説明

エアアシスト自転車

【課題】ペダルを踏む踏力だけでなく、ペダルクランクの回転位置に応じて、必要な時にだけエアを供給してアシストを行うエア消費量の少ないエアアシスト自転車を提供する。
【解決手段】ペダル9L、9Rを踏む踏力に応じてバルブ24を開閉させるレギュレータ30と、ペダルクランク7の回転位置に応じてバルブを開閉させるディストリビュータ70とを備えることによって、ペダルを踏む踏力だけでなく、ペダルクランク7の回転位置に応じて、必要な時にだけエアを供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮空気により駆動をアシストするエアアシスト自転車に関し、特には、必要な時にだけエアを供給するエア消費量の少ないエアアシスト自転車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、踏力に応じたエアを供給するエアアシスト自転車が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、チェーン10の張りを一定に保つテンショナ18を駆動力センサとして用いることによって、テンショナ18の変位量に応じてエアバルブ17を開き、ペダル9へ加えられる踏力に応じたアシスト力を発生させるエアアシスト自転車が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-126002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のエアアシスト自転車は、踏力に応じたエアを供給するものである。
しかし、この特許文献1に記載のエアアシスト自転車では、チェーン10の張りを一定に保つテンショナ18の変位量に応じて、エアモータ14にエアを供給するものである。従って、ペダルクランク7の回転位置とは無関係に、何かの外乱、例えば、障害物に乗り上げたときなどのチェーン10の揺れにも反応して、エアを供給するなどの場合があり、運転者に不快感を与えるのみならず、エアの浪費につながる場合がある。
【0005】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、踏力だけでなく、ペダルクランクの回転位置に応じて、必要な時にだけエアを供給してアシストを行うエア消費量の少ないエアアシスト自転車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題を解決するため、請求項1に係る発明の構成上の特徴は、車体フレームと、前記車体フレームに回転可能に支持された駆動輪と、前記車体フレームに支持され前記駆動輪の回転をアシストするアクチュエータと、前記車体フレームに支持され圧縮空気を貯蔵するタンクと、前記アクチュエータと前記タンクの間に設けられ圧縮空気を送る管路と、
前記車体フレームに回転可能に支持され踏力により回転するペダルギヤと、前記ペダルギヤに係合し前記駆動輪に駆動力を伝達する伝達手段と、前記ペダルギヤに支持され前記ペダルギヤに加わる踏力に応じて作動する第1バルブと、前記ペダルギヤに支持され前記ペダルギヤの所定の回転位置に応じて作動する第2バルブとを備え、前記第1バルブ及び前記第2バルブの両方が作動する場合にのみ、前記タンクから圧縮空気を前記アクチュエータに送ることである。
【0007】
前記の課題を解決するため、請求項2に係る発明の特徴は、前記第1バルブは、前記ペダルギヤの前記車体フレームに対する上下方向の相対移動量に応じて作動することである。
【0008】
前記の課題を解決するため、請求項3に係る発明の構成上の特徴は、前記第1バルブは、前記ペダルギヤの前記車体フレームに対する回転方向の相対移動量に応じて作動することである。
【0009】
前記の課題を解決するため、請求項4に係る発明の構成上の特徴は、前記第2バルブは、前記ペダルギヤの前記車体フレームに対する回転方向の相対移動量に応じて作動することである。
【0010】
前記の課題を解決するため、請求項5に係る発明の構成上の特徴は、前記第2バルブは、前記ペダルギヤに固定されたカム部材と、前記車体フレームに固定されたスイッチとを備え、前記ペダルギヤの前記車体フレームに対する回転方向の相対移動量に応じて、前記カム部材により前記スイッチがオンオフすることである。
【0011】
前記の課題を解決するため、請求項6に係る発明の構成上の特徴は、前記ペダルギヤは、前記ペダルギヤに踏力による回転力を伝えるペダルを備え、前記第2バルブは、前記ペダルの少なくとも水平位置に相当する前記ペダルギヤの回転位置において作動することである。
【0012】
前記の課題を解決するため、請求項7に係る発明の構成上の特徴は、前記アクチュエータは、シリンダと、前記シリンダ内で摺動可能に設置されたピストンと、前記ピストンにより回転駆動されるアシストギヤを有することである。
【0013】
前記の課題を解決するため、請求項8に係る発明の構成上の特徴は、前記車体フレームに支持されたエアポンプと、前記車体フレームに支持されたバッテリと、前記車体フレームに支持された前記タンクに貯蔵された圧縮空気の空気圧に応じて作動する第2スイッチと、を備え、前記第2スイッチの作動により、前記エアポンプを前記バッテリにより駆動して、前記タンクに空気を供給することである。
【発明の効果】
【0014】
前記のように構成した請求項1乃至請求項8に係る発明によれば、ペダルを踏む踏力だけでなく、ペダルクランクの回転位置に応じて、必要な時にだけエアを供給してアシストを行うエア消費量の少ないエアアシスト自転車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明のエアアシスト自転車の全体構成を示す構成図である。(実施例1)
【図2】図2は、本発明の概要を示す模式図である。
【図3】図3は、図1に示すディストリビュータの詳細図である。
【図4】図4は、図3に示すディストリビュータの更なる詳細図である。
【図5】図5は、本発明のディストリビュータの作動範囲を示す説明図である。
【図6】図6は、本発明のエアアシスト自転車の別の実施例を示す構成図である。(実施例2)
【図7】図7は、図6に示すディストリビュータ及びレギュレータの詳細図である。
【図8】図8は、図7に示すレギュレータの更なる詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明の実施の形態を、以下図面を参照して説明する。
(実施例1)
図1は、本発明のエアアシスト自転車の全体構成を示す構成図である(実施例1)。車体フレーム1の前部には、フロントフォーク2を介して前輪3が支持され、ハンドル4により操向自在となっている。車体フレーム1の後部には、後輪6が支持されている。車体フレーム1の中央下部には、ペダル9及びペダルクランク7が支持され、同軸でペダルギヤ8が設けられている。ペダルギヤ8は、ペダル9へ加えられる踏力により回転駆動され、チェーン10を介して、後輪ギヤ12に駆動力が伝えられる。ペダルクランク7、ペダルギヤ8、チェーン10及び後輪ギヤ12は、主伝動機構13を構成する。
【0017】
車体フレーム1の中央下部には、詳細は後述するレギュレータ30及びディストリビュータ70が設けられ、また、車体フレーム1の中央部には、アシストギヤ50、ピストン60及びシリンダ61が設けられている。車体フレーム1の中央上部には、圧縮空気を貯蔵するエアタンク40及びエアを所定圧まで減圧する減圧レギュレータ80が取り付けられている。ピストン60により回転駆動されるアシストギヤ50の駆動力は、チェーン51を介してペダルギヤ8に伝えられる。このレギュレータ30、ディストリビュータ70、アシストギヤ50、ピストン60、シリンダ61、チェーン51、エアタンク40及び減圧レギュレータ80は、補助伝動機構16を構成する。なお、シリンダ61は、図示しない内部のバネによって、ピストン60を元に戻す機構を内蔵している。
【0018】
図2は、本発明の概要を示す模式図であり、特に、補助伝動機構16が踏力に応じたエアアシスト力を発生するしくみを説明する図である。
車体フレーム1の中央下部には、レギュレータ30のレギュレータボディ31が固定され、レギュレータボディ31には、エアタンク40に連通する入口ポート32、弁座34、ディストリビュータ70を介してシリンダ61に連通する出口ポート33が設けられている。また、レギュレータボディ31には、ペダルギヤ8のペダル軸20のサポート軸受21を支持するロッド22が、上下方向に移動可能にスプリング23により上方に付勢された状態で支持されている。
ロッド22の下端部に設けられた逆テーパ形状のポペット弁24と、レギュレータボディ31の弁座34とで、バルブ部が形成されている。
【0019】
従って、ペダル9(右ペダル9R及び左ペダル9L)を踏む踏力に応じて、ロッド22が下降して、ポペット弁24と弁座34とで形成されるバルブ部が開き、その開度に応じたエアが、エアタンク40から入口ポート32、弁座34、出口ポート33を介して、シリンダ61に供給される。エアを供給されてピストン60は左進し、クランク機構52を介してアシストギヤ50を回転させ、その駆動力は、チェーン51を介して、ペダルギヤ8に伝動される。なお、出口ポート33とシリンダ61の間の管路41には、ディストリビュータ70が設けられているが、その詳細は後述する。
【0020】
なお、ペダルギヤ8は、図示しない同軸に配置された2枚のギヤを有し、その一方のギヤはチェーン10と噛合して後輪ギヤ12へ駆動力を伝え、他方のギヤはアシストギヤ50のチェーン51と噛合してピストン60のアシスト力を受ける。
【0021】
図3は、図1に示すディストリビュータ70の詳細図である。図2では、このディストリビュータ70は、模式的にレギュレータ30の出口ポート33とシリンダ61の間の管路41上に描画しているが、ペダルギヤ8と同軸に配置されている。
即ち、このディストリビュータ70は、ペダル軸20のサポート軸受21に固定された固定プレート71と、ペダル軸20に固定されペダルギヤ8と連動して回転する回転プレート72から構成される。固定プレート71には、入口ポート73、出口ポート74及び排気ポート91が設けられている。入口ポート73はレギュレータ30の出口ポート33に接続され、出口ポート74はシリンダ61に接続され、排気ポート91は大気に開放されている。
【0022】
図4は、図3に示すディストリビュータ70の更なる詳細図であり、図4(a)は、図4(b)のD-D断面であり、右ペダル9Rが最上部にある状態を示している。図4(b)は、図4(a)のC-C断面であり、図4(C)は、右ペダル9Rが時計方向に約60°回転した状態を示している。固定プレート71には、入口ポート73、出口ポート74及び排気ポート91が形成されている。固定プレート71と対向する回転プレート72の面には、凹部75及び「エの字」状の溝77が形成されている。また、この固定プレート71と対向する回転プレート72の間には、エアの漏れを無くす為に液体シール(グリース)が塗布されている。
【0023】
図4(a)の状態、即ち、右ペダル9Rが最上部にある状態では、「エの字」状の溝77により、出口ポート74が排気ポート91に連通する。また、ペダル9の踏み込みにより、ペダルギヤ8が回転すると、回転プレート72が連動して回転し、固定プレート71との間で相対回転する。その結果、図4(C)の状態、即ち、右ペダル9Rが時計方向に約60°回転した状態では、凹部75により、入口ポート73が出口ポート74に連通する。従って、この位置では、レギュレータ30からのエアがシリンダ61に流れる。なお、図4(a)と図4(C)の間の中間の状態では、凹部75と溝77の間の平坦な面が、入口ポート73及び出口ポート74に一致するため、両者の間の連通は遮断される。
【0024】
図5は、本発明のディストリビュータ70の作動範囲を示す説明図である。図2の右ペダル9Rを例に説明している。右ペダル9Rが上、左ペダル9Lが下にくる状態を0度とし、時計回りに角度を進めている。図2の右ペダル9Rの角度は約100°となる。
図5で、約60°から約100°が、ディストリビュータ70の作動範囲である。この範囲は、自転車が駆動力を最も必要とするペダル9を踏み込む範囲であり、この範囲で、ディストリビュータ70のバルブが開き、エアタンク40からのエアをシリンダ61方向に流すように作動する。この範囲以外では、ディストリビュータ70のバルブは作動せず、従って、エアタンク40のエアは消費されない。
なお、左ペダル9Lが同様の位置に来たときも、ディストリビュータ70は作動するため、右ペダル9Rの位置で示す約240度から約280度でも、ディストリビュータ70は作動する。
【0025】
次に、図2を中心にして本発明の動作を説明する。ペダル9を踏む踏力が小さい場合、レギュレータ30は作動しない。即ち、スプリング23による上方向の力があるため、ロッド22は下がらず、ポペット弁24と弁座34から構成されるバルブは作動しない。この場合には、自転車は、ペダル9を踏む踏力だけがペダルギヤ8に作用し、その駆動力は、チェーン10を介して後輪6に伝達されて自転車は前進する。
【0026】
坂道などで、ペダル9を踏む踏力が大きい場合、レギュレータ30が作動する。即ち、スプリング23による上方向の力に抗して、ロッド22が下がり、ポペット弁24と弁座34から構成されるバルブが作動し、エアタンク40からのエアをシリンダ61方向に流す。この場合には、自転車は、ペダル9を踏む踏力に加えて、シリンダ61及びピストン60により生じたアシスト力がペダルギヤ8に作用し、その駆動力は、チェーン10を介して後輪6に伝達される。
【0027】
一方、ディストリビュータ70は、ペダル9の所定の回転位置、即ち、図5に示す約60度から約100度及び約240度から約280度で作動する。
また、レギュレータ30とディストリビュータ70は、管路41内で直列に接続されているため、レギュレータ30及びディストリビュータ70の両方のバルブが作動した場合にだけ、エアタンク40からのエアをシリンダ61に導いて、シリンダ61のピストン60を前進させる方向に作動する。一方、レギュレータ30又はディストリビュータ70のいずれかのバルブが閉じている場合には、エアタンク40からのエアをシリンダ61に導くことはない。
【0028】
このディストリビュータ70は、前記の約60度から約100度及び約240度から約280度の作動範囲以外の範囲で、特に、図4(a)で示す排気ポート91が回転プレート72に形成された溝77と係合する位置では、排気ポート91を通じて、シリンダ61内を大気に開放するように働く。従って、この範囲では、シリンダ61に内蔵の図示しないバネによって、ピストン60を元に戻す際の内圧は大気に逃がされ、ペダルギヤ8及びペダル9側になんらの負荷も及ぼさない。
【0029】
このように、レギュレータ30及びディストリビュータ70の両方のバルブが作動した場合にだけ、即ち、ペダル9を踏む踏力が所定値以上で、且つ、ペダル9が所定の回転角度範囲にある場合にのみアシストが働き、自転車には、ペダル9を踏む踏力に加え、シリンダ61のクランク機構52によって生じた回転力がペダルギヤ8に加えられ、その駆動力は、チェーン10を介して後輪6に伝達されて自転車は前進する。従って、ペダルクランクの回転位置に応じて、必要な時にだけエアを供給してアシストを行うため、エア消費量を抑えることができる。
【0030】
(実施例2)
図6は、本発明のエアアシスト自転車の別の実施例(実施例2)を示す構成図であり、主に、エアタンク40のエアを補充する構成と、ディストリビュータ70とレギュレータ30の別の態様を示す図である。
この実施例2では、実施例1に対して、車体フレーム1に固定されたエアポンプ83、バッテリ81、メカリミットスイッチ82及び方向制御弁62が追加されている。メカリミットスイッチ82は、エアタンク40内のエア圧を、電気を使わずに検出するもので、エアタンク40内のエア圧が所定値以下になった場合に作動して、エアポンプ80をバッテリ81により作動させて、エアタンク40にエアを補充する。
【0031】
図7は、図6に示すディストリビュータ70及びレギュレータ30の詳細図である。この実施例2のディストリビュータ70は、カムリング78、バルブスイッチ79から構成され、管路41に設けられた方向制御弁62に接続されている。
【0032】
カムリング78は、ペダルギヤ8に固定され、ペダルギヤ8とともに回転する円盤状の部材であり、外周面には楕円形状のカムが形成されている。バルブスイッチ79は、ペダル軸20のサポート軸受21を介して、車体フレーム1側に固定され、カムリング78との所定の相対回転位置で、カムリング78の外周面のカムによりそのスイッチの入切が行われる。
【0033】
従って、ペダル9の踏み込みにより、ペダルギヤ8が回転すると、カムリング78が連動して回転し、所定の回転範囲で、バルブスイッチ79を作動させる。
一方、図6に示すように、管路41内でレギュレータ30とシリンダ61の間に設けられた方向制御弁62は、バルブスイッチ79により作動され、バルブスイッチ79がONの場合には、エア方向A、即ち、レギュレータ30からのエアをシリンダ61に流す方向に作動し、バルブスイッチ79がOFFの場合には、エア方向B、即ち、シリンダ61内のエアを大気に開放する方向に作動する。このエア方向Bでは、エアタンク40からのエアは遮断され、シリンダ61に導くことはない。
【0034】
この実施例2のレギュレータ30は、外筒35、内筒36、ゴム37等から構成されている。外筒35は、ペダルギヤ8に同軸で固定され、その内側に挿嵌された内筒36は、ペダル軸20に同軸で固定されている。
【0035】
図8は、図7に示すレギュレータ30の更なる詳細図である。図8(a)、(b)は、外筒35と内筒36の間が無負荷又は弱い負荷の状態を示し、図8(c)、(d)は、高負荷の状態を示している。
レギュレータ30は、バルブ部38及びセレーションゴム嵌合部39を有している。
セレーションゴム嵌合部39では、外筒35は、その内面に内径セレーション部を形成し、内筒36は、その外面に外径セレーション部を形成し、その内径セレーション部と外径セレーション部の間には、ゴム37が挿嵌され、ペダル9を踏む踏力をペダルギヤ8に伝えている。
【0036】
バルブ部38では、外筒35の内面と、内筒36の外面で、バルブ部が形成され、両者の相対回転により、エアタンク40から入口ポート32、出口ポート33を介して、エアをシリンダ61に供給する。
【0037】
次に、図8を中心にして本発明の実施例2の動作を説明する。ペダル9を踏む踏力が小さい場合、レギュレータ30は作動しない。即ち、ゴム37による弾力があるため、外筒35と内筒36の相対回転は生じず、バルブ部38は作動しない。この場合には、自転車は、ペダル9を踏む踏力だけがペダルギヤ8に作用し、その駆動力は、チェーン10を介して後輪6に伝達されて自転車は前進する。
【0038】
坂道などで、ペダル9を踏む踏力が大きい場合、バルブ部38が作動する。即ち、ペダル9を踏む踏力に応じて、図8(c)に示すように、ゴム37が変形して、外筒35と内筒36の相対回転が生じ、バルブ部38が作動し、エアタンク40からのエアをシリンダ61方向に流す。この場合には、自転車は、ペダル9を踏む踏力に加えて、シリンダ61及びピストン60により生じたアシスト力がペダルギヤ8に作用し、その駆動力は、チェーン10を介して後輪6に伝達される。
【0039】
一方、ディストリビュータ70は、ペダル9の所定の回転位置で作動する。この実施例2でも、図1から図4に示す実施例1と同様に、図5に示す約60度から約100度及び約240度から約280度で、ディストリビュータ70のバルブスイッチ79が作動する。このバルブスイッチ79により、方向制御弁62が作動すると、管路41の連通は、エア方向Aで示す方向になり、エアタンク40からのエアをシリンダ61に導いて、シリンダ61のピストン60を前進させる方向に作動する。一方、ディストリビュータ70のバルブスイッチ79がOFFの場合には、方向制御弁62により、管路41の連通は、エア方向Bで示す方向にするようになり、エアタンク40からのエアをシリンダ61に導くことはない。
【0040】
このように、レギュレータ30及びディストリビュータ70の両方が作動した場合にだけ、即ち、ペダル9を踏む踏力が所定値以上で、且つ、ペダル9が所定の回転角度範囲にある場合にのみアシストが働き、自転車には、ペダル9を踏む踏力に加え、シリンダ61のクランク機構52によって生じた回転力がペダルギヤ8に加えられ、その駆動力は、チェーン10を介して後輪6に伝達されて自転車は前進する。
【0041】
以上の構成により、本発明では、何かの外乱、例えば、障害物に乗り上げたときなどのチェーンの揺れにも反応して、エアを供給してしまうことは、所定回転角度範囲以外では無くなる。
その結果、本発明は、踏力だけでなく、ペダル9の回転位置に応じて、必要な時にだけエアを供給してアシストを行うエア消費量の少ないエアアシスト自転車を提供することができる。
【0042】
<第1実施形態の変形態様>
次に、第1実施例の変形態様について説明する。本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、例えば、図2に示すペダルギヤ8とアシストギヤ50の伝動はチェーン51を用いて行ったが、両者を歯車として、歯車のかみ合いにより伝動するようにすることも可能である。また、チェーン51やチェーン10の代わりにベルトを使用することも可能である。
【符号の説明】
【0043】
1:車体フレーム
2:フロントフォーク
3:前輪
4:ハンドル
6:後輪
7:ペダルクランク
8:ペダルギヤ
9:ペダル
9L:左ペダル
9R:右ペダル
10:チェーン
12:後輪ギヤ
13:主伝動機構
16:補助伝動機構
20:ペダル軸
21:サポート軸受
22:ロッド
23:スプリング
24:ポペット弁
30:レギュレータ
31:レギュレータボディ
32:入口ポート
33:出口ポート
34:弁座
35:外筒
36:内筒
37:ゴム
38:バルブ部
39:セレーションゴム嵌合部
40:エアタンク
41:管路
50:アシストギヤ
51:チェーン
52:クランク機構
60:ピストン
61:シリンダ
62:方向制御弁
70:ディストリビュータ
71:固定プレート
72:回転プレート
73:入口ポート
74:出口ポート
75:凹部
77:溝
78:カムリング
79:バルブスイッチ
80:減圧レギュレータ
81:バッテリ
82:メカリミットスイッチ
83:エアポンプ
91:排気ポート
A:エア方向
B: エア方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームと、
前記車体フレームに回転可能に支持された駆動輪と、
前記車体フレームに支持され前記駆動輪の回転をアシストするアクチュエータと、
前記車体フレームに支持され圧縮空気を貯蔵するタンクと、
前記アクチュエータと前記タンクの間に設けられ圧縮空気を送る管路と、
前記車体フレームに回転可能に支持され踏力により回転するペダルギヤと、
前記ペダルギヤに係合し前記駆動輪に駆動力を伝達する伝達手段と、
前記ペダルギヤに支持され前記ペダルギヤに加わる踏力に応じて作動する第1バルブと、
前記ペダルギヤに支持され前記ペダルギヤの所定の回転位置に応じて作動する第2バルブと、
を備え、
前記第1バルブ及び前記第2バルブの両方が作動する場合にのみ、前記タンクから圧縮空気を前記アクチュエータに送ることを特徴とするエアアシスト自転車。
【請求項2】
前記第1バルブは、前記ペダルギヤの前記車体フレームに対する上下方向の相対移動量に応じて作動することを特徴とする請求項1に記載のエアアシスト自転車。
【請求項3】
前記第1バルブは、前記ペダルギヤの前記車体フレームに対する回転方向の相対移動量に応じて作動することを特徴とする請求項1に記載のエアアシスト自転車。
【請求項4】
前記第2バルブは、前記ペダルギヤの前記車体フレームに対する回転方向の相対移動量に応じて作動することを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載のエアアシスト自転車。
【請求項5】
前記第2バルブは、前記ペダルギヤに固定されたカム部材と、前記車体フレームに固定されたスイッチとを備え、前記ペダルギヤの前記車体フレームに対する回転方向の相対移動量に応じて、前記カム部材により前記スイッチがオンオフすることを特徴とする請求項4に記載のエアアシスト自転車。
【請求項6】
前記ペダルギヤは、前記ペダルギヤに踏力による回転力を伝えるペダルを備え、
前記第2バルブは、前記ペダルの少なくとも水平位置に相当する前記ペダルギヤの回転位置において作動することを特徴とする請求項5に記載のエアアシスト自転車。
【請求項7】
前記アクチュエータは、シリンダと、前記シリンダ内で摺動可能に設置されたピストンと、前記ピストンにより回転駆動されるアシストギヤを有することを特徴とする請求項6に記載のエアアシスト自転車。
【請求項8】
前記車体フレームに支持されたエアポンプと、
前記車体フレームに支持されたバッテリと、
前記車体フレームに支持された前記タンクに貯蔵された圧縮空気の空気圧に応じて作動する第2スイッチと、
を備え、
前記第2スイッチの作動により、前記エアポンプを前記バッテリにより駆動して、前記タンクに空気を供給することを特徴とする請求項1又は請求項7に記載のエアアシスト自転車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−30778(P2012−30778A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69692(P2011−69692)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)