説明

ウレタン系レンズ

【構成】 式(I)および/または(II)で表される脂環族イソシアナート化合物と、ポリオール化合物、ポリチオール化合物及びヒドロキシ基を有するチオール化合物より選ばれた少なくとも一種の活性水素化合物を、加熱硬化させることを特徴とするウレタン系レンズ。


【効果】 本発明のウレタン系レンズは、高屈折率で低分散であり、耐熱性、耐候性に優れ、軽量で耐衝撃性に優れた特徴を有しており、眼鏡レンズ、カメラレンズ等の光学素子として好適である。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、良好な光学物性と耐熱性を有するウレタン系レンズに関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチックレンズは、無機レンズに比べ軽量で割れ難く、染色が可能なため近年、眼鏡レンズ、カメラレンズ等の光学素子に急速に普及してきている。これらの目的に現在広く用いられるプラスチックレンズとしては、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)(以下、D.A.C と称す)をラジカル重合させたものがある。このレンズは、耐衝撃性に優れていることと、軽量であること、染色性に優れていること、切削性および研磨性等の加工性が良好であるなどの種々の特徴を有している。しかしながら、このレンズは屈折率が無機レンズ(nD =1.52 )に比べnD = 1.50と小さく、ガラスレンズと同等の光学特性を得るためには、レンズの中心厚、コバ厚、および曲率を大きくする必要があり、全体的に肉厚になることが避けられない。このため、より屈折率の高いレンズ用樹脂が望まれている。
【0003】さらに、高屈折率を与えるレンズ用樹脂の1つとして、イソシアナート化合物とジエチレングリコールなどのヒドロキシ化合物との反応(特開昭 57-136601)、もしくはテトラブロモビスフェノールAなどのハロゲン原子を含有するヒドロキシ化合物との反応(特開昭 58-164615)やジフェニルスルフィド骨格を有するヒドロキシ化合物との反応(特開昭 60-194401)により得られるポリウレタン系樹脂が知られている。また、本出願人は、高屈折率レンズ用樹脂として、イソシアナート化合物と硫黄原子を含有するヒドロキシ化合物との反応(特開昭 60-217229)、さらには、ポリチオール化合物との反応(特開昭 60-199016、同 62-267316、同63-46213)より得られるポリウレタン系の樹脂等を提案し、それによるプラスチックレンズを先に提案した。
【0004】しかしながら、これらの公知の樹脂によるレンズは、D.A.C を用いたレンズよりも屈折率は向上するもののまだ不充分であったり、また屈折率を向上させるべく分子内に多数のハロゲン原子或いは、芳香環を有する化合物を用いているために、耐候性が悪い、あるいは比重が大きいといった欠点を有している。また、本発明者らが提案したプラスチックレンズにおいても、屈折率的にまだ不充分であったり、ガラスに比べ屈折率の割に分散が大きい、染色、コート等後加工での耐熱性が不足しているなどの問題があり、さらなる改良が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記の問題を解決し、より屈折率が高く、極めて低分散であり、耐熱性、耐候性に優れ、軽量で耐衝撃性に優れたウレタン系レンズを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】この様な状況に鑑み、本発明者らはさらに検討を加えた結果、式(I)で表される脂環族イソシアナート化合物で表される脂環族イソシアナート化合物とポリオール化合物、ポリチオール化合物及び水酸基を有するチオール化合物より選ばれた少なくとも一種の活性水素化合物を反応さることにより屈折率が高く、極めて低分散であり、耐熱性、耐候性に優れ、軽量で耐衝撃性に優れたウレタン系レンズを与えることを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は式(I)および/または式(II)(化2)で表される脂環族イソシアナート化合物で表される脂環族イソシアナート化合物とポリオール化合物、ポリチオール化合物及び水酸基を有するチオール化合物とを反応させて得られる高屈折率で低分散であり、耐熱性、耐候性に優れ、軽量で耐衝撃性に優れたウレタン系レンズに関するものである。
【0007】
【化2】


【0008】本発明において用いられる式(I)で表される脂環族イソシアナート化合物は、具体的には、 2,5−ビス(イソシアナートメチル)ビシクロ〔2,2,1 〕ヘプタン、 2,6−ビス(イソシアナートメチル)ビシクロ〔2,2,1 〕ヘプタンであり、式(II)で表される脂環族イソシアナート化合物は、具体的には、 3,8−ビス(イソシアナートメチル)トリシクロ〔5,2,1,02.6〕デカン、 3,9−ビス〔イソシアナートメチル〕トリシクロ〔5,2,1,02.6〕デカン、 4,8−ビス〔イソシアナートメチル〕トリシクロ〔5,2,1,02.6〕デカン、 4,9−ビス〔イソシアナートメチル〕トリシクロ〔5,2,1, 02.6〕デカンである。これらは単独で用いることも、また二種以上を混合して用いてもよい。
【0009】本発明において用いられるポリオール化合物は、2官能以上のポリオールであり、分子内に硫黄原子を含有しているものも含む。具体的には、2官能以上のポリオールとして、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ブタントリオール、 1,2−メチルグルコサイド、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ソルビトール、エリスリトール、スレイトール、リビトール、アラビニトール、キシリトール、アリトール、マニトール、ドルシトール、イディトール、グリコール、イノシトール、ヘキサントリオール、トリグリセロース、ジグリセロール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、シクロブタンジオール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘプタンジオール、シクロオクタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ヒドロキシプロピルシクロヘキサノール、トリシクロ〔5,2,1,02.6〕デカン−ジメタノール、ビシクロ〔 4,3,0〕−ノナンジオール、ジシクロヘキサンジオール、トリシクロ〔 5,3,1,1〕ドデカンジオール、ビシクロ〔4,3,0 〕ノナンジメタノール、トリシクロ〔5,3,1,1 〕ドデカン−ジエタノール、ヒドロキシプロピルトリシクロ〔 5,3,1,1〕ドデカノール、スピロ〔 3,4〕オクタンジオール、ブチルシクロヘキサンジオール、1,1 −ビシクロヘキシリデンジオール、シクロヘキサントリオール、
【0010】マルチトール、ラクチトール、ジヒドロキシナフタレン、トリヒドロキシナフタレン、テトラヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゼン、ベンゼントリオール、ビフェニルテトラオール、ピロガロール、(ヒドロキシナフチル)ピロガロール、トリヒドロキシフェナントレン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、キシリレングリコール、ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ビスフェノールA−ビス−(2−ヒドロキシエチルエーテル)、テトラブロムビスフェノールA、テトラブロムビスフェノールA−ビス−(2−ヒドロキシエチルエーテル)、ジブロモネオペンチルグリコール、エポキシ樹脂等のポリオールの他に、シュウ酸、グルタミン酸、アジピン酸、酢酸、プロピオン酸、シクロヘキサンカルボン酸、β−オキソシクロヘキサンプロピオン酸、ダイマー酸、フタル酸、イソフタル酸、サリチル酸、3−ブロモプロピオン酸、2−ブロモグリコール酸、ジカルボキシシクロヘキサン、ピロメリット酸、ブタンテトラカルボン酸、ブロモフタル酸などの有機多塩基酸と前記ポリオールとの縮合反応生成物、前記ポリオールとエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドなどアルキレンオキサイドとの付加反応生成物、アルキレンポリアミンとエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドなどアルキレンオキサイドとの付加反応生成物などが挙げられる。さらには、これらの塩素置換体、臭素置換体等のハロゲン置換体を使用してもよい。これらはそれぞれ単独で用いることも、また二種類以上を混合して用いてもよい。
【0011】また、硫黄原子を含有する2官能以上のポリオールとしては、例えば、ビス−〔4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル〕スルフィド、ビス−〔4−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕スルフィド、ビス−〔4−( 2,3−ジヒドロキシプロポキシ)フェニル〕スルフィド、ビス−〔4−(4−ヒドロキシシクロヘキシロキシ)スルフィド、ビス−〔2−メチル−4−(ヒドロキシエトキシ) −6−ブチルフェニル〕スルフィド、および、これらの化合物に水酸基当たり平均3分子以下のエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドが付加された化合物、ジ−(2−ヒドロキシエチル) スルフィド、 1,2−ビス−(2−ヒドロキシエチルメルカプト)エタン、ビス(2−ヒドロキシエチル)ジスルフィド、 1,4−ジチアン− 2,5−ジオール、ビス( 2,3−ジヒドロキシプロピル)スルフィド、テトラキス(4−ヒドロキシ−2−チアブチル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン(商品名ビスフェノールS)、テトラブロモビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールS、4,4'−チオビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、 1,3−ビス(2−ヒドロキシエチルチオエチル)−シクロヘキサン等が挙げられる。さらには、これらの塩素置換体、臭素置換体等のハロゲン置換体を使用してもよい。これらはそれぞれ単独で用いることも、また二種類以上を混合して用いてもよい。
【0012】また、本発明において用いられるポリチオール化合物は、2官能以上のポリチオールであり、メルカプト基以外にも少なくとも1つの硫黄原子を含有するものも含む。具体的には、2官能以上のポリチオールとしては、例えば、メタンジチオール、1,2−エタンジチオール、 1,1−プロパンジチオール、 1,2−プロパンジチオール、 1,3−プロパンジチオール、 2,2−プロパンジチオール、 1,6−ヘキサンジチオール、 1,2,3−プロパントリチオール、 1,1−シクロヘキサンジチオール、1,2−シクロヘキサンジチオール、 2,2−ジメチルプロパン− 1,3−ジチオール、 3,4−ジメトキシブタン− 1,2−ジチオール、2−メチルシクロヘキサン− 2,3−ジチオール、ビシクロ〔 2,2,1〕ペプタ− exo− cis− 2,3−ジチオール、1,1−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、チオリンゴ酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、 2,3−ジメルカプトコハク酸(2−メルカプトエチルエステル)、 2,3 −ジメルカプト−1−プロパノール(2−メルカプトアセテート)、 2,3−ジメルカプト−1−プロパノール(3−メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、 1,2−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、 2,3−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、 2,2−ビス(メルカプトメチル)− 1,3−プロパンジチオール、ビス(2−メルカプトエチル)エーテル、エチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート) 、トリメチロールプロパンビス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパンビス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)等の脂肪族ポリチオール、及びそれらの塩素置換体、臭素置換体等ハロゲン置換化合物、
【0013】1,2−ジメルカプトベンゼン、 1,3−ジメルカプトベンゼン、 1,4−ジメルカプトベンゼン、 1,2−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、 1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、 1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、 1,2−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、 1,3−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、 1,4−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、 1,2−ビス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、 1,3−ビス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、 1,4−ビス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、 1,2−ビス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、 1,3−ビス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、 1,4−ビス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、 1,2,3−トリメルカプトベンゼン、 1,2,4−トリメルカプトベンゼン、 1,3,5−トリメルカプトベンゼン、 1,2,3−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、 1,2,4−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、 1,3,5−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、 1,2,3−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、 1,2,4−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、 1,3,5−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、 1,2,3−トリス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、 1,2,4−トリス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、 1,3,5−トリス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、 1,2,3−トリス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、 1,2,4−トリス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、 1,3,5−トリス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、
【0014】1,2,3,4−テトラメルカプトベンゼン、 1,2,3,5−テトラメルカプトベンゼン、1,2,4,5−テトラメルカプトベンゼン、 1,2,3,4−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、 1,2,3,5−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、 1,2,4,5−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、 1,2,3,4−テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、 1,2,3,5−テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、 1,2,4,5−テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、 1,2,3,4−テトラキス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3,5 −テトラキス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、 1,2,4,5−テトラキス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、 1,2,3,4−テトラキス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、 1,2,3,5−テトラキス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、 1,2,4,5−テトラキス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、2,2'−ジメルカプトビフェニル、4,4'−ジメルカプトビフェニル、4,4'−ジメルカプトビベンジル、 2,5−トルエンジチオール、 3,4−トルエンジチオール、 1,4−ナフタレンジチオール、 1,5−ナフタレンジチオール、 2,6−ナフタレンジチオール、 2,7−ナフタレンジチオール、 2,4−ジメチルベンゼン− 1,3−ジチオール、 4,5−ジメチルベンゼン− 1,3−ジチオール、9,10−アントラセンジメタンチオール、 1,3−ジ(p−メトキシフェニル)プロパン− 2,2−ジチオール、 1,3−ジフェニルプロパン− 2,2−ジチオール、フェニルメタン− 1,1−ジチオール、 2,4−ジ(p−メルカプトフェニル)ペンタン等の芳香族ポリチオール、
【0015】また、 2,5−ジクロロベンゼン− 1,3−ジチオール、 1,3−ジ(p−クロロフェニル)プロパン− 2,2−ジチオール、 3,4,5−トリブロム− 1,2−ジメルカプトベンゼン、 2,3,4,6−テトラクロル− 1,5−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン等の塩素置換体、臭素置換体等のハロゲン置換芳香族ポリチオール、また、2−メチルアミノ− 4,6−ジチオール− sym−トリアジン、2−エチルアミノ− 4,6−ジチオール− sym−トリアジン、2−アミノ− 4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−モルホリノ− 4,6−ジチオール− sym−トリアジン、2−シクロヘキシルアミノ− 4,6−ジチオール− sym−トリアジン、2−メトキシ− 4,6−ジチオール− sym−トリアジン、2−フェノキシ− 4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−チオベンゼンオキシ− 4,6−ジチオール− sym−トリアジン、2−チオブチルオキシ− 4,6−ジチオール− sym−トリアジン等の複素環を含有したポリチオール、及びそれらの塩素置換体、臭素置換体等ハロゲン置換化合物が挙げられる。これらは、それぞれ単独で用いることも、また、二種類以上を混合して用いてもよい。
【0016】メルカプト基以外にも少なくとも1つの硫黄原子を含有する2官能以上のポリチオールとしては、例えば、 1,2−ビス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、 1,3−ビス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、 1,4−ビス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、 1,2−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、 1,3−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、 1,4−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、 1,2,3−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、 1,2,4−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、 1,3,5−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、 1,2,3−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、 1,2,4−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、 1,3,5−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、 1,2,3,4−テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、 1,2,3,5−テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、 1,2,4,5−テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、 1,2,3,4−テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、 1,2,3,5−テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、 1,2,4,5−テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン等、及びこれらの核アルキル化物等の芳香族ポリチオール、
【0017】ビス(メルカプトメチル)スルフィド、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、ビス(メルカプトプロピル)スルフィド、ビス(メルカプトメチルチオ)メタン、ビス(2−メルカプトエチルチオ)メタン、ビス(3−メルカプトプロピルチオ)メタン、 1,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エタン、 1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)エタン、 1,2−ビス(3−メルカプトプロピル)エタン、1,3−ビス(メルカプトメチルチオ)プロパン、 1,3−ビス(2−メルカプトエチルチオ)プロパン、 1,3−ビス(3−メルカプトプロピルチオ)プロパン、 1,2,3−トリス(メルカプトメチルチオ)プロパン、 1,2,3−トリス(2−メルカプトエチルチオ)プロパン、 1,2,3−トリス(3−メルカプトプロピルチオ)プロパン、テトラキス(メルカプトメチルチオメチル)メタン、テトラキス(2−メルカプトエチルチオメチル)メタン、テトラキス(3−メルカプトプロピルチオメチル)メタン、ビス( 2,3−ジメルカプトプロピル)スルフィド、 2,5−ジメルカプト− 1,4−ジチアン、ビス(メルカプトメチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトエチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトプロピル)ジスルフィド等、及びこれらのチオグリコール酸及びメルカプトプロピオン酸のエステル、
【0018】ヒドロキシメチルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、2−メルカプトエチルエーテルビス(2−メルカプトアセテート)、2−メルカプトエチルエーテルビス(3−メルカプトプロピオネート)、 1,4−ジチアン− 2,5−ジオールビス(2−メルカプトアセテート)、 1,4−ジチアン− 2,5−ジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、
【0019】チオジグリコール酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、 4,4−チオジブチル酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、ジチオジグリコール酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、 4,4−ジチオジブチル酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、チオジグリコール酸ビス( 2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオグリコール酸ビス( 2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス( 2,3−ジメルカプトプロピルエステル)等の脂肪族ポリチオール、 3,4−チオフェンジチオール、ビスムチオール等の複素環化合物等が挙げられる。さらには、これらの塩素置換体、臭素置換体等のハロゲン置換体を使用してもよい。これらは、それぞれ単独で用いることも、また二種類以上を混合して用いてもよい。
【0020】また、本発明に用いられるヒドロキシ基を有するチオール化合物は、メルカプト基以外にみ少なくとも1つの硫黄原子を含有するものも含む。具体的には、例えば、2−メルカプトエタノール、 3−メルカプト− 1,2−プロパンジオール、グルセリンジ(メルカプトアセテート)、1−ヒドロキシ−4−メルカプトシクロヘキサン、 2,4−ジメルカプトフェノール、2−メルカプトハイドロキノン、4−メルカプトフェノール、 3,4−ジメルカプト−2−プロパノール、 1,3−ジメルカプト−2−プロパノール、 2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、 1,2−ジメルカプト− 1,3−ブタンジオール、ペンタエリスリトールトリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールモノ(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールペンタキス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチル−トリス(メルカプトエチルチオメチル)メタン、1−ヒドロキシエチルチオ−3−メルカプトエチルチオベンゼン、4−ヒドロキシ−4'−メルカプトジフェニルスルホン、2−(2−メルカプトエチルチオ)エタノール、ジヒドロキシエチルスルフィドモノ(3−メルカプトプロピオネート)、ジメルカプトエタンモノ(サルチレート)、ヒドロキシエチルチオメチルートリス (メルカプトエチルチオメチル)メタン等が挙げられる。さらには、これらの塩素置換体、臭素置換体のハロゲン置換体を使用してもよい。これらは、それぞれ単独で用いることも、また二種類以上を混合して用いてもよい。
【0021】これら活性水素化合物と、式(I)および/または式(II)で表される脂環族イソシアナート化合物の使用割合は、 NCO/(SH+OH)の官能基モル比が、通常0.5〜 3.0の範囲内、好ましくは 0.5〜 1.5の範囲内である。本発明のプラスチックレンズは、ウレタン樹脂及び/又はチオカルバミン酸S−アルキルエステル樹脂を素材とするものであり、イソシアナート基とヒドロキシ基及び/又はメルカプト基によるウレタン結合及び/又はチオカルバミン酸S−アルキルエステル結合を主体とするが、目的によっては、それ以外にアロハネート結合、ウレヤ結合、ビウレット結合等を含有しても、勿論差し支えない。例えば、ウレタン結合やチオカルバミン酸S−アルキルエステル結合に、さらにイソシアナート基を反応させて架橋密度を増大させることは好ましい結果を与える場合が多い。この場合には、反応温度を少なくとも 100℃以上に高くし、イソシアナート成分を多く使用する。あるいは、また、アミン等を一部併用し、ウレヤ結合、ビウレット結合を利用することもできる。
【0022】このように、イソシアナート化合物と反応するポリオール化合物、ポリチオール化合物、ヒドロキシ基を有するチオール化合物以外のものを使用する場合には、特に着色の点に留意する必要がある。また、目的に応じて、公知の成形法におけると同様に、鎖延長剤、架橋剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、油溶染料、充填剤などの種々の物質を添加してもよい。所望の反応速度に調整するために、チオカルバミン酸S−アルキルエステル或いはポリウレタンの製造において用いられる公知の反応触媒を適宜に添加することもできる。
【0023】本発明のレンズは通常、注型重合により得られる。具体的には、式(I)及び/又は式(II)で表される脂環族イソシアナート化合物と、ポリオール化合物、ポリチオール化合物及びヒドロキシ基を有するチオール化合物から選ばれた少なくとも一種以上の活性水素化合物を混合する。この混合液を必要に応じ適当な方法で脱泡を行なったのち、モールド中に注入して、通常、低温から高温へ徐々に加熱し重合させる。また、本発明のウレタン系レンズは、必要に応じ、反射防止、高硬度付与、耐摩耗性向上、耐薬品性向上、防曇性付与、あるいはファッション性付与等の改良を行うため、表面研磨、帯電防止処理、ハードコート処理、無反射コート処理、染色処理、調光処理等の物理的あるいは化学的処理を施すことができる。
【0024】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明する。尚、得られたレンズの性能試験のうち、屈折率、アッベ数、耐候性、耐熱性、外観は以下の試験法により評価した。
・屈折率、アッベ数:プルフリッヒ屈折計を用い20℃で測定した。
・耐候性:サンシャインカーボンアークランプを装備したウェザーオメーターにレンズ用樹脂をセットし、 200時間経たところでレンズを取り出し試験前のレンズ用樹脂と色相を比較した。評価基準は変化なし(○)、わずかに黄変(△)、黄変(×)とした。
・耐熱性:サーモメカニカルアナライザー〔パーキンエルマー社(米国)〕を用いて試験片に5g加重し、 2.5℃/分で加熱して熱変形開始温度を測定した。
・外 観:目視により観察した。
【0025】実施例12,5−ビス(イソシアナートメチル)ビシクロ〔 2,2,1〕ヘプタンと 2,6−ビス(イソシアナートメチル)ビシクロ〔 2,2,1〕ヘプタンの(1:1)混合物40gと、テトラキス(2−メルカプトエチルチオメチル)メタン42.8gを混合し、ジブチルチンジラウレート0.08gを加え均一とした後、ガラスモールドとガスケットよりなるモールド型に注入し、加熱硬化させた。こうして得られたレンズは、無色透明で耐候性に優れ、屈折率nD = 1.62、アッベ数νD = 42、熱変形開始温度は 120℃であった。
【0026】実施例23,8−ビス(イソシアナートメチル)トリシクロ〔5,2,1,02.6〕デカン、 3,9−ビス(イソシアナートメチル)トリシクロ〔5,2,1,02.6〕デカン、 4,8−ビス(イソシアナートメチル)トリシクロ〔5,2,1,02.6〕デカン、 4,9−ビス(イソシアナートメチル)トリシクロ〔5,2,1,02.6〕デカンの(1:1:1:1)混合物47.8gと、テトラキス (2−メルカプトエチルチオメチル) メタン42.8gを混合し、ジブチルチンジラウレート0.09gを加え均一とした後、ガラスモールドとガスケットよりなるモールド型に注入し、加熱硬化させた。こうして得られたレンズは、無色透明で耐候性に優れ、屈折率nD = 1.62、アッベ数νD = 41、熱変形開始温度は 125℃であった。
【0027】実施例3〜8、比較例1〜2実施例1、2と同様にして、第1表(表1)の組成でレンズを作製し、評価結果を第1表に示した。
【0028】
【表1】


PEMP:ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)
THEM:テトラキス(2−ヒドロキシエチルチオメチル)メタンGBMA:グリセリン 1,3−ビス(2−メルカプトアセテート)
【0029】
【発明の効果】本発明のウレタン系レンズは、高屈折率で低分散であり、耐熱性、耐候性に優れ、軽量で耐衝撃性に優れた特徴を有しており、眼鏡レンズ、カメラレンズ等の光学素子として好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 式(I)および/または(II)(化1)で表される脂環族イソシアナート化合物と、ポリオール化合物、ポリチオール化合物及びヒドロキシ基を有するチオール化合物より選ばれた少なくとも一種の活性水素化合物を、混合し、加熱硬化させて得られるウレタン系レンズ。
【化1】