説明

エレクトロクロミック粒子

本発明は、表面に吸着した1またはそれを超えるエレクトロクロミック化合物を有する導電性、半導電性または絶縁性のナノ粒子を含む分離したエレクトロクロミック粒子に関する。これらの粒子は、比較的低温の単一の工程で電極上に沈殿させ得、それによって電極用の柔軟な基板としてプラスチックのごとき熱感受性の材料の使用が許容される。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、エレクトロクロミック粒子に関する。詳細には、本発明は、エレクトロクロミック・デバイスに使用するのに好適なエレクトロクロミック粒子に関する。
【0002】
表面吸着したエレクトロクロミック化合物を有するナノ構造の導電性または半導電性のフィルムをベースとする電極を含むエレクトロクロミック・デバイスは、とりわけWO−A−98/35267およびWO−A−01/27690から知られている。かかる電極は、ナノ構造の導電性または半導電性のフィルムを導電性基板に塗布し、高温で焼鈍し、つづいてフィルム中のナノ粒子の表面にエレクトロクロミック化合物を化学吸着させることによって調製する。これは、時間がかかる手法であって、電極基板の材料をガラスまたはセラミックのような高温耐性の材料にも限定してしまう。基板に塗布する前にその表面に吸着したエレクトロクロミック化合物を有する導電性、半導電性または絶縁性のナノ粒子を提供し、それによって従来技術の欠点を回避することは望ましいであろう。
【0003】
本発明によれば、表面に吸着した1またはそれを超えるエレクトロクロミック化合物を有する、導電性、半導電性または絶縁性のナノ粒子を含む分離したエレクトロクロミック粒子が提供される。
【0004】
また、本発明は、本発明のエレクトロクロミック粒子の調製方法、該粒子を含む電極、および、エレクトロクロミック・デバイス用の電極の製造におけるそれらの使用も提供する。本発明の電極は、基板材料の選択に応じて、硬直または柔軟とし得る。
【0005】
本明細書中で用いる"エレクトロクロミック化合物"または"(エレクトロ)発色団"なる語は、電位を印加した際に色を変化させる化合物をいうことを意図するが、ポリマーおよび無機化合物は除かれる。
【0006】
本明細書中で用いる"ナノ粒子"なる語は、80nmまで、好ましくは50nmまで、およびより好ましくは30nmまでの平均粒子サイズを有する分離したおよび分散可能な粒子をいうことを意図する。
【0007】
本明細書中で用いる"導電性ナノ粒子"なる語は、電子バンドギャップを有しないナノ粒子をいうことを意図し;"半導電性ナノ粒子"なる語は、5エレクトロンボルト以下のバンドギャップを有するナノ粒子をいうことを意図し;および、"絶縁性ナノ粒子"なる語は、5エレクトロンボルトを超えるバンドギャップを有するナノ粒子をいうことを意図する。
【0008】
本発明のエレクトロクロミック粒子は、固形物の形態で存在しても、または溶媒中に懸濁していてもよい。
【0009】
エレクトロクロミック化合物(または複数の化合物)は、好ましくは、ナノ粒子の100%までであって少なくとも1%の単層被覆のナノ粒子が存在するように、ナノ粒子の表面に吸着する。
【0010】
導電性または半導電性のナノ粒子が好ましい。好ましいナノ粒子は、以下の金属:チタン、ジルコニウム、ハフニウム、クロム、モリブデン、インジウム、スズ、タングステン、バナジウム、ニオブ、タンタル、銀、亜鉛、セリウム、ストロンチウム、鉄(2価および3価)またはニッケルのドープまたは非ドープ酸化物、またはそれらのペロブスキーから選択され、好ましくはTiO、WO、SnO、MoO、In/SnOまたはZnOである。好ましいドーパントには、F、Cl、Sb、P、As、B、Al、In、Ga、Si、Sn、Ti、Ge、Zr、LiおよびHfが含まれる。
【0011】
本発明において使用することができる絶縁性ナノ粒子には、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、バリウム、マグネシウムおよびナトリウムの酸化物が含まれる。
【0012】
ナノ粒子の表面上に吸着したエレクトロクロミック化合物は同一または異なっていてもよく、都合よくはn−型またはp−型のものとし得る。本発明において使用するための好ましいエレクトロクロミック化合物は、WO−A−98/35267、WO−A−01/27690、WO−A−03/001288および"Electrochromic Compounds"なる発明の名称で本出願人(NTera Limited)によって同日に出願された係属中の国際出願に開示されている。特に好ましいn−型化合物には、ビス−(2−ホスホノエチル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリド、1−ホスホノエチル−1'−(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,4’−ビピリジニウムジビスイミドおよび1−ホスホノエチル−1'−(4−スチリル)−4,4'−ビピリジニウム二過塩素酸塩が含まれる。
【0013】
特に好ましいp−型化合物には:
β−(10−フェノチアジル)プロポキシホスホン酸;
β−(10−フェノチアジル)プロピル−ホスホン酸;
β−(10−フェノチアジル)プロピオネートホスホン酸;
β−(10−フェノキサジル)プロピオネートホスホン酸;および
(1−フェロセニル)イミド−ベンジルメチルホスホン酸が含まれる。
【0014】
本発明で使用するエレクトロクロミック化合物は、活性化して、同一の粒子上または近接するエレクトロクロミック粒子上の近接するエレクトロクロミック化合物間に化学結合を形成し得る反応基をも含み得る。以後、本明細書中では架橋基という。これらの基は、都合よくは、表面結合基の反対側の末端のエレクトロクロミック分子上に位置する。あるいは、架橋基は、例えばアルキル基を介してナノ粒子に結合し得、そのアルキル基はナノ粒子表面の結合基に連結し得る。各粒子はその外部表面に多数のこれらの反応基を含み得るため、これらの基の活性化は粒子の三次元架橋に通じる。活性化は、温度的、イオン的、還元的、酸化的、ラジカル的、光化学的または電気化学的手段によって開始し得る。好適な反応基には、ビニル、スチリル、(メタ)アクリレート、エポキシ、シラン、アミン、アルコール、カルボン酸およびカルボン酸ハロゲン化物が含まれる。ある種の場合において、活性化は、さらなる化学基、例えばジカルボン酸、ジアミンまたはジアルコールのごとき橋かけ分子との反応によって生じ得る。
【0015】
以下の表は前記のことを実証する:
【表1】

【0016】
【表2】

【0017】
架橋基は、太線で図示する結合を介して発色団基に結合している。この架橋基は異なるスキームを介して活性化し得るが、かかるスキームの幾つかはプリントする処方中に含まれるであろう開始剤(すなわち、A2、A4、A6、A7、A8)の添加を必要とし、幾つかは開始剤として熱または光しか必要としない。好ましいスキームには、プリント後の活性化プロセス工程が含まれる。これにより、プリントしたフィルムを架橋し得る際のより良好な制御が可能となる。したがって、好ましい方法には、処方およびフィルム中のさらなる化学開始剤の存在によって促進し得るまたは促進し得ない熱、光、または電気化学的ポテンシャル(A1、A3およびA5)への曝露が含まれる。
【0018】
エレクトロクロミック粒子の架橋は、得られるフィルムの機械的強度を高める。架橋は、重合体結合剤の必要性をなくし、エレクトロクロミック粒子をインクジェット・プリントに特に好適なものとしている。
【0019】
本発明のエレクトロクロミック粒子は、さらに、ナノ粒子の表面上に、ナノ粒子上に吸着したエレクトロクロミック化合物の凝集を妨害または阻害する1またはそれを超える化合物を含み得る。好適な凝集阻害化合物には、ホスホノエチルピリジニウム過塩素塩のごとき1またはそれを超えるアンカー官能基を運搬しているアルカンホスホネートおよびカチオン性ピリジニウムが含まれる。
【0020】
本発明のエレクトロクロミック粒子は、導電性、半導電性または絶縁性のナノ粒子および1またはそれを超えるエレクトロクロミック化合物を溶媒中で混合し、所望により、得られるエレクトロクロミック粒子を単離することによって調製し得る。
【0021】
ナノ粒子は、溶媒中でエレクトロクロミック化合物(または複数の化合物)と混合する前に、溶媒に懸濁し得る。後半の場合では、ナノ粒子溶媒およびエレクトロクロミック化合物溶媒は好ましくは同じである。混合は、典型的には、ほぼ25℃の温度にて、ほぼ30分ないし2時間行う。得られたエレクトロクロミック粒子は、例えば、遠心分離、および、ほぼ50℃ないし90℃の範囲の温度にてほぼ6時間ないし30時間乾燥させるようないずれかの好適な手段によって単離し得る。
【0022】
ナノ粒子およびエレクトロクロミック化合物を懸濁させ、および乾燥したエレクトロクロミック粒子を分散させるのに好適な溶媒には、ジエチルエーテル、1,1,1−トリクロロエタン、酢酸アミル、四塩化炭素、キシレン、酢酸エチル、トルエン、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン、ベンゼン、クロロホルム、トリクロロエチレン、メチルエチルケトン、アセトン、ジアセトンアルコール、二塩化エチレン、塩化メチレン、ピリジン、モルホリン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシド、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリンおよび水が含まれる。好ましい溶媒にはエタノール、N−メチルピロリドンおよび水が含まれる。
【0023】
電極を形成するためには、乾燥したエレクトロクロミック粒子をN−メチルピロリドンまたはポリビニルジフルオライドのごとき溶媒にペーストを形成するように分散し得、それは例えばステンシル・コーティングまたはインクジェット・プリントまたはスクリーン・プリントによって好適な基板に塗布し得る。基板上のペーストは、約50℃ないし200℃、好ましくは約80℃ないし150℃の範囲の温度にて乾燥し得る。基板は、例えば、ガラス、セラミック、金属またはプラスチックから形成され得、これらは所望によりフッ素またはアンチモンをドープした酸化スズのごとき導電性材料の層でコートされていてもよい。
【0024】
エレクトロクロミック粒子上に存在する1またはそれを超えるエレクトロクロミック化合物が1またはそれを超える架橋基を含む場合には、架橋開始剤を乾燥したエレクトロクロミック粒子の分散液に添加し得る。
【0025】
エレクトロクロミック・デバイスは、カウンター電極を準備し、カウンター電極を、本発明のエレクトロクロミック粒子を含む電極にシールし、ついで、イオン伝導性の媒体を組み入れることによって形成し得る。
【0026】
本発明のエレクトロクロミック粒子は以下の利点を有する:
1.それは、比較的低温の単一のプロセス工程で電極上に沈積し得、それによって電極用の可撓性基板のようなプラスチックのごとき熱感受性の材料の使用が許容され;
2.それは、特に、小さなピクセルサイズおよび1を超える有色ピクセルが同一電極またはイメージ上で必要な場合に、最終的なイメージのピクセルサイズおよび解像度のより大きな制御を許容し;
3.エレクトロクロミック粒子の色は、発色団の性質および相対量を変化させることによって制御し得る。例えば、(i)異なる発色団を有するエレクトロクロミック粒子を均一に混合し得、得られるフィルムは対応する混合した色を表示するであろう、および(ii)異なる発色団を有する異なるエレクトロクロミック粒子を基板上に並べて沈積し、それによってディスプレーの情報量の増加の可能性が提供される。エレクトロクロミック粒子からなるかかるピクセルは、高分解能マルチカラー(多色)ディスプレー・デバイスを達成し得るように個別にアドレス指定し得る。
【0027】
本発明を以下の実施例で説明する。
実施例1
エレクトロクロミック粒子は、発色団として0.1Mのビス−(2−ホスホノエチル)−4,4’−ビピリジニウムジクロリド(1.118g)および0.01Mの過塩素酸リチウム(0.0266g)を25mlの水に溶解することによって調製した。5gのTiO粉体(30nmの平均粒子サイズ)を発色団溶液に添加した。その混合物を25℃にて1時間攪拌し、その後に5000rpmで遠心してエレクトロクロミック粒子を分離した。エレクトロクロミック粒子をエタノール中に再分散させて、いずれの化学吸着しなかった発色団分子も溶解させ、リンス溶液から5000rpmでの遠心によって再度分離した。その後に、洗浄した固形物を70℃にて24時間乾燥させた。
【0028】
カソードを調製するために、4gの乾燥したエレクトロクロミック粒子を6gのN−メチルピロリドン中に分散させてペーストを形成した。このペーストを、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)ガラス基板上にステンシルコートし、ペーストをプリントした直後に以下の熱サイクルを用いてその基板を乾燥させた:
15分間にわたる室温(25℃)からほぼ100℃まで;
100℃にて30分間;
30分間にわたる室温(25℃)までの冷却。
【0029】
ついで、得られたカソードをエタノール中でリンスして、いずれの化学吸着しなかった発色団分子も除去した。
【0030】
実施例2
エレクトロクロミック粒子は、500mgのメシジン=ビスイミド(すなわち、1−ホスホノエチル−1’−(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,4’−ビピリジニウム=ジビスミド)を100mlのメタノールに溶解し、この溶液を2.5gの懸濁したTiOナノ粒子を含有する200mlのメタノールに20分間にわたって添加することによって調製した。メシジン=ビスイミドは、本出願人(NTera Limited)によって同日に出願された"Electrochromic Compounds"なる発明の名称の同時係属欧州特許出願に開示され、特許請求されているエレクトロクロミック化合物である。添加が完了したら、その混合物を25℃にて1時間攪拌し、その後に5000rpmで遠心してエレクトロクロミック粒子を分離した。エレクトロクロミック粒子をエタノール中に再分散して、いずれの化学吸着しなかった発色団分子も溶解し、リンス溶液から5000rpmでの遠心によって再度分離した。その後に、洗浄した固形物を70℃にて24時間乾燥した。
【0031】
カソードを調製するために、4gの乾燥したエレクトロクロミック粒子を6gのN−メチルピロリドンに分散させてペーストを形成した。このペーストを、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)ガラス基板上にステンシルコートし、ペーストをプリントした直後に以下の熱サイクルを用いてその基板を乾燥させた:
15分間にわたる室温(25℃)から60℃まで;
60℃にて30分間;
30分間にわたる室温(25℃)までの冷却。
【0032】
ついで、得られたカソードをエタノール中でリンスして、いずれの化学吸着しなかった発色団分子も除去した。
【0033】
実施例3
エレクトロクロミック粒子は、500mgの1−ホスホノエチル−1’−(4−スチリル)−4,4’−ビピリジニウム二過塩素酸塩を、2.5gの懸濁したTiOナノ粒子を含有する200mlのメタノールに溶解することによって調製した。1−ホスホノエチル−1’−(4−スチリル)−4,4’−ビピリジニウム二過塩素酸塩はWO−A−03/001288に開示されている。その混合物を25℃にて1時間攪拌させ、その後に5000rpmで遠心してエレクトロクロミック粒子を分離した。そのエレクトロクロミック粒子をエタノール中に再分散させて、いずれの化学吸着しなかった発色団分子も溶解し、リンス溶液から5000rpmでの遠心によって再度分離した。その後に、洗浄した固形物を70℃にて24時間乾燥させた。
【0034】
カソードを調製するために、4gの乾燥したエレクトロクロミック粒子を、光開始剤としての300mgのアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を含有する6gのN−メチルピロリドンに分散してプリンティング・ペーストを形成した。そのペーストを、酸化インジウム−酸化スズ(ITO)ガラス基板上にステンシルコートした。コーティング直後に、その基板を乾燥させ、フィルムを80℃にて60分間架橋した。
【0035】
実施例4
カソード(40mm×40mm)は、実施例1の手法に従って調製した。
カウンター電極を調製するために、透明導電性酸化物としてフッ素ドープ酸化スズ(FTO)でコートしたガラス基板(50mm×50mm)を、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)でスクリーン・プリンティングによってコートし、60℃にて20−30分間加熱した。ルチル・チタニアの白色顔料粒子を含む白色反射ペーストを、スクリーン・プリンティングによってATO層上にコートし、その二重層を450℃にて45分間焼結させた。
【0036】
カソードは、エポキシ製ガスケットシールを用いてカウンター電極にシールした。得られたエレクトロクロミック・デバイスは、真空下、ガンマ−ブチロラクトン中の過塩素酸リチウムの0.2Mの電解質溶液で埋め戻し、UV光下で硬化した。このエレクトロクロミック・デバイスを横切って1.3Vを印加すると、デバイスの発色を生じる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、実施例1で調製したエレクトロクロミック粒子のUV−可視光反射スペクトルを示し;
【図2】図2は、10mV/secのスキャン速度の、実施例4のエレクトロクロミック・デバイスのサイクリック・ボルタモグラムである。デバイス発色用の開始電圧は、ほぼ−0.8ボルトであり、これはデバイスのエネルギー消費の観点から非常に有利である;
【図3】図3は、実施例4のデバイスに−1.3ボルトのパルスを印加した場合のデバイスのchronocoulometry挙動(電荷−対−時間)を示す。完全な発色に相当する電荷の量は、ほぼ4mC/cmである。低開始電圧と合わさって、この電荷消費はこれらのフィルムを含むデバイスに低電力消費をもたらす;および
【図4】図4は、白色になった状態(実線−によって図示する短絡)および発色状態(鎖線によって図示する発色電圧(−1.3V)パルスを印加した直後)、および同時に開回路で保持した15分後(破線----によって図示する)の実施例4のデバイスの反射率を示す。45.62%ほども高い反射率が白色になった状態で得られ、7.74%ほども低い反射率が発色した状態で得られ、これは5.89のコントラスト比を与える。これらの結果は、WO−A−98/35267およびWO−A−01/27690に開示されている型のデバイスを用いて得たものと非常に合って比較する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に吸着した1またはそれを超えるエレクトロクロミック化合物を有する導電性、半導電性または絶縁性のナノ粒子を含む分離したエレクトロクロミック粒子。
【請求項2】
固形物または懸濁液の形態で存在する請求項1記載のエレクトロクロミック粒子。
【請求項3】
ナノ粒子が、50nmまでの、好ましくは30nmまでの平均粒子サイズを有する請求項1または2記載のエレクトロクロミック粒子。
【請求項4】
ナノ粒子が導電性または半導電性である請求項1ないし3いずれか1項に記載のエレクトロクロミック粒子。
【請求項5】
ナノ粒子が、以下の金属:チタン、ジルコニウム、ハフニウム、クロム、モリブデン、インジウム、スズ、タングステン、バナジウム、ニオブ、タンタル、銀、亜鉛、セリウム、ストロンチウム、鉄(2価および3価)またはニッケルのドープまたは非ドープ酸化物、またはそれらのペロブスキーから選択され、好ましくはTiO、WO、SnO、MoO、In/SnOまたはZnOである請求項1ないし4いずれか1項に記載のエレクトロクロミック粒子。
【請求項6】
金属酸化物が、F、Cl、Sb、P、As、B、Al、In、Ga、Si、Sn、Ti、Ge、Zr、LiおよびHfによってドープされている請求項5記載のエレクトロクロミック粒子。
【請求項7】
エレクトロクロミック化合物がn−型またはp−型のものである請求項1ないし6いずれか1項に記載のエレクトロクロミック粒子。
【請求項8】
エレクトロクロミック化合物がn−型のものであって、ビス−(2−ホスホノエチル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリド、1−ホスホノエチル−1'−(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,4’−ビピリジニウム=ジビスイミドおよび1−ホスホノエチル−1'−(4−スチリル)−4,4'−ビピリジニウム二過塩素酸塩から選択される請求項7記載のエレクトロクロミック粒子。
【請求項9】
エレクトロクロミック化合物がp−型のものであって、β−(10−フェノチアジル)プロポキシホスホン酸;β−(10−フェノチアジル)プロピル−ホスホン酸;β−(10−フェノチアジル)プロピオネートホスホン酸;β−(10−フェノキサジル)プロピオネートホスホン酸;および(1−フェロセニル)イミド−ベンジルメチルホスホン酸から選択される請求項7記載のエレクトロクロミック粒子。
【請求項10】
エレクトロクロミック化合物または各エレクトロクロミック化合物が1またはそれを超える架橋基を含む請求項1ないし9いずれか1項に記載のエレクトロクロミック粒子。
【請求項11】
架橋基がビニル、スチリル、(メタ)アクリレート、エポキシ、シラン、アミン、アルコール、カルボン酸およびカルボン酸ハロゲン化物から選択される請求項10記載のエレクトロクロミック粒子。
【請求項12】
ナノ粒子が、さらに、その表面に、ナノ粒子に吸着したエレクトロクロミック化合物の凝集を防ぐまたは阻害する1またはそれを超える化合物を含む請求項1ないし11いずれか1項に記載のエレクトロクロミック粒子。
【請求項13】
凝集を阻害する化合物が、1またはそれを超えるアンカー官能基を運搬しているアルカンホスホネートおよびカチオン性ピリジニウムから選択される請求項12記載のエレクトロクロミック粒子。
【請求項14】
導電性、半導電性または絶縁性のナノ粒子および1またはそれを超えるエレクトロクロミック化合物を溶媒中で混合し、所望により、得られるエレクトロクロミック粒子を単離することを含む請求項1ないし13いずれか1項に記載のエレクトロクロミック粒子の調製方法。
【請求項15】
ナノ粒子を、溶媒中でエレクトロクロミック化合物(または複数の化合物)と混合する前に単離し、溶媒に懸濁する請求項14記載の方法。
【請求項16】
ナノ粒子を懸濁するために使用する溶媒およびエレクトロクロミック化合物(または複数の化合物)を溶解するための溶媒が同じである請求項15記載の方法。
【請求項17】
溶媒がエタノール、N−メチルピロリドンまたは水である請求項14ないし16いずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
さらに、単離したエレクトロクロミック粒子を乾燥させることを含む請求項14ないし17いずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
さらに、乾燥したエレクトロクロミック粒子を、ペーストを形成するように溶媒中に分散させ、該ペーストを第1の電極を形成するように基板に塗布することを含む請求項18記載の方法。
【請求項20】
さらに、該ペーストを、約50℃ないし約200℃、好ましくは約80℃ないし150℃の範囲の温度にて、基板上で乾燥させることを含む請求項19記載の方法。
【請求項21】
ペーストを、ステンシル・コーティングまたはインクジェット・プリントもしくはスクリーン・プリントによって塗布する請求項19または20記載の方法。
【請求項22】
基板が、所望によりフッ素またはアンチモンでドープした酸化スズのごとき導電性金属の層でコートされていてもよい、ガラス、セラミック、金属またはプラスチックから形成されている請求項19ないし21いずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
エレクトロクロミック粒子上の1またはそれを超えるエレクトロクロミック化合物に1またはそれを超える架橋基が含まれ、ペーストも架橋開始剤を含む請求項19ないし22いずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
さらに、エレクトロクロミック・デバイスを形成するように、カウンター電極を調製し、該カウンター電極を第1の電極にシールし、イオン伝導性の媒体を組み入れることを含む請求項19ないし23いずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
請求項1ないし13いずれか1項に記載のエレクトロクロミック粒子を含む電極またはエレクトロクロミック・デバイス。
【請求項26】
電極またはエレクトロクロミック・デバイスの製造における請求項1ないし13いずれか1項に記載のエレクトロクロミック粒子の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−518408(P2006−518408A)
【公表日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−502613(P2006−502613)
【出願日】平成16年1月30日(2004.1.30)
【国際出願番号】PCT/IE2004/000013
【国際公開番号】WO2004/067672
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(505240318)エヌテラ・リミテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】NTERA LIMITED
【Fターム(参考)】