説明

エアフィルタ

【課題】メッシュ部材の面内において同心円状に配置された複数の環状部と、線状に形成されて隣り合う環状部の間を接続する複数の接続部とが一体に形成されたフレーム部材を有するエアフィルタの反りを抑制させる。
【解決手段】各接続部(42)に、本体部(42a)に比べて剛性が低い低剛性部(42b)を設ける。或いは、接続部(42)が接続する内側の環状部(41)と外側の環状部(41)の半径差よりもその接続部(42)の長さが長くなるように、その接続部(42)を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通過する空気中の塵埃を捕捉する円板状のエアフィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、外周形状が円形のフレーム部材と、そのフレーム部材に張り付けられたメッシュ部材とを備える円板状のエアフィルタが知られている。例えば、特許文献1の図2には、空気調和機のエアフィルタが記載されている。このエアフィルタは、空気調和機の吸込口から吸い込まれた空気中の塵埃を捕捉する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−140404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種のエアフィルタのフレーム部材は、メッシュ部材の面内において同心円状に配置された複数の環状部と、その面内において隣り合う環状部の間を接続する複数の接続部とが、例えば金型成形によって一体に形成されている。一体に形成されたフレーム部材は、成形後に縮みが生じる。しかし、フレーム部材は均一に縮まないので、成形後のフレーム部材には環状部や接続部に応力が生じる。そして、その応力によってフレーム部材の接続部は、変形しやすいメッシュ部材に垂直な方向に撓み、エアフィルタ全体が反ってしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、メッシュ部材の面内において同心円状に配置された複数の環状部と、その面内において隣り合う環状部の間を接続する複数の接続部とが一体に形成されたフレーム部材を有する円板状のエアフィルタの反りを抑制させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、外周形状が円形のフレーム部材(32)と、該フレーム部材(32)に張り付けられたメッシュ部材(37)とを備え、該メッシュ部材(37)を通過する空気中の塵埃を捕捉する円板状のエアフィルタ(30)を対象とする。そして、このエアフィルタ(30)のフレーム部材(32)は、上記メッシュ部材(37)の面内において同心円状に配置された複数の環状部(41)と、線状に形成されて隣り合う環状部(41)の間を接続する複数の接続部(42)とを備え、該環状部(41)と該接続部(42)とが一体に形成される一方、上記各接続部(42)では、その一部分が残りの部分である本体部(42a)に比べて剛性が低い低剛性部(42b)となっている。
【0007】
第1の発明では、フレーム部材(32)の各接続部(42)が、その本体部(42a)に比べて剛性が低い低剛性部(42b)を備えている。成形後のフレーム部材(32)が縮む過程では、接続部(42)の低剛性部(42b)が比較的大きく変形する。このため、接続部(42)に低剛性部(42b)が設けられていない従来の円板状のエアフィルタ(30)に比べて、フレーム部材(32)に作用する応力が緩和される。
【0008】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記各接続部(42)では、上記低剛性部(42b)の幅が本体部(42a)の幅よりも狭くなっている。
【0009】
第2の発明では、低剛性部(42b)が、低剛性部(42b)よりも幅が広い本体部(42a)に比べて変形しやすくなっている。このため、成形後のフレーム部材(32)が縮む過程では、接続部(42)の低剛性部(42b)が比較的大きく変形するので、フレーム部材(32)に作用する応力が緩和される。
【0010】
第3の発明は、外周形状が円形のフレーム部材(32)と、該フレーム部材(32)に張り付けられたメッシュ部材(37)とを備え、該メッシュ部材(37)を通過する空気中の塵埃を捕捉する円板状のエアフィルタ(30)を対象とする。そして、このエアフィルタ(30)のフレーム部材(32)は、上記メッシュ部材(37)の面内において同心円状に配置された複数の環状部(41)と、線状に形成されて隣り合う環状部(41)の間を接続する複数の接続部(42)とを備え、該環状部(41)と該接続部(42)とが一体に形成される一方、上記各接続部(42)は、該接続部(42)が接続する内側の環状部(41)と外側の環状部(41)の半径差よりも長さが長くなるように形成されている。
【0011】
第3の発明では、接続部(42)の長さが、その接続部(42)が接続する内側の環状部(41)と外側の環状部(41)の半径差よりも長くなるようにしている。ここで、接続部(42)の長さが前記半径差に等しい場合、つまり接続部(42)が環状部(41)の径方向に延びている場合には、成形後のフレーム部材(32)が縮んだ状態で、接続部(42)に作用する力が逃げにくい。その結果、接続部(42)に作用する応力が比較的大きくなる。これに対して、この第3の発明の場合(例えば、各接続部(42)が環状部(41)の径方向に対して斜めに延びている場合、各接続部(42)が曲がっている場合、或いは、各接続部(42)が折れ曲がっている場合)には、成形後のフレーム部材(32)が縮んだ状態で、接続部(42)に作用する力が逃げやすくなる。そして、その結果、接続部(42)に作用する応力が低減される。
【0012】
第4の発明は、上記第3の発明において、上記各接続部(42)が、上記環状部(41)の径方向に対して斜めに延びる直線部を有している。
【0013】
第4の発明では、各接続部(42)が、直線状の部分である直線部を有している。直線部は、環状部(41)の径方向に対して斜めに延びている。このため、成形後のフレーム部材(32)が縮んだ状態で、接続部(42)に作用する力が逃げやすくなる。
【0014】
第5の発明は、上記第3の発明において、上記各接続部(42)が、曲線状に形成された曲線部を有している。
【0015】
第5の発明では、各接続部(42)が、曲線状の部分である曲線部を有している。このため、成形後のフレーム部材(32)が縮んだ状態で、接続部(42)に作用する力が逃げやすくなる。
【0016】
第6の発明は、上記第3の発明において、上記各接続部(42)が、折れ曲がり部を有している。
【0017】
第6の発明では、各接続部(42)に折れ曲がっている箇所が存在している。このため、成形後のフレーム部材(32)が縮んだ状態で、接続部(42)に作用する力が逃げやすくなる。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、変形しやすい低剛性部(42b)を各接続部(42)に設けることで、成形後のフレーム部材(32)が縮む過程でフレーム部材(32)に作用する応力が緩和されるようにしている。このため、接続部(42)をメッシュ部材(37)に垂直な方向へ撓ませる応力が緩和され、メッシュ部材(37)に垂直な方向への接続部(42)の撓み量が低減される。従って、エアフィルタ(30)全体の反りを抑制することができる。
【0019】
また、上記第3の発明では、接続部(42)が接続する内側の環状部(41)と外側の環状部(41)の半径差よりもその接続部(42)の長さを長くすることで、接続部(42)に作用する応力が低減されるようにしている。このため、接続部(42)が環状部(41)の径方向に延びている従来の円板状のエアフィルタ(30)に比べて、メッシュ部材(37)に垂直な方向への接続部(42)の撓み量が低減される。従って、エアフィルタ(30)全体の反りを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本実施形態に係る室内ユニットの縦断面図である。
【図2】図2は、本実施形態に係る室内ユニットの水平断面図である。
【図3】図3は、本実施形態に係るエアフィルタの取付状態を表す斜視図である。
【図4】図4は、本実施形態に係るエアフィルタの平面図である。
【図5】図5は、本実施形態の変形例1に係るエアフィルタの平面図である。
【図6】図6は、本実施形態の変形例2に係るエアフィルタの平面図である。
【図7】図7は、本実施形態の変形例3に係るエアフィルタの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0022】
本実施形態は、本発明に係るエアフィルタ(30)を備える空調機の室内ユニット(1)である。この室内ユニット(1)は、室内空間の天井に設置される天井設置型の室内ユニットである。この室内ユニット(1)には、エアフィルタ(30)の清掃を自動的に行う、いわゆるお掃除機能が設けられている。
【0023】
図1及び図2に示すように、室内ユニット(1)は、略直方体状のケーシング(10)を有する本体ユニット(20)と、矩形の化粧パネル(11)とを備えている。本体ユニット(20)は天井裏に設置される。化粧パネル(11)は、本体ユニット(20)の下側を覆うように本体ユニット(20)に取り付けられる。
【0024】
化粧パネル(11)には、吸込口(13)と吹出口(14)とが形成されている。吸込口(13)は、矩形状に形成され、化粧パネル(11)の中央部に配置されている。吸込口(13)には、スリット状の吸込グリル(12)が嵌め込まれている。一方、吹出口(14)は、化粧パネル(11)に外周に沿って形成されている。
【0025】
ケーシング(10)は、上側ケーシング(10a)と、上側ケーシング(10a)の下部に取り付けられる下側ケーシング(10b)とを備えている。上側ケーシング(10a)の内部には、室内熱交換器(22)、及び室内ファン(21)が設けられている。また、下側ケーシング(10b)の内部には、エアフィルタ(30)、フィルタ駆動部(40)、塵埃除去部(50)、塵埃捕集容器(55)、及び塵埃貯留箱(56)が設けられている。
【0026】
室内ファン(21)は、いわゆるターボファンである。室内ファン(21)の下側には、吸込口(13)に連通するベルマウス(24)が設けられている。室内ファン(21)は、ベルマウス(24)を介して下側から吸い込んだ空気を周方向へ吹き出すように構成されている。
【0027】
室内熱交換器(22)は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器により構成されている。室内熱交換器(22)は、平面視でロ字状に形成され、室内ファン(21)の周囲を囲うように配置されている。室内熱交換器(22)の下側にはドレンパン(23)が設けられている。
【0028】
エアフィルタ(30)は、吸込口(13)からベルマウス(24)へ向かう空気中の塵埃を捕捉するためのものである。エアフィルタ(30)は、後述する通気口(26)よりも一回り大きい円板状に形成されている。エアフィルタ(30)は、図3に示すように、外周形状が円形のフレーム部材(32)と、フレーム部材(32)に張り付けられたメッシュ部材(37)とを備えている。
【0029】
フレーム部材(32)は、外周部(31)と、2本の環状リブ(36a,36b)と、取付挿通部(33)と、6本の接続リブ(34)とを備えている。フレーム部材(32)は、例えば金型を用いた樹脂成型によって、外周部(31)と各環状リブ(36a,36b)と取付挿通部(33)と各接続リブ(34)とが一体に形成されている。エアフィルタ(30)では、取付挿通部(33)、各環状リブ(36)、外周部(31)、及び各接続リブ(34)の一端(図3における下端)に、メッシュ部材(37)が張り付けられている。
【0030】
外周部(31)と各環状リブ(36a,36b)と取付挿通部(33)とは、円環状に形成されて、環状部(41)を構成している。フレーム部材(32)では、取付挿通部(33)、小径の環状リブ(36a)、大径の環状リブ(36b)、及び外周部(31)が、メッシュ部材(37)の面内において中心側から順に同心に配置されている。
【0031】
6本の接続リブ(34)は、フレーム部材(32)の中心から放射状に等角度間隔で配置されている。各接続リブ(34)は、直線状に形成されて、外周部(31)の径方向に、取付挿通部(33)の外周面から外周部(31)の内周面まで延びている。各接続リブ(34)は、それぞれがメッシュ部材(37)の面内において隣り合う環状部(41)の間を接続する3本の接続部(42)から構成されている。つまり、各接続リブ(34)では、取付挿通部(33)と小径の環状リブ(36a)の間の部分、小径の環状リブ(36a)と大径の環状リブ(36b)の間の部分、及び大径の環状リブ(36b)と外周部(31)の間の部分のそれぞれが接続部(42)を構成している。
【0032】
本実施形態では、各接続部(42)に、図4に示すように、幅が一定の本体部(42a)に比べて合成が低い低剛性部(42b)が1つずつ設けられている。低剛性部(42b)は、本体部(42a)に比べて幅が狭くなっている。
【0033】
本実施形態では、各接続リブ(34)に低剛性部(42b)を設けているので、成形後のフレーム部材(32)が縮む過程におけるフレーム部材(32)に作用する応力が低剛性部(42b)により緩和される。つまり、各接続部(42)に低剛性部(42b)が設けられていない従来のエアフィルタ(30)に比べて、成形後のフレーム部材(32)が縮む過程におけるフレーム部材(32)に作用する応力が小さくなる。
【0034】
外周部(31)は、共に円環状に形成された板状部(31a)と突出部(31b)とを備えている。板状部(31a)と突出部(31b)は一体になっている。突出部(31b)は、板状部(31a)の上面の内端から突出している。突出部(31b)の外周面には、後述するモータ側ギア部と噛み合うフィルタ側ギア部が形成されている。
【0035】
エアフィルタ(30)は、下側ケーシング(10b)の上端部に設けられた仕切板(25)の円形の通気口(26)を覆うように設けられている。エアフィルタ(30)は、通気口(26)に放射状に形成された区画部材(27)の中心から下方へ突出するフィルタ回転軸(28)に取り付けられている。エアフィルタ(30)は、取付挿通部(33)内にフィルタ回転軸(28)に挿通させた状態で、フィルタ回転軸(28)の内周面のネジ溝に止めネジ(28a)を螺合することによって回転自在に取り付けられている。この状態では、フレーム部材(32)の板状部(31a)の外周部分が、仕切板(25)における通気口(26)の周囲の部分に当接している。また、エアフィルタ(30)は、区画部材(27)に設けられたフィルタ押さえ(29)が環状リブ(36)に当接することによって下方へ付勢されている。
【0036】
フィルタ駆動部(40)は、モータと、モータによって回転するモータ側ギア部とを備えている。フィルタ駆動部(40)は、フィルタ側ギア部にモータ側ギア部が噛み合うように、エアフィルタ(30)の外側に設けられている。フィルタ駆動部(40)は、エアフィルタ(30)を清掃する清掃運転の際に、モータの回転によってエアフィルタ(30)を回転させる。
【0037】
塵埃除去部(50)は、後述する塵埃捕集容器(55)に取り付けられている。塵埃除去部(50)は、エアフィルタ(30)に接触する回転ブラシ(51)と、回転ブラシ(51)を回転させるブラシ駆動部(53)とを備えている。塵埃除去部(50)では、上記清掃運転の際に、ブラシ駆動部(53)が回転ブラシ(51)を回転させる。
【0038】
塵埃捕集容器(55)は、エアフィルタ(30)の下側に配置されている。塵埃捕集容器(55)は、回転ブラシ(51)によってエアフィルタ(30)から掻き落とされた塵埃や、清掃用ブラシ(図示省略)によって回転ブラシ(51)から掻き落とされた塵埃を捕集し、捕集した塵埃を一時的に貯留する。
【0039】
塵埃捕集容器(55)には、内部が第1室と第2室とが形成されたダンパボックス(61)が接続されている。第1室と第2室との間には、ダンパ(62)が設けられている。第1室の上面には、導入用ダクト(66)が接続されている。ダンパボックス(61)では、ダンパ(62)が開状態に設定された状態で、室内ファン(21)を運転させと、室内ファン(21)の吹出空気が導入用ダクト(66)及びダンパボックス(61)を通じて塵埃捕集容器(55)に流入するので、塵埃捕集容器(55)内の塵埃が後述する塵埃貯留箱(56)へ搬送される。また、ダンパボックス(61)の第2室の下面には、化粧パネル(11)に形成された掃除機挿入口(図示省略)に連通する吸引用ダクト(67)が接続されている。掃除機挿入口に掃除機のホース等が接続した状態でその掃除機を運転すると、塵埃貯留箱(56)及び塵埃捕集容器(55)の塵埃が掃除機によって吸引される。
【0040】
塵埃貯留箱(56)は、搬送用ダクト(68)を介して塵埃捕集容器(55)に接続されている。塵埃貯留箱(56)には、通気口(57)が形成されている。通気口(57)は、下側ケーシング(10b)の通気通路(19)に接続されてケーシング(10)の外部に連通している。
【0041】
−実施形態1の効果−
本実施形態では、変形しやすい低剛性部(42b)を各接続部(42)に設けることで、成形後のフレーム部材(32)が縮む過程でフレーム部材(32)に作用する応力が緩和されるようにしている。このため、接続部(42)をメッシュ部材(37)に垂直な方向へ撓ませる応力が緩和され、メッシュ部材(37)に垂直な方向への接続部(42)の撓み量が低減される。従って、エアフィルタ(30)全体の反りを抑制することができる。
【0042】
ところで、従来の円板状のエアフィルタ(30)を室内ユニット(1)に取り付けた場合には、エアフィルタ(30)全体の反りが比較的大きいので、エアフィルタ(30)を止めネジ(28a)によって取り付けたときに、フレーム部材(32)の外周部(31)の板状部(31a)の外周部分が仕切板(25)に押さえつけられることによって、エアフィルタ(30)の反りが矯正されていた。しかし、仕切板(25)から板状部(31a)の外周部分に作用する反力が比較的大きくなるので、エアフィルタ(30)が回転する際の抵抗になっていた。これに対して、本実施形態では、エアフィルタ(30)の反りが緩和されるので、仕切板(25)から板状部(31a)の外周部分に作用する反力が小さくなり、エアフィルタ(30)が回転する際の抵抗が低減される。
【0043】
また、お掃除機能を有する室内ユニット(1)に従来の円板状のエアフィルタ(30)を適用した場合には、エアフィルタ(30)の反りを矯正したとしても、エアフィルタ(30)の中心と外周の間に撓みが生じ、塵埃を除去するブラシをエアフィルタ(30)に均一に接触させることが困難であった。その結果、エアフィルタ(30)から塵埃が十分に除去することが困難であった。これに対して、本実施形態では、エアフィルタ(30)の反りが緩和されるので、エアフィルタ(30)の中心と外周の間の撓みが低減される。従って、従来の円板状のエアフィルタ(30)を用いる場合に比べて、ブラシがエアフィルタ(30)に均一に接触するので、エアフィルタ(30)に塵埃が除去されずに残ることを抑制することができる。
【0044】
−実施形態の変形例1−
本実施形態の変形例1について説明する。本実施形態の変形例1は、図5に示すように、エアフィルタ(30)の構成が上記実施形態とは異なっている。
【0045】
具体的に、このエアフィルタ(30)のフレーム部材(32)では、接続リブ(34)が、上記実施形態のように取付挿通部(33)の外周面から外周部(31)の内周面まで連続しておらず、隣り合う環状部(41)の間の接続部(42)毎に分断されている。各接続部(42)は、外周部(31)の径方向に対して斜めに延びる直線部のみにより構成されている。各接続部(42)の幅は一定である。このため、接続部(42)が接続する内側の環状部(41)と外側の環状部(41)の半径差よりも、その接続部(42)長さが長くなっている。同じ環状部(41)の間における接続部(42)同士では、外周部(31)の径方向に対する各接続部(42)の傾きが等しくなっている。
【0046】
この変形例1では、接続部(42)が接続する内側の環状部(41)と外側の環状部(41)の半径差よりもその接続部(42)の長さを長くすることで、接続部(42)が環状部(41)の径方向に延びている従来の円板状のエアフィルタ(30)に比べて、接続部(42)に作用する力を逃げやすくして、接続部(42)に作用する応力が低減されるようにしている。このため、従来の円板状のエアフィルタ(30)に比べて、メッシュ部材(37)に垂直な方向への接続部(42)の撓み量が低減される。従って、エアフィルタ(30)全体の反りを抑制することができる。この点は、後述する変形例2及び変形例3も同じである。
【0047】
−実施形態の変形例2−
本実施形態の変形例2について説明する。本実施形態の変形例2は、図6に示すように、エアフィルタ(30)の構成が上記実施形態とは異なっている。
【0048】
具体的に、このエアフィルタ(30)のフレーム部材(32)では、接続リブ(34)が、曲線状に形成された曲線部のみにより構成されている。各接続リブ(34)は、取付挿通部(33)の外周面から外周部(31)の内周面まで、一定の波長で波状に屈曲している。隣り合う環状部(41)の間の接続部(42)は、1波長分の曲線部により構成されている。各接続部(42)の幅は一定である。この変形例2では、各接続部(42)が曲線部を有しているので、接続部(42)が接続する内側の環状部(41)と外側の環状部(41)の半径差よりも、その接続部(42)長さが長くなっている。
【0049】
−実施形態の変形例3−
本実施形態の変形例3について説明する。本実施形態の変形例3は、図7に示すように、エアフィルタ(30)の構成が上記実施形態とは異なっている。
【0050】
具体的に、このエアフィルタ(30)のフレーム部材(32)では、各接続部(42)が、2つの折れ曲がり部を有する鉤状に形成されている。つまり、各接続リブ(34)には、鉤状の部分が3つ形成されている。各接続部(42)では、折れ曲がり部の間が直線部になっている。各接続部(42)の幅は一定である。各接続部(42)は、内側の環状部(41)に接続する直線部と外側の環状部(41)に接続する直線部とが平行になるように形成されている。この変形例3では、各接続部(42)が折れ曲がり部を有しているので、接続部(42)が接続する内側の環状部(41)と外側の環状部(41)の半径差よりも、その接続部(42)長さが長くなっている。
【0051】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0052】
上記実施形態について、本発明に係るエアフィルタ(30)は、空調機の室内ユニット(1)以外の装置(例えば、掃除機、乾燥機等)に適用してもよい。なお、本発明に係るエアフィルタ(30)は、ブラシ等によってエアフィルタ(30)から塵埃を自動的に除去することができる機能を有する装置に適用する場合に、上述したように、塵埃を除去するブラシをエアフィルタ(30)に均一に接触させることができるので、好適である。
【0053】
また、上記実施形態の変形例1〜3について、上記実施形態と同様に、各接続部(42)に、本体部(42a)に比べて幅が狭い低剛性部(42b)を設けてもよい。
【0054】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0055】
以上説明したように、本発明は、円板状のエアフィルタについて有用である。
【符号の説明】
【0056】
30 エアフィルタ
32 フレーム部材
37 メッシュ部材
41 環状部
42 接続部
42a 本体部
42b 低剛性部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周形状が円形のフレーム部材(32)と、該フレーム部材(32)に張り付けられたメッシュ部材(37)とを備え、該メッシュ部材(37)を通過する空気中の塵埃を捕捉する円板状のエアフィルタであって、
上記フレーム部材(32)は、上記メッシュ部材(37)の面内において同心円状に配置された複数の環状部(41)と、線状に形成されて隣り合う環状部(41)の間を接続する複数の接続部(42)とを備え、該環状部(41)と該接続部(42)とが一体に形成される一方、
上記各接続部(42)では、その一部分が残りの部分である本体部(42a)に比べて剛性が低い低剛性部(42b)となっていることを特徴とするエアフィルタ。
【請求項2】
請求項1において、
上記各接続部(42)では、上記低剛性部(42b)の幅が本体部(42a)の幅よりも狭くなっていることを特徴とするエアフィルタ。
【請求項3】
外周形状が円形のフレーム部材(32)と、該フレーム部材(32)に張り付けられたメッシュ部材(37)とを備え、該メッシュ部材(37)を通過する空気中の塵埃を捕捉する円板状のエアフィルタであって、
上記フレーム部材(32)は、上記メッシュ部材(37)の面内において同心円状に配置された複数の環状部(41)と、線状に形成されて隣り合う環状部(41)の間を接続する複数の接続部(42)とを備え、該環状部(41)と該接続部(42)とが一体に形成される一方、
上記各接続部(42)は、該接続部(42)が接続する内側の環状部(41)と外側の環状部(41)の半径差よりも長さが長くなるように形成されていることを特徴とするエアフィルタ。
【請求項4】
請求項3において、
上記各接続部(42)は、上記環状部(41)の径方向に対して斜めに延びる直線部を有していることを特徴とするエアフィルタ。
【請求項5】
請求項3において、
上記各接続部(42)は、曲線状に形成された曲線部を有していることを特徴とするエアフィルタ。
【請求項6】
請求項3において、
上記各接続部(42)は、折れ曲がり部を有していることを特徴とするエアフィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−99749(P2013−99749A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−17259(P2013−17259)
【出願日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【分割の表示】特願2008−6610(P2008−6610)の分割
【原出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】