説明

エアー式ショットピーニングマシンの投射材流量調整装置

【課題】 装置のサイズを小さく、且つ構成を簡単にし、さらに投射材の流量、噴射エアーの圧力が変化しても投射量の変化を最小限にできるよう投射材の流量を調整する投射材流量自動調整装置を提供すること
【解決手段】
エアー式ショットピーニングマシンの投射ノズルに投射材を供給する投射材流量調整装置であって、投射材を貯留する加圧タンクを開閉する停止弁と、圧縮エアーと投射材を混合する混合弁とを備え、前記停止弁は、前記加圧タンク下の開口部に入出可能な弁体と、該弁体を前記開口部に対して入出させる停止弁シリンダーと、該停止弁シリンダーを駆動させる停止弁モーターとからなり、前記停止弁シリンダーの駆動により前記停止弁の開度を調整し、投射材流量を調整する投射材流量調整装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアー式ショットピーニングマシンにおいて投射ノズルに投射材を供給する、投射材流量調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のショットピーニングマシンとしては、従来、投射材を貯留する加圧タンクの下に、カットバルブ(停止弁)、マグナバルブ(流量制御弁)、ミキシングバルブ(混合弁)を取り付けたものが知られている。このようなエアー式ショットピーニングマシンは、上記の各種バルブを加圧タンクの下に縦に取り付けていたため、装置の高さが高くなり、且つ構成が複雑になるという問題があった。
【0003】
また、マグナバルブ(流量制御弁)は、噴射圧力や投射材サイズ、投射量が変化した場合には、その都度調整が必要で、使い勝手が悪かった。さらに、マグナバルブで流量制御を行う場合、常にマグナバルブに通電しておく必要があるため、電力消費量が大きかった。
【0004】
ところで、特許文献1には、上記各種バルブを使わず、投射材ホッパ下部に形成された開口部に挿入可能な制御体を、該制御体を開口部に対して進退させることにより開口部の開口面積を加減して粉粒体の流量を調整する構成が開示されている。
【0005】
しかしながら特許文献1は、制御体の進退による流量の変化等は実験的に求めるものであり、流量の調整を、ショットピーニングマシンの稼動中にリアルタイムに行うことはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−254329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、装置のサイズを小さく、且つ構成を簡単にし、さらに投射材の流量、噴射エアーの圧力が変化しても投射量の変化を最小限にできるよう投射材の流量を調整する投射材流量自動調整装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、エアー式ショットピーニングマシンの投射ノズルに投射材を供給する投射材流量調整装置であって、投射材を貯留する加圧タンクを開閉する停止弁と、圧縮エアーと投射材を混合する混合弁とを備え、前記停止弁は、前記加圧タンク下の開口部に入出可能な弁体と、該弁体を前記開口部に対して入出させる停止弁シリンダーと、該停止弁シリンダーを駆動させる停止弁モーターとからなり、前記停止弁シリンダーの駆動により前記停止弁の開度を調整し、投射材流量を調整する投射材流量調整装置を提供する。このような構成とすることにより、装置サイズを小さく、特に装置の高さを低くすることができる。
【0009】
また本発明は、停止弁および混合弁間の投射材流量を測定する投射材流量センサーをさらに備え、該投射材流量センサーの測定結果に基づき投射材流量を調整する投射材流量調整装置としても良い。このような構成とすることにより、投射材の流量が変化しても投射量の変化を最小限にすることができる。
【0010】
また本発明は、前記加圧タンク内の圧力を検知する加圧タンク圧力センサーと、前記混合弁内の圧力を検知する混合弁圧力センサーとをさらに備え、該加圧タンク圧力センサーにより検知された加圧タンク内の圧力と該混合弁圧力センサーにより検知された混合弁内の圧力との差を測定し、該測定結果に基づき投射材流量を調整する投射材流量調整装置としても良い。このような構成とすることにより、加圧タンク内の圧力や噴射エアーの圧力が変化しても投射量の変化を最小限にすることができる。
【0011】
また本発明は、前記測定結果が所定の値を超えた場合にのみ前記停止弁シリンダーを駆動させる投射材流量調整装置としても良い。このような構成とすることにより、停止弁シリンダーを常時駆動させる必要がなくなり、消費電力量を減らすことができる。
【0012】
また本発明は、前記停止弁モーターはその回転を検知する回転検知センサーをさらに備え、所望の投射量に応じて前記停止弁が予め規定された開度となるよう前記停止弁モーターの回転を制御する投射材流量調整装置としても良い。このような構成とすることにより、投射量の設定変更に容易に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のエアー式ショットピーニングマシンの正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図1に基づき本発明のエアー式ショットピーニングマシンを詳細に説明する。図1に示すように、本発明のエアー式ショットピーニングマシンは、投射材を貯留する加圧タンク1を備え、該加圧タンク1の下方には、投射材を送り出すための開口2が設けられている。そして該開口2の下方には、停止弁3、および混合弁4が設けられている。加圧タンク1は、エアー配管12よりエアーを導入することにより、内部に圧力がかけられる。
【0015】
停止弁3は、開口2内に入出可能な弁体5と、該弁体5を開口2に入出させる停止弁シリンダー6と、該停止弁シリンダーを駆動させる停止弁モーター10とで構成されている。本実施例では、弁体5は開口2に対して直交する方向(即ち、図1の左右方向)に動くようにされている。
【0016】
また、混合弁4では、加圧タンク1から開口2を通じて送り出された投射材を圧縮エアーと混合し、投射ノズル(図示せず)に供給する。ここで、圧縮エアーの噴射される方向は図1の左から右である。
【0017】
停止弁3と混合弁4の間には、投射材流量センサー7が設けられている。本実施例では、投射材流量センサーとして流量測定コイルを使用している。これにより、停止弁3と混合弁4の間を通過する投射材の流量を測定することができる。そして、該測定結果に基づき、停止弁3の開度、即ち停止弁シリンダー6のストロークを調整することにより、投射材の流量を一定にすることができる。
【0018】
以上のような構成とすることにより、本発明にかかるエアー式ショットピーニングマシンでは、従来使用されていたマグナバルブ(流量制御弁)を使う必要がなくなる。そのため、装置高さを低くすることができ、本実施例では、装置高さ(開口2の上端から混合弁4の下端までの高さ)は200mmであった。なお、マグナバルブを使用した従来の装置の高さは、400mm以上である。
【0019】
また本実施例では、加圧タンク内の圧力を検知する加圧タンク圧力センサー8と、混合弁内の圧力を検知する混合弁圧力センサー9が設けられている。これにより、加圧タンク内の圧力と、混合弁内の圧力から、その圧力の差を計測し、該計測の結果から、投射材の流速を算出する。
【0020】
そして、算出された投射材の流速に基づき、停止弁3の開度、即ち停止弁シリンダー6のストロークを調整することにより、投射量を一定にすることができる。即ち、仮に加圧タンク内もしくは混合弁内の圧力が変化した場合であっても、投射量を一定に保つことができる。
【0021】
なお、マグナバルブを使用する従来のエアー式ショットピーニングマシンにおいては、マグナバルブは電力により磁力を発生し投射量を制御するため、常に通電しておく必要があり消費電力量が大きかったが、本実施例では、投射量または加圧タンク、混合弁内の圧力が所定の範囲を超えた場合にのみ、停止弁3の開度を調整するようにしている。そのため、電力を消費するのは投射量または加圧タンク、混合弁内の圧力が所定の範囲を超えた場合のみで、常に通電しておく必要がなく、従来のエアー式ショットピーニングマシンと比較して、消費電力量を少なくすることができる。
【0022】
また本発明は、前記停止弁モーター10に、その回転を検知する回転検知センサー11を設け、任意に投射量の設定を変更する場合には、所望の投射量が得られるよう停止弁3の開度を制御するようにしても良い。即ち、停止弁3が、所望の投射量が得られる開度になるよう、回転検知センサー11により停止弁モーター10の回転を制御することにより、停止弁モーター10を所定量まで動作させる。
【0023】
この場合、投射量と、停止弁3の開度との関係は、あらかじめ実験等により求めておく必要がある。また、加圧タンクや混合弁の圧力の設定を任意に変更する場合にも、加圧タンクと混合弁の圧力と、投射量と、停止弁3の開度の関係をあらかじめ実験等により求めておけば、投射量の設定を変更する場合と同様に、回転検知センサー11を使用して停止弁モーター10の駆動を制御することにより、圧力の設定を変更しても所望の投射量を得ることができる。
【0024】
以上の通り、回転検知センサー11を用いることにより、本発明では投射量や圧力の設定変更にも容易に対応することが可能である。
【0025】
以上、本発明による代表的実施例について説明したが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、当業者であれば、添付した特許請求の範囲を逸脱することなく、種々の代替実施例及び改変例を見出すことは可能である。
【符号の説明】
【0026】
1 加圧タンク
2 開口
3 停止弁
4 混合弁
5 弁体
6 停止弁シリンダー
7 投射材流量センサー
8 加圧タンク圧力センサー
9 混合弁圧力センサー
10 停止弁モーター
11 回転検知センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアー式ショットピーニングマシンの投射ノズルに投射材を供給する投射材流量調整装置であって、投射材を貯留する加圧タンクを開閉する停止弁と、圧縮エアーと投射材を混合する混合弁とを備え、前記停止弁は、前記加圧タンク下の開口部に入出可能な弁体と、該弁体を前記開口部に対して入出させる停止弁シリンダーと、該停止弁シリンダーを駆動させる停止弁モーターとからなり、前記停止弁シリンダーの駆動により前記停止弁の開度を調整し、投射材流量を調整する投射材流量調整装置。
【請求項2】
前記弁体は、前記開口部に対して直交する方向に入出可能な、請求項1記載の投射材流量調整装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の投射材流量調整装置において、前記停止弁および前記混合弁間の投射材流量を測定する投射材流量センサーをさらに備え、該投射材流量センサーの測定結果に基づき投射材流量を調整する投射材流量調整装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の投射材流量調整装置において、前記加圧タンク内の圧力を検知する加圧タンク圧力センサーと、前記混合弁内の圧力を検知する混合弁圧力センサーとをさらに備え、該加圧タンク圧力センサーにより検知された加圧タンク内の圧力と該混合弁圧力センサーにより検知された混合弁内の圧力との差を測定し、該測定結果に基づき投射材流量を調整する投射材流量調整装置。
【請求項5】
請求項3または4記載の投射材流量調整装置において、前記測定結果が所定の値を超えた場合にのみ前記停止弁シリンダーを駆動させる投射材流量調整装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の投射材流量調整装置において、前記停止弁モーターはその回転を検知する回転検知センサーをさらに備え、所望の投射量に応じて前記停止弁が予め規定された開度となるよう前記停止弁モーターの回転を制御する投射材流量調整装置。



【図1】
image rotate


【公開番号】特開2011−255456(P2011−255456A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131719(P2010−131719)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【出願人】(000191009)新東工業株式会社 (474)