説明

エリトリトールを含有する菓子製品

本発明は、食用酸および少なくとも95重量%のエリトリトール、好ましくは少なくとも98重量%のエリトリトール、より好ましくは少なくとも99重量%のエリトリトールを含有する菓子製品、より具体的にはハードキャンディーに関する。前記菓子製品は、アラビアゴム、ゼラチンおよびそれらの混合物からなる群から選択される結合剤を含有していない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食用酸および少なくとも95重量%のエリトリトールを含有する菓子製品に関する。
【背景技術】
【0002】
菓子製造における最近の進展は、カロリー量が減少されており、そして虫歯を引き起こす傾向がより低い製品を提供することの興味における、糖の一部または全部の糖アルコール(ポリオール)による置換である。菓子の製造に提案されてきたポリオールの中には、イソマルト、マルチトール、キシリトール、エリトリトール、およびこれらの混合物がある。
【0003】
特許文献1には、糖アルコール混合物のマルチトール含有量が、乾燥物質を基準として77重量%より大きいが、86重量%より小さいことを特徴とするハードキャンディーの製造方法が記載されている。
【0004】
特許文献2には、水素化イソマルツロース(=イソマルト)を基礎とするハード菓子(hard confection)が記載されている。
【0005】
特許文献3には、エリトリトールと、エリトリトール以外の糖類および糖アルコール類から選択される糖類とを含むハードキャンディー、ならびに該ハードキャンディーを製造する方法が記載されている。
【0006】
特許文献4には、さらにヒドロコロイドを含有する、エリトリトールをベースとするハードキャンディーが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第0533334号
【特許文献2】米国特許4,971,798号
【特許文献3】米国特許4,883,685号
【特許文献4】特許第3100186号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ポリオール類を基礎とし、砂糖を含まない菓子製品を有することに対するさらなる需要がなおも存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ハードキャンディー、ブリトル、キャラメルおよびタフィーからなる群から選択される菓子製品に関し、前記菓子製品は、食用酸および少なくとも95重量%のエリトリトール、好ましくは少なくとも98重量%のエリトリトール、より好ましくは少なくとも99重量%のエリトリトールを含有している。より具体的には、それは、食用酸、95〜99重量%のエリトリトール、フレーバー類、高甘味度甘味料および/または着色剤からなるハードキャンディーに関する。
【0010】
さらに、本発明は、120〜160℃の温度でエリトリトール含有混合物を加熱することによって菓子製品を製造する方法であって、乾燥物質が食用酸および少なくとも95重量%のエリトリトールを含有している方法に関する。
【0011】
本発明は、ハードキャンディー、ブリトル、キャラメルおよびタフィーからなる群から選択される菓子製品に関し、前記菓子製品は、食用酸および少なくとも95重量%のエリトリトール、好ましくは少なくとも98重量%のエリトリトール、より好ましくは少なくとも99重量%のエリトリトールを含有している。それは、ハードキャンディー、ブリトル、キャラメルおよびタフィーからなる群から選択される菓子製品に関し、前記菓子製品は、食用酸および少なくとも95重量%のエリトリトール、好ましくは少なくとも98重量%のエリトリトール、より好ましくは少なくとも99重量%のエリトリトールを含有し、そしてそれは、アラビアゴム、ゼラチンおよびそれらの混合物からなる群から選択される結合剤(対応する語句はバインダーである)を含有していない。それは、ハードキャンディー、ブリトル、キャラメルおよびタフィーからなる群から選択される菓子製品に関し、前記菓子製品は、食用酸および少なくとも95重量%のエリトリトール、好ましくは少なくとも98重量%のエリトリトール、より好ましくは少なくとも99重量%のエリトリトールを含有し、それはさらにフレーバー類および/または高甘味度甘味料および/または着色剤を含み、そしてそれは、アラビアゴム、ゼラチンおよびそれらの混合物からなる群から選択される結合剤(対応する語句はバインダーである)を含有していない。より具体的には、食用酸、95〜99重量%のエリトリトール、フレーバー類および/または着色剤からなるハードキャンディーに関する。さらにそれは、食用酸、95〜99重量%のエリトリトール、フレーバー類、高甘味度甘味料、および/または着色剤からなるハードキャンディーに関する。本発明は、ロゼンジ(lozenge)ではない菓子製品に関し、それはこれがアラビアゴム、ゼラチンおよびそれらの混合物からなる群から選択される結合剤を含んでいないからである。
【0012】
エリトリトールは、炭水化物を基礎とするポリオール(糖アルコール)、すなわち、化学式C10で表されるテトリトールであり、これは白色結晶の形態にある優れた外観を有し、グラニュー糖、ショ糖の外観と類似する。これは水において高度に溶解性であり、非消化性であり、カロリーがゼロであり、そして非う蝕性である。
【0013】
さらに、前記の菓子製品は食用酸を含んでいる。好適な酸は、リンゴ酸、フマル酸、乳酸、酒石酸、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、リン酸、コハク酸、アジピン酸、アスコルビン酸、酢酸、クエン酸、およびこれらの対応する塩、ならびにこれらのうちの2種またはそれ以上の混合物からなる群から選択される。好ましくはクエン酸が食用酸として使用される。前記酸は、菓子製品の乾燥物質を基準とした量において、0.2〜5%、好ましくは0.2〜2%、より好ましくは0.2〜1%の量で添加される。
【0014】
前記菓子製品はさらに、フレーバー類、高甘味度甘味料、着色剤またはこれらのうちの2種またはそれ以上の混合物を含む。
【0015】
前記フレーバー類は、ミントフレーバー、チョコレートミントフレーバー、バブルガムフレーバー、アップルスパイスフレーバー(apple spice flavour)、ブラックチェリーフレーバー、パイナップルフレーバー、コーラフレーバー、グレーププレーバー、チェリーフレーバー、アップルフレーバーおよびシトラスフレーバー類、例えば、オレンジフレーバー、レモンフレーバー、ライムフレーバー、フルーツポンチ、これらのうちの2種またはそれ以上の混合物等である。フレーバーの量は、選択されるフレーバーまたは複数のフレーバー、所望のフレーバーインプレッション(flavor impression)および使用するフレーバーの形態に依存する。
【0016】
非栄養性甘味料として使用できる高甘味度甘味料は、アスパルテーム、アセスルファム塩、例えばアセスルファムK、サッカリン類(例えばナトリウムおよびカルシウム塩)、シクラマート類(例えば、ナトリウムおよびカルシウム塩)、スクラロース、アリターム、ネオターム、ステビオシド類、グリシルリジン、ネオヘスペリジン、ジヒドロカルコン、モネリン、タウマチン、ブラゼイン、これらのうちの2種またはそれ以上の混合物等であることができる。実際には、他の任意の天然由来の高甘味度甘味料も同様に好適である。
【0017】
必要に応じて、着色剤も同様に添加することができる。食品用途に承認されたいずれの水溶性の着色剤も本発明に使用することができる。
【0018】
1つの特定の実施態様において、本発明は、食用酸、少なくとも95重量%のエリトリトール、好ましくは少なくとも98重量%のエリトリトール、より好ましくは少なくとも99重量%のエリトリトール、フレーバー類、高甘味度甘味料および/または着色剤からなるハードキャンディーに関する。より好ましくは、前記菓子製品は、食用酸、少なくとも95重量%のエリトリトール、好ましくは少なくとも98重量%のエリトリトール、より好ましくは少なくとも99重量%のエリトリトール、およびフレーバー類、高甘味度甘味料、着色剤、またはこれらのうちの2種またはそれ以上の混合物(フレーバー類、着色剤および/または高甘味度甘味料の混合物)からなるハードキャンディーである。
【0019】
本発明は、エリトリトール含有混合物を120〜160℃の温度で加熱することによって本発明の菓子製品を製造する方法であって、乾燥物質が食用酸および少なくとも95重量%のエリトリトールを含有している、製造方法に関する。
【0020】
上記方法はさらに、加熱時間の最後に0.6〜0.8barの真空を適用することを特徴とする。
【0021】
最後に、前記菓子製品は、砂糖不含であり、カロリーがゼロであり、そして、天然(natural)および/または有機(organic)と明示することができる。
【0022】
一様でない結晶化、一様でない表面、粒の多いザラザラしたテクスチャーおよび脆性などの不利な点が、本発明の菓子製品によって克服される。
【0023】
以下において、下記の実施例の形態で本発明を例証する。
【実施例】
【0024】
分析方法
テクスチャー分析をStable Microsystems製の装置TA−XT plusテクスチャーアナライザーにおいて実施した。プログラムの設定は以下のとおりである:
TAモード:圧縮時の力の測定
TAオプション:開始に戻る(Return to Start)
プレテスト速度:1.0mm/s
テスト速度:1.0mm/s
ポスト速度:10.0mm/s
試験距離:4.0mm
トリガー値: 50g
PPS: 400.00
プローブ:30kgロードセルを用いる2mmシリンダープローブ(P/2)
アクセサリー:Heavy Duty Platform(HDP/90)
結果:力(g)(硬度)
距離(mm)(破断性(Fracturability))
サンプル調製:全てのサンプルは20℃の制御温度下で平衡化させ、その後、試験に先立って保管場所から取り出した。
【0025】
試験の設定:HDP/90を機械の基板上に配置した。サンプルの試験に先立ってプローブを較正した。サンプルをHDP/90のブランクプレート上に、プローブ下の中心の位置に定置した。貫通試験を開始した。
【0026】
2つの特性、すなわち硬度(hardness)および破断性(fracturability)をテクスチャーアナライザーで試験した。以下が硬度および破断性に関してのTexture Technologyによる定義である。
【0027】
硬度は、キャンディーの最初の圧縮のピークの力である。
【0028】
全ての製品が破損するするとは限らないが、破損した場合には、製品のプローブでの最初の圧縮の間にプロットがその最初の顕著なピーク(力が低下する)を有する破断点が生じる。
【0029】
硬度および破断性は2つの完全に異なるパラメーターであり、互いに比較できるものではない。
【0030】
<実施例1>
処方
以下の処方を試験した:
− 99重量% エリトリトール(Cargill Eridex 16954)
1重量%クエン酸一水和物(Merck 244)
または、
− 98重量% エリトリトール(Cargill Eridex 16954)
2重量%クエン酸一水和物(Merck 244)
参照例として100%エリトリトール(Cargill Eridex 16954)を有するレシピを含めた。
【0031】
調理および成形 − 方法
エリトリトールと0%、1%および2%クエン酸一水和物との共溶融物を調製した:
− 50g、49.5gおよび49gのエリトリトールを、ストッパーを有する250mlのDuranフラスコに計り入れた。Duranフラスコを160℃の油浴に15分間、エリトリトールが溶融するまで入れ、フラスコを規則的に回転させた。
− (0g)、0.5gおよび1gのクエン酸一水和物を対応のフラスコにおける前記の溶解させたエリトリトールに添加した。フラスコを回転させクエン酸一水和物を溶解した。
− 3.02ml(=3.7g)のアリコートをGilsonの5mlピペットを用いてサンプリングし、型に移した。
− 成形したハードキャンディーを、それらが冷たくなったらすぐに型から取り出した。
【0032】
測定
【0033】
【表1】

【0034】
前記の分析結果により、クエン酸一水和物を含有するハードキャンディーが、硬いテクスチャーを有し、容易に壊れないことが示された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハードキャンディー、ブリトル、キャラメルおよびタフィーからなる群から選択される菓子製品であって、食用酸および少なくとも95重量%のエリトリトール、好ましくは少なくとも98重量%のエリトリトール、より好ましくは少なくとも99重量%のエリトリトールを含有している菓子製品。
【請求項2】
さらにフレーバー類、高甘味度甘味料および/または着色剤を含んでいる、請求項1記載の菓子製品。
【請求項3】
95〜99重量%のエリトリトール、食用酸、フレーバー類および/または着色剤からなるハードキャンディーである、請求項1または2に記載の菓子製品。
【請求項4】
95〜99重量%のエリトリトール、食用酸、フレーバー類、高甘味度甘味料および/または着色剤からなるハードキャンディーである、請求項1または2に記載の菓子製品。
【請求項5】
エリトリトール含有混合物を120〜160℃の温度で加熱することによって請求項1記載の菓子製品を製造する方法であって、乾燥物質が食用酸および少なくとも95重量%のエリトリトールを含有している、製造方法。
【請求項6】
加熱時間の最後に0.6〜0.8barの真空を適用する、請求項5記載の方法。


【公表番号】特表2013−520967(P2013−520967A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555325(P2012−555325)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際出願番号】PCT/EP2011/000887
【国際公開番号】WO2011/107234
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(397058666)カーギル インコーポレイテッド (60)
【Fターム(参考)】