説明

エストロゲン含有水の処理装置および処理方法

【課題】第1に、OHラジカルが効率的に大量に生成され、もってエストロゲンを確実に酸化,分解することができ、第2に、しかもこれが、ランニングコスト,後処理コスト,制御の容易性,処理の安定性,イニシャルコスト、等にも優れて実現される、エストロゲン含有水の処理装置、および処理方法を提案する。
【解決手段】この処理装置2および処理方法は、被処理水3に含有されたエストロゲン1を、フェントン法に基づき酸化,分解する。そして処理装置2は、処理槽4と、処理槽4に付設された被処理水供給手段5,過酸化水素添加手段6,鉄イオン添加手段7,pH調整手段8とを、備えている。過酸化水素添加手段6は、処理槽4の被処理水3に過酸化水素を添加し、鉄イオン添加手段7は、処理槽4の被処理水3に2価の鉄イオンを添加し、pH調整手段8は、処理槽4の被処理水3を所定の弱酸性に維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エストロゲン含有水の処理装置および処理方法に関する。すなわち、廃水等の被処理水に含有されたエストロゲンを、フェントン法に基づき酸化,分解する、処理装置および処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
《技術的背景》
エストロゲンは、代表的には女性の卵巣から分泌される女性ホルモン,発情ホルモンとして知られている。そして、エストラジオール,エストロン,エストリオール等の人由来のエストロゲンが、代表的であるが、その他の家畜由来の天然エストロゲンや、ピル等の合成された人工的エストロゲンも、その範疇にある。
さてエストロゲンは、不用分が尿等として体外排泄されるが、その下水や廃水、これらが流入する河川水,湖水,地下水,下水処理場流入水,下水処理場放流水,浄水場取入水等々について、最近その残留,混入,検出が、相次いで報告されている。
そして、係る水系では魚の雌化現象が確認される等、生物の雌化現象が懸念される状況にある。すなわちエストロゲン、特に生物学的活性作用の強いエストラジオールは、いわゆる内分泌性攪乱物質と並んで、人体,生態系,環境等への悪影響が、懸念され始めている状況にある。
【0003】
《従来技術》
これに対し、有効な処理技術,浄化技術は、現状では未だ確立されていない。この種の下水や廃水,その他の水系中に含有されたエストロゲンの処理ニーズは、今後高まると予測されるが、その高分子有機構造の難分解性等に起因して、効率的な処理技術は未だ確立されていない。この種のエストロゲン処理技術としては、次の技術が把握されうるに過ぎない。
すなわち、活性汚泥処理法,その他の微生物処理法(下水処理場設備として代表的)や、燃焼法,その他の熱処理法や、過酸化水素や放射線照射による酸化分解法や、産業廃棄物としての処理法、等が提案されているに過ぎない。又、過酸化水素と鉄塩にてOHラジカルを生成して、エストロゲンを酸化分解するフェントン法も提案されている。
【0004】
《先行技術文献情報》
次の特許文献1,2は微生物処理法に関し、特許文献3は熱処理法に関する。
【特許文献1】特開2007−7569号公報
【特許文献2】特開2004−154682号公報
【特許文献3】特開2004−34008号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
《問題点について》
ところで、上述したこの種従来例については、次の問題が指摘されていた。
まず、微生物処理法,熱処理法,酸化分解法等については、まず、処理の確実性や処理性能に問題が指摘されており、エストロゲンの処理率,分解率,除去率が低かった。又、大規模設備や多大なエネルギー消費を伴い、イニシャルコストやランニングコストを始め、制御の複雑さや処理の安定性にも、問題が指摘されていた。産業廃棄物処理法は、周知のように運搬や処理にコストが嵩み、イニシャルコストに問題があった。
従来のフェントン法については、処理性能やランニングコスト(薬品使用コスト)等に、問題が指摘されていた。例えば、過酸化水素が処理途中で水と酸素に分解され易く、OHラジカルの生成効率が悪いと共に、これをカバーすべく過酸化水素が多量に過剰添加されており、その残存処理コストつまり中和剤による後処理コストも嵩んでいた。
【0006】
《本発明について》
本発明のエストロゲン含有水の処理装置および処理方法は、このような実情に鑑み、上記従来例の課題を解決すべくなされたものである。
そして本発明は、第1に、OHラジカルが、効率的に大量に生成され、もってエストロゲンを、確実に酸化,分解することができ、第2に、しかもこれが、ランニングコスト,後処理コスト,制御の容易性,処理の安定性,イニシャルコスト、等にも優れて実現される、エストロゲン含有水の処理装置および処理方法を、提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
《各請求項について》
このような課題を解決する本発明の技術的手段、つまり特許請求の範囲記載の技術的手段は、次のとおりである。まず、請求項1については次のとおり。
請求項1のエストロゲン含有水の処理装置は、被処理水に含有されたエストロゲンを、フェントン法に基づき酸化,分解する。該エストロゲンは、ホルモン作用を有するステロイド骨格の有機化合物よりなる。該処理装置は、処理槽と、該処理槽に付設された被処理水供給手段,過酸化水素添加手段,鉄イオン添加手段,pH調整手段とを、備えている。
そして該被処理水供給手段は、該処理槽に該エストロゲンを含有した該被処理水を供給する。該過酸化水素添加手段は、該処理槽の該被処理水に過酸化水素を添加する。該鉄イオン添加手段は、該処理槽の該被処理水に2価の鉄イオンを添加する。該pH調整手段は、該被処理水供給手段から該処理槽に供給される該被処理水、および該処理槽に供給された該被処理水にpH調整剤を添加して、該被処理水を所定の弱酸性に維持すること、を特徴とする。
【0008】
請求項2については、次のとおり。請求項2のエストロゲン含有水の処理装置では、請求項1おいて、該過酸化水素添加手段は、反応当初に過酸化水素の水溶液を全量添加する。該鉄イオン添加手段は、過酸化水素の添加後に間欠的に複数サイクル繰り返して、2価の鉄イオン溶液を分割添加する。該pH調整手段は、過酸化水素の添加前には酸pH調整剤を添加し、過酸化水素の添加後においては鉄イオン溶液の添加毎に、アルカリpH調整剤を添加すること、を特徴とする。
請求項3については、次のとおり。請求項3のエストロゲン含有水の処理装置では、請求項2において、該エストロゲンは、エストラジオール,エストロン,又はエストリオールよりなる。
そして該鉄イオン添加手段は、硫酸第一鉄や塩化第一鉄の水溶液を添加する。該pH調整手段は、例えば硫酸又はカセイソーダを添加し、もって該処理槽内の該被処理水をpH4程度に維持して、添加される過酸化水素の水と酸素への分解反応を抑制すること、を特徴とする。
【0009】
請求項4については、次のとおり。請求項4のエストロゲン含有水の処理方法は、被処理水に含有されたエストロゲンを、フェントン法の処理プロセスに基づき酸化,分解する。該エストロゲンは、ホルモン作用を有するステロイド骨格の有機化合物よりなる。
そして、該エストロゲンを含有した該被処理水に対し、過酸化水素と2価の鉄イオン溶液とpH調整剤とが添加される。過酸化水素は、反応当初に全量添加される。2価の鉄イオン溶液は、過酸化水素の添加後に間欠的に複数サイクル繰り返して分割添加される。 pH調整剤は、過酸化水素の添加前は酸pH調整剤が添加され、過酸化水素の添加後は2価の鉄イオン溶液の分割添加毎にアルカリpH調整剤が添加され、もって該被処理水を所定の弱酸性に維持すること、を特徴とする。
【0010】
請求項5については、次のとおり。請求項5のエストロゲン含有水の処理方法では、請求項4において、全量添加された過酸化水素が、触媒として分割添加される2価の鉄イオンにて分割添加の都度還元されて、OHラジカルが生成される。もって、該被処理水に含有された該エストロゲンが、このOHラジカルにて酸化,分解されて、低分子化合物に無機化されること、を特徴とする。
請求項6については、次のとおり。請求項6のエストロゲン含有水の処理方法では、請求項5において、更に、過酸化水素の還元反応にて生成された水酸化イオンが、2価の鉄イオンの酸化反応にて生成された3価の鉄イオンにて酸化されて、OHラジカルが生成される。もって、該被処理水に含有された該エストロゲンが、このOHラジカルにて酸化,分解されて、低分子化合物に無機化されること、を特徴とする。
請求項7については、次のとおり。請求項7のエストロゲン含有水の処理方法では、請求項5又は6において、生成されたOHラジカルが、更に該被処理水等の水と反応して、新たなOHラジカルと水とを生成する反応が、連鎖的に繰り返される。もって、このように繰り返し新たに生成されるOHラジカルにて、該エストロゲンが酸化,分解されて低分子化合物に無機化されること、を特徴とする。
請求項8については、次のとおり。請求項8のエストロゲン含有水の処理方法では、請求項5又は6において、2価の鉄イオンの酸化反応にて生成される3価の鉄イオンと、過酸化水素とが反応して、少なくとも新たなOHラジカルを生成する反応が、連鎖的に繰り返される。もって、このように繰り返し新たに生成されるOHラジカルにて、該エストロゲンが酸化,分解されて低分子化合物に無機化されること、を特徴とする。
【0011】
《作用等について》
本発明は、このような手段よりなるので、次のようになる。
(1)エストラジオール,エストロン,エストリオール等のエストロゲンを含有した被処理水は、処理装置に供給され、もって、フェントン法に基づく処理方法により、エストロゲンが酸化,分解される。
(2)まず、この処理装置は、被処理水供給手段,処理槽,後処理槽、等を備えている。処理槽には、過酸化水素添加手段,鉄イオン添加手段,pH調整手段等が、付設されている。
(3)そして被処理水は、処理槽に供給されるが、その前にpH調整手段から硫酸等が添加されて、pH4程度の弱酸性とされる。
(4)処理槽では、供給された被処理水に対して、まず、過酸化水素添加手段から過酸化水素が全量添加される。
(5)それから、鉄イオン添加手段から2価の鉄イオン溶液が分割添加されるが、その分割添加毎に、pH調整手段からカセイソーダ等が添加されて、被処理水の弱酸性が維持される。
(6)そこで処理槽内では、まず第1に、2価の鉄イオンを触媒として、過酸化水素がOHラジカルを生成する。なお、この生成反応では鉄イオンが分割添加されるので、OHラジカルそして鉄イオンを浪費する反応が起こる虞はない。又、弱酸性雰囲気なので、鉄イオンの触媒機能が促進され、もって過酸化水素が水と酸素に分解,浪費されることも回避される。
(7)OHラジカルは、第2に、上記反応にて生成された3価の鉄イオンと水酸化イオンの反応によっても、生成可能である。
(8)OHラジカルは、更に第3に、上記反応により生成されたOHラジカルが、被処理水等の水と反応することによっても、第4に、上記反応により生成された3価の鉄イオンと過酸化水素が反応することによっても、それぞれ、連鎖的に繰り返して新たに生成される。
(9)処理槽内では、このような連鎖反応により、大量のOHラジカルが効率的に生成される。そして、このように生成されたOHラジカルの強力な酸化力により、被処理水中に含有されたエストロゲンは、確実に酸化,分解され、もって、水,酸素,二酸化炭素等の低分子化合物に無機化される。
(10)被処理水は、このように処理された後、処理槽を経由して外部排水される。
(11)そして、この処理装置および処理方法では、フェントン試薬等の添加量が、反応理論値から容易に算出されると共に、構成も比較的簡単であり、安定的処理が容易に可能である。
(12)さてそこで、本発明の処理装置および処理方法は、次の効果を発揮する。
【発明の効果】
【0012】
《第1の効果》
第1に、OHラジカルが、効率的に大量に生成され、もってエストロゲンを確実に酸化,分解することができる。
すなわち、本発明の処理装置および処理方法では、まずa.被処理水の弱酸性維持,過酸化水素の全量添加,2価の鉄イオンの分割添加等により、OHラジカルが効率良く生成される。しかもb.OHラジカルは、3価の鉄イオンと水酸化イオンとの反応や、生成されたOHラジカルの水との反応や、3価の鉄イオンの過酸化水素との反応等によっても、連鎖的に繰り返し高効率で大量に生成される。
これらa,bにより、本発明では、連鎖反応により大量に生成されるOHラジカルにより、廃水等の被処理水に混入,含有されていたエストラジオール等のエストロゲンが、高い処理性能のもとで確実に酸化,分解,除去されるようになる。被処理水は、確実に浄化処理,無害化処理される。
【0013】
《第2の効果》
第2に、しかもこのようなエストロゲンの酸化,分解は、ランニングコスト,後処理コスト,制御の容易性,処理の安定性,イニシャルコスト等にも優れて実現される。
すなわち、本発明の処理装置および処理方法では、まずa.前述したこの種従来例のフェントン法のように、過酸化水素が水と酸素に分解,浪費されることがなく、過剰に多量の過酸化水素を添加する必要もなく、フェントン試薬等の薬品使用コスト、そしてランニングコストが低減される。
b.この種従来例フェントン法のように、過酸化水素が過剰添加されることもなく、処理後の被処理水は過酸化水素の残存含有量が少なく、中和剤による後処理コストも低減される。
c.エストロゲンの含有量に対応した過酸化水素の添加量や、過酸化水素の添加量に見合った2価の鉄イオンの添加量や、pH調整剤の添加量等は、反応理論値から容易に算出され、必要モル数が得られる。もって、過不足のない適量の薬品添加制御が容易であり、自動制御も可能となり、例えば、2価の鉄イオンが余剰に残存したり不足したりする事態は発生せず、処理も安定化する。
d.前述した各種従来例の処理(微生物処理法,熱処理法,酸化分解法等)に比べ、構成が簡単容易であり、この面からも、処理の安定性に優れると共に、設備コスト等のイニシャルコスト、エネルギー消費コスト等のランニングコスト、その他の諸コストも低減される。勿論、産業廃棄物処理法と比較しても、同様である。
本発明の処理装置および処理方法は、これらa,b,c,dの各面から、本格的処理,大規模処理,大容量処理等へのスケールアップ適用、つまり実用化への道が開ける。例えば、本発明の処理装置を施設内に設置して、本発明の処理方法を実施することにより、エストラジオール等のエストロゲンを含有した下水や廃水の浄化が、容易に可能となる。
このように、この種従来例に存した課題がすべて解決される等、本発明の発揮する効果は、顕著にして大なるものがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
《図面について》
以下、本発明のエストロゲン含有水の処理装置および処理方法を、図面に示した発明を実施するための最良の形態に基づいて、詳細に説明する。
図1は、本発明を実施するための最良の形態の説明に供し、構成フロー図である。
【0015】
《エストロゲン1について》
まず、本発明の処理装置2や処理方法の処理対象である、エストロゲン1について説明する。
エストロゲン1は、ホルモン作用を有するステロイド骨格の有機化合物よりなり、エストラジオール,エストロン,エストリオール等が代表的である。
そして、女性の卵巣等から分泌され、女性ホルモン,発情ホルモンとして作用するが、不用分が尿等として体外排泄され、もって下水や廃水,その他の水系に残留,混入,含有されている可能性がある。
【0016】
このようなエストロゲン1について、更に詳述する。エストロゲン(ESTROGEN)は、生物学的に女性ホルモン作用,発情ホルモン作用,卵胞(濾胞)ホルモン作用を有する、天然又は合成物質の総称として定義される。
そして、主として卵巣から分泌される(脊椎動物つまり哺乳類の卵巣の濾胞細胞で生成される)が、副腎その他からも分泌される。勿論、人間に限らず家畜,その他の動物からも分泌され、人畜由来のものが大部分であるが、ピル(経口避妊薬)の主成分となる合成された人工的なエストロゲン1も、その範疇に含まれる。
そしてエストロゲン1は、ホルモン作用を有するステロイド型骨格を持った高分子構造の有機化合物よりなる。すなわち、炭素六原子環つまり6員環(含.芳香環)3個よりなるフェナントレン型の有機構造に、炭素五原子環つまり5員環1個が付いた、ステロイド骨格よりなる。
【0017】
エストロゲン1の具体的内容を列挙すると、次の通り。
・エストラジオール(E2)(ESTRADIOL,C1824
・具体的にはα,βの立体異性体があり、活性の17β−エストラジオールと、17αエチニルエスラジオールとがある。
・エストロン(E1)(ESTRONE,C1822
・エストリオール(E3)(ESTRIOL,C1824
・エキリン,エキレニン,これらの代謝物
・化学的誘導体であるホモエストロン,ドワジノール等
なお、生物学的活性作用はエストラジオールが最も強く、エストロンの5〜10倍、エストリオールの10〜100倍程度となっている。エストラジオールが、最も人体,生態系,環境等への悪影響が懸念される物質と言える。
本発明は、下水や廃水,その他の水系の被処理水3に含有されたエストロゲン1を、その処理対象とする。
【0018】
《処理装置2および処理方法の概要》
本発明の処理装置2および処理方法は、被処理水3に含有されたエストロゲン1を、改良されたフェントン法の処理プロセスに基づいて、酸化,分解する。
すなわち、本発明の処理装置2および処理方法は、エストロゲン1の含有水を、被処理水3とする。そして、含有されたエストロゲン1を、フェントン試薬の過酸化水素(H)と2価の鉄イオン(Fe2+)を用い、フェントン主反応で生成されたOHラジカル(・OH)や、このようなフェントン主反応の付随的,副次的,連鎖的反応にて生成されたOHラジカルにて酸化,分解し、もって水,二酸化炭素,その他の低分子化合物へと無機化する。
そして、本発明の処理装置2は、処理槽4と、この処理槽4に付設された被処理水供給手段5,過酸化水素添加手段6,鉄イオン添加手段7,pH調整手段8とを、備えている。以下、これらについて詳細に説明する。
【0019】
《被処理水供給手段5等について》
まず、被処理水供給手段5等について、説明する。被処理水供給手段5は、処理槽4に対し、エストロゲン1を含有した被処理水3を、処理対象として供給する。
すなわち図示例では、被処理水供給手段5の原水槽9には、被処理水3が導入されており、この原水槽9そしてpH調整槽10を経由して、処理槽4に被処理水3が供給される。原水槽9に導入される被処理水3は、必要に応じ予め粉塵汚泥除去,生物処理等の前処理が施されている。pH調整槽10では、付設されたpH調整手段8からpH調整剤が添加される。
このpH調整手段8は、被処理水供給手段5の原水槽9から処理槽4に供給される途中の被処理水3に対し、pH調整剤を添加して、被処理水3を所定の弱酸性に調整してから、処理槽4に供給する。すなわち、原水槽9からの被処理水3は、例えばpH6以上であることも多いので、これをpH5〜pH3程度、代表的にはpH4程度に調整すべく、pH調整剤として硫酸等の酸pH調整剤が用いられる。
このように事前にpH調整しておく理由は、後述するように、過酸化水素と2価の鉄イオンによるOHラジカルの生成反応が、所期の通り効率良く行われるようにする為、等々である。なお、上記pH調整槽10は、例えば、被処理水3の大容量処理,連続処理や、高濃度のエストロゲン1の処理、等の場合に使用されるが、pH調整槽10を使用せず、原水槽9において代用的,兼用的に、上述したpH調整を行うことも可能である。
被処理水供給手段5等は、このようなっている。
【0020】
《過酸化水素添加手段6について》
次に、処理槽4に付設された過酸化水素添加手段6について、説明する。過酸化水素添加手段6は、処理槽4の被処理水3に対し、その反応当初において、過酸化水素(H)の水溶液を、フェントン試薬として全量添加する。過酸化水素は、OHラジカルの発生源となる。
過酸化水素の1回の反応当たりの添加量は、その被処理水3中に含有された処理対象のエストロゲン1の具体的含有量,濃度次第であるが、その反応理論値を基準として多目に算出された実際必要量(必要モル数)が、反応当初に一度に全量添加される。次回の添加は、処理槽4の被処理水3中から過酸化水素がなくなった時、つまり次の反応時であり、同様にその全量が添加されて行くことになる。なお、この明細書において全量添加とは、反応に必要な薬剤量を1回に100%全量一括添加すること、を意味する。
このように過酸化水素添加手段6から、過酸化水素が全量添加される。
【0021】
《鉄イオン添加手段7について》
次に、処理槽4に付設された鉄イオン添加手段7について、説明する。鉄イオン添加手段7は、上述により過酸化水素が添加された後の処理槽4の被処理水3に対し、間欠的に複数サイクル繰り返して、2価の鉄イオン(Fe2+)溶液を、フェントン試薬として分割添加する。
すなわち、液中で2価の鉄イオンを生じる物質、例えば硫酸第一鉄7水和物(FeSO・7HO)が、このような鉄塩として代表的に使用されるが、その他の無水塩や含水塩、例えば塩化鉄(FeCl)やその水和物も使用可能である。2価の鉄イオンは、過酸化水素のOHラジカル生成反応の触媒として機能する。鉄イオンの1回の反応当たりの添加量は、反応理論値を基準として、より多い実際必要量が算出されるが、例えば、過酸化水素の1モルに対し0.5モル程度とされる。
又、この鉄イオンは、複数回に分けて分割添加される。すなわち、1回の反応についての必要量が、全量添加されずに3〜7回程度に分けて、例えば5回に分けて順次添加される。各回毎の添加タイミングは、前回添加したものがなくなった段階で、次回分が添加される。このように、この明細書において分割添加とは、反応に必要な薬剤量を複数回に分けて添加すること、を意味する。
2価の鉄イオンを分割添加する理由は、次のa,b,cのとおり。まずa.もしも全量添加すると、後述する化学反応において、過酸化水素を反応物質とする原系から、OHラジカルを生成物質とする生成系へと向かう所期の正反応と同時に、OHラジカルを消費する無駄な反応が起こり易くなる。つまり、余ったOHラジカルが水に戻る反応が起こり易くなり、ロスが生じ、OHラジカル生成のために使用した鉄イオンが、無駄に消費されることになる。これに対し分割添加すると、このような反応が抑制され、鉄イオンの無駄も解消される。
又b.OHラジカルは、反応が激しいだけに存在時間が瞬間的,超短寿命であり、全量添加より分割添加した方が、その都度OHラジカルが生成されて、処理槽4内の被処理水3の隅々まで行き渡るようになる。もってその分、エストロゲン1の酸化,分解が確実化,効率化,迅速化される。
更にc.分割添加すると、全量添加に比し残存する過酸化水素が少なくなるので、その分、中和剤による後処理コストも低減される。
このように鉄イオン添加手段7から、2価の鉄イオン等が分割添加される。
【0022】
《pH調整手段8について》
次に、処理槽4に付設されたpH調整手段8について、説明する。pH調整手段8は、前述したように被処理水供給手段5から処理槽4に供給される前の被処理水3、および処理槽4に供給された後の被処理水3に対し、pH調整剤を添加して、被処理水3を例えばpH4程度の弱酸性に維持する。
すなわちpH調整手段8は、過酸化水素の添加前には、硫酸(HSO)等の酸pH調整剤を添加し、過酸化水素の添加後は、上述した鉄イオンの添加毎に、カセイソーダ(NaOH)等のアルカリpH調整剤を添加する。
被処理水3を、pH3〜pH5程度代表的にはpH4程度に維持する理由は、次のa,b,cのとおり。a.後述するように、所期の反応を阻害する過酸化水素の水と酸素への無駄な分解反応を、抑制すべく機能する。b.2価の鉄イオンの過酸化水素への電子供与を、促進すべく機能する。c.後述する付随的,副次的,連鎖的に繰り返されるOHラジカル生成反応を、促進し確実化すべく機能する。これらa,b,cにより、OHラジカルの生成が、効率良く進行するようになる。
これに対し、まず、被処理水供給手段5の原水槽9からの被処理水3は、例えばpH6以上であることが多いので、前述したようにpH調整槽10において、pH調整手段8から例えば硫酸が添加されて、例えば4程度にpH調整される。そして事後、処理槽4において、2価の鉄イオンが添加されると、そのままでは被処理水3のpHが例えば2.8程度まで低下し酸性度が過度に上がるので、2価の鉄イオンの分割添加毎にその都度、例えばカセイソーダが添加されて、例えばpH4程度へと被処理水3がpH調整される。
pH調整手段8は、このようになっている。
【0023】
《処理槽4における反応(OHラジカルの生成:その1)》
次に、処理槽4内における化学反応(OHラジカルの生成:その1)について、説明する。この処理装置2や処理方法において、処理槽4内では、まず第1に、被処理水3が攪拌,流下されると共に、添加された過酸化水素が、触媒として添加された2価の鉄イオンにて還元されて、OHラジカルを生成する。
このようなOHラジカルの生成について、更に詳述する。処理槽4内では、次の化1,化2の反応式(化3の反応式)に基づき、OHラジカルが生成される。これがフェントン主反応である。
【0024】
【化1】

【化2】

【化3】

【0025】
これらについて、更に詳述する。このフェントン主反応では、上記化1の反応式において、鉄イオン添加手段7から順次分割添加される2価の鉄イオン(Fe2+)は、被処理水3が例えばpH4程度の弱酸性雰囲気に維持されているので容易に、触媒として上記化2の反応式の過酸化水素(H)に対し、順次電子(e)を供与すると共に、自己は酸化して3価の鉄イオン(Fe3+)となる。
そこで、化2の反応式において、過酸化水素添加手段6から最初に全量添加された過酸化水素は、化1の反応式に基づき電子が順次供与され、もってその都度、OHラジカル(・OH)と水酸化イオン(OH)が生成される。化1と化2の反応式をまとめて合成すると、上記化3の反応式となる。
ところで、このような反応に際し、前述したように被処理水3が弱酸性雰囲気に維持されているので、過酸化水素が水と酸素に分解され、浪費されてしまうことは抑制される。これに対し、もしも弱酸性雰囲気に維持されないと、次の化4の反応式により、過酸化水素が、発生期の酸素(O)を発生しつつ水分子(HO)になり、所期の化2(化3)の反応式によりOHラジカルを生成することなく、浪費されてしまうことになる。なお、この発生期の酸素は、その酸化対象がない場合、酸素分子(O)となって系外にでる。
処理槽4内では、まず第1に、このようなフェントン主反応により、OHラジカルが生成される。
【0026】
【化4】

【0027】
《処理槽4における反応(OHラジカルの生成:その2)》
次に、処理槽4内における化学反応(OHラジカルの生成:その2)について、説明する。処理槽4では、第2に、次の化5,化6の反応式によっても、OHラジカル(・OH)を生成可能である。
すなわち、処理槽4内では、まず第1に、前記化3(化1,化2)の反応式のフェントン主反応により、OHラジカルが生成されるが、これと共に第2に、次の化5,化6の反応式によっても、付随的,副次的,連鎖的にOHラジカルを生成可能である。
【0028】
【化5】

【化6】

【0029】
これについて、更に詳述する。処理槽4内では、過酸化水素の還元反応にて生成された水酸化イオン(OH)が、2価の鉄イオンの酸化反応にて生成された3価の鉄イオン(Fe3+)にて酸化されて、OHラジカル(・OH)を生成する。
すなわち、前記化1の反応式で生成された3価の鉄イオンは、前記化2の反応式で生成された水酸化イオンから、上記化5,化6の反応式により、電子(e)を奪ってOHラジカルを生成させ、自らは2価の鉄イオンに還元されて戻る。このように、化3(化1,化2)の反応式のみならず、化5,化6の反応式が、連鎖的にバランス良く起こるようにすると、OHラジカルが、より効率的に生成される。
処理槽4内では、第2に、このような反応によって、OHラジカルを生成可能である。
【0030】
《処理槽4における反応(OHラジカルの生成:その3)》
次に、処理槽4内における化学反応(OHラジカルの生成:その3)について、説明する。処理槽4では、上述した第1,第2に加え、更に第3の反応によっても、付随的,副次的,連鎖的に、新たなOHラジカルが生成される。
すなわち、前記化3(化1,化2)や前記化5,化6の反応式にて生成されたOHラジカルが、被処理水3等の水と反応して、新たなOHラジカルと水とを生成する反応が、次の化7,化8の反応式により、連鎖的に繰り返される。
【0031】
【化7】

【化8】

【0032】
これらについて、更に詳述する。まずOHラジカルは、中性〜アルカリ性雰囲気下では、水分子から水素原子を引き抜いてこれを酸化し、酸素分子を発生せしめると共に、自身は還元されて水分子に帰す。
これに対し酸性雰囲気下では、上記化7の反応式により、OHラジカル(・OH)は、水分子(HO)から電子(e)を引き抜き、自身は水酸化イオン(OH)になるが、この引き抜き反応が、水分子をラジカル分裂させ活性化させて、新たなOHラジカル(・OH)とプロトン(H)を生成させる。生成された水酸化イオンとプロトンは、上記化8の反応式にて、新たな水(HO)を生成して消滅する。
処理槽4の被処理水3は、弱酸性雰囲気に維持されているので、このようにして、新たなOHラジカルが生成されるが、更にこのように生成されたOHラジカルを基に、再びこのような一連の反応が連鎖的に起き、事後も同様に連鎖的に繰り返される。
つまり、前記化3等の反応式にてOHラジカルが一旦生成されると、これを開始反応,反応開始剤として、事後は連鎖的反応により、半永続的にOHラジカルが得られることになる。エストロゲン1の酸化,分解過程において消費された分を除いたOHラジカルが、プロトンの連鎖的な生成・消滅と共存的に、生成・消滅を繰り返す。OHラジカルは超短寿命であることに鑑み、このような繰り返し生成の意義は大きい。
処理槽4内では、第3に、このような反応によっても、OHラジカルが生成される。
【0033】
《処理槽4における反応(OHラジカルの生成:その4)》
次に、処理槽4内における化学反応(OHラジカルの生成:その4)について、説明する。処理槽4では、上述した第1,第2,第3に加え、更に第4に、次の反応によっても付随的,副次的,連続的に、新たにOHラジカルが生成される。
すなわち、2価の鉄イオンの酸化反応にて生成される3価の鉄イオンと、過酸化水素とが反応して、新たにOHラジカル等を生成する反応が、次の化9,化10の反応式(化11の反応式)により、連鎖的に繰り返される。
【0034】
【化9】

【化10】

【化11】

【0035】
これらについて、更に詳述する。前記化3(化1)の反応式で生成された3価の鉄イオ
ン(Fe3+)が、過酸化水素(H)と上記化9の反応式により反応し、もって、3価の鉄イオンが2価の鉄イオン(Fe2+)に還元されると共に、酸素分子が電子と結合して生じたイオンであるスーパーオキシドアニオン(・O)が生成される。
そして、上記化10の反応式により、このラジカルなスーパーオキシドアニオンが、過酸化水素と反応して、OHラジカル(・OH)を生成可能である。化9と化10の反応式をまとめて合成すると、化11の反応式が得られる。
このように、前記化3(化2)の反応式にてOHラジカル生成の源泉となっていた過酸化水素が残ってさえいれば、(エストロゲン1の酸化,分解過程で、OHラジカルが、例え消費され尽くされてしまった場合においても、余剰に過酸化水素が残存してさえいれば、)その過酸化水素を基に、新たなOHラジカルが、連鎖的に半永続的に生成され続けられることになる。OHラジカルは超短寿命であることに鑑み、このような生成継続の意義は大きい。
但し、化11(化9,化10)の反応式が確実に起こるためには、過酸化水素が水と溶存酸素に分解(前記化4の反応式を参照)しない程度の弱酸性雰囲気まで、pH調整手段8にてカセイソーダ等を処理槽4の被処理水3に加える等、pH操作が必要であり、pH値をアルカリ側に移動させておくことが必要である。
更に、化11(化9)の反応式で生じた2価の鉄イオンは、pHを下げるが、上述により弱酸性雰囲気で安定存在する過酸化水素との共存を図るべく、必要なpH操作を実施しておけば、前記化3等の反応式のフェントン主反応により、OHラジカルの生成も見込める。
処理槽3内では、第4に、このような反応によっても、OHラジカルが生成される。
【0036】
《処理槽4における反応(エストロゲン1の酸化,分解)》
次に、OHラジカルによるエストロゲン1の酸化,分解,無機化について説明する。この処理装置2や処理方法において、処理槽4内では、被処理水3に含有されたエストロゲン1が、このようにフェントン主反応,その他にて生成されたOHラジカルの関与により、酸化,分解,無機化される。
これらについて、更に詳細に説明する。OHラジカルつまりヒドロキシラジカル(・OH)は、周知のごとく強力な酸化力を備えている。つまり、活性酸素種として他に類を見ない極めて強力な電子(e)の奪取力,酸化力,つまり活性力,分解力を有しており、ラジカルで反応性に富んでいる。なお反応が激しいだけに、その存在時間は、ほんの瞬間的で寿命の短い化学種でもある。
さてそこで、水相分散したOHラジカルは、被処理水3中に含有されたエストロゲン1を酸化し、遂には分解してしまう。OHラジカルは、エストロゲン1の高分子有機構造や、その分解過程の中間体の有機構造について、酸化や付加の連鎖プロセスを辿り、もって、その炭素連鎖,有機結合,分子結合を順次切断,分解,分断して、最終的には無機の低分子化合物へと、酸化,分解,無機化してしまう。
【0037】
このようなOHラジカルによる酸化,分解の基本理論については、次のとおり。すなわち、処理対象,分解対象であるエストロゲン1や分解過程の中間体の有機構造について、次の反応が繰り返される。
まずOHラジカルは、分解対象の水酸基(−OH)の水素原子(H)を奪って酸化し、自身は水(HO)に回帰し、水酸基(−OH)の酸素原子(O)を二重結合化(=O)する。
又、OHラジカルは、分解対象の炭化水素(含酸素炭化水素、例えば末端のアルデヒド基−CHO)の水素原子(H)を奪って酸化し、自身は水に回帰し、炭素原子(C−)の不対電子に引き続くOHラジカルが和合する。もって水酸基(−OH)が再生され、上述した反応が繰り返される。
なお、このようにしてOHラジカルが、分解対象の水素原子(H)を奪い尽くし酸化し尽くした場合は、次のようになる。すなわち、引き続くOHラジカルが、水分子(HO)から水素原子(H)を奪って酸化し、OHラジカル自身は水に回帰し、酸素分子(O)を発生させつつ、水素ラジカル(H+e)を生成する。そしてこの水素ラジカルが、水素原子(H)を奪い尽くされた分解対象を、還元,水素化する。もって、炭化水素が再生されて、上述した反応が繰り返される。
このような基本理論に基づき、処理対象,分解対象のエストロゲン1は、水,酸素,二酸化炭素等の低分子化合物に、酸化,分解,無機化される。
【0038】
《後処理槽11について》
次に、後処理槽11について説明する。以上述べた処理槽4には、後処理槽11が付設されている。そして、この後処理槽11に、前述によりエストロゲン1が酸化,分解された後の被処理水3が、処理槽4から排出され、必要な処理が施されて外部排水される。
このような後処理槽11について、更に詳述する。図示例の後処理槽11は、中和槽12,凝集槽13,貯留槽14,脱水槽15,処理水槽16等を、下流に向け順に備えている。
まず処理槽4から、含有されたエストロゲン1の酸化,分解,無機化処理が済んだ被処理水3が、処理槽4から後処理槽11の中和槽12に排出される。中和槽12では、このような被処理水3に対し、カセイソーダ等のpH調整剤が添加され、もって無機凝集剤への最適pHへと調整される。なお、被処理水3中に僅かでも過酸化水素が残留している場合には、水質汚濁を回避すべくカタラーゼ等の中和剤が添加される。
次に凝集槽13では、中和層12から流入した被処理水3に対し、無機凝集剤として、例えばポリ塩化アルミニウム(PAC,Al(OH)Cl6−n)や、塩化第二鉄(FeCl)が、添加されて攪拌される。もって、被処理水3中のリン系イオン(例えば燐酸イオンHPO)が、アルミニウムイオン(Al3+)や3価の鉄イオン(Fe3+)とコロイド状の錯体17をなし、凝集化,沈殿,沈積して、分離,除去可能となる。
なお、被処理水3中にフェントン法にて発生した3価の鉄イオンの残存量が多い場合は、この鉄イオンが無機凝集剤として機能するので、上記無機凝集剤の添加は不要である。これに対し、高分子凝集剤として例えばアニオンを添加し、もって錯体17の一層の凝集化,フロック化を図るようにしてもよい。
それから被処理水3は、図示例では、このような凝集槽13から、貯留槽14を経由して脱水槽15へと供給される。脱水槽15では、例えばF/P式脱水機により、沈殿,汚泥化した被処理水3固液分離され、フロック化,脱水ケーキ化した錯体17が、コンテナ18へと分離,貯留された後、除去処分される。
そして、このように浄化された被処理水3は、処理水槽16にて更に浄化されると共に、外部放流に適したpH値に調整されたてから、外部放流される。
後処理槽11は、このようになっている。
【0039】
《作用等》
本発明のエストロゲン1含有水の処理装置2および処理方法は、以上説明したように構成されている。そこで、以下のようになる。
(1)エストロゲン1を含有した廃水等の被処理水3は、処理装置2へと供給される。エストロゲン1としては、エストラジオール,エストロン,エストリオール,その他が考えられるが、特に、生物学的活性作用が強いエストラジオールが、その代表例である。
そして処理装置2は、フェントン法の処理プロセスに基づく処理方法により、混入していたエストロゲン1を酸化,分解し、もって被処理水3を浄化する。
【0040】
(2)さて、この処理装置2は、被処理水供給手段5の原水槽9,pH調整槽10,処理槽4,後処理槽11等を、順に備えている。pH調整槽10には、pH調整手段8が付設されている。処理槽4には、過酸化水素添加手段6,鉄イオン添加手段7,pH調整手段8等が、付設されている。
【0041】
(3)そして被処理水3は、まず、被処理水供給手段5の原水槽9から、処理槽4に供給される。なお被処理水3は、処理槽4に供給される前に、図示例ではpH調整槽10において、pH調整手段8から例えば硫酸等の酸pH調整剤が添加され、もってpH3〜pH5例えばpH4程度の弱酸性とされる。
【0042】
(4)処理槽4に供給された被処理水3には、まず、過酸化水素添加手段6から過酸化水素の水溶液が、添加される。過酸化水素は、反応当初に全量添加される。
【0043】
(5)この処理槽4では、このように過酸化水素が添加された後、被処理水3に対して、鉄イオン添加手段7から2価の鉄イオン溶液が、添加される。この添加は、過酸化水素添加後の反応中において、分割添加により複数回に分けて間欠的に、複数サイクル繰り返して行われる。
又、このような鉄イオンの分割添加毎に、pH調整手段8から例えばカセイソーダ等のアルカリpH調整剤が添加され、もって、被処理水3は常時、例えばpH4程度の弱酸性を維持する。つまり被処理水3は、OHラジカル生成に最適なpHへと調整される。
【0044】
(6)さてそこで、処理槽4内では、次の第1,第2,第3,第4の反応に基づき、OHラジカルが生成される。
第1に、上述により全量添加された過酸化水素が、触媒として分割添加される2価の鉄イオンにて、分割添加の都度還元されて、OHラジカルを生成する。すなわち、前記化3(化1,化2)の反応式のフェントン主反応により、2価の鉄イオンが、過酸化水素に電子を供与して3価の鉄イオンになり、電子を供与された過酸化水素が、OHラジカルを生成する。
なお、このOHラジカルの生成は、2価の鉄イオンが分割添加されるので、OHラジカルそして2価の鉄イオンが浪費される反応が起こる虞もなく、分割添加の都度、無駄なく効率良く実施される。これに加え、このOHラジカルの生成は、pH4程度の弱酸性雰囲気に維持されていることによって、一段と効率良く確実に実施される。すなわち、弱酸雰囲気下であることにより、まず、2価の鉄イオンの電子供与が促進されると共に、更に過酸化水素が、前記化4の反応式により水と酸素に分解,浪費される反応が抑制,回避され、能力いっぱいのOHラジカルを生成するようになる。
【0045】
(7)第2に、OHラジカルは、処理槽4内で2価の鉄イオンの酸化反応にて生成された3価の鉄イオンにて、過酸化水素の還元反応にて生成された水酸化イオンが、酸化されることによっても生成可能である。
すなわちOHラジカルは、前記化3(化1,化2)の反応式で生成された3価の鉄イオンと水酸化イオンとに基づき、前記化5,化6の反応式によっても生成可能であり、この面からも、OHラジカルが効率良く生成される。なおこのOHラジカルも、鉄イオンの分割添加の都度、連鎖的にそれぞれ生成される。
【0046】
(8)OHラジカルは、上述した第1,第2に加え、更に次の第3,第4によっても生成される。つまり、上記(6)のフェントン主反応以外でも、付随的,副次的,連鎖的反応によって、効率良く生成され続ける。
第3に、前記化3の反応式等により生成されたOHラジカルが、前記化7,化8の反応式により被処理水3等の水と反応することにより、新たなOHラジカルが連鎖的に繰り返し生成される。
第4に、前記化3(化1)の反応式で生成された3価の鉄イオンと、過酸化水素とが、前記化11(化9,化10)の反応式により反応することによっても、新たなOHラジカルが、連鎖的に繰り返し生成される。
なお、これら第1,第2,第3,第4のOHラジカルの生成は、処理槽4内でフェントン試薬の過酸化水素が使い尽くされてなくなった時に、終了する。
【0047】
(9)さて、このようにして大量に生成されたOHラジカルは、極めて強力な酸化力を備えている。そこで処理槽4内では、被処理水3中に含有されたエストラジオール等のエストロゲン1は、このOHラジカルにて酸化,分解され、もって低分子化合物へと無機化されてしまう。
エストロゲン1は、難分離性の有機化合物ではあるが、大量のOHラジカルの連鎖的な付加や酸化反応により、水,酸素,二酸化炭素等の低分子化合物へと、高い処理率,分解率,除去率のもとで確実に無機化されてしまう。
【0048】
(10)被処理水3は、含有されていたエストロゲン1が、このように水,酸素,二酸化炭素等に無機化され、もって処理槽4から後処理槽11へと排出される。図示の後処理槽11は、中和槽12,沈殿槽13,凝集沈殿槽14,濾過槽15,pH調整槽16,処理水槽17、等を備えている。
なお過酸化水素は、前述によりOHラジカル生成に関し、無駄なく有効使用されるので、処理後の残存量は僅かであり、中和槽12における中和剤の使用も、極く僅か又は皆無となる。そして被処理水3は、後処理槽11を経由することにより、排水可能な状態に調整されて、外部排水される。
【0049】
(11)この処理装置2および処理方法では、上述したように、フェントン法の処理プロセス等に基づき、被処理水3に含有されたエストロゲン1を無機化するが、これは容易に実現される。
すなわち、過酸化水素,2価の鉄イオン,pH調整剤等のフェントン試薬等の薬品添加量は、反応理論値から実際必要量が容易に算出され、反応理論値と同量か多目の例えば数倍程度が、実際必要量として添加され、もって添加量の最適化が実現される。
又、この処理装置2は、処理槽4を中心に、原水槽9や後処理槽11が配設されると共に、過酸化水素添加手段6,鉄イオン添加手段7,pH調整手段8等が付設された構成よりなる。つまり、この処理方法では、比較的簡単な構成の処理装置2が用いられており、安定的な処理が可能である。
本発明の作用等は、このようになっている。
【実施例1】
【0050】
次に、本発明の実施例1について、説明する。
この実施例1では、本発明のエストロゲン1含有水の処理装置2および処理方法に関し、酸化,分解の反応プロセスについて、説明する。
すなわち、処理槽4における反応(エストロゲン1の酸化,分解)と題して前述した所に関し、エストロゲン1の代表例であるエストラジオールについて、その酸化,分解反応プロセスの1例を、理論的に検証する。
被処理水3中に含有されたエストラジオールは、その酸化,分解過程の中間体の有機構造をも含め、以下に詳述する化13〜化20に示した反応式の連鎖プロセス(1)〜(11)を辿ることにより、順次、OHラジカル(・OH)が関与して酸化や付加されると共に、水等の低分子化合物が派生,生成,遊離されて行く。水(HO),二酸化炭素(CO),酸素(O)等の低分子化合物に、分解,無機化されてしまう。
なお、化13〜化20記載の各反応式においては、原則として、上段に化学式を記載すると共に、下段にその構造式を記載した。
因に、エストロゲン1の代表例の構造式(示性式)は、下記化12のとおり。化12中の(1)は、エストロン(E1)(C1822)を、(2)は、以下に述べるエストラジオール(E2)(C1824)を、(3)は、エストリオール(E3)(C1824)を、それぞれ示す。
【0051】
【化12】

【0052】
さて、酸化,分解プロセスの初期段階については、次のとおり。まず、処理対象である出発物質のエストラジオールは、下記化13〜化16に示した反応式の連鎖プロセス(1)〜(4)を辿ることにより、OHラジカルによる酸化反応や付加反応が順次進行して行き、水、更にプロセス(4)では二酸化炭素や酸素等が、順次派生,生成,遊離されて行く。
すなわち、OHラジカルは、エストラジオールや分解過程の中間体の有機構造等の分解対象について、その水酸基(−OH)の水素原子(H)を奪って酸化し、自身は水に回帰すると共に、水酸基の酸素原子(O)を二重結合化(=O)する。
又、OHラジカルは、分解対象の炭化水素の水素原子(H)を奪って酸化し、自身は水に回帰すると共に、炭素原子(C−)の不対電子に引き続くOHラジカルが和合する。もって水酸基が再生されて、上述した反応が繰り返される。
【0053】
【化13】

【0054】
【化14】

【0055】
【化15】

【0056】
【化16】

【0057】
さて、このような初期段階の後、次の段階へと進む。すなわち、上記化13〜化16の反応式の連鎖プロセス(1)〜(4)の後、下記化17〜化20の反応式の連鎖プロセス(5)〜(11)を辿ることになる。
まず、下記化17のプロセス(5)−1では、OHラジカルが、水分子(HO)から水素原子(H)を奪って酸化し、自身は水に回帰すると共に、酸素分子(O)を発生しつつ、水素ラジカル(H+e)を生成する。
そこで、前記化16のプロセス(4)において、残基本体から切断,生成されたO=C=C=Oは、次の下記化17のプロセス(5)−2において、上述により生成された水素ラジカルにて還元されて、ホルムアルデヒド(HCHO)となる。そして、下記化17のプロセス(5)−3において、このホルムアルデヒドは、OHラジカルにより二酸化炭素と水に酸化,分解されてしまう。
他方、前記化16のプロセス(4)の残基本体は、まず化17のプロセス(6)を経由した後、下記化18〜化20のプロセス(7)〜(10)を辿り、それぞれの残基について、OHラジカルによる酸化反応や付加反応が順次進行して行く。又これに伴い、水や二酸化炭素が、派生,生成,遊離される。
そして、下記化20のプロセス(11)に至り、最終的残基として生成されたシュウ酸(C)も、OHラジカルにて酸化され、もってすべて水や二酸化炭素に帰すに至る。
【0058】
【化17】

【0059】
【化18】

【0060】
【化19】

【0061】
【化20】

【0062】
【化21】

【0063】
上記化21は、前記化13〜化20の連鎖プロセス(1)〜(11)の総括反応式である。この化21の総括反応式では、1モルのエストラジオールは、理論上、110モルのOHラジカルにより、18モルの二酸化炭素と、4.5モルの酸素と、67モルの水とに、無機化される。
なおOHラジカルは、反応理論値としては、上記したように110モルを準備すれば良いが、実際必要量としては、その数倍程度準備される。OHラジカルの生成物質である過酸化水素や2価の鉄イオン等についても、同様である。
実施例1については、以上のとおり。
【実施例2】
【0064】
次に、本発明の実施例2について、説明する。
この実施例2では、本発明のエストロゲン1含有水の処理装置2および処理方法に関し、その実験結果について説明する。
すなわち、この実験では、エストロゲン1の代表例であるエストラジオール(C1824)、具体的にはその活性異性体の17β−エストラジオールを含有した被処理水3を、まずサンプル1(原水)として、常温下で処理槽4に供給した。そして各薬品を、サンプル2−1,2−2,2−3,2−4,2−5毎に、添加量を適宜変えつつ所定順序で添加した。
まず、この実験の手順については、次のとおり。すなわち、まず被処理水3を本発明のフェントン法にて処理した後に、錯体17をPAC添加により凝集,沈殿,除去して、固液分離し(後処理槽11に関し前述した所を参照)、もって、得られた濾液状の被処理水3を、実験の分析対象,評価対象とした。
次に、この実験のテスト条件については、次のとおり。すなわち、フェントン法のOHラジカルの発生源となる過酸化水素、触媒となる硫酸第一鉄、pH調整用の硫酸やカセイソーダ、凝集用のPAC等々、各薬品の添加量については、次の表1,表2のとおり。
【0065】
【表1】

【0066】
【表2】

【0067】
さて、このような表1,表2のテスト条件のもとで実験した所、下記の表3,表4に示したテスト結果が得られた。
すなわち、分析対象の被処理水3中に含有された17β−エストラジオールの含有量、その他の分析項目を、フェントン処理前のサンプル1(原水)と、本発明によるフェントン処理後のサンプル2−1,2−2,2−3,2−4,2−5とについて、それぞれ計測した結果、次の表3,表4のテスト結果が得られた。
なお、各分析項目毎の計測,分析方法については、次のとおり。
・水 温:JIS K0102 12(ガラス製棒状温度計)
・pH :JIS K0102 12.1(ガラス電極法)
・COD−Cr(二クロム酸カリウムによる酸素消費量)
:JIS K0102 20(二クロム酸カリウム酸化法)
(酸素換算)
・COD−Mn(100℃における過マンガン酸カリウムによる酸素消費量)
:JIS K0102 17(100℃における過マンガン酸カリウム滴定法)
(酸素換算)
・TOC(全有機体炭素)
:JIS K0102 22.1(燃焼酸化−赤外線式TOC分析法)
(C換算)
・電気伝導率:JIS K0102 13.1(電極法)
・17β−エストラジオール
:固相抽出 高速液体クロマトグラフ質量分析法
・ギ 酸:イオンクロマトグラフ法
・酢 酸:ガスクロマトグラフ(FID)法
・シュウ酸:イオンクロマトグラフ法
【0068】
【表3】

【0069】
【表4】

【0070】
この実験では、この表3,表4に示したテスト結果により、次の点がデータ的に確認された。
すなわち、本発明のフェントン法で処理したサンプル2−1,2−2,2−3,2−4,2−5によると、エストロゲン1の代表例である17β−エストラジオールは、OHラジカルにより、二酸化炭素,酸素,水へと酸化,分解,無機化されてしまい、被処理水3中には殆ど存在しなくなったことが、データ的に確認,評価された。
このことは、COD−Cr,COD−Mn,TOC等のデータ値減少や、電気伝導率のデータ値増加等によっても、裏付けられた。
なお、蟻酸(HCOOH),酢酸(CHCOOH),シュウ酸(C)等の低級脂肪酸については、反応過程での生成可能性も考えられるので、分析項目とした。その結果は、サンプル2−4,2−5でのシュウ酸の検出例を除き、データ値不検出となり、この面からも、上述したOHラジカルによる水等への酸化,分解,無機化が、裏付けられた。
実施例2については、以上のとおり。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明に係るエストロゲン含有水の処理装置および処理方法について、発明を実施するための最良の形態の説明に供し、その構成フロー図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水に含有されたエストロゲンを、フェントン法に基づき酸化,分解する処理装置であって、
該エストロゲンは、ホルモン作用を有するステロイド骨格の有機化合物よりなり、該処理装置は、処理槽と、該処理槽に付設された被処理水供給手段,過酸化水素添加手段,鉄イオン添加手段,pH調整手段とを、備えており、
該被処理水供給手段は、該処理槽に該エストロゲンを含有した被処理水を供給し、該過酸化水素添加手段は、該処理槽の該被処理水に過酸化水素を添加し、該鉄イオン添加手段は、該処理槽の該被処理水に2価の鉄イオンを添加し、
該pH調整手段は、該被処理水供給手段から該処理槽に供給される該被処理水、および該処理槽に供給された該被処理水にpH調整剤を添加して、該被処理水を所定の弱酸性に維持すること、を特徴とするエストロゲン含有水の処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載したエストロゲン含有水の処理装置において、該過酸化水素添加手段は、反応当初に過酸化水素の水溶液を全量添加し、該鉄イオン添加手段は、過酸化水素の添加後に間欠的に複数サイクル繰り返して、2価の鉄イオン溶液を分割添加し、
該pH調整手段は、過酸化水素の添加前には酸pH調整剤を添加し、過酸化水素の添加後においては鉄イオン溶液の添加毎に、アルカリpH調整剤を添加すること、を特徴とするエストロゲン含有水の処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載したエストロゲン含有水の処理装置において、該エストロゲンは、エストラジオール,エストロン,又はエストリオールよりなり、
該鉄イオン添加手段は、硫酸第一鉄や塩化第一鉄の水溶液を添加し、該pH調整手段は、例えば硫酸又はカセイソーダを添加し、もって該処理槽内の該被処理水をpH4程度に維持して、添加される過酸化水素の水と酸素への分解反応を抑制すること、を特徴とするエストロゲン含有水の処理装置。
【請求項4】
被処理水に含有されたエストロゲンを、フェントン法の処理プロセスに基づき酸化,分解する処理方法であって、
該エストロゲンは、ホルモン作用を有するステロイド骨格の有機化合物よりなり、該エストロゲンを含有した該被処理水に対し、過酸化水素と2価の鉄イオン溶液とpH調整剤とが添加されると共に、
過酸化水素は、反応当初に全量添加され、2価の鉄イオン溶液は、過酸化水素の添加後に間欠的に複数サイクル繰り返して分割添加され、pH調整剤は、過酸化水素の添加前は酸pH調整剤が添加され、過酸化水素の添加後は2価の鉄イオン溶液の分割添加毎にアルカリpH調整剤が添加され、もって該被処理水を所定の弱酸性に維持すること、を特徴とするエストロゲン含有水の処理方法。
【請求項5】
請求項4に記載したエストロゲン含有水の処理方法において、添加された過酸化水素が、触媒として分割添加される2価の鉄イオンにてその分割添加の都度還元されて、OHラジカルが生成され、
もって、該被処理水に含有された該エストロゲンが、このOHラジカルにて酸化,分解されて、低分子化合物に無機化されること、を特徴とするエストロゲン含有水の処理方法。
【請求項6】
請求項5に記載したエストロゲン含有水の処理方法において、更に、過酸化水素の還元反応にて生成された水酸化イオンが、2価の鉄イオンの酸化反応にて生成された3価の鉄イオンにて酸化されて、OHラジカルが生成され、
もって、該被処理水に含有された該エストロゲンが、このOHラジカルにて酸化,分解されて、低分子化合物に無機化されること、を特徴とするエストロゲン含有水の処理方法。
【請求項7】
請求項5又は6に記載したエストロゲン含有水の処理方法において、生成されたOHラジカルが、更に該被処理水等の水と反応して、新たなOHラジカルと水とを生成する反応が、連鎖的に繰り返され、
もって、このように繰り返し新たに生成されるOHラジカルにて、該エストロゲンが酸化,分解されて低分子化合物に無機化されること、を特徴とするエストロゲン含有水の処理方法。
【請求項8】
請求項5又は6に記載したエストロゲン含有水の処理方法において、2価の鉄イオンの酸化反応にて生成される3価の鉄イオンと、過酸化水素とが反応して、少なくとも新たなOHラジカルを生成する反応が、連鎖的に繰り返され、
もって、このように繰り返し新たに生成されるOHラジカルにて、該エストロゲンが酸化,分解されて低分子化合物に無機化されること、を特徴とするエストロゲン含有水の処理方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−297708(P2009−297708A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−116693(P2009−116693)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【出願人】(500561931)三井造船プラントエンジニアリング株式会社 (41)
【出願人】(507141066)株式会社ニクス (10)
【Fターム(参考)】