説明

エレベータの緩衝装置

【課題】昇降路底部のピット深さを極小にして、かごなどの昇降体がほとんどピットの底まで到達可能なエレベータの緩衝装置を提供する。
【解決手段】昇降路底部21における昇降体1の投影面の外側部に設けられた水平方向の衝撃を受ける緩衝器7と、上記昇降路底部に設けられ上記昇降体が上記昇降路に設定された下限位置よりも下方に下降したときに該昇降体の垂直下方向の運動エネルギーを水平方向に偏向して上記緩衝器に伝達する偏向手段5とを備え、ピット深さを極限まで小さくし得るようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベータの昇降路底部に設置される緩衝装置に関し、更に詳細には昇降路底部に形成されるピット深さを低減できるエレベータの緩衝装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のエレベータの緩衝装置として、昇降路のピット床に設置されているレールと、このレールに沿って互いに接離する方向に移動自在に設けられている第1及び第2の台車と、これらの第1及び第2の台車間に横向きに連結されている緩衝器と、この緩衝器の上方に設けられ、かごが当接する当たり金と、前記第1及び第2の台車と前記当たり金とにそれぞれ回動自在に連結され、前記当たり金の下動により、前記第1及び第2の台車を互いに開離する方向に移動させる第1及び第2の斜材とを備えたものがある(例えば特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開平5−155555号公報(第1頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来のエレベータの緩衝装置では、昇降路底部のピット深さを低減できるとはいうものの、緩衝器などの構成部材がかごなどの昇降体の下部に配置されているため、これら緩衝器などの構成部材の高さに相当する寸法はピットを浅くすることができず、縮小化には限度があるという課題があった。
【0005】
この発明は、上記のような従来技術の課題を解消するためになされたもので、昇降路底部のピット深さを極小にして、かごなどの昇降体がほとんどピット底面近傍まで到達可能なエレベータの緩衝装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明によるエレベータの緩衝装置は、昇降路底部における昇降体の投影面の外側部に設けられた水平方向の衝撃を受ける緩衝器と、上記昇降路底部に設けられ上記昇降体が上記昇降路に設定された下限位置よりも下方に下降したときに該昇降体の垂直下方向の運動エネルギーを水平方向に偏向して上記緩衝器に伝達する偏向手段とを備え、ピット深さを極限まで小さくし得るようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明においては、偏向手段によって昇降体の垂直下方向の運動エネルギーを水平方向に偏向し、昇降路底部における昇降体の投影面の外側部に設けられた緩衝器に伝達するようにしたことにより、昇降体の下部に緩衝装置の構成部材を設置する必要がなくなり、ピット深さを極限まで小さくすることができる。このため、かごや釣合錘などの昇降体はほとんど昇降路底部まで下降するようにできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1〜図3は、本発明の実施の形態1によるエレベータの緩衝器を概念的に説明する図であり、図1(a)は昇降路の上からピット底部方向に見た全体構成の要部平面図、図1(b)は図1(a)のIb−Ib線における矢視断面図、図2は図1(b)に示された緩衝装置が動作した状態を示す側面断面図、図3は図1に示すエレベータのガイドシューの動作を説明する要部断面図であり、(a)は上部側のガイドレール走行時、(b)は傾斜ガイドレール走行時を示す。図において、昇降体としてのかご1を収容する昇降路2内には、該かご1を上下方向に案内する一対のガイドレール3が、該かご1の両側部に対向して設けられ、かご1の両側には図3に示すガイドシュー11が上記ガイドレール3を抱持する如く突設され、ガイドレール3に常時係合されている。なお、ガイドシュー11は支軸12のまわりに回動可能に設けられている(詳細図示省略)。
【0009】
また、かご1の下枠(図示省略)には万が一の落下防止用として、凹所41が形成された非常止め4がガイドレール3の凸部を該凹所41内に非接触状態で挟みこむように設置されている。なお、非常止め機構については、例えば従来技術をそのまま用いることができるものであるので図示を省略している。上記ガイドレール3は、かご1を昇降路2の最上階から最下階までガイドするのに充分な長さで鉛直方向に延在しており、昇降路2の壁面部に対して固定されている。
【0010】
一方、最下階から下側の昇降路底部(ピット)21内では、上記ガイドレール3の下端部3aの下に、該ガイドレール3とは別途に矢印Aで示す水平方向に揺動可能に設けられ、通常時は上端部が上記ガイドレール3の下端部3aの位置に合致され、該上端部からピット底面21a方向に向けて傾斜された傾斜ガイド面51a、及び鉛直ガイド面51bを有し、上記かご1に設けられた非常止め4の凹所41、及びガイドシュー11に係合し得る偏向手段5を構成する可動ガイドレール51が設けられている。
【0011】
この可動ガイドレール51は、かご1が昇降路2に設定された下限位置よりも下方に下降したときに、非常止め4が該可動ガイドレール51の傾斜ガイド面51aを下降することで垂直方向の運動エネルギーを水平方向に偏向するもので、枠状に形成された可動ガイドレール保持枠53に対して水平方向にスライド可能に組み込まれた可動ガイドレール支持部材52に対して固定されている。なお、図1(b)中、斜線で示す53a、53bは可動ガイドレール支持部材52の可動ガイドレール保持枠53に対するスライド部である。そして、上記可動ガイドレール保持枠53の縦枠531と可動ガイドレール支持部材52との間には水平方向緩衝体である、例えばバネ、油圧緩衝器などの緩衝器7が横向きに設けられ、可動ガイドレール51が図1(b)の右方向に移動したときに、圧縮されてかご1の運動エネルギーを吸収するように構成されている。
【0012】
また、可動ガイドレール保持枠53には、かご1が昇降路底部21に落下した際に、緩衝器7によってかご1の下枠(図示省略)を介して受ける力を反力として受ける反力受け部材54が、かご1の前方(図1(a)の左側、即ち乗場側)両端部と昇降路2の壁面との間に位置するように配置され、可動ガイドレール保持枠53と共に昇降路底部21に強固に固定されている。上記可動ガイドレール51、可動ガイドレール支持部材52、及び可動ガイドレール保持枠53によって偏向手段5が構成され、この偏向手段5と緩衝器7によってエレベータの緩衝装置6が構成されている。なお、この例では緩衝装置6は昇降路底部21におけるかご1の投影面の両外側に対称的に各1基ずつ2基設置されている。なお、昇降路底部21の下側に破線で示す領域22は緩衝器7を垂直方向から水平方向に設けたことによる従来のピットからの縮小寸法である。また、各図を通じて同一符号は同一もしくは相当部分を示すものとする。
【0013】
次に、上記のように構成された実施の形態1の動作について説明する。エレベータの運用中、異常発生によってかご1を緊急停止させる場合、通常はかご1の下枠に設置されている非常止め4に組み込まれた図示省略している楔がガイドレール3と凹所41との間に挿入され、ガイドレール3との摩擦力でかご1が停止される。しかし、何らかの異常でその非常止め4が機能しなかった場合、かご1はガイドレール3に沿って下降する。そして最下階の乗場に対応した所定位置を越えて下降した場合には、図1(b)及び図2に示すように、非常止め4がガイドレール3から可動ガイドレール51の傾斜ガイド面51aに案内され、該傾斜ガイド面51aを下降する際に可動ガイドレール51、可動ガイドレール支持部材52を図の右方に移動させ、かご1の鉛直方向の運動エネルギーの大部分が水平方向に偏向される。
【0014】
上記のように水平方向に偏向された運動エネルギーは、可動ガイドレール51及びこの可動ガイドレール51を固定、保持している可動ガイドレール支持部材52をスライド部53a、53bに案内されて図の水平方向右側に移動させようとするが、可動ガイドレール支持部材52と可動ガイドレール保持枠53の縦枠531間に設置された緩衝器7が該運動エネルギーを吸収し、最終的には図2の状態でかご1を安全に減速させ停止させる。なお、上記動作に伴って、かご1は、可動ガイドレール支持部材52、可動ガイドレール51、非常止め4、及び下枠(図示省略)を介して図1の左方向の反力を受けるが、かご1と昇降路2壁面の間には反力受け部材54が設けられていることにより、該反力受け部材54で左方向への移動が規制される。
【0015】
なお、かご1の鉛直方向の運動エネルギーを吸収させるための、上記非常止め4等、緩衝装置6を構成する各部材の強度、上記可動ガイドレール51の傾斜角度、水平方向緩衝体である緩衝器7の緩衝能力などは、かご1が安全に減速され停止させるような運動エネルギー及び位置エネルギーに変換されるような値に設定され、調整されることは言うまでもない。また、かご1がガイドレール3の部分から、可動ガイドレール51の部分に下降したとき、ガイドシュー11は、図3(a)の状態から図3(b)に示すように支軸12のまわりに回動して傾斜し、傾斜ガイド面51aに追従している。さらに非常止め4が可動ガイドレール51の下端部に設けられた鉛直ガイド部51bの位置まで下降したときは、緩衝器7の反力を鉛直ガイド部51bで垂直方向に受けるので、該鉛直ガイド部51bが反力によるかご1の上方への移動を抑える固定機構となり、かご1が上方に移動することが阻止される。
【0016】
上記のように実施の形態1によれば、緩衝器7を水平方向の衝撃を受けるように昇降路底部21における、昇降体であるかご1の投影面の外側部に配置すると共に、かご1の鉛直方向の運動エネルギーを水平方向に偏向する傾斜ガイド面51aを有し、かご1に設けられた非常止め4に係合し得る可動ガイドレール51をガイドレール3の下端部の下に配置したことで、昇降路底部21内の平面空間を有効利用し、且つ昇降路底部21の深さを抑え、ピット深さを極限まで小さくすることができる。このため、かご1などの昇降体はほとんど昇降路底部21のピット底面21aまで下降するようにできる。
【0017】
なお、図1(b)の縮小寸法22は鉛直方向の運動エネルギーを全て鉛直方向に受ける従来の緩衝器を用いた場合と比較した場合の寸法減少を概念的に示すものである。なお、昇降体としてのかご1は、釣合錘(図示省略)としても差し支えなく、同様の効果が期待できる。また、非常止め4で偏向手段5を構成する可動ガイドレール51の傾斜ガイド面51aを作動させるように説明したが、ガイドシュー11で作動させることもできる。
【0018】
実施の形態2.
図4及び図5は、この発明の実施の形態2によるエレベータの緩衝装置を概念的に説明するもので、図4(a)は昇降路の上からピット底部方向に見た全体構成の要部平面図、図4(b)は図4(a)のIVb−IVb線における矢視断面図、図5は図4(b)に示された緩衝装置が動作した状態を示す側面断面図である。図において、昇降路2の奥側(図4(a)の上側)には、釣合錘収納枠81に釣合錘本体82が収納された釣合錘8を上下方向に案内する一対の釣合錘用ガイドレール30が、釣合錘8の両側面部に対向するように配置されている。釣合錘収納枠81の側面部には、釣合錘用ガイドレール30を非接触状態で挟みこむように形成されたガイドシュー(スライドシュー)83が左右上下に計4箇所突設されている。
【0019】
上記一対の釣合錘用ガイドレール30は、昇降路2の最上階から最下階付近まで伸びて、昇降路2に対して固定されており、該釣合錘用ガイドレール30の下端部より下側には、最下階から下部の昇降路底部(ピット)21内に対応する位置に釣合錘用ガイドレール30とは機械的に切離され、釣合錘8の異常落下による鉛直方向の衝撃力を水平方向に偏向するための偏向手段5を構成する一対の釣合錘用可動ガイドレール55が配設されている。該釣合錘用可動ガイドレール55は、釣合錘用可動ガイドレール支え装置56に取り付けられ、該釣合錘用可動ガイドレール支え装置56は、上端部が昇降路底部21に固定された可動ガイドレール保持枠58の上部に設けられた支軸57に回動可能に軸支され、下端部は、可動ガイドレール保持枠58の下枠部にガイドされて水平方向に揺動自在になっている。
【0020】
上記一対の可動ガイドレール保持枠58の両外側と上記可動ガイドレール保持枠58の両内側との間には、水平方向緩衝体である緩衝器71がそれぞれ組み込まれ、この例では図4(b)に示すように一対の釣合錘用可動ガイドレール支え装置56及び釣合錘用可動ガイドレール55がV字状をなして対向して配設されており、釣合錘用可動ガイドレール55の内側の面が鉛直方向に対して傾斜した、この例では直線状の傾斜ガイド面55aを形成している。釣合錘8が万一釣合錘用ガイドレール30に沿って落下した場合には、このV字状の内側にガイドされるように構成されている。上記緩衝器71は昇降体である釣合錘8の投影面の略外側に配設されている。なお、9は釣合錘8と、昇降路2の頂部に設けられた何れも図示省略している巻上機を介してかごとを連結している主索である。その他の構成は従来のエレベータと同様であるので説明を省略する。
【0021】
上記のように構成された実施の形態2においては、何らかの異常発生によって釣合錘8が最下階の乗場に対応した所定位置を越えて下降した場合には、釣合錘8のガイドシュー83が上部側の釣合錘用ガイドレール30から下部側の釣合錘用可動ガイドレール55の傾斜ガイド面55aに案内され、一対の釣合錘用可動ガイドレール55を支軸57のまわりに矢印C、矢印Dのようにそれぞれ回動させることで鉛直方向の運動エネルギーを水平方向に偏向し、図4(b)及び図5に示すように、2つの緩衝器71を同時に水平方向に圧縮して鉛直方向の運動エネルギーを2つの緩衝器71に吸収させ、最終的には図5の状態で安全に停止する。
【0022】
また、昇降体である釣合錘8が図5に示すように釣合錘用可動ガイドレール55の最下部まで到達したときは、緩衝器71を圧縮して該釣合錘用可動ガイドレール55は略鉛直状態となり、緩衝器71の反力を水平方向から垂直に受けることになるので、釣合錘8はそのまま両側部の釣合錘用可動ガイドレール55によって保持、固定され、該反力によって釣合錘8が上方に移動することはない。また、釣合錘8の鉛直方向の運動エネルギーは水平方向と鉛直方向に分散されるが、大部分は、ガイドシュー83から偏向手段5を構成する釣合錘用可動ガイドレール55を介して水平方向に偏向され、釣合錘用可動ガイドレール支え装置56と可動ガイドレール保持枠58の間に設けられた緩衝器71を圧縮することで、該緩衝器71に吸収される。なお、釣合錘用可動ガイドレール55の傾斜角度と緩衝器71の緩衝能力などは、釣合錘8の落下時の運動エネルギーなどに基づいて調整される。
【0023】
上記のように、緩衝器71を昇降路底部21における昇降体である釣合錘8の投影面の外側部に設けると共に、釣合錘8が落下したときの垂直下方向の運動エネルギーを水平方向に偏向して緩衝器71に伝達する偏向手段5を備えたことにより、昇降路底部21の平面空間が有効利用され、且つピット深さを浅くすることができる。
なお、上記実施の形態2では昇降体が釣合錘8の場合について説明したが、昇降体はエレベータのかごの場合であってもよく、同様の効果が期待できる。さらに、上記実施の形態1の構成と上記実施の形態2の構成を組み合わせて構成することもできる。
【0024】
ところで、上記実施の形態1及び2では、偏向手段5として、かごや釣合錘用のガイドレールの最下部を可動にして傾斜させた、可動ガイドレール51または釣合錘用可動ガイドレール55を利用し、かご1の非常止め4や、釣合錘8のガイドシュー83などの作動子で動作させたが、必ずしも、偏向手段5の構成部材やその作動子はこれら例示したものに限定されるものではない。例えば、昇降路底部21における昇降体の投影面の外側部にガイドレールとは別に水平方向に揺動可能な傾斜部材を設け、この傾斜部材をかごの側方に突出させた作動子で作動させるように構成することもできる。
【0025】
また、緩衝器7、71は、動作時に昇降体の投影面の外側にあればよく、例えば通常時は一部が投影面のなかにあっても差し支えない。さらに、緩衝器7、71の位置を偏向し、あるいはその個数を例示したものより増やしたり、昇降体が落下した後、緩衝器7、71の反力によって上方向へ移動するのを防ぐ固定機構は別途に設け、あるいは衝撃緩和のために、衝撃を検知して畳んだ袋の中に気体を爆発的に送り込み、素早く膨張させるエアバッグを併用するなど、種々の変形や変更が可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明の実施の形態1によるエレベータの緩衝器を概念的に説明する図で、図1(a)は昇降路の上からピット底部方向に見た全体構成の要部平面図、図1(b)は図1(a)のIb−Ib線における矢視断面図である。
【図2】図1(b)に示された緩衝装置が動作した状態を示す側面断面図である。
【図3】図1に示すエレベータのガイドシューの動作を説明する要部断面図であり、(a)は上部側のガイドレール走行時、(b)は傾斜ガイドレール走行時を示す。
【図4】この発明の実施の形態2によるエレベータの緩衝装置を概念的に説明する図で、図4(a)は、昇降路の上からピット底部方向に見た全体構成の要部平面図、図4(b)は、図4(a)のIVb−IVb線における矢視断面図である。
【図5】図4(b)に示された緩衝装置が動作した状態を示す側面断面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 かご(昇降体)、 11 ガイドシュー、 12 支軸、 2 昇降路、 21 昇降路底部(ピット)、 21a ピット底面、 22 縮小寸法、 3 ガイドレール、 3a 下端部、 30 釣合錘用ガイドレール、 4 非常止め、 41 凹所、 5 偏向手段、 51 可動ガイドレール、 51a、55a 傾斜ガイド面、 51b 鉛直ガイド面、 52 可動ガイドレール支持部材、 53、58 可動ガイドレール保持枠、 53a、53b スライド部、 531 縦枠、 54 反力受け部材、 55 釣合錘用可動ガイドレール、 56 釣合錘用可動ガイドレール支え装置、 57 支軸、 6 緩衝装置、 7、71 緩衝器、 8 釣合錘(昇降体)、 81 釣合錘収納枠、 82 釣合錘本体、 83 ガイドシュー、 9 主索。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路底部における昇降体の投影面の外側部に設けられた水平方向の衝撃を受ける緩衝器と、上記昇降路底部に設けられ上記昇降体が上記昇降路に設定された下限位置よりも下方に下降したときに該昇降体の垂直下方向の運動エネルギーを水平方向に偏向して上記緩衝器に伝達する偏向手段とを備えたことを特徴とするエレベータの緩衝装置。
【請求項2】
上記偏向手段は、上記昇降体をガイドするガイドレールの下端部の下に配設され、通常時は上端部が上記ガイドレールの下端部位置に合致され、該上端部から昇降路底部方向に向けて傾斜された傾斜ガイド面を有し、上記昇降体に設けられた非常止めまたはガイドシューに係合し得る可動ガイドレールと、この可動ガイドレールを水平方向に揺動可能に保持する可動ガイドレール保持枠からなり、上記昇降体が上記下限位置よりも下方に下降したときに、上記非常止めまたはガイドシューが該可動ガイドレールの傾斜ガイド面を下降することで垂直方向の運動エネルギーを水平方向に偏向するようにしてなることを特徴とする請求項1に記載のエレベータの緩衝装置。
【請求項3】
上記可動ガイドレールは、該可動ガイドレール自体が水平方向に移動するように設けられていることを特徴とする請求項2に記載のエレベータの緩衝装置。
【請求項4】
上記可動ガイドレールは、上端部が上記可動ガイドレール保持枠の上部に設けられた支軸に軸支され、下端部側が上記支軸のまわりに回動し得るように設けられていることを特徴とする請求項2に記載のエレベータの緩衝装置。
【請求項5】
上記昇降体と上記昇降路の下部壁面との間に、上記昇降体が上記偏向手段を作用させたときに該昇降体が受ける水平方向の反力を受ける反力受け部材を設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れかに記載のエレベータの緩衝装置。
【請求項6】
上記昇降体が上記昇降路の最下位点に到達したときに、反動による上方向への移動を抑える固定機構を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項5の何れかに記載のエレベータの緩衝装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−182323(P2007−182323A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−2998(P2006−2998)
【出願日】平成18年1月10日(2006.1.10)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】