説明

エアレーション作業機

【課題】高能率で土壌の改善作業を行うことができるエアレーション作業機、なかでも畝内部に対する改善効果の高いエアレーション作業機を提供する。
【解決手段】走行装置110に、エンジン112を動力とし、圧縮空気を生成するコンプレッサ120、生成された圧縮空気を蓄える圧力容器130、圧力容器130に蓄えられた圧縮空気を噴出する噴出ノズル140、噴出ノズル140を地中に貫入する貫入装置150を備える。走行装置110は自動走行機構と自動停止・自動発進機構を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茶園等の土壌の通気性、通水性を高めて土壌を改良するエアレーション作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、茶園等の畝間土壌が固結、硬化すると、土壌の通気性、土壌の水分保持力および水分透通性が低下して、根の呼吸作用、養分吸収作用等が妨げられることから、畝を跨いで走行する門型車両に土壌を深耕する機構を設けた乗用型深耕機を提案した(特許文献1)。
【0003】
かかる乗用型深耕機によると、畝を跨いで走行する門型車両本体の前方または後方に上下方向に向く深耕支柱が設けられ、昇降機構により深耕支柱の先端を地中の所定位置まで貫入し、深耕支柱の下端の爪を地中で往復揺動させながら門型車両の走行により地中の土壌を破砕し、土壌の通気性、水分保持力および水分透通性等の土壌物理性を改善しようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許3027356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上に述べた乗用型深耕機は、高能率で土壌を深耕できるものであるが、畝間における土壌の改善効果は高いものの、畝内部に対する改善効果はどちらかと言うと限定的であった。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、高能率で土壌の改善作業を行うことができるエアレーション作業機を提供すること、なかでも畝内部に対する改善効果の高いエアレーション作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係るエアレーション作業機は、走行装置に、圧縮空気を生成する圧縮空気生成手段と、生成された圧縮空気を蓄える圧縮空気貯留手段と、圧縮空気貯留手段に蓄えられた圧縮空気を噴出する噴出手段と、噴出手段を地中に貫入する貫入手段とを備えることを最も主要な特徴とする。
【0008】
本発明に係るエアレーション作業機は、前記走行装置が畝を跨る一対の走行体を備え、前記噴出手段が畝の両側に位置して前後いずれか一方に一対備わることを第2の特徴とする。
【0009】
本発明に係るエアレーション作業機は、走行装置の走行距離を測定するセンサに基づき、走行装置を自動停止する自動停止機構を備えることを第3の特徴とする。
【0010】
本発明に係るエアレーション作業機は、走行装置の走行距離を測定するセンサに基づき、走行装置を自動漸停止する自動漸停止機構を備えること第4の特徴とする。
【0011】
本発明に係るエアレーション作業機は、前記貫入手段が噴出手段を昇降させる昇降手段を備えることを第5の特徴とする。
【0012】
本発明に係るエアレーション作業機は、前記貫入手段が噴出手段を下降限位置および上昇限位置に停止させるリミットスイッチを上下に備えることを第6の特徴とする。
【0013】
本発明に係るエアレーション作業機は、噴出手段を上昇限位置に停止させるリミットスイッチからの作動信号に基づき、走行装置を自動発進させる自動発進機構を備えることを第7の特徴とする。
【0014】
本発明に係るエアレーション作業機は、噴出手段を上昇限位置に停止させるリミットスイッチからの作動信号に基づき、走行装置を自動漸発進させる自動漸発進機構を備えることを第8の特徴とする。
【0015】
本発明に係るエアレーション作業機は、噴出手段が、噴出手段を下昇限位置に停止させるリミットスイッチからの作動信号に基づき、噴出口から圧縮空気を地中に噴出する構成であることを第9の特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明に係るエアレーション作業機によると、高能率で土壌の改善作業を行うことができ、なかでも畝内部に対する土壌の改善効果が高いという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態を示すもので、乗用型のエアレーション作業機の側面図、
【図2】図1に示すエアレーション作業機の平面図、
【図3】図1に示すエアレーション作業機の背面図、
【図4】図1に示すエアレーション作業機の油圧回路図、
【図5】図1に示すエアレーション作業機の油圧回路図、
【図6】本発明の他の実施形態を示すもので、エアレーション作業機の側面図、
【図7】図6に示すエアレーション作業機の平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1ないし図5は本発明に係るエアレーション作業機の一実施形態を示すもので、符号100は自動走行式の乗用型エアレーション作業機を示している。
【0019】
図3に示す茶園Tの地面Gには、茶木が植えられた複数列の畝T1が形成されており、エアレーション作業機100は、図3に示すように、畝T1を跨って、畝T1に沿って左右の畝間S内を走行するようになっている。
【0020】
エアレーション作業機100は、図1ないし図3に示すように、走行装置110に、コンプレッサ(圧縮空気生成手段)120と、圧力容器(圧縮空気貯留手段)130と、噴出ノズル(噴出手段)140と、貫入装置(貫入手段)150を備えている。
【0021】
走行装置110は、図1ないし図3に示すように、門型フレーム111の上に前方寄り中央に載置されたエンジン112により回転駆動される油圧ポンプ113と走行モータ118の静油圧式変速機で独立して駆動される一対のクローラ(走行体)114、114を下部に備え、図3に示すように一対のクローラ114、114を1条の畝T1間に跨らせて、畝T1に沿って左右の畝間S内を走行するようになっている。走行装置110の上部には、エンジン112の側方に操縦席115と走行ハンドル116が設置され、走行ハンドル116の前方には操作盤117が設置されている。操作盤117には、エンジン制御機器、計器類等が装備されている。
【0022】
エンジン112の操縦席115と反対側にはコンプレッサ120が載置され、コンプレッサ120は、エンジン112の動力によりVベルトで駆動され、所定圧(8kgf/cm〜9kgf/cm)の圧縮空気を生成するようになっている。コンプレッサ120の後方には圧力容器130が載置され、コンプレッサ120から所定圧(8kgf/cm〜9kgf/cm)の圧縮空気が耐圧管121を通して蓄えられるようになっている。
【0023】
走行装置110の後部には、噴出ノズル140を地中に貫入させる左右一対の貫入装置150が設けられている。各貫入装置150は、上下に延びる外筒151と、外筒151内を上下に出没する内筒152とを備え、外筒151の上端寄り内面には、内筒152内に配置される油圧シリンダ153の上端が連結され、内筒152の下端寄り内面には、油圧シリンダ153のロッド154の下端が連結されている。内筒152の下端には噴出ノズル140の本体部141が連結されている。本体部141の下端部には先端に行くに従い先細りとなるノズル先端部142が設けられており、ノズル先端部142には圧縮空気を地中に噴出させる噴出口143が設けられている。
【0024】
外筒151は、走行装置110の門型フレーム111に支持部材155を介して垂直に立設された門型支柱156に対し上下の支持部材157、157を介して片持ち支持されている。外筒151には、下リミットスイッチ158Aと上リミットスイッチ158Bが取り付けられている。下リミットスイッチ158Aは、油圧シリンダ153による噴出ノズル140の貫入動作時に作動して内筒152の下降を停止し(下死点)、これにより噴出ノズル140の地中への貫入深さを設定するようになっている。上リミットスイッチ158Bは、油圧シリンダ153による噴出ノズル140の抜出し動作時に作動して内筒152の上昇を停止し(上死点)、これにより噴出ノズル140の地面からの上昇位置を設定するようになっている。下リミットスイッチ158Aは取付け位置を上下に複数箇所設けることにより、噴出ノズル140の貫入深さを任意に設定できる。
【0025】
圧力容器130からはチャンバー131まで耐圧管132が延びている。チャンバー131からは耐圧管133が噴出ノズル140の本体141の其端部まで延びている。耐圧管133には電磁式開閉弁134が設けられ、電磁式開閉弁134を開動作することにより、圧力容器130中の圧縮空気をチャンバー131を介して噴出ノズル140の本体141内に送り込み、本体141の内部通路を通して下端のノズル先端部142の噴出口143から噴出させることができるようになっている。
【0026】
走行装置110には、左右のクローラ114、114を互いに独立して駆動し自動走行する自動走行機構が設けられている。図4はその駆動回路図である。左右のクローラ114、114の走行モータ118、118は、図4に示す第1駆動回路200Aおよび第2駆動回路200Bによって独立して制御される。各駆動回路200A、200Bは、エンジン112によって回転駆動される可変容量型油圧ポンプ113A、113B(油圧ポンプ113)と、この可変容量型油圧ポンプ113A、113Bによって駆動される油圧モータ201A、201Bを有する。なお、油圧ポンプ113はチャージポンプ113Cを付属する。
【0027】
そして、可変容量型油圧ポンプ113A、113Bと油圧モータ201A、201Bを閉ループに接続する主ライン202A、203A間および主ライン202B、203B間には、絞り204A、204Bおよび電磁式2位置切換弁(以下、「第1切換弁」という)205A、205Bが直列に介設された第1バイパスライン206A、206Bが接続されている。したがって、両第1切換弁205A、205Bの何れか一方を位置aから位置bに切り換えることにより、切換後の切換弁(例えば第1切換弁204A)側の駆動回路(例えば第1駆動回路200A)の油圧ポンプ(例えば油圧ポンプ113A)からの圧油が第1バイパスライン(例えば第1バイパスライン206A)にリークされて油圧モータ(例えば油圧モータ201A)の回転数が低下し、回転数が低下した油圧モータ(例えば油圧モータ201A)により駆動されるクローラ114側に方向を自動変更(方向転換)するようになっている。
【0028】
第1切換弁205A、205Bは、一対の感知板119A、119Bの作動に従い、自動的に切り換えられる。すなわち、走行装置110の門型フレーム111の一対の脚柱111A、111Bの内面寄りに、畝T1の側面位置を検知する感知板119A、119Bの回転軸119a、119bの上下端が回転自在に取付け支持されている。回転軸119a、119bの上端部には回転軸119a、119bの回転量に応じて抵抗値が可変する可変抵抗器(回転角度検出手段)207A、207Bが取り付けられている。可変抵抗器207A、207Bからは電圧信号が弁制御部208に送出され、弁制御部208は、可変抵抗器207A、207Bからの出力電圧差が所定電圧になったか否かを検知し(つまり、両感知板119A、119Bの回転角度の差が所定角度になったか否かを検知し)、所定電圧になった場合には出力電圧の大きい方の可変抵抗器(例えば可変抵抗器207A)側の切換弁(例えば第1切換弁204A)を切り換える制御信号をソレノイド(例えばソレノイド208A)に出力する。
【0029】
また、第1駆動回路200Aおよび第2駆動回路200Bには、走行装置110の自動発進・自動停止機構が設けられている。すなわち、図5に示すように、閉ループの主ライン202A、203A間および閉ループの主ライン202B、203B間には、絞り209A、209Bおよび電磁式3位置切換弁(以下、「第2切換弁」という)210A、210Bが直列に介設された第2バイパスライン211A、211Bと、絞り209A、209Bがなく第2切換弁210A、210Bのみが介設された第3バイパスライン212A、212Bが並列に接続されている。
【0030】
したがって、弁制御部208からの後述する自動停止用の制御信号を第2切換弁210A、210Bのソレノイド213A、213Bに出力することにより、第2切換弁210A、210Bの両方が、位置aから位置bに切り換わり、油圧ポンプ113A、113Bからの圧油の一部が第2バイパスライン211A、211Bに同時にリークされて、油圧モータ201A、201Bの回転数が低下し、これによりエアレーション作業機100の走行速度が低下する。そして、自動停止用の制御信号と連動して作動するタイマーにより一定時間後、第2切換弁210A、210Bの両方が、位置bから位置aを越えて位置cに切り換わることにより、第2バイパスライン211A、211Bは閉じられると同時に、油圧ポンプ113A、113Bからの圧油が第3バイパスライン212A、212Bに全量リークされ、油圧モータ201A、201Bの回転が停止し、これによりエアレーション作業機100の走行が停止する。このようにして、弁制御部208からの走行停止用の制御信号とタイマーによりエアレーション作業機100の走行を自動的に停止するようになっている。
【0031】
また、弁制御部208からの後述する発進用の制御信号を第2切換弁210A、210Bのソレノイド214A、214Bに出力することにより、第2切換弁210A、210Bの両方が、位置cから位置aを越えて位置bに切り換わり、油圧ポンプ113A、113Bからの圧油の一部が第2バイパスライン211A、211Bに同時にリークされると共に、圧油の残りが油圧モータ201A、201Bに供給されて油圧モータ201A、201Bの回転数がゼロから増加し、これによりエアレーション作業機100が停止状態から発進する。そして、発進用の制御信号と連動して作動するタイマーにより一定時間後、第2切換弁210A、210Bの両方が、位置bから位置aに切り換わることにより、第2バイパスライン211A、211Bが閉じられると同時に、油圧ポンプ113A、113Bからの圧油が油圧モータ201A、201Bに全量供給され、これによりエアレーション作業機100が一定速度で走行する。このようにして、弁制御部208からの発進用の制御信号とタイマーによりエアレーション作業機100を自動的に発進させるようになっている。
【0032】
第2切換弁210A、210Bは、電磁式2位置切換弁を採用してもよいが、本実施形態のように、電磁式3位置切換弁を採用することが望ましい。電磁式3位置切換弁およびタイマーを採用することにより、油圧ポンプからの圧油のリーク量を漸減あるいは漸増して、自動漸停止・自動漸発進機構を構成することができ、急停止・急発進を避けることができる。これによりオペレータの運転操縦性がよくなり、安全性も高まる。
【0033】
弁制御部208からの(走行)停止用の制御信号は、エアレーション作業機100の走行距離を測定するパルス式の距離検出センサ215からの検出信号に基づく。すなわち、図1および図5に示すように、走行装置110の門型フレーム111にクローラ114の直上に位置する距離検出センサ215が設置されている。距離検出センサ215は、具体的には走行開始直後からクローラ114の歯の枚数をパルスでカウントし、これによりエアレーション作業機100の走行距離を測定する。距離検出センサ212からの信号は弁制御部208に送信され、弁制御部208は距離検出センサ215からの信号に基づく走行距離が所定距離(例えば1m)に達すると、停止用の制御信号を第2切換弁210A、210Bに送るようになっている。
【0034】
弁制御部208からの(走行)発進用の制御信号は、後述する貫入装置150の上リミットスイッチ158Bからの作動信号に基づく。すなわち、貫入装置150は噴出ノズル140の貫入動作と圧縮空気の噴出動作後に噴出ノズル140を抜出しするが、同抜出し動作を上リミットスイッチ158Bの作動により完了する。そして、弁制御部208は上リミットスイッチ158Bからの作動信号を受信し、発進用の制御信号を第2切換弁210A、210Bに送るようになっている。
【0035】
なお、図2において符号160は弁制御部208や制御用のタイマーを内蔵する制御ボックス、図4において符号161は低圧側フィルタである。
【0036】
次に、上記構成のエアレーション作業機100の発進と停止を繰り返しながら、茶園Tの畝T1の地中にエアレーション作業を行う手順について説明する。
【0037】
(漸発進と漸停止)
まず、エンジン112を始動し、茶園Tの畝T1を跨るようにして走行装置110のクローラ114、114を畝間Sに位置させ、クローラ114、114の駆動により、エアレーション作業機100を発進させる。同時に走行距離用検出センサ215からのパルス信号によりクローラ114、すなわちエアレーション作業機100の移動量がカウントされ、検出信号が弁制御部208に送信される。弁制御部208は、エアレーション作業機100の走行距離が一定値(例えば1m)に達すると、停止用の制御信号を第2切換弁210A、210Bに送信し、第2切換弁210A、210Bは、制御信号および同信号により連動して作動するタイマーに従い、位置a→位置b→位置cに切り換わり、これによりエアレーション作業機100が減速し、漸停止する。
【0038】
(貫入装置の作動)
次に、エアレーション作業機100の停止と同時に、弁制御部208から、前記制御信号およびタイマーによる一定時間後、貫入装置150、150による貫入動作用の制御信号が、電磁式3位置切換弁(以下、「第3切換弁」という)216A、216Bに送信され、第3切換弁216A、216Bの切り換えにより、エンジン112で作動する別の油圧ポンプ(図示せず)からの圧油が油圧シリンダ153、153の上シリンダ室に供給され、油圧シリンダ153、153の作動により、内筒152、152が下降し、噴出ノズル140、140の本体部141、141を地中に貫入させる。そして、下リミットスイッチ158Aの作動により、内筒152、152の下降が停止し、噴出ノズル140、140の本体部141、141の貫入動作を完了する。ノズル先端部142、142は地中の所定の貫入深さ(例えば50cm〜60cm)に位置する。
【0039】
(噴出ノズルの作動)
下リミットスイッチ158Aからの作動信号は弁制御部208に送信され、弁制御部208は同作動信号に基づき電磁開閉弁134に開動作の制御信号を送信し、電磁開閉弁134が開かれる。これにより、圧力容器130中の圧縮空気がチャンバー131、131を介して噴出ノズル140、140の本体141、141内に送り込まれ、本体141、141の内部通路を通して下端のノズル先端部142、142の噴出口143、143から地中に圧縮空気が噴出される。前記作動信号に連動して作動するタイマーにより電磁開閉弁134の開放時間を任意(例えば1秒〜15秒間)に設定可能である。左右の噴出ノズル140、140の噴出口143、143から地中に噴出された圧縮空気は、畝間S、Sの直下だけでなく、その間の畝T1の中央付近まで到達させることができるので、畝T1内部に対しエアレーションによる土壌改善を高めることができる。
【0040】
(噴出ノズルの抜出)
タイマーによる一定時間後、弁制御部208は電磁開閉弁134に閉動作の制御信号を送信し、電磁開閉弁134が閉鎖される。同時に、弁制御部208から、貫入装置150、150に対し、抜出し動作の制御信号が第3切換弁216A、216Bに送信されて、第3切換弁216A、216Bの切り換えにより、別の油圧ポンプ(図示せず)からの圧油が油圧シリンダ153、153の下シリンダ室側に供給され、ロッド154、154と共に内筒152、152が上昇し、地中から噴射ノズル140、140が抜き出しされる。内筒152、152の上昇動作中に、内筒152と上リミットスイッチ158Bとの間で上リミットスイッチ158Bが作動し、上リミットスイッチ158Bからの作動信号により、 内筒152、152の上昇が停止し、これにより噴出ノズル140、140が地表から所定の高さ(例えば25cm〜30cm)で停止する。
【0041】
(漸発進)
前記上リミットスイッチ158Bの作動信号は弁制御部208に送信され、弁制御部208は同作動信号に基づき、発進用の制御信号を第2切換弁210A、210Bに送信し、第2切換弁210A、210Bは、同制御信号およびタイマーに従い、位置c→位置b→位置aに切り換わり、これによりエアレーション作業機100が再び漸発進する。
【0042】
以上の手順、すなわち、エアレーション作業機100により、漸発進→走行→漸停止→貫入装置の作動→噴出ノズルの作動→噴出ノズルの抜出→漸発進の手順を繰り返すことにより、畝T1の全長に亘り、畝T1の直下の土壌に対し、圧縮空気によるエアレーション作業を自動的に能率よく実施できる。
【0043】
畝T1は必ずしも真っ直ぐとは限らず、蛇行箇所も存在し得る。この場合、エアレーション作業機100は、一対の感知板119A、119Bで畝T1の蛇行箇所を感知しながら、クローラ114、114を自動操行させることができる。すなわち、図4を参照して、畝T1が例えば右側へと蛇行する箇所がある場合、クローラ114、114は直進するので、右側のクローラ114が畝T1の側面に接近し、左側のクローラ114は畝T1の側面から離れる。すると、右側のクローラ114に付属する感知板119Aは畝T1の側面に接近して大きく後方(反時計回り)へと回転軸119a周りに回動し、左側のクローラ114に付属する感知板119Bは畝T1の側面から次第に遠ざかり小さく前方(時計回り)へと回転軸119b周りに回動する。回転軸119a、119bに付属の可変抵抗器207A、207Bの抵抗値の出力電圧差が所定電圧(設定値)になると、弁制御部208から抵抗値の大きい方の可変抵抗器207A側の第1切換弁205Aを切り換える制御信号がソレノイド208Aに出力される。
【0044】
これにより第1切換弁205Aは、位置aから位置bに切り換えられ、油圧ポンプ113Aからの圧油が第1バイパスライン206Aにバイパスされ、油圧モータ201Aの回転数が低下し、回転数が低下した油圧モータ201Aのクローラ114側に自動的に旋回される。すると、畝T1の側面に対し右側のクローラ114の距離と左側のクローラ114の距離との差が次第に小さくなり、可変抵抗器207A、207Bの抵抗値の出力電圧差が所定電圧を下回るので、第1切換弁205Aが位置aに切り換えられ、油圧モータ201Aの回転数が上昇する。その結果、自動走行式のエアレーション作業機100は直進を続ける。
【0045】
かくして、自動走行式のエアレーション作業機100によると、畝T1に沿って自動的に走行し、停止と発進を繰り返し、所定距離間隔で貫入装置150、150の貫入動作と地中での噴出ノズルからの圧縮空気の噴出動作を繰り返すことにより、畝T1の内部に対するエアレーション作業を能率よく実施することができる。しかも、エアレーション作業機100に自動走行機構、自動漸停止・自動漸発進機構を設けたので、運転オペレータは熟練操作を要せず、また、操縦性が向上し、作業者の疲労や負担を軽減できる。
【0046】
畝T1の両側に貫入された噴出ノズル140、140から畝T1内部に圧縮空気が効果的に噴出されるから、畝T1内部の土壌の通気性や通水性を十分に回復し、向上させることができ、畝T1に植えられた茶樹等の根の呼吸作用、養分吸収作用等を十分に確保し、茶樹等の活性化を図ることができる。
【0047】
図6および図7は、本発明に係るエアレーション作業機の他の実施形態で、本実施形態のエアレーション作業機100’は、走行装置110の門型フレーム111の前後にそれぞれ一組、計4つの貫入装置150、150・・・が設置されている。なお、図1に示すエアレーション作業機100と同一部材には同一符号を付してその説明は省略する。また、図4および図5に示す第1駆動回路200Aおよび第2駆動回路200B等も採用される。
【0048】
図6および図7に示すエアレーション作業機100’によると、走行装置110の門型フレーム111の前後にそれぞれ一組、計4つの貫入装置150、150・・・が設置されているので、畝T1の地中に対するエアレーション作業をより一層能率よく行うことができる。すなわち、エアレーション作業機100’の発進→停止→発進の間隔を前述の実施形態対比で拡げて作業能率を格段に向上させることができるし、また、噴出ノズル140の貫入間隔を前述の実施形態対比で狭くし、土壌の改善効果をより向上させることもできる。さらに、作業者の疲労や負担をより軽減できる。
【0049】
本発明に係るエアレーション作業機は、前記実施形態で説明したエアレーション作業機100,100’の構造に限定されない。例えば、自動操行用、自動漸進・漸停止用に電磁式切換弁を用いたが、流量可変な比例弁等を採用することも可能である。
【0050】
また、本発明に係るエアレーション作業機は、前記実施形態で説明した乗用型のエアレーション作業機に限定されない。本発明を小型の一畝用の歩行型作業機などにも広く適用可能である。さらに適用範囲は茶園Tに限定されず、畝のある圃場、畝のない圃場、ゴルフ場など、土壌改善効果に対するニーズのある場所であれば、広く適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、圃場等の土壌改善を図るためのエアレーション作業機として、幅広く利用可能である。
【符号の説明】
【0052】
100、100’ エアレーション作業機
110 走行装置
111 門型フレーム
111A、111B 脚柱
112 エンジン
113 油圧ポンプ
113A、113B 可変容量型油圧ポンプ
113C チャージポンプ
114 クローラ
115 操縦席
116 走行ハンドル
117 操作盤
118 走行モータ
119A、119B 感知板
119a、119b 回転軸
120 コンプレッサ(圧縮空気生成手段)
121、132、133 耐圧管
130 圧力容器(圧縮空気貯留手段)
131 チャンバー
134 電磁式開閉弁
140 噴出ノズル(噴出手段)
141 本体部
142 ノズル先端部
143 噴出口
150 貫入装置(貫入手段)
151 外筒
152 内筒
153 油圧シリンダ
154 ロッド
155,157 支持部材
156 門型支柱
158A 下リミットスイッチ
158B 上リミットスイッチ
160 制御ボックス
161 低圧側フィルタ
200A 第1駆動回路
200B 第2駆動回路
201A、201B 油圧モータ
202A、202B、203A、203B 主ライン
204A、204B、209A、209B 絞り
205A、205B 電磁式2位置切換弁(第1切換弁)
206A、206B 第1バイパスライン
207A、207B 可変抵抗器
208A、208B、213A、213B、214A、214B ソレノイド
210A、210B 電磁式3位置切換弁(第2切換弁)
211A、211B 第2バイパスライン
212A、212B 第3バイパスライン
215 距離検出センサ
216A、216B 電磁式3位置切換弁(第3切換弁)
G 地面
S 畝間
T 茶園
T1 畝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置に、圧縮空気を生成する圧縮空気生成手段と、生成された圧縮空気を蓄える圧縮空気貯留手段と、圧縮空気貯留手段に蓄えられた圧縮空気を噴出する噴出手段と、噴出手段を地中に貫入する貫入手段とを備えることを特徴とするエアレーション作業機。
【請求項2】
前記走行装置が畝を跨る一対の走行体を備え、前記噴出手段が畝の両側に位置して前後いずれか一方に一対備わることを特徴とする、請求項1記載のエアレーション作業機。
【請求項3】
走行装置の走行距離を測定するセンサに基づき、走行装置を自動停止する自動停止機構を備えることを特徴とする、請求項1または請求項2記載のエアレーション作業機。
【請求項4】
走行装置の走行距離を測定するセンサに基づき、走行装置を自動漸停止する自動漸停止機構を備えることを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のエアレーション作業機。
【請求項5】
前記貫入手段が噴出手段を昇降させる昇降手段を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のエアレーション作業機。
【請求項6】
前記貫入手段が噴出手段を下降限位置および上昇限位置に停止させるリミットスイッチを上下に備えることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のエアレーション作業機。
【請求項7】
噴出手段を上昇限位置に停止させるリミットスイッチからの作動信号に基づき、走行装置を自動発進させる自動発進機構を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のエアレーション作業機。
【請求項8】
噴出手段を上昇限位置に停止させるリミットスイッチからの作動信号に基づき、走行装置を自動漸発進させる自動漸発進機構を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載のエアレーション作業機。
【請求項9】
噴出手段が、噴出手段を下昇限位置に停止させるリミットスイッチからの作動信号に基づき、噴出口から圧縮空気を地中に噴出する構成であることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載のエアレーション作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−65562(P2012−65562A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211360(P2010−211360)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(592264237)松元機工株式会社 (16)
【Fターム(参考)】