説明

エネルギー印加された眼科用レンズ

エネルギー印加された眼科用レンズ装置(200)は、シリコンヒドロゲル材料を含む視覚ゾーン、及び非視覚ゾーンを有するレンズと、非視覚ゾーンを含むレンズの領域内のシリコンヒドロゲル材料中に埋め込まれたエネルギー源(210)と、電流引き込み構成要素(220)と、エネルギー源を電流引き込み構成要素(220)へと接続する取り付け領域とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2008年9月22日に出願された米国特許出願第61/192,765号に対する優先権を主張し、これらの内容は信頼され参照として組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、エネルギー印加された生物医学的装置、及びより具体的には、いくつかの実施形態では、エネルギー印加された眼科用レンズを記載する。
【背景技術】
【0003】
従来、コンタクトレンズ、眼内レンズ、又は涙点プラグ等の眼科用装置には、矯正、美容、又は治療的クオリティを有する生体適合性装置が含まれていた。例えば、コンタクトレンズは、視力矯正機能、美容改善、及び治療効果のうちの1つ以上を提供することができる。それぞれの機能は、レンズの物理的特性によって提供される。レンズに屈折性質を組み込む設計は、視力矯正機能を提供することができる。レンズに組み込まれる顔料は、美容強化を提供することができる。レンズに組み込まれる活性薬剤は、治療的機能を提供することができる。そのような物理的特性は、レンズをエネルギー印加状態にすることなく達成される。
【0004】
更に近年では、活性成分は、コンタクトレンズに組み込まれ得ることが理論化されている。いくつかの成分は、半導体装置を含むことができる。いくつかの実施例は、動物の目に定置されたコンタクトレンズに組み込まれた半導体装置を示している。しかしながら、そのような装置は、自立的なエネルギー印加メカニズムに欠く。ワイヤは、そのような半導体装置に電力を供給するためにレンズから電池まで回すことがあるとはいえ、この装置は、無線で電力を供給し得ることが理論化されているが、そのような無線電力のためのメカニズムは、利用可能となってはいない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、眼科用レンズへの1つ以上の機能、及び眼科用レンズ、又は他の生物医学的装置の光学的特徴の制御された変化を提供するために好適な程度でエネルギー印加された、眼科用レンズを有することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明は、内部に組み込まれたエネルギー源を有する眼科用レンズを含む。いくつかの実施形態では、半導体装置に電力を供給することができる、エネルギー印加された状態を提供する。いくつかの実施形態はまた、生体適合性の方法により眼科用レンズ内に収容された、電池、又は他のエネルギー源を有する鋳造成形されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを含み得る。したがって、エネルギー印加された部分が、レンズに電池を含めることによってつくられる。
【0007】
したがって、本発明は、反応性モノマー混合物から形成された眼科用レンズ内に埋め込まれたエネルギー源を有する、エネルギー印加された眼科用レンズの開示を含む。エネルギー源は、やはり鋳型システム内に含まれる反応性混合物の重合の前に、鋳造成形システム内に定置される。レンズは、反応性モノマー混合物が暴露される化学線の制御を介して形成される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】エネルギー印加された眼科用レンズの代表的な実施形態。
【図2】エネルギーの再印加のための装置を含む、エネルギー印加された眼科用レンズの代表的な実施形態。
【図3】エネルギー再印加のための装置、及びエネルギー印加された構成要素を有するエネルギー印加された眼科用レンズの実施例。
【図4】エネルギー印加された眼科用レンズの実施例を断面図で例示する。
【図5】エネルギー源の代表的な設計形状。
【図6】その体積に応じた、エネルギー源が提供し得るエネルギー量の推定によって指定される、いくつかの代表的な種類のエネルギー源の描写。
【図7】本発明のいくつかの態様を実践するために使用され得るプロセッサ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、眼科用レンズなどの生物医学的装置、特に本発明は内部に組み込まれるエネルギー源を有する眼科用レンズを含む。好ましい実施形態及び代替の実施形態の両方の説明は、代表的な実施形態に過ぎず、変形、修正、及び代替が当業者にとって明白であり得ることが理解される。したがって、上記の代表的な実施形態は、基礎となる発明の領域を限定しないことが理解される。
【0010】
用語解説
本発明を目的とする本説明及び特許請求の範囲において、以下の定義が適用される、様々な用語が使用され得る。
【0011】
エネルギー印加されたとは、電流を供給するか、又は内部に貯蔵される電気エネルギーを有することができる状態である。
【0012】
エネルギー印加された眼科用レンズ:エネルギー印加された眼科用レンズとは、形成されたレンズに追加された、又は内部に埋め込まれたエネルギー源を有する眼科用レンズを指す。
【0013】
エネルギーとは、仕事を行うための物理的システムの能力である。本発明内の多くの用途が、仕事を行う際の電気的作用を実行することができる、上記の能力に関連し得る。
【0014】
エネルギー源とは、エネルギーを供給するか、生物医学的装置をエネルギー印加された状態にすることができる装置である。
【0015】
エネルギーハーベスターとは、環境からエネルギーを抽出し、これを電気エネルギーに変換することができる装置である。
【0016】
レンズ:本明細書で使用するとき「レンズ」とは、眼内、又は眼上にある任意の眼科用装置を指す。これらの装置は視覚補正をもたらすことができるか、又は美容用であっても良い。たとえば、用語のレンズは以下のものを指すことができる。コンタクトレンズ、眼内レンズ、オーバーレイ・レンズ、眼用挿入物、光学挿入物、又は他の同様の、視力が補正若しくは変更される装置か、又は視力を妨げることなく目の生理機能が美容的に拡張される(たとえば、虹彩色)装置。いくつかの実施形態では、本発明の好ましいレンズは、シリコーンヒドロゲル類を含むが、これらに限定されない、シリコーンエラストマー又はヒドロゲルから作製される、ソフトコンタクトレンズである。
【0017】
レンズ形成混合物:用語「レンズ形成混合物」、又は「反応性混合物」、又は「RMM」(反応性モノマー混合物)は、本明細書で使用するとき、硬化及び架橋することができるか、又は架橋して眼科レンズを形成することができる、モノマー、又はプレポリマー材料を指す。様々な実施形態は、UV遮断剤、染料、光開始剤、又は触媒、及びコンタクト若しくは眼内レンズ等の眼科レンズに望まれ得る他の添加剤等の1つ以上の添加剤を有するレンズ形成混合物を含むことができる。
【0018】
リチウムイオンセルとは、リチウムイオンがセルを通じて移動して電気エネルギーを生成する、電気化学セルを指す。一般的に電池と称されるこの電気化学セルは、その典型的な形態においてエネルギーを再印加されるか、又は再充電され得る。
【0019】
出力:単位時間当たりに行われる仕事、又は移送されるエネルギー。
【0020】
再充電可能、又はエネルギー再印加可能とは、仕事をするためのより高い能力を有する状態へと回復できることである。本明細書内の多くの用途は、再確定された時間において、一定の速度で電流を流す能力を回復するための能力に関連し得る。
【0021】
エネルギーを再印加する、又は充電するとは、仕事を行うためのより高い能力を有する状態に回復することである。本明細書内の多くの用途は、再確定された時間において、一定の速度で電流を流す能力まで装置を回復させることに関連し得る。
【0022】
一般的に、本発明では、エネルギー源が眼科用レンズ内に埋め込まれる。いくつかの実施形態では、眼科用装置は、レンズの着用者がそれを通じて見る視覚ゾーンを含む。構成要素、及びエネルギー源のパターンが、視覚ゾーンの外側に配置され得る。他の実施形態は、導電性材料、及び1つ以上のエネルギー源のパターンを含む場合があり、これはコンタクトレンズの着用者の視野に悪影響を与えない程に小さく、したがって、視覚ゾーンの内部、又は外側に位置することができる。
【0023】
一般的に、本発明のいくつかの実施形態により、エネルギー源が眼科用レンズの内部に埋め込まれる。
【0024】
エネルギー印加された眼科用レンズ装置
ここで図1を参照すると、エネルギー源140を埋め込まれたエネルギー印加された眼科用レンズ100が例示される。この実施例では、標準的なヒドロゲルで形成された眼科用レンズが項目110として示される。エネルギー源140が、形成されたヒドロゲル材料110内に埋め込まれている。いくつかの実施形態では、このエネルギー源140は、電気化学セル、又は電池を、エネルギーの保存手段として含む。このような保存手段は、封止された封入層130によって例示されるように、これが作製される材料、及び環境の効果的な封入、及び分離手段を必要とし得る。いくつかの特定の実施形態はリチウムイオン電池を含む。リチウムイオン電池は、一般的に再充電可能である。本発明により、リチウムイオン電池は、充電装置、及びまた出力管理回路と電気的に導通しており、これらは両方ともレンズ内に埋め込まれる。
【0025】
追加的に、いくつかの実施形態は、材料の薄層で作製されるエネルギー源140として機能する電池を含み得る。いくつかの実施形態は、したがってまた、薄膜材料120のための支持を提供するために可撓性基材を含み得る。多くの実施形態は、様々なエネルギー源140、及び様々な種類を含み、各エネルギー源140は、眼科用レンズをエネルギー印加する。
【0026】
図6を参照すると、エネルギー印加された眼科用レンズ100に埋め込まれ得る異なる種類のエネルギー源140に含まれ得る選択肢のいくつかの図が、図6において項目600として示されている。前述のように、エネルギー源140の一連の実施形態は電池を含み得る。電池が、図6において項目620として示される。図6はまた、これらが貯蔵することのできるエネルギー密度の順に様々な選択肢のグラフを示す。電池600は例えば、〜50から〜800Whr/Lのエネルギー密度の範囲を含む。
【0027】
ここでグラフ600を参照すると、エネルギーハーベスター、項目640は高いエネルギー密度を呈さないことが看取され得る。しかしながら、レンズ内に埋め込まれるエネルギーハーベスターが利点を有する他の方法が存在することが、当業者には明白であり得る。
【0028】
例えば、エネルギーハーベスターは、光起電力セル、熱電セル、又は圧電セルを含み得る。このようなハーベスターは、これらが、有線接続なくして環境からエネルギーを吸収することができ、ひいては電気エネルギーを提供することができるという点において、肯定的側面を有する。いくつかの実施形態では、ハーベスターは、エネルギー印加された眼科用レンズにおけるエネルギー源を含み得る。しかしながら、他の実施形態では、エネルギーハーベスターは、電気の形態でエネルギーを貯蔵することができる、他のエネルギー源と組み合わせてもよい。
【0029】
他の種類のエネルギー源は、グラフ600で項目630として図示されるコンデンサ型の装置の使用を含む。コンデンサは、エネルギーハーベスターよりも高く、電池(項目620)のものよりも低いエネルギー密度溶液を含むことが明らかであり得る。それでもコンデンサは、いくらかの固有の利点を有する。
【0030】
コンデンサは、電気の形態でエネルギーを貯蔵する種類のエネルギー源であり、したがって、エネルギーハーベスターと組み合わせてエネルギーの保存が可能である無線エネルギー源をつくり得るエネルギー源の1つであり得る。一般的に、コンデンサは、これらが一般的に電池よりも高い電力密度を有するという点において、電池に対する利点を有する。本発明によるシリコーンレンズに埋め込まれ得るコンデンサとしては、電気薄膜コンデンサ、マイラーコンデンサ、電解コンデンサ、及び比較的新しく、より高度な技術の、高密度ナノ寸法コンデンサ、又はスーパーコンデンサが挙げられる。
【0031】
いくつかの追加的な実施形態では、電気化学セル、又は電池620を含むエネルギー源は、比較的望ましい操作点を画定し得る。シリコーン、又は他のヒドロゲル内に埋め込まれる電池は、多くの有利な特徴を含む。例えば、電池は、電気エネルギーに直接転換される形態でエネルギーを保存する。いくつかの電池は、再充電可能、又はエネルギーを再印加可能であり、したがってエネルギーハーベスターと連結され得る別のカテゴリーのエネルギー源を呈し得る。本発明のために有用な電池は、比較的高いエネルギー密度を有し、電池が貯蔵するエネルギーは、妥当なエネルギー要件で機能を実行することができる。加えて、いくつかの実施形態では、電池は、可撓性の形態に組み立てることができる。より高い電気能力を必要とする用途では、電池がまたコンデンサに連結され得ることが、当業者にとって明らかであり得る。エネルギー印加された眼科用レンズ内のエネルギー源の少なくとも部分として電池を含む、多くの実施形態が存在し得る。
【0032】
追加的な実施形態では、燃料電池が、エネルギー源610として含まれる。燃料電池は、化学燃料源(これはひいては電気、及び熱エネルギーを含む副生成物を生じる)を消費することによって電気を生じる。燃料セルの実施形態は、燃料源として生物学的に利用可能な材料を使用することによって可能であり得る。
【0033】
本発明の実施形態の以下の説明は、一般的にエネルギー印加された眼科用レンズの主なエネルギー源として電池を使用することに焦点を当てることがある。説明されたものを含む多くのエネルギー源が、エネルギー印加された眼科用レンズの実施形態を含み得るため、この焦点は発明技術の範囲を制限するべきではない。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態において言及されるように、エネルギー源は、電気化学セル、又は電池を含む。エネルギー印加された眼科用レンズの実施形態に含まれ得る、多くの異なる種類の電池が存在する。例えば、単回使用の電池が、様々なカソード、及びアノード材料から形成され得る。非限定的な実施例により、これらの材料は、亜鉛、炭素、銀、マンガン、コバルト、リチウム、シリコンを含み得る。更に他の実施形態は、再充電可能な電池の使用により得られる。このような電池は、ひいては、リチウムイオン技術、銀による技術、マグネシウムによる技術、ニオビウムによる技術から作製され得る。単回使用、又は再充電電池システムのための様々な電流電池技術は、エネルギー印加された眼科用レンズの様々な実施形態におけるエネルギー源を含み得ることが、当業者には明白であり得る。
【0035】
コンタクトレンズの環境の、物理的、及び寸法的制約により、一定の電池の種類が他のものよりも好まれる場合がある。このような好ましさの例は、薄膜電池について妥当し得る。薄膜電池は、人の眼科的実施形態と適合する小さな空間を占め得る。更に、これらは可撓性の基材上に形成されてもよく、眼科用レンズ、及び含まれる電池の双方の本体が基材と共に自由に撓むことを可能にする。
【0036】
薄膜電池の場合、実施例は単回充電、及び再充電可能な形態を含み得る。再充電可能な電池は、より長い使用可能製品寿命、及びしたがって、より高いエネルギー消費率の能力を提供する。多くの開発活動は、再充電可能な薄膜電池を有する、電気的にエネルギー印加された眼科用レンズを製造するための技術に焦点を当ててきたが、しかしながら、発明の技術はこの下位分類に限定されない。
【0037】
再充電可能な薄膜電池は、市販されており、例えば、Oak Ridge National Laboratoryは、1990年代前半から様々な形態を製造してきた。このような電池の現在の商業製造者は、Excellatron Solid State,LLC(Atlanta,GA)、Infinite Power Solutions(Littleton,CO)、及びCymbet Corporation,(Elk River,MN)を含む。この技術においては、平坦な薄膜フィルム電池を含む使用が現在優位である。このような電池の使用は、本発明技術のいくつかの実施形態を含み得るが、薄膜電池を、例えば球形の曲率半径を有する三次元形状に形成することは、発明の技術の望ましい実施形態を含む。このような三次元的な電池の実施形態の多くの形状、及び形態が、本発明の範囲内であることは、当業者にとって明白であり得る。
【0038】
図5a、5b、5c、及び5dに、眼科用レンズ内のエネルギー源がとり得る、多くの異なる形状の実施例がある。項目500は、薄膜材料により作製された参照エネルギー源を図示し、これは、参照のために平坦な形状として形成される。このような形状500の寸法が、およそ1ミリメートル以下である場合、これは、エネルギー印加された眼科用レンズのためのエネルギー源を含み得る。項目510は、代表的な三次元形状を図示し、可撓性基材、及び封入された電池は、完全な環状の形状を取り、これは柔軟に変形していない場合、変形していない眼科用レンズがとり得る形状とほぼ同じである。いくつかの実施形態では、環状の形状の半径は、エネルギー印加された眼科用レンズの実施形態においては、およそ8ミリメートルであり得る。同じ三次元的な態様が、1/4の環状体530、又は半分の環状体520、又は他の弓状の形状の実施形態についても妥当し得る。他の部分的な環状の形状を含む、多くの異なる形状が、本発明の範囲内の別の実施形態を含み得ることが、当業者には明白であり得る。いくつかの実施形態では、矩形の平面的な形状がまた、眼科用レンズに含まれる半球シェル形状に適合し得る。
【0039】
本発明の実施形態の別の組は、エネルギー印加された眼科用レンズに有利に使用され得る、特定の電池化学に関連する。Oak Ridge Laboratoriesによって開発された例示的実施形態は、リチウム、又はリチウムイオンセルの構成要素を含む。このようなセルのアノードの一般的な材料にはリチウム金属が挙げられ、あるいは、リチウムイオンセルに関してはグラファイトを挙げられる。これらのセルの別の例示的実施形態は、コンタクトレンズ内に組み込まれるこのような薄膜電池のアノードとして機能する、微小寸法シリコン機構の導入を含む。
【0040】
この新規技術において使用される電池のカソードに使用される材料は、同様に多くの材料の選択肢を含む。一般的なカソード材料としては、リチウムマンガン酸化物、及びリチウムコバルト酸化物が挙げられ、これらは、このように形成される電池のための、良好な性能基準値を有する。あるいは、リン酸鉄リチウムカソードが、同様の性能を有する場合があるが、いくつかの用途では充電に関するより良い側面を有し得る。同様に、これら、及び他のカソード材料の寸法は、充電性能を改善する場合があり、例えば、様々な材料のナノ寸法結晶からカソードを形成することは、電池が再充電され得る速度を劇的に改善する場合がある。
【0041】
エネルギー源の構成要素として含まれ得る様々な材料が好ましくは封入され得る。エネルギー源を封入して、一般的にその構成要素が、眼部環境に入らないように分離することが望ましいことがある。あるいは、眼部環境の態様は、エネルギー源の性能に対して、これらが封入実施形態によって適切に分離されない場合、否定的な影響を及ぼす場合がある。発明の技術の様々な実施形態は、材料の選択に由来する場合がある。
【0042】
したがって、いくつかの実施形態では、レンズ材料は、シリコーン含有構成要素を含み得る。「シリコーン含有成分」は、モノマー、マクロマー又はプレポリマー中に少なくとも1個の[−Si−O−]を含有する成分である。好ましくは、合計Si及び結合Oは、シリコーン含有成分中に、当該シリコーン含有成分の総分子量の約20重量%より大きい、更に好ましくは30重量%より大きい量で存在する。有用なシリコーン含有成分は、好ましくは、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニル、N−ビニルラクタム、N−ビニルアミド及びスチリル官能基などの重合性官能基が含まれる。
【0043】
好適なシリコーン含有成分は、式I:
【化1】

(式中、
は、独立して、一価反応基、一価アルキル基、又は一価アリール基から選択され、前述のいずれかは、ヒドロキシ、アミノ、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、アルコキシ、アミド、カルバメート、カーボネート、ハロゲン、又はこれらの組み合わせから選択される官能性を更に含み得、1−100 Si−Oの反復単位を含む一価シロキサン鎖は、アルキル、ヒドロキシ、アミノ、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、アルコキシ、アミド、カルバメート、ハロゲン、又はこれらの組み合わせから選択される官能性を更に含むこともあり、
式中、b=0〜500であり、bが0以外のときに、bは、表示値と同等のモードを有する分配であると理解され、
少なくとも1つのRは、一価反応基を含み、いくつかの実施形態では、1個と3個のRとの間は、一価反応基を含む)の化合物を含む。
【0044】
本明細書に使用されるとき、「一価反応基」は、フリーラジカル及び/又はカチオン重合を受けることができる基である。フリーラジカル反応性基の非限定的な例としては、(メタ)アクリレート、スチリル、ビニル、ビニルエーテル、C1〜6アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、C1〜6アルキル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルラクタム、N−ビニルアミド、C2〜12アルケニル、C2〜12アルケニルフェニル、C2〜12アルケニルナフチル、C2〜6アルケニルフェニルC1〜6アルキル、O−ビニルカルバメート及びO−ビニルカーボネートが挙げられる。カチオン反応性基の非限定的な例としては、ビニルエーテル又はエポキシド基及びこれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、フリーラジカル反応基には、(メタ)アクリレート、アクリルオキシ、(メタ)アクリルアミド、及びこれらの混合物が含まれる。
【0045】
好適な一価アルキル基及びアリール基には、置換及び非置換のメチル、エチル、プロピル、ブチル、2−ヒドロキシプロピル、プロポキシプロピル、ポリエチレンオキシプロピル、これらの組み合わせ等の、非置換の一価C〜C16アルキル基、C〜C14アリール基が含まれる。
【0046】
一実施形態では、bは、ゼロであり、1個のRは、一価反応基であり、少なくとも3個のRは、1〜16個の炭素原子を有する一価アルキル基から選択され、別の実施形態では、1〜6個の炭素原子を有する一価アルキル基から選択される。本発明のシリコーン成分の制限されない例には、2−メチル−、2−ヒドロキシ−3−[3−[1,3,3,3−テトラメチル−1−[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキザニル]プロポキシ]プロピルエステル(「SiGMA」)、
2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルオキシプロピル−トリ(トリメチルシロキシ)シラン、
3−メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(「TRIS」)、
3−メタクリルオキシプロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、及び
3−メタクリルオキシプロピルペンタメチルジシロキサンが含まれる。
【0047】
別の実施形態では、bは、2〜20、3〜15、又はいくつかの実施形態では、3〜10であり、少なくとも1つの末端Rは、一価反応基を含み、残りのRは、1〜16個の炭素原子を有する一価アルキル基から選択され、別の実施形態では、1〜6個の炭素原子を有する一価アルキル基から選択される。更に他の一実施形態では、bが3〜15であり、1つの末端Rが一価の反応性基を含み、その他の末端Rが1〜6の炭素原子を有する一価のアルキル基を含み、残余のRが1〜3の炭素原子を有する一価のアルキル基を含む。本発明のシリコーン成分の制限されない例には、(モノ−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピル)−プロピルエーテル末端のポリジメチルシロキサン(400〜1000MW))(「OH−mPDMS])、モノメタクリルオキシプロピル末端のモノ−n−ブチル末端のポリジメチルシロキサン(800〜1000MW)、(「mPDMS」)が含まれる。
【0048】
別の実施形態では、bは、5〜400、又は10〜300であり、両方の末端Rは、一価反応基を含み、残りのRは、独立して、炭素原子間のエーテル結合を有することもあり、ハロゲンを更に含むこともある、1〜18個の炭素原子を有する一価アルキル基から選択される。
【0049】
一実施形態では、シリコーンヒドロゲルレンズが望ましい場合、本発明のレンズは、ポリマーが作製される反応性モノマー成分の総重量に基づき、少なくとも約20重量%、好ましくは、約20〜70重量%のシリコーン含有成分を含む、反応性混合物から作製される。
【0050】
別の実施形態では、1〜4のRはビニルカーボネート又は以下の式のカルバメートを含む。
【化2】

式中、YはO−、S−又はNH−を意味し、
Rは、水素又はメチルを意味し、dは1、2、3又は4、そしてqは0又は1である。
【0051】
シリコーン含有ビニルカーボネート又はビニルカルバメートモノマーは、具体的には、1,3−ビス[4−(ビニルオキシカルボニルオキシ)ブト−1−イル]テトラメチル−ジシロキサン、3−(ビニルオキシカルボニルチオ)プロピル−[トリス(トリメチルシロキシ)シラン]、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルアリルカルバメート、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメート、トリメチルシリルエチルビニルカーボネート、トリメチルシリルメチルビニルカーボネートを含み、
【化3】

約200以下の弾性率を有する生物医学的装置が所望される場合、1個のRのみが一価反応基を含むものとし、残りのR基のうちの2個以下は、一価シロキサン基を含む。
【0052】
別のクラスのシリコーン含有成分は、次の式のポリウレタンマクロマーを含む。
式IV〜VI
G)
E(A)又は
E(G)
式中、
この場合、Dは、炭素原子6〜30個を有するアルキルジラジカル、アルキルシクロアルキルジラジカル、シクロアルキルジラジカル、アリールジラジカル又はアルキルアリールジラジカルを示し、
Gは、炭素原子1〜40個を有するアルキルジラジカル、シクロアルキルジラジカル、アルキルシクロアルキルジラジカル、アリールジラジカル又はアルキルアリールジラジカルを示し、これは、主鎖中にエーテル、チオ又はアミン結合を含有できる。
はウレタン又はウレイド結合を意味し、
は、少なくとも1であり、
Aは次の式の2価重合ラジカルを意味する。
【化4】

11は独立してアルキル又は1〜10個の炭素原子を有するフルオロ置換アルキル基を意味し、これには炭素原子間にエーテル結合を含んでよく、yは少なくとも1であり、pは400〜10,000の部分重量を提供し、E及びEはそれぞれ独立して次の式に示される重合性不飽和有機ラジカルを意味する。
【化5】

式中、R12は水素又はメチルであり、R13は水素、1〜6個の炭素原子を有するアルキルラジカル又はa−CO−Y−R15ラジカルで、Yは−O−、Y−S−又は−NH−であり、R14は1〜12個の炭素原子を有する二価ラジカルであり、Xは−CO−又は−OCO−を意味し、Zは−O−又は−NH−を意味し、Arは6〜30個の炭素原子を有する芳香族ラジカルを意味し、wは0〜6であり、xは0又は1であり、yは0又は1であり、zは0又は1である。
【0053】
1つの好ましいシリコーン含有成分は、以下の式で示されるポリウレタンマクロマーである。
【化6】

16は、イソフォロンジイソシアネートのジラジカル等のイソシアネート基除去後のジイソシアネートのジラジカルである。別の好適なシリコーン含有マクロマーは、フルオロエーテル、ヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン、イソホロンジイソシアネート及びイソシアネートエチルメタクリレートの反応によって形成される式X(式中、x+yは10〜30の範囲の数である)の化合物である。
【化7】

【0054】
本発明の使用に好適な他のシリコーン含有成分には、ポリシロキサン、ポリアルキレンエーテル、ジイソシアネート、ポリフッ素化炭化水素、ポリフッ素化エーテル、及び多糖類基を含有するマクロマー、末端のジフルオロで置換された炭素原子に結合する水素原子を有する、極性のフッ素化グラフト又は側基を有するポリシロキサン、エーテルを含有する親水性シロキサニルメタクリレート、並びにポリエーテル及びポリシロキサニル基を含有するシロキサニル結合及び架橋性モノマーが含まれる。また、前述のポリシロキサンのいずれも、シリコーン含有成分として本発明に使用することもできる。
【0055】
いくつかの実施形態では、眼科用レンズを形成するために使用される鋳型部分内にエネルギー源を位置付けるために結合層が利用され得る。結合層は、レンズ材料と相互貫通するポリマーネットワークを形成することが可能であり得、安定したレンズを形成するために結合剤とレンズ材料との間の共有結合を形成する必要性は排除される。結合剤内に定置されたエネルギー源を有するレンズの安定性は、結合ポリマー及びレンズベースのポリマーへのエネルギー源の封入によって提供される。本発明の結合ポリマーは、例えば、互いに同様の溶解度パラメータを有する、ホモポリマー又はコポリマー、若しくはこれらの組み合わせから作製されるポリマーを含むことができ、結合ポリマーは、レンズ材料と同様の溶解度パラメータを有する。結合ポリマーは、結合ポリマーのポリマー及びコポリマーを、互いに相互作用することが可能なものにする官能基を含み得る。官能基は、顔料粒子の移動を抑制する、及び/又はそれを封入するのに役立つ相互作用の密度を増加する方法で、互いに相互作用するポリマー又はコポリマー基を含むことができる。官能基間の相互作用は、極性、分散的、又は電荷移動錯体の性質であってもよい。官能基は、ポリマー又はコポリマー骨格鎖上に配置されてもよく、あるいは骨格鎖からの側枝であってもよい。
【0056】
非限定的な例として、正電荷を有するポリマーを形成する、モノマー又はモノマーの混合物は、負電荷を有するポリマーを形成するモノマー又は複数のモノマーと併せて使用して、結合ポリマーを形成してもよい。更に具体的な実施例として、メタクリル酸(「MAA」)及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート(「HEMA」)を使用して、MAA/HEMAコポリマーを提供し得、MAA/HEMAコポリマーは、次いで、結合ポリマーを形成するために、HEMA/3−(N,N−ジメチル)プロピルアクリルアミドコポリマーと混合される。
【0057】
別の例として、結合ポリマーは、次の式のアミド及びエステルを含むが、これらに限定されない疎水変性モノマーからなってよい。
CH(CH−L−COCHR=CH
式中、Lは、−NH、又は酸素であってよく、xは2〜24の全ての数であってよく、Rは、C〜Cアルキル、又は水素であってよく、好ましくはメチル、又は水素である。そのようなアミド及びエステルの例は、ラウリルメタクリルアミド及びヘキシルメタクリレート樹脂を含むが、これらに限定されない。更に別の実施例として、カルバメート及び尿素を拡大する脂肪族ポリマーを使用して、結合ポリマーを形成し得る。
【0058】
また、結合層に好適な結合ポリマーは、HEMA、MAA、及びラウリルメタクリレート樹脂(「LMA」)のランダムブロックコポリマー、HEMA及びMAA又はHEMA及びLMAのランダムブロックコポリマー、又はHEMAのホモポリマーを含み得る。結合ポリマーの総重量に基づく、これらの実施形態における、それぞれの成分の重量パーセントは、約93〜約100重量パーセントのHEMA、約0〜約2重量パーセントのMAA、及び約0〜約5重量パーセントのLMAである。
【0059】
結合ポリマーの分子量は、レンズ材料内で若干可溶性であり、その中で膨張する場合がある。レンズ材料は、結合ポリマー内に拡散し、重合及び/又は架橋される。しかしながら、同時に、結合ポリマーの分子量は、印刷画像の品質に影響を及ぼすほど高くあってはならない。好ましくは、結合ポリマーの分子量は、約7,000〜約100,000、更に好ましくは、約7,000〜約40,000、最も好ましくは、約17,000〜約35,000Mピークであり、それは、SEC分析(=M×M1/2)における最大ピークの分子量に相当する。
【0060】
本発明の目的のため、分子量は、90°の光散乱及び屈折率検出器と共にゲル浸透クロマトグラフィーを使用して決定することができる。50mMの塩化ナトリウムに調節された重量比75/25のメタノール−水の溶離剤、325,000〜194の範囲の明確な分子量を有する、ポリエチレングリコール分子及びポリエチレンオキシド分子の混合物である、PW4000及びPW2500の2本のカラムを使用する。
【0061】
当業者は、結合ポリマーの製造において連鎖移動剤を使用、多量の開始剤を使用、リビング重合を使用、適切なモノマー及び開始剤の濃度の選択、溶媒の量及び種類の選択、又は、これらの組み合わせによって、所望の結合ポリマー分子量を得ることができることを理解するであろう。好ましくは、連鎖移動剤は、所望の分子量を得るために、開始剤と併せて、又はより好ましくは、開始剤及び1つ以上の溶媒と共に使用する。あるいは、少量の非常に高い分子量のポリマーは、結合ポリマー用の所望の粘度を維持するために、多量の溶媒と併せて使用し得る。好ましくは結合ポリマーの粘度は23℃で約4,000〜約15,000センチポワズである。
【0062】
本発明に使用する結合ポリマーの形成に有用な連鎖移動剤は、約0.01以上、好ましくは、約7以上、より好ましくは、約25,000以上の連鎖移動定数値を有する。
【0063】
任意の所望の開始剤は、紫外線、可視光線、熱開始剤、及びこれらの組み合わせ(これらを含むが、これらに限定されない)を使用し得る。好ましくは、熱開始剤を使用し、より好ましくは、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、及び2,2−アゾビス2−メチルブチロニトリルを使用する。使用する開始剤の量は、製剤の総重量に基づき、約0.1〜約5重量パーセントであろう。好ましくは、2,2−アゾビス2−メチルブチロニトリルをドデカンチオールと共に使用する。
【0064】
結合ポリマー層又はその他の媒体は、ラジカル連鎖重合、工程重合、乳化重合、イオン鎖重合、開環、基移動重合、原子移動重合等を含むが、これらに限定されない、任意の従来の重合化プロセスによって作製し得る。好ましくは、熱開始のフリーラジカル重合を使用する。重合を実施する条件は、当業者の認識範囲内である。
【0065】
結合ポリマーの産生に有用な溶媒は、約120〜230℃の沸点を有する、中沸点溶媒である。使用する溶媒の選択は、製造される結合ポリマーの種類及びその分子量に基づくであろう。好適な溶媒は、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノン、イソプロピルラクテート、3−メトキシ1−ブタノール、1−エトキシ−2−プロパノール等を含むが、これらに限定されない。
【0066】
いくつかの実施形態では、本発明の結合ポリマー層111は、水中での膨張係数に関して、それと共に使用されるレンズ材料に合わせて作ることができる。結合ポリマーの膨張係数をパッキング溶液中の硬化レンズ材料の膨張係数と一致させる、又は実質的に一致させることは、視界の悪さ、及びレンズパラメータの変化をもたらすレンズ内のストレスの発達の回避を促進し得る。更に、結合ポリマーは、レンズ材料内で膨潤可能であり、それにより、本発明の着色剤を使用して印刷される画像の膨潤が起こり得る。この膨潤により、画像は、レンズの快適さにいかなる影響も及ぼさずに、レンズ材料内に取り込まれる。
【0067】
いくつかの実施形態では、着色剤は、結合層に含まれてもよい。本発明の着色剤内の結合ポリマーに有用な顔料は、コンタクトレンズの使用に有用な有機又は無機顔料、若しくはそのような顔料の組み合わせである。不透明度は、使用される顔料及び乳白剤の濃度を変化させることによって調節することができ、多量になるにつれてより高い不透明度がもたらされる。具体的な有機色素は、フタロシアニンブルー(pthalocyanine blue)、フタロシアニングリーン(pthalocyanine green)、カルバゾールバイオレット(carbazole violet)、バットオレンジNo.1(vat orange # 1)など、及びそれらの組み合わせを含むが、それらに制約されない。有用な無機色素の例は、黒酸化鉄(iron oxide black)、褐色酸化鉄(iron oxide brown)、黄酸化鉄(iron oxide yellow)、赤酸化鉄(iron oxide red)、二酸化チタン(titanium dioxide)など、及びそれらの組み合わせを含むが、それらに制約されない。これらの色素に加えて、可溶性及び不溶性染料を使用されることができ、ジクロロトリアジン(dichlorotriazine)及びビニルスルホン系染料(vinyl sulfone-based dyes)を含むが、それらに制約されない。有用な染料及び色素は、市販されている。
【0068】
本発明によるレンズ中に存在する構成要素を被覆するために、例えば、色があるパターンで配置されてもよい。例えば、不透明の色は、自然な眼の外観を模し、レンズ内の構成要素の存在を隠してもよい。
【0069】
加えて、いくつかの実施形態では、結合層は、鋳型部分上に結合層をコーティングすることを補助する、1つ以上の溶媒を含む。結合層が塗布される鋳型部分の表面上にブリードしない又は移動しない結合層を促進するために、結合層が約27mN/m未満の表面張力を有することが望ましく、かつ好ましいことが本発明の別の発見である。この表面張力は、結合層が塗布される表面、例えば、鋳型表面の処理によって達成し得る。表面処理は、プラズマ及びコロナ処理等を含むが、これらに限定されない、当該技術において既知の方法によって達成し得る。あるいは、好ましくは、所望の表面張力は、着色剤に使用される溶媒の選択によって達成し得る。
【0070】
したがって、結合層に有用な例示的溶媒には、結合層の粘度を増加させる、又は減少させることが可能であり、表面張力の制御を助長することが可能な溶媒が含まれる。好適な溶媒は、シクロペンタノン、4−メチル−2−ペンタノン、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、イソプロピルラクテート等、及びそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。好ましくは、1−エトキシ−2−プロパノール及びイソプロピルラクテートを使用する。
【0071】
いくつかの好ましい実施形態では、少なくとも3つの異なる溶媒を本発明の結合層に使用する。これらの溶媒の最初の2つの溶媒(両方とも中沸点溶媒)を結合ポリマーの製造に使用する。これらの溶媒は、その形成後、結合ポリマーから剥離され得るが、それらが保持されるのが好ましい。好ましくは、2つの溶媒は、1−エトキシ−2−プロパノール及びイソプロピルラクテートである。更なる低沸点溶媒(約75〜約120℃である沸点の溶媒という意味)を使用して、必要に応じて、着色剤の粘度を減少することができる。好適な低沸点溶媒は、2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−プロパノール等、及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。好ましくは、1−プロパノールを使用する。
【0072】
使用される特定量の溶媒は、多くの要因による場合がある。例えば、結合ポリマーの形成に使用される溶媒の量は、所望の結合ポリマーの分子量及び結合ポリマーに使用されるモノマー及びコポリマー等の構成成分に依存する。使用される低沸点溶媒の量は、着色剤に所望の粘度及び表面張力に依存する。更に、着色剤が鋳型に塗布され、レンズ材料で硬化される場合、使用される溶媒の量は、使用されるレンズ及び鋳型材料に応じて、かつ鋳型材料がその湿潤性を増加するように任意の表面処理を受けたかどうかによって左右される。使用される溶媒の正確な量の決定は、当業者の技術範囲内である。一般的に、使用される溶媒の総量は、使用される溶媒の約40〜約75重量パーセントである。
【0073】
溶媒に加えて、可塑剤は、結合層の乾燥中、亀裂を減少させ、レンズ材料による結合層の分散及び膨張を強化するために、結合層に添加されてもよく、好ましくは、添加される。使用される可塑剤の種類及び量は、使用される結合ポリマーの分子量、及び使用前に保管された鋳型上に定置された着色剤では、所望の貯蔵寿命の安定度に依存する。有用な可塑剤は、グリセロール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール200、400、又は600等、及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。好ましくは、グリセロールを使用する。使用される可塑剤の量は、一般的に、着直剤の重量に基づき、0〜約10重量パーセントであろう。
【0074】
当業者は、説明する添加剤以外の添加剤もまた、本発明の結合層の成分に含まれ得ることを理解するであろう。好適な添加剤には、流動及び平準化を助ける添加剤、泡防止のための添加剤、レオロジー修正のための添加剤、並びに同様物、並びにこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0075】
本発明のいくつかの実施形態では、結合層は、レンズ材料が硬化すると、レンズ材料内に組み込まれる。したがって、結合層は、レンズの結合層が塗布される鋳型の表面に応じて形成されるレンズの前面又は裏面に近接して組み込ませてもよい。また、結合層の1つ以上の層は、任意の順番で塗布してもよい。
【0076】
本発明を使用して、任意の既知のレンズ材料、又はそのようなレンズの製造に好適な材料から製造されるハード又はソフトコンタクトレンズを提供し得るが、好ましくは、本発明のレンズは、約0〜約90パーセントの含水量を有する、ソフトコンタクトレンズである。更に好ましくは、レンズは、モノマー含有ヒドロキシ基、カルボキシル基、又はこれらの両方から製造される、若しくは、シロキサン、ヒドロゲル、シリコーンヒドロゲル、及びこれらの組み合わせ等のシリコーン含有ポリマーから製造される。本発明のレンズを形成するのに有用な材料は、重合開始剤等の添加剤に加えて、マクロマー、モノマー、及びこれらの組み合わせの混合物を反応させることによって、製造し得る。好適な材料は、シリコーンマクロマー及び親水性モノマーから製造されるシリコーンヒドロゲルを含むが、これらに限定されない。
【0077】
追加的実施形態は、内部構成要素が、封入材料によって封入される特徴による場合がある。封入剤の2つの層の間のシームを含む方法でエネルギー源をコーティングすることが可能であり得る。あるいは、封入剤は、シームを生じないような方法で適用されてもよいが、多くの実施形態は、エネルギー源が2つの別個の、かつ絶縁した電気接触点を提供することを必要とすることに留意すべきである。本明細書において詳述される技術と適合し得る、エネルギー源を封入するための他の様々な手段が存在することが、当業者には明白であり得る。
【0078】
上記のように、いくつかの実施形態では、エネルギー源は電気の形態でエネルギーを提供する必要があり得、したがって、エネルギー源をエネルギー印加される要素に接続するために、少なくとも2つの電気的に絶縁された接触点を有する必要がある。いくつかの実施形態では、2つの導電性結合パッドが切断されるか、ないしは別の方法で封入剤へと形成され得る。これらの結合パッドに、ある形態の電気的導管が取り付けられて、電気エネルギーが、エネルギー源から、エネルギー印加されるべき装置へと流れることを可能にしてもよい。ここで図2を参照すると、項目200はエネルギー源210が2つの接触点240を有し得る様子を示す。これらの接触点は、これらに取り付けられた導電性ワイヤー230を有し、エネルギー源210から別の装置220へとエネルギーを伝導し得る。
【0079】
電気ワイヤー230が接触点240に接続され得る方法は、本技術において多くの実施形態を形成し得る。いくつかの実施形態では、これらのワイヤーは、ワイヤーを物理的に研磨して、代替的な結合パッド金属を有する電気接触子にするワイヤー結合技術によって取り付けられ得る。更に他の実施形態は、例えば、はんだ付け技術により、ワイヤー230と接触点240との間で接触する金属を融解させることによる場合がある。他の実施形態では、接触ワイヤー230を接触点240へと蒸着させることが可能であり得る。更に他の実施形態では、導電要素230を画成し、これを接触パッド240へと接続するために導電性エポキシ、又はインクが使用され得る。エネルギーを別の装置へ、又はこれから伝導するために、エネルギー源への接触点への接続をつくる多くの手段は、本発明の範囲内の実施形態を含み得ることが、当業者には明白であり得る。
【0080】
図2において先に説明され、示されたように、項目200(エネルギー源)は、記載された2つ以上の種類のエネルギー源の複合物として定義されてもよい。例えば、図2のエネルギー源は、光電セル240と組み合わされた、再充電可能なリチウム薄膜電池210を含んでもよい。多くの光電セルの種類が、本明細書における技術と適合し得、このような実施形態で使用される光起電装置の例は、Clare,Inc.(Beverly,MA)によって製造されるCPC1822であり、これはおよそ2.5mm×1.8mm×0.3mmのダイ形状であり、光条件において4ボルトの直流電流(VDC)を提供することができる。いくつかの実施形態では、図2に示されるように、光起電装置の出力が、電池に直接提供され得る。あるいは、出力管理装置が、ある種のエネルギー再印加装置で再充電可能な電池の充電を制御してもよい。エネルギー印加される眼科用レンズ上の、本発明の範囲内のエネルギー源にエネルギーを再印加する、多くの実施形態が存在し得るため、この特定の実施例は非限定的な意味において提供される。
【0081】
Clare光電セルの場合、外部光源は、別の取り付けられたエネルギー源にエネルギーを再印加するための方法を含み得る。およそ1太陽光(one sun)以上の光強度において、セルはかなりの充電電流を提供する。このような光起電装置と相互作用するために、エネルギー再印加システムを構成するための多くの方法が存在し得る。非限定的な実施例により、水和媒体中の眼科用レンズの保存中に、適切な強度の光を提供することが可能であり得る。
【0082】
エネルギー源にエネルギーを再印加する他の実施形態は、別の装置によって画定され得る。例えば、眼科用レンズの本体にわたる熱勾配は、熱電装置がエネルギー源へのエネルギー再印加を提供するために使用され得る。別の実施形態では、外部エネルギーが、外部無線周波信号及びレンズ内の吸収装置、外部電圧場及びレンズ内の容量結合装置、又は機械的エネルギー、若しくは圧力、及び圧電装置の使用により、眼科用レンズへと結合され得る。エネルギー印加されたレンズ内のエネルギー源にエネルギーを再印加するための多くの方法が存在し得ることが、当業者には明白であり得る。
【0083】
先の説明で触れたように、再充電不可能な化学的性質の電池型エネルギー源は、本明細書において開示される新規性を有する別の実施形態を提供し得る。再充電可能性の利点のいくつかを潜在的に欠く一方このような実施形態は、別の方法により潜在的な費用、及び実施に関する利点を有し得る。本明細書において記載された再充電可能なエネルギー源と同等の方法で再充電不可能な封入された電気化学セルを含めることが、本開示の範囲内にあるものと認識され得る。
【0084】
本発明の様々なエネルギー源は、眼科用レンズ内に「オンボード」の電源を提供し、これは電子的構成要素、可撓性回路相互接続基材、印刷された電気的相互接続、センサー、及び/又はカスタム活性(custom active)構成要素と共に使用され得る。エネルギー印加され得るこれらの様々な構成要素は、広範な機能を実行する実施形態を規定し得る。非限定的な実施例により、エネルギー印加された眼科用レンズは、眼科用レンズの焦点特性を調節する機能にエネルギーを印加する電気光学装置であり得る。更に別の実施形態では、エネルギー印加された機能は、医薬品、又は他の物質をポンプ注入し得る、眼科用レンズ内のポンプ機構を活性化させてもよい。なお更なるエネルギー印加される機能は、眼科用レンズ内の感知装置、及び通信装置を含み得る。エネルギー印加された眼科用レンズ内で可能であり得る機能に関する、広範な実施形態が存在し得ることが、当業者には明白であり得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、エネルギー印加された眼科用レンズ内のエネルギー源は、眼科用レンズ、又は他の形状のヒドロゲル物品内におけるなお更なるエネルギー印加された機能の、ワイヤレスの制御された活性化を提供するために、眼科用レンズ内の制御機能にエネルギーを印加し得る。非限定的な実施例により、エネルギー源は、有源の限定的な最大電流容量を有し得る、埋め込まれ、封入された薄膜マイクロ電池を含み得る。漏洩電流、静止引き込み電流を最小化し、それによって完全に充電された薄膜マイクロ電池が、貯蔵中に可能な限りその電荷を維持するため、電気活性レンズ中でマイクロ電池を活性化し、他の構成要素に電気的に接続するための様々な手段が利用され得る。いくつかの実施形態では、光電池セル(例えば、Clare CPC1822のダイ形態)、又は光電感知装置が、規定の光条件下において、レンズ内のトランジスタ、又は他のマイクロ電子構成要素を活性化してもよく、これは次にレンズ内における電池と他のマイクロ電子構成要素との相互接続を活性化する。別の実施形態では、ミクロ寸法のホール効果センサー/スイッチ、例えば、Allegro Microsystems,Inc.(Worcester,MA)によって製造されるA1172が使用されて、磁石のN極、及び/又はS極に曝露された際に、レンズ内の電池、及び/又は他のミクロ電子構成要素を活性させてもよい。他の実施形態では、物理接触スイッチ、膜スイッチ、無線周波スイッチ、温度センサー、光ダイオード、フォトレジスタ、フォトトランジスタ、又は光学センサーが使用されて、エネルギー印加された眼科用レンズ内の電池、及び/又は取り付けられた電子部品を活性化してもよい。
【0086】
いくつかの実施形態では、エネルギー印加された眼科用レンズ内のエネルギー源は、集積回路と共に組み込まれてもよい。この種類の代表的な実施形態では、シリコン基材上の平坦な薄膜マイクロ電池の導入は、半導体製造プロセスに組み込まれる。このような手法は、本発明の電気活性レンズ内に組み込まれ得る様々な集積回路に、別個の電源を提供し得る。別の実施形態では、集積回路が、エネルギー印加されたレンズの別個の構成要素として組み込まれてもよい。
【0087】
図3を参照すると、項目300(エネルギー印加された眼科用レンズの代表的実施形態の描写)が図示される。この描写では、エネルギー源310は、薄膜の再充電可能なリチウムイオン電池を含み得る。電池は、相互接続を可能にする接触点370を有し得る。ワイヤーは、接触点370へとワイヤー結合されたワイヤーであり、電池エネルギー源310を再充電するために使用され得る光電セル360へと電池を接続してもよい。追加的なワイヤーがエネルギー源を、第2組の接触点350のワイヤー結合された接触点を介して相互接続される可撓性回路に接触させてもよい。これらの接触点350は、可撓性相互接続基材555の一部であり得る。この相互接続基材は、前述のエネルギー源と同様の方法で、典型的なレンズの形状に類似する形状へと形成され得る。追加的な可撓性を追加するために、相互接続基材355は、半径方向の切断部345などの追加的な形状特徴をその長さに沿って含んでもよい。相互接続基材355の個別のフラップは、IC、別個の構成要素、受動構成要素、及び項目330に図示される装置など、様々な電子的構成要素に接続されてもよい。これらの構成要素は、ワイヤー、又は他の接続手段340によって、相互接続基材355内の導電経路へと相互接続される。非限定的な実施例により、様々な構成要素が様々な手段により可撓性相互接続基材355に接続されてもよく、既に説明された電池への相互接続が作製され得る。様々な電気構成要素の組み合わせが、項目390として図示される電気工学装置の制御信号を規定し得る。制御信号は、相互接続320に沿って伝送され得る。エネルギー印加された機能を有する、この種類の代表的なエネルギー印加された眼科用レンズが、例示の目的のためのみに提供される。当業者には明白であり得るように、この記述は決して本発明の技術の範囲を限定するものとして理解されるべきではなく、機能、設計、相互接続構成、エネルギー印加構成、及び本発明の概念の全体的利用の、多くの異なる実施形態が存在し得る。
【0088】
これは、図3に関連し記載される実施例が、断面図の表示においてどのように見えるかを考慮する、更なる例示的描写目的を提供し得る。項目380として図示される図3の直線に沿ったこのような断面図は、図4で項目400として描写される。この描写は、エネルギー源装置が薄膜電池装置であり得る場合の断面図に焦点を当てている。断面図は、眼科用レンズの一般的な本体440を図示する。基材420の上に設置された薄膜電池が、本体440内にある。基材から上方に延びるようにして、カソード層422が存在してもよく、これは電解質層423によって囲まれていてもよく、これはひいてはアノード層424でコーティングされていてもよい。これらの層は、外部環境から電池層を封止する封入層421によって囲まれていてもよい。1つの代表的な実施形態では、電気的に制御された光学装置が、項目410として図示され得る。上記のように、これらの記載は非限定的な意味においてなされ、エネルギー印加され、機能的な眼科用レンズの多くの別の実施形態が、当業者にとって明白であり得る。
【0089】
いくつかの実施形態では、眼科用レンズの外観に影響を与える方法が存在し得る。薄膜マイクロ電池の審美性は様々な方法で変えることができ、これは、電気活性のコンタクトレンズ、又は成形されたヒドロゲル物品に埋め込まれた際に特定の外観を示す。いくつかの実施形態では、薄膜マイクロ電池は、審美的に心地良いパターン、及び/又は色を有する包装材料を有するように製造してもよく、これは落ち着いた色彩の外観の薄膜マイクロ電池を提供するか、又は別の方法として淡紫色様の色のパターン、無色、及び/若しくは混合色のパターン、反射性の設計、真珠光沢設計、金属状設計、あるいは潜在的に他の任意の審美的設計、又はパターンを提供するように機能する。他の実施形態では、薄膜フィルム電池は、レンズ内の他の構成要素、例えば、電池の前側表面に取り付けられた光起電力チップにより、又は別の方法として可撓性回路の全部、又は一部の後側に電池を定置することにより、部分的に隠されてもよい。更なる実施形態では、薄膜電池は、上側、又は下側瞼が電池の可視性を部分的に、又は全体的に隠すように、計画的に配置されてもよい。エネルギー印加された眼科用装置の外観、及びこれらを画成する方法に関する多くの実施形態が存在することが、当業者には明白であり得る。
【0090】
記載された様々な種類のエネルギー印加された眼科用装置の形成方法に関する多くの実施形態が存在し得る。ある実施形態では、本明細書における発明の技術は、特定のエネルギー印加された眼科用レンズの実施形態のサブ構成要素を別々の工程において、組み立てることを含み得る。生体適合性の、不活性な、コンフォーマルコーティングと共に使用される、有利に成形された薄膜マイクロ電池、可撓性回路、相互接続、マイクロ電子構成要素、及び/又は他の電気活性構成要素の「オフライン」アセンブリは、既知の鋳造成形コンタクトレンズ製造プロセスに組み込むことができる、包括的で埋め込み可能な単一のパッケージを提供する。可撓性回路は、銅被覆ポリイミドフィルム、又は他の同様の基材から製作されるものを含み得る。
【0091】
コンフォーマルコーティングとしては、パリレン(等級N、C、D、HT、及びこれらのいずれかの組み合わせ)、ポリ(p−キシリレン)、絶縁コーティング、シリコーンコンフォーマルコーティング、ポリウレタンコンフォーマルコーティング、アクリルコンフォーマルコーティング、剛性の気体透過性ポリマー、又は他の任意の有利な生体適合性コーティングが挙げられるがこれらに限定されない。
【0092】
本発明のいくつかの実施形態は、眼科用レンズ材料内の、及び/又はこれによって封入される実施形態に順応する形状の薄膜マイクロ電池の形状設計を指向する方法を含み得る。他の実施形態は、ヒドロゲル、シリコーンヒドロゲル、剛性の気体透過性「RGP」コンタクトレンズ材料、シリコーン、熱可塑性ポリマー、熱可塑性エラストマー、熱硬化性ポリマー、コンフォーマル絶縁/誘電コーティング、及び密封バリアコーティングなど、これらに限定されない様々な材料に薄膜マイクロ電池を組み込むための方法を含む。
【0093】
更に他の実施形態は、エネルギー源の眼科用レンズ形状内への計画的な定置の方法を含む。具体的に、いくつかの実施形態では、エネルギー源は半透明の物品であり得る。エネルギー源は、眼科用レンズを通じた光の透過を妨害しないことがあるため、いくつかの実施形態における設計方法は、コンタクトレンズの中央5〜8mmが、エネルギー源のいずれかの半透明の部分によって妨害され得ないことを確実にし得る。眼科用レンズの光学的に関連する部分と良好に相互作用するための、様々なエネルギー源の設計に関連する、多くの異なる実施形態が存在し得ることが、当業者にとって明白であり得る。
【0094】
いくつかの実施形態では、エネルギー源の体積、及び密度は、上記のエネルギー源がまた単独で、又は眼上でレンズを回転可能に安定させるように眼科用レンズの本体に設計される他のレンズ安定化ゾーンと共に機能し得るように、設計を促進し得る。このような実施形態は、乱視の矯正、眼上における快適性の改善、又はエネルギー印加された眼科用レンズ内の他の構成要素の安定した/制御された配置が挙げられるがこれらに限定されない多くの用途において有利である。
【0095】
追加的な実施形態では、エネルギー源は、コンタクトレンズの外側縁部から一定の位置に定置されて、良好な快適性を提供すると同時に、有害事象の発生を最小限にするためにコンタクトレンズ縁部の輪郭の有利な設計を可能にし得る。回避するべきこのような有害事象の例としては、上皮弓状病変、又は巨大乳頭結膜炎が挙げられる。
【0096】
いくつかの実施形態における、非限定的な実施例により、埋め込まれた電気化学セルのカソード、電解質、及びアノード機構が、このようなカソード、電解質、及びアノード区域を画定する形状の印刷されたインクによって形成され得る。このように形成された電池は、例えば、マンガン酸化物、及び亜鉛の化学的性質に基づく単回使用セル、及び上記の薄膜電池の化学的性質と同様のリチウムの化学的性質に基づく再充電可能な薄い電池の両方を含む。エネルギー印加された眼科用レンズの様々な機構、及び形成方法の様々な異なる実施形態が、印刷技術の使用を含み得ることが、当業者には明白であり得る。
【0097】
記載された様々な方法でエネルギー印加された眼科用レンズの実施形態を形成するために使用され得る装置に関する多くの実施形態が存在し得る。加工の基本工程は、眼科用レンズのエネルギー源を含む様々な構成要素を支持することに関連し得るが、眼科用レンズの本体はこれらの構成要素の周囲で成形される。いくつかの実施形態では、エネルギー源は、レンズ鋳型の保持点に取り付けられてもよい。保持点は、レンズ本体内に形成されるものと同じ種類の重合された材料で取り付けられてもよい。様々なエネルギー源を、これらがレンズ本体に封入される前に支持するための多くの方法が、本発明の範囲内の実施形態を含むことが当業者には明白であり得る。
【0098】
図7を参照すると、本発明のいくつかの実施形態で使用し得るコントローラ700を図示する。コントローラ700は、通信装置720に結合する、1つ以上のプロセッサ構成要素を含み得るプロセッサ710を含む。いくつかの実施形態では、コントローラ700を使用して、眼科用レンズ内に定置されるエネルギー受容器にエネルギーを伝送することができる。
【0099】
コントローラは、通信チャネルを介してエネルギーを通信するように構成された通信装置に結合した1つ以上のプロセッサを含むことができる。通信装置は、眼科用レンズ受容器へのエネルギーの伝送、及び眼科用レンズへの、及びこれからのデジタルデータの伝送の1つ以上を電気的に制御するために使用され得る。
【0100】
通信装置720は、例えば、1つ以上のコントローラー装置、又は製造機器構成要素、例えば、導電性材料をインクジェット印刷するか、又は結合層を堆積するためのインクジェット印刷装置、及び1つ以上の結合層を堆積するためのパッド印刷装置などと通信するために使用され得る。
【0101】
プロセッサ710は、記憶装置730とも通信する。記憶装置730は、磁気記憶装置(例えば、磁気テープ及びハードディスクドライブ)、光学式記憶装置、及び/又はランダム・アクセス・メモリ(RAM)装置及びリード・オンリー・メモリ(ROM)装置等の半導体記憶装置を含む、任意の適切な情報記憶装置を備えてもよい。
【0102】
記憶装置730は、プロセッサ710を制御するためのプログラム740を記録することができる。プロセッサ710は、プログラム740の指示を実行し、それによって、本発明に従って作動する。例えば、プロセッサ710は、エネルギー受容器の定置、処理装置の定置などを表わす情報を受信し得る。記憶装置730は、1つ以上のデータベース内の眼科関連データを記憶することもできる。データベースは、カスタマイズされた受容器設計、計量データ、及びエネルギー受容器を形成するために導電性材料をインクジェット印刷するための特定の制御順序を含み得る。
【0103】
いくつかの実施形態では、プロセッサ装置などの構成要素を有する眼科用レンズが、眼科用レンズに組み込まれるエネルギー源と適合し、眼科用レンズ内で論理機能、ないしは別のプロセスを実行するために使用され得る。
【0104】
結論
上記の説明、及び以下の請求項によって更に定義されるとおり、本発明は、眼科用レンズを処理する方法、及びそのような方法を実行するための装置、並びにそれによって形成される眼科用レンズを提供する。
【0105】
〔実施の態様〕
(1) シリコンヒドロゲル材料を含む、視覚ゾーン及び非視覚ゾーンを有するレンズと、
前記非視覚ゾーンを含む前記レンズの領域の前記シリコンヒドロゲル材料中に埋め込まれたエネルギー源と、
電流引き込み構成要素と、
前記エネルギー源を前記電流引き込み構成要素に接続する取り付け領域と、を含む、エネルギー印加された眼科用レンズ装置。
(2) エネルギー再印加構成要素を追加的に含む、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記エネルギー再印加構成要素が、光電装置、高周波吸収装置、誘導エネルギー結合装置、容量エネルギー結合装置、熱電装置、及び圧電装置(piezeoelectric device)のうちの少なくとも1つを含む、実施態様2に記載の装置。
(4) 前記電流引き込み構成要素が前記非視覚ゾーンに埋め込まれた、実施態様1に記載の装置。
(5) 前記レンズ本体が、エタフィルコン、セノフィルコン、ガリフィルコン、及びナラフィルコンのうちの少なくとも1つを含む、実施態様1に記載の装置。
(6) 前記エネルギー再印加構成要素が、前記エネルギー源にエネルギーを再印加するために、エネルギーを直接供給する、実施態様2に記載の装置。
(7) 前記エネルギー再印加構成要素が、前記エネルギー源にエネルギーを再印加するために、エネルギー特性変換装置によって変更されたエネルギーを供給する、実施態様2に記載の装置。
(8) エネルギー再印加装置が光電装置を含み、かつ外部光源を含む、実施態様2に記載の装置。
(9) 前記エネルギー源が電池を含む、実施態様1に記載の装置。
(10) 前記電池が再充電可能である、実施態様9に記載の装置。
【0106】
(11) 前記電池が単回使用電池である、実施態様9に記載の装置。
(12) 前記エネルギー源が、燃料セル、コンデンサ、圧電装置、及び光電装置のうちの少なくとも1つを含む、実施態様1に記載の装置。
(13) 前記電池が封入された、実施態様9に記載の装置。
(14) 前記電池が眼科用レンズの一般的形状に成形された、実施態様9に記載の装置。
(15) 前記電池が完全な環状の形状に成形された、実施態様9に記載の装置。
(16) 前記電池が部分的な環状の形状に成形された、実施態様9に記載の装置。
(17) 前記電池が500マイクロメートル未満の厚さである、実施態様9に記載の装置。
(18) 前記電池がその周辺部で酸素透過を可能にするように成形された、実施態様9に記載の装置。
(19) 美容構成要素を追加的に含む、実施態様1に記載の装置。
(20) 前記エネルギー源が半導体材料を含む、実施態様3に記載の装置。
【0107】
(21) 前記エネルギー源が印刷された構成成分を含む、実施態様3に記載の装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンヒドロゲル材料を含む、視覚ゾーン及び非視覚ゾーンを有するレンズと、
前記非視覚ゾーンを含む前記レンズの領域の前記シリコンヒドロゲル材料中に埋め込まれたエネルギー源と、
電流引き込み構成要素と、
前記エネルギー源を前記電流引き込み構成要素に接続する取り付け領域と、を含む、エネルギー印加された眼科用レンズ装置。
【請求項2】
エネルギー再印加構成要素を追加的に含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記エネルギー再印加構成要素が、光電装置、高周波吸収装置、誘導エネルギー結合装置、容量エネルギー結合装置、熱電装置、及び圧電装置のうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記電流引き込み構成要素が前記非視覚ゾーンに埋め込まれた、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記レンズ本体が、エタフィルコン、セノフィルコン、ガリフィルコン、及びナラフィルコンのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記エネルギー再印加構成要素が、前記エネルギー源にエネルギーを再印加するために、エネルギーを直接供給する、請求項2に記載の装置。
【請求項7】
前記エネルギー再印加構成要素が、前記エネルギー源にエネルギーを再印加するために、エネルギー特性変換装置によって変更されたエネルギーを供給する、請求項2に記載の装置。
【請求項8】
エネルギー再印加装置が光電装置を含み、かつ外部光源を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項9】
前記エネルギー源が電池を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記電池が再充電可能である、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記電池が単回使用電池である、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記エネルギー源が、燃料セル、コンデンサ、圧電装置、及び光電装置のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記電池が封入された、請求項9に記載の装置。
【請求項14】
前記電池が眼科用レンズの一般的形状に成形された、請求項9に記載の装置。
【請求項15】
前記電池が完全な環状の形状に成形された、請求項9に記載の装置。
【請求項16】
前記電池が部分的な環状の形状に成形された、請求項9に記載の装置。
【請求項17】
前記電池が500マイクロメートル未満の厚さである、請求項9に記載の装置。
【請求項18】
前記電池がその周辺部で酸素透過を可能にするように成形された、請求項9に記載の装置。
【請求項19】
美容構成要素を追加的に含む、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記エネルギー源が半導体材料を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項21】
前記エネルギー源が印刷された構成成分を含む、請求項3に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−503222(P2012−503222A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527955(P2011−527955)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際出願番号】PCT/US2009/057284
【国際公開番号】WO2010/033679
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(510294139)ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド (48)
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Vision Care, Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 Centurion Parkway, Jacksonville, FL 32256, United States of America
【Fターム(参考)】