説明

エアー緩衝材製造装置

【課題】膨らみ具合を調節し易い小型で歩留まりのよいエアー緩衝材製造装置。
【解決手段】エアー緩衝材製造装置10は、ロール装着軸11、繰り出しローラ対14,15、加工部20を備える。フィルム材料1は、仕切り部同士の間が開口となった空気室7を備える。加工部20は、固定部材21、押し上げヒーター22、上下のベルト23,24、上下面のガイド部材25,26、扁平でラッパ状に広がる吹き出し口を有するノズル27、エアチャンバ6に挿入されると共にエアチャンバ側の縁3を切り裂くカッタ29を有する扁平な帯板状ガイド部材28を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアー緩衝材を製造するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、梱包用のエアー緩衝材として、複数の小区画に空気を封入した独立気室連接気体袋が知られている。また、この種のエアー緩衝材を製造する装置としていくつかの提案がなされている(特許文献1〜4)。
【0003】
特許文献1に記載された装置は、図6(A)に示す様に、気体袋12の通路19内に挿入され、長手方向中途部に小径部26を有した中子23と、中子23の小径部26の位置に於て気体袋12を挟圧して、当該気体袋12をその長手方向に送るピンチローラ21と、中子23が挿入されて開かれた通路19の開口部に挿脱自在に挿入されるノズルアダプター29と、気体袋12の長手方向移動に際してノズルアダプター29が通路開口部から外れないように、当該ノズルアダプター29を移動させる移動装置28と、ノズルアダプター29に接続される気体供給装置31,32と、長手方向に所定量移動した気体袋12の終端位置に於て通路19を閉じるべく気体袋12を挟圧するニップ装置33と、気体袋12の終端部をその幅方向全長にわたって切断する切断装置34とを具備している。
【0004】
特許文献2に記載された装置は、図6(B)に示す様に、膨張ステーション31、密封ステーション33及び切込みステーション35を備え、膨張ステーション31でウェブフィルム19のクッションを膨張させた後、その下流の密封ステーション33で加熱密封要素75,81,83を用いて入口ポート69を密封し、さらに下流の切込みステーション35のブレード95で密封後のフィルム19に切込みを入れ、膨張された梱包用ストリップを機械11から取り除くことができる様に構成されている。
【0005】
特許文献3に記載された装置は、図6(C)に示す様に、キャビネットの上面に取り付けられた1対のローラ39,41上に載置したフィルムロール28を、キャビネットの一方の側部に設けられた係止部49で位置決め案内し、膨らましチャネル19内に延びる膨らましチューブ52を通して空気をチャンバ21,22内へ導入してクッションを膨らませた後、長手方向に延びるシール89でチャネル19とチャンバ21,22との間の通路23を横切るようにシールした後、ナイフ(図示せず)で、膨らましチューブ52が膨らましチャネル19から出ることができるように、膨らましチャネル19の隣に位置するフィルム材料の縁部にスリットを入れて開く様に構成されている。
【0006】
特許文献1に記載された装置は、ノズルアダプター29を回動させて幅方向にフィルムを切断する操作を繰り返す必要があり、連続的にエアー緩衝材を製造することができないため、生産性が向上しないという問題がある。
【0007】
特許文献2,3に記載の各装置は、フィルムの搬送方向に伸びるチャンバをヒートシール後に切り開くことによって連続的な生産を可能にしている。しかし、チャンバとノズルとの接触や、ヒートシールによる熱の影響で、フィルムに皺がよってピンホール等が生じることでクッション部からの空気漏れが生じ、歩留まりが向上しないという問題がある。
【0008】
そこで、本発明者らは、複数の小区画に空気を封入した独立気室連接気体袋を連続的に製造することができ、かつ、クッション部からの空気漏れを防止して、生産性と歩留まりの向上を図ることを目的として、図7に示す様に、フィルム材料1の長手方向に伸びるエアチャンバ2に挿入したノズル11から空気を噴出させ、エアチャンバ2に連接して幅方向に伸びる空気室3を膨らませた後、ノズル11の空気噴出口12よりも下流に配置される加熱部材でフィルム材料1の長手方向に沿ったヒートシールを施すと共に、同じくノズル11の空気噴出口12よりも下流に配置される切断部材でエアチャンバ2を長手方向に切り裂き、膨らんだ状態の独立気室連接気体袋を連続的に製造するための装置であって、カッタ31を加熱部の直前の位置に配置したエアー緩衝材製造装置10を提案した(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平6−92373号公報(要約、図1,2)
【特許文献2】特表2004−505862号公報(要約、0037〜0057、図1,4)
【特許文献3】特表2005−518969号公報(要約,009〜0016、図1〜3)
【特許文献4】特許第4199823号公報(要約,019〜0029、図1〜5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献4に記載された装置によれば、ヒートシールによってフィルム材料が引き攣れる前に切断部材による切り裂きが行われると共に、切断部材はノズルの空気噴出口よりも下流に位置し、ノズルの空気噴出口は上流に向かって空気を噴出する様に開口され、空気室への空気を流入させる入口ポートは一旦流入した空気が流出し難い様な小さな入口として形成される。この結果、「(1)切断部材による切り裂きが行われても、直ちに空気室内のエアが抜けることはない。」、「(2)切断部材による切り裂き位置をフィルム材料の縁にすることができ、切り裂き位置を入口ポートから遠くすることによって、さらに、確実にエアの抜けを防止することができる。」、「(3)切断部材による切り裂き位置と加熱部材によるヒートシール位置との間でフィルム材料をエアチャンバを潰す方向に挟んで展張した状態とすることで、一層確実にエアの抜けを防止することができる。」といった多大な作用・効果が発揮され、上述した目的を十分に達成することができた。
【0011】
しかしながら、特許文献4の発明は、装置の小型化という点でさらなる改良の必要がある。特に、装置を小型化すると共に、緩衝材の膨らみ具合をユーザーが任意に調節できる様にするためには、小型で風量調節の可能なファンモータを採用する必要がある。このため、風量が小さくても十分に各気室を膨らませられる様に改良する必要がある。また、小型化による風量ダウンに伴う空気抜け量を抑えるためには、ヒートシールを迅速に実行するためのヒーターの高出力化が有効である。しかし、ヒーターの高出力化により、緩衝材のヒートシール部分の引き攣れが発生し易くなる。
【0012】
そこで、本発明は、緩衝材の膨らみ具合をユーザーが任意に調節でき、風量を抑えた小型モータであっても空気の抜け過ぎやヒートシール部の引き攣れの発生を抑制することもでき、小型で歩留まりのよいエアー緩衝材製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するためになされた本発明のエアー緩衝材製造装置は、フィルム材料の長手方向に伸びるエアチャンバを介して空気を吹き込み、該エアチャンバに連接して幅方向に伸びる空気室を膨らませた後、該空気室の開口を閉じる様に加熱部材で前記フィルム材料の長手方向に沿ったヒートシールを施し、独立気室連接気体袋を連続的に製造するための装置であって、以下の構成を備えていることを特徴とする。
(1)前記フィルム材料は、帯状にした筒状フィルムの一方の縁から反対側の縁へ向かって形成された仕切り部により、該仕切り部の先端と前記反対側の縁との間で長手方向に連続するエアチャンバと、前記仕切り部の間に挟まれ前記エアチャンバ側に開口を有する空気室とを形成し、前記仕切り部の内の少なくとも一部に対して幅方向にミシン目が形成され、多数の空気室を連続的に備えたロール状のものであること。
(2)前記ロール状のフィルム材料を装着するロール装着軸と、フィルムロールから引き出したフィルム材料を装置本体内へ送り込む繰り出しローラ対と、該繰り出しローラ対によって送り込まれたフィルム材料に対してエアを吹き込んで膨らますと共にヒートシールして独立気室を形成させる加工部とを備えていること。
(3)前記加工部は、固定部材と、該固定部材に対面する様に設置されたヒーターと、これら固定部材とヒーターとの間に位置してフィルム材料を挟み付けて搬送するための上ベルト及び下ベルトと、前記繰り出しローラ対から繰り出されるフィルム材料を上下から挟み込む様にガイドして前記上ベルトと下ベルトの間に送り込む上面ガイド部材及び下面ガイド部材と、フィルム材料のエアチャンバを介して各空気室へと空気を吹き込むノズルと、該ノズルより前方でフィルム材料のエアチャンバに長手方向に沿う様に挿入されると共にエアチャンバ側の縁を切り裂くカッタを有する扁平な帯板状ガイド部材とを備えていること。
(4)前記上面ガイド部材及び下面ガイド部材は、前記帯板状ガイド部材のカッタでエアチャンバ側の縁を切り裂かれたフィルム材料を、前記ノズルのエア吹き出し口の前面側で、エア吹き出し方向に若干離れた位置で上下から挟む位置に設置されていること。
(5)前記ノズルは、前記帯板状ガイド部材のカッタでエアチャンバ側の縁を切り裂かれ、前記上面ガイド部材及び下面ガイド部材の間に挟まれているフィルム材料のエアチャンバ部分に先端を挿入し得る位置まで伸びる扁平なエア吹き出し口を備えていること。
【0014】
本発明のエアー緩衝材製造装置によれば、ロール状のフィルム材料をロール装着軸に装着し、フィルムロールから引き出したフィルム材料を繰り出しローラ対の間に挟み込ませるときに、エアチャンバの部分に帯板状ガイド部材の先端を差し込む。そして、繰り出しローラ対を駆動してフィルム材料を加工部へと送り込む。すると、フィルム材料は、エアチャンバ側の縁をカッタで切り裂かれつつ、エア吹き出し用のノズルの前を通過して上ベルト及び下ベルトの間に挟み込まれる。そして、上下のベルトの間にしっかりと挟んだ状態で固定部材とヒーターとによる加熱部を通過させて排出することができる。この間、ノズルからエアを吹き出すことにより、フィルム材料の空気室にはエアチャンバを介して空気が吹き込まれる。そして、この空気が吹き込まれた状態で上下のベルトの間に挟まれて加熱部を通過することで空気室のエアチャンバ側の部分がヒートシールされる。ノズルを扁平なエア吹き出し口を有するものとし、空気室へと直接に空気を吹き込めるものとしたので、短時間で空気室に必要な量の空気を充填することができる。また、このノズルの直前において、上面ガイド部材及び下面ガイド部材でフィルム材料の空気室開口部分を上下から挟む様にガイドしているので、空気が吹き込まれて上下に広がったフィルム材料の上下面がガイド部材の内側面に接触し、開いてしまうことがない。従って、一旦空気室に入った空気の抜けを抑制することができている。そして、ノズルの直後で上下のベルトの間にフィルム材料のヒートシール予定箇所がしっかりと挟み込まれることで、空気抜け抑制効果はさらに確実になる。こうして空気抜けの抑制をした状態で固定部とヒーターの挟み付けによるヒートシールがしっかりと施されて密封状態の空気室が完成する。この結果、空気吹き出し用のファン及びファンモータを小型化しても空気が抜けすぎる前にヒートシールによる封緘が可能になり、装置の小型化を可能ならしめている。また、小型化に伴い、ファンモータをDCモータとし、風量調整を容易に実行することもできる。
【0015】
本発明のエアー緩衝材製造装置は、さらに、以下の構成をも備えるとよい。
(6)前記フィルム材料は、前記仕切り部同士の内側間隔をそのまま前記空気室のエアチャンバ側の開口としていること。
(7)前記上面ガイド部材は先端が上方に折り曲げられており、前記下面ガイド部材は先端が下方に折り曲げられていること。
(8)前記ノズルは、先端がラッパ状に広がった扁平なエア吹き出し口を備えていること。
(9)前記帯板状ガイド部材は、前記繰り出しローラ対の接触面を中心線として当該繰り出しローラ対の接触部よりも上流まで先端を伸ばした状態に設置されていること。
【0016】
かかる構成をも備えることにより、上下面ガイド部材の間へとフィルム材料をスムーズに導入することができる結果、ガイド部材の本体部分をより接近させておき、空気を吹き込まれたときにフィルム材料の口が大きく開かない様にすることによって空気抜けをより抑制することができる。また、ノズルは、先端がラッパ状に広がった扁平なエア吹き出し口を備えているので、空気を広い範囲へ吹き出すことができ、仕切り部同士の内側間隔をそのまま開口としている空気室へと効率よく空気を吹き込むことができる。従って、空気室は、ノズルの前を通過する間中ずっと空気を吹き込まれていることになり、空気抜けが多少あっても次々と空気が追加して吹き込まれる。そして、この様に空気室には次々と外へ向かう力が加わり続けるものの、帯板状ガイド部材が繰り出しローラ対の接触面を中心線として当該繰り出しローラ対の接触部よりも上流まで先端を伸ばした状態に設置されているので、フィルム材料全体が位置ズレを起こすことも抑制されている。
【0017】
本発明のエアー緩衝材製造装置は、さらに、以下の構成をも備えるとよい。
(10)前記帯板状ガイド部材は、前記ノズルの上流側直前位置から上流側へ向かって伸びる様に配置され、元部背面側にフィルム材料のエアチャンバ側の縁を切り裂くためのカッタが上流側に刃を向けて備えられていること。
【0018】
かかる構成をも備えることにより、可能な限り長い範囲をガイドした状態で、ノズルによるエア吹き込み位置へ達する直前にフィルム材料を切り裂くことができるから、切り裂き量を必要最小限に近付けた状態でエアの吹き込みを実行することができる。
【0019】
本発明のエアー緩衝材製造装置は、さらに、以下の構成をも備えるとよい。
(11)前記カッタは、前記帯板状ガイド部材の本部背面側に形成された溝に先端を差し込む様にして、刃をフィルム材料の搬送方向上流側に向けて取り付けられていること。
【0020】
かかる構成をも備えることにより、カッタの取付状態を安定させ、的確な切り先を確実に実施することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、緩衝材の膨らみ具合をユーザーが任意に調節でき、風量を抑えた小型モータであっても空気の抜け過ぎやヒートシール部の引き攣れの発生を抑制することもでき、小型で歩留まりよくエアー緩衝材を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施例のエアー緩衝材製造装置の外観を示し、(A)は緩衝材製造用のフィルムロールを装着した状態での斜視図、(B)はフィルムロールを装着しない状態での斜視図である。
【図2】実施例のエアー緩衝材製造装置を示し、(A)はカバーを装着した状態での左側面図、(B)はカバーを取り外した状態での左側面図である。
【図3】実施例のエアー緩衝材製造装置を示し、(A)は要部の平面図、(B)は要部の側面図である。
【図4】実施例のエアー緩衝材製造装置の要部を示し、(A)はフィルムの平面図、(B)はガイド及び切り裂き部材の平面図、(C)はガイドの背面図、(D)はエア吹き込みノズルの平面図、(E)はエア吹き込みノズルの正面図である。
【図5】変形例としてのエアー緩衝材製造装置の要部を示す模式図である。
【図6】従来技術の説明図である。
【図7】従来技術の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に示す具体的な実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0024】
実施例のエアー緩衝材製造装置10は、図1に示す様に、ロール状のフィルム材料1を装着するロール装着軸11と、フィルムロールから引き出したフィルム材料1を掛け回す引っ掛け棒12,13と、これら引っ掛け棒12,13に掛け回されたフィルム材料1を本体内へ送り込む繰り出しローラ対14,15と、繰り出しローラ対14,15によって送り込まれたフィルム材料1に対してエアを吹き込んで膨らますと共にヒートシールして独立気室を形成させる加工部20とを備えている。
【0025】
フィルム材料1は、図4(A)に示す様に、帯状にした筒状フィルムの一方の縁2から反対側の縁3へ向かって「コ」の字を90度回転させた形状の線状のヒートシールによって形成された仕切り部4と、この仕切り部4の中心を通るミシン目5とを備えている。仕切り部4の先端4aは、反対の縁3には到達しておらず、エアチャンバ6として機能する部分が残されている。また、仕切り部同士の間は、エアチャンバ6に連通する空気室7となっている。この空気室7がエアチャンバ6に対して仕切り部間で広く連通している点は本実施例の一つの特徴である。
【0026】
加工部20は、図2,図3に示す様に、固定部材21と、固定部材21に対面する様に設置された押し上げヒーター22と、これら固定部材21と押し上げヒーター22との間をフィルム材料1を挟み付けて搬送するための上ベルト23及び下ベルト24と、上ベルト23が掛け渡される上ベルト駆動ローラ23a、上ベルト従動ローラ23b,23cと、下ベルト24が掛け渡される下ベルト駆動ローラ24a、下ベルト従動ローラ24b,24c,24dと、フィルム材料1を上下から挟み込む様にガイドして、上ベルト23と下ベルト24の間にフィルム材料1を送り込む上面ガイド部材25及び下面ガイド部材26と、エアチャンバ6を介して空気室7へと空気を吹き込むノズル27と、ノズル27より前方でフィルム材料1のエアチャンバ6に挿入されると共にエアチャンバ側の縁3を切り裂くカッタ29を有する扁平な帯板状ガイド部材28とを備えている。
【0027】
押し上げヒーター22は、固定部材21に対して接近・離間動作ができる様に構成されている。また、上ベルト23用の従動ローラ23cも上方からバネで付勢されている。これらの構成により、フィルム材料1は、上ベルト23と下ベルト24の間にしっかり挟み付けられて搬送されつつしっかりとヒートシールされる。
【0028】
上面ガイド部材25は先端が上方に折り曲げられており、下面ガイド部材26は先端が下方に折り曲げられており、フィルム材料1を両ガイド部材25,26の間に侵入させ易い構造となっている。なお、図3(A)に示す様に、ガイド部材25,26は、ノズル27のエア吹き出し方向に若干離れた位置に設置されている。
【0029】
ノズル27は、図4(C),(E)に示す様に、先端がラッパ状に広がった扁平なエア吹き出し口27aを備えている。そして、このノズル27の直前に配置される帯板状ガイド部材28は、図4(B),(C)に示す様に、先端が細い台形状の板材として構成されると共に、元側にフィルム材料1のエアチャンバ側の縁3を切り裂くためのカッタ29が備えられている。このカッタ29は、帯板状ガイド部材28の元部背面側に形成された溝28aに先端を差し込む様にして、刃をフィルム材料の搬送方向上流側に向けて取り付けられる。
【0030】
このエアー緩衝材製造装置10により、エアー緩衝材を製造するには、ロール状のフィルム材料1をロール装着軸11に装着し、フィルムロールから引き出したフィルム材料1を引っ掛け棒12,13に掛け回した後に繰り出しローラ対14,15の間に挟み込ませる。このとき、エアチャンバ6の部分に帯板状ガイド部材28の先端を差し込む。そして、繰り出しローラ対14,15を駆動してフィルム材料1を加工部20へと送り込む。
【0031】
すると、フィルム材料1は、エアチャンバ側の縁3をカッタ29で切り裂かれつつ、エア吹き出し用のノズル27の前を通過して上ベルト23及び下ベルト24の間に挟み込まれる。そして、上下のベルト23,24の駆動ローラ23a,24aを駆動すると共に、押し上げヒーター22を上昇させてフィルム材料1を上下のベルト23,24の間にしっかりと挟んだ状態で固定部材21と押し上げヒーター22とによる加熱部を通過させて排出する。
【0032】
この間、ノズル27からエアを吹き出すことにより、フィルム材料1の空気室7にはエアチャンバ6を介して空気が吹き込まれる。そして、この空気が吹き込まれた状態で上下のベルト23,24の間に挟まれて加熱部を通過することで空気室7のエアチャンバ側の部分がヒートシールされる。こうして、空気が封入された多数の独立気室を有するエアー緩衝材を製造することができる。このエアー緩衝材は、ミシン目5で切ることにより、気室1個、2個、…と任意の個数の気室を有するエアー緩衝材として利用することができる。
【0033】
本実施例のエアー緩衝材製造装置10は、空気を吹き込むノズル27を扁平で先端がラッパ状に広がったエア吹き出し口27aを有するものとし、フィルム材料1もエアチャンバ6側は幅一杯に開口を有する空気室7を備えるものとしたので、短時間で空気室7に必要な量の空気を充填することができる。また、このノズル27の直前において、上面ガイド部材25及び下面ガイド部材26でフィルム材料1の空気室開口部分を上下から挟む様にガイドしているので、空気が吹き込まれて上下に広がったフィルム材料1の上下面がガイド部材25,26の内側面に接触し、開いてしまうことがない。従って、一旦空気室7に入った空気の抜けを抑制することができている。そして、ノズル27の直後で上下のベルト23,24の間にフィルム材料1のヒートシール予定箇所がしっかりと挟み込まれることで、空気抜け抑制効果はさらに確実になる。こうして空気抜けの抑制をした状態で固定部材21と押し上げヒーター22の挟み付けによるヒートシールがしっかりと施されて密封状態の空気室7が完成する。この様に、本実施例の装置は、空気の抜けを抑制することができる結果として、空気吹き出し用のファン及びファンモータを小型化しても空気が抜けすぎる前にヒートシールによる封緘が可能になり、装置の小型化を可能ならしめている。また、小型化に伴い、ファンモータをDCモータとし、風量調整を容易に実行することができる構成も採用している。
【0034】
また、ノズル28からの空気の吐出が始まると、空気室7が膨らんでフィルム材料1を全体に装置10から離れる方向に移動させようとする力が発生する。しかし、空気吹き込み部分の直前まで帯板状ガイド部材28がフィルム材料1のエアチャンバ6をガイドしているので、フィルム材料1が全体に大きく外へ移動してしまうことがない。また、帯状ガイド部材28以外にも、上下面ガイド部材25,26がカッタ29で切り裂かれた後の空気室7の開口部分を上下から挟む様にガイドしている。これによっても、フィルム上下面がガイド部材の内面に接触し、面接触による摩擦力が生じる結果、ノズル27からの空気の吹き込みによるフィルム材料1全体の移動抑制効果が発揮される。さらに、帯板状ガイド部材28は、先端が繰り出しローラ14,15の軸心よりも上流に位置しているので、フィルム材料1をしっかりと整列させる効果がより高いものとなっている。これにより、フィルム材料がずれることなくほぼ真っ直ぐに加熱部へと送り込まれ、引き攣れることなくきれいにヒートシールによる封緘を実行することができる。
【0035】
そして、本実施例によれば、空気の量を調整可能であると共に、空気の抜け過ぎを防止でき、ヒートシールによる引き攣れも防止できる結果、小型化した上に、さらに、生産性と歩留まりを向上させることも可能にしている。
【0036】
以上、発明を実施するための最良の形態としての一実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内における種々の変更が可能である。
【0037】
例えば、図5(A)に示した様に、固定部材21の下流側に上下のベルト23,24に接触する放熱体31,32を設置しておき、ヒートシール部分をベルト23,24で挟んだままで速やかに冷却することにより、ヒートシール部分の縮みの発生を防止して、さらに、ピンホール等の発生を抑制し得る様に構成を追加することもできる。
【0038】
また、図5(B)に示した様に、空気を吹き込んだときの空気室の膨張によるフィルム材料1の全体的な移動をより抑制し得る様に、押し上げヒーター22の上面に板ばね33を巻き付ける様にして取り付け、一方端を固定し、他方端を上下動自在に固定することで、固定部材21と押し上げヒーター22とによる挟み付けの作用を高める様にしてもよい。
【0039】
さらに、フィルム材料1のミシン目5は、いくつかの空気室毎に形成される様にしてもよいし、空気室の開口は仕切り部間一杯ではなく、若干狭くなる様に仕切り部に長手方向の短い仕切り部が連続していてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
梱包用のエアー緩衝材の製造装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1・・・フィルム材料
2・・・筒状フィルムの一方の縁(エアチャンバと反対側の縁)
3・・・筒状フィルムの反対側の縁(エアチャンバ側の縁)
4・・・仕切り部
4a・・・仕切り部の先端
5・・・ミシン目
6・・・エアチャンバ
7・・・空気室
10・・・エアー緩衝材製造装置
11・・・ロール装着軸
12,13・・・引っ掛け棒
14,15・・・繰り出しローラ対
20・・・加工部
21・・・固定部材
22・・・押し上げヒーター
23・・・上ベルト
23a・・・上ベルト駆動ローラ
23b,23c・・・上ベルト従動ローラ
24・・・下ベルト
24a・・・下ベルト駆動ローラ
24b,24c,24d・・・下ベルト従動ローラ
25・・・上面ガイド部材
26・・・下面ガイド部材
27・・・ノズル
27a・・・エア吹き出し口
28・・・帯板状ガイド部材
28a・・・溝
29・・・カッタ
31,32・・・放熱体
33・・・板ばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム材料の長手方向に伸びるエアチャンバを介して空気を吹き込み、該エアチャンバに連接して幅方向に伸びる空気室を膨らませた後、該空気室の開口を閉じる様に加熱部材で前記フィルム材料の長手方向に沿ったヒートシールを施し、独立気室連接気体袋を連続的に製造するための装置であって、以下の構成を備えていることを特徴とするエアー緩衝材製造装置。
(1)前記フィルム材料は、帯状にした筒状フィルムの一方の縁から反対側の縁へ向かって形成された仕切り部により、該仕切り部の先端と前記反対側の縁との間で長手方向に連続するエアチャンバと、前記仕切り部の間に挟まれ前記エアチャンバ側に開口を有する空気室とを形成し、前記仕切り部の内の少なくとも一部に対して幅方向にミシン目が形成され、多数の空気室を連続的に備えたロール状のものであること。
(2)前記ロール状のフィルム材料を装着するロール装着軸と、フィルムロールから引き出したフィルム材料を装置本体内へ送り込む繰り出しローラ対と、該繰り出しローラ対によって送り込まれたフィルム材料に対してエアを吹き込んで膨らますと共にヒートシールして独立気室を形成させる加工部とを備えていること。
(3)前記加工部は、固定部材と、該固定部材に対面する様に設置されたヒーターと、これら固定部材とヒーターとの間に位置してフィルム材料を挟み付けて搬送するための上ベルト及び下ベルトと、前記繰り出しローラ対から繰り出されるフィルム材料を上下から挟み込む様にガイドして前記上ベルトと下ベルトの間に送り込む上面ガイド部材及び下面ガイド部材と、フィルム材料のエアチャンバを介して各空気室へと空気を吹き込むノズルと、該ノズルより前方でフィルム材料のエアチャンバに長手方向に沿う様に挿入されると共にエアチャンバ側の縁を切り裂くカッタを有する扁平な帯板状ガイド部材とを備えていること。
(4)前記上面ガイド部材及び下面ガイド部材は、前記帯板状ガイド部材のカッタでエアチャンバ側の縁を切り裂かれたフィルム材料を、前記ノズルのエア吹き出し口の前面側で、エア吹き出し方向に若干離れた位置で上下から挟む位置に設置されていること。
(5)前記ノズルは、前記帯板状ガイド部材のカッタでエアチャンバ側の縁を切り裂かれ、前記上面ガイド部材及び下面ガイド部材の間に挟まれているフィルム材料のエアチャンバ部分に先端を挿入し得る位置まで伸びる扁平なエア吹き出し口を備えていること。
【請求項2】
さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする請求項1記載のエアー緩衝材製造装置。
(6)前記フィルム材料は、前記仕切り部同士の内側間隔をそのまま前記空気室のエアチャンバ側の開口としていること。
(7)前記上面ガイド部材は先端が上方に折り曲げられており、前記下面ガイド部材は先端が下方に折り曲げられていること。
(8)前記ノズルは、先端がラッパ状に広がった扁平なエア吹き出し口を備えていること。
(9)前記帯板状ガイド部材は、前記繰り出しローラ対の接触面を中心線として当該繰り出しローラ対の接触部よりも上流まで先端を伸ばした状態に設置されていること。
【請求項3】
さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする請求項1又は2記載のエアー緩衝材製造装置。
(10)前記帯板状ガイド部材は、前記ノズルの上流側直前位置から上流側へ向かって伸びる様に配置され、元部背面側にフィルム材料のエアチャンバ側の縁を切り裂くためのカッタが上流側に刃を向けて備えられていること。
【請求項4】
さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする請求項3記載のエアー緩衝材製造装置。
(11)前記カッタは、前記帯板状ガイド部材の本部背面側に形成された溝に先端を差し込む様にして、刃をフィルム材料の搬送方向上流側に向けて取り付けられていること。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−195162(P2011−195162A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−62981(P2010−62981)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【特許番号】特許第4504462号(P4504462)
【特許公報発行日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(597093584)アジアハイテックス株式会社 (1)
【Fターム(参考)】