説明

エネルギー伝達機およびエネルギー伝達方法

温度差から電力を生成する新しいエンジンである。このエンジンは、付加的に、低コスト、高効率、低騒音動作、部材の摩擦の抑制、および低品質熱源からの電力発生能または冷却能を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー伝達の技術分野に関し、特に、低温サイクルエンジン、および加熱冷却ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
スターリンエンジンのような従来のヒートエンジンは、外部熱源から電力を生成することができる。熱源は、工場生産プロセスからの廃熱などの場合、低コストまたは無料である場合があるが、スターリンサイクル自身には、重厚で高価なエンジンが必要となり、多くの用途において、コストおよび重量的に実現できなくなる結果となる。スターリンエンジンの別の限界は、エンジンの各サイクルにおいて、作動流体が加熱および冷却される必要があることである。このため、エンジンの作動速度が限定されるとともに、高精度の熱交換器が必要となる。
【0003】
スチームエンジンのような、ランキンサイクルを使用する、従来の別のヒートエンジンでは、エンジンの作動中、エンジン内に相が変化するような作動流体が必要となる。水のような特定の作動流体の場合、ランキンサイクルの間、流体を蒸気に変化させるため、エンジンには、作動流体の沸点、すなわち、水の場合100℃を超える温度の熱源が必要となる。ランキンサイクルは、熱源の温度が時間とともに変化するような用途、あるいはエンジンの作動に、わずかの温度変動しか利用することができない用途では、実施が簡単ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明では、エネルギー伝達機およびエネルギー伝達方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ある実施例では、密閉ループを形成し、圧縮可能流体を収容する通路を有するエネルギー伝達機が提供され、前記圧縮可能流体は、通常の作動条件の間、少なくとも一部は、大気圧を超える圧力である。圧縮可能流体は、密閉ループ内で一定の相を有する。密閉ループには、圧力変位結合化インターフェースが設けられ、これは、密閉ループを第1のエネルギー伝達回路および第2のエネルギー伝達回路に分割する。作動時には、第1のエネルギー伝達回路および第2のエネルギー伝達回路は、異なる圧力を有し、一方は、他方よりも高い圧力となる。作動時間に応じて、この圧力差は、反転される。第1のエネルギー伝達回路上の第1の流量制御装置は、前記第1のエネルギー伝達回路に流れるパルス化流により、前記圧力変位結合化インターフェースを介したエネルギー伝達が可能となるように調整される。第2のエネルギー伝達回路上の第2の流量制御装置は、前記第2のエネルギー伝達回路に流れるパルス化流により、前記圧力変位結合化インターフェースを介したエネルギー伝達が可能となるように調整される。第1の流量制御装置および第2の流量制御装置は、第1のエネルギー伝達回路および第2のエネルギー伝達回路に流れるパルス化流が組み合わされて、密閉ループの周囲に流れが形成されるように調整される。圧力変位結合化インターフェースには、入出力装置が結合され、圧力変位結合化インターフェースに入る入力エネルギー、および前記圧力変位結合化インターフェースから抽出される抽出エネルギーの少なくとも一つが得られる。
【0006】
別の実施例では、密閉ループを形成し、好ましくは、大気圧を超える圧力の圧縮可能流体を収容する通路と、圧力変位結合化インターフェースとを有するエネルギー伝達機が提供され、前記圧力変位結合化インターフェースは、異なる圧力で、密閉ループの両側の間に延伸する溝内に収容された、電磁的に制御される回転ピストンを有し、密閉ループを第1のエネルギー伝達回路および第2のエネルギー伝達回路に分割し、前記溝は、シリンダの少なくとも一部を形成する。作動時には、第1のエネルギー伝達回路および第2のエネルギー伝達回路は、異なる圧力を有し、一方は、他方よりも高い圧力となる。作動時間に応じて、この圧力差は、反転される。第1のエネルギー伝達回路上の第1の流量制御装置は、前記第1のエネルギー伝達回路に流れるパルス化流により、前記圧力変位結合化インターフェースを介したエネルギー伝達が可能となるように調整される。第2のエネルギー伝達回路上の第2の流量制御装置は、前記第2のエネルギー伝達回路に流れるパルス化流により、前記圧力変位結合化インターフェースを介したエネルギー伝達が可能となるように調整される。電磁的に制御される回転ピストンは、第1の流量制御装置および第2の流量制御装置の少なくとも一部として機能するように構成された、少なくとも一部を有する。第1の流量制御装置および第2の流量制御装置は、第1のエネルギー伝達回路および第2のエネルギー伝達回路に流れるパルス化流が組み合わされて、密閉ループの周囲に流れが形成されるように調整される。圧力変位結合化インターフェースには、入出力装置が結合され、圧力変位結合化インターフェースに入る入力エネルギー、および前記圧力変位結合化インターフェースから抽出される抽出エネルギーの少なくとも一つが得られる。回転ピストンの目的は、統合されたロータリーバルブ装置として作動させることであり、このため、追加のバルブは、不要である。ある実施例では、この構成は、パッシブチェックバルブと組み合わせて使用される。
【0007】
別の実施例では、密閉ループを形成し、圧縮可能流体を収容する通路を有するエネルギー伝達機が提供される。異なる圧力で、密閉ループの両側の間に延伸する溝内には、ピストンを有する圧力変位結合化インターフェースが収容され、これは、密閉ループを第1のエネルギー伝達回路および第2のエネルギー伝達回路に分割する。作動時には、第1のエネルギー伝達回路および第2のエネルギー伝達回路は、異なる圧力を有し、一方は、他方よりも高い圧力となる。作動時間に応じて、この圧力差は、反転される。ピストンと溝の対向する両端の間には、各跳ね返り装置が設置される。第1のエネルギー伝達回路上の第1の流量制御装置は、前記第1のエネルギー伝達回路に流れるパルス化流により、前記圧力変位結合化インターフェースを介したエネルギー伝達が可能となるように調整される。第2のエネルギー伝達回路上の第2の流量制御装置は、前記第2のエネルギー伝達回路に流れるパルス化流により、前記圧力変位結合化インターフェースを介したエネルギー伝達が可能となるように調整される。第1の流量制御装置および第2の流量制御装置は、第1のエネルギー伝達回路および第2のエネルギー伝達回路に流れるパルス化流が組み合わされて、密閉ループの周囲に流れが形成されるように調整される。圧力変位結合化インターフェースには、入出力装置が結合され、圧力変位結合化インターフェースに入る入力エネルギー、および前記圧力変位結合化インターフェースから抽出される抽出エネルギーの少なくとも一つが得られる。
【0008】
別の実施例では、密閉ループを形成し、圧縮可能流体を収容する通路を有するエネルギー伝達機が提供される。圧力変位結合化インターフェースは、作動時には異なる圧力で、密閉ループの両側に、圧電変換器または電気活性材料を有し、密閉ループを第1のエネルギー伝達回路および第2のエネルギー伝達回路に分割する。作動時には、第1のエネルギー伝達回路および第2のエネルギー伝達回路は、異なる圧力を有し、一方は、他方よりも高い圧力となる。作動時間に応じて、この圧力差は、反転される。第1のエネルギー伝達回路上の第1の流量制御装置は、前記第1のエネルギー伝達回路に流れるパルス化流により、前記圧力変位結合化インターフェースを介したエネルギー伝達が可能となるように調整される。第2のエネルギー伝達回路上の第2の流量制御装置は、前記第2のエネルギー伝達回路に流れるパルス化流により、前記圧力変位結合化インターフェースを介したエネルギー伝達が可能となるように調整される。第1の流量制御装置および第2の流量制御装置は、第1のエネルギー伝達回路および第2のエネルギー伝達回路に流れるパルス化流が組み合わされて、密閉ループの周囲に流れが形成されるように調整される。圧力変位結合化インターフェースには、入出力装置が結合され、圧力変位結合化インターフェースに入る入力エネルギー、および前記圧力変位結合化インターフェースから抽出される抽出エネルギーの少なくとも一つが得られる。
【0009】
別の実施例では、密閉ループを形成する通路内に、圧縮可能流体を収容するステップであって、前記圧縮可能流体は、前記密閉ループ内で一定の相を有するステップを有する、エネルギー伝達の方法が提供される。密閉ループ上には、圧力変位結合化インターフェースが提供され、圧力変位結合化インターフェースは、前記密閉ループを第1のエネルギー伝達回路および第2のエネルギー伝達回路に分割し、前記第1のエネルギー伝達回路における圧力は、前記第2のエネルギー伝達回路における圧力とは異なる。第1のエネルギー伝達回路上の第1の流量制御装置は、第1のエネルギー伝達回路を流れるパルス化流により、圧力変位結合化インターフェースを介したエネルギー伝達が可能となるように調整される。第2のエネルギー伝達回路上の第2の流量制御装置は、第2のエネルギー伝達回路を流れるパルス化流により、圧力変位結合化インターフェースを介したエネルギー伝達が可能となるように調整される。第1の流量制御装置および第2の流量制御装置は、第1のエネルギー伝達回路および第2のエネルギー伝達回路に流れるパルス化流が組み合わされて、密閉ループの周囲に流れが形成されるように調整される。圧力変位結合化インターフェースには、入出力装置が結合され、圧力変位結合化インターフェースに入る入力エネルギー、および前記圧力変位結合化インターフェースから抽出される抽出エネルギーの少なくとも一つが得られる。
【0010】
別の実施例では、密閉ループを形成する通路内に、圧縮可能流体を収容するステップを有するエネルギー伝達の方法が提供される。密閉ループ上には、圧力変位結合化インターフェースが提供され、圧力変位結合化インターフェースは、前記密閉ループを第1のエネルギー伝達回路および第2のエネルギー伝達回路に分割し、前記第1のエネルギー伝達回路における圧力は、前記第2のエネルギー伝達回路における圧力とは異なる。第1のエネルギー伝達回路上の第1の流量制御装置は、第1のエネルギー伝達回路を流れるパルス化流により、圧力変位結合化インターフェースを介したエネルギー伝達が可能となるように調整される。第2のエネルギー伝達回路上の第2の流量制御装置は、第2のエネルギー伝達回路を流れるパルス化流により、圧力変位結合化インターフェースを介したエネルギー伝達が可能となるように調整される。第1の流量制御装置および第2の流量制御装置は、第1のエネルギー伝達回路および第2のエネルギー伝達回路に流れるパルス化流が組み合わされて、密閉ループの周囲に流れが形成されるように調整される。圧力変位結合化インターフェースは、
密閉ループの対向する両側間に延伸する溝内のフリー回転ピストン、
溝の両端部とピストンの間に跳ね返り装置を有する溝内の少なくとも一つのピストン、
密閉ループの対向する両側の間に延伸する溝内のダイアフラム、
密閉ループの対向する両側に圧力を与えるように露出された圧電変換器、
密閉ループの片側もしくは両側の電気活性素子、および
密閉ループの対向する両側の各圧電変換器、
のうちの少なくとも一つを有する。圧力変位結合化インターフェースには、入出力装置が結合され、圧力変位結合化インターフェースに入る入力エネルギー、および前記圧力変位結合化インターフェースから抽出される抽出エネルギーの少なくとも一つが得られる。
【0011】
別の実施例では、高温端および低温端を有するシリンダを有する密閉圧力チャンバを有するエネルギー伝達機が提供される。シリンダ内には、往復運動するフリーピストンが配置される。フリーピストンは、シリンダの高温端を、シリンダの低温端から分離し、フリーピストンは、表面積が等しい、対向する両端部を有する。フリーピストンには、発電機が結合され、この発電器は、フリーピストンの往復運動を電気エネルギーに変換する。シリンダを介して、高温回路および低温回路が結合され、単一の密閉ループが形成される。複数のバルブは、シリンダから、高温回路と低温回路を分離する。これらのバルブには、シリンダの高温端に配置され、高温回路とシリンダの高温端との間に、流体シールを形成する高温入口バルブと、シリンダの高温端に配置され、低温回路とシリンダの高温端との間に、流体シールを形成する高温放出バルブと、シリンダの低温端に配置され、低温回路とシリンダの低温端の間に、流体シールを形成する低温入口バルブと、シリンダの低温端に配置され、高温回路とシリンダの低温端の間に、流体シールを形成する低温放出バルブと、が含まれる。
【0012】
これらのおよび他の装置と方法の態様は、請求項に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】エネルギー伝達機の斜視図である。
【図2】エネルギー伝達機の部分切断斜視図である。
【図3】図2のエネルギー伝達機の第2フェーズにおける部分切断斜視図である。
【図4】図2のエネルギー伝達機の第3フェーズにおける部分切断斜視図である。
【図5】図2のエネルギー伝達機の第4フェーズにおける部分切断斜視図である。
【図6】図2のエネルギー伝達機の第5フェーズにおける部分切断斜視図である。
【図7】図2のエネルギー伝達機の第6フェーズにおける部分切断斜視図である。
【図8】図1のエネルギー伝達機の部分斜視図である。
【図9】図1のエネルギー伝達機の部分上面図である。
【図10】図1のエネルギー伝達機の部分側面図である。
【図11】回転ピストンを有するエネルギー伝達機の部分切断斜視図である。
【図12】ピストンストロークの異なるフェーズ間のエネルギー伝達機のピストン変位に対応した圧力を概略的に示したグラフである。
【図13】ピストンストロークの異なるフェーズのピストン変位と圧力の差異を概略的に示したグラフである。
【図14】オーバーラップバルブ構成の上面図である。
【図15】軸−ラジアルバルブの部分切断斜視図である。
【図16】プロセッサに接続されたエネルギー伝達機の概略図である。
【図17】弾性スプリングを有するエネルギー伝達機の概略図である。
【図18】磁気弾性スプリングを有するエネルギー伝達機の概略図である。
【図19】2つの対向するピストンを有するエネルギー伝達機の概略図である。
【図20】直列に接続された2つの対向するピストンを有するエネルギー伝達機の概略図である。
【図21】蓄熱器を有するエネルギー伝達機の概略図である。
【図22】冷却用に構成されたエネルギー伝達機の概略図である。
【図23】圧縮機出力を提供するように構成されたエネルギー伝達機の概略図である。
【図24】電気的に活性化されるディスプレーサを有するエネルギー伝達機の概略図である。
【図25】電磁コイルを有するエネルギー伝達機の概略図である。
【図26】圧縮チャンバを有するエネルギー伝達機の概略図である。
【図27】空気ベアリングを有するエネルギー伝達機のピストンの概略図である。
【図28】片側のみに熱交換器を有するエネルギー伝達機の概略図である。
【図29】弾性ピストンを有するエネルギー伝達機の概略図である。
【図30】共有熱交換器および共有バルブを備える2つの対向するピストンを有するエネルギー伝達機の概略図である。
【図31】共有の熱交換器を備える2つの対向するピストンを有するエネルギー伝達機の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、一例としての実施例について説明する。図において、同様の素子には、同様の参照符号が付されている。
【0015】
以下に示す実施例において、請求項に記載の範囲から逸脱しないで、本質的でない変更が行われても良い。本願において、ホット(高温)およびコールド(低温)という用語は、相対的な用語として使用され、高温側は、低温側よりも温度が高い。同様に、熱源とは、該熱源からエネルギーを受容する対象物よりも温度の高い物である。
【0016】
エネルギー伝達機は、圧縮可能流体の熱エネルギー変化をインターフェースの動きに変換し、あるいはインターフェースの動きを熱エネルギーに変換する。インターフェースの動きは、各種方法で仕事を行うように使用され、例えば、ポンプ、発電機のような機械の駆動等に使用される。またエネルギー伝達機は、電気エネルギーまたは機械エネルギーのようなエネルギーを使用して、圧縮可能流体に作用するインターフェースの動きを発生させても良く、これにより圧縮可能流体の熱エネルギーが変化する。
【0017】
各種実施例において、圧縮可能流体は、密閉ループを形成する通路内に収容される。ある実施例では、圧縮可能流体は、密閉ループ内で一定の相を有する。別の実施例では、圧縮流体は、密閉ループ内で相が変化する。通路は、いかなる適当な材料で形成されても良く、管状、パイプ状、溝、もしくは基板に形成された穴、ある基板にエッチングされ、溝用のキャップを形成する別の基板を有すると組み合わされる溝、半導体チップ内の溝もしくは穴、または他の適当な通路など、各種構成物を有しても良い。熱交換器内の流体流は、別の流路に分割され、あるいは図に示すように、同じ流路に維持されても良い。
【0018】
異なる実施例では、密閉ループは、熱交換器、凝縮器、アキュムレータ、熱源、ヒートシンク、および熱交換器としても機能し得る高温または低温リザーバなど、追加の特徴物を有しても良い。
【0019】
密閉ループ上の圧力変位結合化インターフェースは、密閉ループを第1のエネルギー伝達回路と第2のエネルギー伝達回路とに分割する。また圧力変位結合化インターフェースは、一つのエネルギー伝達回路からのエネルギーを別のエネルギー伝達回路に移動する。ある例では、高温側膨脹から、ピストンに保管された速度エネルギーにより、低温チャンバの膨脹が可能となり、これは、シリンダの低温端での反発フェーズを通じて保管される。従って、この実施例では、2つの回路は、断続的に相互作用する。圧力変位結合化インターフェースは、各種形態を取り得る。圧力変位結合化インターフェースは、密閉ループの各側での圧力変化に応じて変位し、その結果、密閉ループ内での圧力の変動または不均一化に応じて移動する。圧力変位結合化インターフェースは、1または2以上の部品で形成されても良く、これらは相互に結合される。ある実施例では、圧力変位結合化インターフェースは、密閉ループを横断して短絡を形成する通路または溝を有し、通路には、フリーピストンが設けられる。密閉ループ内の圧力差により、フリーピストンが溝を介して移動する。圧力差に応じて、フリーピストンは、変位量が変化しても良い。
【0020】
別の実施例では、圧力変位結合化インターフェースは、一組のピストンを有する溝を有し、これらは、各種方法で相互に結合され、一つのピストンの動きは、別のピストンの動きと協働する。これらのピストンは、例えば、ロッドで結合され、あるいは電気的インターフェースを介して結合される。別の実施例では、圧力変位結合化インターフェースは、複数の溝を有しても良く、各溝は、1または2以上の結合されたピストンを有し、その内部は、密閉ループ内の圧力差に応答する。別の実施例では、圧力変位結合化インターフェースは、結合された圧電変換器を有しても良い。圧電変換器は、動きを電気的エネルギーに変換し、または電気エネルギーを動きに変換する。密閉ループの各側は、1または2以上の圧電変換器を有しても良く、あるいは対向する両側に、単一のダイアフラムまたは圧電変換器を有しても良い。密閉ループの片側にある圧電変換器は、電子機器を介して、密閉ループの他の側にある圧電変換器と結合されても良く、この場合、一組の圧電変換器の動きは、他の組の圧電変換器の動きに対応し、対応する動きが得られる。
【0021】
第1のエネルギー伝達回路は、圧力変位結合化インターフェースの片側に、密閉ループを有し、第2のエネルギー伝達回路は、圧力変位結合化インターフェースの他の側に、密閉ループを有する。ある実施例では、第1のエネルギー伝達回路は、熱源を介しても良く、第2のエネルギー伝達回路は、ヒートシンクを介しても良い。エネルギー伝達回路は、パルス的に作動し、流量制御装置が開閉される。エネルギー伝達回路の一つが作動している間、残りの方は、停止状態のままである。
【0022】
密閉ループ内の圧力差は、流量制御装置により制御される。ある実施例では、流量制御装置は、ロータリーバルブ、圧電バルブ、または他の適当なバルブを有する。第1のエネルギー伝達回路の流量制御装置は、第1のエネルギー伝達回路を通るパルス流によって、圧力変位結合化インターフェースを介したエネルギー伝達が可能となるように調整される。第2のエネルギー伝達回路の流量制御装置は、第2のエネルギー伝達回路を通るパルス流によって、圧力変位結合化インターフェースを介したエネルギー伝達が可能となるように調整される。流量制御装置は、第1および第2のエネルギー伝達回路に流れるパルス流が組み合わされて、密閉ループ内で流れが生じるように調整される。
【0023】
ある実施例では、エネルギー伝達機は、熱エネルギーを動きに変換するように作動する。この例では、エネルギー源は、第1のエネルギー伝達回路のある部分と、第2のエネルギー伝達回路のある部分との間の温度差である。第1のエネルギー伝達回路が高温側、すなわち高温回路である場合を考える。第2のエネルギー伝達回路は、低温回路である。ある実施例では、高温回路は、入口流制御装置を有し、この装置は、密閉ループの片側の圧力変位結合化インターフェースに隣接され、圧力変位結合化インターフェースの一部に対して、高温回路からの圧力を押し付けることが可能となる。フリーピストンの場合、これは、フリーピストンの片側であっても良い。圧電の例の場合、これは、圧電変換器の一つであっても良い。高温回路は、放出流制御装置を有し、この装置は、密閉ループの他の側において、圧力変位結合化インターフェースに隣接する。低温回路は、圧力変位結合化インターフェースの反対側に、対応する入口および放出制御装置を有する。エネルギー伝達機のある実施例では、流制御装置は、図12に示した方法で協働するバルブである。
【0024】
入出力装置は、圧力変位結合化インターフェースに結合され、圧力変位結合化インターフェースにエネルギーを入力し、または圧力変位結合化インターフェースから、エネルギーを抽出する。例えば、入出力装置は、交流器であっても良い。ある実施例では、交流器は、フリーピストンの動きのような、圧力変位結合化インターフェースの動きの一部を、電気エネルギーに変換するように作動する。別の実施例では、交流器は、圧力変位結合化インターフェースの可動部を動かし、密閉ループ内の圧縮流体を駆動するように作動される。別の実施例では、密閉ループの反対側において、シリンダを形成する溝の中でピストンが振動すると、ピストンが回転し、ピストンは、流体流ポートを備えるため、シリンダの流体流ポートと相互作用すると、回転ピストンによって、一部のまたは全ての流体流制御が提供される。別の実施例では、入出力装置は、モータまたはポンプとの間で、機械的結合を有する。別の実施例では、入出力装置は、圧電変換器に結合された電気的インターフェースであり、圧電変換器から電気エネルギーが伝達され、別の用途において仕事が行われる。別の実施例では、入出力装置は、電気エネルギーを提供し、圧電変換器または電気的活性材料を駆動し、密閉ループの片側において、冷却効果が得られる。別の実施例では、ある圧電変換器の膨脹からの電気エネルギーは、別の圧電変換器における仕事に使用される。
【0025】
図1−10には、エネルギー伝達機100の第1の実施例を示す。エネルギー伝達機100は、本体102を有し、この本体は、高温リザーバ106および低温リザーバ108に接続されている。また、高温および低温リザーバ106、108は、熱交換器であり、高温熱交換器106および低温熱交換器108とも称される。本体102の内部には、シリンダ内にピストン110が配置される。ピストンの対向する両側には、シリンダ112の高温端116と、シリンダ112の低温端118とが存在する。高温流体入口バルブ126が、シリンダ112の高温端116を、高温リザーバ106から分離する。低温流体放出バルブ128は、シリンダ112の低温端を、高温リザーバ106から分離する。低温流体入口バルブ130は、シリンダ112の低温端118を、低温リザーバ108から分離する。高温流体放出バルブ132は、シリンダ112の高温端116を、低温リザーバ108から分離する。ピストン110は、フリーピストンであり、ピストン110に埋設された永久磁石124、134で固定される。4つの電磁コイル136、138、140、142が、エネルギー伝達機100の本体102に埋設される。
【0026】
図2乃至7には、低温サイクルエンジンとして作動するエネルギー伝達機100が示されている。圧縮流体は、エネルギー伝達機100の作動の間、高温リザーバ106および低温リザーバ108を通過する。高温および低温リザーバ106、108は、ピストン110を有するエネルギー伝達回路として機能し、流体がエネルギー伝達機100を流れると、高温リザーバ106または低温リザーバ108の一部として、交互に作動する。高温および低温リザーバ106、108は、相互に本体102を通る流体流の密閉ループを形成する。高温リザーバは、熱源(図示されていない)からの熱を受容し、高温リザーバ106から放出される流体は、高温リザーバ106に入る流体に比べて、高温となる。図2に示すように、高温流体の制御手段が高温リザーバ106から、シリンダ112の高温端116に流入すると、ピストン110の速度エネルギーは、増加する。高温流体は、高温流体入口バルブ126を通り、シリンダ112に入り、これにより、ピストン110が作用し、ピストンは、シリンダ112内で軸方向に移動する。所望の質量の高温流体がシリンダ112に流入すると、高温流体入口バルブ126が閉止される。ピストンの動きを用いて、例えば、磁石124、134が電磁コイル136、138、140、142を通過すると、磁石124、134を用いた発電等により、外部に有益な仕事が発生する。
【0027】
図3に示すように、ピストンの移動の速度エネルギーは、シリンダの低温端において、流体の上昇した圧力エネルギーに変換される。ピストン110の移動により、圧縮流体は、シリンダの低温端118から、低温流体放出バルブ128を介して、高温リザーバ106に押し入れられる。シリンダ端118の圧力が高温リザーバ106の圧力とほぼ等しくなると、バルブ108が開になり、バルブを介したスロットリング(throttling)が回避される。動作が定常状態になると、高温リザーバ106に戻った低温流体の質量が、図2に示すフェーズの間、シリンダ112に導入された高温流体の質量とほぼ等しくなる。シリンダ112の低温端118での低温流体の圧縮には、シリンダ112の高温端116での高温流体の加圧および膨脹によって生じたエネルギーに比べて、より少しのエネルギーしか必要なく、これにより、システム内の寄生損失を超えるエネルギーが提供される。
【0028】
図4に示すように、低温流体放出バルブ128が閉止されると、ピストン110は、シリンダの低温端118での密閉流体の加圧によって、ピストン110が停止するまで、同じ軸方向に移動し続け、その後、図2に示したフェーズで生じたピストンの速度エネルギーの保管のため、反対の方向に移動する。ピストン110の動きにより生じた加圧流体120のため、ピストン110は、シリンダ112の高温端116に向かって、逆方向に跳ね返る。
【0029】
図5に示すように、ピストンが方向を変え、第2のストロークが始まったとき、シリンダ112の低温端118の圧力が、低温リザーバ108の圧力とほぼ等しくなると、低温流体入口バルブ130は、開となり、これにより、低温流体は、低温リザーバ108に流入される。低温流体放出バルブ128を介して排出される低温流体とほぼ同等の質量が、シリンダの低温端118に流入されると、低温流体入口バルブが閉になる。
【0030】
図2に示すフェーズの後、高温流体入口バルブ126が閉止されると、シリンダ112の高温端116の圧力は、低下する。図5に示すフェーズに対応して、ピストン110の方向が変化し、第2のストロークが始まると、シリンダ112の高温端116の圧力は、上昇する。シリンダ112の高温端116の圧力が、低温リザーバ108とほぼ等しい圧力に至ると、高温流体放出バルブ132が開となり、図2に示すフェーズの間、最初にシリンダ112の高温端116に導入された流体とほぼ等しい量の流体の放出が開始される。これは、定常状態での動作の例である。
【0031】
図7に示すように、高温流体放出バルブ126が閉になると、ピストンが止まるまで、高温端116での圧力が高まり、方向が変化し、別のサイクルが開始され、図2に示すフェーズが再度開始される。ピストン110によって生じた加圧流体122によって、ピストン110は、シリンダ112の低温端118に向かって、反対方向に跳ね返る。
【0032】
図16に示すように、コンピュータ化制御システム258は、高温および低温リザーバ106、108内の圧力、ならびにピストンの軸位置を監視する。プロセッサは、バルブの開閉のタイミングを決定するとともに、電磁コイル136、138、140、142(図2)から流れる電流量を決定する。ある実施例では、所与のサイクル間にコイルから流れる電流は、ピストンの両方向の動きにおいて、ほぼ等しい。低摩擦のフリーピストンを使用し、外部シールを最小化またはなくすことにより、寄生損失が抑制され、低温度差で、電力を形成することができる。ある実施例では、ピストンは、3600サイクル/分という往復速度であっても良く、この場合、60Hzの好適周波数において、交流電流が形成される。ある実施例では、複数列のコイルを使用して、単位ストローク当たり2以上の電気パルスを形成しても良く、これにより、60Hzの交流出力を維持したまま、低エンジン速度が可能となる。高速化および低速化も可能である。
【0033】
高温リザーバ106と低温リザーバ108の間の温度差は、十分に高くして、システムの寄生損失を超える十分な速度エネルギーが得られる、適正な圧力が生じるようにする必要がある。作動流体は、空気または別の圧縮流体であっても良く、これに限られるものではないが、ヘリウム、水素または窒素等であっても良い。空気の質量は、いかなる手段で測定されても良く、例えば、ピストン位置を介して圧力、温度、および体積の変化を測定するセンサ入力からの測定を利用することにより、行っても良い。
【0034】
低温リザーバ108は、固体ヒートシンクに接続され、あるいは熱源よりも低温の周囲空気もしくは液体を通過させても良い。バルブ126、128、130、132は、機械的または電気的に作動されても良い。例えば、バルブは、機械的に制御されたバルブであり、好ましくは(定常状態の間)一つの方向に一定速度で回転するバルブ、あるいはソレノイドバルブである。ある実施例では、ピストン110は、例えば、クランクシャフトおよび接続アームで、機械的に制御されても良い。ピストン110は、一方が他方に比べて大きな表面積を有しても良いが、図2に示すように、両端において、同じ直径および表面積を有することが好ましく、これにより設計が容易となる。エネルギー伝達機の作動の間、条件が変化すると、ピストンの平均軸位置は、変化する。例えば、機械の作動の間、ピストンの平均位置は、シリンダ112の高温端116に向かって移動し、シリンダの両端部での最大体積および圧縮比に影響する。図4および7に示すフェーズの間、ピストン110は、バルブを横断するように延在し、ピストン110がシリンダ112の高温端および低温端116、118に跳ね返ると、本体102とピストン110の間に高圧スパイクが収容され、バルブによる追加の圧力は、付加されない。シリンダ112の高温端および低温端116、118の各位置は、バルブ126、128、130、132を超えて延伸する。低温端118は、より長い反発距離を有する。これは、ピストン110は、戻りストロークの際に速度エネルギーを保管するからである。シリンダの周囲に、特に、反動の間、温度がピークとなる端部116、118に、絶縁または真空状態を設けて、システムの熱を保管しても良い。ピストン110は、延伸端を有しても良く、シリンダ112の各端部で跳ね返る間、より気密なシールが得られる。
【0035】
図2乃至7に示すように、エネルギー伝達機100は、高温リザーバ106および低温リザーバ108を有し、これらは、密閉ループを形成する。流体は、密閉ループを通る一方向の流れを有する。一方向流により、徐々に生じる加熱および冷却が可能となる。これは、機械100の、1または2以上のサイクルであることが好ましい。ピストン100は、ピストン110の反対側で、同一の断面積を有する。同一断面積を有するピストン110の端部では、設計が容易となり、部材点数が削減できる。ピストン領域に替えて、バルブタイミングによって、密閉ループを介した流体の可変変位が得られても良い。可変ピストンストロークによって、高温および低温シリンダ端116、118は、異なる実質変位を有するようになり、可変出力および仕様が可能となる。ピストン振幅は、例えば熱ゲインおよび電力出力のような、異なるパラメータに応答して変化する。電流出力用途の場合、周波数、すなわち交流電流周波数は、ピストン振動振幅を変調することにより維持される。エネルギー伝達機100は、システム圧力、ピストン変位、極めて低い絶対温度および差分温度を含む温度差など、幅広い変数で作動されても良い。
【0036】
各種センサ配置を使用して、各流量制御バルブ126、128、130、132を通る最適な空気流を定めても良い。そのようなセンサ配置の一例は、図16に示されている。一部のエネルギーは、熱交換器内での流体の脈動により逸失する。パルスチャンバを使用して、エネルギーロスを抑制しても良い。ピストン速度および振幅が調整され、リザーバ/熱交換器を通るパルス流特性が最適化されても良い。
【0037】
最初の始動手順では、ピストン110の移動のための圧力差が不十分な場合、電磁コイル136、138、140、142に電流を供給することにより、ピストンの振動が開始される。システム内の圧力差が十分に大きい場合、エンジンは、バルブ126、128、130、132を開閉することによって開始され、これによりピストン110の動きが生成される。電磁コイル136、138、140、142は、ピストン110が作動速度で振動するまで、一次モータコイルとして使用しても良い。開始フェーズの間、ピストン振幅、周波数、および空気流質量は、静止状態から徐々に上昇しても良い。電磁コイル136、138、140、142は、通常の電力サイクルの間、使用しても良く、これにより、ピストンの速度エネルギーが増加もしくは低下して、またはピストンの動きが影響を受け、作動特性に変化が生じる。
【0038】
電磁コイル136、138、140、142を使用して、ピストン110を磁気的に停止させても良い。ピストン110を磁気的に停止することにより、磁気コイル136、138、140、142、および磁石124、134は、磁気ベアリングとして、相互に作動するようになる。電磁コイルを磁気ベアリングとして使用する場合、電磁コイルは、シシリンダ112の周囲に配置されても良い。電力発生用の電気コイルは、シリンダ112の端部を含む、シリンダのいかなる場所に配置されても良い。
【0039】
図11には、回転ピストン144を有するエネルギー伝達機の部分図を示す。回転ピストンは、ピストン内に2つの流溝146、148を有する。流溝146、148は、ソレノイドバルブと同様の流量制御機構として機能する。ピストン144が往復移動したまま軸上で回転すると、ピストン144は、シリンダ150に入りシリンダ150から出る流れを制御する。入口ポート192、196および放出ポート194、198は、シリンダ150に形成される。ピストン144の角度位置は、図2に示したような電磁コイルによって制御される。回転ピストン144は、図2に示す4つのバルブの1または2以上と置換されても良い。ピストン144は、一方向においてのみ回転する。ピストン144は、単位サイクル当たりの1回転よりも遅い速度で回転しても、単位サイクル当たりの1回転と同じ速度で回転しても、単位サイクル当たりの1回転よりも速い速度で回転しても良い。これは、流溝146、148の構造に依存する。回転ピストン144を使用して、速度エネルギーを保管しても良く、このエネルギーは、ピストンを、1サイクル当たり1または2倍回転減速させることにより、電気発生に使用される。ピストン144の回転により生じた電流は、出力電圧の調整に使用され、例えば、好適な交流波形に、より高精度の整合が得られる。発電コイル136、138、140、142(図2)は、ピストンの回転加速および減速に使用しても良い。回転加速により電流が流れ、回転減速により電流が生じる。回転ピストン144の加速および減速の変化により、バルブの開閉の時間が調節される。
【0040】
入口ポート192、196では、回転ピストンバルブ144は、恒久的に開にされ、チェックバルブ(図示されていない)は、シリンダ150内の圧力が、各入口ポート192、196での熱交換器圧力をわずかに下回るまで、閉にされる。次に、回転ピストンバルブ144は、適当な時間閉止され、これは、例えば、制御システムによって定められる。放出ポート194、198に対して、回転ピストンバルブ144は、恒久的に開にされ、チェックバルブ(図示されていない)は、シリンダ内の圧力が、各放出ポート194、198での熱交換器の圧力をわずかに上回るまで閉止される。次に、回転ピストンバルブ144は、適当な時間だけ閉にされ、これは、例えば制御システムによって定められる。回転ピストンバルブ144は、これが可能となるように、延長開時間を有するように設計される。回転ピストン144は、定常状態のシステムにおいて、正確な時間で開閉するように設計されても良い。チェックバルブとの併用の場合、回転ピストン144により、遷移状態動作における十分な作動が可能となる。
【0041】
図12には、図1乃至10に示すエネルギー伝達機100のピストン移動の各種フェーズ間の、圧力とピストン変位を示すグラフを示す。フェーズ1では、高温流体入口バルブ126(図2)は、シリンダ112の高温端116が高温リザーバ106の圧力と等しい圧力を有する場合、開となり、特定の質量の高温空気が導入されると、閉になる。図3に示したフェーズに対応するフェーズ2間では、低温流体放出バルブ(図3)は、低温端118圧力が高温リザーバ106の圧力と等しい場合、開となる。図4に示すフェーズに相当するフェーズ3では、低温流体放出バルブ128(図5)は、特定の質量の低温空気が高温リザーバ106に放出されると、閉となる。フェーズ3に引き続き、ピストンは、シリンダ112の低温端118で反動する。フェーズ5では、高温流体放出バルブ132(図6)は、高温端116圧力が低温リザーバ108とほぼ等しくなると、開となる。このグラフから分かるように、フェーズ1-6は、一連の順番では、生じなくても良く、いくつかのフェーズは、同時に生じても良い。この場合、フェーズ5は、フェーズ4の前に生じ、フェーズ4が始まった後、フェーズ4とフェーズ5が同時に生じる。フェーズ4では、低温流体入口バルブ(図5)は、低温端118圧力が低温リザーバ108の圧力と等しくなると、開となる。フェーズ6では、高温流体放出バルブ132(図7)は、特定の質量の高温空気が低温リザーバ108に放出されると、閉となる。低温流体入口バルブ130は、特定の質量の低温空気がシリンダ112に流れると、閉となる。フェーズ6に続いて、ピストン圧力がシリンダ112の高温端116で反動した後、サイクルは、フェーズ1の最初に戻る。図12のグラフでは、2つの別個の圧力曲線が示されている。フェーズ1を示す点で開始される曲線は、シリンダ112の高温端116の圧力に対応する。第2の曲線は、シリンダ112の低温端118での圧力に対応する。
【0042】
図12に示すように、高温熱交換器106での圧力は、作動時には、低温熱交換器108の圧力よりも高くなる。圧力変位結合化インターフェースの移動素子の動きは、(低温空気放出バルブまたは他のいくつかの流量制御手段を介して)シリンダの低温端から高温リザーバに入る空気を加圧し、高温リザーバにおいて、低温リザーバに比べて高い圧力が維持される。ある実施例では、この圧縮は、フリーピストンの一端で行われるが、電気活性材料等の他の装置が使用されても良い。高温リザーバに戻る低温空気の質量は、フェーズ1において、シリンダの高温端で、シリンダに入る高温空気の質量とほぼ等しい。シリンダの低温端での低温空気の圧縮には、シリンダの高温端での高温空気の圧力および膨脹によって生じる場合に比べて、より少ないパワーが必要となる。これにより、システムの寄生損失が克服され、仕事が行われるようになる。
【0043】
前述のグラフにおいて、Aで示される曲線は、電力発生の間のピストンの速度エネルギーを示している。前述のグラフにおいて、Bで示されている曲線は、負荷がない状態でのピストンの速度エネルギーを示している。
【0044】
図13には、外部仕事の実施が可能なエネルギーを示す、高温と低温の曲線の比較を示す。陰の部分は、システムへの高温流体の導入を介して得られるエネルギー、すなわち仕事の実施が可能なエネルギーを示している。グラフの2つの曲線は、図12に示した2つの曲線を表しており、2つの曲線は、高温曲線の「高温での反動」部分が、低温曲線の「低温での反動」と揃うように整列される。
【0045】
図14には、ロータリーバルブ160の単純化された図を示す。ロータリーバルブは、図2に示したエネルギー伝達機100などの、エネルギー伝達機に使用される。ロータリーバルブは、他のバルブシステムに比べて、より少ないエネルギーを使用する。同時に開閉される2つのロータリーバルブ162、164があるが、位相はシフトされ、第1のロータリーバルブ162は、第2のロータリーバルブ164の前に開にされ、第2のロータリーバルブ164は、第1のロータリーバルブ162の前に閉にされる。バルブは、ハウジング170内の流路166を介して、高温または低温のリザーバ168の一方を、シリンダ112(図2)と接続する。オーバーラップバルブ162、164は、同じポートにもしくは同じポートから供給を行う、同じプレナムまたは別のプレナムであっても良い。バルブ160は、図14における上面図からわかるように、反時計方向に回転する。バルブ160は、1回転の間、2回開き、これは、バルブ160が2倍早く開閉することを意味する。これにより、バルブ動作の間に生じるような、乱流およびスロットリングが抑制される。
【0046】
他の実施例では、各ポートに単一のロータリーバルブが使用されても良い。流体は、バルブを介して、軸方向、半径方向、または軸方向と半径方向の両方に流れても良い。バルブは、加速され、減速され、ポートの開閉の時間に作用する。減速を利用して、キャパシタのような記憶装置に充電を行っても良い。これにより、このタイプのバルブの効率が向上する。
【0047】
図15には、回転ラジアルスリーブバルブ180を示す。圧縮流体は、開口184を通ってバルブを通過し、圧縮流体は、バルブ開口186が図15に示す流路188と整列されている場合、バルブを通過する。
【0048】
バルブのタイミングは、例えば回転バルブ(spining valve)のような活性バルブを組み合わせ、バルブ組み合わせを正確な時間で閉止し、直列のチェックバルブを用いて、バルブ組み合わせの開状態を制御することにより行われる。例えば、回転バルブは、正確なタイミングで、バルブシステムがポートを閉止するように構成される。回転バルブの開口は、一定の速度でのバルブの回転によって、気体の流れが必要になる前に、常に開状態となるように設計されるが、上昇した回転バルブポート角度を有するバルブを用いることにより、静止フローポートは、予め開にされる。その後、回転バルブの前後で、パッシブチェックバルブが直列で用いられ、A)活性バルブが開の時、およびB)チェックバルブにわたる圧力差が、チェックバルブが開になる方向にある場合、流れが可能になる。
【0049】
図16には、エネルギー伝達機200の概略図を示す。ピストン210は、本体202のシリンダ212内に配置される。シリンダ212は、高温端216および低温端218を有する。第1の熱交換器206は、ピストン210を有するエネルギー伝達回路を形成する。第2の熱交換器208は、ピストン210を有するエネルギー伝達回路を形成する。第1および第2の熱交換器206、208は、相互に密閉ループを形成する。第1の熱交換器206は、熱源242から熱エネルギーを受容する。第2の熱交換器208は、熱エネルギーをヒートシンク244に逸失させる。高温流体入口バルブ226およびチェックバルブ234は、第1の熱交換器206を有するシリンダ212の高温端216を分離する。チェックバルブ234は、高温流体入口バルブ226が開の際に、シリンダ212の高温端216から、流体が第1の熱交換器206に流れることを防止する。低温流体放出バルブ228およびチェックバルブ236は、第1の熱交換器206を有するシリンダ212の低温端218を分離する。チェックバルブ236は、低温流体放出バルブ228が開の際に、第1の熱交換器206から、流体がシリンダ212の低温端218に流入することを防止する。同様に、低温流体入口バルブ230および高温流体放出バルブ232は、シリンダ112と第2の熱交換器208とを接続する。チェックバルブ238、240は、チェックバルブ234、236と同じ原理により、流体が、それぞれ、第2の熱交換器208から流れ、第2の熱交換器208に流れることを防止するように作動する。バルブ226、228、230、232の作動は、図2-7において示した実施例に記載されたバルブ126、128、130、132の作動と同様である。
【0050】
温度センサ246および圧力センサ250は、流体がシリンダ212の高温端216に入る前に、第1の熱交換器206内の流体の温度および圧力を検出する。温度センサ248は、流体がシリンダ212の低温端218に入る前に、第2の熱交換器208内の流体の温度を検出する。圧力センサ256は、流体がシリンダ212の高温端216から放出された後の、第2の熱交換器208内の流体の圧力を検出する。圧力センサ252は、シリンダ212の高温端216での圧力を検出する。圧力センサ254は、シリンダ212の低温端218における圧力を検出する。ピストン位置センサ260は、シリンダ212内のピストン210の位置を検出する。プロセッサ258は、各圧力センサ250、252、254、256、温度センサ246、248、ピストン位置センサ260、およびバルブ226、228、230、232に接続される。プロセッサ258は、各種センサの読み取り値により、バルブ226、228、230、232を開閉する。例えば、図2-7の実施例に記載されたフェーズ1-6に示したバルブの開閉の方法が実施される。高い出力を得るため、プロセッサ258は、個々のバルブタイミングの振動により、理想効率が得られるように構成されても良い。
【0051】
図17には、図16の実施例のエネルギー伝達機200の単純化された図面を示す。この伝達機は、シリンダ212の対向する両側に、機械的反発バネ270、272を有し、エネルギー伝達機100の図4および図7に示したフェーズ3および6に相当するフェーズの間、ピストン210の圧力反動が助長される。機械的反発バネは、ピストン210の動きによって生じた、シリンダ212の両反対端部に対する圧縮流体の加圧により生じた圧力反動を補完する。
【0052】
図18には、シリンダ212の対向する両側に対向する反発バネ286、288を有する、図16に示したエネルギー伝達機200の単純化された図面を示す。これらの反発バネは、ピストン280の反対側のピストン磁気反発バネ282、284に相当する。磁気反発バネの動作は、図17の機械的反発バネの場合と等しい。
【0053】
図19および20には、2つのピストン210と協働する、2つのエネルギー伝達機200の組み合わせを示す。ピストン210の反対の動きにより、振動が抑制または排除される。図19において、2つのエネルギー伝達機200は、コネクタ290で接続され、熱エネルギー流に対して、並行に作動する。バルブ226、228、230、232は、2つのエネルギー伝達機200に配置され、各エネルギー伝達機の対応するフェーズは、ほぼ同時に、反対方向において、同じ軸に沿って生じ、これによりピストン210の振動の動きがキャンセルされる。図20において、2つのエネルギー伝達機200A、200Bは、熱エネルギー流に対して直列に作動し、熱エネルギーのより効率的な利用が可能となる。シリンダ212Bの高温端216Bから、高温流体放出バルブ232Bを介して排出される流体は、シリンダ212Aの低温端218Aから、低温流体放出バルブ228Aを通って放出される流体を加熱する。また、エネルギー伝達機200A、200Bは、ピストン210A、210Bの動きにより冷却器として作動しても良く、循環流体に冷却効果が得られる。冷却の実施例の動作では、熱エネルギーの方向は、反転され、パワー入力は、ピストンの動きから引き出されるのではなく、ピストンの動きに導入される。この場合、高温リザーバを用いて、高圧力作動流体の高温が逸散される。低温リザーバは、減少した熱エネルギー流体を使用して、冷却された媒体または熱交換器から熱エネルギーを引き出す。図20において、低温リザーバ208Bは、エネルギー伝達機200Aの高温リザーバ206Aを冷却することに使用され、これにより、低温リザーバ208Aのより効率的な冷却が行われる。エネルギー伝達機200の冷却の実施例の動作は、図22において詳細に示されている。
【0054】
図21および22において、エネルギー伝達機300は、蓄熱機334を有するように示されている。図21には、熱差から電力を発生するように構成されたエネルギー伝達機を示す。図22には、冷却用に構成された図21と同様の構造を有するエネルギー伝達機を示す。この場合、リザーバへのおよびリザーバからの熱エネルギーの流れは、反対である。ピストン310は、シリンダ312内で軸方向に移動する。流量制御バルブ326、328、330、332は、シリンダ312を通る流体の流れを制御する。図21において、第1の熱交換器306は、外部熱源242(図16)から熱を収集する。加熱された流体は、第1の熱交換器306を通り、高温流体入口バルブ326を介して、シリンダ312に入る。加熱された流体は、高温流体放出ポート332を均等に流れ、第2の熱交換器308に入る。ここで、加熱流体は、第1の熱交換器306を通って、ヒートシンク244(図16)に熱を放出する。第1および第2の熱交換器306、308の間でエネルギーが伝達される区画334は、蓄熱機(regenerator)と称される。蓄熱機334を通過すると、高温流体放出ポート332から放出された流体は、外部ヒートシンク244(図16)に熱を放出する。その後、冷却された流体は、低温流体入口ポート330を通り、シリンダ312に入る。ここでは、流体は、低温流体放出ポート328を通って等しく分配され、第1の熱交換器306に入る。次に、流体は、蓄熱機334を再度通過し、第2の熱交換器308内の流体は、低温流体放出ポート328から放出された流体を加熱し、このプロセスが繰り返される。蓄熱機334は、システムの第1のポートから廃熱を回収し、これにより全体の効率が向上する。
【0055】
冷却動作における図22のエネルギー伝達機300の動作は、熱エネルギーが熱交換器/リザーバに、およびこれから反対に伝達されることを除き、同様である。ピストンの動きを用いて、密閉ループを流れる流体の動きが形成される。エネルギー伝達機は、第2の熱交換器308と熱的に接続された媒体を冷却する。図22における蓄熱機は、作動流体がシリンダの高温端で膨脹する前に、作動流体を「予備冷却」し、低温リザーバ/交換器308の低温の有効な有意点が得られる。装置が、ピストンに電力供給することにより冷却器として作動し、図21のようなシリンダの高温端での膨脹フェーズの後に、蓄熱機が配置される場合、システム全体の作動効率が向上するという顕著な利点が得られる。
【0056】
図23には、ポンプ出力を有するエネルギー伝達機400を示す。2つの対向するドライブシャフト402、404を有するピストン410は、シリンダ412内で往復運動する。バルブ426、428、430、432は、高温リザーバ406および低温リザーバ408を流れる流体を調節する。ピストン410の往復運動により、一方向バルブ414、416を通る流体は、ピストン410の交互のストロークの際に、チャンバ422、424に入り、流体は、ピストン410の反対の交互のストロークの際に、一方向バルブ418、420を介して排出される。
【0057】
図24および25には、電気的に活性化された変形ダイアフラム510を有するエネルギー伝達機500を示す。これは、例えば、電気活性材料のディスプレーサ(displacer)であっても良く、圧電セラミックもしくは電気活性高分子のピストンである。電気活性材料は、電気的入力により、形状が変化する材料である。例えば、電気活性高分子またはEAPは、電圧印加の際に形状が変化する高分子である。各種実施例では、EAPを、入口および放出バルブ、圧力変位結合化インターフェース内に使用されるアクチュエータ、および圧力センサとして使用しても良い。電気活性材料は、例えば、誘電体EAPおよびイオン性EAPを有しても良い。
【0058】
変形ダイアフラム510は、本体514のチャンバ512内に配置される。流量制御バルブ516、518、520、522は、図2-7の実施例に示した流量制御バルブ126、128、130、132と同様に、高温リザーバ506および低温リザーバ508から流体を供給する。図25において、磁石またはフェロ素子524は、可撓性ダイアフラム510に取り付けられる。磁石524は、本体514の対向する両側の磁気コイル526、528と相互作用し、エネルギー伝達機500の電力発生構成において、エネルギーが生成される。基本的な冷却構造では、磁石またはフェロ材料524は、電磁コイル526、528との相互作用により活性化される。微小極低温化に、図24および25の組み合わせを使用しても良い。ダイアフラム500の動きにより、正確なバルブタイミングで、チャンバ全体の圧力が変化し、あるいは圧力波が形成され、これにより、チャンバにあるいはチャンバからの圧力上昇または圧力低下が生じる。
【0059】
図26には、圧縮チャンバ602および膨脹チャンバ604を有するエネルギー伝達機600を示す。流量制御バルブ616、618、620、622は、高温リザーバ606および低温リザーバ608によって形成された密閉ループを通る流体流を制御する。プロセッサ610は、バルブ616、618、620、622の開閉を制御し、これらは、図2-7に示した実施例におけるバルブ126、128、130、132と同じ方法でタイミング化される。プロセッサ610は、電力供給または出力612と接続されるように示されている。エネルギー伝達機600は、コンピュータチップのような熱源で加熱されても良い。コンピュータチップからの熱により、高温リザーバ606が加圧され、膨脹チャンバ604は、膨脹する。膨脹チャンバ604の膨脹により生じた電流は、可能な場合、電力供給612によって供給されるエネルギーに加えられ、これを用いて、圧縮チャンバ604が収縮する。エネルギー伝達機600は、電力発生に使用しても良く、あるいは冷却装置として、または自己活性化高効率冷却装置として作動しても良い。膨脹チャンバ602、604の体積は、等しくても異なっても良い。ある実施例では、電力供給612または電気出力614は、省略されても良い。また、膨脹チャンバ604によって生じた電気エネルギーは、必ずしも圧縮チャンバ602の収縮に使用される必要はない。
【0060】
図27には、シリンダ112(図2)内に空気ベアリング642を有するピストン632を示す。ピストン632のシリンダに対する摩擦は、空気ベアリング642を使用することにより、抑制される。ピストン632内には、空気チャンバ630が配置され、これは、ピストン632の両対向端部にチャックバルブ634、636を有する。ピストンがシリンダ112の対向端部116、118(図4)で跳ね返ると、空気チャンバ630内の圧力は、最大反動圧力近傍まで上昇する。その後、加圧空気は、ピストン632の表面周囲に配置された空気ベアリング642の供給に利用される。
【0061】
図28には、密閉ループの片側にのみ熱交換器350を有するエネルギー伝達機300を示す。流量制御バルブ330、332は、管352によって直接接続され、これにより管352を介した熱交換器が最小化される。ある実施例では、エネルギー伝達機300は、該エネルギー伝達機300の片側に、あまり効率的ではない熱交換器を有しても良く、あるいはエネルギー伝達機300の片側にのみ、熱交換器を有しても良い。
【0062】
図29には、2つのピストン710、712を有するエネルギー伝達機700を示す。流量制御バルブ726、728、730、732は、蒸発器718、凝縮器720、およびシリンダ708内を通る流体流を調整する。蒸発器718は、火炎、または集光太陽エネルギー等の他の熱源から、エネルギーを受容する。ピストン712は、液体流体から気体状流体を分離し、ウオータハンマーが防止され、正の変位よりも高い圧力により、液化流体が放出される。バイパスバルブ716は、開のときの圧力差に応じて、シリンダ708からの気体を添加または置換し、正確な反動ピストン位置が維持される。ピストン710は、フリーピストンであっても、電力化ピストンであっても良い。ピストン712は、フリー移動ピストン、電力化ピストンまたはダイアフラムであっても良い。
【0063】
図30および31には、ピストン814、818、シリンダ816、820、および共有熱交換器822、824を有するエネルギー伝達機800を示す。図30は、図31と同様の実施例が示されているが、流量制御バルブ828A、828Bは、単一のバルブ802に統合されている点が異なっており、流量制御バルブ826A、828A、830A、832A、および流量制御バルブ826B、828B、830B、832Bは、図2-7の実施例に示したバルブ126、128、130、132と同様の方法で作動する。熱交換器822を通過した流体は、管840、842に分岐され、流体は、それぞれ、高温流体入口バルブ826A、826Bを介して、シリンダ816、820に入る。その後、低温流体は、低温流体放出バルブ828A、828Bから放出され、それぞれ、管836、838に入り、ここで流体は、統合され、熱交換器822に戻される。低温流体は、低温流体入口バルブ830A、830Bを通り、それぞれ、シリンダ816、820に入る。高温流体は、高温流体放出バルブ832A、832Bから放出され、それぞれ、管806、808に入り、ここで流体は、統合され、熱交換器824に入り、流体が冷却される。熱交換器824を通過した後、流体は、管810、812に分岐され、ここで流体は、それぞれ、低温流体入口バルブ830A、830B内に誘導される。図31に示す実施例では、各シリンダ816、820の低温側は、中央にある。ある実施例では、各シリンダの高温側が中央側にあっても良い。別の実施例では、あまり好ましくはないが、シリンダ816の高温端は、シリンダ820の低温端と近接されても良く、あるいはこの逆であっても良い。
【0064】
高温リザーバ106(図2)と低温リザーバ108(図2)の間の温度差の形成に使用される熱源は、各種熱源であっても良い。熱は、自発的に生じる熱差によって提供されても良く、例えば、a)水リザーバのような液体または固体における熱エネルギーを保管し利用して生成した夜と昼の間の熱差、b)周囲とサブグラウンドの温度の間の差、c)水の表面と水の水深部の間の差、d)地上のもしくは宇宙の太陽加熱領域と日陰の間の差、によって提供される。熱は、各種用途の廃熱により提供されても良い。例えばa)産業プロセスからの廃熱、b)燃料の燃焼により生じた熱、c)島、海洋、もしくは宇宙の車両用の電気的なまたは他の電力源によって生じた熱、d)例えばコンピュータを含む電気的に駆動される装置から生じた熱、e)サブグラウンドもしくは周囲空気温度と比較したときの建物の温度差、f)集光太陽電力発生。例えば、エネルギー伝達機は、昼と夜の間に存在する温度差から、エネルギーを生成しても良い。周囲空気と太陽熱により、高温熱交換器を加熱するエネルギーが提供される場合、水リザーバをヒートシンクとして使用して、昼の間、熱エネルギーを保管しても良い。低温水のリザーバを使用して、低温熱交換器またはリザーバ108を冷却しても良い。高温熱交換器またはリザーバ106は、昼間の空気温度によって暖められ、太陽熱を直接受容しても良い。水は、水温の上昇が、エネルギー伝達機で電力を発生することができなくなる夜の空気の温度の低下と同じ程度になるまで、昼間に十分に加熱される。気温が加熱された水温未満まで十分に低下すると、エネルギー伝達機のサイクルが反転される。このサイクルは、各リザーバからの空気を反対にエンジンバルブに再誘導するバルブによって、あるいは空気流を反転させることにより、反転され、またはサイクルは、流体の流れが同じ方向に維持されたまま、バルブタイミングにより、シリンダ112(図2)の高温側116(図2)を、シリンダ112(図2)の低温側(図2)と切り替えることにより、あるいはその逆により反転される。これは、圧縮される端部が、膨脹される側となり、或いはその逆となることを意味する。水リザーバに保管された熱は、低温の夜の空気中に逸散し、夜の間、エネルギー伝達機を稼働するエネルギーが提供される。これは、水リザーバの温度が朝の上昇した気温とほぼ等しい温度に低下するまで続く。
【0065】
2以上の水リザーバを使用して、熱の形態で、エネルギーを保管し、需要の多い時間の間にこれを使用しても良い。例えば、一日の最も高温の時間帯の間、一つの水リザーバを加熱し、気温の低い早朝のようなピーク時の間に使用するため、保管しても良い。同様に、夜に、別の水リザーバを最も低温の夜の気温で冷却しておき、その後温度がもっと高くなった際に、日中のピーク時の間、これを使用しても良い。これらのリザーバの加熱および冷却は、エネルギー伝達機が稼働する際の、電気量の需要が少ない時間帯に行われ、例えば高速で可動することにより、少量のエネルギー使用での高速熱輸送が可能となり、外部使用のための電気が供給される。
【0066】
エネルギー伝達機は、小型または大型の熱エネルギー貯蔵装置として使用されても良く、低電気需要時間帯の間、電気エネルギーを熱エネルギーに変換し、その後、高電気需要時間帯の間、再び電気エネルギーに逆変換される。他の実施例では、加熱素子を使用して、熱マスを加熱し、エネルギー伝達機を使用して、この熱エネルギーを、別のときに電気エネルギーに変換しても良い。
【0067】
請求項において、「有する」という用語は、包含的な意味で使用され、他の素子の存在を否定するものではない。請求項の特徴物の前の不定冠詞「一つの」は、その特徴物の2以上の存在を排斥するものではない。示された個々の特徴物の各々は、1または2以上の実施例で使用されても良く、ここに示した記載のみに基づいて、それらの特徴物が全ての実施例に必須であると解してはならない。それらの特徴物は、請求項において規定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー伝達機であって、
密閉ループを形成し、圧縮可能流体を収容する通路であって、前記圧縮可能流体は、前記密閉ループ内で一定の相を有する通路と、
前記密閉ループ上の、該密閉ループを第1のエネルギー伝達回路および第2のエネルギー伝達回路に分割する圧力変位結合化インターフェースであって、前記第1のエネルギー伝達回路の圧力は、前記第2のエネルギー伝達回路の圧力とは異なる圧力変位結合化インターフェースと、
前記第1のエネルギー伝達回路上の第1の流量制御装置であって、前記第1のエネルギー伝達回路に流れるパルス化流により、前記圧力変位結合化インターフェースを介したエネルギー伝達が可能となるように調整された第1の流量制御装置と、
前記第2のエネルギー伝達回路上の第2の流量制御装置であって、前記第2のエネルギー伝達回路に流れるパルス化流により、前記圧力変位結合化インターフェースを介したエネルギー伝達が可能となるように調整された第2の流量制御装置と、
前記圧力変位結合化インターフェースに結合された入出力装置であって、前記圧力変位結合化インターフェースに入る入力エネルギー、および前記圧力変位結合化インターフェースから抽出される抽出エネルギーの少なくとも一つを有する、入出力装置と、
を有し、
前記第1の流量制御装置および前記第2の流量制御装置は、前記第1のエネルギー伝達回路および前記第2のエネルギー伝達回路に流れる前記パルス化流が組み合わされて、前記密閉ループの周囲に流れが形成されるように調整されることを特徴とするエネルギー伝達機。
【請求項2】
前記圧力変位結合化インターフェースは、ピストンまたはダイアフラムを有し、該ピストンまたはダイアフラムは、異なる圧力で、前記密閉ループの両側の間に延伸する溝内に収容されることを特徴とする請求項1に記載のエネルギー伝達機。
【請求項3】
前記圧力変位結合化インターフェースは、前記ピストンと前記溝の対向する両端部との間に、跳ね返り装置を有することを特徴とする請求項2に記載のエネルギー伝達機。
【請求項4】
前記ピストンまたはダイアフラムは、圧縮可能流体が付加する圧力に対抗する前記ピストンまたはダイアフラムの各端部で、表面積が等しいことを特徴とする請求項2または3に記載のエネルギー伝達機。
【請求項5】
前記圧力変位結合化インターフェースは、圧縮可能流体ベアリングにより、前記溝内に支持されたピストンを有することを特徴とする請求項2、3または4に記載のエネルギー伝達機。
【請求項6】
前記圧力変位結合化インターフェースは、フリーピストンを有することを特徴とする請求項2乃至5のいずれか一つに記載のエネルギー伝達機。
【請求項7】
前記圧力変位結合化インターフェースは、1もしくは2以上の圧電変換器または電気活性材料を有し、該圧電変換器または電気活性材料は、前記第1のエネルギー伝達回路と前記第2のエネルギー伝達回路の圧力差に応じて動くように配置されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一つに記載のエネルギー伝達機。
【請求項8】
前記第1の流量制御装置および前記第2の流量制御装置は、圧電バルブまたは電気活性バルブを有することを特徴とする請求項7に記載のエネルギー伝達機。
【請求項9】
前記第1の流量制御装置および前記第2の流量制御装置は、ロータリーバルブを有することを特徴とする請求項2乃至8のいずれか一つに記載のエネルギー伝達機。
【請求項10】
前記入出力装置は、電気エネルギーを出力するように構成されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一つに記載のエネルギー伝達機。
【請求項11】
前記圧力変位結合化インターフェースは、磁気特性を有する少なくとも一つの圧力応答可動素子を有し、
前記入出力装置は、電磁コイルを内蔵しており、
前記圧力応答可動素子は、前記電磁コイルを介して可動するように配置されることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一つに記載のエネルギー伝達機。
【請求項12】
エネルギー伝達機であって、
密閉ループを形成し、圧縮可能流体を収容する通路と、
前記密閉ループ上の、該密閉ループを第1のエネルギー伝達回路および第2のエネルギー伝達回路に分割する圧力変位結合化インターフェースと、
前記第1のエネルギー伝達回路上の第1の流量制御装置であって、前記第1のエネルギー伝達回路に流れるパルス化流により、前記圧力変位結合化インターフェースを介したエネルギー伝達が可能となるように調整された第1の流量制御装置と、
前記第2のエネルギー伝達回路上の第2の流量制御装置であって、前記第2のエネルギー伝達回路に流れるパルス化流により、前記圧力変位結合化インターフェースを介したエネルギー伝達が可能となるように調整された第2の流量制御装置と、
前記圧力変位結合化インターフェースに結合された入出力装置であって、前記圧力変位結合化インターフェースに入る入力エネルギー、および前記圧力変位結合化インターフェースから抽出される抽出エネルギーの少なくとも一つを有する、入出力装置と、
を有し、
前記第1の流量制御装置および前記第2の流量制御装置は、ロータリーバルブであり、
該ロータリーバルブは、前記第1のエネルギー伝達回路および前記第2のエネルギー伝達回路に流れる前記パルス化流が組み合わされて、前記密閉ループの周囲に流れが形成されるように調整されることを特徴とするエネルギー伝達機。
【請求項13】
前記密閉ループは、前記第1のエネルギー伝達回路において、前記第2のエネルギー伝達回路とは異なる圧力で加圧されることを特徴とする請求項12に記載のエネルギー伝達機。
【請求項14】
前記圧力変位結合化インターフェースは、ピストンまたはダイアフラムを有し、該ピストンまたはダイアフラムは、異なる圧力で、前記密閉ループの両側の間に延伸する溝内に収容されることを特徴とする請求項12または13に記載のエネルギー伝達機。
【請求項15】
前記圧力変位結合化インターフェースは、前記ピストンと前記溝の対向する両端部との間に、跳ね返り装置を有することを特徴とする請求項14に記載のエネルギー伝達機。
【請求項16】
前記ピストンまたはダイアフラムは、圧縮可能流体が付加する圧力に対抗する前記ピストンまたはダイアフラムの各端部で、表面積が等しいことを特徴とする請求項14または15に記載のエネルギー伝達機。
【請求項17】
前記圧力変位結合化インターフェースは、圧縮可能流体ベアリングにより、前記溝内に支持されたピストンを有することを特徴とする請求項14、15、または16に記載のエネルギー伝達機。
【請求項18】
前記圧力変位結合化インターフェースは、フリーピストンを有することを特徴とする請求項14乃至17のいずれか一つに記載のエネルギー伝達機。
【請求項19】
前記圧力変位結合化インターフェースは、1もしくは2以上の圧電変換器または電気活性材料を有し、該圧電変換器または電気活性材料は、前記第1のエネルギー伝達回路と前記第2のエネルギー伝達回路の間の圧力差に応じて動くように配置されることを特徴とする請求項14乃至17のいずれか一つに記載のエネルギー伝達機。
【請求項20】
前記入出力装置は、電気エネルギーを出力するように構成されることを特徴とする請求項12乃至19のいずれか一つに記載のエネルギー伝達機。
【請求項21】
前記圧力変位結合化インターフェースは、磁気特性を有する少なくとも一つの圧力応答可動素子を有し、
前記入出力装置は、電磁コイルを内蔵しており、
前記圧力応答可動素子は、前記電磁コイルを介して可動するように配置されることを特徴とする請求項12乃至20のいずれか一つに記載のエネルギー伝達機。
【請求項22】
エネルギー伝達機であって、
密閉ループを形成し、圧縮可能流体を収容する通路と、
前記密閉ループの対向する両側の間に延伸する溝内に収容された、電磁的に制御される回転ピストンを有する圧力変位結合化インターフェースであって、密閉ループを第1のエネルギー伝達回路および第2のエネルギー伝達回路に分割し、前記溝は、少なくともシリンダの一部を形成する、圧力変位結合化インターフェースと、
前記第1のエネルギー伝達回路上の第1の流量制御装置であって、前記第1のエネルギー伝達回路に流れるパルス化流により、前記圧力変位結合化インターフェースを介したエネルギー伝達が可能となるように調整された第1の流量制御装置と、
前記第2のエネルギー伝達回路上の第2の流量制御装置であって、前記第2のエネルギー伝達回路に流れるパルス化流により、前記圧力変位結合化インターフェースを介したエネルギー伝達が可能となるように調整された第2の流量制御装置と、
前記圧力変位結合化インターフェースに結合された入出力装置であって、前記圧力変位結合化インターフェースに入る入力エネルギー、および前記圧力変位結合化インターフェースから抽出される抽出エネルギーの少なくとも一つを有する、入出力装置と、
を有し、
前記電磁的に制御される回転ピストンは、前記第1の流量制御装置および前記第2の流量制御装置の少なくとも一部として機能するように構成された少なくとも一部を有し、
前記第1の流量制御装置および前記第2の流量制御装置は、前記第1のエネルギー伝達回路および前記第2のエネルギー伝達回路に流れる前記パルス化流が組み合わされて、前記密閉ループの周囲に流れが形成されるように調整されることを特徴とするエネルギー伝達機。
【請求項23】
前記密閉ループは、前記第1のエネルギー伝達回路において、前記第2のエネルギー伝達回路とは異なる圧力で加圧されることを特徴とする請求項22に記載のエネルギー伝達機。
【請求項24】
前記入出力装置は、コイルを内蔵する電磁装置を有し、
前記電磁装置は、前記回転ピストンを制御するように構成されることを特徴とする請求項22または23に記載のエネルギー伝達機。
【請求項25】
前記電磁装置は、前記回転ピストンの配向を制御するように構成され、1または2以上のポートから、前記回転ピストンの前記配向を介して流れる気体流の始動を調整することを特徴とする請求項24に記載のエネルギー伝達機。
【請求項26】
さらに、前記1または2以上のポート上に、少なくとも一つのチェックバルブを有し、
前記1または2以上のポートが開の間、前記回転ピストンの回転位置により、前記チェックバルブにわたる圧力差に基づいて、圧縮可能流体の流れが調整されることを特徴とする請求項25に記載のエネルギー伝達機。
【請求項27】
エネルギー伝達機であって、
密閉ループを形成し、圧縮可能流体を収容する通路と、
前記密閉ループの対向する両側の間に延伸する溝内に収容されたピストンを有する圧力変位結合化インターフェースであって、前記密閉ループを第1のエネルギー伝達回路および第2のエネルギー伝達回路に分割する、圧力変位結合化インターフェースと、
前記ピストンと前記溝の対向する両端部の間の、各跳ね返り装置と、
前記第1のエネルギー伝達回路上の第1の流量制御装置であって、前記第1のエネルギー伝達回路に流れるパルス化流により、前記圧力変位結合化インターフェースを介したエネルギー伝達が可能となるように調整された第1の流量制御装置と、
前記第2のエネルギー伝達回路上の第2の流量制御装置であって、前記第2のエネルギー伝達回路に流れるパルス化流により、前記圧力変位結合化インターフェースを介したエネルギー伝達が可能となるように調整された第2の流量制御装置と、
前記圧力変位結合化インターフェースに結合された入出力装置であって、前記圧力変位結合化インターフェースに入る入力エネルギー、および前記圧力変位結合化インターフェースから抽出される抽出エネルギーの少なくとも一つを有する、入出力装置と、
を有し、
前記第1の流量制御装置および前記第2の流量制御装置は、前記第1のエネルギー伝達回路および前記第2のエネルギー伝達回路に流れる前記パルス化流が組み合わされて、前記密閉ループの周囲に流れが形成されるように調整されることを特徴とするエネルギー伝達機。
【請求項28】
前記密閉ループは、前記第1のエネルギー伝達回路において、前記第2のエネルギー伝達回路とは異なる圧力で加圧されることを特徴とする請求項27に記載のエネルギー伝達機。
【請求項29】
前記ピストンは、圧縮可能流体ベアリングにより、前記溝内に支持されることを特徴とする請求項27または28に記載のエネルギー伝達機。
【請求項30】
前記溝は、前記第1の流量制御装置および前記第2の流量制御装置を超えて延伸する部分を有し、
前記溝内での前記ピストンの跳ね返り動作のフェーズの間、前記第1の流量制御装置および前記第2の流量制御装置が分離される、跳ね返りチャンバが提供されることを特徴とする請求項27、28または29に記載のエネルギー伝達機。
【請求項31】
エネルギー伝達機であって、
密閉ループを形成し、圧縮可能流体を収容する通路と、
前記密閉ループの対向する両側に、圧電変換器または電気活性材料を有する圧力変位結合化インターフェースであって、前記密閉ループを第1のエネルギー伝達回路および第2のエネルギー伝達回路に分割する、圧力変位結合化インターフェースと、
前記第1のエネルギー伝達回路上の第1の流量制御装置であって、前記第1のエネルギー伝達回路に流れるパルス化流により、前記圧力変位結合化インターフェースを介したエネルギー伝達が可能となるように調整された第1の流量制御装置と、
前記第2のエネルギー伝達回路上の第2の流量制御装置であって、前記第2のエネルギー伝達回路に流れるパルス化流により、前記圧力変位結合化インターフェースを介したエネルギー伝達が可能となるように調整された第2の流量制御装置と、
前記圧力変位結合化インターフェースに結合された入出力装置であって、前記圧力変位結合化インターフェースに入る入力エネルギー、および前記圧力変位結合化インターフェースから抽出される抽出エネルギーの少なくとも一つを有する、入出力装置と、
を有し、
前記第1の流量制御装置および前記第2の流量制御装置は、前記第1のエネルギー伝達回路および前記第2のエネルギー伝達回路に流れる前記パルス化流が組み合わされて、前記密閉ループの周囲に流れが形成されるように調整されることを特徴とするエネルギー伝達機。
【請求項32】
前記密閉ループは、前記第1のエネルギー伝達回路において、前記第2のエネルギー伝達回路とは異なる圧力で加圧され、
前記密閉ループの対向する両側の間で、圧力が異なることを特徴とする請求項31に記載のエネルギー伝達機。
【請求項33】
前記圧縮可能流体は、前記密閉ループ内で加圧されることを特徴とする請求項1乃至32のいずれか一つに記載のエネルギー伝達機。
【請求項34】
前記密閉ループの周囲の流れは、一方向性であることを特徴とする請求項1乃至33のいずれか一つに記載のエネルギー伝達機。
【請求項35】
前記密閉ループの対向する両側の前記圧力変位結合化インターフェース内の圧力応答素子は、対応する動きを行うように調整されることを特徴とする請求項1乃至34のいずれか一つに記載のエネルギー伝達機。
【請求項36】
前記第1の流量制御装置および前記第2の流量制御装置は、電気的入力により制御されることを特徴とする請求項1乃至35のいずれか一つに記載のエネルギー伝達機。
【請求項37】
エネルギー伝達の方法であって、
密閉ループを形成する通路内に、圧縮可能流体を収容するステップであって、前記圧縮可能流体は、前記密閉ループ内で一定の相を有するステップと、
前記密閉ループ上に、圧力変位結合化インターフェースを提供するステップであって、前記圧力変位結合化インターフェースは、前記密閉ループを第1のエネルギー伝達回路および第2のエネルギー伝達回路に分割し、前記第1のエネルギー伝達回路における圧力は、前記第2のエネルギー伝達回路における圧力とは異なるステップと、
前記第1のエネルギー伝達回路上の第1の流量制御装置を調整するステップであって、前記第1のエネルギー伝達回路を流れるパルス化流により、前記圧力変位結合化インターフェースを介したエネルギー伝達が可能となるステップと、
前記第2のエネルギー伝達回路上の第2の流量制御装置を調整するステップであって、前記第2のエネルギー伝達回路を流れるパルス化流により、前記圧力変位結合化インターフェースを介したエネルギー伝達が可能となるステップと、
前記第1の流量制御装置および前記第2の流量制御装置を調整して、前記第1のエネルギー伝達回路および前記第2のエネルギー伝達回路に流れる前記パルス化流が組み合わされて、前記密閉ループの周囲に流れが形成されるようにするステップと、
前記圧力変位結合化インターフェースに入出力装置を結合するステップであって、前記圧力変位結合化インターフェースに入る入力エネルギー、および前記圧力変位結合化インターフェースから抽出される抽出エネルギーの少なくとも一つが得られるステップと、
を有する方法。
【請求項38】
さらに、前記第1のエネルギー伝達回路と前記第2のエネルギー伝達回路の間に、熱差を適用するステップと、
前記圧力変位結合化インターフェースに出力装置を結合して、前記エネルギー伝達装置からエネルギーを抽出するステップと、
を有することを特徴とする請求項37に記載のエネルギー伝達の方法。
【請求項39】
前記圧力変位結合化インターフェースは、異なる圧力で、前記密閉ループの対向する両側に、圧電変換器または電気活性素子を有することを特徴とする請求項37に記載のエネルギー伝達の方法。
【請求項40】
エネルギー伝達の方法であって、
密閉ループを形成する通路内に、圧縮可能流体を収容するステップと、
前記密閉ループ上に、圧力変位結合化インターフェースを提供するステップであって、前記圧力変位結合化インターフェースは、前記密閉ループを第1のエネルギー伝達回路および第2のエネルギー伝達回路に分割し、前記第1のエネルギー伝達回路における圧力は、前記第2のエネルギー伝達回路における圧力とは異なるステップと、
前記第1のエネルギー伝達回路上の第1の流量制御装置を調整するステップであって、前記第1のエネルギー伝達回路に流れるパルス化流により、前記圧力変位結合化インターフェースを介したエネルギー伝達が可能となるステップと、
前記第2のエネルギー伝達回路上の第2の流量制御装置を調整するステップであって、前記第2のエネルギー伝達回路に流れるパルス化流により、前記圧力変位結合化インターフェースを介したエネルギー伝達が可能となるステップと、
前記第1の流量制御装置および前記第2の流量制御装置を調整するステップであって、前記第1のエネルギー伝達回路および前記第2のエネルギー伝達回路に流れる前記パルス化流が組み合わされて、前記密閉ループの周囲に流れが形成され、
前記圧力変位結合化インターフェースは、
前記密閉ループの対向する両側間に延伸する溝内のフリー回転ピストン、
前記溝の両端部とピストンの間に跳ね返り装置を有する溝内の少なくとも一つのピストン、
前記密閉ループの対向する両側の間に延伸する溝内のダイアフラム、
前記密閉ループの対向する両側に圧力を与えるように露出された圧電変換器、
前記密閉ループの片側もしくは両側の電気活性素子、および
前記密閉ループの対向する両側の各圧電変換器、
のうちの少なくとも一つを有するステップと、
前記圧力変位結合化インターフェースに入出力装置を結合するステップであって、前記圧力変位結合化インターフェースに入る入力エネルギー、および前記圧力変位結合化インターフェースから抽出される抽出エネルギーの少なくとも一つが得られるステップと、
を有する方法。
【請求項41】
前記第1の流量制御装置は、前記第1のエネルギー伝達回路に、高温圧縮可能流体入口バルブと、低温圧縮可能流体放出バルブとを有し、
前記第2の流量制御装置は、前記第2のエネルギー伝達回路に、高温圧縮可能流体放出バルブと、低温圧縮可能流体取り入れバルブとを有し、
前記第1のエネルギー伝達回路は、低温圧縮可能流体を有する前記第2のエネルギー伝達回路に比べて、高温の圧縮可能流体を有し、
前記圧力変位結合化インターフェースは、第1のエネルギー伝達回路および第2のエネルギー伝達回路における圧力に応答する可動素子を有することを特徴とする請求項37乃至40のいずれか一つに記載のエネルギー伝達の方法。
【請求項42】
前記第1の流量制御装置および前記第2の流量制御装置を調整するステップは、
圧力が前記高温圧縮可能流体入口バルブにわたって等しくなった際に、前記高温圧縮可能流体入口バルブを開き、高温圧縮可能流体の所定の体積が前記高温圧縮可能流体入口バルブを通過した際に、前記高温圧縮可能流体入口バルブを閉じるステップと、
圧力が前記低温圧縮可能流体放出バルブにわたって等しくなった際に、前記低温圧縮可能流体放出バルブを開き、低温圧縮可能流体の所定の体積が前記低温圧縮可能流体放出バルブを通過した際に、前記低温圧縮可能流体放出バルブを閉じるステップと、
圧力が前記高温圧縮可能流体放出バルブにわたって等しくなった際、前記高温圧縮可能流体放出バルブを開き、前記高温圧縮可能流体放出バルブを介して、高温圧縮可能流体の所定の体積が放出された際に、前記高温圧縮可能流体放出バルブを閉じるステップと、
圧力が前記低温圧縮可能流体入口バルブわたって等しくなった際に、前記低温圧縮流体入口バルブを開き、低温圧縮可能流体の所定の体積が前記低温圧縮可能流体入口バルブを通過した際に、前記低温圧縮可能流体入口バルブを閉じるステップと、
を有することを特徴とする請求項41に記載のエネルギー伝達の方法。
【請求項43】
前記圧力変位結合化インターフェースの前記可動素子の動きは、前記可動素子に印加された圧縮可能流体のパルス、および前記入出力装置を介して印加されたエネルギーの少なくとも一つによって始動されることを特徴とする請求項42に記載のエネルギー伝達の方法。
【請求項44】
前記圧力変位結合化インターフェースの前記可動素子は、前記可動素子の対向する両側の圧力に応じて動くことを特徴とする請求項42に記載のエネルギー伝達の方法。
【請求項45】
前記圧縮可能流体は、前記密閉ループ内で、大気圧を超える圧力に加圧されることを特徴とする請求項37乃至44のいずれか一つに記載のエネルギー伝達の方法。
【請求項46】
前記密閉ループの周囲の流れは、一方向性であることを特徴とする請求項37乃至45のいずれか一つに記載のエネルギー伝達の方法。
【請求項47】
エネルギー伝達機であって、
シリンダを有するシールされた圧力チャンバを有する圧力変位結合化インターフェースであって、前記シリンダは、高温端および低温端と、前記シリンダ内で往復運動するように配置されたフリーピストンとを有し、前記フリーピストンは、前記シリンダの前記高温端を、前記シリンダの前記低温端から分離し、前記フリーピストンは、表面積が等しい、対向する両端部を有する、圧力変位結合化インターフェースと、
前記フリーピストンに結合され、前記フリーピストンの往復運動を電気エネルギーに変換する発電機と、
前記シリンダを介して結合され、密閉ループを形成する、高温回路および低温回路と、
複数のバルブと、
を有し、
前記複数のバルブは、
前記シリンダの前記高温端に配置され、前記高温回路と前記シリンダの前記高温端との間に、流体シールを形成する高温入口バルブと、
前記シリンダの前記高温端に配置され、前記低温回路と前記シリンダの前記高温端との間に、流体シールを形成する高温放出バルブと、
前記シリンダの前記低温端に配置され、前記低温回路と前記シリンダの前記低温端の間に、流体シールを形成する低温入口バルブと、
前記シリンダの前記低温端に配置され、前記高温回路と前記シリンダの前記低温端の間に、流体シールを形成する低温放出バルブと、
を有するエネルギー伝達機。
【請求項48】
前記発電器は、さらに、電磁発生器を有し、
前記フリーピストンは、前記発電器に結合されることを特徴とする請求項47に記載のエネルギー伝達機。
【請求項49】
さらに、複数のバルブに信号を送るように構成された制御システムを有し、
前記複数のバルブは、前記制御システムからの制御信号に応答して、開閉されることを特徴とする請求項47に記載のエネルギー伝達機。
【請求項50】
前記複数のバルブは、電気的に活性化されるバルブを有することを特徴とする請求項47に記載のエネルギー伝達機。
【請求項51】
さらに、前記低温回路と前記高温回路の間に接続された、熱交換器を有することを特徴とする請求項47乃至50のいずれか一つに記載のエネルギー伝達機。
【請求項52】
前記フリーピストンは、さらに、回転ピストンを有し、
当該エネルギー伝達機は、さらに、前記回転ピストン内に流体流溝を有することを特徴とする請求項47乃至51のいずれか一つに記載のエネルギー伝達機。
【請求項53】
前記フリーピストンの1または2以上の部分は、1または2以上の前記バルブの一部として機能することを特徴とする請求項52に記載のエネルギー伝達機。
【請求項54】
前記複数のバルブは、ある方向においてのみ回転するロータリーバルブを有することを特徴とする請求項47乃至52のいずれか一つに記載のエネルギー伝達機。
【請求項55】
前記発電器は、さらに、接続アームによって前記フリーピストンに接続されたクランクシャフトを有することを特徴とする請求項47に記載のエネルギー伝達機。
【請求項56】
前記フリーピストンは、前記シリンダ内で気体ベアリングに支持されることを特徴とする請求項47乃至55のいずれか一つに記載のエネルギー伝達機。
【請求項57】
当該エネルギー伝達機の作動の間、前記単一の流体ループを通る流体の一方向流が生じることを特徴とする請求項47乃至56のいずれか一つに記載のエネルギー伝達機。
【請求項58】
当該エネルギー伝達機の作動の間、当該エネルギー伝達機内の作動流体は、相が変化しないことを特徴とする請求項47乃至57のいずれか一つに記載のエネルギー伝達機。
【請求項59】
さらに、4つの気体チャンバを有し、
各気体チャンバは、前記複数のバルブの各々に隣接する、前記シリンダの外部で、前記単一の流体ループに連通されることを特徴とする請求項47乃至58のいずれか一つに記載のエネルギー伝達機。
【請求項60】
前記圧力変位結合化インターフェースは、シリンダを形成する2以上の溝およびピストンを有し、
各シリンダは、前記密閉ループの対向する両側の圧力により活性化され、前記ピストンは、反対の動きで可動するように取り付けられることを特徴とする請求項1乃至29、または47乃至58のいずれか一つに記載のエネルギー伝達機。
【請求項61】
さらに、第1の反発バネおよび第2の反発バネを有し、
前記第1の反発バネは、前記シリンダの内部の、前記シリンダの高温端と前記フリーピストンの間に配置され、
前記第2の反発バネは、前記シリンダの内部の、前記シリンダの低温端と前記フリーピストンの間に配置されることを特徴とする請求項47乃至59のいずれか一つに記載のエネルギー伝達機。
【請求項62】
前記フリーピストンは、さらに、ダイアフラムピストンを有することを特徴とする請求項42乃至60のいずれか一つに記載のエネルギー伝達機。
【請求項63】
さらに、前記シリンダの前記高温端および前記低温端の一つから延在する、電力取り出しシャフトを有し、
該電力取り出しシャフトは、発電器の駆動のため、またはポンプもしくは圧縮機のような他の仕事のため、接続されることを特徴とする請求項47に記載のエネルギー伝達機。
【請求項64】
前記高温回路と前記低温回路の間の熱差は、以下のいずれか一つによって提供されることを特徴とする請求項47乃至62のいずれか一つに記載のエネルギー伝達機:
自然に生じる熱差、産業プロセスからの廃熱、燃料の燃焼からの膨脹熱、昼と夜の温度差、サブグラウンドと周囲空気の間の温度差、水の表面と水の表面より深い位置の間の温度差、および日向領域と日陰領域の間の温度差。
【請求項65】
当該エネルギー伝達機は、昼と夜の間の熱差を採用するように作動することを特徴とする請求項1乃至64のいずれか一つに記載のエネルギー伝達機。
【請求項66】
さらに、第1組の磁石および第2組の磁石を有し、
前記第1組の磁石は、それぞれ、前記フリーピストンおよび前記シリンダの高温端に配置され、前記フリーピストンが前記シリンダの高温端に隣接されると、前記フリーピストンと前記シリンダの高温端の間に磁気的反発力が形成されるように配向され、
前記第2組の磁石は、それぞれ、前記フリーピストンおよび前記シリンダの低温端に配置され、前記フリーピストンが前記シリンダの低温端に隣接されると、前記フリーピストンと前記シリンダの低温端の間に磁気的反発力が形成されるように配向されることを特徴とする請求項47乃至60のいずれか一つに記載のエネルギー伝達機。
【請求項67】
さらに、昼間の間、1または2以上の熱エネルギー保管マスにエネルギーを保管するステップと、
保管されたエネルギーを使用して、夜に電力を形成するステップと
を有することを特徴とする請求項37乃至46のいずれか一つに記載の方法。
【請求項68】
前記1または2以上の熱エネルギー保管マスの少なくとも一部として、1または2以上の水リザーバが使用されることを特徴とする請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記1または2以上の熱エネルギー保管マスの少なくとも一部として、1または2以上の固体ヒートシンクが使用されることを特徴とする請求項67に記載の方法。
【請求項70】
ヒートシンクまたは熱源として、1または2以上の液体もしくは固体マスが交互に使用されることを特徴とする請求項67に記載の方法。
【請求項71】
1または2以上のマスは、あるときには、熱保管マスとして交互に使用され、別のときには、当該エネルギー伝達の方法の作動の間、熱源として使用されることを特徴とする請求項37乃至46のいずれか一つに記載の方法。
【請求項72】
当該方法は、前記第1のエネルギー伝達回路と前記第2のエネルギー伝達回路の間の熱エネルギー流の方向が反転するように操作されることを特徴とする請求項37乃至46、および67乃至71のいずれか一つに記載の方法。
【請求項73】
前記反転は、夜と昼の周期に対応する時間インターバルで生じることを特徴とする請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記反転は、周囲の気温が前記第1のエネルギー電圧回路に接する熱保管マスの温度よりも低くなるときの周期に対応した時間インターバルで生じることを特徴とする請求項72に記載の方法。
【請求項75】
前記反転は、加熱、冷却、または発電に使用されることを特徴とする請求項72に記載の方法。
【請求項76】
前記エネルギー流を反転させるステップは、前記密閉ループを通る流体の流れを反転させるステップ、または前記圧力変位結合化インターフェースの前記高温側および低温側を切り替えることにより、前記流体流方向を変化させずに、前記エネルギー流の方向を変化させるステップを有することを特徴とする請求項72に記載の方法。
【請求項77】
エネルギー流を反転させるステップは、流量制御装置の開閉タイミングを変化させることにより行われることを特徴とする請求項76に記載の方法。
【請求項78】
電流を発生させる方法であって、
電気コイル内でシリンダのピストンを振動させるステップと、
前記ピストンを回転させ、前記電気コイルに生じる電流を変化させるステップと、
を有する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公表番号】特表2010−531943(P2010−531943A)
【公表日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−512471(P2010−512471)
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【国際出願番号】PCT/CA2008/001149
【国際公開番号】WO2008/154730
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(509350044)コールド パワー システムズ インコーポレイテッド (1)