説明

エネルギ計画支援システム

【課題】エネルギ原単位の低減目標を達成するエネルギ計画が容易に作成できるように利用者を支援する。
【解決手段】前年度の実績情報とエネルギ原単位低減率目標値6とを保持して、当年度のエネルギ使用量計画値7および生産量計画値8が入力されると、エネルギ原単位・低減率演算手段4aが当年度エネルギ原単位9を演算すると共に、このエネルギ原単位9の対前年度低減率10を演算し、表示手段5の画面上に表示する。また、当年度の生産量計画値8が入力されると、月毎のエネルギ使用量計画値7を、エネルギ使用量計画情報演算手段4bによりエネルギ原単位低減率目標値6を満たすように演算して自動で入力する第2の入力モードを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、生産物の生産に使用されるエネルギ量の計画を支援するシステムに関し、特に、単位生産量あたりのエネルギ使用量であるエネルギ原単位の低減化を目指すエネルギ計画支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
経済産業省により、「エネルギを使用して事業を行う者」は、「エネルギ原単位の年平均1%以上の低減」を目標に努力することが求められている。このため、各工場のエネルギ管理者は、上記目標が達成できるよう年間のエネルギ使用量および製品の生産量を計画する必要がある。
エネルギ計画を支援する従来のエネルギ管理システムは、工程管理手段からの情報に基づいて生産ラインが設置された設備で付帯的に使用したエネルギ使用量を算出し、このエネルギ使用量と、生産ラインでのエネルギ使用量とを生産物の生産に伴うエネルギ総使用量とし、当該エネルギ総使用量を生産量で除して生産物の原単位として算出するエネルギ管理手段を備える(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−159909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載されるシステムでは、過去の年度別や月毎のエネルギ使用量およびエネルギ原単位を表示して利用者に提供することで、利用者のエネルギ計画を支援できる。しかしながら、過去の実績情報を提供するのみであるため、エネルギ使用量を計画する段階で、エネルギ原単位の低減目標を達成させる計画を作成するためには利用者の手計算などに委ねられ、利用者の負荷が大きいものであった。
【0005】
この発明は、上記のような問題点を解消するために成されたものであって、エネルギ原単位の低減目標を達成するエネルギ計画が容易に作成できるように利用者を支援するエネルギ計画支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明によるエネルギ計画支援システムは、生産物の生産に要する電力(エネルギ)の使用量を計画するためのシステムであって、過去の所定期間における生産量実績情報および電力使用量実績情報を含む実績情報を保持する第1の保持手段と、現在から将来の所定期間における生産量計画情報および電力使用量計画情報を入力する入力手段と、上記生産量計画情報および上記電力使用量計画情報から、単位生産量あたりの電力使用量であるエネルギ原単位を演算すると共に、上記実績情報からエネルギ原単位の実績値を得て、該実績値に対する上記エネルギ原単位の低減率を演算する演算手段と、上記入力手段による入力情報および上記演算手段による演算情報である計画情報を表示する表示手段と、該計画情報を保持する第2の保持手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によるエネルギ計画支援システムは、入力された生産量計画情報および電力使用量計画情報から得られるエネルギ原単位と、保持された実績情報から得られるエネルギ原単位の実績値に対するエネルギ原単位の低減率とを演算して表示することにより、生産量計画情報および電力使用量計画情報が入力された後に速やかにエネルギ原単位の低減率を利用者に知らせる。このため、エネルギ原単位の低減目標を達成するエネルギ計画が容易に作成できるように利用者を支援することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1によるエネルギ計画支援システムを図に基づいて説明する。図1は、この発明の実施の形態1によるエネルギ計画支援システムの概略構成を示すブロック図である。なお、ここでは、過去の所定期間の実績情報として前年度の実績情報を扱い、現在から将来の所定期間の計画情報として当年度の計画情報を扱う。また、単位期間毎の計画値や実測値としては、月毎の計画値や実測値を扱う。
図1に示すように、エネルギ計画支援システムは、前年度実績情報を保持する第1の保持手段としての前年度情報保持手段1と、当年度計画情報を保持する第2の保持手段としての当年度情報保持手段2と、当年度情報入力手段3aおよびエネルギ原単位の低減率目標値を設定入力する低減率目標値設定手段3bから成る入力手段3と、演算手段4と、表示手段5と、低減率目標値設定手段3bにて設定された対前年度のエネルギ原単位低減率目標値6とを備える。演算手段4は、当年度エネルギ原単位を演算すると共に、エネルギ原単位の実績値としての前年度エネルギ原単位に対する当年度エネルギ原単位の低減率を演算する演算手段としてのエネルギ原単位・低減率演算手段4aと、与えられた条件に基づいてエネルギ使用量計画情報を演算する第2の演算手段としてのエネルギ使用量計画情報演算手段4bとで構成される。
【0009】
前年度情報保持手段1は、前年度の生産量実績情報、エネルギ使用量実績情報、単位生産量あたりのエネルギ使用量であるエネルギ原単位等の前年度実績情報である。なお、前年度のエネルギ原単位は、エネルギ使用量実績情報を生産量実績情報で除することにより演算できるため、保持せずにエネルギ原単位・低減率演算手段4aにて演算させて用いるようにしても良い。エネルギ原単位は、以下に示す公知の計算式にて演算される。
エネルギ原単位
=エネルギ使用量実績値(累積)×α係数/生産量実績値(累積)
但し、α係数は、エネルギ原単位の算出の際、電気使用量について受電端の熱効率を勘案するために用いる係数であり、以下の公知の計算式にて演算される。
α係数={昼間買電量+夜間買電量×9620[KJ]/10250[kJ]+その他電力量}/総買電量
当年度情報入力手段3aは、利用者が操作することにより、当年度生産量計画情報および当年度エネルギ使用量計画情報となる各計画値を入力したり、当年度情報保持手段2に既に保持されている当年度生産量計画情報および当年度エネルギ使用量計画情報を再入力により更新する。同様に、利用者が低減率目標値設定手段3bを操作することにより、低減率目標値設定手段3bは対前年度のエネルギ原単位低減率目標値6を設定あるいは修正する。
なお、図1では、当年度の生産量計画情報およびエネルギ使用量計画情報を、便宜上、(計画値/実測値)と示したが、この実施の形態では実測値は扱わない。
【0010】
当年度生産量計画情報および当年度エネルギ使用量計画情報が当年度情報入力手段3aにより入力されると、エネルギ原単位・低減率演算手段4aは、当年度生産量計画情報および当年度エネルギ使用量計画情報から当年度エネルギ原単位を演算すると共に、前年度情報保持手段1から得られる前年度エネルギ原単位に対する当年度エネルギ原単位の低減率を演算する。表示手段5は通常、入力手段3と共に構成され、利用者は、表示手段5にて表示された画面上で入力する。そして、入力された情報および演算された当年度エネルギ原単位、エネルギ原単位低減率等の当年度計画情報が、表示手段5により表示されると共に当年度情報保持手段2に保持される。
また、当年度情報入力手段3aは入力モードを2種備え、当年度生産量計画情報および当年度エネルギ使用量計画情報の双方を利用者の操作により入力する第1の入力モードと、当年度生産量計画情報のみ利用者の操作により入力し、当年度エネルギ使用量計画情報についてはエネルギ使用量計画情報演算手段4bにてエネルギ原単位低減率目標値6を満たすように演算させて入力する第2の入力モードとを備える。
【0011】
このように構成されるエネルギ計画支援システムの動作を、図2に示す表示画面、および図3に示すフローチャートに基づいて、以下に説明する。
利用者は、当年度のエネルギ計画を作成する際、エネルギ計画支援システムを起動すると、表示手段2は画面を起動して図2に示すような入力画面を表示し(s1)、当年度情報保持手段2に保持される前回保存時の当年度計画情報、即ち、当年度生産量計画情報、当年度エネルギ使用量計画情報、当年度エネルギ原単位、およびエネルギ原単位の対前年度低減率を表示する。なお、当年度のエネルギ計画の初回作成時には、該当箇所はブランクとなる(s2)。
【0012】
利用者は、画面上で当年度エネルギ使用量計画情報、当年度生産量計画情報となる月毎のエネルギ使用量計画値7、生産量計画値8を当年度情報入力手段3aにより手入力する。この際、マウスでクリックする等により、数値のキーボード入力を可能とする(s3)。当年度情報入力手段3aは、自動入力ボタン13が押されたか(クリックされたか)どうかで入力モードの種別を判別し(s4)、自動入力ボタン13が押されると第2の入力モードと判別して、エネルギ使用量計画値7をエネルギ使用量計画情報演算手段4bにて演算させて入力し、ステップs6に移行する。この時、エネルギ使用量計画情報演算手段4bは、設定されたエネルギ原単位低減率目標値6を満たすようにエネルギ使用量計画値7を演算する(s5)。ステップs4にて自動入力ボタン13が押されない場合、初期状態の入力モードである第1の入力モードのままステップs6に移行する。
【0013】
利用者は、入力された月毎のエネルギ使用量計画値7、生産量計画値8を画面上で確認し、必要に応じてエネルギ使用量計画値7、生産量計画値8を当年度情報入力手段3aにより手入力して修正する(s6)。当年度情報入力手段3aは、キャンセルボタン12が押されたか(クリックされたか)どうかでキャンセルを判別し(s7)、キャンセルのときは今回の入力情報は全て破棄して画面を起動させた状態に戻し、ステップs2に戻る。
ステップs7にてキャンセルボタン12が押されずに、更新ボタン11が押されると(クリックされると)(s8)、エネルギ原単位・低減率演算手段4aは、今回の入力情報に基づく当年度エネルギ使用量計画情報および当年度生産量計画情報から当年度エネルギ原単位9を演算あるいは再演算すると共に、前年度情報保持手段1から得られる前年度エネルギ原単位に対する当年度エネルギ原単位9の低減率10を演算あるいは再演算し、表示手段5は、演算されたエネルギ原単位9および対前年度低減率10を、当年度生産量計画情報および当年度エネルギ使用量計画情報と共に表示あるいは再表示する。そして、これらの当年度計画情報は当年度情報保持手段2に保持される、あるいは当年度情報保持手段2内の当年度計画情報が更新される(s9)。
【0014】
ところで、エネルギ原単位・低減率演算手段4aにて演算されるエネルギ原単位は、以下に示す公知の計算式にて演算される。
エネルギ原単位
=エネルギ使用量計画値(累積)×前年度α係数/生産量計画値(累積)
但し、α係数は、エネルギ原単位の算出の際、電気使用量について受電端の熱効率を勘案するために用いる係数であり、以下の公知の計算式にて演算される。
α係数={昼間買電量+夜間買電量×9620[KJ]/10250[kJ]+その他電力量}/総買電量
なお、前年度α係数は、前年度実績情報の一部として前年度情報保持手段1内に保持しておき、エネルギ原単位・低減率演算手段4aは、利用者により入力された月毎のエネルギ使用量計画値7および生産量計画値8から年間の累積値であるエネルギ使用量計画値(累積)7aおよび生産量計画値(累積)8aを演算した後、上記計算式を用いる。また、エネルギ使用量計画値(累積)7aおよび生産量計画値(累積)8aは画面上にも表示される。
【0015】
また、第2の入力モードの際、エネルギ使用量計画情報演算手段4bは、月毎のエネルギ使用量計画値7を、例えば以下に示す計算によりエネルギ原単位低減率目標値6を満たすように演算する。
まず、前年度情報保持手段1内の前年度エネルギ原単位とエネルギ原単位低減率目標値6とから、当年度エネルギ原単位目標値を、
当年度エネルギ原単位目標値
=前年度エネルギ原単位×(1−エネルギ原単位低減率目標値)
として演算する。次に、利用者により入力された月毎の生産量計画値8から年間の生産量計画値(累積)8aを演算して、この生産量計画値(累積)8aと上記当年度エネルギ原単位目標値とから、年間のエネルギ使用量計画値(累積)7aを、
エネルギ使用量計画値(累積)
=当年度エネルギ原単位目標値×生産量計画値(累積)
として演算する。そして、月毎のエネルギ使用量計画値7を、
エネルギ使用量計画値(月毎)
=エネルギ使用量計画値(累積)×生産量計画値(月毎)/生産量計画値(累積)
として演算する。
【0016】
この実施の形態では、前年度の実績情報とエネルギ原単位低減率目標値6とを保持して、当年度のエネルギ使用量計画値7、7aおよび生産量計画値8、8aが入力されると、エネルギ原単位・低減率演算手段4aが当年度エネルギ原単位9を演算すると共に、このエネルギ原単位9の対前年度低減率10を演算し、表示手段5の画面上に表示する。このため、利用者はエネルギ原単位9の対前年度低減率10を容易に確認でき、再入力による修正も速やかに容易に行える。このため、利用者はこのエネルギ計画支援システムを用いて、エネルギ原単位の低減目標を達成するエネルギ計画を容易に作成できる。
また、当年度情報保持手段2内に保持された当年度計画情報も、画面上に表示された状態で、エネルギ使用量計画値7、7aおよび生産量計画値8、8aを再入力により修正可能とし、その際も、当年度エネルギ原単位9およびエネルギ原単位の対前年度低減率10を再演算して再表示させるため、エネルギ計画変更の利便性が高いものとなる。
【0017】
また、当年度の月毎のエネルギ使用量計画値7および生産量計画値8が入力されると、エネルギ原単位・低減率演算手段4aが年間のエネルギ使用量計画値(累積)7aおよび生産量計画値(累積)8aを算出して当年度エネルギ原単位9およびエネルギ原単位の対前年度低減率10を演算するため、利用者の負荷がさらに低減できる。
また、月毎のエネルギ使用量計画値7を、エネルギ使用量計画情報演算手段4bによりエネルギ原単位低減率目標値6を満たすように演算して自動で入力する第2の入力モードを備えたため、利用者は当年度の生産量計画情報のみ入力すれば良く、エネルギ原単位の低減目標を達成するエネルギ計画をさらに容易で確実に作成できる。
また、エネルギ原単位低減率目標値6を外部から設定、修正する低減率目標値設定手段3bを備えたため、年度ごとに適切なエネルギ原単位低減率目標値6を設定でき、エネルギ計画作成を効果的に支援できる。
【0018】
なお、上記実施の形態では、第2の入力モードの際に、利用者が月毎の生産量計画値8を入力する場合を示したが、年間の生産量計画値(累積)8aのみを入力するようにしても良く、利用者の負荷は更に低減できる。その場合、エネルギ使用量計画情報演算手段4bは、月毎のエネルギ使用量計画値7を、例えば以下に示す計算によりエネルギ原単位低減率目標値6を満たすように演算する。
まず、前年度情報保持手段1内の前年度エネルギ原単位とエネルギ原単位低減率目標値6とから、当年度エネルギ原単位目標値を、
当年度エネルギ原単位目標値
=前年度エネルギ原単位×(1−エネルギ原単位低減率目標値)
として演算する。次に、利用者により入力された年間の生産量計画値(累積)8aと上記当年度エネルギ原単位目標値とから、年間のエネルギ使用量計画値(累積)7aを、
エネルギ使用量計画値(累積)
=当年度エネルギ原単位目標値×生産量計画値(累積)
として演算する。そして、前年度情報保持手段1内の前年度のエネルギ使用量実績値(累積)およびエネルギ使用量実績値(月毎)と、上記当年度のエネルギ使用量計画値(累積)とから、当年度の月毎のエネルギ使用量計画値7を、
エネルギ使用量計画値(月毎)
=前年度のエネルギ使用量実績値(月毎)×エネルギ使用量計画値(累積)/前年度のエネルギ使用量実績値(累積)
として演算する。
【0019】
また、この実施の形態では、エネルギ使用量計画情報演算手段4bによりエネルギ原単位低減率目標値6を満たすように演算して自動で入力する第2の入力モードを備えたが、このような自動演算機能を備えないエネルギ計画支援システムでも良く、エネルギ原単位・低減率演算手段4aが当年度エネルギ原単位9を演算すると共に、該エネルギ原単位の対前年度低減率10を演算し、表示手段5の画面上に表示することで、利便性の高いエネルギ計画支援システムとなる。
【0020】
また、低減率目標値設定手段3bを備えずに、エネルギ原単位低減率目標値6を固定値、例えば1%にして保持しても良い。
【0021】
実施の形態2.
上記実施の形態では、当年度計画情報は、計画値のみを入力するものとしたが、この実施の形態では、年度途中に、エネルギ計画を修正する際、当年度の経過した月に対しては実測値を入力するものとする。
この発明の実施の形態2によるエネルギ計画支援システムの構成は、図1で示したものと同様である。なお、この実施の形態では、図1に示すように、当年度の生産量計画情報およびエネルギ使用量計画情報には、計画値と実測値とがある。
またこの実施の形態では、当年度情報入力手段3aは上記実施の形態1で説明した2種の入力モードの他に、実測値を入力して当年度計画情報を更新する2種の更新モードを備える。即ち、第1の更新モードは、月毎の生産量実測値およびエネルギ使用量実測値を利用者の操作により入力して該当月の当年度計画情報のみ更新する。また、第2の更新モードは、月毎の生産量実測値およびエネルギ使用量実測値を利用者の操作により入力して該当月の当年度計画情報は同様に更新するが、残り月の月毎の当年度エネルギ使用量計画情報であるエネルギ使用量計画値(月毎)についてもエネルギ使用量計画情報演算手段4bにてエネルギ原単位低減率目標値6を満たすように演算させて更新する。
【0022】
この実施の形態によるエネルギ計画支援システムの動作を、図4に示す表示画面、および図5に示すフローチャートに基づいて以下に説明する。なお、年度初め等に当年度のエネルギ計画を最初に作成する時は、上記実施の形態1と同様の動作であり、ここでは、年度途中で、当年度の経過した月に対して実測値を入力して既に作成されたエネルギ計画を更新する場合の動作を示す。
エネルギ計画支援システムが起動すると、表示手段2は画面を起動して図4に示すような入力画面を表示し(t1)、当年度情報保持手段2に保持される前回保存時の当年度計画情報、即ち、当年度生産量計画情報、当年度エネルギ使用量計画情報、当年度エネルギ原単位、およびエネルギ原単位の対前年度低減率を表示する(t2)。
【0023】
利用者は、当年度の経過した月に対して、月毎のエネルギ使用量実測値7b、生産量実測値8bを当年度情報入力手段3aにより手入力して、該当月のエネルギ使用量計画値7、生産量計画値8を書き換える。なお、月毎のエネルギ使用量実測値7b、生産量実測値8bは、当年度計画情報内の当年度生産量計画情報、当年度エネルギ使用量計画情報の一部を構成するものである。この時、画面上では、背景色を変えるなどにより、エネルギ使用量実測値7b、生産量実測値8bとエネルギ使用量計画値7、生産量計画値8とを区別して表示する(t3)。当年度情報入力手段3aは、自動入力ボタン13が押されたか(クリックされたか)どうかで更新モードの種別を判別し(t4)、自動入力ボタン13が押されると第2の更新モードと判別して、エネルギ使用量計画値7をエネルギ使用量計画情報演算手段4bにて演算させて入力し、ステップt6に移行する。この時、エネルギ使用量計画情報演算手段4bは、設定されたエネルギ原単位低減率目標値6を満たすようにエネルギ使用量計画値7を演算する(t5)。ステップt4にて自動入力ボタン13が押されない場合、初期状態の更新モードである第1の更新モードのままステップt6に移行する。
【0024】
利用者は、月毎のエネルギ使用量実測値7b、生産量実測値8bおよびエネルギ使用量計画値7、生産量計画値8を画面上で確認し、必要に応じてエネルギ使用量計画値7、生産量計画値8を当年度情報入力手段3aにより手入力して修正する(t6)。当年度情報入力手段3aは、キャンセルボタン12が押されたか(クリックされたか)どうかでキャンセルを判別し(t7)、キャンセルのときは今回の入力情報は全て破棄して画面を起動させた状態に戻し、ステップt2に戻る。
ステップt7にてキャンセルボタン12が押されずに、更新ボタン11が押されると(クリックされると)(t8)、エネルギ原単位・低減率演算手段4aは、今回の入力情報に基づく当年度エネルギ使用量計画情報および当年度生産量計画情報から当年度エネルギ原単位9を再演算すると共に、前年度情報保持手段1から得られる前年度エネルギ原単位に対する当年度エネルギ原単位9の低減率10を再演算し、表示手段5は、演算されたエネルギ原単位9および対前年度低減率10を、当年度生産量計画情報および当年度エネルギ使用量計画情報と共に再表示する。そして、当年度情報保持手段2内の当年度計画情報が更新される(t9)。
【0025】
この実施の形態によるエネルギ計画支援システムは、上記実施の形態1と同様の機能を備え、さらに、年度途中にエネルギ計画を修正する際、当年度の経過した月に対して実測値を入力してエネルギ計画を変更するものである。このため、上記実施の形態1と同様の効果が得られると共に、実測値に応じた信頼性の高いエネルギ計画変更が容易に行え、利便性が向上する。
また、経過した月に対して月毎のエネルギ使用量実測値7b、生産量実測値8bが入力されると、残り月のエネルギ使用量計画値7は、エネルギ使用量計画情報演算手段4bによりエネルギ原単位低減率目標値6を満たすように演算して自動で更新する第2の更新モードを備えたため、年度途中の計画変更時にも、エネルギ原単位の低減目標を達成するエネルギ計画を容易で確実に作成できる。
【0026】
なお、当年度情報保持手段2内に保持された当年度エネルギ使用量計画情報を、図6に示すようにグラフ化して画面に表示させても良い。この場合、月毎のエネルギ使用量計画情報(実測値および計画値)は棒グラフ(エネルギ使用量実測値グラフ15、エネルギ使用量計画値グラフ16)で示し、別途、月初めからのエネルギ使用量累積計画情報を演算して折れ線グラフ(エネルギ使用量累積実測値グラフ17、エネルギ使用量累積計画値グラフ18)で示している。そして、実測値と計画値とは区別して表示する。
これにより、エネルギ計画支援システムはより利便性の高いものとなり、利用者は、その時点の当年度エネルギ使用量計画情報を容易で的確に把握することができる。
【0027】
上記各実施の形態では、前年度実績情報は、予め前年度情報保持手段1に保持されているものとしたが、入力手段3が前年度実績情報を入力する機能を有して、入力手段3により入力した後に前年度情報保持手段1に保持しても良い。
【0028】
また、上記各実施の形態では、前年度の実績情報のみを扱ったが、例えば前年度の前半期間、前々年度期間、あるいは前々年度と前年度の2年間等、過去の所定の期間の実績情報を同様に扱うことができる。
また、計画情報についても、当年度だけでなく現在から将来の所定期間の計画情報を任意に扱うことができる。但し、経過した期間(月)に対して実測値を入力する場合は、当年度を含む所定期間とする。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】この発明の実施の形態1によるエネルギ計画支援システムの概略構成を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1によるエネルギ計画支援システムの動作を説明する表示画面である。
【図3】この発明の実施の形態1によるエネルギ計画支援システムの動作を説明するフローチャートである。
【図4】この発明の実施の形態2によるエネルギ計画支援システムの動作を説明する表示画面である。
【図5】この発明の実施の形態2によるエネルギ計画支援システムの動作を説明するフローチャートである。
【図6】この発明の実施の形態2の別例によるエネルギ計画支援システムの表示画面である。
【符号の説明】
【0030】
1 前年度情報保持手段、2 当年度情報保持手段、3 入力手段、
3a 当年度情報入力手段、3b 低減率目標値設定手段、4 演算手段、
4a エネルギ原単位・低減率演算手段、
4b 第2の演算手段としてのエネルギ使用量計画情報演算手段、5 表示手段、
6 エネルギ原単位低減率目標値、
7 エネルギ使用量計画情報としてのエネルギ使用量計画値(月毎)、
7a エネルギ使用量計画情報としてのエネルギ使用量計画値(累積)、
7b エネルギ使用量計画情報としてのエネルギ使用量実測値(月毎)、
8 生産量計画情報としての生産量計画値(月毎)、
8a 生産量計画情報としての生産量計画値(累積)、
8b 生産量計画情報としての生産量実測値(月毎)、9 エネルギ原単位、
10 エネルギ原単位の対前年度低減率、11 更新ボタン、13 自動入力ボタン、
15 エネルギ使用量実測値グラフ、16 エネルギ使用量計画値グラフ、
17 エネルギ使用量累積実測値グラフ、18 エネルギ使用量累積計画値グラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生産物の生産に要する電力使用量を計画するためのエネルギ計画支援システムにおいて、
過去の所定期間における生産量実績情報および電力使用量実績情報を含む実績情報を保持する第1の保持手段と、現在から将来の所定期間における生産量計画情報および電力使用量計画情報を入力する入力手段と、上記生産量計画情報および上記電力使用量計画情報から、単位生産量あたりの電力使用量であるエネルギ原単位を演算すると共に、上記実績情報からエネルギ原単位の実績値を得て、該実績値に対する上記エネルギ原単位の低減率を演算する演算手段と、上記入力手段による入力情報および上記演算手段による演算情報である計画情報を表示する表示手段と、該計画情報を保持する第2の保持手段とを備えたことを特徴とするエネルギ計画支援システム。
【請求項2】
上記現在から将来の所定期間は、当年度を含む期間であることを特徴とする請求項1記載のエネルギ計画支援システム。
【請求項3】
上記入力手段により、上記生産量計画情報および上記電力使用量計画情報として単位期間毎の生産量計画値および電力使用量計画値を入力し、これらの計画値から上記演算手段により上記所定期間の累積生産量計画値および累積電力使用量計画値を算出して上記エネルギ原単位および上記エネルギ原単位低減率を演算することを特徴とする請求項1または2に記載のエネルギ計画支援システム。
【請求項4】
上記入力手段は、既に入力された上記生産量計画情報および上記電力使用量計画情報に対し、当年度の経過した期間に対して生産量実測値および電力使用量実測値を外部から入力して更新する機能を有し、上記生産量計画情報、上記電力使用量計画情報のいずれかあるいは双方が更新されると、上記演算手段は上記エネルギ原単位および上記エネルギ原単位低減率を再演算し、上記表示手段は更新および再演算された計画情報を表示し、上記第2の保持手段は保持された計画情報を更新することを特徴とする請求項2に記載のエネルギ計画支援システム。
【請求項5】
入力された上記計画情報と上記実績情報と予め設定された上記エネルギ原単位低減率の目標値とに基づいて、該目標値を満たすように上記電力使用量計画情報を演算する第2の演算手段を備え、
上記入力手段は、上記生産量計画情報および上記電力使用量計画情報の双方を外部から入力する第1の入力モードと、上記生産量計画情報のみ外部から入力し、上記電力使用量計画情報は上記第2の演算手段にて演算して入力する第2の入力モードとの2種の入力モードを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のエネルギ計画支援システム。
【請求項6】
入力された上記計画情報と上記実績情報と予め設定された上記エネルギ原単位低減率の目標値とに基づいて、該目標値を満たすように上記電力使用量計画情報を演算する第2の演算手段を備え、
上記入力手段は、当年度の経過した期間に対して生産量実測値および電力使用量実測値を外部から入力して当該期間の上記生産量計画情報、上記電力使用量計画情報のみを更新する第1の更新モードと、当年度の経過した期間に対して生産量実測値および電力使用量実測値を外部から入力して当該期間の上記生産量計画情報、上記電力使用量計画情報を更新すると共に、残り期間の上記電力使用量計画情報は上記第2の演算手段にて演算して更新する第2の更新モードとの2種の更新モードとを有することを特徴とする請求項4に記載のエネルギ計画支援システム。
【請求項7】
上記エネルギ原単位低減率の目標値を外部から設定、修正する手段を設けたことを特徴とする請求項5または6に記載のエネルギ計画支援システム。
【請求項8】
上記表示手段にて上記計画情報を表示させた状態で、上記入力手段にて上記生産量計画情報、上記電力使用量計画情報内の所望の情報を外部から修正可能とし、該修正情報に基づいて上記演算手段により再演算させ上記表示手段により再表示させ、上記第2の保持手段により保持された計画情報を更新することを特徴とする請求項1〜3または5のいずれか1項に記載のエネルギ計画支援システム。
【請求項9】
上記表示手段にて上記計画情報を表示させた後、上記入力手段にて上記生産量計画情報、上記電力使用量計画情報内の生産量実測値、電力使用量実測値以外の所望情報を外部から修正可能とし、該修正情報に基づいて上記演算手段により再演算させ上記表示手段により再表示させ、上記第2の保持手段により保持された計画情報を更新することを特徴とする請求項4または6に記載のエネルギ計画支援システム。
【請求項10】
上記表示手段は、上記生産量計画情報、上記電力使用量計画情報の内、上記生産量実測値、電力使用量実測値と他の情報とを区別して表示することを特徴とする請求項4、6あるいは9のいずれか1項に記載のエネルギ計画支援システム。
【請求項11】
上記表示手段は、上記生産量計画情報、上記電力使用量計画情報の単位期間毎の情報をグラフ化して表示する機能を備えたことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のエネルギ計画支援システム。
【請求項12】
上記入力手段は、上記生産量計画情報および上記電力使用量計画情報を入力すると共に、上記実績情報を入力する機能を有し、該実績情報は、上記入力手段にて入力された後、上記第1の保持手段に保持されることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のエネルギ計画支援システム。
【請求項13】
上記過去の所定期間は前年度期間であり、上記現在から将来の所定期間は、当年度期間であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のエネルギ計画支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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