークル10と同様である。
【0047】
また、本発明に係るウォータービークルは、前述した実施形態に限定するものでなく、適宜変更して実施することが可能である。例えば、前述した実施形態では、デッキ11bの周縁部にリブ部24を形成しているが、このリブ部24を設けず、デッキ11bの周縁部も平面にすることができる。これによるとデッキ11bの上面の排水性がさらに向上する。また、前述した実施形態では、デッキ11bの周縁部の前部側部分に、レール部25a,25b部を設けているが、このレール部25a,25b部は省略してもよく、他の部分に設けたり、デッキ11bの周縁部の全体に設けたりしてもよい。さらに、ウォータービークル10,10aを構成するその他の部分の構成についても、本発明の技術的範囲内で適宜変更して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施形態に係るウォータービークルを側方から見た斜視図である。
【図2】ウォータービークルを前方から見た斜視図である。
【図3】ウォータービークルを後方から見た斜視図である。
【図4】ウォータービークルを斜め前方から見た斜視図である。
【図5】ウォータービークルを斜め後方から見た斜視図である。
【図6】補助シートの把持部を示した斜視図である。
【図7】水分離構造を示した側面図である。
【図8】デッキに設けられた収容部を示した斜視図である。
【図9】ウォータービークルの先端部に梯子を取り付けた状態を示した斜視図である。
【図10】ウォータービークルのデッキ前部側にシートを取り付けた状態を示した斜視図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係るウォータービークルを側方から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0049】
10,10a…ウォータービークル、11…艇体、11a…ハル、11b…デッキ、12…操舵席基部、13…シート、14…補助シート、15b…エンジンルーム、15,15c…操舵ハンドル、16…カウル、16a…吸気口、18,18a…ハンドレール、19…フレキシブルホース、21…収容凹部、21a,21b…凹部、21c…水導入口、22…蓋体、25a,25b…レール部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部側に配置されるハルと上部側に配置されるデッキとで艇体が構成され、前記デッキの上面に操舵ハンドルと跨座式シートが設けられるとともに、前記艇体内にエンジンおよびジェットポンプが設けられ、前記エンジンの駆動によって前記ジェットポンプを作動させることにより推進するウォータービークルであって、
前記デッキの上面を略平面状に形成して、そのデッキの上面における中央側部分に台状の操舵席基部を設け、前記操舵席基部の上部に前記操舵ハンドルおよび跨座式シートを設けたことを特徴とするウォータービークル。
【請求項2】
前記エンジンが収容されるエンジンルーム内に外気を取り込むための吸気口を、前記操舵席基部の前面に設けた請求項1に記載のウォータービークル。
【請求項3】
前記吸気口と前記エンジンルームとの間に、空気と水とを分離して前記エンジンルーム内に水が浸入することを防止するための水分離構造を設けた請求項2に記載のウォータービークル。
【請求項4】
前記操舵席基部の前端部から前記艇体の前端部までの距離を、前記操舵席基部の後端部から前記艇体の後端部までの距離よりも長くした請求項1ないし3のうちのいずれか一つに記載のウォータービークル。
【請求項5】
前記操舵席基部の上部における前記操舵ハンドルの近傍に、乗員が前記デッキ上を移動する際に把持できるグリップ部を設けた請求項1ないし4のうちのいずれか一つに記載のウォータービークル。
【請求項6】
前記グリップ部を前記操舵ハンドルよりも低い位置に設けた請求項5に記載のウォータービークル。
【請求項7】
前記デッキの周縁部における所定部分に、管状部材または棒状部材で構成されるレール部を設けた請求項1ないし6のうちのいずれか一つに記載のウォータービークル。
【請求項8】
前記デッキの上面における前記操舵席基部の前側部分に、前記デッキの上面から下方に凹んだ凹部と、前記凹部の上面開口を覆う蓋体からなる収容部を設けた請求項1ないし7のうちのいずれか一つに記載のウォータービークル。
【請求項9】
前記収容部における凹部の下端部が、前記艇体の喫水ラインよりも下方に位置するようにするとともに、前記凹部の下端部に外部から前記凹部内に水を導入することのできる水導入路を連通させた請求項8に記載のウォータービークル。
【請求項1】
下部側に配置されるハルと上部側に配置されるデッキとで艇体が構成され、前記デッキの上面に操舵ハンドルと跨座式シートが設けられるとともに、前記艇体内にエンジンおよびジェットポンプが設けられ、前記エンジンの駆動によって前記ジェットポンプを作動させることにより推進するウォータービークルであって、
前記デッキの上面を略平面状に形成して、そのデッキの上面における中央側部分に台状の操舵席基部を設け、前記操舵席基部の上部に前記操舵ハンドルおよび跨座式シートを設けたことを特徴とするウォータービークル。
【請求項2】
前記エンジンが収容されるエンジンルーム内に外気を取り込むための吸気口を、前記操舵席基部の前面に設けた請求項1に記載のウォータービークル。
【請求項3】
前記吸気口と前記エンジンルームとの間に、空気と水とを分離して前記エンジンルーム内に水が浸入することを防止するための水分離構造を設けた請求項2に記載のウォータービークル。
【請求項4】
前記操舵席基部の前端部から前記艇体の前端部までの距離を、前記操舵席基部の後端部から前記艇体の後端部までの距離よりも長くした請求項1ないし3のうちのいずれか一つに記載のウォータービークル。
【請求項5】
前記操舵席基部の上部における前記操舵ハンドルの近傍に、乗員が前記デッキ上を移動する際に把持できるグリップ部を設けた請求項1ないし4のうちのいずれか一つに記載のウォータービークル。
【請求項6】
前記グリップ部を前記操舵ハンドルよりも低い位置に設けた請求項5に記載のウォータービークル。
【請求項7】
前記デッキの周縁部における所定部分に、管状部材または棒状部材で構成されるレール部を設けた請求項1ないし6のうちのいずれか一つに記載のウォータービークル。
【請求項8】
前記デッキの上面における前記操舵席基部の前側部分に、前記デッキの上面から下方に凹んだ凹部と、前記凹部の上面開口を覆う蓋体からなる収容部を設けた請求項1ないし7のうちのいずれか一つに記載のウォータービークル。
【請求項9】
前記収容部における凹部の下端部が、前記艇体の喫水ラインよりも下方に位置するようにするとともに、前記凹部の下端部に外部から前記凹部内に水を導入することのできる水導入路を連通させた請求項8に記載のウォータービークル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
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【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−120314(P2008−120314A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−308696(P2006−308696)
【出願日】平成18年11月15日(2006.11.15)
【出願人】(000176213)ヤマハマリン株式会社 (256)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月15日(2006.11.15)
【出願人】(000176213)ヤマハマリン株式会社 (256)
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