エアバッグ装置
【課題】エアバッグのケースへの取付構成を簡便とし、かつ、ケースをフロントピラー側に容易に取付可能なエアバッグ装置を提供すること。
【解決手段】本発明のエアバッグ装置は、フロントピラー1とフロントガラス6との境界部位においてフロントピラー1に略沿うように配設されるケース28と、ケース28内に折り畳まれて収納されるエアバッグ21と、を備える。ケース28が、フロントピラー1側に配置される雌型クリップ44と、ケース28側に配置される雄型クリップ48と、を用いて、フロントピラー1側に取り付けられる。雄型クリップ48が、エアバッグ21をケース28側に取り付ける取付片部24を挟持可能な挟持片52を有し、係止片51を、雌型クリップ44の係止孔46a周縁に係止させた際に、取付片部24を、挟持片52とケース28の後側壁部32との間で挟持して、ケース28側に取り付ける構成である。
【解決手段】本発明のエアバッグ装置は、フロントピラー1とフロントガラス6との境界部位においてフロントピラー1に略沿うように配設されるケース28と、ケース28内に折り畳まれて収納されるエアバッグ21と、を備える。ケース28が、フロントピラー1側に配置される雌型クリップ44と、ケース28側に配置される雄型クリップ48と、を用いて、フロントピラー1側に取り付けられる。雄型クリップ48が、エアバッグ21をケース28側に取り付ける取付片部24を挟持可能な挟持片52を有し、係止片51を、雌型クリップ44の係止孔46a周縁に係止させた際に、取付片部24を、挟持片52とケース28の後側壁部32との間で挟持して、ケース28側に取り付ける構成である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両におけるフロントピラーとフロントガラスとの境界部位付近に配設されるエアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フロントピラーとフロントガラスとの境界部位付近に配設されるエアバッグ装置としては、膨張完了時にフロントピラーの前面を覆うように軸方向をフロントピラーに略沿わせた長尺状のエアバッグを、フロントピラーに略沿うように配設されるケース内に、折り畳んで収納させた構成のものがあった。このエアバッグ装置では、エアバッグは、ケースに取り付けるための取付片部を有し、この取付片部をリベット止めすることにより、ケースに取り付けられていた。また、ケースは、フロントピラーの軸方向に沿って複数箇所形成されるとともに、それぞれ、フロントピラー側から延びる差込片を、差し込まれるようにして、フロントピラー側に、取り付けられていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−285109公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のエアバッグ装置では、エアバッグが、ケースをフロントピラーに取り付ける差込片とは別のリベットを用いて、ケース側に取り付けられる構成とされるとともに、また、エアバッグは、フロントピラーの軸方向に沿って長尺状とされていることから、エアバッグの取付片部をケース側に取り付けるためのリベットも数多く必要となって、製造工数及びコストが増大することとなり、簡便な構成とする点に改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、エアバッグのケースへの取付構成を簡便とし、かつ、ケースをフロントピラー側に容易に取付可能なエアバッグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るエアバッグ装置は、車両におけるフロントピラーとフロントガラスとの境界部位付近に配設されて、
膨張完了時にフロントピラーの前面側を覆い可能に、膨張完了形状を、軸方向をフロントピラーの軸方向に略沿わせた長尺状として構成されるエアバッグと、
フロントピラーに略沿うように配設されて、フロントピラーに取り付けられるとともに、折り畳まれたエアバッグを収納させるケースと、
を備える構成とされて、
エアバッグが、膨張完了時にフロントピラーの前面側を覆うように膨張するとともに車幅方向側の幅寸法を縮められるように折り畳まれてケース内に収納される膨張本体部と、膨張本体部を前記ケース側に取り付ける取付片部と、を備える構成のエアバッグ装置であって、
ケースが、フロントピラーの軸方向に沿って複数個配置されるとともに、それぞれ、フロントピラー側に配置される雌型クリップと、ケース側に配置される雄型クリップと、を用いて、フロントピラー側に取り付けられる構成として、
雄型クリップが、ケース内に配置される基部と、ケースにおいてエアバッグの後側に配置される後側壁部を貫通して後方に突出するように基部から突出して形成される係止脚部と、係止脚部の先端側においてフロントガラス側に突出するように形成される係止片と、基部と係止片との間において係止脚部から突出するように形成されて取付片部を後側壁部側に取付可能な挟持片と、を備える構成とされ、
雌型クリップが、フロントピラー側に配置される固定壁と、フロントガラス側に配置される取付壁と、を有して、雄型クリップの係止脚部を挿入可能に、ケース側となる前方を開口させた断面略V字形状として構成されるとともに、固定壁をフロントピラー側に固着させ、取付壁に、係止片を周縁で係止可能な係止孔を配設させる構成とされて、
エアバッグの取付片部が、雄型クリップの係止脚部を挿通可能な挿通孔を備える構成とされて、
挟持片が、係止片の係止孔周縁への係止時に、取付片部を、ケースの後側壁部との間で挟持して、取付片部をケース側に取付可能に、構成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明のエアバッグ装置では、内部に折り畳まれたエアバッグを収納させたケースが、フロントピラー側に配置される雌型クリップと、ケース側に配置される雄型クリップと、を用いてフロントピラー側に取り付けられる構成であり、具体的には、ケースの後側壁部から突出している雄型クリップの係止脚部を、前方側から、フロントピラー側に予め取付済みの雌型クリップの開口に差し込むようにして、ケース全体を後方移動させ、係止脚部の先端側に形成される係止片を、雌型クリップの取付壁に形成される係止孔の周縁に係止させれば、ケースをフロントピラー側に取り付けることができる。また、本発明のエアバッグ装置では、雄型クリップが、係止脚部から突出する挟持片を有し、係止片の係止孔周縁への係止時に、エアバッグの取付片部を、この挟持片とケースの後側壁部との間で挟持させることにより、取付片部をケース側に取り付けている。そのため、本発明のエアバッグ装置では、ケースをフロントピラー側に取り付ける雄型クリップを利用して、エアバッグをケースに取り付けることができて、エアバッグをケースに取り付けるための部材を別途設けなくともよい。また、ケースのフロントピラー側への取り付けも、雄型クリップの係止脚部を後側壁部から後方に突出させた状態のケースを、単に、係止脚部を雌型クリップの開口に差し込むように、後方移動させればよいことから、ケースのフロントピラー側への取付作業も容易である。
【0008】
したがって、本発明のエアバッグ装置は、エアバッグのケースへの取付構成を簡便とし、かつ、ケースをフロントピラー側に容易に取り付けることができる。
【0009】
また、本発明のエアバッグ装置において、ケースの後側壁部の後面側に、エアバッグの展開膨張時に、雌型クリップにおける取付壁の前端のフロントガラス側への開きを抑制可能に、前端を押え可能な押え面を、形成すれば、エアバッグの展開膨張時に、エアバッグの取付片部をケースに取り付けている雄型クリップが、前方に向かって突出するエアバッグとともに、前方移動しようとしても、雌型クリップの取付壁が、ケースの押え面に押えられて、前端をフロントガラス側に向けるように開くことを抑制されることから、係止片が、係止孔周縁との係止を解除されることを、確実に防止できて、好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態であるエアバッグ装置を搭載させた車両の部分拡大斜視図である。
【図2】実施形態のエアバッグ装置を搭載させた車両の部分拡大側面図である。
【図3】実施形態のエアバッグ装置を搭載させた車両の概略部分拡大横断面図であり、図2のIII−III部位に対応する。
【図4】実施形態のエアバッグ装置を搭載させた車両の概略部分拡大横断面図であって、雄型クリップと雌型クリップとを用いて、エアバッグの取付片部をケースに取り付け、ケースをフロントピラー側に取り付けている部位を示す。
【図5】実施形態のエアバッグ装置において、折り畳まれたエアバッグ及びインフレーターと、ケースにおけるケース本体及び蓋部と、雄型クリップと、を示す概略分解斜視図である。
【図6】実施形態のエアバッグに使用される雄型クリップ及び雌型クリップの分解斜視図である。
【図7】図6のVII−VII部位の断面図である。
【図8】図6のVIII−VIII部位の断面図である。
【図9】実施形態のエアバッグ装置において、作動時に、ケースの開く過程を説明する部分拡大断面図である。
【図10】実施形態のエアバッグ装置において、エアバッグが膨張を完了させた状態を示す車両の部分拡大斜視図である。
【図11】実施形態のエアバッグ装置において、エアバッグが膨張を完了させた状態を示す車両の概略横断面図である。
【図12】実施形態のエアバッグ装置において、エアバッグが膨張を完了させた状態を示す概略横断面図であり、雄型クリップと雌型クリップとを用いて、エアバッグの取付片部をケースに取り付け、ケースをフロントピラー側に取り付けている部位の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態のエアバッグ装置Mは、図1,2に示すように、車両Vの左右のフロントピラー1近傍の部位と、フロントピラー1の前方のフロントフェンダーFFの部位と、に、跨って搭載されている。具体的には、実施形態のエアバッグ装置Mでは、折り畳まれたエアバッグ21が、フロントピラー1とフロントガラス6との境界部位付近に収納され、エアバッグ21に膨張用ガスを供給するインフレーター15が、フロントフェンダーFFの部位に配置されている。
【0012】
なお、本明細書において、前後・上下・左右の方向は、フロントピラー1の軸方向を基準とするもので、特に断らない限り、フロントピラー1の軸方向に沿った方向を上下方向とし、フロントピラー1の軸直交方向である前後方向に略沿った方向を前後方向とし、フロントピラー1の軸直交方向である左右方向に略沿った方向を左右方向とするものである。
【0013】
また、実施形態では、車両Vにおける右側に位置するフロントピラー1の前面1a側を覆うエアバッグ21を備えたエアバッグ装置Mについて詳細に説明する。左側のフロントピラーの前面側を覆うエアバッグを備えたエアバッグ装置は、右側のエアバッグ装置Mと左右対称形として、同一の構成であることから、左側のエアバッグ装置に関しては、説明を省略する。
【0014】
フロントピラー1は、図3,4に示すように、鋼板等からなるアウタパネル2、インナパネル3、及び、アウタパネル2とインナパネル3との間に配置されるリインホースメント4を、備えて構成されるもので、車両Vの構造体として高い剛性を具備している。フロントピラー1の車幅方向(左右方向)に沿った車内外方向の内側(図3,4におけるフロントピラー1の左側)には、フロントガラス6が、隣接されている。また、図3において、符号9で示す部材は、ドアフレームであり、符号10で示す部材は、ドアフレーム9とフロントピラー1との間に介在されるドアウェザストリップである。また、図3において、符号11で示す部材は、サイドウィンドであり、符号12で示す部材は、サイドウィンド11とドアフレーム9との間に介在されるガラスランである。さらに、図3,4において、符号7で示す部材は、フロントガラス6をフロントピラー1に固着させる接着剤である。
【0015】
エアバッグ装置Mは、フロントピラー1の前面1a側を覆い可能なエアバッグ21と、エアバッグ21に膨張用ガスを供給するインフレーター15と、折り畳まれたエアバッグ21を収納するケース28と、ケース28をフロントピラー1側に取り付けるための雌型クリップ44,雄型クリップ48と、を備えて構成されている。
【0016】
インフレーター15は、上述したごとく、車両VのフロントフェンダーFFの部位に、配置されるもので、図示しないフードリッジリインホース等の車体側の部材に取付固定されている。インフレーター15は、図5に示すように、本体16と、本体16から延びる接続パイプ17と、本体16を車体側の部材に取り付けるためのブラケット18と、を備える構成とされており、接続パイプ17を、エアバッグ21の後述する接続口部23に、図示しないクランプを利用して接続させることにより、エアバッグ21の内部に膨張用ガスを供給可能に、エアバッグ21と連結されている。そして、このインフレーター15は、所定のエアバッグ作動回路からの作動信号を入力させて、膨張用ガスをエアバッグ21内に供給することとなる。エアバッグ作動回路は、車両Vのフロントバンパ(図符号省略)に配置されて、歩行者の衝突を検知可能なセンサSE(図1参照)からの信号を入力した際に、インフレーター15を作動させることとなる。
【0017】
エアバッグ21は、フロントピラー1の前面1a側を覆うように膨張する膨張本体部22と、インフレーター15に接続される接続口部23と、膨張本体部22をケース28側に取り付ける取付片部24と、を備えて構成されている。実施形態の場合、膨張本体部22は、膨張完了時に、軸方向をフロントピラー1の軸方向に略沿わせた長尺状として構成されるもので、詳細には、フロントピラー1の下側2/3程度の領域の前面1aを覆い可能とされるとともに、膨張完了形状を略円柱状として構成されている。具体的には、膨張本体部22は、図10に示すように、膨張完了形状を、下部から上部にかけて外径寸法を漸減させるような略円柱状として、構成されている。詳細には、膨張本体部22は、膨張完了時におけるフロントピラー1の軸直交方向側の断面形状を略円形として(図11参照)、中心Cを、フロントガラス6の前側の領域内に配置させ、かつ、車外側O(右側)の端部22bを、フロントピラー1の前縁1bより車内外方向の外側(右側)に突出させるようにして、フロントピラー1の前面1aを覆うように、構成されている。さらに詳細には、実施形態のエアバッグ21では、膨張完了時の膨張本体部22の中心Cは、図11に示すように、フロントガラス6の外縁6a(右縁)を支持しているフロントピラー1の車内側端(接着剤7)よりも車幅方向(左右方向)に沿った車内外方向の内側(左側)に、配置されることとなる。
【0018】
接続口部23は、図5に示すように、膨張本体部22の膨張完了時における下端22a付近から延びて、先端側を、インフレーター15の接続パイプ17と、連結されている。取付片部24は、膨張本体部22の長手方向に沿って複数個配置されるもので、実施形態の場合、図5に示すように、膨張本体部22における上下の中央よりやや下方となる部位と、上端付近と、の2箇所に、形成されている。取付片部24は、図4に示すように、ケース28をフロントピラー1側に取り付ける雄型クリップ48を利用して、ケース28とともに、車体側となるフロントピラー1側に取り付けられるもので、実施形態の場合、雄型クリップ48の外形形状に合わせて、上下方向側の幅寸法を幅広とした略長方形状とされており、雄型クリップ48の後述する係止脚部50を挿通可能な挿通孔24aを、備えている。実施形態の場合、各取付片部24は、上下方向(フロントピラー1の軸方向)に沿って2個の挿通孔24aを、並設させている。そして、この取付片部24は、車両搭載時に、雄型クリップ48の後述する挟持片52と、ケース28の後述する底壁部32(後側壁部)と、に挟持されるようにして、ケース28側に取り付けられることとなる(図4,12参照)。また、この取付片部24は、エアバッグ21の膨張完了時に、先端24b側を車外側Oに向けるようにして、この先端24b側を、雄型クリップ48の挟持片52とケース28の底壁部32とに挟持された状態で、挟持片52の先端から延びるように、配置されることとなる(図12参照)。そして、この取付片部24により、膨張完了時の膨張本体部22は、車体を構成するフロントガラス6側(後方側)にひきつけられるような態様となる。また、実施形態の場合、エアバッグ21の膨張本体部22は、図3,4に示すように、平らに展開した状態で車幅方向側(左右方向側)の幅寸法を縮めるように蛇腹折りされた状態で、ケース28内に収納されている。
【0019】
折り畳まれたエアバッグ21を収納させるケース28は、通常の車両において、フロントピラー1とフロントガラス6との境界部位に配置されるウィンドトリムの部位に配置されるもので、フロントガラス6の外縁6a側(図3,4における右縁側)において、図2に示すように、フロントガラス6の前後の略全域にわたって、フロントピラー1に沿うように、配設されている。また、実施形態の場合、このケース28は、下側2/3程度の領域の内部に、折り畳まれたエアバッグ21を収納させている(図1参照)。
【0020】
ケース28は、実施形態の場合、図3,5,9に示すように、折り畳んだエアバッグ21を内部に収納させるとともに前方側を開口させて構成されるケース本体29と、ケース本体29の前方側の開口29aを塞ぐように配置される蓋部34と、を備えて構成されている。蓋部34は、ケース本体29の開口29aを全域にわたって塞ぐように、ケース本体29の前側に配置されるもので、折り畳まれたエアバッグ21の前側を覆う部位である。実施形態の場合、ケース本体29と蓋部34とは、ともに合成樹脂製とされており、蓋部34は、左右両縁(車幅方向に沿った車内外方向の両縁)側を、それぞれ、ケース本体29における後述する外側壁部30及び内側壁部31の前端側に、溶着させることにより、ケース本体29と連結されている。詳細に説明すれば、蓋部34は、左右両縁側に、それぞれ、ケース本体29側(後方側)に向かって突出するような外側突出部35,内側突出部36を、上下の全域にわたって配設されており(図3〜5,9参照)、この外側突出部35,内側突出部36の先端面(後端面)35a,36aを、それぞれ、ケース本体29における外側壁部30及び内側壁部31の前端面30a,31aと一致させて構成している(図9参照)。そして、この外側突出部35,内側突出部36の後端面35a,36aが、それぞれ、全面にわたって、ケース本体29の外側壁部30及び内側壁部31の前端面30a,31aに溶着される構成である。
【0021】
ケース本体29は、断面形状を、前方側を開口させた略U字形状とされており、左右方向側の幅寸法を、上下の全域にわたって略一定として、図5に示すように、下部から上部にかけて高さ(前後方向側の幅寸法、深さ)を漸減させるように、構成されている。また、ケース本体29は、下端側を、エアバッグ21の接続口部23を挿通可能に開口させて構成されるとともに(図5参照)、上端側を図示しないキャップ等により閉塞されている。そして、ケース本体29は、左右方向における車外側(フロントピラー1側)に配置されて折り畳まれたエアバッグ21のフロントピラー1側を覆う外側壁部30と、左右方向における車内側(フロントガラス6側)に配置されて折り畳まれたエアバッグ21のフロントガラス6側を覆う内側壁部31と、外側壁部30と内側壁部31との後端相互を連結するように配置されて折り畳まれたエアバッグ21の後側を覆う後側壁部としての底壁部32と、を備えて構成されている。
【0022】
外側壁部30は、図3,4に示すように、フロントピラー1における車内側I(左側)の面に略沿うように配置されるとともに、厚さを略一定として形成されている。また、外側壁部30は、前端近傍の領域を、蓋部34の外側突出部35と溶着される前端面30aに向かって、厚さ(左右方向側の幅寸法)を縮められるように構成されている(図9のA参照)。後側壁部としての底壁部32は、厚さを略一定に構成されている。また、外側壁部30と底壁部32との境界部位は、図9のAに示すように、底壁部32及び外側壁部30よりも厚さを厚くするように、構成されている。
【0023】
また、底壁部32において、外側壁部30の近傍となる車外側Oの端部(右端)付近には、ケース28をフロントピラー1側に取り付けるための雄型クリップ48の係止脚部50を挿通可能な挿通孔32aが、形成されている(図4参照)。また、底壁部32の後面側であって、雄型クリップ48の配置される部位(雌型クリップ44に対応した位置)には、挿通孔32aの車内側I(左側)となる部位に、車内側Iに向かって一段後方に下がる(突出する)ような段差部32bが、形成されている。この段差部32bは、前後方向に略沿って配置される車外側の面(右側面)を、フロントピラー1側に配置される雌型クリップ44における後述する取付壁46の前端46bと当接可能とするように、構成されている。すなわち、この段差部32bにおける車外側の面(右側面)が、エアバッグ21の展開膨張時に、雌型クリップ44の取付壁46の前端46bの車内側面と当接して、この取付壁46の前端46bのフロントガラス6側への開きを抑制するように、前端46bを押え可能な押え面32cを、構成することとなる。なお、この段差部32bは、実施形態の場合、雌型クリップ44と対応した位置において、上下の幅寸法を、取付壁46の上下の幅寸法と略一致させるように、部分的に配置されている。
【0024】
内側壁部31は、図3,4,9に示すように、後端側にかけて厚さを漸増させるように構成されている。また、内側壁部31は、前端面31aの左右方向の幅寸法(厚さ寸法)T1を、外側壁部30の前端面30aの左右方向の幅寸法(厚さ寸法)T2より大きくするように、構成されている(図9のA参照)。具体的には、内側壁部31の前端面31aの左右方向の幅寸法(厚さ寸法)T1は、外側壁部30の前端面30aの左右方向の幅寸法(厚さ寸法)T2の2倍程度に設定されている。また、内側壁部31の前端面31aの左右方向の幅寸法(厚さ寸法)T1は、図9のAに示すように、底壁部32の厚さ寸法(前後方向の幅寸法)T3より大きく設定されている。そして、内側壁部31と底壁部32との境界部位には、エアバッグ21の展開膨張時に、内側壁部31を底壁部32に対して屈曲させる際の起点となるように、底壁部32に切り込みを入れるような断面略V字形状の切欠凹部33が、長手方向に沿って連続的に、形成されている(図9のA参照)。
【0025】
実施形態の場合、ケース28を構成する蓋部34とケース本体29とは、ともに、ポリプロピレン製とされており、蓋部34の外側突出部35,内側突出部36の後端面35a,36aと、ケース本体29における外側壁部30,内側壁部31の前端面30a,31aと、を、振動溶着により相互に溶着させて、相互に連結されている。そして、実施形態のケース28では、外側突出部35の後端面35aと外側壁部30の前端面30aとを溶着させて形成される外側溶着部38が、内側突出部36の後端面36aと内側壁部31の前端面31aとを溶着させて形成される内側溶着部39よりも、左右方向側の幅寸法を、小さくするように(実施形態の場合、1/2程度)、構成されている。
【0026】
この実施形態のケース28では、インフレーター15の作動時において、エアバッグ21の膨張本体部22が膨張して、ケース28を内側から押圧すると、まず、図9のBに示すように、外側溶着部38の部位での蓋部34とケース本体29(外側壁部30)との連結が解除されて、蓋部34が、外側突出部35側を前方に向けるように押し開かれることとなる。そして、実施形態のケース28では、底壁部32と内側壁部31との境界部位に、切欠凹部33が形成されていることから、ケース本体29が、切欠凹部33の部位を起点として、内側壁部31を、蓋部34ごとフロントガラス6側となる車内側I(左側)に倒すように、変形しつつ(図9のC参照)、膨張する膨張本体部22を前方に突出させることとなり、その後、エアバッグ21が膨張を略完了させた状態で、膨張した膨張本体部22により後方に押圧されて、蓋部34が、内側溶着部39の部位を起点として、外縁側(外側突出部35側)を、車内側I(左側)に向けるように、さらに開くこととなる(図9のD参照)。換言すれば、実施形態では、エアバッグ21の膨張完了時に、図11に示すように、ケース28において、底壁部32から内側壁部31を経て蓋部34までの部位が、略平らに展開した状態で、膨張本体部22の後面側を支持することとなる。
【0027】
また、実施形態のエアバッグ装置Mでは、ケース28とフロントガラス6との間には、ケース28とフロントガラス6との間に生じる隙間を塞ぐように、シール部材41が、上下の全域(フロントピラー1の軸方向に沿った全域)にわたって、配設されている(図3,4参照)。
【0028】
ケース28をフロントピラー1に取り付けるための雌型クリップ44は、フロントピラー1側に配置されるもので、実施形態の場合、フロントピラー1において、アウタパネル2の車幅方向に沿った車内外方向における車内側I(フロントガラス6側)に、上下方向に沿って複数個(実施形態の場合、雄型クリップ48に対応して4個)、配設されている。この雌型クリップ44は、ポリプロピレン等の合成樹脂製とされるもので、図4,6,8に示すように、フロントピラー1側に配置される固定壁45と、フロントガラス6側に配置される取付壁46と、を有して、フロントピラー1の軸直交方向に沿った断面形状を、ケース28側となる前方を開口させた略V字形状とされている。すなわち、雌型クリップ44は、固定壁45と取付壁46との後端相互を連結させ、前端相互を左右方向で離隔させるように構成され、この固定壁45と取付壁46との間の隙間(前端側の開口44a)を、雄型クリップ48における係止脚部50の先端側に形成される係止片51を挿入可能な寸法に、設定されている。取付壁46の上下両縁近傍には、雄型クリップの48の各係止脚部50の先端側に形成される後述する係止片51を周縁で係止可能な2つの係止孔46aが、それぞれ、略左右方向に沿って貫通して、形成されている。また、実施形態の場合、取付壁46は、フロントピラー1の軸直交方向の断面において、底壁部32に形成される押え面32cに押えられる前端46bにかけて先細りとされている。さらに、実施形態の場合、取付壁46は、図6に示すように、上下の中間部位を前方側から略四角形状に切り欠かれている。この切欠部位は、固定壁45をアウタパネル2に固着させるための取付ボルト(図符号省略)を挿通させるために、形成されている。
【0029】
ケース28をフロントピラー1に取り付けるための雄型クリップ48は、雌型クリップ44に対応して、ケース28側に配置されるもので、実施形態の場合、上下方向(フロントピラー1の軸方向)に沿って複数(実施形態の場合、4個)配設される(図5参照)。実施形態の場合、下側に配設される2つの雄型クリップ48が、エアバッグ21の取付片部24と対応した位置に配置されることとなる。この雄型クリップ48は、合成樹脂製とされるもので、図4,6,7に示すように、ケース28内に配置されるとともに上下方向(フロントピラー1の軸方向)に略沿って延びる基部49と、基部49の上下両端側から後方に向かって延びる2つの係止脚部50と、係止脚部50の先端側に配置される係止片51と、基部49と係止片51との間において係止脚部50から突出するように形成される挟持片52と、を備えている。
【0030】
基部49は、外形形状を、長手方向を上下方向(フロントピラー1の軸方向)に略沿わせた長尺状とされるとともに、車両搭載時に、ケース28内において、ケース本体29の外側壁部30(フロントピラー1におけるアウタパネル2の内側面)に略沿って、配設されている。詳細には、基部49は、蓋部34における外側突出部35から、ケース本体29の外側壁部30の上端近傍の部位にかけての内周面側を覆い可能な大きさに、設定されている。各係止脚部50は、ケース28の底壁部32に設けられる挿通孔32aを貫通して、底壁部32から後方に突出するように配置されている。係止片51は、底壁部32から突出している係止脚部50の先端(後端)側において、フロントガラス6側(左側)に向かって突出しつつ、先端51aを前方に向けるように、屈曲して構成されている。そして、この係止片51は、雌型クリップ44の取付壁46に形成される係止孔46a周縁に、係止されることとなる。また、係止片51は、後端側の車内側に、前後方向に対して後方を車外側(右側)に向けるような傾斜面51bを有している(図7参照)。この傾斜面51bは、係止片51を雌型クリップ44の開口44aに挿入させつつ後方移動させる際に、雌型クリップ44の取付壁46を円滑に撓ませるために、形成されている。
【0031】
挟持片52は、係止脚部50における基部49の近傍(係止脚部50の元部側)において、係止脚部50から、フロントガラス6側(左側)に向かって突出するように、形成されている(図4,6,7参照)。この挟持片52は、ケース28の底壁部32に形成される挿通孔32aに挿通不能として、係止片51の係止孔46a周縁への係止時に、エアバッグ21の取付片部24を介して、底壁部32の前面と当接可能に構成されるもので、実施形態の場合、図4に示すように、底壁部32に沿って、係止脚部50から左斜め後方に突出するように、形成されている。そして、実施形態では、係止片51の係止孔46a周縁への係止時に、挟持片52が、エアバッグ21の取付片部24を、ケース28の底壁部32との間で挟持して、取付片部24をケース28側に取り付ける構成である。
【0032】
この実施形態のエアバッグ装置Mの車両への搭載について説明する。なお、雌型クリップ44は、予め、フロントピラー1におけるアウタパネル2の車内側の面の所定箇所に、固着させておく。まず、エアバッグ21の膨張本体部22を、平らに展開した状態から、左右方向の幅寸法を縮めるように折り畳み、折り崩れ防止可能な図示しないラッピング材により周囲をくるみ、折り完了体を形成する。なお、接続口部23と取付片部24とは、ラッピング材から突出させておく。次いで、接続口部23に、図示しないクランプを利用して、インフレーター15から延びる接続パイプ17を連結させる。その後、折り畳まれた膨張本体部22を、開口29aから、ケース本体29内に、収納させる。このとき、接続口部23及びインフレーター15は、ケース本体29の下端側の開口から突出させておく。また、取付片部24は、挿通孔24aの位置を、底壁部32の挿通孔32aと一致させておく。次いで、各雄型クリップ48を、ケース本体29の開口29aから、ケース本体29内部に挿入させ、係止脚部50を、エアバッグ21における取付片部24の挿通孔24aを経て、底壁部32の挿通孔32aに、係止片51及び係止脚部50を挿通させるように、前方側から差し込み、底壁部32から後方に突出させる。そして、挟持片52を、取付片部24を介して、挿通孔32aの周縁に係止させる。その後、蓋部34を、外側壁部30,内側壁部31の前端面30a,31aに、外側突出部35,内側突出部36の後端面35a,36aを当接させつつ、ケース本体29の開口29aを塞ぐように重ね、相互に当接している前端面30a,後端面35aの部位と、前端面31a,後端面36aの部位と、に振動溶着を施して外側溶着部38,内側溶着部39を形成し、ケース本体29に蓋部34を連結させて、エアバッグ組付体を形成する。
【0033】
次いで、エアバッグ組付体のインフレーター15を、ブラケット18を用いて、フロントフェンダーFFの部位の車体側に取り付け、ケース28の底壁部32から突出している各雄型クリップ48の係止脚部50及び係止片51を、前方側から、フロントピラー1側に固着されている雌型クリップ44の固定壁45と取付壁46との間の開口44aに差し込むようにして、係止脚部50の先端側に形成される係止片51を、雌型クリップ44の取付壁46に形成される係止孔46aの周縁に係止させれば、エアバッグ組付体を車体側に取り付けることができる。実施形態の場合、詳細には、後方移動する係止片51に形成される傾斜面51bにガイドされて、雌型クリップ44の取付壁46が、前端をフロントガラス6側に向けるように撓み、係止片51が、取付壁46に形成される係止孔46aに挿入されたならば、取付壁46が復元して、係止片51が、係止孔46aの周縁に係止されることとなる。そして、この係止片51の係止孔46a周縁への係止時に、エアバッグ21の取付片部24が、雄型クリップ48の挟持片52とケース28の底壁部32とに挟持されるようにして、ケース28側に取り付けられることとなる。そして、エアバッグ装置Mを車両Vに搭載することができる。
【0034】
実施形態のエアバッグ装置Mでは、車両Vへの搭載後、インフレーター15が作動されれば、インフレーター15から吐出される膨張用ガスがエアバッグ21の膨張本体部22内に流入して、膨張する膨張本体部22(エアバッグ21)が、ケース28の蓋部34を押し開いて前方へ突出し、図1〜3の二点鎖線、及び、図10,11に示すように、膨張を完了させることとなる。
【0035】
そして、実施形態のエアバッグ装置Mでは、内部に折り畳まれたエアバッグ21を収納させたケース28が、フロントピラー1側に配置される雌型クリップ44と、ケース28側に配置される雄型クリップ48と、を用いてフロントピラー1側に取り付けられる構成であり、具体的には、ケース28の後側壁部としての底壁部32から突出している雄型クリップ48の係止脚部50を、前方側から、フロントピラー1側に予め取付済みの雌型クリップ44の開口44aに差し込むようにして、ケース28全体を後方移動させ、係止脚部50の先端側に形成される係止片51を、雌型クリップ44の取付壁46に形成される係止孔46aの周縁に係止させれば、ケース28をフロントピラー1側に取り付けることができる。また、実施形態のエアバッグ装置Mでは、雄型クリップ48が、係止脚部50から突出する挟持片52を有し、係止片51の係止孔46a周縁への係止時に、エアバッグ21の取付片部24を、この挟持片52とケース28の底壁部(32後側壁部)との間で挟持させることにより、取付片部24をケース28側に取り付けている。そのため、実施形態のエアバッグ装置Mでは、ケース28をフロントピラー1側に取り付ける雄型クリップ48を利用して、エアバッグ21をケース28に取り付けることができて、エアバッグ21をケース28に取り付けるための部材を別途設けなくともよい。また、ケース28のフロントピラー1側への取り付けも、雄型クリップ48の係止脚部50を底壁部32から後方に突出させた状態のケース28を、単に、係止脚部50を雌型クリップ44の開口44aに差し込むように、後方移動させればよいことから、ケース28のフロントピラー1側への取付作業も容易である。
【0036】
したがって、実施形態のエアバッグ装置Mは、エアバッグ21のケース28への取付構成を簡便とし、かつ、ケース28をフロントピラー1側に容易に取り付けることができる。
【0037】
また、実施形態のエアバッグ装置Mでは、ケース28の底壁部32の後面側に、エアバッグ21の展開膨張時に、雌型クリップ44における取付壁46の前端46bのフロントガラス6側への開きを抑制可能に、前端46bを押え可能な押え面32cが、形成されている。そのため、実施形態のエアバッグ装置Mでは、エアバッグ21の展開膨張時に、エアバッグ21の取付片部24をケース28に取り付けている雄型クリップ48が、前方に向かって突出するエアバッグ21とともに、前方移動しようとしても、雌型クリップ44の取付壁46が、ケース28の押え面32cに押えられて、前端46bをフロントガラス6側に向けるように開くことを抑制されることから、係止片51が、係止孔46a周縁との係止を解除されることを、確実に防止できる。
【0038】
なお、実施形態では、折り畳まれたエアバッグ21を収納させるケース28が、ケース本体29と蓋部34とをともに合成樹脂製として、相互に溶着されることにより、一体構成とされているが、本発明のエアバッグ装置で、エアバッグを収納させるケースはこれに限られるものではなく、例えば、ケー本体と蓋部とを別体として、所定箇所でフック等の連結手段を利用して連結させるような構成としてもよい。しかしながら、シール性を考慮すれば、実施形態のエアバッグ装置Mのように、2部品を溶着させて、エアバッグの周囲を全周にわたって覆うように構成されるケースを使用することが好ましい。
【符号の説明】
【0039】
1…フロントピラー、
1a…前面、
6…フロントガラス、
15…インフレーター、
21…エアバッグ、
22…膨張本体部、
24…取付片部、
24a…挿通孔、
28…ケース、
32…底壁部(後側壁部)、
32a…挿通孔、
32c…押え面、
44…雌型クリップ、
44a…開口、
45…固定壁、
46…取付壁、
46a…係止孔、
46b…前端、
48…雄型クリップ、
49…基部、
50…係止脚部、
51…係止片、
52…挟持片、
V…車両、
M…エアバッグ装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両におけるフロントピラーとフロントガラスとの境界部位付近に配設されるエアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フロントピラーとフロントガラスとの境界部位付近に配設されるエアバッグ装置としては、膨張完了時にフロントピラーの前面を覆うように軸方向をフロントピラーに略沿わせた長尺状のエアバッグを、フロントピラーに略沿うように配設されるケース内に、折り畳んで収納させた構成のものがあった。このエアバッグ装置では、エアバッグは、ケースに取り付けるための取付片部を有し、この取付片部をリベット止めすることにより、ケースに取り付けられていた。また、ケースは、フロントピラーの軸方向に沿って複数箇所形成されるとともに、それぞれ、フロントピラー側から延びる差込片を、差し込まれるようにして、フロントピラー側に、取り付けられていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−285109公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のエアバッグ装置では、エアバッグが、ケースをフロントピラーに取り付ける差込片とは別のリベットを用いて、ケース側に取り付けられる構成とされるとともに、また、エアバッグは、フロントピラーの軸方向に沿って長尺状とされていることから、エアバッグの取付片部をケース側に取り付けるためのリベットも数多く必要となって、製造工数及びコストが増大することとなり、簡便な構成とする点に改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、エアバッグのケースへの取付構成を簡便とし、かつ、ケースをフロントピラー側に容易に取付可能なエアバッグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るエアバッグ装置は、車両におけるフロントピラーとフロントガラスとの境界部位付近に配設されて、
膨張完了時にフロントピラーの前面側を覆い可能に、膨張完了形状を、軸方向をフロントピラーの軸方向に略沿わせた長尺状として構成されるエアバッグと、
フロントピラーに略沿うように配設されて、フロントピラーに取り付けられるとともに、折り畳まれたエアバッグを収納させるケースと、
を備える構成とされて、
エアバッグが、膨張完了時にフロントピラーの前面側を覆うように膨張するとともに車幅方向側の幅寸法を縮められるように折り畳まれてケース内に収納される膨張本体部と、膨張本体部を前記ケース側に取り付ける取付片部と、を備える構成のエアバッグ装置であって、
ケースが、フロントピラーの軸方向に沿って複数個配置されるとともに、それぞれ、フロントピラー側に配置される雌型クリップと、ケース側に配置される雄型クリップと、を用いて、フロントピラー側に取り付けられる構成として、
雄型クリップが、ケース内に配置される基部と、ケースにおいてエアバッグの後側に配置される後側壁部を貫通して後方に突出するように基部から突出して形成される係止脚部と、係止脚部の先端側においてフロントガラス側に突出するように形成される係止片と、基部と係止片との間において係止脚部から突出するように形成されて取付片部を後側壁部側に取付可能な挟持片と、を備える構成とされ、
雌型クリップが、フロントピラー側に配置される固定壁と、フロントガラス側に配置される取付壁と、を有して、雄型クリップの係止脚部を挿入可能に、ケース側となる前方を開口させた断面略V字形状として構成されるとともに、固定壁をフロントピラー側に固着させ、取付壁に、係止片を周縁で係止可能な係止孔を配設させる構成とされて、
エアバッグの取付片部が、雄型クリップの係止脚部を挿通可能な挿通孔を備える構成とされて、
挟持片が、係止片の係止孔周縁への係止時に、取付片部を、ケースの後側壁部との間で挟持して、取付片部をケース側に取付可能に、構成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明のエアバッグ装置では、内部に折り畳まれたエアバッグを収納させたケースが、フロントピラー側に配置される雌型クリップと、ケース側に配置される雄型クリップと、を用いてフロントピラー側に取り付けられる構成であり、具体的には、ケースの後側壁部から突出している雄型クリップの係止脚部を、前方側から、フロントピラー側に予め取付済みの雌型クリップの開口に差し込むようにして、ケース全体を後方移動させ、係止脚部の先端側に形成される係止片を、雌型クリップの取付壁に形成される係止孔の周縁に係止させれば、ケースをフロントピラー側に取り付けることができる。また、本発明のエアバッグ装置では、雄型クリップが、係止脚部から突出する挟持片を有し、係止片の係止孔周縁への係止時に、エアバッグの取付片部を、この挟持片とケースの後側壁部との間で挟持させることにより、取付片部をケース側に取り付けている。そのため、本発明のエアバッグ装置では、ケースをフロントピラー側に取り付ける雄型クリップを利用して、エアバッグをケースに取り付けることができて、エアバッグをケースに取り付けるための部材を別途設けなくともよい。また、ケースのフロントピラー側への取り付けも、雄型クリップの係止脚部を後側壁部から後方に突出させた状態のケースを、単に、係止脚部を雌型クリップの開口に差し込むように、後方移動させればよいことから、ケースのフロントピラー側への取付作業も容易である。
【0008】
したがって、本発明のエアバッグ装置は、エアバッグのケースへの取付構成を簡便とし、かつ、ケースをフロントピラー側に容易に取り付けることができる。
【0009】
また、本発明のエアバッグ装置において、ケースの後側壁部の後面側に、エアバッグの展開膨張時に、雌型クリップにおける取付壁の前端のフロントガラス側への開きを抑制可能に、前端を押え可能な押え面を、形成すれば、エアバッグの展開膨張時に、エアバッグの取付片部をケースに取り付けている雄型クリップが、前方に向かって突出するエアバッグとともに、前方移動しようとしても、雌型クリップの取付壁が、ケースの押え面に押えられて、前端をフロントガラス側に向けるように開くことを抑制されることから、係止片が、係止孔周縁との係止を解除されることを、確実に防止できて、好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態であるエアバッグ装置を搭載させた車両の部分拡大斜視図である。
【図2】実施形態のエアバッグ装置を搭載させた車両の部分拡大側面図である。
【図3】実施形態のエアバッグ装置を搭載させた車両の概略部分拡大横断面図であり、図2のIII−III部位に対応する。
【図4】実施形態のエアバッグ装置を搭載させた車両の概略部分拡大横断面図であって、雄型クリップと雌型クリップとを用いて、エアバッグの取付片部をケースに取り付け、ケースをフロントピラー側に取り付けている部位を示す。
【図5】実施形態のエアバッグ装置において、折り畳まれたエアバッグ及びインフレーターと、ケースにおけるケース本体及び蓋部と、雄型クリップと、を示す概略分解斜視図である。
【図6】実施形態のエアバッグに使用される雄型クリップ及び雌型クリップの分解斜視図である。
【図7】図6のVII−VII部位の断面図である。
【図8】図6のVIII−VIII部位の断面図である。
【図9】実施形態のエアバッグ装置において、作動時に、ケースの開く過程を説明する部分拡大断面図である。
【図10】実施形態のエアバッグ装置において、エアバッグが膨張を完了させた状態を示す車両の部分拡大斜視図である。
【図11】実施形態のエアバッグ装置において、エアバッグが膨張を完了させた状態を示す車両の概略横断面図である。
【図12】実施形態のエアバッグ装置において、エアバッグが膨張を完了させた状態を示す概略横断面図であり、雄型クリップと雌型クリップとを用いて、エアバッグの取付片部をケースに取り付け、ケースをフロントピラー側に取り付けている部位の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態のエアバッグ装置Mは、図1,2に示すように、車両Vの左右のフロントピラー1近傍の部位と、フロントピラー1の前方のフロントフェンダーFFの部位と、に、跨って搭載されている。具体的には、実施形態のエアバッグ装置Mでは、折り畳まれたエアバッグ21が、フロントピラー1とフロントガラス6との境界部位付近に収納され、エアバッグ21に膨張用ガスを供給するインフレーター15が、フロントフェンダーFFの部位に配置されている。
【0012】
なお、本明細書において、前後・上下・左右の方向は、フロントピラー1の軸方向を基準とするもので、特に断らない限り、フロントピラー1の軸方向に沿った方向を上下方向とし、フロントピラー1の軸直交方向である前後方向に略沿った方向を前後方向とし、フロントピラー1の軸直交方向である左右方向に略沿った方向を左右方向とするものである。
【0013】
また、実施形態では、車両Vにおける右側に位置するフロントピラー1の前面1a側を覆うエアバッグ21を備えたエアバッグ装置Mについて詳細に説明する。左側のフロントピラーの前面側を覆うエアバッグを備えたエアバッグ装置は、右側のエアバッグ装置Mと左右対称形として、同一の構成であることから、左側のエアバッグ装置に関しては、説明を省略する。
【0014】
フロントピラー1は、図3,4に示すように、鋼板等からなるアウタパネル2、インナパネル3、及び、アウタパネル2とインナパネル3との間に配置されるリインホースメント4を、備えて構成されるもので、車両Vの構造体として高い剛性を具備している。フロントピラー1の車幅方向(左右方向)に沿った車内外方向の内側(図3,4におけるフロントピラー1の左側)には、フロントガラス6が、隣接されている。また、図3において、符号9で示す部材は、ドアフレームであり、符号10で示す部材は、ドアフレーム9とフロントピラー1との間に介在されるドアウェザストリップである。また、図3において、符号11で示す部材は、サイドウィンドであり、符号12で示す部材は、サイドウィンド11とドアフレーム9との間に介在されるガラスランである。さらに、図3,4において、符号7で示す部材は、フロントガラス6をフロントピラー1に固着させる接着剤である。
【0015】
エアバッグ装置Mは、フロントピラー1の前面1a側を覆い可能なエアバッグ21と、エアバッグ21に膨張用ガスを供給するインフレーター15と、折り畳まれたエアバッグ21を収納するケース28と、ケース28をフロントピラー1側に取り付けるための雌型クリップ44,雄型クリップ48と、を備えて構成されている。
【0016】
インフレーター15は、上述したごとく、車両VのフロントフェンダーFFの部位に、配置されるもので、図示しないフードリッジリインホース等の車体側の部材に取付固定されている。インフレーター15は、図5に示すように、本体16と、本体16から延びる接続パイプ17と、本体16を車体側の部材に取り付けるためのブラケット18と、を備える構成とされており、接続パイプ17を、エアバッグ21の後述する接続口部23に、図示しないクランプを利用して接続させることにより、エアバッグ21の内部に膨張用ガスを供給可能に、エアバッグ21と連結されている。そして、このインフレーター15は、所定のエアバッグ作動回路からの作動信号を入力させて、膨張用ガスをエアバッグ21内に供給することとなる。エアバッグ作動回路は、車両Vのフロントバンパ(図符号省略)に配置されて、歩行者の衝突を検知可能なセンサSE(図1参照)からの信号を入力した際に、インフレーター15を作動させることとなる。
【0017】
エアバッグ21は、フロントピラー1の前面1a側を覆うように膨張する膨張本体部22と、インフレーター15に接続される接続口部23と、膨張本体部22をケース28側に取り付ける取付片部24と、を備えて構成されている。実施形態の場合、膨張本体部22は、膨張完了時に、軸方向をフロントピラー1の軸方向に略沿わせた長尺状として構成されるもので、詳細には、フロントピラー1の下側2/3程度の領域の前面1aを覆い可能とされるとともに、膨張完了形状を略円柱状として構成されている。具体的には、膨張本体部22は、図10に示すように、膨張完了形状を、下部から上部にかけて外径寸法を漸減させるような略円柱状として、構成されている。詳細には、膨張本体部22は、膨張完了時におけるフロントピラー1の軸直交方向側の断面形状を略円形として(図11参照)、中心Cを、フロントガラス6の前側の領域内に配置させ、かつ、車外側O(右側)の端部22bを、フロントピラー1の前縁1bより車内外方向の外側(右側)に突出させるようにして、フロントピラー1の前面1aを覆うように、構成されている。さらに詳細には、実施形態のエアバッグ21では、膨張完了時の膨張本体部22の中心Cは、図11に示すように、フロントガラス6の外縁6a(右縁)を支持しているフロントピラー1の車内側端(接着剤7)よりも車幅方向(左右方向)に沿った車内外方向の内側(左側)に、配置されることとなる。
【0018】
接続口部23は、図5に示すように、膨張本体部22の膨張完了時における下端22a付近から延びて、先端側を、インフレーター15の接続パイプ17と、連結されている。取付片部24は、膨張本体部22の長手方向に沿って複数個配置されるもので、実施形態の場合、図5に示すように、膨張本体部22における上下の中央よりやや下方となる部位と、上端付近と、の2箇所に、形成されている。取付片部24は、図4に示すように、ケース28をフロントピラー1側に取り付ける雄型クリップ48を利用して、ケース28とともに、車体側となるフロントピラー1側に取り付けられるもので、実施形態の場合、雄型クリップ48の外形形状に合わせて、上下方向側の幅寸法を幅広とした略長方形状とされており、雄型クリップ48の後述する係止脚部50を挿通可能な挿通孔24aを、備えている。実施形態の場合、各取付片部24は、上下方向(フロントピラー1の軸方向)に沿って2個の挿通孔24aを、並設させている。そして、この取付片部24は、車両搭載時に、雄型クリップ48の後述する挟持片52と、ケース28の後述する底壁部32(後側壁部)と、に挟持されるようにして、ケース28側に取り付けられることとなる(図4,12参照)。また、この取付片部24は、エアバッグ21の膨張完了時に、先端24b側を車外側Oに向けるようにして、この先端24b側を、雄型クリップ48の挟持片52とケース28の底壁部32とに挟持された状態で、挟持片52の先端から延びるように、配置されることとなる(図12参照)。そして、この取付片部24により、膨張完了時の膨張本体部22は、車体を構成するフロントガラス6側(後方側)にひきつけられるような態様となる。また、実施形態の場合、エアバッグ21の膨張本体部22は、図3,4に示すように、平らに展開した状態で車幅方向側(左右方向側)の幅寸法を縮めるように蛇腹折りされた状態で、ケース28内に収納されている。
【0019】
折り畳まれたエアバッグ21を収納させるケース28は、通常の車両において、フロントピラー1とフロントガラス6との境界部位に配置されるウィンドトリムの部位に配置されるもので、フロントガラス6の外縁6a側(図3,4における右縁側)において、図2に示すように、フロントガラス6の前後の略全域にわたって、フロントピラー1に沿うように、配設されている。また、実施形態の場合、このケース28は、下側2/3程度の領域の内部に、折り畳まれたエアバッグ21を収納させている(図1参照)。
【0020】
ケース28は、実施形態の場合、図3,5,9に示すように、折り畳んだエアバッグ21を内部に収納させるとともに前方側を開口させて構成されるケース本体29と、ケース本体29の前方側の開口29aを塞ぐように配置される蓋部34と、を備えて構成されている。蓋部34は、ケース本体29の開口29aを全域にわたって塞ぐように、ケース本体29の前側に配置されるもので、折り畳まれたエアバッグ21の前側を覆う部位である。実施形態の場合、ケース本体29と蓋部34とは、ともに合成樹脂製とされており、蓋部34は、左右両縁(車幅方向に沿った車内外方向の両縁)側を、それぞれ、ケース本体29における後述する外側壁部30及び内側壁部31の前端側に、溶着させることにより、ケース本体29と連結されている。詳細に説明すれば、蓋部34は、左右両縁側に、それぞれ、ケース本体29側(後方側)に向かって突出するような外側突出部35,内側突出部36を、上下の全域にわたって配設されており(図3〜5,9参照)、この外側突出部35,内側突出部36の先端面(後端面)35a,36aを、それぞれ、ケース本体29における外側壁部30及び内側壁部31の前端面30a,31aと一致させて構成している(図9参照)。そして、この外側突出部35,内側突出部36の後端面35a,36aが、それぞれ、全面にわたって、ケース本体29の外側壁部30及び内側壁部31の前端面30a,31aに溶着される構成である。
【0021】
ケース本体29は、断面形状を、前方側を開口させた略U字形状とされており、左右方向側の幅寸法を、上下の全域にわたって略一定として、図5に示すように、下部から上部にかけて高さ(前後方向側の幅寸法、深さ)を漸減させるように、構成されている。また、ケース本体29は、下端側を、エアバッグ21の接続口部23を挿通可能に開口させて構成されるとともに(図5参照)、上端側を図示しないキャップ等により閉塞されている。そして、ケース本体29は、左右方向における車外側(フロントピラー1側)に配置されて折り畳まれたエアバッグ21のフロントピラー1側を覆う外側壁部30と、左右方向における車内側(フロントガラス6側)に配置されて折り畳まれたエアバッグ21のフロントガラス6側を覆う内側壁部31と、外側壁部30と内側壁部31との後端相互を連結するように配置されて折り畳まれたエアバッグ21の後側を覆う後側壁部としての底壁部32と、を備えて構成されている。
【0022】
外側壁部30は、図3,4に示すように、フロントピラー1における車内側I(左側)の面に略沿うように配置されるとともに、厚さを略一定として形成されている。また、外側壁部30は、前端近傍の領域を、蓋部34の外側突出部35と溶着される前端面30aに向かって、厚さ(左右方向側の幅寸法)を縮められるように構成されている(図9のA参照)。後側壁部としての底壁部32は、厚さを略一定に構成されている。また、外側壁部30と底壁部32との境界部位は、図9のAに示すように、底壁部32及び外側壁部30よりも厚さを厚くするように、構成されている。
【0023】
また、底壁部32において、外側壁部30の近傍となる車外側Oの端部(右端)付近には、ケース28をフロントピラー1側に取り付けるための雄型クリップ48の係止脚部50を挿通可能な挿通孔32aが、形成されている(図4参照)。また、底壁部32の後面側であって、雄型クリップ48の配置される部位(雌型クリップ44に対応した位置)には、挿通孔32aの車内側I(左側)となる部位に、車内側Iに向かって一段後方に下がる(突出する)ような段差部32bが、形成されている。この段差部32bは、前後方向に略沿って配置される車外側の面(右側面)を、フロントピラー1側に配置される雌型クリップ44における後述する取付壁46の前端46bと当接可能とするように、構成されている。すなわち、この段差部32bにおける車外側の面(右側面)が、エアバッグ21の展開膨張時に、雌型クリップ44の取付壁46の前端46bの車内側面と当接して、この取付壁46の前端46bのフロントガラス6側への開きを抑制するように、前端46bを押え可能な押え面32cを、構成することとなる。なお、この段差部32bは、実施形態の場合、雌型クリップ44と対応した位置において、上下の幅寸法を、取付壁46の上下の幅寸法と略一致させるように、部分的に配置されている。
【0024】
内側壁部31は、図3,4,9に示すように、後端側にかけて厚さを漸増させるように構成されている。また、内側壁部31は、前端面31aの左右方向の幅寸法(厚さ寸法)T1を、外側壁部30の前端面30aの左右方向の幅寸法(厚さ寸法)T2より大きくするように、構成されている(図9のA参照)。具体的には、内側壁部31の前端面31aの左右方向の幅寸法(厚さ寸法)T1は、外側壁部30の前端面30aの左右方向の幅寸法(厚さ寸法)T2の2倍程度に設定されている。また、内側壁部31の前端面31aの左右方向の幅寸法(厚さ寸法)T1は、図9のAに示すように、底壁部32の厚さ寸法(前後方向の幅寸法)T3より大きく設定されている。そして、内側壁部31と底壁部32との境界部位には、エアバッグ21の展開膨張時に、内側壁部31を底壁部32に対して屈曲させる際の起点となるように、底壁部32に切り込みを入れるような断面略V字形状の切欠凹部33が、長手方向に沿って連続的に、形成されている(図9のA参照)。
【0025】
実施形態の場合、ケース28を構成する蓋部34とケース本体29とは、ともに、ポリプロピレン製とされており、蓋部34の外側突出部35,内側突出部36の後端面35a,36aと、ケース本体29における外側壁部30,内側壁部31の前端面30a,31aと、を、振動溶着により相互に溶着させて、相互に連結されている。そして、実施形態のケース28では、外側突出部35の後端面35aと外側壁部30の前端面30aとを溶着させて形成される外側溶着部38が、内側突出部36の後端面36aと内側壁部31の前端面31aとを溶着させて形成される内側溶着部39よりも、左右方向側の幅寸法を、小さくするように(実施形態の場合、1/2程度)、構成されている。
【0026】
この実施形態のケース28では、インフレーター15の作動時において、エアバッグ21の膨張本体部22が膨張して、ケース28を内側から押圧すると、まず、図9のBに示すように、外側溶着部38の部位での蓋部34とケース本体29(外側壁部30)との連結が解除されて、蓋部34が、外側突出部35側を前方に向けるように押し開かれることとなる。そして、実施形態のケース28では、底壁部32と内側壁部31との境界部位に、切欠凹部33が形成されていることから、ケース本体29が、切欠凹部33の部位を起点として、内側壁部31を、蓋部34ごとフロントガラス6側となる車内側I(左側)に倒すように、変形しつつ(図9のC参照)、膨張する膨張本体部22を前方に突出させることとなり、その後、エアバッグ21が膨張を略完了させた状態で、膨張した膨張本体部22により後方に押圧されて、蓋部34が、内側溶着部39の部位を起点として、外縁側(外側突出部35側)を、車内側I(左側)に向けるように、さらに開くこととなる(図9のD参照)。換言すれば、実施形態では、エアバッグ21の膨張完了時に、図11に示すように、ケース28において、底壁部32から内側壁部31を経て蓋部34までの部位が、略平らに展開した状態で、膨張本体部22の後面側を支持することとなる。
【0027】
また、実施形態のエアバッグ装置Mでは、ケース28とフロントガラス6との間には、ケース28とフロントガラス6との間に生じる隙間を塞ぐように、シール部材41が、上下の全域(フロントピラー1の軸方向に沿った全域)にわたって、配設されている(図3,4参照)。
【0028】
ケース28をフロントピラー1に取り付けるための雌型クリップ44は、フロントピラー1側に配置されるもので、実施形態の場合、フロントピラー1において、アウタパネル2の車幅方向に沿った車内外方向における車内側I(フロントガラス6側)に、上下方向に沿って複数個(実施形態の場合、雄型クリップ48に対応して4個)、配設されている。この雌型クリップ44は、ポリプロピレン等の合成樹脂製とされるもので、図4,6,8に示すように、フロントピラー1側に配置される固定壁45と、フロントガラス6側に配置される取付壁46と、を有して、フロントピラー1の軸直交方向に沿った断面形状を、ケース28側となる前方を開口させた略V字形状とされている。すなわち、雌型クリップ44は、固定壁45と取付壁46との後端相互を連結させ、前端相互を左右方向で離隔させるように構成され、この固定壁45と取付壁46との間の隙間(前端側の開口44a)を、雄型クリップ48における係止脚部50の先端側に形成される係止片51を挿入可能な寸法に、設定されている。取付壁46の上下両縁近傍には、雄型クリップの48の各係止脚部50の先端側に形成される後述する係止片51を周縁で係止可能な2つの係止孔46aが、それぞれ、略左右方向に沿って貫通して、形成されている。また、実施形態の場合、取付壁46は、フロントピラー1の軸直交方向の断面において、底壁部32に形成される押え面32cに押えられる前端46bにかけて先細りとされている。さらに、実施形態の場合、取付壁46は、図6に示すように、上下の中間部位を前方側から略四角形状に切り欠かれている。この切欠部位は、固定壁45をアウタパネル2に固着させるための取付ボルト(図符号省略)を挿通させるために、形成されている。
【0029】
ケース28をフロントピラー1に取り付けるための雄型クリップ48は、雌型クリップ44に対応して、ケース28側に配置されるもので、実施形態の場合、上下方向(フロントピラー1の軸方向)に沿って複数(実施形態の場合、4個)配設される(図5参照)。実施形態の場合、下側に配設される2つの雄型クリップ48が、エアバッグ21の取付片部24と対応した位置に配置されることとなる。この雄型クリップ48は、合成樹脂製とされるもので、図4,6,7に示すように、ケース28内に配置されるとともに上下方向(フロントピラー1の軸方向)に略沿って延びる基部49と、基部49の上下両端側から後方に向かって延びる2つの係止脚部50と、係止脚部50の先端側に配置される係止片51と、基部49と係止片51との間において係止脚部50から突出するように形成される挟持片52と、を備えている。
【0030】
基部49は、外形形状を、長手方向を上下方向(フロントピラー1の軸方向)に略沿わせた長尺状とされるとともに、車両搭載時に、ケース28内において、ケース本体29の外側壁部30(フロントピラー1におけるアウタパネル2の内側面)に略沿って、配設されている。詳細には、基部49は、蓋部34における外側突出部35から、ケース本体29の外側壁部30の上端近傍の部位にかけての内周面側を覆い可能な大きさに、設定されている。各係止脚部50は、ケース28の底壁部32に設けられる挿通孔32aを貫通して、底壁部32から後方に突出するように配置されている。係止片51は、底壁部32から突出している係止脚部50の先端(後端)側において、フロントガラス6側(左側)に向かって突出しつつ、先端51aを前方に向けるように、屈曲して構成されている。そして、この係止片51は、雌型クリップ44の取付壁46に形成される係止孔46a周縁に、係止されることとなる。また、係止片51は、後端側の車内側に、前後方向に対して後方を車外側(右側)に向けるような傾斜面51bを有している(図7参照)。この傾斜面51bは、係止片51を雌型クリップ44の開口44aに挿入させつつ後方移動させる際に、雌型クリップ44の取付壁46を円滑に撓ませるために、形成されている。
【0031】
挟持片52は、係止脚部50における基部49の近傍(係止脚部50の元部側)において、係止脚部50から、フロントガラス6側(左側)に向かって突出するように、形成されている(図4,6,7参照)。この挟持片52は、ケース28の底壁部32に形成される挿通孔32aに挿通不能として、係止片51の係止孔46a周縁への係止時に、エアバッグ21の取付片部24を介して、底壁部32の前面と当接可能に構成されるもので、実施形態の場合、図4に示すように、底壁部32に沿って、係止脚部50から左斜め後方に突出するように、形成されている。そして、実施形態では、係止片51の係止孔46a周縁への係止時に、挟持片52が、エアバッグ21の取付片部24を、ケース28の底壁部32との間で挟持して、取付片部24をケース28側に取り付ける構成である。
【0032】
この実施形態のエアバッグ装置Mの車両への搭載について説明する。なお、雌型クリップ44は、予め、フロントピラー1におけるアウタパネル2の車内側の面の所定箇所に、固着させておく。まず、エアバッグ21の膨張本体部22を、平らに展開した状態から、左右方向の幅寸法を縮めるように折り畳み、折り崩れ防止可能な図示しないラッピング材により周囲をくるみ、折り完了体を形成する。なお、接続口部23と取付片部24とは、ラッピング材から突出させておく。次いで、接続口部23に、図示しないクランプを利用して、インフレーター15から延びる接続パイプ17を連結させる。その後、折り畳まれた膨張本体部22を、開口29aから、ケース本体29内に、収納させる。このとき、接続口部23及びインフレーター15は、ケース本体29の下端側の開口から突出させておく。また、取付片部24は、挿通孔24aの位置を、底壁部32の挿通孔32aと一致させておく。次いで、各雄型クリップ48を、ケース本体29の開口29aから、ケース本体29内部に挿入させ、係止脚部50を、エアバッグ21における取付片部24の挿通孔24aを経て、底壁部32の挿通孔32aに、係止片51及び係止脚部50を挿通させるように、前方側から差し込み、底壁部32から後方に突出させる。そして、挟持片52を、取付片部24を介して、挿通孔32aの周縁に係止させる。その後、蓋部34を、外側壁部30,内側壁部31の前端面30a,31aに、外側突出部35,内側突出部36の後端面35a,36aを当接させつつ、ケース本体29の開口29aを塞ぐように重ね、相互に当接している前端面30a,後端面35aの部位と、前端面31a,後端面36aの部位と、に振動溶着を施して外側溶着部38,内側溶着部39を形成し、ケース本体29に蓋部34を連結させて、エアバッグ組付体を形成する。
【0033】
次いで、エアバッグ組付体のインフレーター15を、ブラケット18を用いて、フロントフェンダーFFの部位の車体側に取り付け、ケース28の底壁部32から突出している各雄型クリップ48の係止脚部50及び係止片51を、前方側から、フロントピラー1側に固着されている雌型クリップ44の固定壁45と取付壁46との間の開口44aに差し込むようにして、係止脚部50の先端側に形成される係止片51を、雌型クリップ44の取付壁46に形成される係止孔46aの周縁に係止させれば、エアバッグ組付体を車体側に取り付けることができる。実施形態の場合、詳細には、後方移動する係止片51に形成される傾斜面51bにガイドされて、雌型クリップ44の取付壁46が、前端をフロントガラス6側に向けるように撓み、係止片51が、取付壁46に形成される係止孔46aに挿入されたならば、取付壁46が復元して、係止片51が、係止孔46aの周縁に係止されることとなる。そして、この係止片51の係止孔46a周縁への係止時に、エアバッグ21の取付片部24が、雄型クリップ48の挟持片52とケース28の底壁部32とに挟持されるようにして、ケース28側に取り付けられることとなる。そして、エアバッグ装置Mを車両Vに搭載することができる。
【0034】
実施形態のエアバッグ装置Mでは、車両Vへの搭載後、インフレーター15が作動されれば、インフレーター15から吐出される膨張用ガスがエアバッグ21の膨張本体部22内に流入して、膨張する膨張本体部22(エアバッグ21)が、ケース28の蓋部34を押し開いて前方へ突出し、図1〜3の二点鎖線、及び、図10,11に示すように、膨張を完了させることとなる。
【0035】
そして、実施形態のエアバッグ装置Mでは、内部に折り畳まれたエアバッグ21を収納させたケース28が、フロントピラー1側に配置される雌型クリップ44と、ケース28側に配置される雄型クリップ48と、を用いてフロントピラー1側に取り付けられる構成であり、具体的には、ケース28の後側壁部としての底壁部32から突出している雄型クリップ48の係止脚部50を、前方側から、フロントピラー1側に予め取付済みの雌型クリップ44の開口44aに差し込むようにして、ケース28全体を後方移動させ、係止脚部50の先端側に形成される係止片51を、雌型クリップ44の取付壁46に形成される係止孔46aの周縁に係止させれば、ケース28をフロントピラー1側に取り付けることができる。また、実施形態のエアバッグ装置Mでは、雄型クリップ48が、係止脚部50から突出する挟持片52を有し、係止片51の係止孔46a周縁への係止時に、エアバッグ21の取付片部24を、この挟持片52とケース28の底壁部(32後側壁部)との間で挟持させることにより、取付片部24をケース28側に取り付けている。そのため、実施形態のエアバッグ装置Mでは、ケース28をフロントピラー1側に取り付ける雄型クリップ48を利用して、エアバッグ21をケース28に取り付けることができて、エアバッグ21をケース28に取り付けるための部材を別途設けなくともよい。また、ケース28のフロントピラー1側への取り付けも、雄型クリップ48の係止脚部50を底壁部32から後方に突出させた状態のケース28を、単に、係止脚部50を雌型クリップ44の開口44aに差し込むように、後方移動させればよいことから、ケース28のフロントピラー1側への取付作業も容易である。
【0036】
したがって、実施形態のエアバッグ装置Mは、エアバッグ21のケース28への取付構成を簡便とし、かつ、ケース28をフロントピラー1側に容易に取り付けることができる。
【0037】
また、実施形態のエアバッグ装置Mでは、ケース28の底壁部32の後面側に、エアバッグ21の展開膨張時に、雌型クリップ44における取付壁46の前端46bのフロントガラス6側への開きを抑制可能に、前端46bを押え可能な押え面32cが、形成されている。そのため、実施形態のエアバッグ装置Mでは、エアバッグ21の展開膨張時に、エアバッグ21の取付片部24をケース28に取り付けている雄型クリップ48が、前方に向かって突出するエアバッグ21とともに、前方移動しようとしても、雌型クリップ44の取付壁46が、ケース28の押え面32cに押えられて、前端46bをフロントガラス6側に向けるように開くことを抑制されることから、係止片51が、係止孔46a周縁との係止を解除されることを、確実に防止できる。
【0038】
なお、実施形態では、折り畳まれたエアバッグ21を収納させるケース28が、ケース本体29と蓋部34とをともに合成樹脂製として、相互に溶着されることにより、一体構成とされているが、本発明のエアバッグ装置で、エアバッグを収納させるケースはこれに限られるものではなく、例えば、ケー本体と蓋部とを別体として、所定箇所でフック等の連結手段を利用して連結させるような構成としてもよい。しかしながら、シール性を考慮すれば、実施形態のエアバッグ装置Mのように、2部品を溶着させて、エアバッグの周囲を全周にわたって覆うように構成されるケースを使用することが好ましい。
【符号の説明】
【0039】
1…フロントピラー、
1a…前面、
6…フロントガラス、
15…インフレーター、
21…エアバッグ、
22…膨張本体部、
24…取付片部、
24a…挿通孔、
28…ケース、
32…底壁部(後側壁部)、
32a…挿通孔、
32c…押え面、
44…雌型クリップ、
44a…開口、
45…固定壁、
46…取付壁、
46a…係止孔、
46b…前端、
48…雄型クリップ、
49…基部、
50…係止脚部、
51…係止片、
52…挟持片、
V…車両、
M…エアバッグ装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両におけるフロントピラーとフロントガラスとの境界部位付近に配設されて、
膨張完了時に前記フロントピラーの前面側を覆い可能に、膨張完了形状を、軸方向を前記フロントピラーの軸方向に略沿わせた長尺状として構成されるエアバッグと、
前記フロントピラーに略沿うように配設されて、前記フロントピラーに取り付けられるとともに、折り畳まれた前記エアバッグを収納させるケースと、
を備える構成とされて、
前記エアバッグが、膨張完了時に前記フロントピラーの前面側を覆うように膨張するとともに車幅方向側の幅寸法を縮められるように折り畳まれて前記ケース内に収納される膨張本体部と、該膨張本体部を前記ケース側に取り付ける取付片部と、を備える構成のエアバッグ装置であって、
前記ケースが、前記フロントピラーの軸方向に沿って複数個配置されるとともに、それぞれ、前記フロントピラー側に配置される雌型クリップと、前記ケース側に配置される雄型クリップと、を用いて、前記フロントピラー側に取り付けられる構成として、
前記雄型クリップが、前記ケース内に配置される基部と、前記ケースにおいて前記エアバッグの後側に配置される後側壁部を貫通して後方に突出するように前記基部から突出して形成される係止脚部と、該係止脚部の先端側において前記フロントガラス側に突出するように形成される係止片と、前記基部と前記係止片との間において前記係止脚部から突出するように形成されて前記取付片部を前記後側壁部側に取付可能な挟持片と、を備える構成とされ、
前記雌型クリップが、前記フロントピラー側に配置される固定壁と、前記フロントガラス側に配置される取付壁と、を有して、前記雄型クリップの前記係止脚部を挿入可能に、前記ケース側となる前方を開口させた断面略V字形状として構成されるとともに、前記固定壁を前記フロントピラー側に固着させ、前記取付壁に、前記係止片を周縁で係止可能な係止孔を配設させる構成とされて、
前記エアバッグの取付片部が、前記雄型クリップの前記係止脚部を挿通可能な挿通孔を備える構成とされて、
前記挟持片が、前記係止片の前記係止孔周縁への係止時に、前記取付片部を、前記ケースの前記後側壁部との間で挟持して、前記取付片部を前記ケース側に取付可能に、構成されていることを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項2】
前記ケースの後側壁部の後面側に、前記エアバッグの展開膨張時に、前記雌型クリップにおける前記取付壁の前端の前記フロントガラス側への開きを抑制可能に、前記前端を押え可能な押え面が、形成されていることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ装置。
【請求項1】
車両におけるフロントピラーとフロントガラスとの境界部位付近に配設されて、
膨張完了時に前記フロントピラーの前面側を覆い可能に、膨張完了形状を、軸方向を前記フロントピラーの軸方向に略沿わせた長尺状として構成されるエアバッグと、
前記フロントピラーに略沿うように配設されて、前記フロントピラーに取り付けられるとともに、折り畳まれた前記エアバッグを収納させるケースと、
を備える構成とされて、
前記エアバッグが、膨張完了時に前記フロントピラーの前面側を覆うように膨張するとともに車幅方向側の幅寸法を縮められるように折り畳まれて前記ケース内に収納される膨張本体部と、該膨張本体部を前記ケース側に取り付ける取付片部と、を備える構成のエアバッグ装置であって、
前記ケースが、前記フロントピラーの軸方向に沿って複数個配置されるとともに、それぞれ、前記フロントピラー側に配置される雌型クリップと、前記ケース側に配置される雄型クリップと、を用いて、前記フロントピラー側に取り付けられる構成として、
前記雄型クリップが、前記ケース内に配置される基部と、前記ケースにおいて前記エアバッグの後側に配置される後側壁部を貫通して後方に突出するように前記基部から突出して形成される係止脚部と、該係止脚部の先端側において前記フロントガラス側に突出するように形成される係止片と、前記基部と前記係止片との間において前記係止脚部から突出するように形成されて前記取付片部を前記後側壁部側に取付可能な挟持片と、を備える構成とされ、
前記雌型クリップが、前記フロントピラー側に配置される固定壁と、前記フロントガラス側に配置される取付壁と、を有して、前記雄型クリップの前記係止脚部を挿入可能に、前記ケース側となる前方を開口させた断面略V字形状として構成されるとともに、前記固定壁を前記フロントピラー側に固着させ、前記取付壁に、前記係止片を周縁で係止可能な係止孔を配設させる構成とされて、
前記エアバッグの取付片部が、前記雄型クリップの前記係止脚部を挿通可能な挿通孔を備える構成とされて、
前記挟持片が、前記係止片の前記係止孔周縁への係止時に、前記取付片部を、前記ケースの前記後側壁部との間で挟持して、前記取付片部を前記ケース側に取付可能に、構成されていることを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項2】
前記ケースの後側壁部の後面側に、前記エアバッグの展開膨張時に、前記雌型クリップにおける前記取付壁の前端の前記フロントガラス側への開きを抑制可能に、前記前端を押え可能な押え面が、形成されていることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−76493(P2012−76493A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−220996(P2010−220996)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
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