エラストマー構成成分を含む領域を有する使い捨て吸収性物品
【課題】所望に応じて延伸する事ができ、着用時のフィット性を持続できる吸収性物品の提供。
【解決手段】液体透水性トップシート、液体不透水性バックシート、及び前記トップシートと前記バックシートの間に配置された吸収性コアを有する吸収性物品であり、少なくとも1つの伸張領域(618,620)を含み、物品にサイズ合わせ又は形合わせ能力を提供する弾性抵抗を付与するために、その吸収性物品の少なくとも1つの構成要素又は区域上の伸張領域(618,620)に接合された又は配置された熱可塑性エラストマーを包含し、この吸収性物品は、おむつ、プルオンおむつ、トレーニングパンツ、生理用ナプキン、拭き取り用品、よだれ掛け、失禁用ブリーフ又は挿入具である。
【解決手段】液体透水性トップシート、液体不透水性バックシート、及び前記トップシートと前記バックシートの間に配置された吸収性コアを有する吸収性物品であり、少なくとも1つの伸張領域(618,620)を含み、物品にサイズ合わせ又は形合わせ能力を提供する弾性抵抗を付与するために、その吸収性物品の少なくとも1つの構成要素又は区域上の伸張領域(618,620)に接合された又は配置された熱可塑性エラストマーを包含し、この吸収性物品は、おむつ、プルオンおむつ、トレーニングパンツ、生理用ナプキン、拭き取り用品、よだれ掛け、失禁用ブリーフ又は挿入具である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、おむつ、プルオンおむつ、トレーニングパンツ、生理用ナプキン、拭き取り用品、よだれ掛け、失禁用ブリーフ又は挿入具などのような使い捨て吸収性物品に関する。より具体的には、本発明は、エラストマー構成成分を含む1以上の区域を有するそうした吸収性物品に関する。このような構成成分は、本発明の吸収性物品において使用されて、着用時の物品のフィット性及び快適さを改善するために、及び/又は使用者にとっての便利さを向上させるために、所望の物品形状を提供し、及び/又は所望の応力及びひずみ特性を付与する。
【背景技術】
【0002】
おむつ、トレーニングパンツ、失禁用物品などの使い捨て吸収性製品は、典型的に腰部区域やカフ区域に弾性ストランドのような伸縮可能な材料を包含し、物品の心地よいフィット性及び良好な密閉性を提供する。パンツ型の吸収性物品はさらに、物品を容易に取り付けたり、取り外したりできるように、また物品のフィット性が持続されるように、サイド部分にも伸縮可能な材料を包含する。伸縮可能な材料はまた、物品のフィット性を調節できるようにするために使い捨ておむつの耳部においても使用されてきた。しかし、吸収性物品の収縮性の部分によってもたらされる引張り力の指向性及び強度を更に良好に規定する改善された特性を有する材料を有することが望ましい。この方法では、このような望ましい吸収性物品は、着用者に対する形状又は大きさをよりフィットした快適なものにする能力を有し、さらに着用時に必要とされる張力を維持して持続したフィット性を達成し、物品の弛み及び/又は垂れ下がりを防ぐ能力を有する。この種の吸収性物品は、結果として生ずる快適さの改善と共に、吸収性物品の種々の範囲、例えば、おむつの股部又は腰部区域におけるより良好なフィット性をもたらすこととなり得る。おむつの場合には、より良好なフィット性及び快適さはまた、おむつが着用者の形状により良好に適合するので、漏れを減少させることなどのより良好な機能的性能を付与することもできる。吸収性物品に対するこのような特徴はこれまで得られていなかった。
【0003】
吸収性物品の目標とされる範囲において、望ましい伸縮可能特性を提供するためには、種々の手法がある。伸縮可能な材料は、エラストマー材から製造されるストランド、フィルム、又は不織繊維ウェブであってよい。典型的には、こうした材料は少なくとも1つの及び場合によっては複数の方向において伸縮可能である。しかしながら、フィルム又はウェブは、その全体がエラストマー材で製造されるために比較的高価であり、また皮膚表面に対する抵抗が大きくなり物品の着用者に不快感をもたらす傾向がある。伸縮可能なストランド又はフィルムを積層して、不織布ウェブの1以上の層となすことがある。典型的な不織布ウェブは、一般に熱可塑性繊維から製造されるために非常に伸縮可能性が乏しく、これらのウェブから得られた積層体は伸縮に対してかなりの抵抗を与える。機能的な伸縮性積層体を製造するには、実質的にこの抵抗を減らすことが必要である。しかしながらこうした材料は、適用時に着用者の骨格の細部に対し形を合わせる、大きさを合わせる、又は適合する十分な能力を有していない。
【0004】
伸張可能な材料を製造するためのその他の手法、例えば伸張結合積層体及び狭窄結合積層体も既知である。伸張結合積層体は、弾性ストランドを縦方向(MD)に伸張し、伸張した状態のままで不織布基材に積層し、不織布に皺が寄って縮んだ形状になるように、加えられた張力を緩めることにより製造される。狭窄結合積層体は、最初に不織布基材をくびれができるように(つまり、そのCD寸法が小さくなるように)縦方向に伸張し、次いで基材が伸張してくびれた状態のままでCD配向された弾性ストランドを基材に結合することにより製造される。この積層体は、少なくとも狭窄させる前の不織布の当初の幅まで、CD方向に伸張可能である。MD方向とCD方向の両方に伸張性を与えるために、伸張結合と狭窄結合を組み合わせることも既知である。これらの手法では、積層体の構成成分が共に結合されたときに、少なくとも1つの構成成分が引張られた状態(つまり、伸張した状態)になっている。これらの材料もまた、吸収性物品の使用者及び着用者が望む所望のサイズ合わせ又は形合わせの特徴を付与するように、吸収性物品に効果的に使用されることはできない。
【0005】
ゼロひずみ伸縮性積層体も知られている。ゼロひずみ伸縮性積層体は、エラストマーと不織布の両方ともがひずみを与えられていない状態でエラストマーを不織布に結合することにより製造される。その後、積層体は漸増的に伸縮され、伸縮特性が付与される。漸増的に伸縮された積層体は、積層体の回復しなかった(つまり、残っている)延伸性によってもたらされる程度までのみ伸縮可能である。例えば米国特許第5,156,793号では、エラストマーと不織布の積層体を不均一な態様で漸増的に伸縮して、得られた積層体に弾性を付与する方法が開示されている。これらの伸縮性積層体は前述された材料と同様の挙動を示し、すなわちそれらは着用者に大きさ又は形状を合わせる十分な能力を有さない。
【0006】
しかし、上述の全ての手法では、材料又は積層体は別々に製造され、それから吸収性物品に組み込まれる。例えば、本明細書に記載された伸縮性積層体は適当な大きさ及び形状に切断されてから、「カット−アンド−スリップ」プロセスと称されることがある方法において製品の所望の位置に取り付けられる場合がある。製品の要素が異なると、異なる伸縮特性が求められるため、異なる伸縮可能性を有する種々の積層体を製造し、積層体を異なる大きさ及び形状に切断することが必要である。いくつかのカット−アンド−スリップユニットが、伸縮性積層体の異なる伸縮可能性に対処し、及び製品の異なる位置にそれらを取り付けるために必要とされる場合がある。カット−アンド−スリップユニット及び/又は工程の数が増加するにつれて、プロセスは急速に厄介で複雑で高価なものになる。これらのプロセスは近年の吸収性物品製造には好適であり、望ましい。しかし、所望の大きさ合わせ及び/又は形合わせの特性を有するが、その特性をこのような複雑で高価な「カット−アンド−スリップ」プロセスを必要とせずに吸収性物品中、又は吸収性物品上に配置することができる吸収性物品を有することも望ましい。
【0007】
当業者によって用いられるカット−アンド−スリッププロセスに対する1つの代替法は、基材上にエラストマー組成物を印刷することである。代表的な開示としては、接着剤印刷プロセスを用いる吸収性物品の粘着性構成成分について議論している米国特許第6,531,027号、次の特性:弾性、融解粘度、組成物、形状、模様、アドオンレベル、のうちの少なくとも1つが異なっている第1及び第2のエラストマー組成物を基材上に印刷することについて議論しているPCT特許出願03/039420、及び衣類着用中の張力を与えるために延伸性基材上に弾性接着剤を印刷することについて議論しているPCT特許出願WO03/053308が挙げられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記に基づき、所望に応じて延伸することができ、しかしなお、着用時のフィット性を持続させることを容易にするために所望される程度の弾性を保持するような弾性特性を有する伸縮可能な材料を有する吸収性物品を有することが望ましい。吸収性物品又はその構成要素のいずれかの特定の範囲上にいずれかの所望な量だけ容易に配置することができるそのような材料を有することもまた望ましい。加えて、吸収性物品又はその構成要素の別個の離間された範囲に、印刷(グラビア、オフセット、凸版印刷及びスクリーン技術を包含)、押出成形コーティング、ロールコーティングなどのような既知の付着技術によって容易に配置することができる、弾性特性を有するこのような材料又は複合材料を有することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
当該技術分野における上述の必要性は、吸収性物品の特定の区域に対し所望の弾性指向性及び強度を提供する伸張領域を画定する予め定められた模様で配置された弾性特性を有する材料を有する吸収性物品を提供する本発明によって満たされる。このような指向性及び強度は、吸収性物品又はその構成要素の特定の領域又は区域のみに配置される熱可塑性エラストマーの量、配置、及び配向を制御することによって制御される。
【0010】
本発明の1つの態様によると、液体透水性トップシート、液体不透水性バックシート、及びそのトップシートとバックシートの間に配置される吸収性コアを含む吸収性物品が提供される。物品はまた、1以上の耳部又はサイドパネル、レッグカフ、及び締結具構成要素、弾性ベルトのような追加の要素も包含してよい。本発明の他の態様では、1以上の伸張領域を有する吸収性物品に使用される材料が提供され、ここでこの伸張領域は前記1以上の要素のうちの少なくとも一部を含んでいてよい。本発明の他の実施形態では、複数の伸張領域がそれらの列へと組み合わされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明によるおむつの平面図。
【図2】本発明による1以上の伸張領域又は列を配置された複数の区域を有するおむつシャーシを示している斜視図。
【図3】本発明によるプルオンおむつの斜視図。
【図4】図2のプルオンおむつの平面図。
【図5A】図3及び4に示されているプルオンおむつの断面図。
【図5B】図3及び4に示されているプルオンおむつの断面図
【図6A】おむつ耳部が種々の設計の伸張領域を有する本発明のおむつの実施形態。
【図6B】おむつ耳部が種々の設計の伸張領域を有する本発明のおむつの実施形態。
【図6C】おむつ耳部が種々の設計の伸張領域を有する本発明のおむつの実施形態。
【図6D】おむつ耳部が種々の設計の伸張領域を有する本発明のおむつの実施形態。
【図6E】おむつ耳部が種々の設計の伸張領域を有する本発明のおむつの実施形態。
【図6F】おむつ耳部が種々の設計の伸張領域を有する本発明のおむつの実施形態。
【図6G】おむつ耳部が種々の設計の伸張領域を有する本発明のおむつの実施形態。
【図6H】おむつ耳部が種々の設計の伸張領域を有する本発明のおむつの実施形態。
【図6I】おむつ耳部が種々の設計の伸張領域を有する本発明のおむつの実施形態。
【図7A】おむつに所望の弾性特性を付与するために伸張領域が耳部に及び吸収性アセンブリに沿って設けられている、本発明によるおむつの更に別の実施形態。
【図7B】おむつに所望の弾性特性を付与するために伸張領域が耳部に及び吸収性アセンブリに沿って設けられている、本発明によるおむつの更に別の実施形態。
【図8A】伸張領域が様々な場所に配置されて、着用者の快適さとフィット性を改善するために幾つかの代替の設計を提供しているおむつ。
【図8B】伸張領域が様々な場所に配置されて、着用者の快適さとフィット性を改善するために幾つかの代替の設計を提供しているおむつ。
【図8C】伸張領域が様々な場所に配置されて、着用者の快適さとフィット性を改善するために幾つかの代替の設計を提供しているおむつ。
【図8D】伸張領域が様々な場所に配置されて、着用者の快適さとフィット性を改善するために幾つかの代替の設計を提供しているおむつ。
【図9】伸張領域がおむつ耳部及び前方腰部部分に設けられている、本発明によるおむつの平面図。
【図10】おむつ耳部と少なくとも部分的な長手方向の合致が存在するように伸張領域が後方腰部部分に設けられている、本発明によるおむつの平面図。
【図11】本発明による前方股部部分に伸張領域を有するおむつの平面図。
【図12】脚部開口における所望の弾性特性を提供するために、おむつの横方向部分に沿って伸張領域が配置されているおむつの別の平面図。
【図13】伸張領域がトップシートに弾性を与えるために用いられているおむつの斜視図。
【図14】「有効ひずみ(available strain)」を示す代表的な応力−ひずみ曲線。
【発明を実施するための形態】
【0012】
定義
用語「使い捨て」は、本明細書では、洗濯する、ないしは別の方法で吸収性物品として復元するか再利用されることを一般に意図しない(即ち、一回の使用後に廃棄する、好ましくはリサイクルする、堆肥化する、ないしは環境に適合する方法で処理することを意図する)吸収性物品を説明するために使用される。
【0013】
本明細書で使用するとき、用語「配置される」とは、ある要素(単数又は複数)が特定の場所又は位置で他の要素と共に単一構造体として、又は別の要素に接合された別個の要素として形成(接合及び配置)されることを意味するために使用される。
【0014】
本明細書で使用するとき、用語「接合される」とは、ある要素を他の要素に直接取り付けることによりその要素に直接固定される構成と、ある要素を中間部材(単数又は複数)に取り付け、その中間部材が他の要素に取り付けられることにより他の要素に間接的に固定される構成とを包含する。
【0015】
「一体の」吸収性物品とは、共に合体した別個の部分から形成され、調和した統一体を形成し、別個のホルダ及びライナーのような別個の操作部分を必要としない吸収性物品を指す。
【0016】
本明細書で使用するとき、用語「おむつ」とは、一般に幼児及び失禁者により胴体下部の周囲で着用される吸収性物品を指す。
【0017】
「伸縮性の(stretch)」とは、材料が、少なくとも1つの寸法の方向において加えられる引張り力(すなわち張力)に曝された場合に、その少なくとも1つの寸法におけるそれの本来の長さを超えて延伸する能力を有することを意味する。「伸縮性(stretch)」は、一方向性、二方向性、又は多方向性であってよい。材料の具体的な「伸縮性(stretch)」特性は、伸縮ベクトルのいずれかに沿って変化してもよい。本明細書で使用する時、伸縮性は塑性及び弾性変形の両方を包含する。
【0018】
用語「弾性」又は「エラストマー性」とは、本明細書で使用する時、偏倚した力を加えられた時に、破裂又は破断を伴わずにそれの弛緩した本来の長さの少なくとも略125%の伸長された長さまで伸縮され、及びその加えられた力を解除したときにその伸長の少なくとも略40%を回復し、好ましくはその本来の長さの少なくとも60%を回復し、最も好ましくはその本来の長さの略80%を回復することができる、あらゆる材料を指す。
【0019】
本明細書において、「非弾性」という用語は、上記の「弾性」の定義に当てはまらないすべての材料を指す。
【0020】
本明細書で使用する時、弾性抵抗の用語とは、加えられた引張り力に抵抗する傾向を有し、それが備わっている材料に、伸縮力に対応して引張られない形状へと収縮する傾向を持たせるようにする、弾性力を表す。弾性抵抗は、下記の試験方法の項に記載される方法を使用して簡便に測定される。
【0021】
「長手方向」は、物品の最大の直線寸法に平行に走る方向であり、長手方向±45°内の方向を包含する。「横」又は「横断」方向は、長手方向に直交する。「Z方向」は、長手方向と横断方向の双方向に直交する。「X−Y平面」は、長手方向及び横断方向に相合する平面を指す。
【0022】
本明細書で使用するとき、用語「不透水性」は、一般に、1.0kPa以下の圧力でZ方向における厚さ全体を通して水性流体によって実質的に浸透されない物品及び/又は要素を指す。好ましくは、不透水性物品又は要素は、3.4kPa以下の圧力下で水性流体によって浸透されない。より好ましくは、不透水性物品又は要素は、6.8kPa以下の圧力下で流体によって浸透されない。不透水性でない物品又は要素は透水性である。
【0023】
用語「基材」とは本明細書で使用する時、単層又は多層を有する、フィルム、有孔フィルム、不織布ウェブ、織布ウェブ、発泡体、若しくはこれらの組み合わせを包含するあらゆる材料、又は、木材パルプ、誘導体化された若しくは変性されたセルロース材などを包含するセルロース材をいう。本明細書で使用するとき、「繊維性基材」という用語は、例えば不織布材料、織布材料、編材料及びそれらのいずれかの組み合わせを包含する、天然又は合成材料のいずれか又はそれらのあらゆる組み合わせであり得る、複数の繊維からなる材料を指す。
【0024】
用語「不織布」は本明細書で使用する時、連続フィラメント及び/又は不連続繊維から作製された布地を指す。不織布としては、短繊維をカーディングすること、短繊維をエアレイイング又は湿式レイイングすることにより、及びスパンボンド及びメルトブローンなどの押出しプロセスを介して、製造されるものが挙げられる。不織布は1以上の不織布層を含むことができ、各層は連続フィラメント又は不連続繊維を包含することができる。不織布はまた、バイコンポーネント繊維を含むことができ、これは、シェル/コア、サイドバイサイド、又は他の既知の繊維構造を有することができる。
【0025】
「伸張領域(stretch zone)」とは、弾性伸縮特性を有する吸収性物品の領域の一部を意味する。伸張領域は、物品の区域又は要素全体に渡って延在してもよく、複数の区域又は要素に渡って延在してもよいし、単に物品の1以上の区域又は要素の一部を構成してもよい。区域又は要素はまた、個々の伸張領域の列を含んでいてもよい。
【0026】
用語「力の線」とは、その材料の表面と実質的に平行であり、その材料内の2つの点、領域、又は要素を連結しており、及びこれらの2つの点、領域又は要素の間に張力がかけられたときにその張力の大部分を保持する、ウェブ材料又はそのようなウェブ材料を含む構造体を通る経路を表す。この用語はまた、単一の経路として効果的に振舞うのに十分に近い近接性、性質、及び方向を有する複数の経路にも適用される。経路の形状、幅、及び応力/ひずみ挙動は、その経路に隣接する範囲と比較してその経路中でより高い有効弾性率を生ずるように、所望される経路の位置及び方向におけるその材料の応力/ひずみ特性を改変することによって制御することができる。経路によって保持される張力の割合は、経路と隣接する材料との有効弾性率の差によって決まる。力の線は、本明細書に開示される伸縮性要素の幾何学的形状のいずれかによって規定され得ることを理解すべきである。
【0027】
好ましい実施形態
本発明の1つの態様によると、液体透水性トップシート、液体不透水性バックシート、及びそのトップシートとバックシートの間に配置される吸収性コアを含む吸収性物品が提供される。物品はまた、耳部又はサイドパネル、レッグカフ、締結具構成要素、及び/又はベルトなどであるがそれらに限定されない1以上の要素も具備してよい。本発明による吸収性物品には1以上の伸張領域を設けてもよい。ほとんどの場合、このような伸張領域は前述の要素の少なくとも一部を含むことになる。本発明の他の態様では、伸張領域は、エラストマー組成物を配置された基材を含む。エラストマー組成物は、伸張領域の少なくとも一部を伸長した場合に、その伸張領域に弾性抵抗を与える。本発明の好ましい実施形態では、エラストマー組成物は予め定められた幾何学的模様(すなわち形状及び配向)で基材上に配置されて、その要素の性能を高めるような態様でこのような弾性抵抗を与えるようにする。この模様は好ましくは、通常の模様のないデザインよりも、その伸張領域が、物品を着用者へ適用することによって引き起こされる固定荷重及び引張り力をより効果的に保持できるようにし、並びに/又は着用者の動き、及び/若しくは物品の重量若しくは物品の排泄内容物の重量に適応できるようにする。
【0028】
好適には、本発明による吸収性物品は、少なくとも1つの伸張領域を含んでいる必要があり、この伸張領域は、基材に少なくとも部分的に浸透するようにその基材上に配置されたエラストマー組成物を含む。伸張領域の範囲は、エラストマー組成物によって被覆された基材の少なくとも一部を含む。典型的に、このような伸張領域は以下の特性を有する:(1)少なくとも、略0.05N/cm、好ましくは0.05N/cm〜略50N/cm、より好ましくは略0.05N/cm〜略40N/cm、及び最も好ましくは0.25N/cm〜略30N/cmの弾性抵抗(すなわち25%ひずみにおける荷重);(2)略15%未満、好ましくは略12%未満、より好ましくは略10%未満の残留ひずみパーセント(percent set);及び(3)略40%未満、好ましくは略30%未満、より好ましくは略25%未満の応力緩和値。これらの特性の測定方法は下記の試験方法の項に記載される。
【0029】
一部の実施形態では、吸収性物品は、伸張領域の列を与えるように関連された伸張領域を含んでいてもよい。このような列は、吸収性物品の1つの区域又は要素上にのみ配置されてもよく、又は2つ以上の区域又は要素に渡って延長されてもよい。列は交差する又は交差しない伸張領域を含むことができる。また、列の伸張領域は、互いに平行であることも、互いに対してゼロではない角度を形成していることもできる。列の伸張領域が交差していない場合、個々の伸張領域を切り離して、それらの特性を測定してよい。しかし、伸張領域が1つの列内で交差しているとき、個々の伸張領域を分離することはできない。このような場合、列は下記の試験方法の項で記載するようにサンプリングして評価しなければならない。
【0030】
好適なエラストマー組成物には、スチレンブロックコポリマー、メタロセン触媒のポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテルアミド、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される熱可塑性エラストマーが含まれる。好適なスチレンブロックコポリマーは、少なくとも1つのスチレンブロックを有する二元ブロック、三元ブロック、四元ブロック、又はその他の多元ブロックコポリマーであってもよい。代表的なスチレンブロックコポリマーには、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンなどが挙げられる。市販されているスチレンブロックコポリマーには、シェル・ケミカル社(Shell Chemical Company)(テキサス州ヒューストン(Houston))からのクレイトン(KRATON)(登録商標);クラレ・アメリカ社(Kuraray America, Inc.)(ニューヨーク州ニューヨーク)からのセプトン(SEPTON)(登録商標);デキスコ・ケミカル社(Dexco Chemical Company)(テキサス州ヒューストン)からのベクトル(VECTOR)(登録商標)が挙げられる。市販されているメタロセン触媒によるポリオレフィンとしては、エクソン・ケミカル社(Exxon Chemical Company)(テキサス州ベイタウン(Baytown))からのエクスポール(EXXPOL)(登録商標)及びイグザクト(EXACT)(登録商標);ダウ・ケミカル社(Dow Chemical Company)(ミシガン州ミッドランド(Midland))からのアフィニティ(AFFINITY)(登録商標)及びエンゲージ(ENGAGE)(登録商標)が挙げられる。市販のポリウレタンとしては、ノベオン社(Noveon, Inc.)(オハイオ州クリーブランド(Cleveland))からのエスタン(ESTANE)(登録商標)が挙げられる。市販のポリエーテルアミドとしては、アトフィナ・ケミカルズ(Atofina Chemicals)(ペンシルバニア州フィラデルフィア(Philadelphia))からのペバックス(PEBAX)(登録商標)が挙げられる。市販のポリエステルとしては、E.I.デュポン・ド・ヌムール(E. I. DuPont de Nemours Co.)(デラウェア州ウィルミントン(Wilmington))からのハイトレル(HYTREL)(登録商標)が挙げられる。
【0031】
エラストマー組成物は、組成物の融解粘度を所望の範囲に調整するために、更に加工助剤及び/又は加工オイルを含んでいてもよい。それらには、鉱物油などの従来の加工オイル、並びにパラフィン系オイル、ナフテン系オイル、ワセリン、微晶性ワックス、パラフィン又はイソパラフィンワックスなど、他の石油由来のオイル及びワックスが挙げられる。フィッシャー−トロプシュワックス(Fischer-Tropsch wax)などの合成ワックス;鯨蝋、カルナウバ、オゾケライト、蜜蝋、キャンデリラ、パラフィン、セレシン、エスパルト、オリキュリ、レゾワックスなどの天然ワックス、及びその他の既知の採掘蝋及び地蝋も本明細書に用いられるのに好適である。オレフィン又はジエンオリゴマーや低分子量ポリマーも本明細書で使用してよい。オリゴマーは、略350〜略8000の重量平均分子量を有するポリプロピレン、ポリブチレン、水素添加イソプレン、水素添加ブタジエンなどであってもよい。
【0032】
本発明の重要な態様では、エラストマー組成物は粘着付与剤を実質的に含まない。粘着付与剤は、その粘着特性(例えば剥離力)を増加させるように粘着剤組成物に添加される構成成分として、接着剤の分野で周知である。このことは重要な利益を提供するが、それは、粘着付与剤が粘着性材料の粘性を増加させることに加えて、組成物中のいずれかのポリマーに対する可塑剤として作用し、結果として粘着付与剤の存在による引張り特性の減少をもたらすという理由による。エラストマー組成物の好ましい実施形態は、同時継続米国特許出願60/557,272(デサイ(Desai)ら、2004年3月29日出願、名称「エラストマー組成物の凸版印刷(Letterpress Application of Elastomeric Compositions)」(P&Gケース番号9592P))に記載の方法を用いた、標準的な基材(マックマスター・カー(McMaster Carr)(オハイオ州クリーブランド(Cleveland))からの304ステンレススチール#2B仕上げ)に対する剥離力が、非常に低い。好適なエラストマー組成物は、前述した出願において記載される方法を用いて評価した場合に、略3N/cm未満、より好ましくは略2N/cm未満、更により好ましくは略1N/cm未満、最も好ましくは略0.8N/cm未満の剥離力を有する。
【0033】
1つの実施形態では、相変化溶媒をエラストマー組成物に組み込んで融解粘度を下げ、組成物の弾性特性や機械的性質を実質的に損なうことなく、組成物を175℃以下の温度で加工可能にすることができる。相変化溶媒の詳細な開示は、米国特許出願10/429,432に見出すことができる。あるいは、エラストマー組成物はまた、上記の熱可塑性エラストマーの低分子量エラストマー及び/又はエラストマー前駆体、並びに任意に架橋剤、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。低分子量エラストマー又はエラストマー前駆体の重量平均分子量は、略45,000〜略150,000である。
【0034】
本明細書に用いられるのに好適なエラストマー組成物は、追加処理をしなくても弾性があり、沸点が150℃未満の揮発性溶媒をいずれも包含しないものである。
【0035】
特定の実施形態では、エラストマー組成物は、その弾性、及び強度、弾性率などの他の特性を改善し又は向上させるように、そのエラストマー組成物が基材に付着された後の後処理工程によって活性化される前駆体構成成分を包含してもよい。例えば、少なくとも1つの硬質ブロック及び少なくとも1つの軟質ブロック、マクロ光開始剤、加工オイル及び任意で熱可塑性ポリマー及び/又は架橋剤を有するエラストマーブロックコポリマーを含む、同時継続米国特許出願10/610605(アシュラフら、2003年7月1日出願)に記載されている熱可塑性エラストマーは、このような前駆体構成成分を含有する。典型的に、後処理としては、乾燥、架橋、硬化、又は化学的、熱的、照射手段(例えば、紫外線照射又は電子ビーム照射)による重合及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0036】
特定の好ましい実施形態では、伸張領域又は伸張領域の列は、1以上のエラストマー組成物を含んでいてよい。このような実施形態では、第1の組成物は次のもののうち少なくとも1つを有する:伸張領域又は伸張領域の列上に配置されるあらゆる他のエラストマー組成物よりも大きな弾性抵抗、伸張領域又は伸張領域の列上に配置されたあらゆる他のエラストマー組成物と比較した場合に低減された残留ひずみ(set)、及び低減された応力緩和。あるいは、伸張領域の列の特定の部分が、第1のエラストマー組成物を含み、及び他の部分が1以上の異なる組成物を含んでいてもよい。
【0037】
基材は、エラストマー組成物の付着のための連続した媒質を提供し、伸張領域の最終的強度の少なくとも一部に寄与している。連続した媒質は、例えば、実施形態が離間された伸張領域を有する列を含む実施形態に関して重要である。特定の実施形態(例えば、繊維性基材によって提供されるようなもの)では、基材はさらに、着用者をより快適にするための柔軟で布地に似た肌触りを提供することができる。好適な基材材料としては、当該技術分野で既知のような、フィルム、有孔フィルム、発泡体、編地、織布繊維ウェブ、又は不織布繊維ウェブが挙げられるがこれらに限定されない。一部の実施形態では、基材は、ポリエチレン、又はポリプロピレンなどのポリオレフィン繊維又はフィラメントで製造された延伸性がある不織布ウェブである。基材材料は、弾性又は非弾性、延伸性又は非延伸性、伸縮可能性又は非伸縮可能性であってよい。好ましい基材は、後述するように熱可塑性エラストマーの基材中への浸透を促進する3次元モルホロジー(すなわち、繊維、突起、穴等の間の空隙による)を有する。
【0038】
好適なエラストマー組成物は好ましくは、基材中への少なくとも部分的な浸透をもたらすことができる流体又は流体に似た状態で基材に適用される。このような部分的な浸透は、複合物がその後の加工工程、輸送、及び物品の着用サイクルを通して損傷されずに保たれるように、結果として生ずるエラストマー組成物と基材との間に付着を与えるのに十分でなければならない。好ましくは、エラストマー組成物は、単にその後の加工及び物品の使用中に所望の強度を与えるのに十分であるだけ浸透すればよい。例えば、基材が繊維性基材である場合、そのような強度を与えるためには略1又は2繊維直径の深さまでエラストマー組成物が浸透すれば十分であると考えられる。基材への付着時に熱可塑性エラストマーの基材への十分な浸透を達成するための手段としては、他の機構もあるが、基材マトリックス中へのエラストマーの吸収、基材の厚さの全て又は一部を通した浸透、基材からの3次元突出部の取り込み又は捕捉(すなわち、基材と組成物との絡み合い)、基材中の穴の浸透、基材の3次元表面の湿潤などが挙げられる。
【0039】
このような部分的な浸透を促進するために、エラストマー組成物は好適には、米国特許出願公開2003/0091807A1(published US Pat. Application No. 2003/0091807A1)に開示された方法により、175℃、5%ひずみ及び剪断速度1s1において略1〜略1000Pa・sの融解粘度を有する。好ましくは、融解粘度は略5〜略500Pa・s、より好ましくは略10〜略400Pa・sである。このようなエラストマー組成物は、典型的な溶融押出成形及び/又は繊維紡糸プロセスよりも低粘度及び/又は低温において作用する適用工程において使用するのに好適である。
【0040】
エラストマー組成物は、略5〜略200g/m2、好ましくは略20〜略150g/m2、より好ましくは略50〜略100g/m2の総アドオンレベルを達成するように伸張領域に適用されてよい。
【0041】
伸張領域の列は、その区域の合計の表面積の略5%〜略90%、好ましくは略10%〜略60%、より好ましくは略20%〜略40%の範囲の、エラストマー組成物によって被覆されていない空き面積を有していてもよい。認識されるように、必要とされる空き面積は、その列が配置されている細部又は区域若しくは要素によって決まる。エラストマー組成物の選択的な付着は好ましくは、それ以外のフィルム又はシートを使用する従来の積層技術によって必要とされるよりも少ない材料を使用する。エラストマー組成物の選択的付着と組み合わされる繊維性基材は、繊維性ウェブ層及びフィルム又はシート層を含有する積層体よりも結果として低い坪量と高い通気性を有する複合物を提供することができる。
【0042】
認識されるように、本明細書に記載される伸張領域はまた、当該技術分野で記載される伸縮性要素と組み合わせて使用されてもよい(このような伸縮性要素としては、弾性のある(elasticized)腰部、弾性のあるベルト、耳部、サイドパネル、レッグカフ、又は締結具構成要素が挙げられるがこれらに限定されない。このような要素(features)の議論に関しては下記の、本発明の全ての実施形態に対して適用可能なおむつ構成要素の説明の項を参照のこと)。認識されるように、本発明の伸張領域を当該技術分野の伸縮性要素(features)と組み合わせることで、いずれの手法もそれ自身単独では提供し得ない利益を提供する場合がある。例えば、エラストマーフィルムは、米国特許第6,303,208号に記載されるようなエラストマー性の通気性3次元複合材料を用いて形成される伸縮性要素に第1レベルの弾性抵抗を与えることができ、伸縮性要素の部分が、その伸縮性要素上の予め規定された位置における弾性抵抗を高めるために本発明の伸張領域を含むことができる。同様の構造体はまた、エラストマーフィルムを1以上のエラストマーストランド又は繊維で置き換えてそこに本発明による伸張領域を設けることによっても製造することができる。
【0043】
図1を参照すると、開いた形式の形態の吸収性物品又はテープ付きおむつ10が示されている。図1〜3はおむつを示しているが、本発明はまた、着用者の骨格の少なくとも一部を取り囲む若しくは囲う又は他の態様で着用者に装着される月経用製品及び大人用の失禁製品などの他の着用可能な吸収性物品をも企図しているということを理解すべきである。おむつ10は、この説明のための参考の骨格として長手方向中心線12及び横方向中心線14を有する。おむつ10は、1対の対向する終縁部16及び18、1対の対向する側縁部20及び22、後方腰部区域24、前方腰部区域26、前記前方及び後方腰部区域、それぞれ26及び24の中間に配置された股部区域28、並びに1対の脚部区域30及び32を有していてよい。これらの様々な区域の正確なサイズはおむつ10のサイズによって変化するが、概して言えば股部区域28、前方腰部区域26、及び後方腰部区域24は長手方向中心線12に沿った等しい3分の1の部分に相当する。脚部区域30及び32は概ね股部区域28でのおむつ10の幅に渡って4分の1の面積に相当し、股部区域28自体はおむつの10の幅の残る中央部4分の2すなわち2分の1に相当する。
【0044】
おむつ10はまた、全体として前方腰部区域26及び/又は後方腰部区域24において側縁部20、22の横方向外側寄りに配置された1以上の耳部又はサイドパネル34、36、38、及び40を含んでいてもよい。閉鎖可能なおむつ10では、少なくとも1つの締結要素42がサイドパネル34及び36のうちの1以上の上に配置され、長手方向に対向する前方サイドパネル38及び40の少なくとも一部又は前方腰部区域26の外側表面若しくはその構成要素の一部に固着されるようになされている。付随の締結要素44が、機械的締結具46を露出するために後方に折り畳まれた形状で示されており、この締結具46は3M又はベルクロ・インダストリーズ(Velcro Industries)から市販されているフック・ループ式締結システム用のフックとして示されている。締結要素44は、おむつ10の外側表面上に位置するランディング領域27において具現されるループ材に係合することが可能であってよい。
【0045】
区域24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、又は44のうちいずれかの1以上が、本発明による所望の弾性を提供するために必要とされることのあるような伸張領域又は伸張領域の列を含んでいてよい。この方法では、おむつ10は適用時に特定の着用者の骨格に適応するように構成され、着用している間その着用者の骨格との整合を維持するのが好ましい場合がある(すなわち、弛みが最小限の状態でフィット性が同じ状態に保たれて、持続したフィット性を達成しなければならない)。おむつ10のいずれの区域も伸張領域又は伸張領域の列を包含してよい。前方腰部区域26及び/若しくは後方腰部区域24並びに/又はサイドパネル区域34、36、38、及び/若しくは40は好ましくは、広範囲の着用者の腰部寸法に適合する(すなわちより広いフィット範囲を提供する)ために、並びに/又は着用者の腰周りに十分な張力を与えるために、熱可塑性エラストマーの少なくとも1つの伸張領域を包含している。このことは、おむつ10を着用者の骨格に対して固定してそれにより持続したフィット性を与えるように、着用者の皮膚に十分な垂直力を与える。
【0046】
各伸張領域は、いずれかの方向において連続した又は非連続の特性を有していてよく、ここで変化する特性としては、化学的組成、弾性、延伸性、最大伸長、他の応力/ひずみ特性、ベクトル若しくは角度、坪量、幾何学的形状、寸法、3次元モルホロジー、視覚的弁別性などが挙げられる。伸張領域は連続した特性を有していてもよい(例えば、エラストマー組成物、基材物質、処理等が比較的均質な特性を有することに起因して)。あるいは、伸張領域は、そこに不均質な特性を与えたがゆえに非連続な特性を有していてもよい。列は同じ又は異なる特性を有する伸張領域を含んでいてよい。好適な伸張領域の列としては、下記で更に詳細に記載するように、複数の真っ直ぐな若しくは湾曲した線又は帯、直線形状、曲線形状、他の規則的な若しくは不規則な幾何学的形状、及びこれらの組み合わせが挙げられる。2つの伸張領域は、長手方向に分離されていても又は隣接していてもよく、横方向に分離されていても隣接していてもよく、或いは伸張領域はこのような列中で少なくとも部分的に重なり合っていてもよい。1つの列内では、個々の伸張領域は、特性、幾何学的形状、相対的配向、間隙、又は弾性若しくは延伸性が異なっていてもよい。特定の実施形態では、少なくとも1つの伸張領域の少なくとも一部は視覚的に区別されてよい。伸張領域は他の弾性の、延伸性の、又は非延伸性の材料、例えばフィルム、ウェブ、ストランドなどと組み合わされて積層体を形成してもよい。
【0047】
伸張領域の列を含む代表的なおむつシャーシは、図2に示されるようなおむつシャーシ250である。おむつシャーシ250は、液体不透水性バックシート及び不織布材料で作製された外側カバーを包含してもよい。他のシャーシ構成要素を包含していてもよいが、本発明の伸張領域の列を明確に示すために図示されていない。一実施形態では、標準的な液体不透水性バックシート材料上に熱可塑性エラストマーが、区域252、254、256、258、及び260に伸張領域の異なる列を作るような態様で配置されていてもよい。一例として、区域252における列は第1の熱可塑性エラストマー組成物を含んでいてもよく、一方、区域254、256、258、及び/又は260における列は異なる組成物を含むか、又は異なる形状(厚さ、幅、模様等)で配置された第1の組成物を含んでいてよい。着用時のフィット性を高めるための特定の場合には、種々の伸張領域の特性が対称であり、すなわち区域252と260上での列が同様の特性を有し、区域254と258中の列もまた同様の特性を有するが、区域256中の列は第3の弾性特性の型を有する。しかし、このことは必要ではなく、区域252、254、256、258、及び260における個々の列は、本発明の範囲から逸脱することなく、個々に、並びに弾性特性、大きさ、形状、及び組成物の点で広範に変化してもよい。
【0048】
ここで、パンツ370を示す図3、4、及び5A〜Bが参照される。用語「パンツ」は本明細書で使用する時、乳幼児又は成人の着用者のために設計された腰部開口及び脚部開口を有する使い捨て衣類を指す。パンツは、物品の部分を再締結可能な及び/又は再締結可能ではない結合材(例えば、縫い目、溶接、接着剤、粘着性結合材、締結具等)を用いて互いに接合することが挙げられるがこれに限定されないいずれかの好適な技術によって予備形成されてよい。パンツは物品の周囲に沿ったいずれかの位置で予備形成されてよい(例えば、側部締結、前方腰部締結)。本明細書では用語「パンツ」が用いられるが、パンツはまた通常「閉じたおむつ」、「前もって締結されたおむつ」、「プルオンおむつ」、「トレーニングパンツ」、及び「おむつパンツ」とも言われる。好適なパンツは、米国特許第5,246,433号、米国特許第5,569,234号、米国特許第6,120,487号、米国特許第6,120,489号、米国特許第4,940,464号、米国特許第5,092,861号、米国特許出願10/171,249(US Patent Application Serial No. 10/171,249)、名称「高度に柔軟な及び低変形性の締結装置(Highly Flexible And Low Deformation Fastening Device)」(2002年6月13日出願);米国特許第5,897,545号、米国特許第5,957,908号に開示されている。
【0049】
パンツ370は、所望の弾性特性を付与してそれが容易に達成できるようにし及びより良好なフィット性と快適さを持続できるようにするために、伸張領域を包含していてよい。おむつ10と同様に、伸張領域はパンツ370上のどこに包含されていてもよい。図3はパンツ370の斜視図であり、図4はパンツ370の平面図を示している。これらに示されているように、パンツ370は、長手方向中心線360、横方向中心線362、前方腰部区域364(前方腰部縁部365に隣接)、股部区域366、及び後方腰部区域368(後方腰部縁部369に隣接)を有している。図5A〜Bで最も明確に分かるように、パンツ370は、液体透水性トップシート372、液体不透水性バックシート374、及びそのトップシート372とバックシート374の間に配置された吸収性コア376を包含する吸収性アセンブリを具備していてよい。外側カバー378(典型的には不織布を含む)がパンツ370の外側表面上に配置されている。2対のサイドパネル380、382及び384、386が前方腰部区域364及び後方腰部区域368において外側カバー378に付着され、この外側カバーが今度は吸収性アセンブリのバックシート374に付着されて着用者のための1対の脚部開口及び腰部開口を形成するようになされている。好ましくは、伸張領域の範囲はサイドパネル380、382、384、及び/又は386の少なくとも1つに配置されている。パンツ370の伸張領域はまた、腰部区域364、366、バリアレッグカフ388及び390を含んでいてもよい。例えば,脚部弾性体392、394、及び/又はバリアレッグカフ弾性体396、398のどちらか又は両方がエラストマー組成物を含むことができ、この場合この組成物は、図5A及び5Bに示された要素(features)の1つに伸張領域を形成するように基材上に配置される。
【0050】
ベルト構造体(図示せず)もまた本発明の伸張領域を含んでいてもよい。こうした代替の構造体の1つは、耳部及び/又はサイドパネル、並びに腰部機能の少なくとも一部を含む。別の代替のベルト構造体では、例えば、1以上の横方向に配向された伸張領域(又はそれらの列)を前方及び後方腰部縁部365、369に隣接して付着させることによって、着用者の腰を完全に取り囲むベルト(すなわち360度ベルト)が形成されて、着用者の腰の周りに張力の帯を形成するようにしてもよい。こうした伸張領域はまた、図7A、7B、及び8A〜Dに示されているものを含むこともできる。
【0051】
閉鎖可能である開いた、又はテープ付きのおむつ612のための種々のサイドパネル604、606、608、610が示されている図6A〜Iを参照する。認識されるように、サイドパネル604、606、608、610はそれぞれ、長手方向中心線650に対して予め規定された角度で(通常は平行に)配置された内側縁部634、636、638、及び640を有している。本明細書で記載されるサイドパネル604、606、608、及び610は、おむつ10若しくは250又はパンツ370の図1〜4で記載したサイドパネル又は耳部のいずれとも、及び図6B〜6Iのサイドパネル605、607、609、611、613、615、617、及び619のいずれとも交換可能であることを理解すべきである。伸張領域の矢印614、616はおむつの典型的なサイドパネルの望ましい代表的な力のベクトルを示すために図示されている。おむつ612の区域における所与の伸張領域のサイズは、その伸張領域の機能及びおむつ612のその所与の区域における所望の張力/延伸ベクトル614、616によって決まる。各伸張領域は、それが主に配置されるおむつ612の区域よりも小さくても、又は大きくてもよい。所与の伸張領域はまた、おむつ612の他の区域と重なり合っていてもよい。
【0052】
図6B〜6Iを参照すると、サイドパネル605の種々の線状の伸張領域618は、一般に略2mm未満の及び典型的には略1mm未満の幅を有する線又はストランドとして構成されていてよい。線状の伸張領域618はまた、一般に略2mm〜略40mmの幅及び略2:1〜略100:1の範囲の縦横比を有するバンドとして構成されてもよい。線状の伸張領域618はまた、横方向中心線651(図6B及び6F)に対して角度をつけて配置されていてもよい。好ましい角度は0±70°の範囲である。主に横方向の配向を有する伸張領域は一般に、全体として長手方向の配向を有するものよりも幅が広く高い弾性率を有する。湾曲した伸張領域620は長手方向中心線650若しくは横方向中心線651又は両方に対して凹型又は凸型のいずれであってもよく、略1mmよりも大きな、好ましくは略10mmよりも大きな、より好ましくは略50mmよりも大きな曲率半径を有していてもよい。曲率は任意に、伸張領域620の長さ又は「経路」上で変動可能であってもよい。典型的には、伸張領域618及び/又は620の厚さは略0.02mm〜略5mmの範囲であってもよく、坪量は略20g/m2〜略300g/m2の範囲である。
【0053】
本発明の更なる代表的な実施形態は、サイドパネル607を有する図6C、サイドパネル609を有する図6D、サイドパネル611を有する図6E、サイドパネル613を有する図6F、サイドパネル615を有する図6G、サイドパネル617を有する図6H、及びサイドパネル619を有する図6Iに示されている。サイドパネル609、611、613、615、617、619のすべては前述したおむつ10又はパンツ370のおむつシャーシと一体であっても別個に取り付けられていてもよい。また伸張領域618及び620の全ては本明細書に記載されるようなエラストマー組成物を含む。図6D〜6Iは、本発明の他の所望の弾性特性を付与するために締結要素624の一部に適用されるか又は締結要素の一部として形成された追加の伸張領域622を示している。
【0054】
あるいは、伸張領域618、620のうちの1以上であるが全てではないものが、その伸張領域618、620の残りのものを形成するのに用いられる組成物とは異なるエラストマー組成物を含んでいてもよい。例えば、図6B及び6Cを参照すると、伸張領域618の残りのものの長手方向外側寄り(すなわち、後方腰部端部635に近い方)にある特定の伸張領域618は、着用者の腰の周りにより大きな弾性抵抗を与えるようにより高い弾性率を有するエラストマー組成物を含んでいてもよい。別法では(図6B)、伸張領域618が第1のエラストマー組成物を含んでいてもよく、及び伸張領域620が第2のエラストマー組成物を含んでいてもよい。この場合もまた、伸張領域618は伸張領域620の長手方向外側寄りにある。
【0055】
あるいは,線状の伸張領域618若しくは湾曲した伸張領域620又はそれらの両方の列は、らせん状の又は重なり合った若しくは絡み合った構成、例えば斜交平行列を含んでもよい。好適な伸張領域の形状(図示せず)としては、矩形、円形、楕円、菱形、三角形、平行四辺形、台形、くさび形、若しくは他の円又は楕円の部分、他の多角形、又は他の不規則な囲まれた形状が挙げられる。
【0056】
伸張領域の列の特定の好ましい実施形態の1つが図6Iに示されており、ここではサイドパネル619が1対の斜交平行列625、627を含む。この図に示されているように、列625、627の両方が重なり合う斜交平行模様の複数の線状伸張領域618を含み、この際個々の伸張領域618が主に横方向の配向又は主に長手方向の配向のいずれかを有する。本明細書で認識され及び記載されるように、伸張領域618はまた、中心線に対して0°又は90°以外の角度をもつこともできる。
【0057】
図6Iに示されているサイドパネル619の一実施形態では、列625は列627とは異なる機械的性質を有する。特に、第1の列625は第2の列625よりも低い有効ひずみ(available strain)を有する。本明細書で使用する時、「有効ひずみ(available strain)」とは、加えられた伸長に対応する弾性抵抗力の急激な増加が存在する時点でのひずみである。典型的には、加えられた伸長が、抵抗力の有意な部分が基材によって伸張領域に与えられる点に到達した場合に、このような変化が起こる。加えられた伸長が有効ひずみ(available strain)よりも小さな時には、弾性抵抗力は実質的にエラストマー組成物によって伸張領域に与えられる。この有効ひずみ(available strain)の違いは、列627が、着用者の脚の動きの全ての範囲に対して適応するために広範囲まで伸長することができなければならないという理由による。同様に、第1の列625は第2の列627とは異なる弾性抵抗を有する。好適には、列625は、25%のひずみにおいて略0.05N/cm〜略50N/cm、好ましくは略0.1N/cm〜略40N/cm、より好ましくは略1N/cm〜略30N/cmの弾性抵抗を有する。列625の25%伸長における弾性抵抗と列627の25%伸長における弾性抵抗との比は、好適には略1.25:1よりも大きく、好ましくは略1.5:1よりも大きく、より好ましくは略2.0:1〜略6.0:1である。列625と列627の有効ひずみ(available strain)の差は、好適には少なくとも略25%(すなわち、列625が略25%の有効ひずみを有する場合には、列627の有効ひずみは少なくとも略50%である)、好ましくはその差は少なくとも略50%である。
【0058】
図7A及び7Bを参照すると、おむつ10と類似したおむつであって、長手方向中心線738、横方向中心線739、後方腰部端部735及び前方腰部端部737を有するおむつ730が図示されており、ここで、サイドパネル732、733の腰部及び大腿部は好ましくは、図示されているような張力及び/又は角度が違っている異なる伸張領域734及び736を含む。好ましくは、おむつ730の後方腰部端部735に近いサイドパネルの伸張領域734は、横方向中心線739から略0〜略−50°、より好ましくは横方向中心線739から略−5°〜略−40°の角度に配向されていてよい。好ましくは、伸張領域736は、横方向中心線739から略0〜略+70°、より好ましくは横方向中心線739から略+20°〜略+60°の角度に配向されていてよい。1つの好ましいサイドパネル732の伸張領域の実施形態は、横方向中心線739から略−10°〜略−20°に配向された伸張領域734及び横方向中心線739から略+20°〜+50°に配向された伸張領域736を包含する。
【0059】
特定の好ましい実施形態では、レッグカフ弾性体の効果的な延伸を与えるため、サイドパネルの伸張領域736のうちの少なくとも1つが、外側レッグカフ弾性体740、742の端部と合致してもよく、それにより図7Bに示された伸張領域736と740、742との組み合わせで着用者の脚を取り囲む。すなわち、外側レッグカフ弾性体740、742及びサイドパネル伸張領域が協働して、着用者の脚を取り囲むために実質的に連続した力の線を与える。
【0060】
他の好ましい実施形態では、後方腰部端部735又は前方腰部端部737に隣接した腰部区域のうちの少なくとも1つがまた、1以上の腰部伸張領域744、745、746、747を備えている。このような実施形態では、着用者の腰を取り囲む実質的に連続した力の線を与えるように、腰部伸張領域744、745、746、747、が後方腰部端部735に隣接して配置された耳部伸張領域734と合致していてもよい。おむつ730の設計によっては、こうした力の線は着用者の動きの少ない領域に対して追随してもよく(下記参照)、又は着用者の骨格の別の部分と並置されながら腰を取り囲んでもよい。
【0061】
サイドパネル732の具体的な構造、組成、若しくは形状、又は伸縮特性にかかわらず、腰部及び大腿部の伸張領域734及び736は好ましくは互いに対して実質的に独立して機能することができる。特定の実施形態は、脚部と大腿部の間の遷移部、すなわち「遷移領域」として機能する追加のサイドパネル伸張領域(図示せず)を包含していてもよい。遷移領域は、脚部又は腰部領域のどちらともはっきりと異なる伸縮特性を有し(又は全く弾性ではない場合もある)、及び脚部及び腰部パネルによって引き起こされる変形を切り離し又は分離するように機能して、それらが互いに相互作用することなく独立して作用できるようにしてもよい。サイドパネル遷移領域を含む実施形態では、遷移領域は実質的に延伸性があって、サイドパネルの腰部と大腿部の間の独立した作用を更に促進し、一方ではなお着用者によって着用されている時に腰部領域と大腿部領域との相対的な動きに適応するのに十分な伸縮性をも提供し、遷移区域の座屈及び/又は折り畳みを抑制するのに役立ってもよい。
【0062】
図8A〜Dを参照すると、おむつ830の腰部区域に、伸張領域851の少なくとも1つの列850が包含されていてもよい。伸張領域851の列850は、類似の又は異なる程度の弾性又は延伸性を有していてよく、いかなる幾何学的形状又は配向を想定してもよい。例えば、図8Aでは、伸張領域851の列850がおむつ830の腰部端部835に配置されており、一方図8Bは、列850が腰部端部835から離れている別の実施形態を示している。図8Cの着用者852の部分的側面図に示されているように、全体的に列850下方後方腰部範囲に配置させるが好ましい場合がある。この様式では、物品によって着用者の体の臀部の凸面(すなわち「臀部の棚(buttocks shelf)」)に、又はその直ぐ上に張力が加えられて、物品の全体的な固定能力(すなわち、それの弛みに抵抗する能力)に寄与するので、着用者852によって最大限のフィット性及び快適さが経験されることになる。前記の別法では、列850及び伸張領域862、864、866、868、及び870(図8Dに図示)が協働して、おむつ830を動きの少ない領域853(すなわち、着用者の体852のヒップの上の背中の腰部湾曲を腹部のひだの下に連結する線又は領域)に関して最適なフィット性を与える構成に維持して、その性能を最大限にする。動きの少ない領域の更に詳細な説明に関しては、米国特許第5,358,500号を参照のこと。
【0063】
図8Dのおむつ830の部分平面図に示されているような特定の好ましい実施形態では、列850は腰部端部835と一致した高度に局部的な弾性抵抗を有する1以上の伸張領域854(すなわち、「張力の大きな」伸張領域854)を含んでいる。張力の大きな伸張領域854は腰部端部835と隣接していてもよく、又はその内側寄りに配置されていてもよい。典型的には、張力の大きな伸張領域854はおむつ830の腰部端部835から略0〜30mmに配置されている。好ましくは、張力の大きな伸張領域854は腰部端部835から略20mm未満に配置されている。概して言えば、張力の大きな伸張領域854の列850は着用者852の体の臀部858の上方湾曲部の直ぐ上又はその上方湾曲部での範囲856に対応してよく、この場所ではこの張力の大きな伸張領域854は、臀部858によって作られる幾何学的な「棚(shelf)」に垂直力を加えることによって、おむつ830に対し追加の固定能力を与えるように機能する。張力の大きな伸張領域854は更に、おむつ830の腰部端部835を着用者の背中860に対接して保持し、腰部の背面の隙間を防ぐ。
【0064】
おむつ830の腰部端部835に又はその近くに、及び物品の後方腰部及び股部の複数の区域に渡って延在している伸張領域854の列850を含む実施形態では、腰部端部835の残りの範囲は、低い弾性抵抗を有していてもよく、主として延伸性があってもよく、あるいはどちらかの特性を有する範囲を含んでいてもよい。いずれの場合も、この腰部端部835の範囲(すなわち、伸張領域850又は854を包含しない範囲)は張力の小さな領域であってよい。
【0065】
再び図8Dを参照すると、伸張領域862はサイドパネル832及び833の近位縁、それぞれ864及び866と実質的に平行であってもよい。任意で、遷移性の伸張領域868及び870が伸張領域854と868、870との中間に配置されていてもよい。伸張領域854は主要な固定機能を提供してもよく、伸張領域862、868及び870は動的な脚の動きに適合する機能を提供してもよい。伸張領域854、868及び870の全てが弾性抵抗を与えるが、本発明は、固定及び動きに適合する機能の様々な必要性を満たすために程度及び方向の両方においてこのような力を調整することを可能にする。再び図8Cを参照すると、好ましくは、着用者の臀部858を覆っている区域は、着用者852の脚の間にあるときにその臀部に十分な被覆を与え、着用者852の体型に適合し、おむつ830の股部と腰部端部835の区域の間の遷移区域(図8A、B、及びD)における応力を解放するように、少なくとも1つの延伸性のある伸張領域を含む。前述したように、サイドパネル832及び833は、異なる機能を有する別個の伸張領域854、862、868、及び870を含んでいてよく、伸張領域全体に渡って異なる特性を有する単一の伸縮性要素であるか、又は伸張領域854、862、868、及び870の間にスリット、穴、又は他の変形のような物理的図形を有していてもよい。しかし、伸張領域854及び862は好ましくは、互いに異なる特性、幾何学的形状、及び/又は寸法を有する伸縮性要素又は伸縮性要素の列を含む。
【0066】
典型的には、伸張領域854は、25%伸長までひずみを与えた場合に少なくとも略0.05N/cmの弾性抵抗を示す。好ましくは、伸張領域854は、25%伸長までひずみを与えた場合に、略0.05N/cm〜略50N/cm、より好ましくは0.1N/cm〜略40N/cm、最も好ましくは1N/cm〜略30N/cmの弾性抵抗を示す。好ましくは、伸張領域854は略40%未満の力緩和及び略15%未満の残留ひずみ(set)を経験する。典型的には、伸張領域854は少なくとも略25%、好ましくは略50%〜略300%の最大伸長を有することになる。典型的には、伸張領域862は、25%伸長までひずみを与えた場合に少なくとも略0.05N/mの弾性抵抗を示す。好ましくは、伸張領域862は、25%伸長までひずみを与えた場合に、略0.1N/cm〜略8N/cmの弾性抵抗を示す。好ましくは、伸張領域862は、略40%の力緩和及び略15%の残留ひずみ(set)を経験する。典型的には、伸張領域862は少なくとも略25%、好ましくは略50%〜略200%の最大伸長を有していてよい。加えて、伸張領域868及び870は、所与の延伸において、伸張領域854及び862のどちらよりも低い伸長時の抵抗力を示してよい。典型的には、伸張領域854と伸張領域868又は870との弾性抵抗の比は少なくとも1.25:1、好ましくは少なくとも1.5:1、最も好ましくは略2.0:1〜6.0:1である。個々の伸張領域854、862、68、及び870の伸縮特性にかかわらず、25%まで延伸された場合のサイドパネル832及び833の区域の全体的な張力は、好ましくは20N未満であり、及び力緩和は40%未満である。
【0067】
図9を参照すると、おむつ910が図示されており、ここでは前方腰部区域926が少なくとも1つの伸張領域972を含んでいてよい。伸張領域972の機能は、着用者が動き及び/又は位置を変える時の着用者の腹部の収縮と拡大のサイクルに動的に適応して、前方腰部の弛みを防ぐ。伸張領域972は好ましくは、おむつ910の前方腰部端部918と実質的に一致している。前方腰部端部918中に又はその近くに配置された締結用ランディング領域927を包含するおむつ910の閉鎖可能な変形形態では、そのランディング領域927はおむつ910の前方腰部端部918に凹み928を与える構成に形成されていてよい。図9に示されているように、これらの実施形態では伸張領域972がランディング領域の凹み928中へと延在していてよい。
【0068】
おむつ910に示されている後部腰部区域の股部区域976の近くに位置している臀部区域974は、弾性又は延伸性のいずれかの部分、又はこれらの組み合わせを含んでいてよいが、好ましい実施形態では、臀部区域974に熱可塑性エラストマーの模様を設けて、吸収性コア950の体積を包含する最も大きな着用者の周囲(すなわち、臀部)に適応するように臀部区域974を着用者の骨格により良好に適合させる低レベルの弾性抵抗をその伸張領域に与え、臀部区域974の着用時の張力を後方腰部端部916区域よりも低くするようにしてもよい。臀部区域974は、延伸性を有する伸張領域を有していてよく、これは、着用者の脚の間で収縮した股部区域976から固定のために図9Dに記載されたものと同様の伸張領域を有していてよいサイドパネル934及び936までのなめらかな形状の遷移を可能にする。臀部区域974は好ましくは、着用者の骨格形状に適応するために、腰部端部916区域よりも更に伸長されてもよい。
【0069】
別の実施形態、図10を参照するとおむつ1030が示されており、ここでは、腰の周りに実質的に連続した張力の線を作り出して適合性の持続するフィット性を促進するために、腰部区域中の伸張領域1078が、好ましくはサイドパネル1032及び1033、並びに/又はサイドパネル1032及び1033上に配置された締結具1080及び1082と合致していてもよい。図10に示されているように、伸張領域1078は好ましくは、締結具1082の長手方向外側寄りの縁1092、1094を連結する2つの想像線1084及び1086のうちの1つと少なくとも部分的に重なる。
【0070】
図11を参照すると、伸張領域の列1104は、おむつ1110上の前方股部区域1128中に前方腰部区域1126中に広がっているが示されている。列1104を含む伸張領域は主に、おむつ1110の長手方向中心線1112と平行であって、矢印1106によって示されているように中心線1112に沿って弾性抵抗を提供することによって前方股部区域1128におけるより良好なフィット性を可能にしていてよい。列1104は、おむつ1110の前部を引き下げて弛みを引き起こさないように、低い弾性抵抗を有するのみでなければならない。また、列1104は、前方腰部範囲における被覆が改善されるように、縦方向に少量だけのひずみを与えた後にそれが力の壁に達するよう、有効ひずみが低くなければならない。典型的には、列1104は、25%ひずみにおいて略0.005N/cm〜略5N/cm、好ましくは略0.01N/cm〜略2N/cmの弾性抵抗を与える。特定の実施形態では、弾性抵抗は略0.1N/cm〜略1N/cmの範囲である。
【0071】
縦方向における列1104の有効ひずみ(available strain)は、略100%未満、好ましくは略50%未満、より好ましくは略25%未満である。おむつ全体に関して、荷重5Nでの縦方向における最大延伸は略20cm未満、好ましくは略10cm未満、より好ましくは略5cm未満である。好ましくは、最も大きな延伸性を有する範囲は、長手方向中心線1112と実質的に合致し及び重なり合う。別の実施形態では、列1104は個々の伸張領域(図示せず)によって置き換えられて同等の弾性抵抗を提供することができる。好ましくは、最も大きな延伸性を有する範囲は、長手方向中心線1112と実質的に合致し及び重なり合う。別の実施形態では、列1104は個々の伸張領域(図示せず)によって置き換えられて同等の弾性抵抗を提供することができる。あるいは、列1104はまた、図11の矢印1108及び1109によって示されているように、長手方向中心線1112の横方向外側寄りの及びその中心線に対し角度が付けられた、そしておむつ1110の前方の角の方へと反れている伸張領域を含んでいてもよい。これらの張力の線又は弧は、これらの荷重を張力の好適な線又は「経路」を介して、物品の固定領域に「連結」することによって、吸収性コア及びそこに保持された着用者の腰を好適に懸架するように、主に弾性であってよい。あるいは、これらの「荷重分配要素(load distribution elements)」は、股部区域1128及び前方腰部区域1126の周りに非延伸性の線、弧、帯、又は他の幾何学的区域を含んでもよく、着用者の起き上がりに適応するように延長していてもよく、一方で外側寄りの非延伸性の荷重分配要素は排泄物の荷重への支持を与える。
【0072】
別の実施形態、図12を参照すると、おむつ1210が示されており、ここでは脚部区域1230が伸張領域1212及び1214を含んでいてよい。好ましくは、伸張領域1212及び1214は長手方向中心線1205に実質的に平行であり、弾性が大きい。あるいは、伸張領域1212及び1214はまた、曲線状であるか又は長手方向中心線1205に対し角度がつけられていてもよい。脚部区域1232の部分は、おむつ1210の長手方向中心線1205に対して角度をつけて配向された1以上の追加の延伸性のある伸張領域1216及び1218を含んでいてもよい。典型的には、伸張領域1216及び1218は長手方向中心線1205から略45°〜略90°の角度、好ましくは45〜60°の角度となされていてよい。
【0073】
本発明のさらに別の実施形態では、本明細書に記載された伸張領域はまたトップシートに設けられることもできる。例えば、おむつ1310が図13に示されている。おむつ1310は、トップシート1324、バックシート1326、及びそれらの間にコア1328を含む。トップシート1324にはまた、周囲1340を有する開孔1330が設けられている。図13でわかるように、トップシート1324には更に、これもまた周囲1340の一部を含む1対の横方向に対向する伸張領域1343、1344を設けられている。伸張領域1343、1344は、前方腰部区域1336から股部区域1337を通って後方腰部区域1338まで延在している。伸張領域1343、1344は弾性抵抗を提供して、おむつ1310が、図13に示されている弛んだ状態でカップ状の形状をとるようにする。この弾性抵抗は、トップシート1324と着用者の体との間の望ましい身体的接触を保証するのに役立つ。図13に示される好ましい実施形態では、この身体的接触は、開孔1330とトップシート1326とが組み合わさって、身体排泄物を着用者の体との接触から分離するのを助けるための弛みに耐えられる肛門カフを作り出すのに役立つ。こうしたカフは、同時継続米国特許出願2004/0193134A1(copending US Patent Application Publication No. 2004/0193134 A1)、名称「カフを有する物品」(ミューラー(Mueller)ら出願、2004年9月30日公開)に、より詳細に記載されている。
【0074】
本発明の全ての実施形態に適用可能なおむつ構成要素の説明
図1〜13の全ての実施形態は、本発明の範囲から逸脱することなく、下記に記載する材料、設計、及び組み立て方法のいずれかの1つ以上をとってもよい、おむつ構成要素を有する。種々の周知の構成におけるいずれの物品構成要素を組み合わせてもよいが、代表的なおむつの構成は、米国特許第3,860,003号;米国特許第5,151,092号;及び米国特許第5,221,274号;並びに米国特許第5,554,145号;米国特許第5,569,234号;米国特許第5,580,411号;及び米国特許第6,004,306号に概ね記載されている。
【0075】
代表的な通気性材料としては、織布ウェブ、不織布ウェブ、フィルムコーティング不織布ウェブのような複合材料、三井東圧(Mitsui Toatsu Co.)(日本)によってエスポア(ESPOIR)NOの商品名で製造されるような、及びエクソン・ケミカル(Exxon ChemicalCo.)(テキサス州ベイシティ(Bay City))によってエグサイア(EXXAIRE)の商品名で製造されるようなミクロ孔質フィルム、並びにクロペイ・コーポレーション(Clopay Corporation)(オハイオ州シンシナティ(Cincinnati))によってハイトレル(HYTREL)ブレンドP18−3097の商品名で製造されるようなモノリシックフィルムなどの材料を挙げてよい。幾つかの通気性複合材料については、米国特許第6,187,696号、米国特許第5,938,648号、米国特許第5,865,823号、及び米国特許第5,571,096号に更に詳細に記載されている。
【0076】
物品は、追加の弾性材料を用いずに伸長の方向において弾性様挙動を示す延伸性材料であり、米国特許第5,518,801号に更に詳細に記載されている、構造的に弾性様のフィルムウェブを包含してもよい。別の実施形態では、バックシートはエラストマーフィルム、発泡体、ストランド、あるいはこれらの組み合わせ、又は不織布若しくは合成フィルムを有する他の好適な材料を含んでもよい。
【0077】
吸収性コアとして使用するための代表的な吸収性構造体は、米国特許第4,610,678号、米国特許第4,673,402号、米国特許第4,834,735号、米国特許第4,888,231号、米国特許第5,137,537号、米国特許第5,147,345号、米国特許第5,342,338号、米国特許第5,260,345号、米国特許第5,387,207号、及び米国特許第5,625,222号に記載されている。
【0078】
好適な吸収性の及び非吸収性の副層はについては、欧州特許出願EP 0 847 738A1(European Patent Application No. EP 0 847 738 A1)及び米国特許第5,941,864号に記載されている。さらに、副層、又はそれらのいずれかの部分は、要素の性能又は他の特性を加え、高め、又は変更するために、ローション又は他の既知の物質を包含するか又はそれらでコーティングされていてもよい。
【0079】
幾つかの代表的な表面締結システムについては、米国特許第3,848,594号、米国特許B14,662,875(US Pat. No. B1 4,662,875)、米国特許第4,846,815号、米国特許第4,894,060号、米国特許第4,946,527号、上記で参照した米国特許第5,151,092号、及び米国特許第5,221,274号に開示されている。代表的な組み合わせ締結システムは米国特許第6,432,098号に開示されている。締結システムはまた、物品を米国特許第4,963,140に記載されるような処分用の構成に保持するための手段を提供してもよく;米国特許第4,699,622号に開示されるような主要な及び2次的な締結システムを包含してもよく;米国特許第5,242,436号に開示されるような重なり合う部分のずれを低減し、又はフィット性を改善するための手段;米国特許第5,499,978号、米国特許第5,507,736号、及び米国特許第5,591,152号に開示されているような、着用者の腹部に隙間ができるのに抵抗するための手段を提供してもよい。
【0080】
好適なトレーニングパンツ及びプルオンおむつは、米国特許第5,246,433号、米国特許第5,569,234号、米国特許第6,120,487号、米国特許第6,120,489号、米国特許第4,940,464号、及び米国特許第5,092,861号に開示されている。
【0081】
弾性のあるサイドパネルを有するおむつの例は、米国特許第4,857,067号、米国特許第4,381,781号、米国特許第4,938,753号、上記で参照した米国特許第5,151,092号、米国特許第5,221,274号、米国特許第5,669,897号、米国特許第6,004,306号、及び上述の米国特許第6,300,208号に開示されている。
【0082】
米国特許第3,860,003号は、サイドフラップ及び1以上の弾性部材を有する収縮性の脚部開口を与えて弾性のあるレッグカフ(ガスケッティングカフ)を提供する、使い捨ておむつを記載している。米国特許第4,808,178号及び4,909,803号は、脚部区域の束縛を改善する「起立した(stand-up)」弾性のあるフラップ(バリアカフ)を有する使い捨ておむつを記載している。米国特許第4,695,278号及び4,795,454号は、ガスケッティングカフ及びバリアカフを包含する二重カフを有する使い捨ておむつを記載している。
【0083】
本発明の実施形態はまた、排泄物を受け入れ及び収容するためのポケット、排泄物のための空洞を提供するスペーサー、物品中での排泄物の移動を制限するための障壁、排泄物質を受容し及び収容する区画若しくは空洞、又はいずれかのそれらの組み合わせを包含してもよい。吸収性製品で使用するためのポケット及びスペーサーの例は、米国特許第5,514,121号、米国特許第5,171,236号、米国特許第5,397,318号、米国特許第5,540,671号、米国特許第6,168,584号、米国特許第5,306,266号、及び米国特許第5,997,520号に記載されている。区画又は空洞の例は、米国特許第4,968,312号、米国特許第4,990,147号、米国特許第5,062,840号、及び米国特許第5,269,755号に開示されている。好適な横断方向の障壁の例は、米国特許第5,554,142号、米国特許第6,010,490号、米国特許第5,653,703号に記載されている。低粘度の糞便の取扱いのために特に好適な他の構造の例は、米国特許第5,941,864号、5,977,430号及び6,013,063号に開示されている。
【0084】
図1のおむつ10は好ましくは、腰部区域の一方を着用者の背中に位置決めし、おむつの残りの部分を着用者の脚の間で引張ってもう一方の腰部区域を着用者の前方の周りに位置決めするようにすることによって、着用者に付けられる。次に介護人が締結要素を用いて、前方及び後方腰部区域を着用者の腰を取り囲むように接合する。弾性のあるサイドパネルは典型的には、着用者の大きさ及び体型に適合するようにこの操作時に延伸され及び引張られる。図3に示されているもののようなパンツは、着用者の脚を脚部開口に挿入しパンツを着用者の胴体の下部の周りの所定位置に摺動させることによって、着用者上の所定位置に配置されてよい。
【0085】
試験方法
弾性特性のヒステリシス試験
概観
この試験は、a)弾性抵抗(25%伸長時の荷重)、b)力緩和、及びc)個々の伸張領域又は伸張領域の列の残留ひずみ(set)%、を測定する。伸張領域は交差していても交差していなくてもよい。非交差の伸張領域は平行であっても平行でなくてもよい。理想的には、試料寸法は幅2.54cm×長さ5.08cmであり、伸長方向をその長い寸法とする。さらに、理想的には、ゲージ長さは2.54cmでなければならない。その伸縮性は種々の模様であることができるので、伸張領域の異なる部類に対して異なる試料調製手順を規定する必要がある。試料が調製されたら、それを予め規定されたレジメンに従って伸長して特性決定のためのデータを得る。
【0086】
装置
引張り試験機:インストロン・エンジニアリング社(Instron Engineering Corp.)(マサチューセッツ州カントン(Canton))又はシンテック・MTS・システム・コーポレーション(SINTECH-MTS Systems Corporation)(ミネソタ州エデンプレーリー(Eden Prairie))からの市販の定速延伸引張り試験機(又は同等の引張り試験機)が好適であり得る。試験速度及びその他の試験パラメータを制御し、データを収集、計算及び報告するために、機器をコンピュータに接続する。
【0087】
ロードセル 試験に好適なつかみ具及びロードセルを選択する;つかみ具は試料を嵌着するのに十分な幅を有していなければならず、典型的には2.54cmのつかみ具が使用される;ロードセルは、試験される試料から予想される引張り応答がロードセルの能力又は使用される荷重範囲の25%〜75%となるように選択され、典型的には1kNロードセルが用いられる。
【0088】
サンプルカッター 所望される試料の幅によって具体的なサンプルカッターが規定される。好適なカッターは、スウィング−アルバート・インストルメント(Thwing-Albert Instrument Co.)(ペンシルベニア州フィラデルフィア(Philadelphia))から入手可能である。幅2.54cmの試料にはJDC1−10型が好適である。
【0089】
試料の調製
(i)直線状、非交差伸張領域のための試料調製
個々の伸張領域内から幅2.54cm×長さ5.08cmの試料を切断する。個々の伸張領域がこれらの寸法よりも小さい場合には、試料は伸張領域全体を含まなければならない。試料をつかみ具内で正しい方向に合わせ、確実にサンプルがその伸張領域の長手方向において伸縮されるようにする。個々の伸張領域からの力が引張り試験機で測定するには小さすぎる場合、複数の製品から採取した同一の伸張領域からの数個の試料を引張り試験機のグリップの間でまとめて引っ張ることができ、そのデータを個々の伸張領域へと標準化する。すべての伸張領域が均一に離間され互いに平行であり、また同一の寸法及び坪量のエラストマーを有する特殊な場合には、複数の伸張領域にわたる2.54cm試料を試験することができる。その場合荷重は、全体の力を伸張領域の数で割ることによって個々の伸張領域へと標準化することができる。
【0090】
(ii)非直線、非交差伸張領域のための試料調製
試料の寸法は幅6.3mm×長さ5.08cmである。長さは湾曲した経路に沿って測定される。試料の幅は小さいので、湾曲した伸張領域を直線状の伸張領域として近似できる。引張り試験機のゲージ長さは2.54cmに設定される。前述したように、上記の寸法の試料を得ることが可能でない場合、試料寸法は可能な限り大きな値まで減少することができ、それに従ってゲージ長さを調節する。
【0091】
(iii)交差した伸張領域の列のための試料調製
試験試料は幅2.54cm×長さ5.08cmである。列がこれらの寸法よりも小さい場合には、サンプルは列全体を含まなければならない。列は最大伸縮の方向に近い方向に引張られる必要がある。これは一般に、試料を幾つかの方向(例えば、CD、MD、及びCDに対し45°)に引っ張ることによって決定することができる。このような方向が容易に識別されない場合には、実行しない(default)引張り方向は機械横方向とする。
【0092】
方法
ヒステリシスは標準的な研究室条件(25℃±2℃及び相対湿度略50%±2.0%)で測定される。
【0093】
エラストマー部材のヒステリシスを測定するための手順は、以下の工程を伴う。
1.メーカーの説明書に従って試験機を較正する。
2.ゲージ長さを2.54cm又は試験される試料に適切なように設定する;0.05Nの緩い予備荷重を設定する。
3.試料をつかみ具の平坦な表面に、試料の長手方向中心線がゲージ長さ方向に実質的に平行となるように設置する。
4.クロスヘッドスピードを25.4cm/分の定速に設定する。
5.クロスヘッドの移動を開始する、試験機は荷重及びひずみデータを同時に記録し始める。ヒステリシス試験は具体的には以下の工程を伴う:
a)試料を25.4cm/分の定速で25%ひずみまで伸長し、25%伸長時の力を記録する;
b)試料を2分間このひずみのまま保持し、この2分間の始めと終わりの力を記録する;
c)試料を25.4cm/分の定速で0%ひずみに戻す;
d)試料を1分間このひずみのまま保持する;及び
e)試料を5.08cm/分の定速で0.1N荷重まで伸長し、0.1N(すなわち、緩みを取り除くには十分であるが、最大でも試料の実質的な(insubstantial)伸縮を付与しないだけの十分小さな力)におけるひずみを記録する。
【0094】
計算及び報告された結果
1.工程5(a)で収集されるデータから、25%ひずみにおける荷重が材料の弾性抵抗として報告される。
2.工程5(b)で収集されるデータから、2分の保持時間の初めと終わりにおける荷重により、次式を用いて力緩和が決定される。
【数1】
3.工程5(e)で収集されるデータから、次式を用いて残留ひずみ(set)%が計算される。
【数2】
4.試験される各材料に対し、3つの反復試料からの平均結果を報告する。
【0095】
有効ひずみ(Available Strain)
これは試料の有効ひずみ(Available Strain)を決定することを企図している。有効ひずみ(Available Strain)は、力−伸長曲線において屈曲が存在する点であり、この点を超えると試料を更に伸長するのに必要な力の量が急速に増加する。代表的な力(F(N/cm))−伸長(E(%))曲線は図14に示されている。ここに示されているように、有効ひずみ(available strain)は力伸長曲線720から、曲線720aの段階1部分及び曲線720cの段階2部分の直線外挿の交点720bとして決定される。
【0096】
方法
1.試料を上述のヒステリシス試験に従って調製する。
2.ヒステリシス試験の工程1〜4を繰り返す。
3.クロスヘッドの移動を開始する。試験機が荷重 対 ひずみ(伸長%)データを同時に記録し始める。
4.次のどちらかとなるまで試料の伸長を続ける:
a)試料が破断する;又は
b)ロードセルの力の限界に達する。
5.力/伸長データをプロットし図14に示されているのと同様の曲線を作成する。
6.図示されているように段階1及び段階2の部分を外挿して有効ひずみ(available strain)を決定する。
7.試験される各材料に対し3つの反復試料からの平均の結果を報告する。
【0097】
「発明を実施するための最良の形態」で引用したすべての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、どの文献の引用も、それが本発明に関する先行技術であるとの容認と解釈されるべきではない。
【0098】
本発明の特定の実施形態が説明及び記載されてきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を行えることが当業者には明白であろう。従って、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、おむつ、プルオンおむつ、トレーニングパンツ、生理用ナプキン、拭き取り用品、よだれ掛け、失禁用ブリーフ又は挿入具などのような使い捨て吸収性物品に関する。より具体的には、本発明は、エラストマー構成成分を含む1以上の区域を有するそうした吸収性物品に関する。このような構成成分は、本発明の吸収性物品において使用されて、着用時の物品のフィット性及び快適さを改善するために、及び/又は使用者にとっての便利さを向上させるために、所望の物品形状を提供し、及び/又は所望の応力及びひずみ特性を付与する。
【背景技術】
【0002】
おむつ、トレーニングパンツ、失禁用物品などの使い捨て吸収性製品は、典型的に腰部区域やカフ区域に弾性ストランドのような伸縮可能な材料を包含し、物品の心地よいフィット性及び良好な密閉性を提供する。パンツ型の吸収性物品はさらに、物品を容易に取り付けたり、取り外したりできるように、また物品のフィット性が持続されるように、サイド部分にも伸縮可能な材料を包含する。伸縮可能な材料はまた、物品のフィット性を調節できるようにするために使い捨ておむつの耳部においても使用されてきた。しかし、吸収性物品の収縮性の部分によってもたらされる引張り力の指向性及び強度を更に良好に規定する改善された特性を有する材料を有することが望ましい。この方法では、このような望ましい吸収性物品は、着用者に対する形状又は大きさをよりフィットした快適なものにする能力を有し、さらに着用時に必要とされる張力を維持して持続したフィット性を達成し、物品の弛み及び/又は垂れ下がりを防ぐ能力を有する。この種の吸収性物品は、結果として生ずる快適さの改善と共に、吸収性物品の種々の範囲、例えば、おむつの股部又は腰部区域におけるより良好なフィット性をもたらすこととなり得る。おむつの場合には、より良好なフィット性及び快適さはまた、おむつが着用者の形状により良好に適合するので、漏れを減少させることなどのより良好な機能的性能を付与することもできる。吸収性物品に対するこのような特徴はこれまで得られていなかった。
【0003】
吸収性物品の目標とされる範囲において、望ましい伸縮可能特性を提供するためには、種々の手法がある。伸縮可能な材料は、エラストマー材から製造されるストランド、フィルム、又は不織繊維ウェブであってよい。典型的には、こうした材料は少なくとも1つの及び場合によっては複数の方向において伸縮可能である。しかしながら、フィルム又はウェブは、その全体がエラストマー材で製造されるために比較的高価であり、また皮膚表面に対する抵抗が大きくなり物品の着用者に不快感をもたらす傾向がある。伸縮可能なストランド又はフィルムを積層して、不織布ウェブの1以上の層となすことがある。典型的な不織布ウェブは、一般に熱可塑性繊維から製造されるために非常に伸縮可能性が乏しく、これらのウェブから得られた積層体は伸縮に対してかなりの抵抗を与える。機能的な伸縮性積層体を製造するには、実質的にこの抵抗を減らすことが必要である。しかしながらこうした材料は、適用時に着用者の骨格の細部に対し形を合わせる、大きさを合わせる、又は適合する十分な能力を有していない。
【0004】
伸張可能な材料を製造するためのその他の手法、例えば伸張結合積層体及び狭窄結合積層体も既知である。伸張結合積層体は、弾性ストランドを縦方向(MD)に伸張し、伸張した状態のままで不織布基材に積層し、不織布に皺が寄って縮んだ形状になるように、加えられた張力を緩めることにより製造される。狭窄結合積層体は、最初に不織布基材をくびれができるように(つまり、そのCD寸法が小さくなるように)縦方向に伸張し、次いで基材が伸張してくびれた状態のままでCD配向された弾性ストランドを基材に結合することにより製造される。この積層体は、少なくとも狭窄させる前の不織布の当初の幅まで、CD方向に伸張可能である。MD方向とCD方向の両方に伸張性を与えるために、伸張結合と狭窄結合を組み合わせることも既知である。これらの手法では、積層体の構成成分が共に結合されたときに、少なくとも1つの構成成分が引張られた状態(つまり、伸張した状態)になっている。これらの材料もまた、吸収性物品の使用者及び着用者が望む所望のサイズ合わせ又は形合わせの特徴を付与するように、吸収性物品に効果的に使用されることはできない。
【0005】
ゼロひずみ伸縮性積層体も知られている。ゼロひずみ伸縮性積層体は、エラストマーと不織布の両方ともがひずみを与えられていない状態でエラストマーを不織布に結合することにより製造される。その後、積層体は漸増的に伸縮され、伸縮特性が付与される。漸増的に伸縮された積層体は、積層体の回復しなかった(つまり、残っている)延伸性によってもたらされる程度までのみ伸縮可能である。例えば米国特許第5,156,793号では、エラストマーと不織布の積層体を不均一な態様で漸増的に伸縮して、得られた積層体に弾性を付与する方法が開示されている。これらの伸縮性積層体は前述された材料と同様の挙動を示し、すなわちそれらは着用者に大きさ又は形状を合わせる十分な能力を有さない。
【0006】
しかし、上述の全ての手法では、材料又は積層体は別々に製造され、それから吸収性物品に組み込まれる。例えば、本明細書に記載された伸縮性積層体は適当な大きさ及び形状に切断されてから、「カット−アンド−スリップ」プロセスと称されることがある方法において製品の所望の位置に取り付けられる場合がある。製品の要素が異なると、異なる伸縮特性が求められるため、異なる伸縮可能性を有する種々の積層体を製造し、積層体を異なる大きさ及び形状に切断することが必要である。いくつかのカット−アンド−スリップユニットが、伸縮性積層体の異なる伸縮可能性に対処し、及び製品の異なる位置にそれらを取り付けるために必要とされる場合がある。カット−アンド−スリップユニット及び/又は工程の数が増加するにつれて、プロセスは急速に厄介で複雑で高価なものになる。これらのプロセスは近年の吸収性物品製造には好適であり、望ましい。しかし、所望の大きさ合わせ及び/又は形合わせの特性を有するが、その特性をこのような複雑で高価な「カット−アンド−スリップ」プロセスを必要とせずに吸収性物品中、又は吸収性物品上に配置することができる吸収性物品を有することも望ましい。
【0007】
当業者によって用いられるカット−アンド−スリッププロセスに対する1つの代替法は、基材上にエラストマー組成物を印刷することである。代表的な開示としては、接着剤印刷プロセスを用いる吸収性物品の粘着性構成成分について議論している米国特許第6,531,027号、次の特性:弾性、融解粘度、組成物、形状、模様、アドオンレベル、のうちの少なくとも1つが異なっている第1及び第2のエラストマー組成物を基材上に印刷することについて議論しているPCT特許出願03/039420、及び衣類着用中の張力を与えるために延伸性基材上に弾性接着剤を印刷することについて議論しているPCT特許出願WO03/053308が挙げられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記に基づき、所望に応じて延伸することができ、しかしなお、着用時のフィット性を持続させることを容易にするために所望される程度の弾性を保持するような弾性特性を有する伸縮可能な材料を有する吸収性物品を有することが望ましい。吸収性物品又はその構成要素のいずれかの特定の範囲上にいずれかの所望な量だけ容易に配置することができるそのような材料を有することもまた望ましい。加えて、吸収性物品又はその構成要素の別個の離間された範囲に、印刷(グラビア、オフセット、凸版印刷及びスクリーン技術を包含)、押出成形コーティング、ロールコーティングなどのような既知の付着技術によって容易に配置することができる、弾性特性を有するこのような材料又は複合材料を有することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
当該技術分野における上述の必要性は、吸収性物品の特定の区域に対し所望の弾性指向性及び強度を提供する伸張領域を画定する予め定められた模様で配置された弾性特性を有する材料を有する吸収性物品を提供する本発明によって満たされる。このような指向性及び強度は、吸収性物品又はその構成要素の特定の領域又は区域のみに配置される熱可塑性エラストマーの量、配置、及び配向を制御することによって制御される。
【0010】
本発明の1つの態様によると、液体透水性トップシート、液体不透水性バックシート、及びそのトップシートとバックシートの間に配置される吸収性コアを含む吸収性物品が提供される。物品はまた、1以上の耳部又はサイドパネル、レッグカフ、及び締結具構成要素、弾性ベルトのような追加の要素も包含してよい。本発明の他の態様では、1以上の伸張領域を有する吸収性物品に使用される材料が提供され、ここでこの伸張領域は前記1以上の要素のうちの少なくとも一部を含んでいてよい。本発明の他の実施形態では、複数の伸張領域がそれらの列へと組み合わされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明によるおむつの平面図。
【図2】本発明による1以上の伸張領域又は列を配置された複数の区域を有するおむつシャーシを示している斜視図。
【図3】本発明によるプルオンおむつの斜視図。
【図4】図2のプルオンおむつの平面図。
【図5A】図3及び4に示されているプルオンおむつの断面図。
【図5B】図3及び4に示されているプルオンおむつの断面図
【図6A】おむつ耳部が種々の設計の伸張領域を有する本発明のおむつの実施形態。
【図6B】おむつ耳部が種々の設計の伸張領域を有する本発明のおむつの実施形態。
【図6C】おむつ耳部が種々の設計の伸張領域を有する本発明のおむつの実施形態。
【図6D】おむつ耳部が種々の設計の伸張領域を有する本発明のおむつの実施形態。
【図6E】おむつ耳部が種々の設計の伸張領域を有する本発明のおむつの実施形態。
【図6F】おむつ耳部が種々の設計の伸張領域を有する本発明のおむつの実施形態。
【図6G】おむつ耳部が種々の設計の伸張領域を有する本発明のおむつの実施形態。
【図6H】おむつ耳部が種々の設計の伸張領域を有する本発明のおむつの実施形態。
【図6I】おむつ耳部が種々の設計の伸張領域を有する本発明のおむつの実施形態。
【図7A】おむつに所望の弾性特性を付与するために伸張領域が耳部に及び吸収性アセンブリに沿って設けられている、本発明によるおむつの更に別の実施形態。
【図7B】おむつに所望の弾性特性を付与するために伸張領域が耳部に及び吸収性アセンブリに沿って設けられている、本発明によるおむつの更に別の実施形態。
【図8A】伸張領域が様々な場所に配置されて、着用者の快適さとフィット性を改善するために幾つかの代替の設計を提供しているおむつ。
【図8B】伸張領域が様々な場所に配置されて、着用者の快適さとフィット性を改善するために幾つかの代替の設計を提供しているおむつ。
【図8C】伸張領域が様々な場所に配置されて、着用者の快適さとフィット性を改善するために幾つかの代替の設計を提供しているおむつ。
【図8D】伸張領域が様々な場所に配置されて、着用者の快適さとフィット性を改善するために幾つかの代替の設計を提供しているおむつ。
【図9】伸張領域がおむつ耳部及び前方腰部部分に設けられている、本発明によるおむつの平面図。
【図10】おむつ耳部と少なくとも部分的な長手方向の合致が存在するように伸張領域が後方腰部部分に設けられている、本発明によるおむつの平面図。
【図11】本発明による前方股部部分に伸張領域を有するおむつの平面図。
【図12】脚部開口における所望の弾性特性を提供するために、おむつの横方向部分に沿って伸張領域が配置されているおむつの別の平面図。
【図13】伸張領域がトップシートに弾性を与えるために用いられているおむつの斜視図。
【図14】「有効ひずみ(available strain)」を示す代表的な応力−ひずみ曲線。
【発明を実施するための形態】
【0012】
定義
用語「使い捨て」は、本明細書では、洗濯する、ないしは別の方法で吸収性物品として復元するか再利用されることを一般に意図しない(即ち、一回の使用後に廃棄する、好ましくはリサイクルする、堆肥化する、ないしは環境に適合する方法で処理することを意図する)吸収性物品を説明するために使用される。
【0013】
本明細書で使用するとき、用語「配置される」とは、ある要素(単数又は複数)が特定の場所又は位置で他の要素と共に単一構造体として、又は別の要素に接合された別個の要素として形成(接合及び配置)されることを意味するために使用される。
【0014】
本明細書で使用するとき、用語「接合される」とは、ある要素を他の要素に直接取り付けることによりその要素に直接固定される構成と、ある要素を中間部材(単数又は複数)に取り付け、その中間部材が他の要素に取り付けられることにより他の要素に間接的に固定される構成とを包含する。
【0015】
「一体の」吸収性物品とは、共に合体した別個の部分から形成され、調和した統一体を形成し、別個のホルダ及びライナーのような別個の操作部分を必要としない吸収性物品を指す。
【0016】
本明細書で使用するとき、用語「おむつ」とは、一般に幼児及び失禁者により胴体下部の周囲で着用される吸収性物品を指す。
【0017】
「伸縮性の(stretch)」とは、材料が、少なくとも1つの寸法の方向において加えられる引張り力(すなわち張力)に曝された場合に、その少なくとも1つの寸法におけるそれの本来の長さを超えて延伸する能力を有することを意味する。「伸縮性(stretch)」は、一方向性、二方向性、又は多方向性であってよい。材料の具体的な「伸縮性(stretch)」特性は、伸縮ベクトルのいずれかに沿って変化してもよい。本明細書で使用する時、伸縮性は塑性及び弾性変形の両方を包含する。
【0018】
用語「弾性」又は「エラストマー性」とは、本明細書で使用する時、偏倚した力を加えられた時に、破裂又は破断を伴わずにそれの弛緩した本来の長さの少なくとも略125%の伸長された長さまで伸縮され、及びその加えられた力を解除したときにその伸長の少なくとも略40%を回復し、好ましくはその本来の長さの少なくとも60%を回復し、最も好ましくはその本来の長さの略80%を回復することができる、あらゆる材料を指す。
【0019】
本明細書において、「非弾性」という用語は、上記の「弾性」の定義に当てはまらないすべての材料を指す。
【0020】
本明細書で使用する時、弾性抵抗の用語とは、加えられた引張り力に抵抗する傾向を有し、それが備わっている材料に、伸縮力に対応して引張られない形状へと収縮する傾向を持たせるようにする、弾性力を表す。弾性抵抗は、下記の試験方法の項に記載される方法を使用して簡便に測定される。
【0021】
「長手方向」は、物品の最大の直線寸法に平行に走る方向であり、長手方向±45°内の方向を包含する。「横」又は「横断」方向は、長手方向に直交する。「Z方向」は、長手方向と横断方向の双方向に直交する。「X−Y平面」は、長手方向及び横断方向に相合する平面を指す。
【0022】
本明細書で使用するとき、用語「不透水性」は、一般に、1.0kPa以下の圧力でZ方向における厚さ全体を通して水性流体によって実質的に浸透されない物品及び/又は要素を指す。好ましくは、不透水性物品又は要素は、3.4kPa以下の圧力下で水性流体によって浸透されない。より好ましくは、不透水性物品又は要素は、6.8kPa以下の圧力下で流体によって浸透されない。不透水性でない物品又は要素は透水性である。
【0023】
用語「基材」とは本明細書で使用する時、単層又は多層を有する、フィルム、有孔フィルム、不織布ウェブ、織布ウェブ、発泡体、若しくはこれらの組み合わせを包含するあらゆる材料、又は、木材パルプ、誘導体化された若しくは変性されたセルロース材などを包含するセルロース材をいう。本明細書で使用するとき、「繊維性基材」という用語は、例えば不織布材料、織布材料、編材料及びそれらのいずれかの組み合わせを包含する、天然又は合成材料のいずれか又はそれらのあらゆる組み合わせであり得る、複数の繊維からなる材料を指す。
【0024】
用語「不織布」は本明細書で使用する時、連続フィラメント及び/又は不連続繊維から作製された布地を指す。不織布としては、短繊維をカーディングすること、短繊維をエアレイイング又は湿式レイイングすることにより、及びスパンボンド及びメルトブローンなどの押出しプロセスを介して、製造されるものが挙げられる。不織布は1以上の不織布層を含むことができ、各層は連続フィラメント又は不連続繊維を包含することができる。不織布はまた、バイコンポーネント繊維を含むことができ、これは、シェル/コア、サイドバイサイド、又は他の既知の繊維構造を有することができる。
【0025】
「伸張領域(stretch zone)」とは、弾性伸縮特性を有する吸収性物品の領域の一部を意味する。伸張領域は、物品の区域又は要素全体に渡って延在してもよく、複数の区域又は要素に渡って延在してもよいし、単に物品の1以上の区域又は要素の一部を構成してもよい。区域又は要素はまた、個々の伸張領域の列を含んでいてもよい。
【0026】
用語「力の線」とは、その材料の表面と実質的に平行であり、その材料内の2つの点、領域、又は要素を連結しており、及びこれらの2つの点、領域又は要素の間に張力がかけられたときにその張力の大部分を保持する、ウェブ材料又はそのようなウェブ材料を含む構造体を通る経路を表す。この用語はまた、単一の経路として効果的に振舞うのに十分に近い近接性、性質、及び方向を有する複数の経路にも適用される。経路の形状、幅、及び応力/ひずみ挙動は、その経路に隣接する範囲と比較してその経路中でより高い有効弾性率を生ずるように、所望される経路の位置及び方向におけるその材料の応力/ひずみ特性を改変することによって制御することができる。経路によって保持される張力の割合は、経路と隣接する材料との有効弾性率の差によって決まる。力の線は、本明細書に開示される伸縮性要素の幾何学的形状のいずれかによって規定され得ることを理解すべきである。
【0027】
好ましい実施形態
本発明の1つの態様によると、液体透水性トップシート、液体不透水性バックシート、及びそのトップシートとバックシートの間に配置される吸収性コアを含む吸収性物品が提供される。物品はまた、耳部又はサイドパネル、レッグカフ、締結具構成要素、及び/又はベルトなどであるがそれらに限定されない1以上の要素も具備してよい。本発明による吸収性物品には1以上の伸張領域を設けてもよい。ほとんどの場合、このような伸張領域は前述の要素の少なくとも一部を含むことになる。本発明の他の態様では、伸張領域は、エラストマー組成物を配置された基材を含む。エラストマー組成物は、伸張領域の少なくとも一部を伸長した場合に、その伸張領域に弾性抵抗を与える。本発明の好ましい実施形態では、エラストマー組成物は予め定められた幾何学的模様(すなわち形状及び配向)で基材上に配置されて、その要素の性能を高めるような態様でこのような弾性抵抗を与えるようにする。この模様は好ましくは、通常の模様のないデザインよりも、その伸張領域が、物品を着用者へ適用することによって引き起こされる固定荷重及び引張り力をより効果的に保持できるようにし、並びに/又は着用者の動き、及び/若しくは物品の重量若しくは物品の排泄内容物の重量に適応できるようにする。
【0028】
好適には、本発明による吸収性物品は、少なくとも1つの伸張領域を含んでいる必要があり、この伸張領域は、基材に少なくとも部分的に浸透するようにその基材上に配置されたエラストマー組成物を含む。伸張領域の範囲は、エラストマー組成物によって被覆された基材の少なくとも一部を含む。典型的に、このような伸張領域は以下の特性を有する:(1)少なくとも、略0.05N/cm、好ましくは0.05N/cm〜略50N/cm、より好ましくは略0.05N/cm〜略40N/cm、及び最も好ましくは0.25N/cm〜略30N/cmの弾性抵抗(すなわち25%ひずみにおける荷重);(2)略15%未満、好ましくは略12%未満、より好ましくは略10%未満の残留ひずみパーセント(percent set);及び(3)略40%未満、好ましくは略30%未満、より好ましくは略25%未満の応力緩和値。これらの特性の測定方法は下記の試験方法の項に記載される。
【0029】
一部の実施形態では、吸収性物品は、伸張領域の列を与えるように関連された伸張領域を含んでいてもよい。このような列は、吸収性物品の1つの区域又は要素上にのみ配置されてもよく、又は2つ以上の区域又は要素に渡って延長されてもよい。列は交差する又は交差しない伸張領域を含むことができる。また、列の伸張領域は、互いに平行であることも、互いに対してゼロではない角度を形成していることもできる。列の伸張領域が交差していない場合、個々の伸張領域を切り離して、それらの特性を測定してよい。しかし、伸張領域が1つの列内で交差しているとき、個々の伸張領域を分離することはできない。このような場合、列は下記の試験方法の項で記載するようにサンプリングして評価しなければならない。
【0030】
好適なエラストマー組成物には、スチレンブロックコポリマー、メタロセン触媒のポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテルアミド、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される熱可塑性エラストマーが含まれる。好適なスチレンブロックコポリマーは、少なくとも1つのスチレンブロックを有する二元ブロック、三元ブロック、四元ブロック、又はその他の多元ブロックコポリマーであってもよい。代表的なスチレンブロックコポリマーには、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンなどが挙げられる。市販されているスチレンブロックコポリマーには、シェル・ケミカル社(Shell Chemical Company)(テキサス州ヒューストン(Houston))からのクレイトン(KRATON)(登録商標);クラレ・アメリカ社(Kuraray America, Inc.)(ニューヨーク州ニューヨーク)からのセプトン(SEPTON)(登録商標);デキスコ・ケミカル社(Dexco Chemical Company)(テキサス州ヒューストン)からのベクトル(VECTOR)(登録商標)が挙げられる。市販されているメタロセン触媒によるポリオレフィンとしては、エクソン・ケミカル社(Exxon Chemical Company)(テキサス州ベイタウン(Baytown))からのエクスポール(EXXPOL)(登録商標)及びイグザクト(EXACT)(登録商標);ダウ・ケミカル社(Dow Chemical Company)(ミシガン州ミッドランド(Midland))からのアフィニティ(AFFINITY)(登録商標)及びエンゲージ(ENGAGE)(登録商標)が挙げられる。市販のポリウレタンとしては、ノベオン社(Noveon, Inc.)(オハイオ州クリーブランド(Cleveland))からのエスタン(ESTANE)(登録商標)が挙げられる。市販のポリエーテルアミドとしては、アトフィナ・ケミカルズ(Atofina Chemicals)(ペンシルバニア州フィラデルフィア(Philadelphia))からのペバックス(PEBAX)(登録商標)が挙げられる。市販のポリエステルとしては、E.I.デュポン・ド・ヌムール(E. I. DuPont de Nemours Co.)(デラウェア州ウィルミントン(Wilmington))からのハイトレル(HYTREL)(登録商標)が挙げられる。
【0031】
エラストマー組成物は、組成物の融解粘度を所望の範囲に調整するために、更に加工助剤及び/又は加工オイルを含んでいてもよい。それらには、鉱物油などの従来の加工オイル、並びにパラフィン系オイル、ナフテン系オイル、ワセリン、微晶性ワックス、パラフィン又はイソパラフィンワックスなど、他の石油由来のオイル及びワックスが挙げられる。フィッシャー−トロプシュワックス(Fischer-Tropsch wax)などの合成ワックス;鯨蝋、カルナウバ、オゾケライト、蜜蝋、キャンデリラ、パラフィン、セレシン、エスパルト、オリキュリ、レゾワックスなどの天然ワックス、及びその他の既知の採掘蝋及び地蝋も本明細書に用いられるのに好適である。オレフィン又はジエンオリゴマーや低分子量ポリマーも本明細書で使用してよい。オリゴマーは、略350〜略8000の重量平均分子量を有するポリプロピレン、ポリブチレン、水素添加イソプレン、水素添加ブタジエンなどであってもよい。
【0032】
本発明の重要な態様では、エラストマー組成物は粘着付与剤を実質的に含まない。粘着付与剤は、その粘着特性(例えば剥離力)を増加させるように粘着剤組成物に添加される構成成分として、接着剤の分野で周知である。このことは重要な利益を提供するが、それは、粘着付与剤が粘着性材料の粘性を増加させることに加えて、組成物中のいずれかのポリマーに対する可塑剤として作用し、結果として粘着付与剤の存在による引張り特性の減少をもたらすという理由による。エラストマー組成物の好ましい実施形態は、同時継続米国特許出願60/557,272(デサイ(Desai)ら、2004年3月29日出願、名称「エラストマー組成物の凸版印刷(Letterpress Application of Elastomeric Compositions)」(P&Gケース番号9592P))に記載の方法を用いた、標準的な基材(マックマスター・カー(McMaster Carr)(オハイオ州クリーブランド(Cleveland))からの304ステンレススチール#2B仕上げ)に対する剥離力が、非常に低い。好適なエラストマー組成物は、前述した出願において記載される方法を用いて評価した場合に、略3N/cm未満、より好ましくは略2N/cm未満、更により好ましくは略1N/cm未満、最も好ましくは略0.8N/cm未満の剥離力を有する。
【0033】
1つの実施形態では、相変化溶媒をエラストマー組成物に組み込んで融解粘度を下げ、組成物の弾性特性や機械的性質を実質的に損なうことなく、組成物を175℃以下の温度で加工可能にすることができる。相変化溶媒の詳細な開示は、米国特許出願10/429,432に見出すことができる。あるいは、エラストマー組成物はまた、上記の熱可塑性エラストマーの低分子量エラストマー及び/又はエラストマー前駆体、並びに任意に架橋剤、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。低分子量エラストマー又はエラストマー前駆体の重量平均分子量は、略45,000〜略150,000である。
【0034】
本明細書に用いられるのに好適なエラストマー組成物は、追加処理をしなくても弾性があり、沸点が150℃未満の揮発性溶媒をいずれも包含しないものである。
【0035】
特定の実施形態では、エラストマー組成物は、その弾性、及び強度、弾性率などの他の特性を改善し又は向上させるように、そのエラストマー組成物が基材に付着された後の後処理工程によって活性化される前駆体構成成分を包含してもよい。例えば、少なくとも1つの硬質ブロック及び少なくとも1つの軟質ブロック、マクロ光開始剤、加工オイル及び任意で熱可塑性ポリマー及び/又は架橋剤を有するエラストマーブロックコポリマーを含む、同時継続米国特許出願10/610605(アシュラフら、2003年7月1日出願)に記載されている熱可塑性エラストマーは、このような前駆体構成成分を含有する。典型的に、後処理としては、乾燥、架橋、硬化、又は化学的、熱的、照射手段(例えば、紫外線照射又は電子ビーム照射)による重合及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0036】
特定の好ましい実施形態では、伸張領域又は伸張領域の列は、1以上のエラストマー組成物を含んでいてよい。このような実施形態では、第1の組成物は次のもののうち少なくとも1つを有する:伸張領域又は伸張領域の列上に配置されるあらゆる他のエラストマー組成物よりも大きな弾性抵抗、伸張領域又は伸張領域の列上に配置されたあらゆる他のエラストマー組成物と比較した場合に低減された残留ひずみ(set)、及び低減された応力緩和。あるいは、伸張領域の列の特定の部分が、第1のエラストマー組成物を含み、及び他の部分が1以上の異なる組成物を含んでいてもよい。
【0037】
基材は、エラストマー組成物の付着のための連続した媒質を提供し、伸張領域の最終的強度の少なくとも一部に寄与している。連続した媒質は、例えば、実施形態が離間された伸張領域を有する列を含む実施形態に関して重要である。特定の実施形態(例えば、繊維性基材によって提供されるようなもの)では、基材はさらに、着用者をより快適にするための柔軟で布地に似た肌触りを提供することができる。好適な基材材料としては、当該技術分野で既知のような、フィルム、有孔フィルム、発泡体、編地、織布繊維ウェブ、又は不織布繊維ウェブが挙げられるがこれらに限定されない。一部の実施形態では、基材は、ポリエチレン、又はポリプロピレンなどのポリオレフィン繊維又はフィラメントで製造された延伸性がある不織布ウェブである。基材材料は、弾性又は非弾性、延伸性又は非延伸性、伸縮可能性又は非伸縮可能性であってよい。好ましい基材は、後述するように熱可塑性エラストマーの基材中への浸透を促進する3次元モルホロジー(すなわち、繊維、突起、穴等の間の空隙による)を有する。
【0038】
好適なエラストマー組成物は好ましくは、基材中への少なくとも部分的な浸透をもたらすことができる流体又は流体に似た状態で基材に適用される。このような部分的な浸透は、複合物がその後の加工工程、輸送、及び物品の着用サイクルを通して損傷されずに保たれるように、結果として生ずるエラストマー組成物と基材との間に付着を与えるのに十分でなければならない。好ましくは、エラストマー組成物は、単にその後の加工及び物品の使用中に所望の強度を与えるのに十分であるだけ浸透すればよい。例えば、基材が繊維性基材である場合、そのような強度を与えるためには略1又は2繊維直径の深さまでエラストマー組成物が浸透すれば十分であると考えられる。基材への付着時に熱可塑性エラストマーの基材への十分な浸透を達成するための手段としては、他の機構もあるが、基材マトリックス中へのエラストマーの吸収、基材の厚さの全て又は一部を通した浸透、基材からの3次元突出部の取り込み又は捕捉(すなわち、基材と組成物との絡み合い)、基材中の穴の浸透、基材の3次元表面の湿潤などが挙げられる。
【0039】
このような部分的な浸透を促進するために、エラストマー組成物は好適には、米国特許出願公開2003/0091807A1(published US Pat. Application No. 2003/0091807A1)に開示された方法により、175℃、5%ひずみ及び剪断速度1s1において略1〜略1000Pa・sの融解粘度を有する。好ましくは、融解粘度は略5〜略500Pa・s、より好ましくは略10〜略400Pa・sである。このようなエラストマー組成物は、典型的な溶融押出成形及び/又は繊維紡糸プロセスよりも低粘度及び/又は低温において作用する適用工程において使用するのに好適である。
【0040】
エラストマー組成物は、略5〜略200g/m2、好ましくは略20〜略150g/m2、より好ましくは略50〜略100g/m2の総アドオンレベルを達成するように伸張領域に適用されてよい。
【0041】
伸張領域の列は、その区域の合計の表面積の略5%〜略90%、好ましくは略10%〜略60%、より好ましくは略20%〜略40%の範囲の、エラストマー組成物によって被覆されていない空き面積を有していてもよい。認識されるように、必要とされる空き面積は、その列が配置されている細部又は区域若しくは要素によって決まる。エラストマー組成物の選択的な付着は好ましくは、それ以外のフィルム又はシートを使用する従来の積層技術によって必要とされるよりも少ない材料を使用する。エラストマー組成物の選択的付着と組み合わされる繊維性基材は、繊維性ウェブ層及びフィルム又はシート層を含有する積層体よりも結果として低い坪量と高い通気性を有する複合物を提供することができる。
【0042】
認識されるように、本明細書に記載される伸張領域はまた、当該技術分野で記載される伸縮性要素と組み合わせて使用されてもよい(このような伸縮性要素としては、弾性のある(elasticized)腰部、弾性のあるベルト、耳部、サイドパネル、レッグカフ、又は締結具構成要素が挙げられるがこれらに限定されない。このような要素(features)の議論に関しては下記の、本発明の全ての実施形態に対して適用可能なおむつ構成要素の説明の項を参照のこと)。認識されるように、本発明の伸張領域を当該技術分野の伸縮性要素(features)と組み合わせることで、いずれの手法もそれ自身単独では提供し得ない利益を提供する場合がある。例えば、エラストマーフィルムは、米国特許第6,303,208号に記載されるようなエラストマー性の通気性3次元複合材料を用いて形成される伸縮性要素に第1レベルの弾性抵抗を与えることができ、伸縮性要素の部分が、その伸縮性要素上の予め規定された位置における弾性抵抗を高めるために本発明の伸張領域を含むことができる。同様の構造体はまた、エラストマーフィルムを1以上のエラストマーストランド又は繊維で置き換えてそこに本発明による伸張領域を設けることによっても製造することができる。
【0043】
図1を参照すると、開いた形式の形態の吸収性物品又はテープ付きおむつ10が示されている。図1〜3はおむつを示しているが、本発明はまた、着用者の骨格の少なくとも一部を取り囲む若しくは囲う又は他の態様で着用者に装着される月経用製品及び大人用の失禁製品などの他の着用可能な吸収性物品をも企図しているということを理解すべきである。おむつ10は、この説明のための参考の骨格として長手方向中心線12及び横方向中心線14を有する。おむつ10は、1対の対向する終縁部16及び18、1対の対向する側縁部20及び22、後方腰部区域24、前方腰部区域26、前記前方及び後方腰部区域、それぞれ26及び24の中間に配置された股部区域28、並びに1対の脚部区域30及び32を有していてよい。これらの様々な区域の正確なサイズはおむつ10のサイズによって変化するが、概して言えば股部区域28、前方腰部区域26、及び後方腰部区域24は長手方向中心線12に沿った等しい3分の1の部分に相当する。脚部区域30及び32は概ね股部区域28でのおむつ10の幅に渡って4分の1の面積に相当し、股部区域28自体はおむつの10の幅の残る中央部4分の2すなわち2分の1に相当する。
【0044】
おむつ10はまた、全体として前方腰部区域26及び/又は後方腰部区域24において側縁部20、22の横方向外側寄りに配置された1以上の耳部又はサイドパネル34、36、38、及び40を含んでいてもよい。閉鎖可能なおむつ10では、少なくとも1つの締結要素42がサイドパネル34及び36のうちの1以上の上に配置され、長手方向に対向する前方サイドパネル38及び40の少なくとも一部又は前方腰部区域26の外側表面若しくはその構成要素の一部に固着されるようになされている。付随の締結要素44が、機械的締結具46を露出するために後方に折り畳まれた形状で示されており、この締結具46は3M又はベルクロ・インダストリーズ(Velcro Industries)から市販されているフック・ループ式締結システム用のフックとして示されている。締結要素44は、おむつ10の外側表面上に位置するランディング領域27において具現されるループ材に係合することが可能であってよい。
【0045】
区域24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、又は44のうちいずれかの1以上が、本発明による所望の弾性を提供するために必要とされることのあるような伸張領域又は伸張領域の列を含んでいてよい。この方法では、おむつ10は適用時に特定の着用者の骨格に適応するように構成され、着用している間その着用者の骨格との整合を維持するのが好ましい場合がある(すなわち、弛みが最小限の状態でフィット性が同じ状態に保たれて、持続したフィット性を達成しなければならない)。おむつ10のいずれの区域も伸張領域又は伸張領域の列を包含してよい。前方腰部区域26及び/若しくは後方腰部区域24並びに/又はサイドパネル区域34、36、38、及び/若しくは40は好ましくは、広範囲の着用者の腰部寸法に適合する(すなわちより広いフィット範囲を提供する)ために、並びに/又は着用者の腰周りに十分な張力を与えるために、熱可塑性エラストマーの少なくとも1つの伸張領域を包含している。このことは、おむつ10を着用者の骨格に対して固定してそれにより持続したフィット性を与えるように、着用者の皮膚に十分な垂直力を与える。
【0046】
各伸張領域は、いずれかの方向において連続した又は非連続の特性を有していてよく、ここで変化する特性としては、化学的組成、弾性、延伸性、最大伸長、他の応力/ひずみ特性、ベクトル若しくは角度、坪量、幾何学的形状、寸法、3次元モルホロジー、視覚的弁別性などが挙げられる。伸張領域は連続した特性を有していてもよい(例えば、エラストマー組成物、基材物質、処理等が比較的均質な特性を有することに起因して)。あるいは、伸張領域は、そこに不均質な特性を与えたがゆえに非連続な特性を有していてもよい。列は同じ又は異なる特性を有する伸張領域を含んでいてよい。好適な伸張領域の列としては、下記で更に詳細に記載するように、複数の真っ直ぐな若しくは湾曲した線又は帯、直線形状、曲線形状、他の規則的な若しくは不規則な幾何学的形状、及びこれらの組み合わせが挙げられる。2つの伸張領域は、長手方向に分離されていても又は隣接していてもよく、横方向に分離されていても隣接していてもよく、或いは伸張領域はこのような列中で少なくとも部分的に重なり合っていてもよい。1つの列内では、個々の伸張領域は、特性、幾何学的形状、相対的配向、間隙、又は弾性若しくは延伸性が異なっていてもよい。特定の実施形態では、少なくとも1つの伸張領域の少なくとも一部は視覚的に区別されてよい。伸張領域は他の弾性の、延伸性の、又は非延伸性の材料、例えばフィルム、ウェブ、ストランドなどと組み合わされて積層体を形成してもよい。
【0047】
伸張領域の列を含む代表的なおむつシャーシは、図2に示されるようなおむつシャーシ250である。おむつシャーシ250は、液体不透水性バックシート及び不織布材料で作製された外側カバーを包含してもよい。他のシャーシ構成要素を包含していてもよいが、本発明の伸張領域の列を明確に示すために図示されていない。一実施形態では、標準的な液体不透水性バックシート材料上に熱可塑性エラストマーが、区域252、254、256、258、及び260に伸張領域の異なる列を作るような態様で配置されていてもよい。一例として、区域252における列は第1の熱可塑性エラストマー組成物を含んでいてもよく、一方、区域254、256、258、及び/又は260における列は異なる組成物を含むか、又は異なる形状(厚さ、幅、模様等)で配置された第1の組成物を含んでいてよい。着用時のフィット性を高めるための特定の場合には、種々の伸張領域の特性が対称であり、すなわち区域252と260上での列が同様の特性を有し、区域254と258中の列もまた同様の特性を有するが、区域256中の列は第3の弾性特性の型を有する。しかし、このことは必要ではなく、区域252、254、256、258、及び260における個々の列は、本発明の範囲から逸脱することなく、個々に、並びに弾性特性、大きさ、形状、及び組成物の点で広範に変化してもよい。
【0048】
ここで、パンツ370を示す図3、4、及び5A〜Bが参照される。用語「パンツ」は本明細書で使用する時、乳幼児又は成人の着用者のために設計された腰部開口及び脚部開口を有する使い捨て衣類を指す。パンツは、物品の部分を再締結可能な及び/又は再締結可能ではない結合材(例えば、縫い目、溶接、接着剤、粘着性結合材、締結具等)を用いて互いに接合することが挙げられるがこれに限定されないいずれかの好適な技術によって予備形成されてよい。パンツは物品の周囲に沿ったいずれかの位置で予備形成されてよい(例えば、側部締結、前方腰部締結)。本明細書では用語「パンツ」が用いられるが、パンツはまた通常「閉じたおむつ」、「前もって締結されたおむつ」、「プルオンおむつ」、「トレーニングパンツ」、及び「おむつパンツ」とも言われる。好適なパンツは、米国特許第5,246,433号、米国特許第5,569,234号、米国特許第6,120,487号、米国特許第6,120,489号、米国特許第4,940,464号、米国特許第5,092,861号、米国特許出願10/171,249(US Patent Application Serial No. 10/171,249)、名称「高度に柔軟な及び低変形性の締結装置(Highly Flexible And Low Deformation Fastening Device)」(2002年6月13日出願);米国特許第5,897,545号、米国特許第5,957,908号に開示されている。
【0049】
パンツ370は、所望の弾性特性を付与してそれが容易に達成できるようにし及びより良好なフィット性と快適さを持続できるようにするために、伸張領域を包含していてよい。おむつ10と同様に、伸張領域はパンツ370上のどこに包含されていてもよい。図3はパンツ370の斜視図であり、図4はパンツ370の平面図を示している。これらに示されているように、パンツ370は、長手方向中心線360、横方向中心線362、前方腰部区域364(前方腰部縁部365に隣接)、股部区域366、及び後方腰部区域368(後方腰部縁部369に隣接)を有している。図5A〜Bで最も明確に分かるように、パンツ370は、液体透水性トップシート372、液体不透水性バックシート374、及びそのトップシート372とバックシート374の間に配置された吸収性コア376を包含する吸収性アセンブリを具備していてよい。外側カバー378(典型的には不織布を含む)がパンツ370の外側表面上に配置されている。2対のサイドパネル380、382及び384、386が前方腰部区域364及び後方腰部区域368において外側カバー378に付着され、この外側カバーが今度は吸収性アセンブリのバックシート374に付着されて着用者のための1対の脚部開口及び腰部開口を形成するようになされている。好ましくは、伸張領域の範囲はサイドパネル380、382、384、及び/又は386の少なくとも1つに配置されている。パンツ370の伸張領域はまた、腰部区域364、366、バリアレッグカフ388及び390を含んでいてもよい。例えば,脚部弾性体392、394、及び/又はバリアレッグカフ弾性体396、398のどちらか又は両方がエラストマー組成物を含むことができ、この場合この組成物は、図5A及び5Bに示された要素(features)の1つに伸張領域を形成するように基材上に配置される。
【0050】
ベルト構造体(図示せず)もまた本発明の伸張領域を含んでいてもよい。こうした代替の構造体の1つは、耳部及び/又はサイドパネル、並びに腰部機能の少なくとも一部を含む。別の代替のベルト構造体では、例えば、1以上の横方向に配向された伸張領域(又はそれらの列)を前方及び後方腰部縁部365、369に隣接して付着させることによって、着用者の腰を完全に取り囲むベルト(すなわち360度ベルト)が形成されて、着用者の腰の周りに張力の帯を形成するようにしてもよい。こうした伸張領域はまた、図7A、7B、及び8A〜Dに示されているものを含むこともできる。
【0051】
閉鎖可能である開いた、又はテープ付きのおむつ612のための種々のサイドパネル604、606、608、610が示されている図6A〜Iを参照する。認識されるように、サイドパネル604、606、608、610はそれぞれ、長手方向中心線650に対して予め規定された角度で(通常は平行に)配置された内側縁部634、636、638、及び640を有している。本明細書で記載されるサイドパネル604、606、608、及び610は、おむつ10若しくは250又はパンツ370の図1〜4で記載したサイドパネル又は耳部のいずれとも、及び図6B〜6Iのサイドパネル605、607、609、611、613、615、617、及び619のいずれとも交換可能であることを理解すべきである。伸張領域の矢印614、616はおむつの典型的なサイドパネルの望ましい代表的な力のベクトルを示すために図示されている。おむつ612の区域における所与の伸張領域のサイズは、その伸張領域の機能及びおむつ612のその所与の区域における所望の張力/延伸ベクトル614、616によって決まる。各伸張領域は、それが主に配置されるおむつ612の区域よりも小さくても、又は大きくてもよい。所与の伸張領域はまた、おむつ612の他の区域と重なり合っていてもよい。
【0052】
図6B〜6Iを参照すると、サイドパネル605の種々の線状の伸張領域618は、一般に略2mm未満の及び典型的には略1mm未満の幅を有する線又はストランドとして構成されていてよい。線状の伸張領域618はまた、一般に略2mm〜略40mmの幅及び略2:1〜略100:1の範囲の縦横比を有するバンドとして構成されてもよい。線状の伸張領域618はまた、横方向中心線651(図6B及び6F)に対して角度をつけて配置されていてもよい。好ましい角度は0±70°の範囲である。主に横方向の配向を有する伸張領域は一般に、全体として長手方向の配向を有するものよりも幅が広く高い弾性率を有する。湾曲した伸張領域620は長手方向中心線650若しくは横方向中心線651又は両方に対して凹型又は凸型のいずれであってもよく、略1mmよりも大きな、好ましくは略10mmよりも大きな、より好ましくは略50mmよりも大きな曲率半径を有していてもよい。曲率は任意に、伸張領域620の長さ又は「経路」上で変動可能であってもよい。典型的には、伸張領域618及び/又は620の厚さは略0.02mm〜略5mmの範囲であってもよく、坪量は略20g/m2〜略300g/m2の範囲である。
【0053】
本発明の更なる代表的な実施形態は、サイドパネル607を有する図6C、サイドパネル609を有する図6D、サイドパネル611を有する図6E、サイドパネル613を有する図6F、サイドパネル615を有する図6G、サイドパネル617を有する図6H、及びサイドパネル619を有する図6Iに示されている。サイドパネル609、611、613、615、617、619のすべては前述したおむつ10又はパンツ370のおむつシャーシと一体であっても別個に取り付けられていてもよい。また伸張領域618及び620の全ては本明細書に記載されるようなエラストマー組成物を含む。図6D〜6Iは、本発明の他の所望の弾性特性を付与するために締結要素624の一部に適用されるか又は締結要素の一部として形成された追加の伸張領域622を示している。
【0054】
あるいは、伸張領域618、620のうちの1以上であるが全てではないものが、その伸張領域618、620の残りのものを形成するのに用いられる組成物とは異なるエラストマー組成物を含んでいてもよい。例えば、図6B及び6Cを参照すると、伸張領域618の残りのものの長手方向外側寄り(すなわち、後方腰部端部635に近い方)にある特定の伸張領域618は、着用者の腰の周りにより大きな弾性抵抗を与えるようにより高い弾性率を有するエラストマー組成物を含んでいてもよい。別法では(図6B)、伸張領域618が第1のエラストマー組成物を含んでいてもよく、及び伸張領域620が第2のエラストマー組成物を含んでいてもよい。この場合もまた、伸張領域618は伸張領域620の長手方向外側寄りにある。
【0055】
あるいは,線状の伸張領域618若しくは湾曲した伸張領域620又はそれらの両方の列は、らせん状の又は重なり合った若しくは絡み合った構成、例えば斜交平行列を含んでもよい。好適な伸張領域の形状(図示せず)としては、矩形、円形、楕円、菱形、三角形、平行四辺形、台形、くさび形、若しくは他の円又は楕円の部分、他の多角形、又は他の不規則な囲まれた形状が挙げられる。
【0056】
伸張領域の列の特定の好ましい実施形態の1つが図6Iに示されており、ここではサイドパネル619が1対の斜交平行列625、627を含む。この図に示されているように、列625、627の両方が重なり合う斜交平行模様の複数の線状伸張領域618を含み、この際個々の伸張領域618が主に横方向の配向又は主に長手方向の配向のいずれかを有する。本明細書で認識され及び記載されるように、伸張領域618はまた、中心線に対して0°又は90°以外の角度をもつこともできる。
【0057】
図6Iに示されているサイドパネル619の一実施形態では、列625は列627とは異なる機械的性質を有する。特に、第1の列625は第2の列625よりも低い有効ひずみ(available strain)を有する。本明細書で使用する時、「有効ひずみ(available strain)」とは、加えられた伸長に対応する弾性抵抗力の急激な増加が存在する時点でのひずみである。典型的には、加えられた伸長が、抵抗力の有意な部分が基材によって伸張領域に与えられる点に到達した場合に、このような変化が起こる。加えられた伸長が有効ひずみ(available strain)よりも小さな時には、弾性抵抗力は実質的にエラストマー組成物によって伸張領域に与えられる。この有効ひずみ(available strain)の違いは、列627が、着用者の脚の動きの全ての範囲に対して適応するために広範囲まで伸長することができなければならないという理由による。同様に、第1の列625は第2の列627とは異なる弾性抵抗を有する。好適には、列625は、25%のひずみにおいて略0.05N/cm〜略50N/cm、好ましくは略0.1N/cm〜略40N/cm、より好ましくは略1N/cm〜略30N/cmの弾性抵抗を有する。列625の25%伸長における弾性抵抗と列627の25%伸長における弾性抵抗との比は、好適には略1.25:1よりも大きく、好ましくは略1.5:1よりも大きく、より好ましくは略2.0:1〜略6.0:1である。列625と列627の有効ひずみ(available strain)の差は、好適には少なくとも略25%(すなわち、列625が略25%の有効ひずみを有する場合には、列627の有効ひずみは少なくとも略50%である)、好ましくはその差は少なくとも略50%である。
【0058】
図7A及び7Bを参照すると、おむつ10と類似したおむつであって、長手方向中心線738、横方向中心線739、後方腰部端部735及び前方腰部端部737を有するおむつ730が図示されており、ここで、サイドパネル732、733の腰部及び大腿部は好ましくは、図示されているような張力及び/又は角度が違っている異なる伸張領域734及び736を含む。好ましくは、おむつ730の後方腰部端部735に近いサイドパネルの伸張領域734は、横方向中心線739から略0〜略−50°、より好ましくは横方向中心線739から略−5°〜略−40°の角度に配向されていてよい。好ましくは、伸張領域736は、横方向中心線739から略0〜略+70°、より好ましくは横方向中心線739から略+20°〜略+60°の角度に配向されていてよい。1つの好ましいサイドパネル732の伸張領域の実施形態は、横方向中心線739から略−10°〜略−20°に配向された伸張領域734及び横方向中心線739から略+20°〜+50°に配向された伸張領域736を包含する。
【0059】
特定の好ましい実施形態では、レッグカフ弾性体の効果的な延伸を与えるため、サイドパネルの伸張領域736のうちの少なくとも1つが、外側レッグカフ弾性体740、742の端部と合致してもよく、それにより図7Bに示された伸張領域736と740、742との組み合わせで着用者の脚を取り囲む。すなわち、外側レッグカフ弾性体740、742及びサイドパネル伸張領域が協働して、着用者の脚を取り囲むために実質的に連続した力の線を与える。
【0060】
他の好ましい実施形態では、後方腰部端部735又は前方腰部端部737に隣接した腰部区域のうちの少なくとも1つがまた、1以上の腰部伸張領域744、745、746、747を備えている。このような実施形態では、着用者の腰を取り囲む実質的に連続した力の線を与えるように、腰部伸張領域744、745、746、747、が後方腰部端部735に隣接して配置された耳部伸張領域734と合致していてもよい。おむつ730の設計によっては、こうした力の線は着用者の動きの少ない領域に対して追随してもよく(下記参照)、又は着用者の骨格の別の部分と並置されながら腰を取り囲んでもよい。
【0061】
サイドパネル732の具体的な構造、組成、若しくは形状、又は伸縮特性にかかわらず、腰部及び大腿部の伸張領域734及び736は好ましくは互いに対して実質的に独立して機能することができる。特定の実施形態は、脚部と大腿部の間の遷移部、すなわち「遷移領域」として機能する追加のサイドパネル伸張領域(図示せず)を包含していてもよい。遷移領域は、脚部又は腰部領域のどちらともはっきりと異なる伸縮特性を有し(又は全く弾性ではない場合もある)、及び脚部及び腰部パネルによって引き起こされる変形を切り離し又は分離するように機能して、それらが互いに相互作用することなく独立して作用できるようにしてもよい。サイドパネル遷移領域を含む実施形態では、遷移領域は実質的に延伸性があって、サイドパネルの腰部と大腿部の間の独立した作用を更に促進し、一方ではなお着用者によって着用されている時に腰部領域と大腿部領域との相対的な動きに適応するのに十分な伸縮性をも提供し、遷移区域の座屈及び/又は折り畳みを抑制するのに役立ってもよい。
【0062】
図8A〜Dを参照すると、おむつ830の腰部区域に、伸張領域851の少なくとも1つの列850が包含されていてもよい。伸張領域851の列850は、類似の又は異なる程度の弾性又は延伸性を有していてよく、いかなる幾何学的形状又は配向を想定してもよい。例えば、図8Aでは、伸張領域851の列850がおむつ830の腰部端部835に配置されており、一方図8Bは、列850が腰部端部835から離れている別の実施形態を示している。図8Cの着用者852の部分的側面図に示されているように、全体的に列850下方後方腰部範囲に配置させるが好ましい場合がある。この様式では、物品によって着用者の体の臀部の凸面(すなわち「臀部の棚(buttocks shelf)」)に、又はその直ぐ上に張力が加えられて、物品の全体的な固定能力(すなわち、それの弛みに抵抗する能力)に寄与するので、着用者852によって最大限のフィット性及び快適さが経験されることになる。前記の別法では、列850及び伸張領域862、864、866、868、及び870(図8Dに図示)が協働して、おむつ830を動きの少ない領域853(すなわち、着用者の体852のヒップの上の背中の腰部湾曲を腹部のひだの下に連結する線又は領域)に関して最適なフィット性を与える構成に維持して、その性能を最大限にする。動きの少ない領域の更に詳細な説明に関しては、米国特許第5,358,500号を参照のこと。
【0063】
図8Dのおむつ830の部分平面図に示されているような特定の好ましい実施形態では、列850は腰部端部835と一致した高度に局部的な弾性抵抗を有する1以上の伸張領域854(すなわち、「張力の大きな」伸張領域854)を含んでいる。張力の大きな伸張領域854は腰部端部835と隣接していてもよく、又はその内側寄りに配置されていてもよい。典型的には、張力の大きな伸張領域854はおむつ830の腰部端部835から略0〜30mmに配置されている。好ましくは、張力の大きな伸張領域854は腰部端部835から略20mm未満に配置されている。概して言えば、張力の大きな伸張領域854の列850は着用者852の体の臀部858の上方湾曲部の直ぐ上又はその上方湾曲部での範囲856に対応してよく、この場所ではこの張力の大きな伸張領域854は、臀部858によって作られる幾何学的な「棚(shelf)」に垂直力を加えることによって、おむつ830に対し追加の固定能力を与えるように機能する。張力の大きな伸張領域854は更に、おむつ830の腰部端部835を着用者の背中860に対接して保持し、腰部の背面の隙間を防ぐ。
【0064】
おむつ830の腰部端部835に又はその近くに、及び物品の後方腰部及び股部の複数の区域に渡って延在している伸張領域854の列850を含む実施形態では、腰部端部835の残りの範囲は、低い弾性抵抗を有していてもよく、主として延伸性があってもよく、あるいはどちらかの特性を有する範囲を含んでいてもよい。いずれの場合も、この腰部端部835の範囲(すなわち、伸張領域850又は854を包含しない範囲)は張力の小さな領域であってよい。
【0065】
再び図8Dを参照すると、伸張領域862はサイドパネル832及び833の近位縁、それぞれ864及び866と実質的に平行であってもよい。任意で、遷移性の伸張領域868及び870が伸張領域854と868、870との中間に配置されていてもよい。伸張領域854は主要な固定機能を提供してもよく、伸張領域862、868及び870は動的な脚の動きに適合する機能を提供してもよい。伸張領域854、868及び870の全てが弾性抵抗を与えるが、本発明は、固定及び動きに適合する機能の様々な必要性を満たすために程度及び方向の両方においてこのような力を調整することを可能にする。再び図8Cを参照すると、好ましくは、着用者の臀部858を覆っている区域は、着用者852の脚の間にあるときにその臀部に十分な被覆を与え、着用者852の体型に適合し、おむつ830の股部と腰部端部835の区域の間の遷移区域(図8A、B、及びD)における応力を解放するように、少なくとも1つの延伸性のある伸張領域を含む。前述したように、サイドパネル832及び833は、異なる機能を有する別個の伸張領域854、862、868、及び870を含んでいてよく、伸張領域全体に渡って異なる特性を有する単一の伸縮性要素であるか、又は伸張領域854、862、868、及び870の間にスリット、穴、又は他の変形のような物理的図形を有していてもよい。しかし、伸張領域854及び862は好ましくは、互いに異なる特性、幾何学的形状、及び/又は寸法を有する伸縮性要素又は伸縮性要素の列を含む。
【0066】
典型的には、伸張領域854は、25%伸長までひずみを与えた場合に少なくとも略0.05N/cmの弾性抵抗を示す。好ましくは、伸張領域854は、25%伸長までひずみを与えた場合に、略0.05N/cm〜略50N/cm、より好ましくは0.1N/cm〜略40N/cm、最も好ましくは1N/cm〜略30N/cmの弾性抵抗を示す。好ましくは、伸張領域854は略40%未満の力緩和及び略15%未満の残留ひずみ(set)を経験する。典型的には、伸張領域854は少なくとも略25%、好ましくは略50%〜略300%の最大伸長を有することになる。典型的には、伸張領域862は、25%伸長までひずみを与えた場合に少なくとも略0.05N/mの弾性抵抗を示す。好ましくは、伸張領域862は、25%伸長までひずみを与えた場合に、略0.1N/cm〜略8N/cmの弾性抵抗を示す。好ましくは、伸張領域862は、略40%の力緩和及び略15%の残留ひずみ(set)を経験する。典型的には、伸張領域862は少なくとも略25%、好ましくは略50%〜略200%の最大伸長を有していてよい。加えて、伸張領域868及び870は、所与の延伸において、伸張領域854及び862のどちらよりも低い伸長時の抵抗力を示してよい。典型的には、伸張領域854と伸張領域868又は870との弾性抵抗の比は少なくとも1.25:1、好ましくは少なくとも1.5:1、最も好ましくは略2.0:1〜6.0:1である。個々の伸張領域854、862、68、及び870の伸縮特性にかかわらず、25%まで延伸された場合のサイドパネル832及び833の区域の全体的な張力は、好ましくは20N未満であり、及び力緩和は40%未満である。
【0067】
図9を参照すると、おむつ910が図示されており、ここでは前方腰部区域926が少なくとも1つの伸張領域972を含んでいてよい。伸張領域972の機能は、着用者が動き及び/又は位置を変える時の着用者の腹部の収縮と拡大のサイクルに動的に適応して、前方腰部の弛みを防ぐ。伸張領域972は好ましくは、おむつ910の前方腰部端部918と実質的に一致している。前方腰部端部918中に又はその近くに配置された締結用ランディング領域927を包含するおむつ910の閉鎖可能な変形形態では、そのランディング領域927はおむつ910の前方腰部端部918に凹み928を与える構成に形成されていてよい。図9に示されているように、これらの実施形態では伸張領域972がランディング領域の凹み928中へと延在していてよい。
【0068】
おむつ910に示されている後部腰部区域の股部区域976の近くに位置している臀部区域974は、弾性又は延伸性のいずれかの部分、又はこれらの組み合わせを含んでいてよいが、好ましい実施形態では、臀部区域974に熱可塑性エラストマーの模様を設けて、吸収性コア950の体積を包含する最も大きな着用者の周囲(すなわち、臀部)に適応するように臀部区域974を着用者の骨格により良好に適合させる低レベルの弾性抵抗をその伸張領域に与え、臀部区域974の着用時の張力を後方腰部端部916区域よりも低くするようにしてもよい。臀部区域974は、延伸性を有する伸張領域を有していてよく、これは、着用者の脚の間で収縮した股部区域976から固定のために図9Dに記載されたものと同様の伸張領域を有していてよいサイドパネル934及び936までのなめらかな形状の遷移を可能にする。臀部区域974は好ましくは、着用者の骨格形状に適応するために、腰部端部916区域よりも更に伸長されてもよい。
【0069】
別の実施形態、図10を参照するとおむつ1030が示されており、ここでは、腰の周りに実質的に連続した張力の線を作り出して適合性の持続するフィット性を促進するために、腰部区域中の伸張領域1078が、好ましくはサイドパネル1032及び1033、並びに/又はサイドパネル1032及び1033上に配置された締結具1080及び1082と合致していてもよい。図10に示されているように、伸張領域1078は好ましくは、締結具1082の長手方向外側寄りの縁1092、1094を連結する2つの想像線1084及び1086のうちの1つと少なくとも部分的に重なる。
【0070】
図11を参照すると、伸張領域の列1104は、おむつ1110上の前方股部区域1128中に前方腰部区域1126中に広がっているが示されている。列1104を含む伸張領域は主に、おむつ1110の長手方向中心線1112と平行であって、矢印1106によって示されているように中心線1112に沿って弾性抵抗を提供することによって前方股部区域1128におけるより良好なフィット性を可能にしていてよい。列1104は、おむつ1110の前部を引き下げて弛みを引き起こさないように、低い弾性抵抗を有するのみでなければならない。また、列1104は、前方腰部範囲における被覆が改善されるように、縦方向に少量だけのひずみを与えた後にそれが力の壁に達するよう、有効ひずみが低くなければならない。典型的には、列1104は、25%ひずみにおいて略0.005N/cm〜略5N/cm、好ましくは略0.01N/cm〜略2N/cmの弾性抵抗を与える。特定の実施形態では、弾性抵抗は略0.1N/cm〜略1N/cmの範囲である。
【0071】
縦方向における列1104の有効ひずみ(available strain)は、略100%未満、好ましくは略50%未満、より好ましくは略25%未満である。おむつ全体に関して、荷重5Nでの縦方向における最大延伸は略20cm未満、好ましくは略10cm未満、より好ましくは略5cm未満である。好ましくは、最も大きな延伸性を有する範囲は、長手方向中心線1112と実質的に合致し及び重なり合う。別の実施形態では、列1104は個々の伸張領域(図示せず)によって置き換えられて同等の弾性抵抗を提供することができる。好ましくは、最も大きな延伸性を有する範囲は、長手方向中心線1112と実質的に合致し及び重なり合う。別の実施形態では、列1104は個々の伸張領域(図示せず)によって置き換えられて同等の弾性抵抗を提供することができる。あるいは、列1104はまた、図11の矢印1108及び1109によって示されているように、長手方向中心線1112の横方向外側寄りの及びその中心線に対し角度が付けられた、そしておむつ1110の前方の角の方へと反れている伸張領域を含んでいてもよい。これらの張力の線又は弧は、これらの荷重を張力の好適な線又は「経路」を介して、物品の固定領域に「連結」することによって、吸収性コア及びそこに保持された着用者の腰を好適に懸架するように、主に弾性であってよい。あるいは、これらの「荷重分配要素(load distribution elements)」は、股部区域1128及び前方腰部区域1126の周りに非延伸性の線、弧、帯、又は他の幾何学的区域を含んでもよく、着用者の起き上がりに適応するように延長していてもよく、一方で外側寄りの非延伸性の荷重分配要素は排泄物の荷重への支持を与える。
【0072】
別の実施形態、図12を参照すると、おむつ1210が示されており、ここでは脚部区域1230が伸張領域1212及び1214を含んでいてよい。好ましくは、伸張領域1212及び1214は長手方向中心線1205に実質的に平行であり、弾性が大きい。あるいは、伸張領域1212及び1214はまた、曲線状であるか又は長手方向中心線1205に対し角度がつけられていてもよい。脚部区域1232の部分は、おむつ1210の長手方向中心線1205に対して角度をつけて配向された1以上の追加の延伸性のある伸張領域1216及び1218を含んでいてもよい。典型的には、伸張領域1216及び1218は長手方向中心線1205から略45°〜略90°の角度、好ましくは45〜60°の角度となされていてよい。
【0073】
本発明のさらに別の実施形態では、本明細書に記載された伸張領域はまたトップシートに設けられることもできる。例えば、おむつ1310が図13に示されている。おむつ1310は、トップシート1324、バックシート1326、及びそれらの間にコア1328を含む。トップシート1324にはまた、周囲1340を有する開孔1330が設けられている。図13でわかるように、トップシート1324には更に、これもまた周囲1340の一部を含む1対の横方向に対向する伸張領域1343、1344を設けられている。伸張領域1343、1344は、前方腰部区域1336から股部区域1337を通って後方腰部区域1338まで延在している。伸張領域1343、1344は弾性抵抗を提供して、おむつ1310が、図13に示されている弛んだ状態でカップ状の形状をとるようにする。この弾性抵抗は、トップシート1324と着用者の体との間の望ましい身体的接触を保証するのに役立つ。図13に示される好ましい実施形態では、この身体的接触は、開孔1330とトップシート1326とが組み合わさって、身体排泄物を着用者の体との接触から分離するのを助けるための弛みに耐えられる肛門カフを作り出すのに役立つ。こうしたカフは、同時継続米国特許出願2004/0193134A1(copending US Patent Application Publication No. 2004/0193134 A1)、名称「カフを有する物品」(ミューラー(Mueller)ら出願、2004年9月30日公開)に、より詳細に記載されている。
【0074】
本発明の全ての実施形態に適用可能なおむつ構成要素の説明
図1〜13の全ての実施形態は、本発明の範囲から逸脱することなく、下記に記載する材料、設計、及び組み立て方法のいずれかの1つ以上をとってもよい、おむつ構成要素を有する。種々の周知の構成におけるいずれの物品構成要素を組み合わせてもよいが、代表的なおむつの構成は、米国特許第3,860,003号;米国特許第5,151,092号;及び米国特許第5,221,274号;並びに米国特許第5,554,145号;米国特許第5,569,234号;米国特許第5,580,411号;及び米国特許第6,004,306号に概ね記載されている。
【0075】
代表的な通気性材料としては、織布ウェブ、不織布ウェブ、フィルムコーティング不織布ウェブのような複合材料、三井東圧(Mitsui Toatsu Co.)(日本)によってエスポア(ESPOIR)NOの商品名で製造されるような、及びエクソン・ケミカル(Exxon ChemicalCo.)(テキサス州ベイシティ(Bay City))によってエグサイア(EXXAIRE)の商品名で製造されるようなミクロ孔質フィルム、並びにクロペイ・コーポレーション(Clopay Corporation)(オハイオ州シンシナティ(Cincinnati))によってハイトレル(HYTREL)ブレンドP18−3097の商品名で製造されるようなモノリシックフィルムなどの材料を挙げてよい。幾つかの通気性複合材料については、米国特許第6,187,696号、米国特許第5,938,648号、米国特許第5,865,823号、及び米国特許第5,571,096号に更に詳細に記載されている。
【0076】
物品は、追加の弾性材料を用いずに伸長の方向において弾性様挙動を示す延伸性材料であり、米国特許第5,518,801号に更に詳細に記載されている、構造的に弾性様のフィルムウェブを包含してもよい。別の実施形態では、バックシートはエラストマーフィルム、発泡体、ストランド、あるいはこれらの組み合わせ、又は不織布若しくは合成フィルムを有する他の好適な材料を含んでもよい。
【0077】
吸収性コアとして使用するための代表的な吸収性構造体は、米国特許第4,610,678号、米国特許第4,673,402号、米国特許第4,834,735号、米国特許第4,888,231号、米国特許第5,137,537号、米国特許第5,147,345号、米国特許第5,342,338号、米国特許第5,260,345号、米国特許第5,387,207号、及び米国特許第5,625,222号に記載されている。
【0078】
好適な吸収性の及び非吸収性の副層はについては、欧州特許出願EP 0 847 738A1(European Patent Application No. EP 0 847 738 A1)及び米国特許第5,941,864号に記載されている。さらに、副層、又はそれらのいずれかの部分は、要素の性能又は他の特性を加え、高め、又は変更するために、ローション又は他の既知の物質を包含するか又はそれらでコーティングされていてもよい。
【0079】
幾つかの代表的な表面締結システムについては、米国特許第3,848,594号、米国特許B14,662,875(US Pat. No. B1 4,662,875)、米国特許第4,846,815号、米国特許第4,894,060号、米国特許第4,946,527号、上記で参照した米国特許第5,151,092号、及び米国特許第5,221,274号に開示されている。代表的な組み合わせ締結システムは米国特許第6,432,098号に開示されている。締結システムはまた、物品を米国特許第4,963,140に記載されるような処分用の構成に保持するための手段を提供してもよく;米国特許第4,699,622号に開示されるような主要な及び2次的な締結システムを包含してもよく;米国特許第5,242,436号に開示されるような重なり合う部分のずれを低減し、又はフィット性を改善するための手段;米国特許第5,499,978号、米国特許第5,507,736号、及び米国特許第5,591,152号に開示されているような、着用者の腹部に隙間ができるのに抵抗するための手段を提供してもよい。
【0080】
好適なトレーニングパンツ及びプルオンおむつは、米国特許第5,246,433号、米国特許第5,569,234号、米国特許第6,120,487号、米国特許第6,120,489号、米国特許第4,940,464号、及び米国特許第5,092,861号に開示されている。
【0081】
弾性のあるサイドパネルを有するおむつの例は、米国特許第4,857,067号、米国特許第4,381,781号、米国特許第4,938,753号、上記で参照した米国特許第5,151,092号、米国特許第5,221,274号、米国特許第5,669,897号、米国特許第6,004,306号、及び上述の米国特許第6,300,208号に開示されている。
【0082】
米国特許第3,860,003号は、サイドフラップ及び1以上の弾性部材を有する収縮性の脚部開口を与えて弾性のあるレッグカフ(ガスケッティングカフ)を提供する、使い捨ておむつを記載している。米国特許第4,808,178号及び4,909,803号は、脚部区域の束縛を改善する「起立した(stand-up)」弾性のあるフラップ(バリアカフ)を有する使い捨ておむつを記載している。米国特許第4,695,278号及び4,795,454号は、ガスケッティングカフ及びバリアカフを包含する二重カフを有する使い捨ておむつを記載している。
【0083】
本発明の実施形態はまた、排泄物を受け入れ及び収容するためのポケット、排泄物のための空洞を提供するスペーサー、物品中での排泄物の移動を制限するための障壁、排泄物質を受容し及び収容する区画若しくは空洞、又はいずれかのそれらの組み合わせを包含してもよい。吸収性製品で使用するためのポケット及びスペーサーの例は、米国特許第5,514,121号、米国特許第5,171,236号、米国特許第5,397,318号、米国特許第5,540,671号、米国特許第6,168,584号、米国特許第5,306,266号、及び米国特許第5,997,520号に記載されている。区画又は空洞の例は、米国特許第4,968,312号、米国特許第4,990,147号、米国特許第5,062,840号、及び米国特許第5,269,755号に開示されている。好適な横断方向の障壁の例は、米国特許第5,554,142号、米国特許第6,010,490号、米国特許第5,653,703号に記載されている。低粘度の糞便の取扱いのために特に好適な他の構造の例は、米国特許第5,941,864号、5,977,430号及び6,013,063号に開示されている。
【0084】
図1のおむつ10は好ましくは、腰部区域の一方を着用者の背中に位置決めし、おむつの残りの部分を着用者の脚の間で引張ってもう一方の腰部区域を着用者の前方の周りに位置決めするようにすることによって、着用者に付けられる。次に介護人が締結要素を用いて、前方及び後方腰部区域を着用者の腰を取り囲むように接合する。弾性のあるサイドパネルは典型的には、着用者の大きさ及び体型に適合するようにこの操作時に延伸され及び引張られる。図3に示されているもののようなパンツは、着用者の脚を脚部開口に挿入しパンツを着用者の胴体の下部の周りの所定位置に摺動させることによって、着用者上の所定位置に配置されてよい。
【0085】
試験方法
弾性特性のヒステリシス試験
概観
この試験は、a)弾性抵抗(25%伸長時の荷重)、b)力緩和、及びc)個々の伸張領域又は伸張領域の列の残留ひずみ(set)%、を測定する。伸張領域は交差していても交差していなくてもよい。非交差の伸張領域は平行であっても平行でなくてもよい。理想的には、試料寸法は幅2.54cm×長さ5.08cmであり、伸長方向をその長い寸法とする。さらに、理想的には、ゲージ長さは2.54cmでなければならない。その伸縮性は種々の模様であることができるので、伸張領域の異なる部類に対して異なる試料調製手順を規定する必要がある。試料が調製されたら、それを予め規定されたレジメンに従って伸長して特性決定のためのデータを得る。
【0086】
装置
引張り試験機:インストロン・エンジニアリング社(Instron Engineering Corp.)(マサチューセッツ州カントン(Canton))又はシンテック・MTS・システム・コーポレーション(SINTECH-MTS Systems Corporation)(ミネソタ州エデンプレーリー(Eden Prairie))からの市販の定速延伸引張り試験機(又は同等の引張り試験機)が好適であり得る。試験速度及びその他の試験パラメータを制御し、データを収集、計算及び報告するために、機器をコンピュータに接続する。
【0087】
ロードセル 試験に好適なつかみ具及びロードセルを選択する;つかみ具は試料を嵌着するのに十分な幅を有していなければならず、典型的には2.54cmのつかみ具が使用される;ロードセルは、試験される試料から予想される引張り応答がロードセルの能力又は使用される荷重範囲の25%〜75%となるように選択され、典型的には1kNロードセルが用いられる。
【0088】
サンプルカッター 所望される試料の幅によって具体的なサンプルカッターが規定される。好適なカッターは、スウィング−アルバート・インストルメント(Thwing-Albert Instrument Co.)(ペンシルベニア州フィラデルフィア(Philadelphia))から入手可能である。幅2.54cmの試料にはJDC1−10型が好適である。
【0089】
試料の調製
(i)直線状、非交差伸張領域のための試料調製
個々の伸張領域内から幅2.54cm×長さ5.08cmの試料を切断する。個々の伸張領域がこれらの寸法よりも小さい場合には、試料は伸張領域全体を含まなければならない。試料をつかみ具内で正しい方向に合わせ、確実にサンプルがその伸張領域の長手方向において伸縮されるようにする。個々の伸張領域からの力が引張り試験機で測定するには小さすぎる場合、複数の製品から採取した同一の伸張領域からの数個の試料を引張り試験機のグリップの間でまとめて引っ張ることができ、そのデータを個々の伸張領域へと標準化する。すべての伸張領域が均一に離間され互いに平行であり、また同一の寸法及び坪量のエラストマーを有する特殊な場合には、複数の伸張領域にわたる2.54cm試料を試験することができる。その場合荷重は、全体の力を伸張領域の数で割ることによって個々の伸張領域へと標準化することができる。
【0090】
(ii)非直線、非交差伸張領域のための試料調製
試料の寸法は幅6.3mm×長さ5.08cmである。長さは湾曲した経路に沿って測定される。試料の幅は小さいので、湾曲した伸張領域を直線状の伸張領域として近似できる。引張り試験機のゲージ長さは2.54cmに設定される。前述したように、上記の寸法の試料を得ることが可能でない場合、試料寸法は可能な限り大きな値まで減少することができ、それに従ってゲージ長さを調節する。
【0091】
(iii)交差した伸張領域の列のための試料調製
試験試料は幅2.54cm×長さ5.08cmである。列がこれらの寸法よりも小さい場合には、サンプルは列全体を含まなければならない。列は最大伸縮の方向に近い方向に引張られる必要がある。これは一般に、試料を幾つかの方向(例えば、CD、MD、及びCDに対し45°)に引っ張ることによって決定することができる。このような方向が容易に識別されない場合には、実行しない(default)引張り方向は機械横方向とする。
【0092】
方法
ヒステリシスは標準的な研究室条件(25℃±2℃及び相対湿度略50%±2.0%)で測定される。
【0093】
エラストマー部材のヒステリシスを測定するための手順は、以下の工程を伴う。
1.メーカーの説明書に従って試験機を較正する。
2.ゲージ長さを2.54cm又は試験される試料に適切なように設定する;0.05Nの緩い予備荷重を設定する。
3.試料をつかみ具の平坦な表面に、試料の長手方向中心線がゲージ長さ方向に実質的に平行となるように設置する。
4.クロスヘッドスピードを25.4cm/分の定速に設定する。
5.クロスヘッドの移動を開始する、試験機は荷重及びひずみデータを同時に記録し始める。ヒステリシス試験は具体的には以下の工程を伴う:
a)試料を25.4cm/分の定速で25%ひずみまで伸長し、25%伸長時の力を記録する;
b)試料を2分間このひずみのまま保持し、この2分間の始めと終わりの力を記録する;
c)試料を25.4cm/分の定速で0%ひずみに戻す;
d)試料を1分間このひずみのまま保持する;及び
e)試料を5.08cm/分の定速で0.1N荷重まで伸長し、0.1N(すなわち、緩みを取り除くには十分であるが、最大でも試料の実質的な(insubstantial)伸縮を付与しないだけの十分小さな力)におけるひずみを記録する。
【0094】
計算及び報告された結果
1.工程5(a)で収集されるデータから、25%ひずみにおける荷重が材料の弾性抵抗として報告される。
2.工程5(b)で収集されるデータから、2分の保持時間の初めと終わりにおける荷重により、次式を用いて力緩和が決定される。
【数1】
3.工程5(e)で収集されるデータから、次式を用いて残留ひずみ(set)%が計算される。
【数2】
4.試験される各材料に対し、3つの反復試料からの平均結果を報告する。
【0095】
有効ひずみ(Available Strain)
これは試料の有効ひずみ(Available Strain)を決定することを企図している。有効ひずみ(Available Strain)は、力−伸長曲線において屈曲が存在する点であり、この点を超えると試料を更に伸長するのに必要な力の量が急速に増加する。代表的な力(F(N/cm))−伸長(E(%))曲線は図14に示されている。ここに示されているように、有効ひずみ(available strain)は力伸長曲線720から、曲線720aの段階1部分及び曲線720cの段階2部分の直線外挿の交点720bとして決定される。
【0096】
方法
1.試料を上述のヒステリシス試験に従って調製する。
2.ヒステリシス試験の工程1〜4を繰り返す。
3.クロスヘッドの移動を開始する。試験機が荷重 対 ひずみ(伸長%)データを同時に記録し始める。
4.次のどちらかとなるまで試料の伸長を続ける:
a)試料が破断する;又は
b)ロードセルの力の限界に達する。
5.力/伸長データをプロットし図14に示されているのと同様の曲線を作成する。
6.図示されているように段階1及び段階2の部分を外挿して有効ひずみ(available strain)を決定する。
7.試験される各材料に対し3つの反復試料からの平均の結果を報告する。
【0097】
「発明を実施するための最良の形態」で引用したすべての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、どの文献の引用も、それが本発明に関する先行技術であるとの容認と解釈されるべきではない。
【0098】
本発明の特定の実施形態が説明及び記載されてきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を行えることが当業者には明白であろう。従って、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腰部区域(24、26)と、股部区域(28)と、長手方向中心線(12)と、横方向中心線(14)と、を有する吸収性物品であって、
少なくとも1つの伸張領域(618、620)を含み、
前記伸張領域は第1の熱可塑性エラストマー組成物を有する第1の基材を含み、前記第1の熱可塑性エラストマー組成物は、前記伸張領域を画定する予め定められた幾何学的模様で第1の基材上に配置されている、吸収性物品。
【請求項2】
前記伸張領域は、耳部(34)、サイドパネル(382、386)、レッグカフ(388)、締結具構成要素(42)、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される要素の少なくとも一部を含み、前記要素は好ましくは、耳部(34)及びサイドパネル(382、386)、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記要素のうちの2つは隣接する関係にあり、
前記伸張領域は前記隣接する要素の各々の少なくとも一部を含み、
前記隣接する要素は、好ましくは、
a)前記腰部要素及び前記耳部、並びに、
b)前記レッグカフ及び前記耳部、
のうちのいずれか一つの組み合わせから選択される、請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記伸張領域は、個々の伸張領域間で幅寸法が異なること、個々の伸張領域間で厚さ寸法が異なること、個々の伸張領域間で配置間隔が異なること、個々の伸張領域間で機械的性質が異なること、視認される外観が異なること、及び、個々の伸張領域間で透水性が異なること、から成る群から選択される特性を有しており、
前記特性の少なくとも1つが、前記長手方向中心線に平行な方向及び前記横方向中心線に平行な方向のうちから選択される方向に延びる直線に沿った2つの点の各々で測定された時に、前記特性の値の間に差異が存在する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記差異が、前記第1の点における特性の測定値と前記第2の点における前記特性の値との差を前記第1の点における前記特性の値で割って得られた値の絶対値として定義されると、前記定義された差異の値は略0.1よりも大きい、請求項4に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記選択される方向の両方において、前記特性の少なくとも1つに差異が存在し、前記差異は、第1の点における特性の測定値と、前記長手方向中心線に平行な直線に沿った第2の点における前記特性の値と、の差を、前記第1の点における前記特性の値で割って得られた値の絶対値として定義される、請求項4又は5に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記伸張領域は弾性要素と組み合わせて使用され、前記弾性要素は、エラストマーフィルム、エラストマーストランド、及びエラストマー繊維から成る群から選択される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記吸収性物品は第2の伸張領域を含み、
前記第1の伸張領域は、個々の伸張領域間で幅寸法が異なること、個々の伸張領域間で厚さ寸法が異なること、個々の伸張領域間で配置間隔が異なること、個々の伸張領域間で機械的性質が異なること、視認される外観が異なること、及び、個々の伸張領域間で透水性が異なること、から成る群から選択される特性が、前記第2の伸張領域とは異なっている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記異なる伸張領域は少なくとも部分的に重なり合っている、請求項8に記載の吸収性物品。
【請求項1】
腰部区域(24、26)と、股部区域(28)と、長手方向中心線(12)と、横方向中心線(14)と、を有する吸収性物品であって、
少なくとも1つの伸張領域(618、620)を含み、
前記伸張領域は第1の熱可塑性エラストマー組成物を有する第1の基材を含み、前記第1の熱可塑性エラストマー組成物は、前記伸張領域を画定する予め定められた幾何学的模様で第1の基材上に配置されている、吸収性物品。
【請求項2】
前記伸張領域は、耳部(34)、サイドパネル(382、386)、レッグカフ(388)、締結具構成要素(42)、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される要素の少なくとも一部を含み、前記要素は好ましくは、耳部(34)及びサイドパネル(382、386)、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記要素のうちの2つは隣接する関係にあり、
前記伸張領域は前記隣接する要素の各々の少なくとも一部を含み、
前記隣接する要素は、好ましくは、
a)前記腰部要素及び前記耳部、並びに、
b)前記レッグカフ及び前記耳部、
のうちのいずれか一つの組み合わせから選択される、請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記伸張領域は、個々の伸張領域間で幅寸法が異なること、個々の伸張領域間で厚さ寸法が異なること、個々の伸張領域間で配置間隔が異なること、個々の伸張領域間で機械的性質が異なること、視認される外観が異なること、及び、個々の伸張領域間で透水性が異なること、から成る群から選択される特性を有しており、
前記特性の少なくとも1つが、前記長手方向中心線に平行な方向及び前記横方向中心線に平行な方向のうちから選択される方向に延びる直線に沿った2つの点の各々で測定された時に、前記特性の値の間に差異が存在する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記差異が、前記第1の点における特性の測定値と前記第2の点における前記特性の値との差を前記第1の点における前記特性の値で割って得られた値の絶対値として定義されると、前記定義された差異の値は略0.1よりも大きい、請求項4に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記選択される方向の両方において、前記特性の少なくとも1つに差異が存在し、前記差異は、第1の点における特性の測定値と、前記長手方向中心線に平行な直線に沿った第2の点における前記特性の値と、の差を、前記第1の点における前記特性の値で割って得られた値の絶対値として定義される、請求項4又は5に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記伸張領域は弾性要素と組み合わせて使用され、前記弾性要素は、エラストマーフィルム、エラストマーストランド、及びエラストマー繊維から成る群から選択される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記吸収性物品は第2の伸張領域を含み、
前記第1の伸張領域は、個々の伸張領域間で幅寸法が異なること、個々の伸張領域間で厚さ寸法が異なること、個々の伸張領域間で配置間隔が異なること、個々の伸張領域間で機械的性質が異なること、視認される外観が異なること、及び、個々の伸張領域間で透水性が異なること、から成る群から選択される特性が、前記第2の伸張領域とは異なっている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記異なる伸張領域は少なくとも部分的に重なり合っている、請求項8に記載の吸収性物品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図6F】
【図6G】
【図6H】
【図6I】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図6F】
【図6G】
【図6H】
【図6I】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−136188(P2011−136188A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−36121(P2011−36121)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【分割の表示】特願2007−505195(P2007−505195)の分割
【原出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36121(P2011−36121)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【分割の表示】特願2007−505195(P2007−505195)の分割
【原出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】
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