説明

エアフィルタ及びそれを用いたフィルタ装置

【課題】フィルタ装置に室内側からエアフィルタを取付・交換する際、作業者が一人で簡単に作業でき、従来の気密化や交換時の問題を解消可能なフィルタ装置及びそれに用いるエアフィルタを提供する。
【解決手段】本発明のフィルタ装置10は、ケーシング11内の空気流通口14を形成するフィルタ取付枠13に立設された軸部材16と、該軸部材16に挿通した調整部材18及び押さえ板17とにより、略円形状断面の受金5をフィルタ枠3の少なくとも略対角線上2箇所に備えるエアフィルタ1を締め付け固定し、エアフィルタ1のガスケット4をフィルタ枠3とフィルタ取付枠13との間で圧縮してシール化する。フィルタ取付枠13の下流側面には、エアフィルタ1の受金5と嵌合するように、受金5の位置と対応する2箇所に、略L字状あるいは略U字状断面の受け座15が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清浄空間を形成するため室内側から高性能フィルタを取り付けることが可能なフィルタ装置及びそれに用いられるエアフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フィルタ装置に室内側から高性能フィルタ(エアフィルタ)を取り付ける場合には、この高性能フィルタをフィルタ取付板(あるいはフィルタ取付枠)に当接させ、高性能フィルタを支えながら、フィルタ取付板に溶接等により予め固定されたスタッドボルトに押さえ板を挿通した状態でナットで締め付け、高性能フィルタの上流側に設けられたガスケットを圧縮して高性能フィルタとフィルタ取付板との間を気密化し、高性能フィルタをフィルタ装置に取り付けていた。
しかしながら、このような従来の高性能フィルタの取り付け作業では、フィルタ取付作業は重筋作業であるため、一人の作業者が高性能フィルタを支えつつ、もう一人の作業者がナットの締め付け作業をする必要があり、一人の作業者では取付作業を行うことができないという問題があった。
この問題を解決するために、上下にフランジを有するとともに、この下フランジの一辺に角穴を設けた高性能フィルタを利用し、該高性能フィルタを取り付ける際には、まず、フィルタ取付板に溶接等により固定した断面略L字形の受け金具の一端を下フランジの角穴に引っ掛けて、高性能フィルタを落下させることなくそれを片手で支えつつもう一方の手でナットの締め付け作業をすることにより、作業者が一人で高性能フィルタを取り付けることができるフィルタ装置及びその取付方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平10−216444号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されるフィルタ装置では、受け金具を角穴に引っ掛けることにより高性能フィルタの取付時あるいは交換時に、この高性能フィルタの落下を防止することができる点で有益ではあるものの、下フランジの一点で高性能フィルタを支えているため、ガスケットの四周均等に圧力をかけてナットを締め付けることができないという問題があった。
仮に、特許文献1に開示されるフィルタ装置において、下フランジの対向する2辺の2箇所に断面略L字の受け金具を設けた場合には、ガスケットの四周均等に圧力をかけてナットを締め付けるという点では改善する可能性もある。しかしながら、2つの受け金具間の距離よりも高性能フィルタの下フランジの角穴が対向する辺の距離の方が長いため、高性能フィルタを傾けて持ち上げる必要がある。また、このような場合には、高性能フィルタとフィルタ取付板との間の距離を十分に確保することができないため、高性能フィルタの取付作業が困難になってしまうという問題がある。
逆に、高性能フィルタをフィルタ装置に取り付けやすくするため、高性能フィルタとフィルタ取付板との間の距離を十分にとると、ナットを締め付けていくと角穴への受け金具の引っ掛かりが外れた状態で、高性能フィルタがフィルタ装置に取り付けられてしまうことになる。そして、次に高性能フィルタを交換する場合に、ナットを緩めたとき、高性能フィルタの角穴に受け金具がスムーズに引っ掛からない場合もあり、例えば、高性能フィルタが抜け落ちてしまうという問題が起こり得る。
【0005】
そこで、本発明は、フィルタ装置に室内側からエアフィルタ(高性能フィルタ)を取り付けたり、交換したりする際に、作業者が一人で簡単に作業を行うことができるとともに、従来の気密化の問題、交換時の問題を解消することができるフィルタ装置及びそれに用いるエアフィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のエアフィルタは、請求項1に記載の通り、ろ材からなるフィルタパックを方形筒状のフィルタ枠に収納し、前記フィルタ枠の空気流における上流側にガスケットを貼着したエアフィルタにおいて、
前記フィルタ枠の対向する一対の枠の少なくとも略対角線上の2箇所に、外方に突出した受金あるいは受け座を設けたことを特徴とする。
また、請求項2に記載のエアフィルタは、請求項1に記載のエアフィルタにおいて、前記受金は、略円形状断面の棒状体であることを特徴とする。
また、請求項3に記載のエアフィルタは、請求項1に記載のエアフィルタにおいて、前記受け座は、その断面が略L字状あるいは略U字状であることを特徴とする。
本発明のフィルタ装置は、請求項4に記載の通り、請求項2に記載のエアフィルタを、ケーシング内の空気流通口を形成するフィルタ取付枠に立設された軸部材と、該軸部材に挿通した調整部材及び押さえ板とにより、締め付け固定し、前記エアフィルタの前記ガスケットを前記フィルタ枠と前記フィルタ取付枠との間で圧縮してシール化するフィルタ装置であって、
前記エアフィルタの前記受金と嵌合するように、前記フィルタ取付枠の下流側面の前記受金の位置と対応する少なくとも略対角線上の2箇所に、略L字状あるいは略U字状断面の受け座を設けたことを特徴とする。
また、本発明のフィルタ装置は、請求項5に記載の通り、請求項3に記載のエアフィルタを、ケーシング内の空気流通口を形成するフィルタ取付枠に立設された軸部材と、該軸部材に挿通した調整部材及び押さえ板とにより、締め付け固定し、前記エアフィルタの前記ガスケットを前記フィルタ枠と前記フィルタ取付枠との間で圧縮してシール化するフィルタ装置であって、
前記エアフィルタの前記受け座と嵌合するように、前記フィルタ取付枠の下流側面の前記受け座の位置と対応する少なくとも略対角線上の2箇所に、略円形状断面の受金を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のフィルタ装置は、本発明のエアフィルタに設けた受金あるいは受け座と、フィルタ取付枠の下流側面に設けた略L字状又は略U字状断面の受け座あるいは略円形状断面の受金とを嵌合してフィルタを仮止めし、その状態においてナットで押さえ板を締め付けてガスケットを圧縮して気密化することができるため、エアフィルタの取付あるいは交換作業を作業者が一人で行うことができる。
また、本発明のフィルタ装置では、略対角線上に設けられた受金と受け座とによって、エアフィルタの中心点に対し対称に該エアフィルタを支えることができるため、ガスケットに対して偏った力で締め付けることによる気密シール不良を起こすことがない。
また、本発明のフィルタ装置では、エアフィルタに設けた受金あるいは受け座と、フィルタ取付枠の下流側面に設けた略L字状又は略U字状断面の受け座あるいは略円形状断面の受金とを平面的に重ならないよう配置したため、室内側から直線的に持ち上げてその後左右又は前後にスライドさせるだけで、エアフィルタを仮止めし、その後それを取り付け固定することができる。したがって、エアフィルタの取付又は交換時にこのエアフィルタを上下方向に(斜めに)傾ける必要がないので、限られたフィルタ設置空間でエアフィルタを取付・交換することができ、それにより、フィルタ装置のコンパクト化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明のフィルタ装置及びそれに用いるエアフィルタの好適な実施の形態を添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0009】
(第1の実施の形態)
本発明のフィルタ装置及びそれに用いるエアフィルタの第1の実施の形態を説明する。まず、第1の実施の形態のフィルタ装置10及びそれに用いるエアフィルタ1の構成を説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態におけるエアフィルタ1の平面図(図1(a))及び側面図(図1(b))であり、図2は、図1に示すエアフィルタ1を用いた本発明の第1の実施の形態におけるフィルタ装置10の側断面図であり、図3は、図2に示すフィルタ装置10の底面図である。なお、図2は、図3に示すフィルタ装置10をII−II線に沿って取った断面図である。
本実施形態のエアフィルタ1は、図1に示すように、ろ材をプリーツしたフィルタパック2と、このフィルタパック2を収納する方形筒状のフィルタ枠3と、フィルタ枠3のフィルタ装置10への取付側端部周面に設けられたガスケット4と、取付側端部周面の近傍であって、フィルタ枠3の対向する一対の枠の外周面(本実施形態では、フィルタ枠3の各長辺上)に設けられ、この外周面から外方に突出する4本の受金5とから構成される。
なお、フィルタ枠3に設けられた受金5は、本実施形態では、方形状の各頂点近傍に4つ設けられているが、本発明では、これに限らず、後述するようにフィルタ装置10内に取り付ける際に作業者が支持することなく仮止め可能な個数であればよい。そのため、受金5は、例えば、フィルタ枠3の少なくとも略対角線上の2箇所に2本設けられていればよい。
【0010】
また、本発明のフィルタ装置10は、図2及び図3に示すように、ケーシング11内にエアフィルタ1を取り付けるように構成される。ここで、ケーシング11は、その上面の中央部分に設けられたダクト接続用口12と、その内周面に設けられ、中央部分に空気を流通するための空気流通口14(開口)を有するフィルタ取付枠13とから構成される。このフィルタ取付枠13の底面には、エアフィルタ1の受金5とそれぞれ嵌合するように、受金5の位置と対応する位置に4つの略L字状断面の受け座15が設けられている。なお、上述のように、受金5の数が略対角線上に2つの場合には、受け座15の数も同様に2つとなる。
この受け座15は、フィルタ装置10にエアフィルタ1を取り付けたり、エアフィルタ1を交換したりする際に受金5を収納・嵌合するように、略L字形状の開口部の幅が受金5の直径よりも大きくなっている。
【0011】
ここで、本発明に使用する受金5及び受け座15は、腐食性の観点からすると、ステンレス鋼等の合金製のものが好ましいが、エアフィルタ1を取り付けた後、そのエアフィルタ1をしっかりと支えることができる強度があれば、特に金属製(合金製)のものに限定されることなく、例えば、樹脂製のものであってもよい。
また、フィルタ取付枠13の底面には、エアフィルタ1を取り付けた際にフィルタ枠3の外周近傍に位置するように、複数の(本実施形態では、6本)軸部材16が予めフィルタ取付枠13の底面に溶接等されて設けられている。
そして、各軸部材16に押さえ板17を挿通した状態で、軸部材16に螺合する調整部材18を締め付けることにより、エアフィルタ1はフィルタ装置10のケーシング11内に固定され、これにより、フィルタ枠3とフィルタ取付枠13との間においてエアフィルタ1のガスケット4が圧縮され、エアフィルタ1とフィルタ取付枠13との間をシールすることができる。ここで、軸部材16と、押さえ板17と、調整部材18とにより、締付部材が構成される。
なお、フィルタ装置10にエアフィルタ1を取り付けた後、ガスケット4が圧縮されているので、エアフィルタ1の受金5は、図2に示すように、受け座15の内表面よりも若干浮いた状態となっている。
本発明では、軸部材16としては、先端部にネジ溝を設けたボルト等を用いることができ、特に、予めフィルタ取付枠13にこの軸部材16の一方を溶接して固定したスタッドボルトが好ましい。しかしながら、軸部材16は、このような構成に限定されることなく、エアフィルタ1をフィルタ装置10内に取り付けるための軸となるものであればどのようなものでもよい。
また、調整部材18としては、軸部材16のネジ溝に螺合するナット等を用いることができる。ただし、調整部材18は、軸部材16に挿通した押さえ板17の位置や押圧力を締付により調整することができるものであれば、特に限定されない。
なお、図2及び図3では、図示を容易にするために、軸部材16としてスタッドボルトを、また、調整部材18としてナット(締付ナット)を示している。
【0012】
次に、本発明のフィルタ装置10にエアフィルタ1を取り付ける方法について、図3〜図5を参照しつつ説明する。なお、この取付方法では、前提として、本実施形態のフィルタ装置10がクリーンルーム等の天井に設置されているものとして説明する。
まず、図4に示すように、室内側から作業者が一人で、エアフィルタ1の底面を両手で持って真っ直ぐ上方に持ち上げ、フィルタ装置10のフィルタ取付枠13の底面にこのエアフィルタ1を当接させる(図4の2点鎖線で示すエアフィルタ1の状態)。このとき、軸部材16や受け座15に、エアフィルタ1の受金5が当たらないよう十分に気を付ける。
次いで、フィルタ取付枠13の底面に沿って図4において左方向にエアフィルタ1をスライドさせて、エアフィルタ1の各受金5を対応する受け座15に嵌合させる。このように嵌合させた後、作業者は両手を離して、図5に示すように、エアフィルタ1を仮止めの状態とする。
次いで、軸部材16にそれぞれ押さえ板17と調整部材18とを挿通し、すべての押さえ板17がエアフィルタ1のフィルタ枠3に当接していることを確認して、フィルタ取付枠13の対角線順、すなわちフィルタ取付枠13の中心(エアフィルタ1の中心)に対して点対称となる順に(例えば、図5において、左上の軸部材16→右下の軸部材16→左中の軸部材16→右上の軸部材16→左下の軸部材16→右中の軸部材16の順に)、調整部材18を工具で締め付け、エアフィルタ1の上面に設けたガスケット4が2/3程度の厚さになるように圧縮して、図3に示すように、エアフィルタ1とフィルタ取付枠13とを気密シール化する。
以上により、本実施形態のフィルタ装置10へのエアフィルタ1の取付が完了する。
【0013】
次に、本発明のフィルタ装置10に取り付けられたエアフィルタ1を交換する方法について、同様に、図3〜図5を参照しつつ説明する。
まず、室内側から作業者が一人で、調整部材18を対角線順に工具で緩めて、使用済のエアフィルタ1の上面に設けたガスケット4の圧縮状態を開放し、フィルタ装置10の各受け座15にエアフィルタ1の受金5を嵌合させて、使用済のエアフィルタ1を仮置きする。このとき、各押さえ板17がエアフィルタ1の受金5に当たらないように、各押さえ板17を90度以上回転させておくとよい。
次いで、使用済のエアフィルタ1の底面を両手で支えて、フィルタ取付枠13の底面に沿って図4において右方向にエアフィルタ1をスライドさせて、エアフィルタ1の各受金5を対応する受け座15との嵌合から開放する。
次いで、使用済のエアフィルタ1の底面を両手で持って真っ直ぐ下方に降ろして、フィルタ装置10から使用済のエアフィルタ1を取り外す。
次いで、新しいエアフィルタ1をフィルタ装置10に取り付けるが、この取り付け方法は、上述の取付方法と同様であるので、その説明を省略する。
【0014】
(第2の実施の形態)
次に、本発明のフィルタ装置及びそれに用いるエアフィルタの第2の実施の形態を説明する。図6は、本発明の第2の実施形態におけるフィルタ装置10’にエアフィルタ1’を取り付ける方法を説明するための図であり、図7は、図6のVII−VII線断面図である。この第2の実施の形態におけるエアフィルタ1’及びフィルタ装置10’は、受金5’及び受け座15’の構造が異なる点を除き、第1の実施の形態のエアフィルタ1及びフィルタ装置10の構成と同様である。そのため、同様の部材については同一の符号を付し、その説明を省略する。
第1の実施の形態では、エアフィルタ1の受金5を対応する受け座15に嵌合させることにより、エアフィルタ1をフィルタ装置10に仮止めし、作業者が一人でエアフィルタ1の取付・交換作業を行うことができる場合について説明したが、本実施形態では、受け座15’が図7に示すような略L字状であって下方に拡がったテーパ状の断面を有しており、受金5’を受け座15’に深く挿入すると、受金5’が受け座15’としっかりと係合するような構成となっている。
したがって、受金15’がこのような構成であるので、受金5’と受け座15’とがしっかり係合することにより、エアフィルタ1’をフィルタ装置10’に仮止めするのではなく、一人の作業者によってエアフィルタ1’を取り付けたり、交換したりする作業を軽減することができる。
なお、図6では、受金5’がフィルタ枠3の対向する短辺の略対角線上に2つある場合を示しているが、本発明では、このような構成に限らず、上述のように4つの受金5’が短辺あるいは長辺のいずれかにあるような場合でもよい。
【0015】
次に、図6を参照して、本実施形態のフィルタ装置10’にエアフィルタ1’を取り付ける方法を説明する。
まず、図6に示すように、室内側から作業者が一人で、エアフィルタ1’の底面を両手で持って真っ直ぐ上方に持ち上げ、フィルタ装置10’のフィルタ取付枠13の底面にこのエアフィルタ1’を当接させる(図6の2点鎖線で示すエアフィルタ1’の状態)。
次いで、フィルタ取付枠13の底面に沿って図6において上方向にエアフィルタ1’をスライドさせて、エアフィルタ1’の各受金5’を対応する受け座15’にしっかりと係合させる。この場合、受け座15’の断面が下方に拡がるテーパ形状であるので、エアフィルタ1’は、受金5’が対応する受け座15’の奥方にスライドするにつれて、ガスケット4をフィルタ取付枠13に圧接させることになる。このため、調整部材18(図6では図示せず)を締め付けることによって、押さえ板17(図6では図示せず)をエアフィルタ1’のフィルタ取付枠13に当接させるのが容易となる。
以降の工程及びエアフィルタ1’の交換方法については第1の実施の形態と同様であるので、それらの説明を省略する。
【0016】
(第3の実施の形態)
次に、本発明のフィルタ装置及びそれに用いるエアフィルタの第3の実施の形態を説明する。図8は、本発明の第3の実施の形態におけるエアフィルタ1”の平面図及び側面図であり、図9は、本発明の第3の実施の形態におけるフィルタ装置10”の側断面図である。
上述の第1の実施の形態では、エアフィルタ1に受金5を設け、フィルタ装置10のフィルタ取付枠13に受け座15を設ける構造としたが、本実施形態では、第1の実施の形態とは逆に、エアフィルタ1”に受け座5”を設け、フィルタ装置10”のフィルタ取付枠13に受金15”を設ける構造としている。
この受け座5”は、図8に示すように、例えば、図8(b)において左方向に開口を有する略U字形の断面を有するものであり、図9に示すように、エアフィルタ1”の取付時(仮止め時)には、フィルタ取付枠13に設けられた略円形状断面の受金15”と嵌合するものである。なお、受け座5”の断面は、横向きの略U字形に限定されず、例えば、逆向きの略U字形や略L字形等のように受金15”と嵌合し得るものであればよい。また、受金15”は、受け座5”との嵌合部分において略円形状断面を有していればよく、例えば、フィルタ取付枠13に接合されたフック形状のもの等であってもよい。
このように、受け座5”と受金15”の配置を第1の実施の形態の場合とは逆にしても、本実施形態のエアフィルタ1”及びフィルタ装置10”は、第1の実施の形態のエアフィルタ1及びフィルタ装置10と同様の効果を奏することができる。
【0017】
以上、本発明のエアフィルタ及びそれを用いたフィルタ装置について添付図面を参照して説明したが、本発明は、上述の各実施形態の構成に限定されるものではない。本発明のエアフィルタあるいはフィルタ装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、本発明のエアフィルタあるいはフィルタ装置に任意の構成物が付加されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明は、作業者が一人でエアフィルタの取付・交換を行うことができるフィルタ装置及びそれに用いるエアフィルタに関するが、このようなフィルタ装置としては、半導体工業、液晶、電子、食品、病院、バイオ、製薬等のクリーン化されたクリーンルーム、クリーン機器の分野で貢献することができる点において、産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるエアフィルタの平面図及び側面図
【図2】図1に示すエアフィルタを用いた本発明の第1の実施の形態におけるフィルタ装置の側断面図
【図3】図2に示すフィルタ装置の底面図
【図4】図2に示すフィルタ装置に図1に示すエアフィルタを仮止めする方法を説明するための図
【図5】図2に示すフィルタ装置に図1に示すエアフィルタを仮止めした状態を示す図
【図6】本発明の第2の実施形態におけるフィルタ装置にエアフィルタを取り付ける方法を説明するための図
【図7】図6のA−A線断面図
【図8】本発明の第3の実施の形態におけるエアフィルタの平面図及び側面図
【図9】本発明の第3の実施の形態におけるフィルタ装置の側断面図
【符号の説明】
【0020】
1、1’、1” エアフィルタ
2 フィルタパック
3 フィルタ枠
4 ガスケット
5 受金
5’ 受け座
10、10” フィルタ装置
11 ケーシング
12 ダクト接続用口
13 フィルタ取付枠
14 空気流通口
15 受け座
15’ 受金
16 軸部材
17 押さえ板
18 調整部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ろ材からなるフィルタパックを方形筒状のフィルタ枠に収納し、前記フィルタ枠の空気流における上流側にガスケットを貼着したエアフィルタにおいて、
前記フィルタ枠の対向する一対の枠の少なくとも略対角線上の2箇所に、外方に突出した受金あるいは受け座を設けたことを特徴とするエアフィルタ。
【請求項2】
前記受金は、略円形状断面の棒状体であることを特徴とする請求項1に記載のエアフィルタ。
【請求項3】
前記受け座は、その断面が略L字状あるいは略U字状であることを特徴とする請求項1に記載のエアフィルタ。
【請求項4】
ケーシング内の空気流通口を形成するフィルタ取付枠に立設された軸部材と、該軸部材に挿通した調整部材及び押さえ板とにより、請求項2に記載のエアフィルタを締め付け固定し、前記エアフィルタの前記ガスケットを前記フィルタ枠と前記フィルタ取付枠との間で圧縮してシール化するフィルタ装置であって、
前記エアフィルタの前記受金と嵌合するように、前記フィルタ取付枠の下流側面の前記受金の位置と対応する少なくとも略対角線上の2箇所に、略L字状あるいは略U字状断面の受け座を設けたことを特徴とするフィルタ装置。
【請求項5】
ケーシング内の空気流通口を形成するフィルタ取付枠に立設された軸部材と、該軸部材に挿通した調整部材及び押さえ板とにより、請求項3に記載のエアフィルタを締め付け固定し、前記エアフィルタの前記ガスケットを前記フィルタ枠と前記フィルタ取付枠との間で圧縮してシール化するフィルタ装置であって、
前記エアフィルタの前記受け座と嵌合するように、前記フィルタ取付枠の下流側面の前記受け座の位置と対応する少なくとも略対角線上の2箇所に、略円形状断面の受金を設けたことを特徴とするフィルタ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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