説明

エアフィルタケース

【課題】吸引力および製作コストの増大を抑えつつ、簡単な構成で雨水や泥はねなどが多い環境下においても水の浸入を十分に防止することができるエアフィルタケースを提供する。
【解決手段】エアフィルタケース100は、樹脂製の収容体110と蓋体120とを備えている。収容体110は、エアフィルタ200を収容する収容体110を形成する内側防水壁112と、同内側防水壁112の外側に外側防水壁114とを備えている。外側防水壁114の一側面には、エアフィルタケース100内に空気を吸引するための外気導入開口部114aが形成されている。蓋体120は、内側防水壁112と外側防水壁114との間に配置される中間防水壁122を備えている。外気導入開口部114aから導入される空気は、外側防水壁114と中間防水壁122との間の外側空間部130と、同中間防水壁122と内側防水壁112との間の内側空間部140とを介して収容部113に導かれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸引した外気に含まれる塵埃を除去するエアフィルタを収容するためのエアフィルタケースに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車などの自走式車両の駆動源となる内燃機関(エンジン)においては、混合気に必要な空気を外気から取り入れる際、吸引した空気に含まれる塵埃を除去するために濾紙、不織布または多孔質材などから構成されるエアフィルタを備えている。エアフィルタは、通常、外気を導入するための外気導入孔を備えたエアフィルタケース内に収容されている。例えば、下記特許文献1には、自走式車両におけるエンジンルーム内に内燃機関とともに設置される略円筒状のエアフィルタおよび同エアフィルタを収容する略円筒状のエアフィルタケースが開示されている。
【特許文献1】特開2001−207923号公報
【0003】
ところで、このような自走式車両の中には、エアフィルタケースを含む内燃機関が外部に略露出した状態で搭載される自走式車両、例えば、所謂ゴーカートなどの小型自走式車両がある。このような小型自走式車両に搭載されるエアフィルタケースは、雨水や泥はねなどの水が直接エアフィルタに導かれることを防止するため、エアフィルタケース内における外気導入孔の開口部が直接エアフィルタに対向しないように構成されている。
【0004】
しかしながら、雨水や泥はねなどが多い劣悪な環境下を小型自走式車両が走行する場合においては、単に、外気導入孔の開口部をエアフィルタに対向しないように構成しただけではエアフィルタケース内への水の浸入を十分に防止することは困難である。すなわち、このような防水対策が不十分なエアフィルタケースを搭載する小型自走式車両においては、走行可能な環境が制限されるという問題がある。このため、例えば、下記特許文献2に示すように、エアフィルタケースにおける外気導入孔からエアフィルタに至る通気経路を屈曲・旋回等させて形成することが考えられる。
【特許文献2】特開平07−310610号公報
【0005】
しかしながら、上記特許文献2に示すエアフィルタケースにおいては、外気導入孔からエアフィルタに至る通気経路を屈曲・旋回させて長くしているため、外気を吸引するための吸引力(負圧)が増大して内燃機関に掛かる負荷が増大する。特に、内燃機関の始動時においては大きな吸引力がエアフィルタケース内に瞬間的に生じるため、内燃機関に掛かる負荷の増大とともに、エアフィルタケースの耐久性の確保が危惧される。すなわち、外気導入孔からエアフィルタに至る複雑かつ長くすると、内燃機関における空気の吸引効率が低下するとともに、エアフィルタケースの構成が複雑化して製作コストが増大するという問題がある。
【発明の開示】
【0006】
本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、吸引力および製作コストの増大を抑えつつ、簡単な構成で雨水や泥はねなどが多い劣悪な環境下においても水の浸入を十分に防止することができるエアフィルタケースを提供することにある。
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明の特徴は、吸引した空気に含まれる塵埃を除去するエアフィルタを収容する収容部が形成された収容体と、少なくとも前記収容部を覆う蓋体とを備えるエアフィルタケースにおいて、収容体は、収容部を形成する内側防水壁と、内側防水壁の外側に所定の間隔を介して形成された外側防水壁とを備え、蓋部は、内側防水壁と外側防水壁との間に配置される中間防水壁を備え、外側防水壁と中間防水壁との間の外側空間部内に吸引された空気を収容部内に導くために、外側空間部と、同中間防水壁と内側防水壁との間の内側空間部とが連通して通気路を形成していることにある。
【0008】
このように構成した請求項1に係る発明の特徴によれば、エアフィルタを収容する収容体は内側防水壁と外側防水壁とを備え、蓋体は内側防水壁と外側防水壁との間に配置される中間防水壁を備えている。そして、エアフィルタケース内に導入される空気は、外側防水壁と中間防水壁との間の外側空間部と、同中間防水壁と内側防水壁との間の内側空間部とが連通して形成された通気路を通ってエアフィルタが収容されている収容部に導かれる。すなわち、外側空間内に導入された空気は、中間防水壁および内側防水壁に沿って屈曲しながら収容部内に導かれる。このため、外気導入孔の開口部をエアフィルタに対向しないように構成した従来のエアフィルタケースに比べて通気路が屈曲している分、水の浸入を防止することができる。また、外気導入孔からエアフィルタに至る通気経路を屈曲・旋回させて長くした従来のエアフィルタケースに比べて通気路が単純かつ短く形成されているため、吸気効率の低下およびエアフィルタケースの構成の複雑化による製作コストの増大を抑えることができる。すなわち、本願発明に係るエアフィルタケースは、簡易な構成で吸引力の増大を抑えつつ、雨水や泥はねなどが多い劣悪な環境下においても水の浸入を十分に防止することができる。
【0009】
また、請求項2に係る発明の特徴は、前記エアフィルタケースにおいて、外側防水壁は、外側空間部内に空気を導入するための外気導入開口部を有することにある。これによれば、外側空間部内に空気を導入するための外気導入開口部を大きく形成することができる。これにより、エアフィルタケース内に大量の空気を導入し易くなり空気の吸引効率を向上させることができるとともに、エアフィルタケースに掛かる負圧による負荷を抑えることができる。
【0010】
また、請求項3に係る発明の特徴は、前記エアフィルタケースにおいて、内側防水壁は、先端部に外側防水壁側に突出して形成された防水片を備えていることにある。これによれば、内側防水壁の先端部に防水片が形成されているため、内側防水壁に沿って導かれた水の進行が妨げられる。これにより、エアフィルタケース内に浸入した水の収容部への浸入をより効果的に防止することができる。
【0011】
また、請求項4に係る発明の特徴は、前記エアフィルタケースにおいて、収容体は、内側防水壁と外側防水壁との間に水抜き孔を備えていることにある。これによれば、内側防水壁と外側防水壁との間に水抜き孔が形成されているため、外側空間部および内側空間部内に浸入した水をエアフィルタケースの外に排出することができる。これにより、エアフィルタケース内に浸入した水の収容部への浸入をより効果的に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(エアフィルタケース100の構成)
以下、本発明に係るエアフィルタケースの一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係るエアフィルタケース100の外観を実線で示す外観斜視図である。本実施形態におけるエアフィルタケース100は、所謂ゴーカートなどの遊戯用小型自走式車両の内燃機関(図示せず)に清浄された空気を供給するエアフィルタを収容するためのものである。なお、本明細書において参照する各図は、本発明の理解を容易にするために一部の構成要素を誇張して表わすなど模式的に表している。このため、各構成要素間の寸法や比率などは異なっていることがある。
【0013】
このエアフィルタケース100は、FRP(繊維強化プラスチック)製の収容体110と蓋体120とから構成されている。収容体110は、詳しくは、図2および図3(A),(B)に示すように、上面が開放された箱状に形成されている。収容体110の内部における底部111の中央部には、同底部111を貫通する排気孔111aが形成されている。排気孔111aは、エアフィルタケース11内に収容されるエアフィルタ200によって清浄された空気をエアフィルタケース100の外に導くための孔である。
【0014】
排気孔111aの外側には、同排気孔111aを囲む状態で内側防水壁112が底部111から起立して形成されている。内側防水壁112は、その内側(内側防水壁112で囲まれた内部空間)にエアフィルタケース100内に吸引された空気に含まれる塵埃を取り除くためのエアフィルタ200を収納する空間である収納部113を形成するとともに、同収納部113内への水の浸入を防止するための壁体である。また、内側防水壁112の先端部には、内側防水壁112の外側に向って略直角方向に屈曲した防水片112aが形成されている。
【0015】
内側防水壁112の外側には、所定の間隔を介して外側防水壁114が形成されている。外側防水壁114は、内側防水壁112の外側を覆って収容体110の筐体を構成する壁体であり、内側防水壁112の高さより高い高さに形成されている。この外側防水壁114における一側面には、略楕円形状に貫通した外気導入開口部114aが形成されている。外気導入開口部114aは、エアフィルタケース100内に外気を導入するための孔である。なお、この外気導入開口部114aが形成された外側防水壁114の一側面は、遊戯用小型自走式車両の前進方向とは反対方向に面した側面である。すなわち、外気導入開口部114aは、遊戯用小型自走式車両の後方に向って開口している。
【0016】
外側防水壁114の先端部には、ウレタン性の緩衝材114bが貼り付けられている。また、内側防水壁112と外側防水壁114との間における収容体110の底部111には、同底部111を貫通する2つの排水孔111b,111cがそれぞれ形成されている。排水孔111b,111cは、外側防水壁114の内側、換言すれば、内側防水壁112の外側に浸入した水をエアフィルタケース100の外にそれぞれ排出するための孔である。
【0017】
蓋体120は、収容体110の上面を覆って塞ぐ蓋部材である。蓋体120の周縁部には、収容体110の上面からの水の浸入を防止するための庇部121が、図示下方に屈曲して形成されている。庇部121の内側における蓋体120の内側面には、図示下方に向って筒状に下垂した状態で中間防水壁122が形成されている。中間防水壁122は、蓋体120を収容体110の上面に配置した際に、収容体110の内側防水壁112と外側防水壁114との間に位置するとともに、外側防水壁114に形成された外気導入開口部114aの底部側端面よりも長く、かつ収容体110の底部111に接触しない程度の長さに形成されている。また、蓋体120の中央部は、図示上方に向かって隆起して形成されるとともに、その中央部に蓋体120を貫通する貫通孔123が形成されている。なお、これらの収容体110および蓋体120は、必ずしもFRP製である必要はなく、他の素材、例えば、他の樹脂素材や金属素材などで成形してもよいことは当然である。
【0018】
ここで、このように構成された収容体110と蓋体120とを備えるエアフィルタケース100の組み付けについて説明する。このエアフィルタケース100は、前記したようにエアフィルタ200を収容した状態で遊戯用小型自走式車両の内燃機関(図示せず)に連結部材300(図において二点鎖線で示す)を介して組み付けられる。作業者は、まず、収容体110、蓋体120、エアフィルタ200、連結部材300、蝶ナット400a,400bおよびパッキン500をそれぞれ用意する。
【0019】
この場合、エアフィルタ200は、本実施形態においては、多孔質材であるスポンジ材を略楕円柱状に形成したものを用いる。このエアフィルタ200の中心部には、エアフィルタ200の固定に用いる貫通孔201が形成されている。また、連結部材300は、エアフィルタケース100を遊戯用小型自走式車両の内燃機関に接続するための接続部であり、略直方体状に形成された本体部301の上面にエアフィルタ200によって清浄された空気が通る円筒状の通気管302が形成されるとともに、同通気管302の中心部に固定軸303が形成されている。固定軸303の先端部側表面には、蝶ナット400a,400bに螺合する雄ネジ部304が形成されている。蝶ナット400a,400bは、前記雄ネジ部304に螺合してエアフィルタ200および蓋体120を固定するためのものである。また、パッキン500は、硬質ゴムをリング状に形成して構成されている。
【0020】
作業者は、連結部材300の固定軸303にパッキン500、収容体110の排気孔111a、エアフィルタ200の貫通孔201および蝶ナット400aを順次通して蝶ナット400aを締め付けることによりこれらを固定軸303に固定する。この場合、エアフィルタ200は、収容体110の収容部113内に収容された状態で固定される。次に、作業者は、連結部材300の固定軸303に蓋体120および蝶ナット400bを順次通して蝶ナット400bを締め付けることにより蓋体120を収容体110上に固定する。この場合、作業者は、蝶ナット400bと蓋体120との間に図示しない平ワッシャおよび防水パッキンを介して蝶ナット400bを締め付ける。これにより、エアフィルタ200が収容されたエアフィルタケース100が完成する。
【0021】
(エアフィルタケース100の作動)
次に、上記のように構成したエアフィルタケース100の作動について説明する。エアフィルタ200を内蔵したエアフィルタケース100が遊戯用小型自走式車両の内燃機関に接続された状態で、作業者は、遊戯用小型自走式車両の内燃機関を始動させる。これにより、エアフィルタケース100内に吸引力(負圧)が生じ、エアフィルタケース100の外気導入開口部114aの周辺に存在する外気が外気導入開口部114aを介して外側防水壁114と中間防水壁122との間の空間である外側空間部130内に吸い込まれる(図3(A),(B)において破線矢印参照)。なお、この場合、厳密には、収容体110の底部111に形成された排水孔111b,111cからも空気が引き込まれている。
【0022】
外側空間部130内に引き込まれた空気は、中間防水壁122に沿って移動し、中間防水壁122と内側防水壁112との間の空間である内側空間部140内を介して収容部113内に導かれる(図3(A),(B)において破線矢印参照)。収容部113内に導かれた空気は、エアフィルタ200内に吸引されることにより塵埃が除去されて連結部材300の通気管302を介して内燃機関に供給される。すなわち、外側空間部130と内側空間部140とは、本発明に係る通気路を形成している。また、内側防水壁112と外側防水壁114との間の所定の間隔は、前記通気路が確保される間隔である。
【0023】
そして、雨天時や泥はねの多い環境下を遊戯用小型自走式車両が走行する場合においては、外気導入開口部114aを介して外側空間部130内に水が浸入することがある。しかし、外部空間部130内に浸入した水は、中間防水壁122によって収容体110の底部111に導かれる。そして、収容体110の底部111に導かれた水は、内側防水壁112によって内側空間部140への浸入が阻止されるとともに、底部111に形成された排水孔111b,111cを介してエアフィルタケース100の外へと排出(図示破線矢印参照)される。
【0024】
また、遊戯用小型自走式車両の走行時の振動によってエアフィルタケース100が振動した場合であっても、収容体110の底部111に導かれた水は、内側防水壁112の高さおよび同内側防水壁112の先端部に設けられた防水片112aにより収容部113への浸入が阻止される。なお、これらの場合においても、収容部113への空気の通気性が阻害されることはない。これらにより、外気導入開口部114aを介してエアフィルタケース100内に水が浸入した場合であっても、空気の通気性を維持しつつエアフィルタ200が収容された収容部113への水の浸入が防止される。そして、作業者により遊戯用小型自走式車両の内燃機関を作動が停止された場合には、エアフィルタケース100への空気の吸引も停止する。
【0025】
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、エアフィルタ200を収容する収容体110は内側防水壁112と外側防水壁114とを備え、蓋体120は内側防水壁112と外側防水壁114との間に配置される中間防水壁122を備えている。そして、エアフィルタケース100内に導入される空気は、外側防水壁114と中間防水壁122との間の外側空間部130と、同中間防水壁122と内側防水壁112との間の内側空間部140とが連通して形成された通気路を通って収容部113に導かれる。すなわち、外側空間部130内に導入された空気は、中間防水壁122および内側防水壁112に沿って屈曲しながら収容部113内に導かれる。このため、外気導入孔の開口部をエアフィルタに対向しないように構成した従来のエアフィルタケースに比べて通気路が屈曲している分、水の浸入を防止することができる。また、外気導入孔からエアフィルタに至る通気経路を屈曲・旋回させて長くした従来のエアフィルタケースに比べて通気路が単純かつ短く形成されているため、吸気効率の低下およびエアフィルタケースの構成の複雑化による製作コストの増大を抑えることができる。すなわち、本願発明に係るエアフィルタケース100は、簡易な構成で吸引力の増大を抑えつつ、雨水や泥はねなどが多い劣悪な環境下においても水の浸入を十分に防止することができる。
【0026】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0027】
例えば、上記実施形態においては、外気導入開口部114aを収容体110の外側防水壁114の一側面に形成した。しかし、エアフィルタケース100の外側に存在する空気が中間防水壁122と外側防水壁114との間の外側空間部130内に吸引される構成であれば、外気導入開口部114aの形状や形成位置は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、外気導入開口部114aを収容体110の外側防水壁114における上記実施形態とは異なる単一のまたは複数の側面に形成してもよいし、同外気導入開口部114aを蓋体120に設けるようにしてもよい。また、外気導入開口部114aを単一の孔ではなく複数の孔からなるメッシュ状に形成してもよいし、同外気導入開口部114aを孔ではなく外側防水壁114の先端部を切り欠いて形成してもよい。これらによっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
【0028】
また、上記実施形態においては、内側防水壁112の先端部に沿って防水片112aを形成した。しかし、防水片112aは、収容部113への水の浸入をより効果的に防止するためのものであり、必ずしも必要なものではない。すなわち、内側防水壁112の先端部に防水片112aを設けない構成であっても本発明の効果を一定範囲で達成することができるものである。
【0029】
また、上記実施形態においては、内側防水壁112と外側防水壁114との間における収容体110の底部111に2つの排水孔111b,111cを設けた。しかし、これら2つの排水孔111b,111cは、外側空間部130内に浸入した水をエアフィルタケース100の外へ排水することができれば、形状、形成位置、形成数は、上記実施形態に限定されるものではない。また、排水孔111b,111cを設けない構成であってもよい。この場合、内側防水壁112と外側防水壁114との間における収容体110の底部111に浸入した水が溜まるため、溜まった水を適宜排水することが好ましい。なお、本実施形態においては、排水孔111b,111cを設けない構成であっても収容体110の底部111溜まった水は、外気導入開口部114aの底部側端面の高さ以上に溜まることはない。
【0030】
また、上記実施形態においては、中間防水壁122の長さを、外側防水壁114に形成された外気導入開口部114aの底部側端面よりも長く、かつ収容体110の底部111に接触しない程度の長さに形成した。しかし、中間防水壁122の長さは、収容部113への水の浸入を防止できるとともに、外側空間部130と内側空間部140との空気の通気性を阻害しない長さであれば、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、中間防水壁122を収容部110の底部111に接触する長さに形成するとともに、同中間防水壁122における底部111との接触部分から所定量だけ上方部分に通気孔を設けるように構成してもよい。これによれば、外側空間部130内に浸入した水の内側空間部140への浸入を防止しつつ、吸引した空気の通気性を確保することができる。
【0031】
また、上記実施形態においては、エアフィルタ200を多孔質状に形成されたスポンジ材で構成した。しかし、エアフィルタ200の素材および形態は、上記実施形態に限定されるものでないことは当然である。すなわち、エアフィルタ200は、吸引した空気に含まれる塵埃を除去することができる素材および形態であればよく、例えば、濾紙や不織布などを用いて構成してもよい。これらによっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
【0032】
また、上記実施形態においては、遊戯用小型自走式車両の内燃機関に適用されるエアフィルタケース100に本発明を適用した。しかし、本発明は、エアフィルタ200を介して空気を吸引して作動する装置に広く適用できるものである。具体的には、自走式車両以外の内燃機関、例えば、チェーンソーや草刈り機に用いられる内燃機関用のエアフィルタケースや、空調機に用いられるベンチレータなどに適用できる。これらにおいても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態に係るエアフィルタケースの全体構成に示す外観斜視図である。
【図2】図1に示すエアフィルタケースの組み立て状態を説明するための分解斜視図である。
【図3】図1に示すエアフィルタケースの断面を示す図であり、(A)は図1のA−A線から見たエアフィルタケースの断面図であり、(B)は図1のB−B線から見たエアフィルタケースの断面図である。
【符号の説明】
【0034】
100…エアフィルタケース、110…収容体、111…底部、111a…排気孔、111b,111c…排水孔、112…内側防水壁、112a…防水片、113…収容部、114…外側防水壁、114a…外気導入開口部、120…蓋部、121…庇部、122…中間防水壁、123…貫通孔、130…外側空間部、140…内側空間部、200…エアフィルタ、300…連結部材、302…通気管、303…固定軸、500…パッキン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引した空気に含まれる塵埃を除去するエアフィルタを収容する収容部が形成された収容体と、
少なくとも前記収容部を覆う蓋体とを備えるエアフィルタケースにおいて、
前記収容体は、
前記収容部を形成する内側防水壁と、
前記内側防水壁の外側に所定の間隔を介して形成された外側防水壁とを備え、
前記蓋部は、
前記内側防水壁と前記外側防水壁との間に配置される中間防水壁を備え、
前記外側防水壁と前記中間防水壁との間の外側空間部内に吸引された前記空気を前記収容部内に導くために、前記外側空間部と、同中間防水壁と前記内側防水壁との間の内側空間部とが連通して通気路を形成していることを特徴とするエアフィルタケース。
【請求項2】
請求項1に記載したエアフィルタケースにおいて、
前記外側防水壁は、前記外側空間部内に前記空気を導入するための外気導入開口部を有することを特徴とするエアフィルタケース。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載したエアフィルタケースにおいて、
前記内側防水壁は、先端部に前記外側防水壁側に突出して形成された防水片を備えていることを特徴とするエアフィルタケース。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載したエアフィルタケースにおいて、
前記収容体は、前記内側防水壁と前記外側防水壁との間に水抜き孔を備えていることを特徴とするエアフィルタケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−19174(P2010−19174A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−180785(P2008−180785)
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(508209853)アルナ株式会社 (1)
【Fターム(参考)】