説明

エレクトロクロミック表示素子およびその製造方法

【課題】 表示面の光透過性が高く、小型化可能なエレクトロクロミック表示素子を提供する。
【解決手段】 本発明のエレクトロクロミック表示素子10は、第1の電極15と、第2の電極16と、電解質層14と、エレクトロクロミック層13とを含み、電解質層14およびエレクトロクロミック層13が、第1の電極15上に配置され、第2の電極16が、電解質層14およびエレクトロクロミック層13の少なくとも一方の側面に配置され、第1の電極15と第2の電極16との間で、電解質層14およびエレクトロクロミック層13に電圧を印加可能であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロクロミック表示素子およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気化学反応により色が変化するエレクトロクロミズムは、調光ガラス等に応用されている。前記エレクトロクロミズムは、例えば、電子ペーパー、不揮発ディスプレイ等の高精細で低消費電力な表示デバイス(エレクトロクロミック表示素子)への応用が期待されている。このようなエレクトロクロミック表示素子は、例えば、一対の電極間に、エレクトロクロミック層及び電解質層が挟まれた構造が知られている(例えば、特許文献1および非特許文献1参照)。これらのエレクトロクロミック表示素子では、一対の電極間に、電圧を印加することで、エレクトロクロミズムが発現される。エレクトロクロミック表示素子では、変化させた色の可視化のために、少なくとも表示面側の電極は、透明な材料(透明電極)で構成される。なお、前記特許文献1には、各画素(エレクトロクロミック表示素子)に能動素子を配置して、マトリクス駆動させる表示装置の例も開示されている。また、前記非特許文献1には、電解質層の両側にエレクトロクロミック層が形成され、それらが一対の電極で挟まれた構造の素子が開示されている。
【0003】
一方、一対の電極が同一基板上に配置されたエレクトロクロミック表示素子(横電界型)も提案されている(例えば、特許文献2および3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−287173号公報
【特許文献2】特開2006−030820号公報
【特許文献3】特開2006−323191号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Chemistry of Materials,1998,vol.10,p.2101.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1および前記非特許文献1に記載のエレクトロクロミック表示素子では、表示面側に使用される透明電極は、可視光領域で完全には透明ではないため、表示面の光透過性が低下し、その結果、エレクトロクロミック表示素子の明るさおよびコントラストが低下する問題があった。前記透明電極として、一般に使用されるインジウム−スズ酸化物(ITO)等の透明電極材料では、酸化物結晶にドーピングすることで格子欠陥を導入し、キャリア濃度を高めている。キャリアとなる自由電子の増加は、プラズマ振動数を増加させることで、可視光領域にも吸収が生じてしまう。このように、自由電子が増加し、電気伝導性が高くなると、透明電極の透明性は損なわれてしまう。すなわち、前記透明電極における、電気伝導性と透明性とは本質的にトレードオフの関係にある。
【0007】
一方、前記特許文献2および前記特許文献3に記載のエレクトロクロミック表示素子では、素子の表示面側に電極を配置する必要がないため、光透過性の点では有利である。しかしながら、一対の電極が同一基板上に横にして配置されるため、エレクトロクロミック表示素子をアレイ状に配列した表示デバイス(表示装置)では、個々のエレクトロクロミック表示素子(画素)の小型化が困難である。この結果、表示装置における表示の高精細化が困難である。
【0008】
そこで、本発明は、表示面の光透過性が高く、小型化可能なエレクトロクロミック表示素子およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明のエレクトロクロミック表示素子は、
第1の電極と、第2の電極と、電解質層と、エレクトロクロミック層とを含み、
前記電解質層および前記エレクトロクロミック層が、前記第1の電極上に配置され、
前記第2の電極が、前記電解質層および前記エレクトロクロミック層の少なくとも一方の側面に配置され、
前記第1の電極と前記第2の電極との間で、前記電解質層および前記エレクトロクロミック層に電圧を印加可能であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明による、前記本発明のエレクトロクロミック表示素子の製造方法は、
第1の電極上に、電解質層を形成する電解質層形成工程と、
前記第1の電極上に、エレクトロクロミック層を形成するエレクトロクロミック層形成工程と、
前記電解質層および前記エレクトロクロミック層の少なくとも一方の側面に、前記第1の電極と前記第2の電極との間で、前記電解質層および前記エレクトロクロミック層に電圧を印加可能であるように、第2の電極を形成する第2の電極形成工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、表示面の光透過性が高く、小型化可能なエレクトロクロミック表示素子およびその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明のエレクトロクロミック表示素子の一例(実施形態1)の構成を示す縦断面図である。
【図2】図2は、図1に示すエレクトロクロミック表示素子のI−I方向に見た横断面図である。
【図3】図3は、前記実施形態1における第2の電極のその他の例を示す横断面図である。
【図4】図4は、前記実施形態1における第2の電極のさらにその他の例を示す縦断面図である。
【図5】図5は、本発明のエレクトロクロミック表示素子のその他の例(実施形態2)の構成を示す縦断面図である。
【図6】図6は、本発明のエレクトロクロミック表示素子の一例(実施形態3)の構成の一部を示す縦断面図である。
【図7】図7は、図6に示すエレクトロクロミック表示素子のII−II方向に見た横断面図である。
【図8】図8は、前記実施形態3のエレクトロクロミック表示素子の製造方法の一工程を説明する縦断面図である。
【図9】図9は、前記実施形態3における隔壁のその他の例を示す縦断面図である。
【図10】図10は、本発明のエレクトロクロミック表示素子のさらにその他の例(実施形態4)の構成の一部を示す縦断面図である。
【図11】図11は、本発明のエレクトロクロミック表示素子のさらにその他の例(実施形態5)の構成の一部を示す縦断面図である。
【図12】図12は、本発明のエレクトロクロミック表示素子のさらにその他の例(実施形態6)の構成の一部を示す縦断面図である。
【図13】図13は、図12に示すエレクトロクロミック表示素子のIII−III方向に見た横断面図である。
【図14】図14は、本発明のエレクトロクロミック表示素子を適用した情報表示装置の一例(実施形態7)の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明において、前記「上に」は、特に断らない限り、上面に直接接触している状態に限定されず、間に他の構成要素等が存在し、直接接触していない状態も含む。「の上に」も同様である。また、本発明において、前記「第1の電極上」および「第1の電極の上」は、前記第1の電極の、エレクトロクロミック表示素子における表示面側上である。「電解質層の上」は、前記電解質層の、エレクトロクロミック表示素子における表示面側上である。
【0014】
本発明において、前記「側面に」は、特に断らない限り、側面に直接接触している状態に限定されず、間に他の構成要素等が存在し、直接接触していない状態も含む。「片面側に」は、特に断らない限り、片面側に直接接触している状態でもよいし、間に他の構成要素等が存在し、直接接触していない状態でもよい。「他面側に」は、特に断らない限り、他面側に直接接触している状態でもよいし、間に他の構成要素等が存在し、直接接触していない状態でもよい。
【0015】
本発明において、「積層」は、特に断らない限り、層と層とが直接接して積層されている状態に限定されず、層と層との間に、他の構成要素等が存在し、直接接していない状態で積層されている場合も含む。
【0016】
本発明において、前記電解質層および前記エレクトロクロミック層の「サイズ」は、例えば、前記電解質層および前記エレクトロクロミック層の平面形状の面積、または、前記平面形状における辺の長さを意味する。前記辺の長さは、例えば、前記平面形状が、正方形の場合にはその一辺の長さ、正方形以外の矩形の場合にはその長辺または短辺の長さ、円形の場合にはその直径または半径の長さ、楕円形の場合には長径または短径の長さを意味する。他の層状の構成要素についても、同様である。
【0017】
つぎに、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の説明により限定されない。なお、以下の図1から図14において、同一部分には、同一符号を付している。また、図面においては、説明の便宜上、各部の構造は適宜簡略化して示す場合があり、各部の寸法比等は、実際とは異なる場合がある。
【0018】
[実施形態1]
本実施形態のエレクトロクロミック表示素子は、エレクトロクロミズムによる発色を利用した不揮発性表示素子の一例である。図1および図2に、本実施形態のエレクトロクロミック表示素子の構成を示す。図1は、本実施形態のエレクトロクロミック表示素子の構成を示す縦断面図である。図2は、図1に示すエレクトロクロミック表示素子のI−I方向に見た横断面図である。
【0019】
(1)全体構成
図1および図2に示すように、本実施形態のエレクトロクロミック表示素子10は、第1の電極15と、第2の電極16と、電解質層14と、エレクトロクロミック層13とを主要な構成要素として含む。第1の電極15の上には、電解質層14が積層され、電解質層14の上には、エレクトロクロミック層13が積層されている。第2の電極16は、エレクトロクロミック層15の側面の全部を囲むように形成されている。図1において、本実施形態のエレクトロクロミック表示素子10の表示面側は、エレクトロクロミック層13側である。
【0020】
(2)エレクトロクロミック層
エレクトロクロミック層13は、電気化学的な酸化または還元により変色する性質を有するエレクトロクロミック材料を含んでいる。前記エレクトロクロミック材料は、従来公知のものが使用でき、例えば、導電性高分子、遷移金属酸化物、遷移金属錯体、遷移金属塩等があげられる。前記導電性高分子は、例えば、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、またはこれらの誘導体等があげられる。前記遷移金属酸化物は、例えば、酸化タングステン、五酸化バナジウム等があげられる。前記遷移金属錯体は、例えば、プルシアンブルーまたはその類似体等があげられる。前記プルシアンブルーおよびその類似体は、様々な色を表示できる。このため、前記エレクトロクロミック材料として、プルシアンブルーおよびその類似体を使用することで、例えば、エレクトロクロミック表示素子毎に、赤、緑、青に発色させれば、カラー表示も可能となる。
【0021】
(3)電解質層
電解質層14は、電解質を含んでおり、エレクトロクロミック層13に電解質を供給する層である。前記電解質は、特に制限されず、前記エレクトロクロミック材料の選択に応じて、適宜選択できる。前記電解質は、例えば、リチウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩等があげられる。電解質層14の形態は、特に制限されず、例えば、固体でも、液体でも、ゲル体でもよい。これらの中でも、エレクトロクロミック表示素子の製造が容易となる点から、電解質層14は、ゲル電解質層または固体電解質層が好ましい。また、電解質層14は、例えば、白色の酸化チタンを含んでもよい。前記酸化チタンを含むことで、例えば、後述するエレクトロクロミック表示素子の作動において、エレクトロクロミック層13が消色した際に、白色が表示され、例えば、紙と同様な表示が可能となる。
【0022】
第1の電極15の上に電解質層14を積層し、電解質層14の上にエレクトロクロミック層13を積層する方法は、特に制限されず、電解質層14における前記電解質の種類および電解質層14の形態、ならびに、エレクトロクロミック層13における前記エレクトロクロミック材料の種類等に応じて、適宜選択できる。
【0023】
(4)第1の電極
第1の電極15は、前記表示面側とは反対側に配置された電極である。このため、本実施形態のエレクトロクロミック表示素子10が、例えば、反射型表示素子の場合には、第1の電極15は、必ずしも透明電極である必要はなく、例えば、製造工程または電気特性の要求に応じて、適宜選択できる。第1の電極15の形成材料は、特に制限されず、例えば、透明電極材料、金属材料、カーボンナノ材料等があげられる。前記透明電極材料は、例えば、酸化インジウム、酸化スズ、またはこれらを含む化合物があげられる。前記金属材料は、例えば、Au、Ag、Cu、Alまたはこれらの合金等があげられる。前記カーボンナノ材料は、例えば、カーボンナノチューブ(CNT)、または、CNTと他のカーボンナノ材料との複合体もしくは混合物等があげられる。第1の電極15の形状は、特に制限されず、例えば、層状(膜状)、微細な粒が凝集した粒状(塊状)、微細な孔が形成された多孔質状等があげられる。層状(膜状)の第1の電極15は、第1の電極層ということができる。第1の電極15は、例えば、前述の形成材料を使用して、従来公知の方法により形成できる。
【0024】
(5)第2の電極
第2の電極16は、前述のように、エレクトロクロミック層13の側面の全部を囲むように形成された電極である。このため、第2の電極16は、必ずしも透明電極である必要はなく、例えば、製造工程または電気特性の要求に応じて、適宜選択できる。第2の電極16の形成材料は、特に制限されず、例えば、透明電極材料、金属材料、カーボンナノ材料等があげられる。これらの形成材料は、前述と同様のものを使用できる。例えば、第2の電極16の形成材料に、Ag等の導電性ペーストまたはCuメッキ等を使用すれば、例えば、低温で、かつ、真空プロセスを使用せずに、第2の電極16を形成できる。また、例えば、第2の電極16の形成材料に、不透明な材料を使用すれば、例えば、ITO等の透明導電材料を使用しないため、第2の電極16を低コストに形成できる。第2の電極16の形状は、特に制限されず、例えば、層状(膜状)、微細な粒が凝集した粒状(塊状)、微細な孔が形成された多孔質状等があげられる。層状(膜状)の第2の電極16は、第2の電極層ということができる。
【0025】
(6)エレクトロクロミック表示素子の作動
つぎに、本実施形態のエレクトロクロミック表示素子10の作動について、前記エレクトロクロミック材料としてプルシアンブルー(Fe3+[Fe(II)(CN))を、前記電解質としてカリウム塩を使用した場合を例にあげて説明する。ただし、本発明は、この例には限定されない。
【0026】
まず、第1の電極15および第2の電極16を電源装置(図示せず)に接続する。つぎに、第1の電極15が第2の電極16に対して正の電位となるように、第1の電極15と第2の電極16との間に電圧を印加する。前記電圧印加により、カリウムイオンが、電解質層14からエレクトロクロミック層13に導入され、プルシアンブルーの格子に移動する。これにより、青色であった酸化体のプルシアンブルー(Fe3+[Fe(II)(CN))が還元されて、無色透明な還元体(KFe2+[Fe(II)(CN))に変化する。このようにして、本実施形態のエレクトロクロミック表示素子10を、無色の表示とすることができる。
【0027】
この状態で、第1の電極15が第2の電極16に対して負の電位となるように、第1の電極15と第2の電極16との間に電圧を印加する。前記電圧印加により、無色透明であった還元体のプルシアンブルーが酸化されて、青色の酸化体に変化する。このようにして、本実施形態のエレクトロクロミック表示素子10を、青色の表示とすることができる。
【0028】
エレクトロクロミック層13のそれぞれの着色状態にはメモリ性があるため、電圧の印加をオフ状態にしても、前記着色状態が保持される。
【0029】
本実施形態のエレクトロクロミック表示素子10では、前述のように、第1の電極15は、前記表示面側とは反対側に配置され、そして、第2の電極16は、エレクトロクロミック層13の側面に形成されている。したがって、前記表示面には、透明電極等の光の透過を妨げる構成が存在しない。このため、本実施形態のエレクトロクロミック表示素子10は、表示面の光透過性が高い。この結果、例えば、明るさまたはコントラスト等が改善し、より高品質な表示が可能である。
【0030】
また、本実施形態のエレクトロクロミック表示素子10では、第2の電極16を、エレクトロクロミック層13の側面に形成している。このため、例えば、前記特許文献2および前記特許文献3(特開2006−030820号公報および特開2006−323191号公報)に記載のエレクトロクロミック表示素子(横電界型)のように、第2の電極の配置のためのスペースを必要としない。したがって、本実施形態のエレクトロクロミック表示素子10は、小型化が可能である。この結果、本実施形態のエレクトロクロミック表示素子10は、例えば、表示装置における表示の高精細化にも対応できる。
【0031】
(7)その他の形態
本実施形態のエレクトロクロミック表示素子10では、前述のように、第2の電極16は、エレクトロクロミック層13の側面の全部を囲むように形成されている。このような形態であれば、第2の電極16の面積を大きくできるため好ましいが、本発明は、これには限定されない。例えば、図3(a)および図3(b)の横断面図に示すように、第2の電極16は、エレクトロクロミック層13の側面の一部のみに形成されてもよい。また、第1の電極15と第2の電極16との間で、電解質層14およびエレクトロクロミック層13に電圧を印加可能であれば、例えば、図4の縦断面図に示すように、第2の電極16は、エレクトロクロミック層13の側面に加えて、電解質層14の側面に形成されてもよい。これらの形態でも、表示面の光透過性が高く、小型化可能であるという、本発明の効果が得られる。
【0032】
[実施形態2]
本実施形態のエレクトロクロミック表示素子は、エレクトロクロミズムによる発色を利用した不揮発性表示素子の一例である。図5に、本実施形態のエレクトロクロミック表示素子の構成を示す。図5は、本実施形態のエレクトロクロミック表示素子の構成を示す縦断面図である。
【0033】
図5に示すように、本実施形態のエレクトロクロミック表示素子20は、第1の電極25と、第2の電極26と、電解質層24と、エレクトロクロミック層23とを主要な構成要素として含む。第1の電極25の上には、エレクトロクロミック層23が積層され、エレクトロクロミック層23の上には、電解質層24が積層されている。第2の電極26は、電解質層24の側面の全部を囲むように形成されている。図5において、本実施形態のエレクトロクロミック表示素子20の表示面側は、電解質層24側である。本実施形態のエレクトロクロミック表示素子20は、上記のように構成されているため、前記本発明の効果が得られる。
【0034】
本実施形態のエレクトロクロミック表示素子20における各構成部材は、例えば、前記実施形態1のエレクトロクロミック表示素子の各構成部材と同様のものを使用できる。なお、本実施形態のエレクトロクロミック表示素子20では、第2の電極26は、電解質層24の側面の全部を囲むように形成されている。このような形態であれば、第2の電極26の面積を大きくできるため好ましいが、本発明は、これには限定されない。前記第2の電極は、例えば、前記電解質層の側面の一部のみに形成されてもよい。また、前記第2の電極は、前記第1の電極との間で、前記電解質層および前記エレクトロクロミック層に電圧を印加可能であれば、例えば、前記電解質層の側面に加えて、前記エレクトロクロミック層の側面に形成されてもよい。これらの形態でも、前記本発明の効果が得られる。
【0035】
以下の実施形態3〜6において、本発明のエレクトロクロミック表示素子の具体的な実施形態について、さらに示す。これらの形態でも、当然に、前記実施形態1で示したのと同様に、エレクトロクロミック表示素子として作動し、かつ、表示面の光透過性が高く、小型化可能であるという、本発明の効果が得られる。
【0036】
[実施形態3]
本実施形態のエレクトロクロミック表示素子は、複数のエレクトロクロミック表示素子を有する場合の一例である。図6および図7に、本実施形態のエレクトロクロミック表示素子の構成を示す。図6は、本実施形態のエレクトロクロミック表示素子の一部の構成を示す縦断面図である。図7は、図6に示すエレクトロクロミック表示素子のII−II方向に見た横断面図である。
【0037】
(1)全体構成
図6および図7に示すように、本実施形態のエレクトロクロミック表示素子は、複数のエレクトロクロミック表示素子と、複数の能動素子109と、複数の接続配線と、隔壁107と、透明絶縁層102と、基材108とを主要な構成要素として含む。複数のエレクトロクロミック表示素子は、隔壁107により、相互に離れた状態でマトリックス状に配置されている。隔壁107により相互に離れた状態で配置された表示の単位素子を画素101という(以下、同様)。各画素101において、基材108の表示面側が着色部となっており、着色部の表示面側には、透明絶縁層102が配置されている。この透明絶縁層102により、画素101の表示面側は封止されている。前記着色部において、基材108上には、第1の電極105が形成され、第1の電極105を覆うように、電解質層104が形成され、電解質層104を覆うようにエレクトロクロミック層103が形成されている。さらに、隔壁107の側面には、第2の電極106が形成されており、第2の電極106は、エレクトロクロミック層103の側面の全部と接している。透明絶縁層102の前記着色部側の面には、凸部が形成されており、この凸部が隔壁107として機能している。第2の電極106は、前記凸部の頭頂部にも形成されており、これにより、第2の電極106に複数のエレクトロクロミック表示素子が接続されている。なお、図7における符号201は、第1の電極105の面方向の外形を示し、符号202は、電解質層104の面方向の外形を示す。
【0038】
基材108の前記表示面側とは反対側の面には、能動素子109および前記接続配線が配置されている。能動素子109は、基材108を隔てて、第1の電極105と対応する位置に配置されている。能動素子109は、チャネル112を有するトランジスタであり、前記接続配線は、ソース線110およびゲート線111である。ソース線110およびゲート線111は、それぞれ、能動素子109のソースおよびゲートに接続されている。各画素101におけるソース線110およびゲート線111により、マトリックス配線が形成されている。能動素子109、ソース線110およびゲート線111は、封止層114により封止されている。封止層114には、従来公知のものが使用できる。なお、前記能動素子は、例えば、前記基材を隔てて、前記隔壁と対応する位置に配置されてもよい。
【0039】
基材108には、その両面を貫通する貫通配線113が形成されており、第1の電極105および能動素子109のドレインは、貫通配線113により、電気的に接続されている。
【0040】
本実施形態のエレクトロクロミック表示素子における、第1の電極105、第2の電極106、電解質層104およびエレクトロクロミック層103は、例えば、前記実施形態1で示した各構成部材と同様のものが使用できる。なお、第2の電極106は、透明でも、不透明でもよく、隣接した画素101間の混色を防止する観点から、不透明であることが好ましい。
【0041】
(2)透明絶縁層
透明絶縁層102は、透明性と絶縁性を有する形成材料から形成される。前記形成材料は、例えば、無機材料および有機材料等があげられる。前記無機材料は、例えば、ガラス、石英等があげられる。前記有機材料は、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂等があげられる。透明絶縁層102は、エレクトロクロミック表示素子の製造工程で加えられる熱または薬品等に耐性のある材料から形成されることが好ましい。透明絶縁層102の厚さは、特に制限されず、例えば、エレクトロクロミック表示素子の用途等に応じて適宜設定できる。
【0042】
(3)隔壁
本実施形態のエレクトロクロミック表示素子において、隔壁107は、前述のように、透明絶縁層102に形成された凸部である。前記凸部は、例えば、透明絶縁層102における凸部とする部分以外の部分を除去して形成してもよいし、別途準備した凸部となる部材を、透明絶縁層102の表面に形成してもよい。別途凸部となる部材を透明絶縁層102の表面に形成する場合には、前記凸部の形成材料は、透明絶縁層102と同じ材料でも、異なる材料でもよい。前記凸部は、透明でも、不透明でもよく、隣接した画素101間の混色を防止する観点から、不透明であることが好ましい。前記形成材料は、例えば、ポリイミド等があげられる。
【0043】
(4)基材
基材108は、絶縁性を有することが好ましい。基材108の形成材料は、特に制限されず、例えば、透明絶縁層102で示したものと同様のものがあげられる。本実施形態のエレクトロクロミック表示素子を、反射型の表示装置として使用する場合には、基材108は、不透明でもよく、この場合には、基材108の形成材料は、例えば、シリコン、ポリイミド等を使用してもよい。基材108は、例えば、リジッドな基材でもよいし、柔軟な基材でもよく、用途に応じて適宜選択できる。基材108に形成される貫通配線113は、導電性を有し、例えば、従来公知の方法で形成できる。
【0044】
(5)能動素子
能動素子109は、第1の電極105を制御する素子であり、前述のように、トランジスタである。前記トランジスタの形成材料は、特に制限されず、例えば、カーボンナノチューブ(CNT);アモルファスシリコン(Si)、IGZO(InGaZnOx)等の透明アモルファス酸化物半導体;ペンタセン、アントラセン等の有機半導体等があげられる。前記トランジスタは、印刷で簡易に作製可能なため、CNTトランジスタが好ましい。
【0045】
(6)製造方法
つぎに、図8の縦断面図を参照して、本実施形態のエレクトロクロミック表示素子の製造方法を説明する。ただし、以下で説明する製造方法は、一例であり、本発明は、この例により、なんら制限されない。
【0046】
図8に示すように、まず、前記透明絶縁層であるガラス102上に、スクリーン印刷法でポリイミドを格子状に印刷する。このポリイミドを硬化(キュア)して隔壁107とする。硬化後のポリイミド(隔壁107)を覆うように、Agインクを印刷して第2の電極106を形成する。つぎに、エレクトロクロミック材料(例えば、プルシアンブルー等)を分散させたインクを調製し、このインクを、前記ガラス表面の格子パターン内側に印刷してエレクトロクロミック層103を形成し、さらに、このエレクトロクロミック層103上に、ゲル状の電解質を印刷して電解質層104を形成する。このようにして、第1のシート301を作製する。
【0047】
つぎに、前記基材であるポリイミドフィルム108上に、CNTトランジスタ109および第1の電極105を、以下の手順で形成して、第2のシート302を作製する。すなわち、まず、ゲートをAgインクで、絶縁膜をポリイミドインクで、ソースおよびドレインをAgインクで、そして、チャネル112をCNTインクで、それぞれ、配線パターン(ソース線110およびゲート線111)とともに順次印刷して、CNTトランジスタ109をする。その後、ポリイミドフィルム108のCNTトランジスタ109を形成した側の面を封止樹脂で封止する(封止層114)。つぎに、ポリイミドフィルム108の反対側の面から、ポリイミドフィルム108に、レーザでビアを開口する。ポリイミドフィルム108の前記ビアを含む領域に、Agインクを印刷して第1の電極105を形成する。このようにすることで、前記ビアにAgインクが充填されて貫通配線113が形成されるとともに、貫通配線113により、第1の電極105とCNTトランジスタ109のドレインとが、電気的に接続される。このようにして、第2のシート302を作製する。
【0048】
そして、第1のシート301の電解質層104と第2のシート302の第1の電極105との位置を合わせて、第1のシート301と第2のシート302とを貼り合せる。このようにして、本実施形態のエレクトロクロミック表示素子を製造できる。ただし、本実施形態のエレクトロクロミック表示素子の製造方法は、この例に限定されず、例えば、真空プロセスを利用した方法でもよい。なお、第1のシート301および第2のシート302は、予め作製されたものを購入等して使用してもよい。
【0049】
本実施形態のエレクトロクロミック表示素子では、基材108の表示面側とは反対側に、能動素子109および前記マトリックス配線が配置されている。このため、例えば、これらのレイアウトが、前記着色部の面積を制限しない。したがって、表示装置を高精細化するために、画素101を小型化する際に、従来のエレクトロクロミック表示素子と比較して、例えば、能動素子109および前記マトリックス配線の微細化が比較的緩やかな条件で済み、エレクトロクロミック表示素子の製造が容易である。特に、本実施形態のエレクトロクロミック表示素子を反射型とする場合には、例えば、電解質層104に白色顔料を添加して、電解質層104を不透明にする。この場合、基材108の表示面側とは反対側に配置された能動素子109および前記マトリックス配線は、視認されず、能動素子109および前記マトリックス配線のレイアウトは、視認性に影響を与えない。このため、例えば、能動素子109および前記マトリックス配線を形成する材料の制限が緩和される。したがって、微細化と同時に大面積化する場合でも、例えば、配線幅の減少による高抵抗化を抑制でき、さらに、低抵抗であるが可視光を反射するような金属材料を使用することもできる。この結果、例えば、配線の低抵抗化、表示(書換え)にかかる消費電力の低減、表示速度の向上等の効果がある。
【0050】
本実施形態のエレクトロクロミック表示素子では、前述のように、第1の電極105は、エレクトロクロミック層103の表示面側とは反対側に配置され、第2の電極106は、複数の画素101に対して共通に形成されている。このため、エレクトロクロミック層103より表示面側の構造が簡素化されている。また、能動素子109および前記マトリックス配線は、基材108の表示面側とは反対側に配置されている。このため、本実施形態のエレクトロクロミック表示素子は、前述の製造方法で示したように、エレクトロクロミック層103を有し、着色に寄与する第1のシート301と、第1の電極105、能動素子109および前記マトリックス配線を有するデバイス動作をつかさどる第2のシート302を、別々に作製できる。そして、第1のシート301は、表示装置の画素の大きさが同じであれば、例えば、複数種類の表示装置に共通化でき、製造コストを低減できる。また、第1のシート301および第2のシート302は、互いに作製工程の制限を受けることがなく、例えば、自由で柔軟性の高い生産が可能となる。
【0051】
(7)その他の形態
本実施形態のエレクトロクロミック表示素子では、前述のように、透明絶縁層102の前記着色部側の面には、凸部が形成されており、この凸部が隔壁107として機能しているが、本発明は、これには限定されない。例えば、図9に示すエレクトロクロミック表示素子のように、基材108上に、凸部が形成され、この凸部が隔壁307として機能し、前記凸部の側面に第2の電極306が形成されてもよい。この例のエレクトロクロミック表示素子は、例えば、従来公知のビルドアップ手法により、基材108の両面に各層を順に形成して製造できる。この形態では、基材108上に形成された凸部を隔壁307としているため、エレクトロクロミック表示素子を容易に製造できる。
【0052】
[実施形態4]
本実施形態のエレクトロクロミック表示素子は、複数のエレクトロクロミック表示素子を有する場合の一例である。図10に、本実施形態のエレクトロクロミック表示素子の構成を示す。図10は、本実施形態のエレクトロクロミック表示素子の一部の構成を示す縦断面図である。図10に示すように、本実施形態のエレクトロクロミック表示素子は、導電性を有する隔壁406を有する。そして、隔壁406がエレクトロクロミック層103の側面の全部に接している。つまり、隔壁406が、第2の電極を兼ねている。すなわち、第2の電極406が、隔壁としても機能しているともいえる。この点を除き、本実施形態のエレクトロクロミック表示素子は、図6に示した前記実施形態3のエレクトロクロミック表示素子と同様の構成である。本実施形態のエレクトロクロミック表示素子は、隔壁として機能する第2の電極406を有しているため、例えば、別途隔壁を形成する必要がなく、製造工程を簡略化できる。
【0053】
第2の電極406は、透明でも、不透明でもよく、隣接した画素101間の混色を防止する観点から、不透明であることが好ましい。また、第2の電極406の形成に、不透明な材料を使用すれば、ITO等の透明導電材料を使用しないため、例えば、第2の電極406を低コストで形成できる。
【0054】
[実施形態5]
本実施形態のエレクトロクロミック表示素子は、複数のエレクトロクロミック表示素子を有する場合の一例である。図11に、本実施形態のエレクトロクロミック表示素子の構成を示す。図11は、本実施形態のエレクトロクロミック表示素子の一部の構成を示す縦断面図である。図11に示すように、本実施形態のエレクトロクロミック表示素子は、立体的に形成された第1の電極505を有する。具体的には、第1の電極505の面方向(図11において、左右方向)の中央部の厚みが、第1の電極505の面方向の周辺部の厚みより大きくなっている。そして、第1の電極505を覆うように、電解質層504が形成され、電解質層504を覆うようにエレクトロクロミック層503が形成され、エレクトロクロミック層503の側面の全部を囲むように第2の電極406が形成されている。この点を除き、本実施形態のエレクトロクロミック表示素子は、図10に示した前記実施形態4のエレクトロクロミック表示素子と同様の構成である。本実施形態のエレクトロクロミック表示素子では、第1の電極505が前述のような形状であるため、平坦な場合と比較して、同程度の印加電圧でも、例えば、第1の電極505と第2の電極406との間の電界強度をより高められる。この結果、例えば、色の変化をより大きくし、または色の変化を高速にできる。
【0055】
第1の電極505の形成方法は、特に制限されない。第1の電極505は、例えば、フォトリソグラフィー技術を使用して第1の電極505よりも小さいレジスト・マスクを形成し、等方的なウェットエッチングを使用して形成してもよいし、シャドウマスクを使用して電極形成材料をスパッタリング法で堆積させて形成してもよい。
【0056】
[実施形態6]
本実施形態のエレクトロクロミック表示素子は、複数のエレクトロクロミック表示素子を有する場合の一例である。図12および図13に、本実施形態のエレクトロクロミック表示素子の構成を示す。図12は、本実施形態のエレクトロクロミック表示素子の一部の構成を示す縦断面図である。図13は、図12に示すエレクトロクロミック表示素子のIII−III方向に見た横断面図である。
【0057】
図12および図13に示すにように、本実施形態のエレクトロクロミック表示素子は、透明導電膜601を有している。透明導電膜601は、画素101におけるエレクトロクロミック層104と透明絶縁層102との間に、複数の画素101にまたがって配置され、第2の電極406に電気的に接続されている。透明導電膜601は、各画素101上で、その一部が開口(開口部602)している。この点を除き、本実施形態のエレクトロクロミック表示素子は、図10に示した前記実施形態4のエレクトロクロミック表示素子と同様の構成である。
【0058】
透明導電膜601の形成材料は、例えば、従来公知の形成材料が使用でき、例えば、酸化インジウム、酸化スズ、またはこれらを含む化合物があげられる。透明導電膜601の形成方法は、特に制限されず、従来公知の方法を使用できる。
【0059】
本実施形態のエレクトロクロミック表示素子では、透明導電膜601が開口部602を有していることで、エレクトロクロミック層103の表示面側の全部を覆う場合よりも、開口部602の割合だけ、光透過性を高くできる。そして、前述のように、透明導電膜601は、第2の電極406と電気的に接続されているため、第2の電極の面積を広げられる。この結果、例えば、色の変化をより大きくし、および/または色の変化を高速にできる。このように、視認性に影響が無い程度に透明導電膜を設けることで、上記の効果を得ることができる。なお、透明導電膜601のサイズは、エレクトロクロミック層104のサイズより小さければよく、本実施形態のエレクトロクロミック表示素子で示した場合のみには、限定されない。
【0060】
[実施形態7]
本実施形態の情報表示装置は、本発明のエレクトロクロミック表示素子を適用した情報提供装置の一例である。図14に、本実施形態の情報表示装置の構成を示す。図14は、本実施形態の情報提示装置の構成を示すブロック図である。
【0061】
図14に示すように、本実施形態の情報提示装置は、エレクトロクロミック表示素子と、信号制御回路901と、ゲート線駆動回路902と、ソース線駆動回路903とを主要な構成要素として含む。エレクトロクロミック表示素子は、図6で示した前記実施形態3のエレクトロクロミック表示素子である。本実施形態の情報提示装置では、エレクトロクロミック表示素子におけるトランジスタ906と着色部907から構成される画素が、マトリックス状に配置されている。着色部907の一方の電極(第1の電極)は、トランジスタ906のドレインに電気的に接続されている。着色部907の他方の電極は、各画素の境界に沿って形成された第2の電極908に接続されており、第2の電極908は、各画素で共通になっている。トランジスタ906のゲートに接続されるゲート線904は、ゲート駆動回路902に接続されている。トランジスタ906のソースに接続されるソース線905は、ソース駆動回路903に接続されている。ゲート線904およびソース線905は、マトリックス配線を形成している。ゲート駆動回路902およびソース駆動回路903は、信号制御回路901に電気的に接続されている。なお、図14では、説明の便宜のため、各エレクトロクロミック表示素子のトランジスタ906および着色部907を平面的に配置して記載しているが、実際には、図6に示すように、前記基材を介して三次元的に配置されている。
【0062】
つぎに、図14を参照して、本実施形態の情報提示装置の作動を説明する。図14に示すように、まず、信号制御回路901から、ゲート線駆動回路902およびソース線駆動回路903に、所定の駆動信号が送信される。信号を受信したゲート線駆動回路902およびソース線駆動回路903は、各画素のトランジスタ906を独立して制御する。これにより、各画素の着色部907が着色・消色する。このようにして、本実施形態の情報提示装置は、例えば、任意の情報を提示できる。
【0063】
なお、本実施形態の情報提供装置では、前述のように、エレクトロクロミック表示素子は、図6に示す前記実施形態3のエレクトロクロミック表示素子であるが、本発明は、これには限定されない。本実施形態の情報提供装置に使用されるエレクトロクロミック表示素子は、例えば、前記実施形態3のエレクトロクロミック表示素子以外の前記実施形態のエレクトロクロミック表示素子でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上のように、本発明のエレクトロクロミック表示素子によれば、表示面の光透過性が高く、小型化可能である。したがって、本発明のエレクトロクロミック表示素子は、シート状の表示装置として、例えば、電子ペーパー、電子黒板、電子看板等の用途に適用できる。ただし、その用途は限定されず、広い分野に適用可能である。
【0065】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載しうるが、以下には限定されない。
【0066】
(付記1)
第1の電極と、第2の電極と、電解質層と、エレクトロクロミック層とを含み、
前記電解質層および前記エレクトロクロミック層が、前記第1の電極上に配置され、
前記第2の電極が、前記電解質層および前記エレクトロクロミック層の少なくとも一方の側面に配置され、
前記第1の電極と前記第2の電極との間で、前記電解質層および前記エレクトロクロミック層に電圧を印加可能であることを特徴とする、エレクトロクロミック表示素子。
【0067】
(付記2)
前記第1の電極の上に、前記電解質層が積層され、
前記電解質層の上に、前記エレクトロクロミック層が積層され、
前記第2の電極が、前記エレクトロクロミック層の側面に配置されていることを特徴とする付記1記載のエレクトロクロミック表示素子。
【0068】
(付記3)
さらに、基材と、能動素子と、接続配線と、貫通配線とを含み、
前記第1の電極が、前記基材の片面側に配置され、
前記能動素子および前記接続配線が、前記基材の他面側に配置され、
前記接続配線が、前記能動素子に接続され、
前記貫通配線が、前記基材の片面側と他面側とを貫通し、
前記第1の電極と前記能動素子とが、前記貫通配線により、電気的に接続されていることを特徴とする付記1または2記載のエレクトロクロミック表示素子。
【0069】
(付記4)
前記エレクトロクロミック表示素子、前記能動素子および前記接続配線が、複数であり、
さらに、隔壁を有し、
前記複数のエレクトロクロミック表示素子が、前記隔壁により相互に離れた状態でマトリックス状に配置され、
前記複数の接続配線が、マトリックス配線を形成し、
前記第2の電極が、前記隔壁の側面に配置され、かつ、一つの前記第2の電極に複数の前記エレクトロクロミック表示素子が接続されていることを特徴とする付記3記載のエレクトロクロミック表示素子。
【0070】
(付記5)
さらに、透明絶縁層を含み、
前記透明絶縁層が、前記電解質層および前記エレクトロクロミック層上に配置されていることを特徴とする付記1から4のいずれかに記載のエレクトロクロミック表示素子。
【0071】
(付記6)
前記透明絶縁層が、その前記電解質層および前記エレクトロクロミック層側の面に、凸部を有し、
前記第2の電極が、前記凸部の側面に配置されていることを特徴とする付記5記載のエレクトロクロミック表示素子。
【0072】
(付記7)
前記基材が、その片面側に凸部を有し、
前記第2の電極が、前記凸部の側面に配置されていることを特徴とする付記3から6のいずれかに記載のエレクトロクロミック表示素子。
【0073】
(付記8)
前記隔壁が、導電性を有し、かつ、前記第2の電極を兼ねることを特徴とする付記4または5記載のエレクトロクロミック表示素子。
【0074】
(付記9)
前記第1の電極の面方向の中央部の厚みが、前記第1の電極の面方向の周辺部の厚みより大きいことを特徴とする付記1から8のいずれかに記載のエレクトロクロミック表示素子。
【0075】
(付記10)
さらに、透明導電層を有し、
前記透明導電層のサイズが、前記電解質層および前記エレクトロクロミック層のサイズより小さく、
前記透明導電層が、前記電解質層および前記エレクトロクロミック層上に配置され、かつ、前記第2の電極に電気的に接続されていることを特徴とする付記1から9のいずれかに記載のエレクトロクロミック表示素子。
【0076】
(付記11)
第1の電極上に、電解質層を形成する電解質層形成工程と、
前記第1の電極上に、エレクトロクロミック層を形成するエレクトロクロミック層形成工程と、
前記電解質層および前記エレクトロクロミック層の少なくとも一方の側面に、前記第1の電極と前記第2の電極との間で、前記電解質層および前記エレクトロクロミック層に電圧を印加可能であるように、第2の電極を形成する第2の電極形成工程とを含むことを特徴とする、付記1記載のエレクトロクロミック表示素子の製造方法。
【0077】
(付記12)
前記エレクトロクロミック表示素子が、付記2記載のエレクトロクロミック表示素子であり、
前記エレクトロクロミック層形成工程において、前記電解質層の上に、前記エレクトロクロミック層を形成し、
前記第2の電極形成工程において、前記エレクトロクロミック層の側面に、前記第2の電極を形成することを特徴とする付記11記載のエレクトロクロミック表示素子の製造方法。
【0078】
(付記13)
前記エレクトロクロミック表示素子が、付記3記載のエレクトロクロミック表示素子であり、
さらに、前記貫通配線が形成された基材の片面側に、前記第1の電極を配置する第1の電極配置工程と、
前記基材の他面側に、能動素子を配置する能動素子配置工程と、
前記基材の他面側に、前記接続配線を配置する接続配線配置工程と、
前記能動素子と前記接続配線とを、接続する素子配線間接続工程と、
前記第1の電極と前記能動素子とを、前記貫通配線により、電気的に接続する素子電極間接続工程とを含むことを特徴とする付記11または12記載のエレクトロクロミック表示素子の製造方法。
【0079】
(付記14)
前記エレクトロクロミック表示素子が、付記4記載のエレクトロクロミック表示素子であり、
さらに、前記複数のエレクトロクロミック表示素子を、前記隔壁により、相互に離れた状態でマトリックス状に配置するマトリックス状配置工程と、
前記複数の接続配線により、マトリックス配線を形成するマトリックス配線形成工程とを含み、
前記第2の電極形成工程において、前記第2の電極を、前記隔壁の側面に、かつ、一つの前記第2の電極に複数の前記エレクトロクロミック表示素子が接続されるように形成することを特徴とする付記13記載のエレクトロクロミック表示素子の製造方法。
【0080】
(付記15)
前記エレクトロクロミック表示素子が、付記5記載のエレクトロクロミック表示素子であり、
さらに、前記電解質層および前記エレクトロクロミック層上に、透明絶縁層を配置する透明絶縁層配置工程を含むことを特徴とする付記11から14のいずれかに記載のエレクトロクロミック表示素子の製造方法。
【0081】
(付記16)
前記エレクトロクロミック表示素子が、付記5記載のエレクトロクロミック表示素子であり、
前記透明絶縁層の上に前記エレクトロクロミック層で積層され、前記エレクトロクロミック層の上に前記電解質層が積層され、前記エレクトロクロミック層の側面に第2の電極が形成された第1のシートを提供する第1のシート提供工程と、
前記基材の片面側に前記第1の電極が配置され、前記基材の他面側に前記能動素子および前記接続配線が配置され、前記第1の電極および前記能動素子が前記貫通配線により電気的に接続された第2のシートを提供する第2のシート提供工程と、
前記第1のシートの前記電解質層と、前記第2のシートの前記第1の電極とを合わせるように、前記第1のシートと前記第2のシートとを貼り合せる貼り合せ工程とを含むことを特徴とする付記13から15のいずれかに記載のエレクトロクロミック表示素子の製造方法。
【0082】
(付記17)
前記エレクトロクロミック表示素子が、付記6記載のエレクトロクロミック表示素子であり、
前記透明絶縁層配置工程において、片面側に凸部を有する前記透明絶縁層を、前記凸部を有する面が前記電解質層および前記エレクトロクロミック層側の面となるように配置し、
前記第2の電極形成工程において、前記凸部の側面に、前記第2の電極を形成することを特徴とする付記15または16記載のエレクトロクロミック表示素子の製造方法。
【0083】
(付記18)
前記エレクトロクロミック表示素子が、付記7記載のエレクトロクロミック表示素子であり、
前記第2の電極形成工程において、片面側に凸部を有する前記基材における前記凸部の側面に、前記第2の電極を形成することを特徴とする付記13から17のいずれかに記載のエレクトロクロミック表示素子の製造方法。
【0084】
(付記19)
前記エレクトロクロミック表示素子が、付記8記載のエレクトロクロミック表示素子であり、
前記分離工程において、前記隔壁が、導電性を有し、かつ、前記第2の電極を兼ね、
前記分離工程が、前記第2の電極形成工程を兼ねることを特徴とする付記14から16のいずれかに記載のエレクトロクロミック表示素子の製造方法。
【0085】
(付記20)
前記エレクトロクロミック表示素子が、付記9記載のエレクトロクロミック表示素子であり、
さらに、前記第1の電極の面方向の中央部の厚みが、前記第1の電極の面方向の周辺部の厚みより大きいことを特徴とする付記11から19のいずれかに記載のエレクトロクロミック表示素子の製造方法。
【0086】
(付記21)
前記エレクトロクロミック表示素子が、付記10記載のエレクトロクロミック表示素子であり、
さらに、前記電解質層および前記エレクトロクロミック層上に、そのサイズが前記電解質層および前記エレクトロクロミック層のサイズより小さい透明導電層を形成する透明導電層形成工程と、
前記透明導電層を、前記第2の電極に電気的に接続する透明電極層接続工程とを含むことを特徴とする付記11から20のいずれかに記載のエレクトロクロミック表示素子の製造方法。
【符号の説明】
【0087】
10、20 エレクトロクロミック表示素子
13、23、103、503 エレクトロクロミック層
14、24、104、504 電解質層
15、25、105、505 第1の電極
16、26、106、306、406 第2の電極
101 画素
102 透明絶縁層
107、307 隔壁
108 基材
109 能動素子
110 ソース線
111 ゲート線
112 チャネル
113 貫通配線
114 封止層
201 電解質層の外形
202 第1の電極の外形
301 第1のシート
302 第2のシート
601 透明導電膜
602 開口部
901 信号制御回路
902 ゲート線駆動回路
903 ソース線駆動回路
904 ゲート線
905 ソース線
906 トランジスタ
907 着色部
908 第2の電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極と、第2の電極と、電解質層と、エレクトロクロミック層とを含み、
前記電解質層および前記エレクトロクロミック層が、前記第1の電極上に配置され、
前記第2の電極が、前記電解質層および前記エレクトロクロミック層の少なくとも一方の側面に配置され、
前記第1の電極と前記第2の電極との間で、前記電解質層および前記エレクトロクロミック層に電圧を印加可能であることを特徴とする、エレクトロクロミック表示素子。
【請求項2】
前記第1の電極の上に、前記電解質層が積層され、
前記電解質層の上に、前記エレクトロクロミック層が積層され、
前記第2の電極が、前記エレクトロクロミック層の側面に配置されていることを特徴とする請求項1記載のエレクトロクロミック表示素子。
【請求項3】
さらに、基材と、能動素子と、接続配線と、貫通配線とを含み、
前記第1の電極が、前記基材の片面側に配置され、
前記能動素子および前記接続配線が、前記基材の他面側に配置され、
前記接続配線が、前記能動素子に接続され、
前記貫通配線が、前記基材の片面側と他面側とを貫通し、
前記第1の電極と前記能動素子とが、前記貫通配線により、電気的に接続されていることを特徴とする請求項1または2記載のエレクトロクロミック表示素子。
【請求項4】
前記エレクトロクロミック表示素子、前記能動素子および前記接続配線が、複数であり、
さらに、隔壁を有し、
前記複数のエレクトロクロミック表示素子が、前記隔壁により相互に離れた状態でマトリックス状に配置され、
前記複数の接続配線が、マトリックス配線を形成し、
前記第2の電極が、前記隔壁の側面に配置され、かつ、一つの前記第2の電極に複数の前記エレクトロクロミック表示素子が接続されていることを特徴とする請求項3記載のエレクトロクロミック表示素子。
【請求項5】
さらに、透明絶縁層を含み、
前記透明絶縁層が、前記電解質層および前記エレクトロクロミック層上に配置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック表示素子。
【請求項6】
前記透明絶縁層が、その前記電解質層および前記エレクトロクロミック層側の面に、凸部を有し、
前記第2の電極が、前記凸部の側面に配置されていることを特徴とする請求項5記載のエレクトロクロミック表示素子。
【請求項7】
前記基材が、その片面側に凸部を有し、
前記第2の電極が、前記凸部の側面に配置されていることを特徴とする請求項3から6のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック表示素子。
【請求項8】
前記隔壁が、導電性を有し、かつ、前記第2の電極を兼ねることを特徴とする請求項4または5記載のエレクトロクロミック表示素子。
【請求項9】
前記第1の電極の面方向の中央部の厚みが、前記第1の電極の面方向の周辺部の厚みより大きいことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック表示素子。
【請求項10】
第1の電極上に、電解質層を形成する電解質層形成工程と、
前記第1の電極上に、エレクトロクロミック層を形成するエレクトロクロミック層形成工程と、
前記電解質層および前記エレクトロクロミック層の少なくとも一方の側面に、前記第1の電極と前記第2の電極との間で、前記電解質層および前記エレクトロクロミック層に電圧を印加可能であるように、第2の電極を形成する第2の電極形成工程とを含むことを特徴とする、請求項1記載のエレクトロクロミック表示素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−211966(P2012−211966A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76915(P2011−76915)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】