エネルギー使用量推定装置およびエネルギー使用量推定方法
【課題】
総負荷消費エネルギーの時系列変化から、設備毎の消費エネルギーの内訳を精度よく推定することができるエネルギー使用量推定装置を提供する。
【解決手段】
推定部12は、需要地の引込線における所定箇所で測定した総負荷電流及び電圧に基づいて、総負荷電力を算出し、一定時間の総負荷電力の平均値および総負荷電力の速度の絶対値の平均値から各設備の動作状態を推定する。推定した動作状態に基づき、各設備の個別の消費エネルギーを推定する。
総負荷消費エネルギーの時系列変化から、設備毎の消費エネルギーの内訳を精度よく推定することができるエネルギー使用量推定装置を提供する。
【解決手段】
推定部12は、需要地の引込線における所定箇所で測定した総負荷電流及び電圧に基づいて、総負荷電力を算出し、一定時間の総負荷電力の平均値および総負荷電力の速度の絶対値の平均値から各設備の動作状態を推定する。推定した動作状態に基づき、各設備の個別の消費エネルギーを推定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビルや駅などの商業施設において、照明設備および空調設備の消費エネルギー量を個別に測定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
CO2削減の観点からビルや駅などの商業施設において時々刻々の照明設備および空調設備のそれぞれの消費エネルギー量を監視する要望が高まっている。商業施設によっては、照明および空調の合計の消費エネルギー量を計測するための計測装置のみが設置されており、照明および空調個別の消費エネルギー量を直接計測することができない。
【0003】
特許文献1に開示されている装置は、複数の機器のそれぞれ毎に消費エネルギー量の時間変化を示す個別消費パターンを記憶する第1データベースと、前記複数の機器の全体による消費エネルギー量の時間変化を計測して全体消費時系列データを取得する計測手段と、総和が、前記全体消費時系列データに最も類似するように、前記機器毎にそれぞれの個別消費パターンのうちの少なくとも1つを選択するパターン選択部と、前記機器毎に選択された個別消費パターンと、前記全体消費時系列データに基づき、前記機器が実際に消費した消費エネルギー量の時間変化を示す個別消費時系列データを推定する配分計算部とを備える。これにより、各機器でそれぞれ実際に消費した消費エネルギー量を適正に推定できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−176984
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1で開示される技術では、個別に計測したい機器のそれぞれ毎に、消費エネルギー量の時間変化を示す個別消費パターンを抽出し、第1データベースに記憶する必要がある。しかし、商業施設など多数の機器が使用される場合、機器個別の消費パターンを計測することは容易ではない。
【0006】
本発明は、上記従来の課題を解決すべくなされたものであり、電気機器の総負荷消費エネルギー量の時間変化の特徴を解析し、機器個別の消費エネルギー量を精度良く推定することのできる実用的なエネルギー使用量推定装置およびエネルギー使用量推定方法エネルギー使用量推定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係るエネルギー使用量推定装置は、需要地の引込線における所定箇所で測定した総負荷電流及び電圧に基づいて総負荷消費エネルギーを算出し、総負荷消費エネルギーの絶対値または変化速度の絶対値の平均値の時系列データおよび現在時刻を用いて、引き込み線につながる空調設備と照明設備のそれぞれの稼動状態を推定し、各設備毎の消費エネルギーの内訳を推定する推定手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、事前学習が不要な推定処理を用いて、各設備の消費エネルギーを精度よく推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1に係るエネルギー使用量推定装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るエネルギー使用量推定装置の設置態様について説明するための図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係るエネルギー使用量推定装置の測定部の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係るエネルギー使用量推定装置の推定部の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係るエネルギー使用量推定装置の機器情報メモリの記憶内容の一例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係るエネルギー使用量推定装置の消費エネルギーの推定手順を示すフローチャート図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係るエネルギー使用量推定装置の待機電力の推定手順を示すフローチャート図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係るエネルギー使用量推定装置の照明設備が動作していることを示す特徴量の算出手順を示すフローチャート図である。
【図9】本発明の実施の形態1に係るエネルギー使用量推定装置の空調設備が動作していることを示す特徴量の算出手順を示すフローチャート図である。
【図10】本発明の実施の形態1に係るエネルギー使用量推定装置を利用したビルの全体の消費電力の実際の一例を示す図(その1)である。
【図11】本発明の実施の形態1に係るエネルギー使用量推定装置を利用したビルの全体の消費電力の実際の一例を示す図(その2)である。
【図12】本発明の実施の形態1に係るエネルギー使用量推定装置による空調設備の消費エネルギーと照明設備の消費エネルギーの推定結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係るエネルギー使用量推定装置について図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係るエネルギー使用量推定装置1の構成を示すブロック図である。エネルギー使用量推定装置1は、測定部10と、計器用変成器20と、計器用変流器30と、から構成される。エネルギー使用量推定装置1は、図2に示すように、ビルや商業施設などの電力の需要家の分電盤2近傍に設置され、需要家内で使用される照明設備40と空調設備50の合計電力を測定する。空調設備50、照明設備40は電力以外のエネルギーを使用しないため、前記の合計電力は、空調設備50、照明設備40の消費エネルギーの合計と等価である。
【0012】
分電盤2は、引込線4を介して電気事業者等の電力系統に接続されている。また、分電盤2には、照明設備40と空調設備50に電力を供給するための電力供給線6が接続されている。
【0013】
図2に示すように、計器用変成器20は、A相用の計器用変成器201aと、B相用の計器用変成器201bとC相用の計器用変成器201cから構成され、計器用変流器30は、A相用の計器用変流器301aと、B相用の計器用変流器301bと、C相用の計器用変流器301cから構成されている。
【0014】
計器用変成器201aは、一次側がA相4aとB相4bとの間に接続され、二次側からA相4a、B相4b間の電圧と相似の電圧VAを出力する。計器用変成器201aの二次側は、同軸ケーブル等の接続線202aを介して、測定部10に接続されている。計器用変成器201bは、一次側がB相4bとC相4cとの間に接続され、二次側からB相4b、C相4c間の電圧と相似の電圧VBを出力する。計器用変成器201bの二次側は、同軸ケーブル等の接続線202bを介して、測定部10に接続されている。計器用変成器201cは、一次側がC相4cとA相4aとの間に接続され、二次側からC相4c、A相4a間の電圧と相似の電圧VCを出力する。計器用変成器201cの二次側は、同軸ケーブル等の接続線202cを介して、測定部10に接続されている。
【0015】
計器用変流器301aは、A相4aに流れる電流を一次側で測定して二次側からA相の電流と相似の電流IAを出力する。計器用変流器301aの二次側は、同軸ケーブル等の接続線302aを介して、測定部10に接続されている。計器用変流器301bは、B相4bに流れる電流を一次側で測定して二次側からB相の電流と相似の電流IBを出力する。計器用変流器301bの二次側は、同軸ケーブル等の接続線302bを介して、測定部10に接続されている。計器用変流器301cは、C相4cに流れる電流を一次側で測定して二次側からC相の電流と相似の電流ICを出力する。計器用変流器301cの二次側は、同軸ケーブル等の接続線302cを介して、測定部10に接続されている。なお、本実施形態では、計器用変流器301a、301b、301cとして、貫通型又はクランプ型の構造を有する計器用変流器を採用する。
【0016】
測定部10は、図3に示すように、データ抽出部11と、推定部12と、通信部13と、を備える。通信部13は、図示しない他のシステムと通信を行い、計測した照明設備40と空調設備50の総負荷消費エネルギー、推定した照明設備40の消費エネルギー、推定した空調設備50の消費エネルギーを他システムに対して送信する。データ抽出部11は、計器用変成器20及び計器用変流器30から出力される電圧及び電流に基づいて、総負荷電流の商用周波数1周期分のデータを抽出し、1周期毎の電力を計測する。さらに、これを1分間(商用周波数50Hzの場合に120周期)積算し、1分間の平均値を計算する。算出した平均値は図示しないメモリ上に記録する。本実施形態では、測定部は、CPUなどの演算装置、メモリなどの記憶装置、および動作を定義するプログラムコードで構成する。
【0017】
推定部12は、データ抽出部11が計測した消費電力から空調設備50と照明設備40のそれぞれの消費エネルギーを推定する。より詳細には、推定部12は、図4に示すように、現在時刻を管理する時計部121、照明設備40の動作状態を推定する照明推定部122、空調設備50の動作状態を推定する空調推定部123、照明設備40、空調設備50の動作状態から個々の消費エネルギーを推定する消費エネルギー推定部124、照明設備40および空調設備50の時間帯別の既知の動作状態を記憶する機器情報メモリ125を備える。機器情報メモリ125には、設備名、開始時刻、終了時刻、開始時刻〜終了時刻における設備の状態が表形式で記録されている。
【0018】
時計部121は、現在時刻を計測して、照明推定部122、空調推定部123に渡す。現在時刻とは、計測日の年、月、日および計測した時刻の時、分、秒のことである。
【0019】
照明推定部122は、時計部121より受け取る現在時刻をキーとして、機器情報メモリ125に記録された照明設備40の動作状態を参照する。この際、機器情報メモリ125から参照された機器の動作状態がONまたはOFFである場合は、その旨を消費エネルギー推定部124に渡す。機器情報メモリ125から参照された機器の動作状態が「未定」である場合は、照明設備40の動作状態の推定動作を行い、照明設備40の動作状態がONであるのかOFFであるのかを推定し、その結果を消費エネルギー推定部124に渡す。
【0020】
照明推定部122は、以下の手順により、現在の照明設備40の動作状態を機器情報メモリ125より参照する。まず、現在時刻を時計部121より取得し、機器情報メモリ125の装置の種別が「照明」となっている行を抽出する。これをグループAとする。次に、グループAから、開始時刻の列が現在時刻よりも早い時刻となっている行を抽出する。これをグループBとする。次に、グループBの中から終了時刻の列が 現在時刻よりも遅い行を抽出する。以上の操作により、最終的に残るグループには、現在の照明設備40の状態を示す行を抽出することができる。
【0021】
なお、ここで照明設備40の動作状態がONであるとは、照明設備40が電気エネルギーを用いて、光を発している状態のことである。また、照明設備40の動作状態がOFFであるとは、照明設備40が光を発していない状態のことである。
【0022】
空調推定部123は、時計部121より受け取る現在時刻をキーとして、機器情報メモリ125に記録された空調設備50の動作状態を参照する。この際、機器情報メモリ125から参照された空調設備50の動作状態がONまたはOFFである場合は、その旨を消費エネルギー推定部124に渡す。機器情報メモリ125から参照された機器の動作状態が「未定」である場合は、空調設備50の動作状態の推定動作を行い、空調設備50の動作状態がONであるのかOFFであるのかを推定し、その結果を消費エネルギー推定部124に渡す。
【0023】
また、空調推定部123は、以下の手順により、現在の空調設備50の動作状態を機器情報メモリ125より参照する。まず、現在時刻を時計部121より取得し、機器情報メモリ125の装置の列が「空調」となっている行を抽出する。これをグループCとする。次に、グループCより、開始時刻の列が現在時刻よりも早い時刻となっている行を抽出する。これをグループDとする。次に、グループDより、終了時刻の列が現在時刻よりも遅い行を抽出する。以上の操作により、現在の空調設備50の状態を示す行を抽出することができる。
【0024】
なお、ここで空調設備50の動作状態がONであるとは、空調設備50が電気エネルギーを用いて、冷房、暖房、送風、ドライ、換気などの運転を行なって室内の空気を制御している状態のことである。また、空調設備50の動作状態がOFFであるとは、空調設備50が冷房、暖房、送風、ドライなどの運転を行なわず、室内の空気を制御していない状態のことである。
【0025】
消費エネルギー推定部124は、空調設備50および照明設備40のそれぞれの消費エネルギーを推定する。本実施形態では、消費エネルギーとは、前述したように各設備の消費電力と等価である。消費エネルギー推定部124は、照明推定部122より照明設備40の動作状態がONまたはOFFであるという結果を受け取り、空調推定部123より空調設備50の動作状態がONまたはOFFであるという結果を受けとり、これらの情報よりそれぞれの消費エネルギーを推定する。なお、推定の具体的な計算方法については後述する。推定結果であるそれぞれの推定消費エネルギー量は、図示しないメモリ上に全て記憶する。
【0026】
また、消費エネルギー推定部124は、一日に一度、待機電力情報の更新作業を行う。更新作業の具体的手順については後述する。なお、ここで待機電力とは、空調設備50および照明設備40が、両方ともOFFの場合に計測される合計電力のことである。空調設備50および照明設備40は、動作状態がOFFの場合であっても、微小の電力を消費している。これらは、例えばマイコンの制御や、リモコンの動作などに使用されている。算出した待機電力情報は図示しない消費エネルギー推定部124内にあるメモリに記録する。待機電力は1日中一定量が消費されるため、これらを空調設備50と照明設備40に分けて推定することはできず、このために待機電力のみ別に管理する。
【0027】
機器情報メモリ125は、空調設備50、照明設備40のそれぞれについて、開始時刻から終了時刻の間の動作状態が表形式で予め記録されている。図5の例では、0時〜4時までの空調設備50の動作状態がOFF、4時〜9時までの空調設備50の動作状態が未定、9時〜17時までの空調設備50の動作状態がON、17時〜24時までの空調設備50の動作状態が未定、0時〜4時までの照明設備40の動作状態がOFF、4時〜6時までの照明設備40の動作状態が未定、6時〜23時までの照明設備40の動作状態がON、23時〜0時までの照明設備40の動作状態が未定であることが記録されている。ここで動作状態が未定であるとは、装置の動作状態がONまたはOFFのいずれか一方ではあるが、時刻のみからは確定することができない状態であることを示している。例えば、空調設備50や照明設備40は、起動ないし終了時刻が日毎に微妙に異なる。このため、空調や照明の動作状態がONからOFFまたはOFFからONに切り替わる時間帯については、動作状態を未定として機器情報メモリ125に記憶し、後述する推定方法により、ONまたはOFFのいずれであるかを推定する。
【0028】
このような機器情報メモリ125を持つことにより、照明推定部122および空調推定部123における照明の動作状態、空調の動作状態の推定精度を向上させることができる。例えば、商業施設などでは営業時間が厳密に決まっており、例えば、7時〜22時が営業時間である場合、0時〜4時などは、確実に照明の動作状態がOFFである。また、営業時間である7時〜22時は、確実に照明の動作状態がONである。このような施設の運用ルールからもたらされる情報が機器情報メモリ125には記録されている。記憶された照明設備40、空調設備50の時刻毎の動作状態を、現在時刻をキーとして参照することで、動作状態が確定している時刻に対する推定の誤りをなくすことができる。
【0029】
次に、推定部12が照明設備40および空調設備50それぞれの消費エネルギーの推定を行う手順について図6を参照して詳細に説明する。先ず、時計部121より現在の日付と時刻を取得する(ステップS101)。
【0030】
次に、照明推定部122は、照明設備40の動作状態を推定する(ステップS102)。具体的には、まず、時計部121より渡された現在時刻より、機器情報メモリ125から現在の動作状態を参照する。参照方法については前述した通りである。参照した結果が「ON」または「OFF」である場合には、その旨を消費エネルギー推定部124に渡す。参照した結果が「未定」の場合には、次に説明する手順により動作状態の推定を行う。 まず、現在時刻から過去10分間の1分毎の消費電力の推移をデータ抽出部11より取得する。次に、後述する照明の動作状態を示す特徴量を算出し、この値が0以上である場合に動作状態を「ON」と推定し、0未満である場合に動作状態を「OFF」と推定する。推定結果は、消費エネルギー推定部124に渡す。
【0031】
次に、空調推定部123は、空調設備50の動作状態を推定する(ステップS103)。まず、時計部121より渡された現在時刻より、機器情報メモリ125から現在の動作状態を参照する。この参照方法については前述した通りである。参照した結果が「ON」または「OFF」である場合には、その旨を消費エネルギー推定部124に渡す。参照した結果が「未定」の場合には、次に説明する手順により動作状態の推定を行う。 まず、現在時刻から過去10分間の1分毎の消費電力の推移をデータ抽出部11より取得する。次に、後述する空調の動作状態を示す特徴量を算出し、この値が0以上である場合に動作状態を「ON」と推定し、0未満である場合に動作状態を「OFF」と推定する。推定結果は、消費エネルギー推定部124に渡す。
【0032】
最後に、消費エネルギー推定部124は、空調設備50および照明設備40の個々の消費エネルギーを推定する(ステップS104)。消費エネルギー推定部124は、照明推定部122より照明設備40の動作状態がONまたはOFFであるという結果を受け取り、空調推定部123より空調設備50の動作状態がONまたはOFFであるという結果を受けとっている。照明設備40がONで、空調設備50がOFFである場合には、データ抽出部11が計測した現在の消費電力から待機電力を引いた電力を照明設備40の消費電力とし、空調設備50の消費電力を0とする。照明設備40がOFFで、空調設備50がONである場合には、データ抽出部11が計測した現在の消費電力から待機電力を引いた電力を空調設備50の消費電力とし、照明設備50の消費電力を0とする。照明設備40がOFFで、空調設備50もOFFである場合には、空調設備50の消費電力を0、照明設備40の消費電力を0とする。照明設備40がONで、空調設備50もONである場合には、照明設備40の電力を最近の照明設備40の消費電力とし、空調設備50の消費電力は現在の消費電力から、先に推定した照明設備40の消費電力と待機電力を引いた電力とする。ここで最近の照明設備40の消費電力とは、最近に照明設備40がONで、空調設備50がOFFであった状態において算出された照明設備40の消費電力のことである。これらの推定結果は、図示しないメモリ上に全て記憶する。
【0033】
空調設備50がONで照明設備40もONである場合の消費電力の推定方法について、例を用いて詳細に説明する。例えば、午前7時に第一の推定が行われ、午前7時10分に第二の推定が行われたとする。第一の推定における推定結果が、照明設備40がONで、空調設備50がOFFであり、照明設備40の推定電力が1KW、空調設備50の推定電力が0KWであったとする。次に、第二の推定における推定結果が、照明設備40がON、空調設備50がONであり、総負荷電力が3KW、待機電力が1KWであったとする。この場合、照明設備40の消費電力の推定結果は、午前7時に行われた第一の推定における推定結果である1KWのままとする。なぜならば、午前7時に行われた第一の推定は、午前7時10分に行われた第二の推定から最近の推定結果だからである。そして、空調設備50の推定結果は、総負荷電力3KWから、待機電力1KWと照明設備40の推定電力1KWを引いた1KWとなる。
【0034】
空調設備50がONで照明設備40もONである場合の消費電力の推定方法の理由について詳しく説明する。商業施設の1日のサイクルの中で、照明設備40は空調設備50よりも先に動作状態がONになるという特性がある。これは、商業施設を使用するためには、まず照明設備40を点灯させる必要があるためである。照明設備40の消費電力はすぐに最大電力となり、以後、営業時間が終了するまではほとんど電力は変化しない。このため、1日のサイクルにおける空調設備50と照明設備40の動作状態の状態遷移は、(1)照明設備40OFFかつ空調設備50OFF(2)照明設備40ONかつ空調設備50OFF(3)照明設備40ON かつ空調設備50ON の順番に遷移する。従って、照明設備40ONかつ空調設備50OFF の状態は 照明設備40ON かつ空調設備50ON の状態よりも先に出現する。このため、前述した推定方法により、照明設備40の消費電力を正しく推定することができる。
【0035】
次に、消費エネルギー推定部124において、待機電力情報の更新手順について図7を参照して詳細に説明する。消費エネルギー推定部124は、一日に一度、待機電力の更新作業を行う。これは例えば、0時0分などに自動的に実施するように予めタイマセットされている。
【0036】
先ず、前日に推定した1日分の照明設備40の消費電力を時間順に参照し、消費電力が0となっている期間を求める。求めた期間とその間の1分毎の消費電力は図示しないメモリ上に一時的に記憶する。(ステップS101)。
【0037】
次に、前日に推定した1日分の1分毎の空調設備50の消費電力を時間順に参照し、消費電力が0となっている期間を求める。求めた期間とその間の1分毎の消費電力は図示しないメモリ上に一時的に記憶する。(ステップS102)。
【0038】
ステップS101およびステップS102で算出したそれぞれの設備の推定消費電力が0となる期間のうち、両方の設備の推定消費電力が共に0となる期間の総負荷電力とそれぞれの期間平均値を算出する(ステップS103)。
【0039】
以上により、空調装置および照明装置の待機電力を自動的に算出することができる。
【0040】
次に、照明推定部122が照明設備40が動作していることを示す特徴量を算出する手段について、図8を用いて詳細に説明する。
【0041】
まず、照明推定部122は、データ抽出手段より、過去10分間分の消費電力のデータを取得する(ステップS301)。ここで各消費電力データの計測間隔は1分である。従って10個の消費電力の数値、D1、D2、、、D10を受け取る。
【0042】
次に、照明推定部122は、取得したデータ(D1、D2、、、D10)の合計値を計算し、取得したデータの個数で除し、データの平均値Sを計算する(ステップ302)。
【0043】
最後に、照明推定部122は、データの平均値Sから、閾値X1を減じて、これを特徴量とする(ステップ303)。閾値X1は予めその値を装置のプログラムに実装してある。
【0044】
以上により、照明設備40の動作状態を示す特徴量を算出することができる。照明設備40の消費電力は変動が非常に小さい。点灯後は常に一定量の電力を消費する。また、前述したように、商業施設においては、空調設備50の動作状態がONの場合は照明設備40の動作状態も必ずONであるため、前述した手順により照明設備40の動作状態を正しく推定することができる。
【0045】
なお、ステップS301において、使用する消費電力を過去10分間のデータとしたが、これは、3分、5分、15分、20分など、電力の計測間隔の定数倍の間隔であれば、これに限らない。
【0046】
また、計測間隔を1分毎としたが、これは空調設備50および照明設備40を操作する人間がこれら2つを操作するのに必要とする時間に対して、十分短い時間であれば、これに限らない。
【0047】
次に、空調推定部123が空調設備50が動作していることを示す特徴量を算出する手段について、図9を用いて詳細に説明する。
【0048】
先ず、空調推定部123は、データ抽出部11より、過去10分間分の消費電力のデータを取得する(ステップS401)。ここで消費電力データの間隔は1分である。従って10個の消費電力の数値、D1、D2、、、D10を受け取る。
【0049】
次に、空調推定部123は、取得したデータの速度(ΔD2、、、ΔD10)を計算する(ステップ402)。具体的な計算式は下記の通り。
【0050】
【数1】
m=2〜10
【0051】
次に、空調推定部123は、速度の絶対値(|ΔD2|、、、|ΔD10|)を計算する(ステップ403)。
【0052】
次に、空調推定部123は、ステップS403で算出した絶対値の平均値Tを計算する(ステップ404)。
【0053】
最後に、空調推定部123は、算出した平均値Tより、閾値X2を減じて、これを特徴量とする(ステップ405)。閾値X2は予めその値を装置のプログラムに実装してある。
【0054】
以上の手順により、空調設備50の動作状態を正しく推定することができる。空調設備50が動作していると、総負荷消費電力の変動、すなわち前述したΔDmの値が大きくなるため、前述した手順により算出する特徴量を用いることで精度良く空調設備50の動作状態を推定することができる。
【0055】
次に、実際のビルでの事例を用いて、本発明が照明設備及び空調設備のそれぞれの電力を推定する手順について具体的に説明する。
【0056】
図10は、2011年9月1日に本発明であるエネルギー使用量推定装置1を用いて計測した一日の総負荷の消費電力時間推移60である。消費電力時間推移60は、データ抽出部11に記録されており、1分毎に計測された1日分の総負荷消費電力を折れ線グラフとして図示したものである。
【0057】
図11は、図10で示した消費電力時間推移60について、午前6時から午前9時を拡大して図示したものである。また、照明設備40の動作状態を示す特徴量(61a、62a)、空調設備50の動作状態を示す特徴量(61b、62b)の算出結果もあわせて図示したものである。午前6時の段階では、照明設備40が動作していることを示す特徴量、空調設備50が動作していることを示す特徴量が共に0未満であるため、推定部は空調設備50、照明設備40の消費電力を共に0と推定した。次に、午前6時31分(図中の点線610)に照明設備40が動作していることを示す特徴量が0を超え、以後、23時35分まで特徴量は0以上となった。したがって、午前6時31分〜午前7時37分までの期間(図中の61、61a、61b)は、照明設備40の動作状態がON、空調設備50の動作状態がOFFと推定されている。午前7時37分(図中の点線620)に、空調設備50が動作していることを示す特徴量が0以上となり、以後、23時22分まで0以上の状態が継続する。このため、この期間(図中の62、62a、62b)は、照明設備40の動作状態をON、空調設備50の動作状態がONと推定されている。
【0058】
図12は、図10で説明した総負荷消費電流に対して、本発明であるエネルギー使用量推定装置1の消費エネルギー推定部124の推定した照明設備40および空調設備50の推定消費電力をグラフ及び表として図示したものである。空調設備50の推定消費電力63(図中の白塗り部分)、照明設備40の推定消費電力64(図中の斜線部分)は、図に示した通りに推定された。この推定結果について、実際に別の装置をもちいて空調設備50の消費電力量と照明設備40の電力量を個別に計測し、比較した結果が表70である。推定誤差は空調設備50について1%、照明設備40について2%程度であり、本発明の一実施形態であるエネルギー使用量推定装置1の推定の精度が十分に高いことがわかる。
【0059】
以上で説明したように、本実施形態のエネルギー使用量推定装置1によると、電力を使用する施設で実際に使用されている照明設備40および空調設備50の個別の消費電力を、照明設備40、空調設備50毎に消費電力の測定器を設置することなく測定することができる。
【0060】
推定した照明設備40および空調設備50の消費電力データは、例えば、通信部13から、他の装置に送信され、当該装置でその内容を表示することで、ユーザに提示できるようにしてもよい。また、所定の通信回線を介して、電気事業者等のサービス提供者が運営するサーバに送信するようにしてもよい。このようにすると、サービス提供者から、多様な情報サービスが電力ユーザへ提供されると共に、電力ユーザの側の情報もネットワークを通してサービス提供者に収集され、新しいサービスを構築するために有効に利用することができる。
【0061】
例えば、電気事業者にとって重要な情報の一つに、照明や空調設備の構成や使用実態に関する情報がある。特に、ビル等の商業施設では、このような電気使用実態の内訳を得ることで、省エネルギー化を進めることができる。本実施形態のエネルギー使用量推定装置1は、このようなニーズに応えることができる有力な装置の一つといえる。
【0062】
本実施形態では、ビルにおける照明設備、空調設備のそれぞれの消費電力の推定について述べたが、ビルのみならず、工場や駅舎、映画館、などの商業施設にも適用することができる。この場合、例えば、施設の照明設備および空調設備の動作状態及び消費電力を監視して記録することにより、後日、ビル全体の消費電力量のうちどれだけの量が空調設備および照明設備によってもたらされたものなのか、といった分析を行うことができる。
【0063】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の変更は勿論可能である。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、照明設備および空調設備の個別の消費電力を測定する装置として、ビルのみならず、工場や一般家庭等においても好適に採用され得る。
【符号の説明】
【0065】
1 エネルギー使用量推定装置、2 分電盤、4 引込線、6 電力供給線、10 測定部、11 データ抽出部、12 推定部、13 通信部、20 計器用変成器、30 計器用変流器、40 照明設備、50 空調設備、121 時計部、122 照明推定部、123 空調推定部、124 消費エネルギー推定部、125 機器情報メモリ、201a 計器用変成器(A相用)、201b 計器用変成器(B相用)、201c 計器用変成器(C相用)、301a 計器用変流器(A相用)、301b 計器用変流器(B相用)、301c 計器用変流器(C相用)、202a、202b、202c、302a、302b、302c 接続線。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビルや駅などの商業施設において、照明設備および空調設備の消費エネルギー量を個別に測定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
CO2削減の観点からビルや駅などの商業施設において時々刻々の照明設備および空調設備のそれぞれの消費エネルギー量を監視する要望が高まっている。商業施設によっては、照明および空調の合計の消費エネルギー量を計測するための計測装置のみが設置されており、照明および空調個別の消費エネルギー量を直接計測することができない。
【0003】
特許文献1に開示されている装置は、複数の機器のそれぞれ毎に消費エネルギー量の時間変化を示す個別消費パターンを記憶する第1データベースと、前記複数の機器の全体による消費エネルギー量の時間変化を計測して全体消費時系列データを取得する計測手段と、総和が、前記全体消費時系列データに最も類似するように、前記機器毎にそれぞれの個別消費パターンのうちの少なくとも1つを選択するパターン選択部と、前記機器毎に選択された個別消費パターンと、前記全体消費時系列データに基づき、前記機器が実際に消費した消費エネルギー量の時間変化を示す個別消費時系列データを推定する配分計算部とを備える。これにより、各機器でそれぞれ実際に消費した消費エネルギー量を適正に推定できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−176984
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1で開示される技術では、個別に計測したい機器のそれぞれ毎に、消費エネルギー量の時間変化を示す個別消費パターンを抽出し、第1データベースに記憶する必要がある。しかし、商業施設など多数の機器が使用される場合、機器個別の消費パターンを計測することは容易ではない。
【0006】
本発明は、上記従来の課題を解決すべくなされたものであり、電気機器の総負荷消費エネルギー量の時間変化の特徴を解析し、機器個別の消費エネルギー量を精度良く推定することのできる実用的なエネルギー使用量推定装置およびエネルギー使用量推定方法エネルギー使用量推定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係るエネルギー使用量推定装置は、需要地の引込線における所定箇所で測定した総負荷電流及び電圧に基づいて総負荷消費エネルギーを算出し、総負荷消費エネルギーの絶対値または変化速度の絶対値の平均値の時系列データおよび現在時刻を用いて、引き込み線につながる空調設備と照明設備のそれぞれの稼動状態を推定し、各設備毎の消費エネルギーの内訳を推定する推定手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、事前学習が不要な推定処理を用いて、各設備の消費エネルギーを精度よく推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1に係るエネルギー使用量推定装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るエネルギー使用量推定装置の設置態様について説明するための図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係るエネルギー使用量推定装置の測定部の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係るエネルギー使用量推定装置の推定部の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係るエネルギー使用量推定装置の機器情報メモリの記憶内容の一例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係るエネルギー使用量推定装置の消費エネルギーの推定手順を示すフローチャート図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係るエネルギー使用量推定装置の待機電力の推定手順を示すフローチャート図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係るエネルギー使用量推定装置の照明設備が動作していることを示す特徴量の算出手順を示すフローチャート図である。
【図9】本発明の実施の形態1に係るエネルギー使用量推定装置の空調設備が動作していることを示す特徴量の算出手順を示すフローチャート図である。
【図10】本発明の実施の形態1に係るエネルギー使用量推定装置を利用したビルの全体の消費電力の実際の一例を示す図(その1)である。
【図11】本発明の実施の形態1に係るエネルギー使用量推定装置を利用したビルの全体の消費電力の実際の一例を示す図(その2)である。
【図12】本発明の実施の形態1に係るエネルギー使用量推定装置による空調設備の消費エネルギーと照明設備の消費エネルギーの推定結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係るエネルギー使用量推定装置について図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係るエネルギー使用量推定装置1の構成を示すブロック図である。エネルギー使用量推定装置1は、測定部10と、計器用変成器20と、計器用変流器30と、から構成される。エネルギー使用量推定装置1は、図2に示すように、ビルや商業施設などの電力の需要家の分電盤2近傍に設置され、需要家内で使用される照明設備40と空調設備50の合計電力を測定する。空調設備50、照明設備40は電力以外のエネルギーを使用しないため、前記の合計電力は、空調設備50、照明設備40の消費エネルギーの合計と等価である。
【0012】
分電盤2は、引込線4を介して電気事業者等の電力系統に接続されている。また、分電盤2には、照明設備40と空調設備50に電力を供給するための電力供給線6が接続されている。
【0013】
図2に示すように、計器用変成器20は、A相用の計器用変成器201aと、B相用の計器用変成器201bとC相用の計器用変成器201cから構成され、計器用変流器30は、A相用の計器用変流器301aと、B相用の計器用変流器301bと、C相用の計器用変流器301cから構成されている。
【0014】
計器用変成器201aは、一次側がA相4aとB相4bとの間に接続され、二次側からA相4a、B相4b間の電圧と相似の電圧VAを出力する。計器用変成器201aの二次側は、同軸ケーブル等の接続線202aを介して、測定部10に接続されている。計器用変成器201bは、一次側がB相4bとC相4cとの間に接続され、二次側からB相4b、C相4c間の電圧と相似の電圧VBを出力する。計器用変成器201bの二次側は、同軸ケーブル等の接続線202bを介して、測定部10に接続されている。計器用変成器201cは、一次側がC相4cとA相4aとの間に接続され、二次側からC相4c、A相4a間の電圧と相似の電圧VCを出力する。計器用変成器201cの二次側は、同軸ケーブル等の接続線202cを介して、測定部10に接続されている。
【0015】
計器用変流器301aは、A相4aに流れる電流を一次側で測定して二次側からA相の電流と相似の電流IAを出力する。計器用変流器301aの二次側は、同軸ケーブル等の接続線302aを介して、測定部10に接続されている。計器用変流器301bは、B相4bに流れる電流を一次側で測定して二次側からB相の電流と相似の電流IBを出力する。計器用変流器301bの二次側は、同軸ケーブル等の接続線302bを介して、測定部10に接続されている。計器用変流器301cは、C相4cに流れる電流を一次側で測定して二次側からC相の電流と相似の電流ICを出力する。計器用変流器301cの二次側は、同軸ケーブル等の接続線302cを介して、測定部10に接続されている。なお、本実施形態では、計器用変流器301a、301b、301cとして、貫通型又はクランプ型の構造を有する計器用変流器を採用する。
【0016】
測定部10は、図3に示すように、データ抽出部11と、推定部12と、通信部13と、を備える。通信部13は、図示しない他のシステムと通信を行い、計測した照明設備40と空調設備50の総負荷消費エネルギー、推定した照明設備40の消費エネルギー、推定した空調設備50の消費エネルギーを他システムに対して送信する。データ抽出部11は、計器用変成器20及び計器用変流器30から出力される電圧及び電流に基づいて、総負荷電流の商用周波数1周期分のデータを抽出し、1周期毎の電力を計測する。さらに、これを1分間(商用周波数50Hzの場合に120周期)積算し、1分間の平均値を計算する。算出した平均値は図示しないメモリ上に記録する。本実施形態では、測定部は、CPUなどの演算装置、メモリなどの記憶装置、および動作を定義するプログラムコードで構成する。
【0017】
推定部12は、データ抽出部11が計測した消費電力から空調設備50と照明設備40のそれぞれの消費エネルギーを推定する。より詳細には、推定部12は、図4に示すように、現在時刻を管理する時計部121、照明設備40の動作状態を推定する照明推定部122、空調設備50の動作状態を推定する空調推定部123、照明設備40、空調設備50の動作状態から個々の消費エネルギーを推定する消費エネルギー推定部124、照明設備40および空調設備50の時間帯別の既知の動作状態を記憶する機器情報メモリ125を備える。機器情報メモリ125には、設備名、開始時刻、終了時刻、開始時刻〜終了時刻における設備の状態が表形式で記録されている。
【0018】
時計部121は、現在時刻を計測して、照明推定部122、空調推定部123に渡す。現在時刻とは、計測日の年、月、日および計測した時刻の時、分、秒のことである。
【0019】
照明推定部122は、時計部121より受け取る現在時刻をキーとして、機器情報メモリ125に記録された照明設備40の動作状態を参照する。この際、機器情報メモリ125から参照された機器の動作状態がONまたはOFFである場合は、その旨を消費エネルギー推定部124に渡す。機器情報メモリ125から参照された機器の動作状態が「未定」である場合は、照明設備40の動作状態の推定動作を行い、照明設備40の動作状態がONであるのかOFFであるのかを推定し、その結果を消費エネルギー推定部124に渡す。
【0020】
照明推定部122は、以下の手順により、現在の照明設備40の動作状態を機器情報メモリ125より参照する。まず、現在時刻を時計部121より取得し、機器情報メモリ125の装置の種別が「照明」となっている行を抽出する。これをグループAとする。次に、グループAから、開始時刻の列が現在時刻よりも早い時刻となっている行を抽出する。これをグループBとする。次に、グループBの中から終了時刻の列が 現在時刻よりも遅い行を抽出する。以上の操作により、最終的に残るグループには、現在の照明設備40の状態を示す行を抽出することができる。
【0021】
なお、ここで照明設備40の動作状態がONであるとは、照明設備40が電気エネルギーを用いて、光を発している状態のことである。また、照明設備40の動作状態がOFFであるとは、照明設備40が光を発していない状態のことである。
【0022】
空調推定部123は、時計部121より受け取る現在時刻をキーとして、機器情報メモリ125に記録された空調設備50の動作状態を参照する。この際、機器情報メモリ125から参照された空調設備50の動作状態がONまたはOFFである場合は、その旨を消費エネルギー推定部124に渡す。機器情報メモリ125から参照された機器の動作状態が「未定」である場合は、空調設備50の動作状態の推定動作を行い、空調設備50の動作状態がONであるのかOFFであるのかを推定し、その結果を消費エネルギー推定部124に渡す。
【0023】
また、空調推定部123は、以下の手順により、現在の空調設備50の動作状態を機器情報メモリ125より参照する。まず、現在時刻を時計部121より取得し、機器情報メモリ125の装置の列が「空調」となっている行を抽出する。これをグループCとする。次に、グループCより、開始時刻の列が現在時刻よりも早い時刻となっている行を抽出する。これをグループDとする。次に、グループDより、終了時刻の列が現在時刻よりも遅い行を抽出する。以上の操作により、現在の空調設備50の状態を示す行を抽出することができる。
【0024】
なお、ここで空調設備50の動作状態がONであるとは、空調設備50が電気エネルギーを用いて、冷房、暖房、送風、ドライ、換気などの運転を行なって室内の空気を制御している状態のことである。また、空調設備50の動作状態がOFFであるとは、空調設備50が冷房、暖房、送風、ドライなどの運転を行なわず、室内の空気を制御していない状態のことである。
【0025】
消費エネルギー推定部124は、空調設備50および照明設備40のそれぞれの消費エネルギーを推定する。本実施形態では、消費エネルギーとは、前述したように各設備の消費電力と等価である。消費エネルギー推定部124は、照明推定部122より照明設備40の動作状態がONまたはOFFであるという結果を受け取り、空調推定部123より空調設備50の動作状態がONまたはOFFであるという結果を受けとり、これらの情報よりそれぞれの消費エネルギーを推定する。なお、推定の具体的な計算方法については後述する。推定結果であるそれぞれの推定消費エネルギー量は、図示しないメモリ上に全て記憶する。
【0026】
また、消費エネルギー推定部124は、一日に一度、待機電力情報の更新作業を行う。更新作業の具体的手順については後述する。なお、ここで待機電力とは、空調設備50および照明設備40が、両方ともOFFの場合に計測される合計電力のことである。空調設備50および照明設備40は、動作状態がOFFの場合であっても、微小の電力を消費している。これらは、例えばマイコンの制御や、リモコンの動作などに使用されている。算出した待機電力情報は図示しない消費エネルギー推定部124内にあるメモリに記録する。待機電力は1日中一定量が消費されるため、これらを空調設備50と照明設備40に分けて推定することはできず、このために待機電力のみ別に管理する。
【0027】
機器情報メモリ125は、空調設備50、照明設備40のそれぞれについて、開始時刻から終了時刻の間の動作状態が表形式で予め記録されている。図5の例では、0時〜4時までの空調設備50の動作状態がOFF、4時〜9時までの空調設備50の動作状態が未定、9時〜17時までの空調設備50の動作状態がON、17時〜24時までの空調設備50の動作状態が未定、0時〜4時までの照明設備40の動作状態がOFF、4時〜6時までの照明設備40の動作状態が未定、6時〜23時までの照明設備40の動作状態がON、23時〜0時までの照明設備40の動作状態が未定であることが記録されている。ここで動作状態が未定であるとは、装置の動作状態がONまたはOFFのいずれか一方ではあるが、時刻のみからは確定することができない状態であることを示している。例えば、空調設備50や照明設備40は、起動ないし終了時刻が日毎に微妙に異なる。このため、空調や照明の動作状態がONからOFFまたはOFFからONに切り替わる時間帯については、動作状態を未定として機器情報メモリ125に記憶し、後述する推定方法により、ONまたはOFFのいずれであるかを推定する。
【0028】
このような機器情報メモリ125を持つことにより、照明推定部122および空調推定部123における照明の動作状態、空調の動作状態の推定精度を向上させることができる。例えば、商業施設などでは営業時間が厳密に決まっており、例えば、7時〜22時が営業時間である場合、0時〜4時などは、確実に照明の動作状態がOFFである。また、営業時間である7時〜22時は、確実に照明の動作状態がONである。このような施設の運用ルールからもたらされる情報が機器情報メモリ125には記録されている。記憶された照明設備40、空調設備50の時刻毎の動作状態を、現在時刻をキーとして参照することで、動作状態が確定している時刻に対する推定の誤りをなくすことができる。
【0029】
次に、推定部12が照明設備40および空調設備50それぞれの消費エネルギーの推定を行う手順について図6を参照して詳細に説明する。先ず、時計部121より現在の日付と時刻を取得する(ステップS101)。
【0030】
次に、照明推定部122は、照明設備40の動作状態を推定する(ステップS102)。具体的には、まず、時計部121より渡された現在時刻より、機器情報メモリ125から現在の動作状態を参照する。参照方法については前述した通りである。参照した結果が「ON」または「OFF」である場合には、その旨を消費エネルギー推定部124に渡す。参照した結果が「未定」の場合には、次に説明する手順により動作状態の推定を行う。 まず、現在時刻から過去10分間の1分毎の消費電力の推移をデータ抽出部11より取得する。次に、後述する照明の動作状態を示す特徴量を算出し、この値が0以上である場合に動作状態を「ON」と推定し、0未満である場合に動作状態を「OFF」と推定する。推定結果は、消費エネルギー推定部124に渡す。
【0031】
次に、空調推定部123は、空調設備50の動作状態を推定する(ステップS103)。まず、時計部121より渡された現在時刻より、機器情報メモリ125から現在の動作状態を参照する。この参照方法については前述した通りである。参照した結果が「ON」または「OFF」である場合には、その旨を消費エネルギー推定部124に渡す。参照した結果が「未定」の場合には、次に説明する手順により動作状態の推定を行う。 まず、現在時刻から過去10分間の1分毎の消費電力の推移をデータ抽出部11より取得する。次に、後述する空調の動作状態を示す特徴量を算出し、この値が0以上である場合に動作状態を「ON」と推定し、0未満である場合に動作状態を「OFF」と推定する。推定結果は、消費エネルギー推定部124に渡す。
【0032】
最後に、消費エネルギー推定部124は、空調設備50および照明設備40の個々の消費エネルギーを推定する(ステップS104)。消費エネルギー推定部124は、照明推定部122より照明設備40の動作状態がONまたはOFFであるという結果を受け取り、空調推定部123より空調設備50の動作状態がONまたはOFFであるという結果を受けとっている。照明設備40がONで、空調設備50がOFFである場合には、データ抽出部11が計測した現在の消費電力から待機電力を引いた電力を照明設備40の消費電力とし、空調設備50の消費電力を0とする。照明設備40がOFFで、空調設備50がONである場合には、データ抽出部11が計測した現在の消費電力から待機電力を引いた電力を空調設備50の消費電力とし、照明設備50の消費電力を0とする。照明設備40がOFFで、空調設備50もOFFである場合には、空調設備50の消費電力を0、照明設備40の消費電力を0とする。照明設備40がONで、空調設備50もONである場合には、照明設備40の電力を最近の照明設備40の消費電力とし、空調設備50の消費電力は現在の消費電力から、先に推定した照明設備40の消費電力と待機電力を引いた電力とする。ここで最近の照明設備40の消費電力とは、最近に照明設備40がONで、空調設備50がOFFであった状態において算出された照明設備40の消費電力のことである。これらの推定結果は、図示しないメモリ上に全て記憶する。
【0033】
空調設備50がONで照明設備40もONである場合の消費電力の推定方法について、例を用いて詳細に説明する。例えば、午前7時に第一の推定が行われ、午前7時10分に第二の推定が行われたとする。第一の推定における推定結果が、照明設備40がONで、空調設備50がOFFであり、照明設備40の推定電力が1KW、空調設備50の推定電力が0KWであったとする。次に、第二の推定における推定結果が、照明設備40がON、空調設備50がONであり、総負荷電力が3KW、待機電力が1KWであったとする。この場合、照明設備40の消費電力の推定結果は、午前7時に行われた第一の推定における推定結果である1KWのままとする。なぜならば、午前7時に行われた第一の推定は、午前7時10分に行われた第二の推定から最近の推定結果だからである。そして、空調設備50の推定結果は、総負荷電力3KWから、待機電力1KWと照明設備40の推定電力1KWを引いた1KWとなる。
【0034】
空調設備50がONで照明設備40もONである場合の消費電力の推定方法の理由について詳しく説明する。商業施設の1日のサイクルの中で、照明設備40は空調設備50よりも先に動作状態がONになるという特性がある。これは、商業施設を使用するためには、まず照明設備40を点灯させる必要があるためである。照明設備40の消費電力はすぐに最大電力となり、以後、営業時間が終了するまではほとんど電力は変化しない。このため、1日のサイクルにおける空調設備50と照明設備40の動作状態の状態遷移は、(1)照明設備40OFFかつ空調設備50OFF(2)照明設備40ONかつ空調設備50OFF(3)照明設備40ON かつ空調設備50ON の順番に遷移する。従って、照明設備40ONかつ空調設備50OFF の状態は 照明設備40ON かつ空調設備50ON の状態よりも先に出現する。このため、前述した推定方法により、照明設備40の消費電力を正しく推定することができる。
【0035】
次に、消費エネルギー推定部124において、待機電力情報の更新手順について図7を参照して詳細に説明する。消費エネルギー推定部124は、一日に一度、待機電力の更新作業を行う。これは例えば、0時0分などに自動的に実施するように予めタイマセットされている。
【0036】
先ず、前日に推定した1日分の照明設備40の消費電力を時間順に参照し、消費電力が0となっている期間を求める。求めた期間とその間の1分毎の消費電力は図示しないメモリ上に一時的に記憶する。(ステップS101)。
【0037】
次に、前日に推定した1日分の1分毎の空調設備50の消費電力を時間順に参照し、消費電力が0となっている期間を求める。求めた期間とその間の1分毎の消費電力は図示しないメモリ上に一時的に記憶する。(ステップS102)。
【0038】
ステップS101およびステップS102で算出したそれぞれの設備の推定消費電力が0となる期間のうち、両方の設備の推定消費電力が共に0となる期間の総負荷電力とそれぞれの期間平均値を算出する(ステップS103)。
【0039】
以上により、空調装置および照明装置の待機電力を自動的に算出することができる。
【0040】
次に、照明推定部122が照明設備40が動作していることを示す特徴量を算出する手段について、図8を用いて詳細に説明する。
【0041】
まず、照明推定部122は、データ抽出手段より、過去10分間分の消費電力のデータを取得する(ステップS301)。ここで各消費電力データの計測間隔は1分である。従って10個の消費電力の数値、D1、D2、、、D10を受け取る。
【0042】
次に、照明推定部122は、取得したデータ(D1、D2、、、D10)の合計値を計算し、取得したデータの個数で除し、データの平均値Sを計算する(ステップ302)。
【0043】
最後に、照明推定部122は、データの平均値Sから、閾値X1を減じて、これを特徴量とする(ステップ303)。閾値X1は予めその値を装置のプログラムに実装してある。
【0044】
以上により、照明設備40の動作状態を示す特徴量を算出することができる。照明設備40の消費電力は変動が非常に小さい。点灯後は常に一定量の電力を消費する。また、前述したように、商業施設においては、空調設備50の動作状態がONの場合は照明設備40の動作状態も必ずONであるため、前述した手順により照明設備40の動作状態を正しく推定することができる。
【0045】
なお、ステップS301において、使用する消費電力を過去10分間のデータとしたが、これは、3分、5分、15分、20分など、電力の計測間隔の定数倍の間隔であれば、これに限らない。
【0046】
また、計測間隔を1分毎としたが、これは空調設備50および照明設備40を操作する人間がこれら2つを操作するのに必要とする時間に対して、十分短い時間であれば、これに限らない。
【0047】
次に、空調推定部123が空調設備50が動作していることを示す特徴量を算出する手段について、図9を用いて詳細に説明する。
【0048】
先ず、空調推定部123は、データ抽出部11より、過去10分間分の消費電力のデータを取得する(ステップS401)。ここで消費電力データの間隔は1分である。従って10個の消費電力の数値、D1、D2、、、D10を受け取る。
【0049】
次に、空調推定部123は、取得したデータの速度(ΔD2、、、ΔD10)を計算する(ステップ402)。具体的な計算式は下記の通り。
【0050】
【数1】
m=2〜10
【0051】
次に、空調推定部123は、速度の絶対値(|ΔD2|、、、|ΔD10|)を計算する(ステップ403)。
【0052】
次に、空調推定部123は、ステップS403で算出した絶対値の平均値Tを計算する(ステップ404)。
【0053】
最後に、空調推定部123は、算出した平均値Tより、閾値X2を減じて、これを特徴量とする(ステップ405)。閾値X2は予めその値を装置のプログラムに実装してある。
【0054】
以上の手順により、空調設備50の動作状態を正しく推定することができる。空調設備50が動作していると、総負荷消費電力の変動、すなわち前述したΔDmの値が大きくなるため、前述した手順により算出する特徴量を用いることで精度良く空調設備50の動作状態を推定することができる。
【0055】
次に、実際のビルでの事例を用いて、本発明が照明設備及び空調設備のそれぞれの電力を推定する手順について具体的に説明する。
【0056】
図10は、2011年9月1日に本発明であるエネルギー使用量推定装置1を用いて計測した一日の総負荷の消費電力時間推移60である。消費電力時間推移60は、データ抽出部11に記録されており、1分毎に計測された1日分の総負荷消費電力を折れ線グラフとして図示したものである。
【0057】
図11は、図10で示した消費電力時間推移60について、午前6時から午前9時を拡大して図示したものである。また、照明設備40の動作状態を示す特徴量(61a、62a)、空調設備50の動作状態を示す特徴量(61b、62b)の算出結果もあわせて図示したものである。午前6時の段階では、照明設備40が動作していることを示す特徴量、空調設備50が動作していることを示す特徴量が共に0未満であるため、推定部は空調設備50、照明設備40の消費電力を共に0と推定した。次に、午前6時31分(図中の点線610)に照明設備40が動作していることを示す特徴量が0を超え、以後、23時35分まで特徴量は0以上となった。したがって、午前6時31分〜午前7時37分までの期間(図中の61、61a、61b)は、照明設備40の動作状態がON、空調設備50の動作状態がOFFと推定されている。午前7時37分(図中の点線620)に、空調設備50が動作していることを示す特徴量が0以上となり、以後、23時22分まで0以上の状態が継続する。このため、この期間(図中の62、62a、62b)は、照明設備40の動作状態をON、空調設備50の動作状態がONと推定されている。
【0058】
図12は、図10で説明した総負荷消費電流に対して、本発明であるエネルギー使用量推定装置1の消費エネルギー推定部124の推定した照明設備40および空調設備50の推定消費電力をグラフ及び表として図示したものである。空調設備50の推定消費電力63(図中の白塗り部分)、照明設備40の推定消費電力64(図中の斜線部分)は、図に示した通りに推定された。この推定結果について、実際に別の装置をもちいて空調設備50の消費電力量と照明設備40の電力量を個別に計測し、比較した結果が表70である。推定誤差は空調設備50について1%、照明設備40について2%程度であり、本発明の一実施形態であるエネルギー使用量推定装置1の推定の精度が十分に高いことがわかる。
【0059】
以上で説明したように、本実施形態のエネルギー使用量推定装置1によると、電力を使用する施設で実際に使用されている照明設備40および空調設備50の個別の消費電力を、照明設備40、空調設備50毎に消費電力の測定器を設置することなく測定することができる。
【0060】
推定した照明設備40および空調設備50の消費電力データは、例えば、通信部13から、他の装置に送信され、当該装置でその内容を表示することで、ユーザに提示できるようにしてもよい。また、所定の通信回線を介して、電気事業者等のサービス提供者が運営するサーバに送信するようにしてもよい。このようにすると、サービス提供者から、多様な情報サービスが電力ユーザへ提供されると共に、電力ユーザの側の情報もネットワークを通してサービス提供者に収集され、新しいサービスを構築するために有効に利用することができる。
【0061】
例えば、電気事業者にとって重要な情報の一つに、照明や空調設備の構成や使用実態に関する情報がある。特に、ビル等の商業施設では、このような電気使用実態の内訳を得ることで、省エネルギー化を進めることができる。本実施形態のエネルギー使用量推定装置1は、このようなニーズに応えることができる有力な装置の一つといえる。
【0062】
本実施形態では、ビルにおける照明設備、空調設備のそれぞれの消費電力の推定について述べたが、ビルのみならず、工場や駅舎、映画館、などの商業施設にも適用することができる。この場合、例えば、施設の照明設備および空調設備の動作状態及び消費電力を監視して記録することにより、後日、ビル全体の消費電力量のうちどれだけの量が空調設備および照明設備によってもたらされたものなのか、といった分析を行うことができる。
【0063】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の変更は勿論可能である。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、照明設備および空調設備の個別の消費電力を測定する装置として、ビルのみならず、工場や一般家庭等においても好適に採用され得る。
【符号の説明】
【0065】
1 エネルギー使用量推定装置、2 分電盤、4 引込線、6 電力供給線、10 測定部、11 データ抽出部、12 推定部、13 通信部、20 計器用変成器、30 計器用変流器、40 照明設備、50 空調設備、121 時計部、122 照明推定部、123 空調推定部、124 消費エネルギー推定部、125 機器情報メモリ、201a 計器用変成器(A相用)、201b 計器用変成器(B相用)、201c 計器用変成器(C相用)、301a 計器用変流器(A相用)、301b 計器用変流器(B相用)、301c 計器用変流器(C相用)、202a、202b、202c、302a、302b、302c 接続線。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
需要地の引込線における所定箇所で測定した総負荷電流及び電圧に基づいて総負荷消費エネルギーを算出し、前記総負荷消費エネルギーの絶対値または変化速度の絶対値の平均値の時系列データ、現在時刻を用い、引き込み線につながる空調設備と照明設備のそれぞれの稼動状態を推定し、設備毎の消費エネルギーの内訳を推定する推定手段を備えることを特徴とするエネルギー使用量推定装置。
【請求項2】
需要地の引込線における所定箇所で測定した総負荷電流及び電圧を計測するステップと、前記計測した総負荷電流および電圧から総負荷消費エネルギーを算出するステップと、前記算出した一定時間分の総負荷消費エネルギーおよび現在時刻から、前記引込線につながる複数の異なる電気機器の動作状態を推定するステップと、前記推定された動作状態に基づいて設備毎の消費エネルギーを推定するステップとを有することを特徴とする消費エネルギー推定方法。
【請求項1】
需要地の引込線における所定箇所で測定した総負荷電流及び電圧に基づいて総負荷消費エネルギーを算出し、前記総負荷消費エネルギーの絶対値または変化速度の絶対値の平均値の時系列データ、現在時刻を用い、引き込み線につながる空調設備と照明設備のそれぞれの稼動状態を推定し、設備毎の消費エネルギーの内訳を推定する推定手段を備えることを特徴とするエネルギー使用量推定装置。
【請求項2】
需要地の引込線における所定箇所で測定した総負荷電流及び電圧を計測するステップと、前記計測した総負荷電流および電圧から総負荷消費エネルギーを算出するステップと、前記算出した一定時間分の総負荷消費エネルギーおよび現在時刻から、前記引込線につながる複数の異なる電気機器の動作状態を推定するステップと、前記推定された動作状態に基づいて設備毎の消費エネルギーを推定するステップとを有することを特徴とする消費エネルギー推定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−99028(P2013−99028A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237319(P2011−237319)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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