エネルギーを無線で交換するように構成されるシステム、エバネッセント波の結合を介して電磁エネルギーを無線で伝達する方法および電磁エネルギーを無線で交換するように構成されるシステム
【課題】本発明の実施の形態は、エネルギーを無線で交換するように構成されるシステムを開示する。
【解決手段】このシステムは、エバネッセント波の結合を介してエネルギーを無線で交換するように構成される構造体であって、この構造体は、電磁的(EM)であると共に非放射であり、この構造体は、エネルギーの受信に応答してEM近接場を生成する、構造体と、結合が強化されるようにEM近接場内に配置されるメタマテリアルとを備える。
【解決手段】このシステムは、エバネッセント波の結合を介してエネルギーを無線で交換するように構成される構造体であって、この構造体は、電磁的(EM)であると共に非放射であり、この構造体は、エネルギーの受信に応答してEM近接場を生成する、構造体と、結合が強化されるようにEM近接場内に配置されるメタマテリアルとを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギーを伝達することに関し、より詳細には、エネルギーを無線で伝達することに関する。
【0002】
本出願は、2009年12月3日付けでクーン・フー・テオ(Koon Hoo Teo)他によって出願された、出願番号12/630,498「負屈折率材料を用いた無線エネルギー伝達(Wireless Energy Transfer with Negative Index Material)」の一部継続出願であり、この特許出願からの優先権を主張し、この特許出願は、参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0003】
無線エネルギー伝達
誘導結合は、コードレス電子歯ブラシ又はハイブリッド車両バッテリの充電のような、多くの無線エネルギー伝達用途において使用されている。変圧器のような結合インダクタにおいて、ソース、たとえば一次コイルが、電磁場としてエネルギーを生成し、シンク、たとえば2次コイルが、このシンクを通過するエネルギーが最適化される、たとえばソースのエネルギーと可能な限り類似するようにその電磁場の範囲を定める(subtend)。エネルギーを最適化するために、ソースとシンクとの間の距離は、可能な限り小さくなるべきである。これは、距離が長くなると誘導法が非常に効果のないものとなるためである。
【0004】
共振結合システム
共振結合において、2つの共振電磁物体、すなわちソース及びシンクが、共振状態の下で互いに相互作用する。共振結合は、中距離、たとえば共振周波数波長の数分の1にわたってソースからシンクにエネルギーを伝達する。
【0005】
図12は、共振ソース110から共振シンク120へエネルギーを伝達するための従来の共振結合システム100を示している。システム100の動作の一般原理は、誘導結合と類似している。ドライバ140がエネルギーを共振ソースに入力して、振動電磁場115を形成する。励起された電磁場は、ドライバにおける励起信号周波数、又は共振システムのためのソース及びシンクの自己共振周波数に対して或るレートで減衰する。しかしながら、共振シンクが、各サイクル中に失ったエネルギーよりも多くのエネルギーを吸収する場合、エネルギーのほとんどがシンクに伝達される。同じ共振周波数で共振ソース及び共振シンクを動作させることによって、共振シンクがその周波数において低インピーダンスを有すると共に、エネルギーが最適に吸収されることが保証される。共振結合システムの例が、参照によって本明細書に援用される、米国特許出願公開第2008/0278264号及び同第2007/0222542号に開示されている。
【0006】
エネルギーは、複数の共振物体間、たとえばサイズL1を有する共振ソースと、サイズL2を有する共振シンクとの間で、距離Dにわたって伝達される。ドライバは、電力供給器をソースに接続し、共振シンクは、電力消費装置、たとえば抵抗負荷150に接続される。エネルギーは、ドライバによって共振ソースに供給され、共振ソースから共振シンクに無線でかつ非放射で伝達され、負荷によって消費される。無線非放射エネルギー伝達は、場115、たとえば共振システムの電磁場又は音場を使用して実行される。本明細書を簡略化するために、場115は、電磁場である。共振物体の結合中、エバネッセント波130は、共振ソースと共振シンクとの間で伝播される。
【0007】
結合強化
結合モード理論によれば、結合強度は、結合係数kによって表される。結合強化は、結合係数kの絶対値の増加によって表される。結合モード理論に基づいて、共振結合システムの共振周波数は、複数の周波数に分割される。たとえば、2つの物体の共振結合システムにおいて、結合効果に起因して、偶モード周波数及び奇モード周波数と呼ばれる2つの共振周波数が観測され得る。2つの全く同じ共振構造体によって形成される2つの物体の共振システムの結合係数は、次式(1)に従って、偶モード及び奇モードを分割することによって計算される。
【0008】
κ=π|feven−fodd| (1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0278264号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/0222542号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
結合を強化することが課題である。たとえば、結合を最適化するために、高い品質係数を有する共振物体が選択される。
【0011】
したがって、ソースとシンクとの間の無線エネルギー伝達を最適化することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の実施の形態は、ソースとシンクとの間のエバネッセント波結合の経路に沿って1つ又は複数のメタマテリアルを配置することによって、エバネッセント波結合が強化されるという認識に基づいている。
【0013】
本発明の実施の形態は、エネルギーを無線で交換するように構成されるシステムを開示する。このシステムは、エバネッセント波の結合を介してエネルギーを無線で交換するように構成される構造体であって、この構造体は、電磁的(EM:electromagnetic)であると共に非放射であり、この構造体は、エネルギーの受信に応答してEM近接場を生成する、構造体と、結合が強化されるようにEM近接場内に配置されるメタマテリアルとを備える。
【0014】
別の実施の形態は、エバネッセント波の結合を介して電磁エネルギーを無線で伝達する方法であって、結合が強化されるように、メタマテリアルを使用してエバネッセント波の振幅を増大させるステップと、共振周波数ω1、固有損失率Γ1、及び第1のQ値Q1=ω1/(2Γ1)を有する第1のモードを有する第1の共振器構造体を提供するステップであって、この第1の共振器構造体は、電磁的であり、Q1>100を有するように設計される、第1の共振器構造体を提供するステップと、第1の共振器構造体から遠位に位置決めされ、この第1の共振器構造体に電気的に配線されていない第2の共振器構造体を提供するステップであって、この第2の共振器構造体は、共振周波数ω2、固有損失率Γ2、及び第2のQ値Q2=ω2/(2Γ2)を有する第2のモードを有し、この第2の共振器構造体は、電磁的であり、Q2>100を有するように設計される、第2の共振器構造体を提供するステップと、メタマテリアルを第1の共振器構造体と第2の共振器構造体との間に配置するステップと、第1の共振器構造体からメタマテリアルを通じて第2の共振器構造体に、距離Dにわたって電磁エネルギーを伝達するステップであって、距離Dは、共振周波数ω1及びω2にそれぞれ対応する共振波長λ1及びλ2のそれぞれよりも小さい、伝達するステップとを含む方法を開示する。
【0015】
さらに別の実施の形態は、電磁エネルギーを無線で交換するように構成されるシステムであって、共振周波数ω1、固有損失率Γ1、及び第1のQ値Q1=ω1/(2Γ1)を有する第1のモードを有する第1の共振器構造体であって、この第1の共振器構造体は、電磁的であり、Q1>100を有するように設計される、第1の共振器構造体と、第1の共振器構造体から遠位に位置決めされ、この第1の共振器構造体に電気的に配線されていない第2の共振器構造体であって、この第2の共振器構造体は、共振周波数ω2、固有損失率Γ2、及び第2のQ値Q2=ω2/(2Γ2)を有する第2のモードを有し、この第2の共振器構造体は、電磁的であり、Q2>100を有するように設計される、第2の共振器構造体と、第1の共振器構造体と第2の共振器構造体との間に配置されるメタマテリアルであって、第1の共振器構造体は、このメタマテリアルを通じて第2の共振器構造体に、距離Dにわたって電磁エネルギーを伝達し、距離Dは、共振周波数ω1及びω2にそれぞれ対応する共振波長λ1及びλ2のそれぞれよりも小さい、メタマテリアルとを備えるシステムを開示する。
【発明の効果】
【0016】
これにより、ソースとシンクとの間の無線エネルギー伝達を最適化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】エネルギーを無線で伝達又は受信するのに適したシステムの例を示す図である。
【図2A】本発明の異なる実施の形態を示すブロック図である。
【図2B】NIMを用いない場合のエバネッセント波結合を示す図である。
【図2C】NIMを用いる場合のエバネッセント波結合を示す図である。
【図3】本発明の異なる実施の形態を示すブロック図である。
【図4】本発明の異なる実施の形態を示すブロック図である。
【図5】本発明の異なる実施の形態を示すブロック図である。
【図6】動いている装置に無線でエネルギーを供給するためのシステムの一例を示す図である。
【図7】約8MHzで共振する容量装荷型ループ共振システム800におけるNIMの適用例を示す図である。
【図8】エネルギー伝達の効率を、NIMを用いる場合の周波数及びNIMを用いない場合の周波数の関数として比較するグラフである。
【図9】エネルギー伝達の効率を、NIMを用いる場合の周波数及びNIMを用いない場合の周波数の関数として比較する表である。
【図10】エネルギーを無線で伝達又は受信するのに適したシステムの例を示す図である。
【図11】エネルギー伝達の効率を、メタマテリアルを用いる場合の周波数及びNIMを用いない場合の周波数の関数として比較するグラフである。
【図12】従来の共振結合システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態は、エネルギーが無線で伝達されている間、エバネッセント波の経路上の電磁(EM)近接場に配置されるメタマテリアル、たとえば、負屈折率材料(NIM:negative index material)及び/又は単一負性(SNG:signal−negative)メタマテリアルが、エバネッセント波の振幅を増大させ、このため、エネルギー伝達の効率を最適にするという認識に基づいている。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態によるシステム200を示している。このシステムは、エネルギーを無線で交換する、たとえば送信又は受信するように構成され、電磁(EM)非放射構造体210を備える。この構造体210は、エネルギーがこの構造体によって受信されると電磁近接場220を生成すると共に、エバネッセント波の結合を介してエネルギーを無線で交換するように構成される寸法211、たとえば直径を有する。
【0020】
エネルギーのほとんどは、反応性であり、送信機又は共振器内に閉じ込められ、このエネルギーのわずかな部分のみが遠距離場へ放射することができる(通常10パーセント未満)。
【0021】
この実施の形態では、エネルギー260は、従来技術において既知のドライバ(図示せず)によって供給される。この実施の形態では、構造体210は、無線エネルギー伝達システムのソースとしての役割を果たす。代替的な実施の形態では、エネルギー260は、ソース(図示せず)から無線で供給される。その実施の形態では、構造体210は、無線エネルギー伝達システムのシンクとしての役割を果たす。
【0022】
システム200は、近接場220内に配置されるメタマテリアル230をさらに備える。メタマテリアルは、負誘電率及び/又は負透磁率特性を有する材料である。この材料に関して、いくつかの特異な現象、たとえばエバネッセント波増幅、表面プラズモンのような挙動、及び負の屈折が知られている。本発明の実施の形態は、メタマテリアルの特異な能力を理解及び利用してエバネッセント波を増幅したものである。これによって無線エネルギー伝達が最適化される。
【0023】
エネルギー260が構造体210によって受信されると、EM構造体の周りの実質的に全ての方向にRM近接場が生成される。近接場は、遠距離場と対称をなす。構造体が非放射であるため、エネルギーのほとんどが近接場内に閉じ込められ、エネルギーの10%未満の小さな部分のみが遠距離場に放射される。
【0024】
近接場内で、この近接場の形状及び寸法は、外部エネルギー260の周波数、及びEM構造体210の共振周波数に依拠する。EM構造体210の共振周波数は、部分的に、EM構造体、たとえば円形形状、螺旋形状、円筒形状によって、並びに導電率、比誘電率、及び比透磁率のようなEM構造体の材料のパラメーターによって決まる。この実施の形態では、放射に起因するエネルギーの損失を最小にするために、構造体のサイズは、システムの主波長の長さよりもはるかに小さく、たとえばこの長さよりも100倍小さい。
【0025】
通常、近接場の範囲270は、システムの主波長の長さの数分の1、たとえばこの長さの1/4又は1/10である。非共振システムでは、主波長は、外部エネルギー260の周波数、すなわち波長λ265によって決まる。共振システムでは、主波長は、EM構造体の共振周波数によって決まる。通常、主波長は、無線で交換されるエネルギーの周波数によって決まる。
【0026】
共振は、品質係数(Q値)、すなわち蓄積エネルギーと散逸エネルギーとの無次元の比によって特徴付けられる。システム200の目的は、エネルギーを無線で伝達又は受信することであるため、ドライバの周波数又は共振周波数は、たとえば近接場領域の寸法を増大するように選択される。いくつかの実施の形態では、エネルギー260の周波数及び/又は共振周波数は、MHzからGHzの域にある。他の実施の形態では、上述の周波数は、光領域にある。
【0027】
エバネッセント波
エバネッセント波は、この波が形成された境界からの距離と共に強度が指数関数的に減衰する近接場定常波である。エバネッセント波250は、構造体210と、波の動きに関して異なる特性を有する他の「媒体」、たとえば空気との間の境界において形成される。エバネッセント波は、外部エネルギーがEM構造体によって受信されるときに形成され、EM構造体210の表面からの近接場の波長の3分の1内において最も強力である。
【0028】
以下で説明する実施の形態に加えて、システム200の多数の異なる構成が可能であることを理解されたい。たとえば、この実施の形態では、システム200は、エネルギーをソースから無線で受信するように構成されるシンクである。別の実施の形態では、システム200は、エネルギーをシンクに無線で送信するように構成されるソースである。さらに別の実施の形態では、システム200は、複数のシンクに同時にエネルギーを伝達するように構成されるソースである。
【0029】
いくつかの実施の形態では、システム200の動作中に、構造体210は、ソース又はシンクのいずれであるかに関わらず、エバネッセント波を放出するのと同時にエバネッセント波251を受信する。メタマテリアル230は、少なくとも1つのエバネッセント波250又は251の経路上に配置される。伝達されるエネルギー又は受信されるエネルギーの所望の方向が知られている場合、メタマテリアル、たとえばメタマテリアル230又はNIM231は、エネルギー交換の所望の方向に基づいて最適に配置される。
【0030】
他の実施の形態では、複数のメタマテリアルがエバネッセント波の経路上に、この波の振幅を最大にするように最適に配置される。
【0031】
図2Aは、本発明の別の実施の形態によるシステム300を示している。システム300は、共振結合システムであり、ソース310の近接場内でエバネッセント波330の経路上に配置される少なくとも1つのメタマテリアル230を含む。エネルギー260は、ドライバ140によってシステム300に提供され、ソース310によってエバネッセント波330を介してシンク320に無線で送信され、負荷150によって消費される。この実施の形態では、負荷は、プロセッサを含む。
【0032】
システム300の変形形態では、メタマテリアル230は、シンク320よりもソースの近くに配置される。別の変形形態では、メタマテリアル231は、ソースよりもシンクの近くに配置される。さらに別の変形形態では、複数のメタマテリアル230及び231がエバネッセント波330の経路上に配置され、それによって、エバネッセント波は、結合中、複数のメタマテリアル内の各メタマテリアルを通じて進む。通例、メタマテリアルは、無線エネルギー伝達の間、ソースとシンクとの間のエバネッセント波結合を最適にするように配置される。この実施の形態では、メタマテリアルは、このメタマテリアルと構造体との間の距離がこのメタマテリアルの寸法に比例するように配置される。典型的には、メタマテリアルの寸法が小さいほど、このメタマテリアルは、EM構造体の近くに配置される。
【0033】
システム300の変形形態は、ジョアノプロス(Joannopoulos)他によって2006年7月5日に出願され、2010年2月3日に許可された、米国特許出願第2007/0222542号に記載されているシステムを改善したものである。この実施の形態の電磁エネルギー伝達システムは、共振周波数ω1、損失率Γ1、及び第1のQ値Q1=ω1/(2Γ1)を有する第1のモードを有する第1の共振器構造体310と、第1の共振器構造体から遠位に位置決めされ、第1の共振器構造体に電気的に配線されていない第2の共振器構造体320とを備える。第2の共振器構造体は、共振周波数ω2、固有損失率Γ2、及び第2のQ値Q2=ω2/(2Γ2)を有する第2のモードを有する。
【0034】
第1の共振器構造体は、共振周波数ω1及びω2にそれぞれ対応する共振波長λ1及びλ2のそれぞれよりも小さい距離Dにわたって電磁エネルギーを第2の共振器構造体に伝達する。さらに、共振器構造体は、100よりも大きい第1のQ値及び第2のQ値の値、すなわちQ1>100及びQ2>100を有するように設計される。
【0035】
ジョアノプロスによって記載されているシステムに勝るこの実施の形態の主な改善点のうちの1つは、第1の共振器構造体が、メタマテリアルを通じて第2の共振器構造体に、距離Dにわたって電磁エネルギーを伝達するような、第1の共振器構造体と第2の共振器構造体との間のメタマテリアル230の配置である。ここで、距離Dは、共振周波数ω1及びω2にそれぞれ対応する共振波長λ1及びλ2のそれぞれよりも小さい。
【0036】
この実施の形態の異なる変形形態では、Q値の値は、200より大きいか、500より大きいか、又は1000より大きい。付加的に又は代替的に、2つの周波数ω1及びω2は、Γ1及びΓ2のより小さい方の範囲内に近接している。付加的に又は代替的に、メタマテリアルの異なる数、タイプ、及び/又は配置が使用される。
【0037】
エバネッセント波結合
エバネッセント波結合は、電磁波がエバネッセントの、指数関数的に減衰する電磁場によって1つの媒体から別の媒体に送信されるプロセスである。
【0038】
結合は、通常、2つ以上の電磁素子、すなわちソース及びシンクを、このソースによって生成されるエバネッセント波がシンクに到達する前にあまり減衰しないように、互いに或る距離Dで置くことによって達成される。シンクが適切な周波数のモードをサポートする場合、エバネッセント場によって波モードの伝播が生じ、それによって波が1つの導波路から次の導波路へつながる(すなわち結合される)。
【0039】
エバネッセント波結合は、電磁場理論における近接場結合と基本的に同一である。放射源素子のインピーダンスに依拠して、エバネッセント波は、主に電気(容量性)であるか又は主に磁気(誘導性)であるかのいずれかであり、これらの波の成分が最終的に自由空間のインピーダンスの比に達し、波が放射的に伝播する遠距離場とは異なる。エバネッセント波結合は、各媒体の近くの非放射場内で発生するため、部分的に反射する表面内の物質(matter)、すなわち誘導電流及び電荷と常に関連付けられる。
【0040】
図2Bは、NIMを用いない場合のエバネッセント波結合を示し、図2Cは、NIMを用いる場合のエバネッセント波結合を示している。エネルギーがソースに供給されると、近接場が生成される。放射損失及び誘電損失は、エネルギーの部分を消費するが、放射が強力でない場合、エネルギーのほとんどは、ソースに反射されて戻る。しかしながら、シンクがソースの十分近くに配置される場合、すなわちソースから距離D離れて配置される場合、エバネッセント波331及び/又は330は、ソースとシンクとの間で結合され、それによってエネルギーがソースからシンクに伝達される。図2Bに示すように、NIMを用いない場合、エネルギーは、ソース及びシンクのエバネッセント波の結合を通じて伝達される。
【0041】
しかしながら、ソース及びシンクの結合中、メタマテリアルがソース及び/又はシンクによって生成された近接場内に配置される場合、図2Cに示すように、エバネッセント波の振幅は、波がメタマテリアルを通じて進むときに増大される(370)。このため、エバネッセント波結合が強化されると共にエネルギーがより効率的に伝達され、かつ/又はソースとシンクとの間の距離Dが増大する。
【0042】
図3は、本発明の別の実施の形態によるシステム400を示している。システム400は、非共振システムである。非共振システムは、共振システムとは対照的に、ソース410及びシンク420が異なる共振周波数を有するように設計される。たとえば、システム400の変形形態では、ソース及びシンクの双方が異なる共振周波数を有する共振構造体である。別の変形形態では、シンク420は、非共振構造体、たとえば負荷450である。別の変形形態では、ソース410は、非共振構造体、たとえばドライバ440である。
【0043】
図4は、本発明のさらに別の実施の形態によるシステム500を示している。この実施の形態では、EM構造体の材料自体がメタマテリアルを含む。たとえば、この実施の形態の変形形態では、ソース510は、メタマテリアルから作製される。他の変形形態では、シンク520並びに/又はシンク及びソースの双方がメタマテリアルから作製される。異なる変形形態では、ソース及びシンクは、同じメタマテリアル又は異なるメタマテリアルから作製される。この実施の形態のさらに別の変形形態では、EM構造体に含まれるメタマテリアルに加えて、第2のメタマテリアル231がエバネッセント波530の経路上に位置決めされる。
【0044】
図5は、本発明のさらに別の実施の形態によるシステム600を示している。この実施の形態では、メタマテリアル640は、実質的にEM構造体610を取り囲む。たとえば、この実施の形態の変形形態では、ソース610は、円筒形状を有し、メタマテリアルは、直径がわずかに大きい同様の円筒形状を有する。他の変形形態では、シンク620並びに/又はシンク及びソースの双方がメタマテリアルに取り囲まれる。この実施の形態の別の変形形態では、メタマテリアル640に加えて、第2のメタマテリアル231がエバネッセント波630の経路上に位置決めされる。この実施の形態は、多方向のエネルギーが交換される用途、又は方向が事前に知られていない用途において特に有利である。
【0045】
図9の表は、異なる無線エネルギー伝達システムに関して計算される結合係数を示している。結合係数は、2つのEM構造体間の結合の強度の基準であり、これらのEM構造体間でエネルギー伝達が発生する率を定量化する。図5に基づいて、本発明の実施の形態によって結合係数が増大し、このためシステムの効率が増大することは、明らかである。たとえば、メタマテリアルの単一のブロックによって、1つのシステム内の結合係数が3.88e4から7.60e4に増大する。メタマテリアルの2つのブロックによって、結合係数が14.8e4にさらに増大する。
【0046】
本発明の実施の形態を、無線エネルギー伝達を必要とするさまざまな用途、システム、及び装置、たとえば自動車、移動通信機、ラップトップ、オーディオ/ビデオ装置において使用することができる。
【0047】
図6は、エネルギーを、エレベーターカー及び電気車両のような移動装置にエネルギーを無線で供給するためのシステム700を示している。この実施の形態では、ケーブルを有しないエレベーターカー750、すなわち負荷が、導波路760からエネルギーを無線で受信するように構成されるアンテナ720、すなわちシンクに接続される。導波路は、昇降路に設置され、ドライバ710からエネルギーを受信する。ドライバは、電力網に接続され、エネルギーを導波路に、たとえば誘導的に供給することができる。導波路は、電磁エバネッセント波を生成するように構成される。たとえば、この実施の形態では、導波路は、導線を介して実装される。別の実施の形態では、導波路の一方の側は、エバネッセント波が導波路の表面を出ることを可能にする穿孔又はスロット780を有する。
【0048】
メタマテリアル730は、シンクと導波路の間に配置され、たとえばアンテナ720に固定され、アンテナが移動されると、それに応じてメタマテリアルは移動される。メタマテリアルは、導波路のエネルギー伝達エリア765から放出されるエバネッセント波がメタマテリアルを通じてアンテナに到達するように位置決めされる。乗りかごが牽引機構760によって移動されると、それに従ってエネルギー伝達エリアが調整される。
【0049】
アンテナ720及びメタマテリアル730は、システム200を形成する。エレベーター用乗りかご、電気自動車、及び携帯電話のような少なくとも1自由度を有する装置に接続される場合、システム200は、それらの装置が無線であるが効率的にエネルギーを受信することを可能にする。
【0050】
負屈折率材料(NIM)
本発明のいくつかの実施の形態は、メタマテリアルとしてNIMを使用する。NIMは、負誘電率特性ε及び負透磁率特性μを有する人工材料である。ソースとシンクとの間のエバネッセント波は、エネルギー伝達を最適化したNIMを通じて伝播する間、増幅される。
【0051】
いくつかの実施の形態では、システムにおいて使用されるNIMは、ε=−1、μ=−1の電磁特性を有する。エバネッセント波がNIMを通じて伝播するとき、NIMのインピーダンスは、自由空間インピーダンスと整合され、NIMと自由空間との界面において反射が発生せず(これは、電力送信には不可欠である)、エバネッセント波がNIMを通じて増幅される。
【0052】
他の実施の形態では、NIMは、負値の誘電率特性ε及び負値の透磁率特性μを有するが、厳密に−1ではない。これらの実施の形態では、エネルギー及びEM場強度を蓄える間、NIMと、空気、ガス、又は真空のような他の媒体との間の界面に表面プラズモンが励起される。NIMは、通常、部分的に誘電損失、そして部分的に分散損失による材料損失を伴う。材料損失は、NIMを通じた伝播中、エバネッセント波増幅を減少させる。しかしながら、表面波は励起され、エネルギーは、NIMと他の媒体との界面において蓄えられる。この特性は、エバネッセント波伝播を延ばし、ソースとシンクとの間のエネルギー結合を最適化する。
【0053】
NIMを設計する多数の異なる方法が存在する。たとえば、金属線構造体を有する分割リング共振器(SPR:split ring resonator)は、NIMの人工材料設計の一例である。SPR及び誘導性・容量性(LC(inductive−capacitive))共振器は、NIM設計の別の例である。本発明の実施の形態は、エバネッセント波強化の目的を満たす任意のタイプのNIMを使用する。この実施の形態では、システムは、共振システムであり、NIMは、システムの共振周波数において、−1に等しい屈折率を有する。
【0054】
図7は、約8MHzで共振する容量装荷型ループ共振システム800におけるNIMの適用例を示している。容量装荷型ループ810は、システム800のソースとしての役割を果たす。容量装荷型ループは、30cmの半径815、及び2cmの銅線断面半径817、及び誘電率特性ε=10の138cm2の容量誘電ディスクエリア819を有する。エネルギーは、エバネッセント波の形式でLCループの近距離に閉じ込められる。
【0055】
50オームの負荷を有する金属ループ構造体820がシステムのドライバである。同様に、240オームの負荷を有する金属ループ830がシステムの負荷である。NIM840は、ソースの近接場において、ソースと負荷との間に配置される。ドライバ及び負荷の半径822は、20cmである。ドライバは、ソース824から20cmの距離に配置され、このソースと誘導結合される。
【0056】
近接場におけるNIMの配置は、特にドライバ及び負荷におけるインピーダンスを変更して最大電力伝達効率を達成する必要がある場合、ドライバ及び負荷の設計に依拠する。
【0057】
最大結合強化を得るために、エネルギー伝達フィールドに対するNIMの物理的な断面サイズ、厚さ、及び位置を、システムの要素、たとえばソース、シンク、ドライバ、及び負荷、並びにシステムが位置する環境の構成に従って最適化する必要がある。この実施の形態では、最適化は、コンピューターモデリングを通じて又は実験的に達成され、最大電力伝達を可能にする最良のインピーダンス整合が可能になる。
【0058】
図8は、エネルギー伝達の効率を、NIMを用いる場合の周波数及びNIMを用いない場合の周波数の関数として比較するグラフである。図示されるように、NIMを含むシステムの効率920は、NIMを用いない対応するシステムの効率910よりも3倍大きい。
【0059】
厳密な電磁特性を有するNIM材料は、単一の周波数においてのみ発生する。これは、厳密な材料特性ε=−1、μ=−1が、f=8MHzのような1つの周波数においてのみ発生することを意味する。しかしながら、NIMは、共振周波数の約5〜10%の帯域幅において負電磁特性を示す。NIMが10MHzで動作するように設計されるシステムにでは、誘電率及び透磁率が負となる10MHzの周りで約0.5MHz〜1MHzの帯域幅が達成される。この帯域幅において、NIMの負のEM特性周波数範囲が共振成分の共振周波数点をカバーする場合、結合及び電力伝達効率を強化するために、無線電力伝達システムにおいてNIMが利用される。
【0060】
単一負性(SNG)メタマテリアル
本発明の幾つかの実施の形態は、メタマテリアルとして単一負性(SNG)メタマテリアルを使用する。SNGメタマテリアルは、負誘電率のみを有する、すなわちε<0、μ>0であるか、又は負透磁率のみを有する、すなわちε>0、μ<0であるメタマテリアルである。より詳細には、ε<0、μ>0を有するメタマテリアルは、ε負性(ENG)メタマテリアルであり、ε>0、μ<0を有するメタマテリアルは、μ負性(MNG)メタマテリアルである。
【0061】
この実施の形態の変形形態では、システム200の寸法211は、波長265よりも小さく、それによって構造体のEM遠距離場放射は無視され、電場及び磁場は、互いに独立している。電場及び磁場が独立していることによって、近接場の電気ドミナント又は磁気ドミナントを別個に使用することが可能になる。電気ドミナントを有する近接場の場合、負誘電率εのみを有するメタマテリアルがエバネッセント波を強化するのに使用される。磁気ドミナントを有する近接場の場合、負透磁率μのみを有するメタマテリアルがエバネッセント波を強化するのに使用される。
【0062】
したがって、いくつかの実施の形態では、エバネッセント結合を強化するように構成されるSNG材料のタイプが、結合のタイプに基づいて選択される。たとえば、この実施の形態では、結合は、電気ドミナント結合であり、SNGメタマテリアルは、ENGメタマテリアルである。別の実施の形態では、結合は、磁気ドミナント結合であり、SNGメタマテリアルは、MNGメタマテリアルである。
【0063】
メタマテリアルは、分散性であり、材料損失を有する。これは、無線エネルギー伝達中のエバネッセント波の強化に影響を与える。NIMは、通常、共振構造体の2つのセットを含む。一方は、負誘電率(ε<0)を与えるためのものであり、他方は、負透磁率(μ<0)を与えるためのものである。構造体の2つのセットは、メタマテリアルの損失及び分散に寄与する。また、それらの構造体は、ε<0領域及びμ<0領域が互いに同時発生し、負の屈折率を与えるように設計される必要があるため、NIMの設計は、比較的複雑である。
【0064】
SNGメタマテリアルの場合、ε<0特性又はμ<0特性を達成するために人工構造体の1つのセットしか必要とされない。SNGメタマテリアルには、NIMに勝る重要な利点が存在する。第1に、SNGメタマテリアルの設計は、より単純である。第2に、SNGメタマテリアルの製造プロセスは、より単純である。第3に、SNGメタマテリアルに関連付けられる損失は、典型的に、NIMに関連付けられる損失よりも小さい。通常、SNGメタマテリアルを用いた無線エネルギー伝達システムの性能は、NIMを用いたシステムの性能よりも良好である。
【0065】
図10は、本発明の実施の形態による無線エネルギー伝達システム1100の例を示している。ソース1110及びシンク1120は、銅線から作製された同一の自己共振コイルである。このコイルの半径は、30cmであり、銅線の半径は、5mmである。各コイルは、そのような銅線を5.25回巻いたものから構成され、20cmにわたって延びる。コイルの共振周波数は、約10MHzである。2つのコイル間の距離は、2mである。
【0066】
半径が20cmに等しい2つの金属ループは、ドライバ1150及び負荷1160である。2つの小さな金属ループの位置は、インピーダンス整合及び無線エネルギー伝達効率を最適化するように調整される。システムにおいて、2つのメタマテリアルスラブ1130及び1140が性能を改善するために使用される。メタマテリアルは、半径40cm及び高さ4cmの円筒形状である。様々なシステムの最適化された伝達効率がソフトウェアによって計算され、比較される。
【0067】
図11は、エネルギー伝達システムの効率を比較するグラフであり、すなわち、メタマテリアルを用いないシステムの場合の効率1210と、パラメーターε=−1+0.001i、μ=−1+0.001i(NIM)のメタマテリアルを用いるシステムの場合の効率1220と、パラメーターε=1、μ=−1+0.001i(MNGメタマテリアル)のメタマテリアルを用いるシステムの場合の効率1230とを比較する。
【0068】
グラフによって示されているように、メタマテリアルを用いないシステムは、約33%のピーク効率を有する。NIMを用いるシステムは、約40%のより高いピーク効率を有する。MNGメタマテリアルを用いるシステムのピーク効率は、約50%までさらに増大される。比較すると、NIM及びMNGメタマテリアルの双方がシステムの伝達効率を改善している。NIMは、誘電率及び透磁率の双方において損失を有するが、SNGメタマテリアルは、誘電率又は透磁率のみにおいて損失を有する。この利点を有するため、SNGメタマテリアルを用いる場合により高い効率が達成される。
【0069】
本発明を好ましい実施の形態の例として説明してきたが、本発明の精神及び範囲内で様々な他の適応及び変更を行うことができることは理解されたい。したがって、添付の特許請求の範囲の目的は、本発明の真の精神及び範囲内に入るすべての変形及び変更を包含することである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギーを伝達することに関し、より詳細には、エネルギーを無線で伝達することに関する。
【0002】
本出願は、2009年12月3日付けでクーン・フー・テオ(Koon Hoo Teo)他によって出願された、出願番号12/630,498「負屈折率材料を用いた無線エネルギー伝達(Wireless Energy Transfer with Negative Index Material)」の一部継続出願であり、この特許出願からの優先権を主張し、この特許出願は、参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0003】
無線エネルギー伝達
誘導結合は、コードレス電子歯ブラシ又はハイブリッド車両バッテリの充電のような、多くの無線エネルギー伝達用途において使用されている。変圧器のような結合インダクタにおいて、ソース、たとえば一次コイルが、電磁場としてエネルギーを生成し、シンク、たとえば2次コイルが、このシンクを通過するエネルギーが最適化される、たとえばソースのエネルギーと可能な限り類似するようにその電磁場の範囲を定める(subtend)。エネルギーを最適化するために、ソースとシンクとの間の距離は、可能な限り小さくなるべきである。これは、距離が長くなると誘導法が非常に効果のないものとなるためである。
【0004】
共振結合システム
共振結合において、2つの共振電磁物体、すなわちソース及びシンクが、共振状態の下で互いに相互作用する。共振結合は、中距離、たとえば共振周波数波長の数分の1にわたってソースからシンクにエネルギーを伝達する。
【0005】
図12は、共振ソース110から共振シンク120へエネルギーを伝達するための従来の共振結合システム100を示している。システム100の動作の一般原理は、誘導結合と類似している。ドライバ140がエネルギーを共振ソースに入力して、振動電磁場115を形成する。励起された電磁場は、ドライバにおける励起信号周波数、又は共振システムのためのソース及びシンクの自己共振周波数に対して或るレートで減衰する。しかしながら、共振シンクが、各サイクル中に失ったエネルギーよりも多くのエネルギーを吸収する場合、エネルギーのほとんどがシンクに伝達される。同じ共振周波数で共振ソース及び共振シンクを動作させることによって、共振シンクがその周波数において低インピーダンスを有すると共に、エネルギーが最適に吸収されることが保証される。共振結合システムの例が、参照によって本明細書に援用される、米国特許出願公開第2008/0278264号及び同第2007/0222542号に開示されている。
【0006】
エネルギーは、複数の共振物体間、たとえばサイズL1を有する共振ソースと、サイズL2を有する共振シンクとの間で、距離Dにわたって伝達される。ドライバは、電力供給器をソースに接続し、共振シンクは、電力消費装置、たとえば抵抗負荷150に接続される。エネルギーは、ドライバによって共振ソースに供給され、共振ソースから共振シンクに無線でかつ非放射で伝達され、負荷によって消費される。無線非放射エネルギー伝達は、場115、たとえば共振システムの電磁場又は音場を使用して実行される。本明細書を簡略化するために、場115は、電磁場である。共振物体の結合中、エバネッセント波130は、共振ソースと共振シンクとの間で伝播される。
【0007】
結合強化
結合モード理論によれば、結合強度は、結合係数kによって表される。結合強化は、結合係数kの絶対値の増加によって表される。結合モード理論に基づいて、共振結合システムの共振周波数は、複数の周波数に分割される。たとえば、2つの物体の共振結合システムにおいて、結合効果に起因して、偶モード周波数及び奇モード周波数と呼ばれる2つの共振周波数が観測され得る。2つの全く同じ共振構造体によって形成される2つの物体の共振システムの結合係数は、次式(1)に従って、偶モード及び奇モードを分割することによって計算される。
【0008】
κ=π|feven−fodd| (1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0278264号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/0222542号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
結合を強化することが課題である。たとえば、結合を最適化するために、高い品質係数を有する共振物体が選択される。
【0011】
したがって、ソースとシンクとの間の無線エネルギー伝達を最適化することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の実施の形態は、ソースとシンクとの間のエバネッセント波結合の経路に沿って1つ又は複数のメタマテリアルを配置することによって、エバネッセント波結合が強化されるという認識に基づいている。
【0013】
本発明の実施の形態は、エネルギーを無線で交換するように構成されるシステムを開示する。このシステムは、エバネッセント波の結合を介してエネルギーを無線で交換するように構成される構造体であって、この構造体は、電磁的(EM:electromagnetic)であると共に非放射であり、この構造体は、エネルギーの受信に応答してEM近接場を生成する、構造体と、結合が強化されるようにEM近接場内に配置されるメタマテリアルとを備える。
【0014】
別の実施の形態は、エバネッセント波の結合を介して電磁エネルギーを無線で伝達する方法であって、結合が強化されるように、メタマテリアルを使用してエバネッセント波の振幅を増大させるステップと、共振周波数ω1、固有損失率Γ1、及び第1のQ値Q1=ω1/(2Γ1)を有する第1のモードを有する第1の共振器構造体を提供するステップであって、この第1の共振器構造体は、電磁的であり、Q1>100を有するように設計される、第1の共振器構造体を提供するステップと、第1の共振器構造体から遠位に位置決めされ、この第1の共振器構造体に電気的に配線されていない第2の共振器構造体を提供するステップであって、この第2の共振器構造体は、共振周波数ω2、固有損失率Γ2、及び第2のQ値Q2=ω2/(2Γ2)を有する第2のモードを有し、この第2の共振器構造体は、電磁的であり、Q2>100を有するように設計される、第2の共振器構造体を提供するステップと、メタマテリアルを第1の共振器構造体と第2の共振器構造体との間に配置するステップと、第1の共振器構造体からメタマテリアルを通じて第2の共振器構造体に、距離Dにわたって電磁エネルギーを伝達するステップであって、距離Dは、共振周波数ω1及びω2にそれぞれ対応する共振波長λ1及びλ2のそれぞれよりも小さい、伝達するステップとを含む方法を開示する。
【0015】
さらに別の実施の形態は、電磁エネルギーを無線で交換するように構成されるシステムであって、共振周波数ω1、固有損失率Γ1、及び第1のQ値Q1=ω1/(2Γ1)を有する第1のモードを有する第1の共振器構造体であって、この第1の共振器構造体は、電磁的であり、Q1>100を有するように設計される、第1の共振器構造体と、第1の共振器構造体から遠位に位置決めされ、この第1の共振器構造体に電気的に配線されていない第2の共振器構造体であって、この第2の共振器構造体は、共振周波数ω2、固有損失率Γ2、及び第2のQ値Q2=ω2/(2Γ2)を有する第2のモードを有し、この第2の共振器構造体は、電磁的であり、Q2>100を有するように設計される、第2の共振器構造体と、第1の共振器構造体と第2の共振器構造体との間に配置されるメタマテリアルであって、第1の共振器構造体は、このメタマテリアルを通じて第2の共振器構造体に、距離Dにわたって電磁エネルギーを伝達し、距離Dは、共振周波数ω1及びω2にそれぞれ対応する共振波長λ1及びλ2のそれぞれよりも小さい、メタマテリアルとを備えるシステムを開示する。
【発明の効果】
【0016】
これにより、ソースとシンクとの間の無線エネルギー伝達を最適化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】エネルギーを無線で伝達又は受信するのに適したシステムの例を示す図である。
【図2A】本発明の異なる実施の形態を示すブロック図である。
【図2B】NIMを用いない場合のエバネッセント波結合を示す図である。
【図2C】NIMを用いる場合のエバネッセント波結合を示す図である。
【図3】本発明の異なる実施の形態を示すブロック図である。
【図4】本発明の異なる実施の形態を示すブロック図である。
【図5】本発明の異なる実施の形態を示すブロック図である。
【図6】動いている装置に無線でエネルギーを供給するためのシステムの一例を示す図である。
【図7】約8MHzで共振する容量装荷型ループ共振システム800におけるNIMの適用例を示す図である。
【図8】エネルギー伝達の効率を、NIMを用いる場合の周波数及びNIMを用いない場合の周波数の関数として比較するグラフである。
【図9】エネルギー伝達の効率を、NIMを用いる場合の周波数及びNIMを用いない場合の周波数の関数として比較する表である。
【図10】エネルギーを無線で伝達又は受信するのに適したシステムの例を示す図である。
【図11】エネルギー伝達の効率を、メタマテリアルを用いる場合の周波数及びNIMを用いない場合の周波数の関数として比較するグラフである。
【図12】従来の共振結合システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態は、エネルギーが無線で伝達されている間、エバネッセント波の経路上の電磁(EM)近接場に配置されるメタマテリアル、たとえば、負屈折率材料(NIM:negative index material)及び/又は単一負性(SNG:signal−negative)メタマテリアルが、エバネッセント波の振幅を増大させ、このため、エネルギー伝達の効率を最適にするという認識に基づいている。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態によるシステム200を示している。このシステムは、エネルギーを無線で交換する、たとえば送信又は受信するように構成され、電磁(EM)非放射構造体210を備える。この構造体210は、エネルギーがこの構造体によって受信されると電磁近接場220を生成すると共に、エバネッセント波の結合を介してエネルギーを無線で交換するように構成される寸法211、たとえば直径を有する。
【0020】
エネルギーのほとんどは、反応性であり、送信機又は共振器内に閉じ込められ、このエネルギーのわずかな部分のみが遠距離場へ放射することができる(通常10パーセント未満)。
【0021】
この実施の形態では、エネルギー260は、従来技術において既知のドライバ(図示せず)によって供給される。この実施の形態では、構造体210は、無線エネルギー伝達システムのソースとしての役割を果たす。代替的な実施の形態では、エネルギー260は、ソース(図示せず)から無線で供給される。その実施の形態では、構造体210は、無線エネルギー伝達システムのシンクとしての役割を果たす。
【0022】
システム200は、近接場220内に配置されるメタマテリアル230をさらに備える。メタマテリアルは、負誘電率及び/又は負透磁率特性を有する材料である。この材料に関して、いくつかの特異な現象、たとえばエバネッセント波増幅、表面プラズモンのような挙動、及び負の屈折が知られている。本発明の実施の形態は、メタマテリアルの特異な能力を理解及び利用してエバネッセント波を増幅したものである。これによって無線エネルギー伝達が最適化される。
【0023】
エネルギー260が構造体210によって受信されると、EM構造体の周りの実質的に全ての方向にRM近接場が生成される。近接場は、遠距離場と対称をなす。構造体が非放射であるため、エネルギーのほとんどが近接場内に閉じ込められ、エネルギーの10%未満の小さな部分のみが遠距離場に放射される。
【0024】
近接場内で、この近接場の形状及び寸法は、外部エネルギー260の周波数、及びEM構造体210の共振周波数に依拠する。EM構造体210の共振周波数は、部分的に、EM構造体、たとえば円形形状、螺旋形状、円筒形状によって、並びに導電率、比誘電率、及び比透磁率のようなEM構造体の材料のパラメーターによって決まる。この実施の形態では、放射に起因するエネルギーの損失を最小にするために、構造体のサイズは、システムの主波長の長さよりもはるかに小さく、たとえばこの長さよりも100倍小さい。
【0025】
通常、近接場の範囲270は、システムの主波長の長さの数分の1、たとえばこの長さの1/4又は1/10である。非共振システムでは、主波長は、外部エネルギー260の周波数、すなわち波長λ265によって決まる。共振システムでは、主波長は、EM構造体の共振周波数によって決まる。通常、主波長は、無線で交換されるエネルギーの周波数によって決まる。
【0026】
共振は、品質係数(Q値)、すなわち蓄積エネルギーと散逸エネルギーとの無次元の比によって特徴付けられる。システム200の目的は、エネルギーを無線で伝達又は受信することであるため、ドライバの周波数又は共振周波数は、たとえば近接場領域の寸法を増大するように選択される。いくつかの実施の形態では、エネルギー260の周波数及び/又は共振周波数は、MHzからGHzの域にある。他の実施の形態では、上述の周波数は、光領域にある。
【0027】
エバネッセント波
エバネッセント波は、この波が形成された境界からの距離と共に強度が指数関数的に減衰する近接場定常波である。エバネッセント波250は、構造体210と、波の動きに関して異なる特性を有する他の「媒体」、たとえば空気との間の境界において形成される。エバネッセント波は、外部エネルギーがEM構造体によって受信されるときに形成され、EM構造体210の表面からの近接場の波長の3分の1内において最も強力である。
【0028】
以下で説明する実施の形態に加えて、システム200の多数の異なる構成が可能であることを理解されたい。たとえば、この実施の形態では、システム200は、エネルギーをソースから無線で受信するように構成されるシンクである。別の実施の形態では、システム200は、エネルギーをシンクに無線で送信するように構成されるソースである。さらに別の実施の形態では、システム200は、複数のシンクに同時にエネルギーを伝達するように構成されるソースである。
【0029】
いくつかの実施の形態では、システム200の動作中に、構造体210は、ソース又はシンクのいずれであるかに関わらず、エバネッセント波を放出するのと同時にエバネッセント波251を受信する。メタマテリアル230は、少なくとも1つのエバネッセント波250又は251の経路上に配置される。伝達されるエネルギー又は受信されるエネルギーの所望の方向が知られている場合、メタマテリアル、たとえばメタマテリアル230又はNIM231は、エネルギー交換の所望の方向に基づいて最適に配置される。
【0030】
他の実施の形態では、複数のメタマテリアルがエバネッセント波の経路上に、この波の振幅を最大にするように最適に配置される。
【0031】
図2Aは、本発明の別の実施の形態によるシステム300を示している。システム300は、共振結合システムであり、ソース310の近接場内でエバネッセント波330の経路上に配置される少なくとも1つのメタマテリアル230を含む。エネルギー260は、ドライバ140によってシステム300に提供され、ソース310によってエバネッセント波330を介してシンク320に無線で送信され、負荷150によって消費される。この実施の形態では、負荷は、プロセッサを含む。
【0032】
システム300の変形形態では、メタマテリアル230は、シンク320よりもソースの近くに配置される。別の変形形態では、メタマテリアル231は、ソースよりもシンクの近くに配置される。さらに別の変形形態では、複数のメタマテリアル230及び231がエバネッセント波330の経路上に配置され、それによって、エバネッセント波は、結合中、複数のメタマテリアル内の各メタマテリアルを通じて進む。通例、メタマテリアルは、無線エネルギー伝達の間、ソースとシンクとの間のエバネッセント波結合を最適にするように配置される。この実施の形態では、メタマテリアルは、このメタマテリアルと構造体との間の距離がこのメタマテリアルの寸法に比例するように配置される。典型的には、メタマテリアルの寸法が小さいほど、このメタマテリアルは、EM構造体の近くに配置される。
【0033】
システム300の変形形態は、ジョアノプロス(Joannopoulos)他によって2006年7月5日に出願され、2010年2月3日に許可された、米国特許出願第2007/0222542号に記載されているシステムを改善したものである。この実施の形態の電磁エネルギー伝達システムは、共振周波数ω1、損失率Γ1、及び第1のQ値Q1=ω1/(2Γ1)を有する第1のモードを有する第1の共振器構造体310と、第1の共振器構造体から遠位に位置決めされ、第1の共振器構造体に電気的に配線されていない第2の共振器構造体320とを備える。第2の共振器構造体は、共振周波数ω2、固有損失率Γ2、及び第2のQ値Q2=ω2/(2Γ2)を有する第2のモードを有する。
【0034】
第1の共振器構造体は、共振周波数ω1及びω2にそれぞれ対応する共振波長λ1及びλ2のそれぞれよりも小さい距離Dにわたって電磁エネルギーを第2の共振器構造体に伝達する。さらに、共振器構造体は、100よりも大きい第1のQ値及び第2のQ値の値、すなわちQ1>100及びQ2>100を有するように設計される。
【0035】
ジョアノプロスによって記載されているシステムに勝るこの実施の形態の主な改善点のうちの1つは、第1の共振器構造体が、メタマテリアルを通じて第2の共振器構造体に、距離Dにわたって電磁エネルギーを伝達するような、第1の共振器構造体と第2の共振器構造体との間のメタマテリアル230の配置である。ここで、距離Dは、共振周波数ω1及びω2にそれぞれ対応する共振波長λ1及びλ2のそれぞれよりも小さい。
【0036】
この実施の形態の異なる変形形態では、Q値の値は、200より大きいか、500より大きいか、又は1000より大きい。付加的に又は代替的に、2つの周波数ω1及びω2は、Γ1及びΓ2のより小さい方の範囲内に近接している。付加的に又は代替的に、メタマテリアルの異なる数、タイプ、及び/又は配置が使用される。
【0037】
エバネッセント波結合
エバネッセント波結合は、電磁波がエバネッセントの、指数関数的に減衰する電磁場によって1つの媒体から別の媒体に送信されるプロセスである。
【0038】
結合は、通常、2つ以上の電磁素子、すなわちソース及びシンクを、このソースによって生成されるエバネッセント波がシンクに到達する前にあまり減衰しないように、互いに或る距離Dで置くことによって達成される。シンクが適切な周波数のモードをサポートする場合、エバネッセント場によって波モードの伝播が生じ、それによって波が1つの導波路から次の導波路へつながる(すなわち結合される)。
【0039】
エバネッセント波結合は、電磁場理論における近接場結合と基本的に同一である。放射源素子のインピーダンスに依拠して、エバネッセント波は、主に電気(容量性)であるか又は主に磁気(誘導性)であるかのいずれかであり、これらの波の成分が最終的に自由空間のインピーダンスの比に達し、波が放射的に伝播する遠距離場とは異なる。エバネッセント波結合は、各媒体の近くの非放射場内で発生するため、部分的に反射する表面内の物質(matter)、すなわち誘導電流及び電荷と常に関連付けられる。
【0040】
図2Bは、NIMを用いない場合のエバネッセント波結合を示し、図2Cは、NIMを用いる場合のエバネッセント波結合を示している。エネルギーがソースに供給されると、近接場が生成される。放射損失及び誘電損失は、エネルギーの部分を消費するが、放射が強力でない場合、エネルギーのほとんどは、ソースに反射されて戻る。しかしながら、シンクがソースの十分近くに配置される場合、すなわちソースから距離D離れて配置される場合、エバネッセント波331及び/又は330は、ソースとシンクとの間で結合され、それによってエネルギーがソースからシンクに伝達される。図2Bに示すように、NIMを用いない場合、エネルギーは、ソース及びシンクのエバネッセント波の結合を通じて伝達される。
【0041】
しかしながら、ソース及びシンクの結合中、メタマテリアルがソース及び/又はシンクによって生成された近接場内に配置される場合、図2Cに示すように、エバネッセント波の振幅は、波がメタマテリアルを通じて進むときに増大される(370)。このため、エバネッセント波結合が強化されると共にエネルギーがより効率的に伝達され、かつ/又はソースとシンクとの間の距離Dが増大する。
【0042】
図3は、本発明の別の実施の形態によるシステム400を示している。システム400は、非共振システムである。非共振システムは、共振システムとは対照的に、ソース410及びシンク420が異なる共振周波数を有するように設計される。たとえば、システム400の変形形態では、ソース及びシンクの双方が異なる共振周波数を有する共振構造体である。別の変形形態では、シンク420は、非共振構造体、たとえば負荷450である。別の変形形態では、ソース410は、非共振構造体、たとえばドライバ440である。
【0043】
図4は、本発明のさらに別の実施の形態によるシステム500を示している。この実施の形態では、EM構造体の材料自体がメタマテリアルを含む。たとえば、この実施の形態の変形形態では、ソース510は、メタマテリアルから作製される。他の変形形態では、シンク520並びに/又はシンク及びソースの双方がメタマテリアルから作製される。異なる変形形態では、ソース及びシンクは、同じメタマテリアル又は異なるメタマテリアルから作製される。この実施の形態のさらに別の変形形態では、EM構造体に含まれるメタマテリアルに加えて、第2のメタマテリアル231がエバネッセント波530の経路上に位置決めされる。
【0044】
図5は、本発明のさらに別の実施の形態によるシステム600を示している。この実施の形態では、メタマテリアル640は、実質的にEM構造体610を取り囲む。たとえば、この実施の形態の変形形態では、ソース610は、円筒形状を有し、メタマテリアルは、直径がわずかに大きい同様の円筒形状を有する。他の変形形態では、シンク620並びに/又はシンク及びソースの双方がメタマテリアルに取り囲まれる。この実施の形態の別の変形形態では、メタマテリアル640に加えて、第2のメタマテリアル231がエバネッセント波630の経路上に位置決めされる。この実施の形態は、多方向のエネルギーが交換される用途、又は方向が事前に知られていない用途において特に有利である。
【0045】
図9の表は、異なる無線エネルギー伝達システムに関して計算される結合係数を示している。結合係数は、2つのEM構造体間の結合の強度の基準であり、これらのEM構造体間でエネルギー伝達が発生する率を定量化する。図5に基づいて、本発明の実施の形態によって結合係数が増大し、このためシステムの効率が増大することは、明らかである。たとえば、メタマテリアルの単一のブロックによって、1つのシステム内の結合係数が3.88e4から7.60e4に増大する。メタマテリアルの2つのブロックによって、結合係数が14.8e4にさらに増大する。
【0046】
本発明の実施の形態を、無線エネルギー伝達を必要とするさまざまな用途、システム、及び装置、たとえば自動車、移動通信機、ラップトップ、オーディオ/ビデオ装置において使用することができる。
【0047】
図6は、エネルギーを、エレベーターカー及び電気車両のような移動装置にエネルギーを無線で供給するためのシステム700を示している。この実施の形態では、ケーブルを有しないエレベーターカー750、すなわち負荷が、導波路760からエネルギーを無線で受信するように構成されるアンテナ720、すなわちシンクに接続される。導波路は、昇降路に設置され、ドライバ710からエネルギーを受信する。ドライバは、電力網に接続され、エネルギーを導波路に、たとえば誘導的に供給することができる。導波路は、電磁エバネッセント波を生成するように構成される。たとえば、この実施の形態では、導波路は、導線を介して実装される。別の実施の形態では、導波路の一方の側は、エバネッセント波が導波路の表面を出ることを可能にする穿孔又はスロット780を有する。
【0048】
メタマテリアル730は、シンクと導波路の間に配置され、たとえばアンテナ720に固定され、アンテナが移動されると、それに応じてメタマテリアルは移動される。メタマテリアルは、導波路のエネルギー伝達エリア765から放出されるエバネッセント波がメタマテリアルを通じてアンテナに到達するように位置決めされる。乗りかごが牽引機構760によって移動されると、それに従ってエネルギー伝達エリアが調整される。
【0049】
アンテナ720及びメタマテリアル730は、システム200を形成する。エレベーター用乗りかご、電気自動車、及び携帯電話のような少なくとも1自由度を有する装置に接続される場合、システム200は、それらの装置が無線であるが効率的にエネルギーを受信することを可能にする。
【0050】
負屈折率材料(NIM)
本発明のいくつかの実施の形態は、メタマテリアルとしてNIMを使用する。NIMは、負誘電率特性ε及び負透磁率特性μを有する人工材料である。ソースとシンクとの間のエバネッセント波は、エネルギー伝達を最適化したNIMを通じて伝播する間、増幅される。
【0051】
いくつかの実施の形態では、システムにおいて使用されるNIMは、ε=−1、μ=−1の電磁特性を有する。エバネッセント波がNIMを通じて伝播するとき、NIMのインピーダンスは、自由空間インピーダンスと整合され、NIMと自由空間との界面において反射が発生せず(これは、電力送信には不可欠である)、エバネッセント波がNIMを通じて増幅される。
【0052】
他の実施の形態では、NIMは、負値の誘電率特性ε及び負値の透磁率特性μを有するが、厳密に−1ではない。これらの実施の形態では、エネルギー及びEM場強度を蓄える間、NIMと、空気、ガス、又は真空のような他の媒体との間の界面に表面プラズモンが励起される。NIMは、通常、部分的に誘電損失、そして部分的に分散損失による材料損失を伴う。材料損失は、NIMを通じた伝播中、エバネッセント波増幅を減少させる。しかしながら、表面波は励起され、エネルギーは、NIMと他の媒体との界面において蓄えられる。この特性は、エバネッセント波伝播を延ばし、ソースとシンクとの間のエネルギー結合を最適化する。
【0053】
NIMを設計する多数の異なる方法が存在する。たとえば、金属線構造体を有する分割リング共振器(SPR:split ring resonator)は、NIMの人工材料設計の一例である。SPR及び誘導性・容量性(LC(inductive−capacitive))共振器は、NIM設計の別の例である。本発明の実施の形態は、エバネッセント波強化の目的を満たす任意のタイプのNIMを使用する。この実施の形態では、システムは、共振システムであり、NIMは、システムの共振周波数において、−1に等しい屈折率を有する。
【0054】
図7は、約8MHzで共振する容量装荷型ループ共振システム800におけるNIMの適用例を示している。容量装荷型ループ810は、システム800のソースとしての役割を果たす。容量装荷型ループは、30cmの半径815、及び2cmの銅線断面半径817、及び誘電率特性ε=10の138cm2の容量誘電ディスクエリア819を有する。エネルギーは、エバネッセント波の形式でLCループの近距離に閉じ込められる。
【0055】
50オームの負荷を有する金属ループ構造体820がシステムのドライバである。同様に、240オームの負荷を有する金属ループ830がシステムの負荷である。NIM840は、ソースの近接場において、ソースと負荷との間に配置される。ドライバ及び負荷の半径822は、20cmである。ドライバは、ソース824から20cmの距離に配置され、このソースと誘導結合される。
【0056】
近接場におけるNIMの配置は、特にドライバ及び負荷におけるインピーダンスを変更して最大電力伝達効率を達成する必要がある場合、ドライバ及び負荷の設計に依拠する。
【0057】
最大結合強化を得るために、エネルギー伝達フィールドに対するNIMの物理的な断面サイズ、厚さ、及び位置を、システムの要素、たとえばソース、シンク、ドライバ、及び負荷、並びにシステムが位置する環境の構成に従って最適化する必要がある。この実施の形態では、最適化は、コンピューターモデリングを通じて又は実験的に達成され、最大電力伝達を可能にする最良のインピーダンス整合が可能になる。
【0058】
図8は、エネルギー伝達の効率を、NIMを用いる場合の周波数及びNIMを用いない場合の周波数の関数として比較するグラフである。図示されるように、NIMを含むシステムの効率920は、NIMを用いない対応するシステムの効率910よりも3倍大きい。
【0059】
厳密な電磁特性を有するNIM材料は、単一の周波数においてのみ発生する。これは、厳密な材料特性ε=−1、μ=−1が、f=8MHzのような1つの周波数においてのみ発生することを意味する。しかしながら、NIMは、共振周波数の約5〜10%の帯域幅において負電磁特性を示す。NIMが10MHzで動作するように設計されるシステムにでは、誘電率及び透磁率が負となる10MHzの周りで約0.5MHz〜1MHzの帯域幅が達成される。この帯域幅において、NIMの負のEM特性周波数範囲が共振成分の共振周波数点をカバーする場合、結合及び電力伝達効率を強化するために、無線電力伝達システムにおいてNIMが利用される。
【0060】
単一負性(SNG)メタマテリアル
本発明の幾つかの実施の形態は、メタマテリアルとして単一負性(SNG)メタマテリアルを使用する。SNGメタマテリアルは、負誘電率のみを有する、すなわちε<0、μ>0であるか、又は負透磁率のみを有する、すなわちε>0、μ<0であるメタマテリアルである。より詳細には、ε<0、μ>0を有するメタマテリアルは、ε負性(ENG)メタマテリアルであり、ε>0、μ<0を有するメタマテリアルは、μ負性(MNG)メタマテリアルである。
【0061】
この実施の形態の変形形態では、システム200の寸法211は、波長265よりも小さく、それによって構造体のEM遠距離場放射は無視され、電場及び磁場は、互いに独立している。電場及び磁場が独立していることによって、近接場の電気ドミナント又は磁気ドミナントを別個に使用することが可能になる。電気ドミナントを有する近接場の場合、負誘電率εのみを有するメタマテリアルがエバネッセント波を強化するのに使用される。磁気ドミナントを有する近接場の場合、負透磁率μのみを有するメタマテリアルがエバネッセント波を強化するのに使用される。
【0062】
したがって、いくつかの実施の形態では、エバネッセント結合を強化するように構成されるSNG材料のタイプが、結合のタイプに基づいて選択される。たとえば、この実施の形態では、結合は、電気ドミナント結合であり、SNGメタマテリアルは、ENGメタマテリアルである。別の実施の形態では、結合は、磁気ドミナント結合であり、SNGメタマテリアルは、MNGメタマテリアルである。
【0063】
メタマテリアルは、分散性であり、材料損失を有する。これは、無線エネルギー伝達中のエバネッセント波の強化に影響を与える。NIMは、通常、共振構造体の2つのセットを含む。一方は、負誘電率(ε<0)を与えるためのものであり、他方は、負透磁率(μ<0)を与えるためのものである。構造体の2つのセットは、メタマテリアルの損失及び分散に寄与する。また、それらの構造体は、ε<0領域及びμ<0領域が互いに同時発生し、負の屈折率を与えるように設計される必要があるため、NIMの設計は、比較的複雑である。
【0064】
SNGメタマテリアルの場合、ε<0特性又はμ<0特性を達成するために人工構造体の1つのセットしか必要とされない。SNGメタマテリアルには、NIMに勝る重要な利点が存在する。第1に、SNGメタマテリアルの設計は、より単純である。第2に、SNGメタマテリアルの製造プロセスは、より単純である。第3に、SNGメタマテリアルに関連付けられる損失は、典型的に、NIMに関連付けられる損失よりも小さい。通常、SNGメタマテリアルを用いた無線エネルギー伝達システムの性能は、NIMを用いたシステムの性能よりも良好である。
【0065】
図10は、本発明の実施の形態による無線エネルギー伝達システム1100の例を示している。ソース1110及びシンク1120は、銅線から作製された同一の自己共振コイルである。このコイルの半径は、30cmであり、銅線の半径は、5mmである。各コイルは、そのような銅線を5.25回巻いたものから構成され、20cmにわたって延びる。コイルの共振周波数は、約10MHzである。2つのコイル間の距離は、2mである。
【0066】
半径が20cmに等しい2つの金属ループは、ドライバ1150及び負荷1160である。2つの小さな金属ループの位置は、インピーダンス整合及び無線エネルギー伝達効率を最適化するように調整される。システムにおいて、2つのメタマテリアルスラブ1130及び1140が性能を改善するために使用される。メタマテリアルは、半径40cm及び高さ4cmの円筒形状である。様々なシステムの最適化された伝達効率がソフトウェアによって計算され、比較される。
【0067】
図11は、エネルギー伝達システムの効率を比較するグラフであり、すなわち、メタマテリアルを用いないシステムの場合の効率1210と、パラメーターε=−1+0.001i、μ=−1+0.001i(NIM)のメタマテリアルを用いるシステムの場合の効率1220と、パラメーターε=1、μ=−1+0.001i(MNGメタマテリアル)のメタマテリアルを用いるシステムの場合の効率1230とを比較する。
【0068】
グラフによって示されているように、メタマテリアルを用いないシステムは、約33%のピーク効率を有する。NIMを用いるシステムは、約40%のより高いピーク効率を有する。MNGメタマテリアルを用いるシステムのピーク効率は、約50%までさらに増大される。比較すると、NIM及びMNGメタマテリアルの双方がシステムの伝達効率を改善している。NIMは、誘電率及び透磁率の双方において損失を有するが、SNGメタマテリアルは、誘電率又は透磁率のみにおいて損失を有する。この利点を有するため、SNGメタマテリアルを用いる場合により高い効率が達成される。
【0069】
本発明を好ましい実施の形態の例として説明してきたが、本発明の精神及び範囲内で様々な他の適応及び変更を行うことができることは理解されたい。したがって、添付の特許請求の範囲の目的は、本発明の真の精神及び範囲内に入るすべての変形及び変更を包含することである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギーを無線で交換するように構成されるシステムであって、
エバネッセント波の結合を介して前記エネルギーを無線で交換するように構成される構造体であって、前記構造体は、電磁的(EM)であると共に非放射であり、前記構造体は、前記エネルギーの受信に応答してEM近接場を生成する、構造体と、
前記エバネッセント波の振幅が増大されるように前記EM近接場内に配置されるメタマテリアルと、
を備えるエネルギーを無線で交換するように構成されるシステム。
【請求項2】
前記構造体は、前記エネルギーをシンクに伝達するように構成されるソースであり、
前記システムは、
前記エネルギーを前記構造体に供給するように構成されるドライバをさらに備える、
請求項1に記載のエネルギーを無線で交換するように構成されるシステム。
【請求項3】
前記構造体は、前記エネルギーをソースから無線で受信するように構成されるシンクであり、
前記システムは、
前記エネルギーを前記構造体から受信するように構成される負荷をさらに備える、
請求項1に記載のエネルギーを無線で交換するように構成されるシステム。
【請求項4】
前記構造体の寸法は、前記エバネッセント波の波長よりも小さい、請求項1に記載のエネルギーを無線で交換するように構成されるシステム。
【請求項5】
前記構造体は、共振構造体である、請求項1に記載のエネルギーを無線で交換するように構成されるシステム。
【請求項6】
前記メタマテリアルは、前記エネルギー伝達の所望の方向に基づいて最適に配置される、請求項1に記載のエネルギーを無線で交換するように構成されるシステム。
【請求項7】
前記メタマテリアルは、たとえば前記構造体を取り囲むように配置される、請求項1に記載のエネルギーを無線で交換するように構成されるシステム。
【請求項8】
前記エバネッセント波が、前記結合中、複数のメタマテリアルにおける各メタマテリアルを通じて進むように、前記複数のメタマテリアルが前記エバネッセント波の経路上に配置される、請求項1に記載のエネルギーを無線で交換するように構成されるシステム。
【請求項9】
前記メタマテリアルは、負誘電率特性及び正透磁率特性を有する、請求項1に記載のエネルギーを無線で交換するように構成されるシステム。
【請求項10】
前記メタマテリアルは、正誘電率特性及び負透磁率特性を有する、請求項1に記載のエネルギーを無線で交換するように構成されるシステム。
【請求項11】
エバネッセント波の結合を介して電磁エネルギーを無線で伝達する方法であって、
前記結合が強化されるように、メタマテリアルを使用して前記エバネッセント波の振幅を増大させるステップ
を含むエバネッセント波の結合を介して電磁エネルギーを無線で伝達する方法。
【請求項12】
共振周波数ω1、固有損失率Γ1、及び第1のQ値Q1=ω1/(2Γ1)を有する第1のモードを有する第1の共振器構造体を提供するステップであって、前記第1の共振器構造体は、電磁的であり、Q1>100を有するように設計される、第1の共振器構造体を提供するステップと、
前記第1の共振器構造体から遠位に位置決めされ、前記第1の共振器構造体に電気的に配線されていない第2の共振器構造体を提供するステップであって、前記第2の共振器構造体は、共振周波数ω2、固有損失率Γ2、及び第2のQ値Q2=ω2/(2Γ2)を有する第2のモードを有し、前記第2の共振器構造体は、電磁的であり、Q2>100を有するように設計される、第2の共振器構造体を提供するステップと、
前記メタマテリアルを前記第1の共振器構造体と前記第2の共振器構造体との間に配置するステップと、
前記第1の共振器構造体から前記メタマテリアルを通じて前記第2の共振器構造体に、距離Dにわたって前記電磁エネルギーを伝達するステップであって、前記距離Dは、共振周波数ω1及びω2にそれぞれ対応する共振波長λ1及びλ2のそれぞれよりも小さい、伝達するステップと、
をさらに含む、請求項11に記載のエバネッセント波の結合を介して電磁エネルギーを無線で伝達する方法。
【請求項13】
前記メタマテリアルは、正誘電率特性及び負透磁率特性を有する、請求項11に記載のエバネッセント波の結合を介して電磁エネルギーを無線で伝達する方法。
【請求項14】
前記メタマテリアルは、負誘電率特性及び正透磁率特性を有する、請求項11に記載のエバネッセント波の結合を介して電磁エネルギーを無線で伝達する方法。
【請求項15】
前記メタマテリアルは、負誘電率特性及び負透磁率特性を有する、請求項11に記載のエバネッセント波の結合を介して電磁エネルギーを無線で伝達する方法。
【請求項16】
前記構造体の寸法は、前記エバネッセント波の波長よりも小さい、請求項11に記載のエバネッセント波の結合を介して電磁エネルギーを無線で伝達する方法。
【請求項17】
電磁エネルギーを無線で交換するように構成されるシステムであって、
共振周波数ω1、固有損失率Γ1、及び第1のQ値Q1=ω1/(2Γ1)を有する第1のモードを有する第1の共振器構造体であって、前記第1の共振器構造体は、電磁的であり、Q1>100を有するように設計される、第1の共振器構造体と、
前記第1の共振器構造体から遠位に位置決めされ、前記第1の共振器構造体に電気的に配線されていない第2の共振器構造体であって、前記第2の共振器構造体は、共振周波数ω2、固有損失率Γ2、及び第2のQ値Q2=ω2/(2Γ2)を有する第2のモードを有し、前記第2の共振器構造体は、電磁的であり、Q2>100を有するように設計される、第2の共振器構造体と、
前記第1の共振器構造体と前記第2の共振器構造体との間に配置されるメタマテリアルであって、前記第1の共振器構造体は、前記メタマテリアルを通じて前記第2の共振器構造体に、距離Dにわたって前記電磁エネルギーを伝達し、距離Dは、共振周波数ω1及びω2にそれぞれ対応する共振波長λ1及びλ2のそれぞれよりも小さい、メタマテリアルと、
を備える電磁エネルギーを無線で交換するように構成されるシステム。
【請求項18】
前記第1の共振器構造体は、エバネッセント波の結合を介して前記電磁エネルギーを伝達し、前記構造体の寸法は、前記共振波長λ1及びλ2のそれぞれよりも小さく、前記メタマテリアルは、単一負性(SNG)メタマテリアルである、請求項17に記載の電磁エネルギーを無線で交換するように構成されるシステム。
【請求項19】
前記結合は、電気ドミナント結合であり、前記SNGメタマテリアルは、ε負性(ENG)メタマテリアルであり、εは、前記メタマテリアルの誘電率特性である、請求項18に記載の電磁エネルギーを無線で交換するように構成されるシステム。
【請求項20】
前記結合は、磁気ドミナント結合であり、前記SNGメタマテリアルは、μ負性(MNG)メタマテリアルであり、μは、前記メタマテリアルの透磁率特性である、請求項18に記載の電磁エネルギーを無線で交換するように構成されるシステム。
【請求項1】
エネルギーを無線で交換するように構成されるシステムであって、
エバネッセント波の結合を介して前記エネルギーを無線で交換するように構成される構造体であって、前記構造体は、電磁的(EM)であると共に非放射であり、前記構造体は、前記エネルギーの受信に応答してEM近接場を生成する、構造体と、
前記エバネッセント波の振幅が増大されるように前記EM近接場内に配置されるメタマテリアルと、
を備えるエネルギーを無線で交換するように構成されるシステム。
【請求項2】
前記構造体は、前記エネルギーをシンクに伝達するように構成されるソースであり、
前記システムは、
前記エネルギーを前記構造体に供給するように構成されるドライバをさらに備える、
請求項1に記載のエネルギーを無線で交換するように構成されるシステム。
【請求項3】
前記構造体は、前記エネルギーをソースから無線で受信するように構成されるシンクであり、
前記システムは、
前記エネルギーを前記構造体から受信するように構成される負荷をさらに備える、
請求項1に記載のエネルギーを無線で交換するように構成されるシステム。
【請求項4】
前記構造体の寸法は、前記エバネッセント波の波長よりも小さい、請求項1に記載のエネルギーを無線で交換するように構成されるシステム。
【請求項5】
前記構造体は、共振構造体である、請求項1に記載のエネルギーを無線で交換するように構成されるシステム。
【請求項6】
前記メタマテリアルは、前記エネルギー伝達の所望の方向に基づいて最適に配置される、請求項1に記載のエネルギーを無線で交換するように構成されるシステム。
【請求項7】
前記メタマテリアルは、たとえば前記構造体を取り囲むように配置される、請求項1に記載のエネルギーを無線で交換するように構成されるシステム。
【請求項8】
前記エバネッセント波が、前記結合中、複数のメタマテリアルにおける各メタマテリアルを通じて進むように、前記複数のメタマテリアルが前記エバネッセント波の経路上に配置される、請求項1に記載のエネルギーを無線で交換するように構成されるシステム。
【請求項9】
前記メタマテリアルは、負誘電率特性及び正透磁率特性を有する、請求項1に記載のエネルギーを無線で交換するように構成されるシステム。
【請求項10】
前記メタマテリアルは、正誘電率特性及び負透磁率特性を有する、請求項1に記載のエネルギーを無線で交換するように構成されるシステム。
【請求項11】
エバネッセント波の結合を介して電磁エネルギーを無線で伝達する方法であって、
前記結合が強化されるように、メタマテリアルを使用して前記エバネッセント波の振幅を増大させるステップ
を含むエバネッセント波の結合を介して電磁エネルギーを無線で伝達する方法。
【請求項12】
共振周波数ω1、固有損失率Γ1、及び第1のQ値Q1=ω1/(2Γ1)を有する第1のモードを有する第1の共振器構造体を提供するステップであって、前記第1の共振器構造体は、電磁的であり、Q1>100を有するように設計される、第1の共振器構造体を提供するステップと、
前記第1の共振器構造体から遠位に位置決めされ、前記第1の共振器構造体に電気的に配線されていない第2の共振器構造体を提供するステップであって、前記第2の共振器構造体は、共振周波数ω2、固有損失率Γ2、及び第2のQ値Q2=ω2/(2Γ2)を有する第2のモードを有し、前記第2の共振器構造体は、電磁的であり、Q2>100を有するように設計される、第2の共振器構造体を提供するステップと、
前記メタマテリアルを前記第1の共振器構造体と前記第2の共振器構造体との間に配置するステップと、
前記第1の共振器構造体から前記メタマテリアルを通じて前記第2の共振器構造体に、距離Dにわたって前記電磁エネルギーを伝達するステップであって、前記距離Dは、共振周波数ω1及びω2にそれぞれ対応する共振波長λ1及びλ2のそれぞれよりも小さい、伝達するステップと、
をさらに含む、請求項11に記載のエバネッセント波の結合を介して電磁エネルギーを無線で伝達する方法。
【請求項13】
前記メタマテリアルは、正誘電率特性及び負透磁率特性を有する、請求項11に記載のエバネッセント波の結合を介して電磁エネルギーを無線で伝達する方法。
【請求項14】
前記メタマテリアルは、負誘電率特性及び正透磁率特性を有する、請求項11に記載のエバネッセント波の結合を介して電磁エネルギーを無線で伝達する方法。
【請求項15】
前記メタマテリアルは、負誘電率特性及び負透磁率特性を有する、請求項11に記載のエバネッセント波の結合を介して電磁エネルギーを無線で伝達する方法。
【請求項16】
前記構造体の寸法は、前記エバネッセント波の波長よりも小さい、請求項11に記載のエバネッセント波の結合を介して電磁エネルギーを無線で伝達する方法。
【請求項17】
電磁エネルギーを無線で交換するように構成されるシステムであって、
共振周波数ω1、固有損失率Γ1、及び第1のQ値Q1=ω1/(2Γ1)を有する第1のモードを有する第1の共振器構造体であって、前記第1の共振器構造体は、電磁的であり、Q1>100を有するように設計される、第1の共振器構造体と、
前記第1の共振器構造体から遠位に位置決めされ、前記第1の共振器構造体に電気的に配線されていない第2の共振器構造体であって、前記第2の共振器構造体は、共振周波数ω2、固有損失率Γ2、及び第2のQ値Q2=ω2/(2Γ2)を有する第2のモードを有し、前記第2の共振器構造体は、電磁的であり、Q2>100を有するように設計される、第2の共振器構造体と、
前記第1の共振器構造体と前記第2の共振器構造体との間に配置されるメタマテリアルであって、前記第1の共振器構造体は、前記メタマテリアルを通じて前記第2の共振器構造体に、距離Dにわたって前記電磁エネルギーを伝達し、距離Dは、共振周波数ω1及びω2にそれぞれ対応する共振波長λ1及びλ2のそれぞれよりも小さい、メタマテリアルと、
を備える電磁エネルギーを無線で交換するように構成されるシステム。
【請求項18】
前記第1の共振器構造体は、エバネッセント波の結合を介して前記電磁エネルギーを伝達し、前記構造体の寸法は、前記共振波長λ1及びλ2のそれぞれよりも小さく、前記メタマテリアルは、単一負性(SNG)メタマテリアルである、請求項17に記載の電磁エネルギーを無線で交換するように構成されるシステム。
【請求項19】
前記結合は、電気ドミナント結合であり、前記SNGメタマテリアルは、ε負性(ENG)メタマテリアルであり、εは、前記メタマテリアルの誘電率特性である、請求項18に記載の電磁エネルギーを無線で交換するように構成されるシステム。
【請求項20】
前記結合は、磁気ドミナント結合であり、前記SNGメタマテリアルは、μ負性(MNG)メタマテリアルであり、μは、前記メタマテリアルの透磁率特性である、請求項18に記載の電磁エネルギーを無線で交換するように構成されるシステム。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−205881(P2011−205881A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−32842(P2011−32842)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(597067574)ミツビシ・エレクトリック・リサーチ・ラボラトリーズ・インコーポレイテッド (484)
【住所又は居所原語表記】201 BROADWAY, CAMBRIDGE, MASSACHUSETTS 02139, U.S.A.
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32842(P2011−32842)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(597067574)ミツビシ・エレクトリック・リサーチ・ラボラトリーズ・インコーポレイテッド (484)
【住所又は居所原語表記】201 BROADWAY, CAMBRIDGE, MASSACHUSETTS 02139, U.S.A.
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