説明

エンジンのスタート・ストップスイッチ装置

【課題】可動部材の直線的な移動に応じてスイッチング態様を切換えるスイッチユニットと、押圧操作に応じて前記可動部材を駆動することを可能として可動部材に連結される押しボタンと、携帯機に内蔵されるトランスポンダに起電力を発生させるためのトランスポンダ駆動電波を出力するコイルアンテナとを備えるエンジンのスタート・ストップスイッチ装置において、押しボタンの操作性向上を可能とするとともに押しボタンの半径方向での小型化を可能とする。
【解決手段】コイルアンテナ60が押しボタンと同軸に配置され、スイッチユニット58及びコイルアンテナ60を収容する筒状ケース66の内部に、コイルアンテナ60にターミナル65を介して接続される回路基板73が、コイルアンテナ60の軸線と直交する平面に沿うように配置され、ケース66には、その後端開口部を閉じる蓋部材76が着脱可能に装着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動部材の直線的な移動に応じてスイッチング態様を切換えるスイッチユニットと、前端が閉じられた有底円筒状に形成されるとともに押圧操作に応じて前記可動部材を駆動することを可能として該可動部材と連動する押しボタンと、携帯機に内蔵されるトランスポンダに起電力を発生させるためのトランスポンダ駆動電波を出力するコイルアンテナとを備え、前記携帯機に内蔵される電池の電圧低下時には前記押しボタンの近傍に前記携帯機をかざすことで前記トランスポンダおよび車両間でのID信号の照合を行うことを可能としたエンジンのスタート・ストップスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両および携帯機間で実行されるIDコードの相互通信によってIDコードが一致したことを条件として、押しボタンの操作によるイグニッションスイッチの導通によってエンジンを始動させるようにしたスマートイグニッションシステムにおいて、携帯機の電池消耗によってIDコードが携帯機から送信されなくなった場合の非常用として、押しボタンの近傍に携帯機をかざすことでコイルアンテナから出力されるトランスポンダ駆動電波によってトランスポンダに起電力を発生させ、トランスポンダからIDコードを出力させるようにしたスイッチ装置が、特許文献1で知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−314806号公報
【発明の概要】
【0004】
ところが、上記特許文献1で開示されたものでは、有底円筒状である押しボタンを囲繞するようにしてコイルアンテナが配置されているので、押しボタンの外径および形状の自由度が制限され、操作性向上の妨げとなる可能性がある。またコイルアンテナを支持する部材を押しボタンの外側方に配置する必要があるので、押しボタンの半径方向でスイッチ装置が大型化してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、可動部材の直線的な移動に応じてスイッチング態様を切換えるスイッチユニットと、前端が閉じられた有底円筒状に形成されるとともに押圧操作に応じて前記可動部材を駆動することを可能として該可動部材と連動する押しボタンと、携帯機に内蔵されるトランスポンダに起電力を発生させるためのトランスポンダ駆動電波を出力するコイルアンテナとを備え、前記携帯機に内蔵される電池の電圧低下時には前記押しボタンの近傍に前記携帯機をかざすことで前記トランスポンダおよび車両間でのID信号の照合を行うことを可能としたエンジンのスタート・ストップスイッチ装置において、前記コイルアンテナが前記押しボタンと同軸に配置され、前記スイッチユニットおよび前記コイルアンテナを収容する筒状ケースの内部に、前記コイルアンテナにターミナルを介して接続される回路基板が、該コイルアンテナの軸線と直交する平面に沿うように配置され、前記ケースには、そのケースの後端開口部を閉じる蓋部材が着脱可能に装着されることを第1の特徴とする。
【0006】
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記ケースの後端開口部に臨ませるように配置した前記回路基板に、その後方側に突出するコネクタが直接固着され、前記蓋部材には、前記コネクタを貫通させる開口部が設けられることを第2の特徴とする。
【0007】
本発明は、第1又は第2の特徴の構成に加えて、前記コイルアンテナの軸線と平行に延びる延出部が前記ターミナルに一体に設けられ、該延出部が前記回路基板に接続されることを第3の特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の第1の特徴によれば、回路基板が、コイルアンテナの軸線と直交する平面に沿うように配置されるので、スイッチ装置を、コイルアンテナおよび押しボタンの軸線方向で小型化することができる。
【0009】
本発明の第2の特徴によれば、回路基板にコネクタが直接固着されるので、構造の単純化を図り、回路基板にコネクタを予め固着しておいて、回路基板およびコネクタの組付けを容易とすることができる。
【0010】
さらに本発明の第3の特徴によれば、コイルアンテナおよび回路基板間を結ぶターミナルに、コイルアンテナの軸線と平行に延びる延出部が一体に設けられており、その延出部が回路基板に接続されるので、単純な形状のターミナルでコイルアンテナおよび回路基板間を接続することを可能とし、ターミナルの回路基板への接続を容易として組付け性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】参考実施形態のスタート・ストップスイッチ装置の全体斜視図
【図2】図1の2−2線に沿うスタート・ストップスイッチ装置の縦断側面図
【図3】スタート・ストップスイッチ装置の分解斜視図
【図4】図2の4−4線断面図
【図5】図2の5−5線断面図
【図6】本発明の実施形態のスタート・ストップスイッチ装置の縦断側面図
【図7】スタート・ストップスイッチ装置の分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、参考実施形態および本発明の実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
【参考実施形態】
【0013】
この参考実施形態について図1〜図5を参照しながら説明すると、先ず図1において、このスタート・ストップスイッチ装置は、車両に搭載されたエンジンのスタートおよびストップを切換えるものであり、ドライバが携帯した正規の携帯機11(図2参照)および車両間でのIDコードの相互通信によってIDコードが一致したことが確認された状態で、前記ドライバが押しボタン14を押すことによって前記エンジンがスタートし、エンジンの運転状態でドライバが前記押しボタン14を押すことでエンジンがストップする。
【0014】
図2および図3を併せて参照して、前記スタート・ストップスイッチ装置は、スイッチユニット13と、押圧操作に応じて前記スイッチユニット13のスイッチング態様を切換える押しボタン14と、コイルアンテナ15とを備える。而してコイルアンテナ15は、携帯機11の電池消耗によってIDコードが携帯機11から送信されなくなった場合に、図2で示すように、押しボタン14の近傍に携帯機11をかざすことでトランスポンダ駆動電波を出力し、そのトランスポンダ駆動電波によって携帯機11に内蔵されるトランスポンダ12に起電力を発生させるものである。
【0015】
スイッチユニット13は、合成樹脂から成るスイッチケース16と、前後の直線方向に移動可能とするとともに前方に向けてばね付勢されつつ前記スイッチケース16に収容される可動部材17とを備えるものであり、前記スイッチケース16の両側面から外側方に突出するとともに前方に延びる一対のスイッチ側連結腕部18,18が、可動部材17とともに前後の直線方向に移動するようにして前記可動部材17に連設される。また前記スイッチケース16の後部には、後方に突出するコネクタ部16aが一体に設けられる。
【0016】
コイルアンテナ15は、合成樹脂によってリング状に形成されるボビン19の外周にコイル20が巻装されて成るものであり、ボビン19に一体に設けられたターミナル保持部19aに一対のターミナル21,21がその一部を突出させるようにしてモールド結合され、前記コイル20の両端が両ターミナル21…に電気的に接続される。而して該コイルアンテナ15は、合成樹脂から成るアンテナケース22にモールド結合される。
【0017】
図4を併せて参照して、前記アンテナケース22は、前記ボビン19の内周面を内周に臨ませて該ボビン19および前記コイル20を埋封せしめる円筒部23と、該円筒部23の後端から半径方向外方に張り出すフランジ部24と、該フランジ部24から後方に延びるスイッチ収容部25と、前記コイルアンテナ15におけるターミナル保持部19aを埋封せしめて前記フランジ部24から後方に突出する突部26とを一体に有する。
【0018】
前記スイッチ収容部25は、切欠き部27を周方向一端間に形成して前記フランジ部24の外周面に外周面を面一に連ならせた左右一対の側壁部分25a,25aと、円筒部23の外半径と同一の半径を有する仮想円に外周面を沿わせて前記円筒部23と同軸に配置される円弧壁部分25bと、該円弧壁部分25bの両端および前記両側壁部分25a…の他端間を結ぶ一対の連結壁部分25c,25cとを有するように形成され、前記突部26は前記切欠き部27内の前部に配置される。
【0019】
前記スイッチユニット13は、前記アンテナケース22のスイッチ収容部25内に後方から挿入され、スイッチ収容部25の後部に設けられた複数の係止孔28…に、前記スイッチユニット13のスイッチケース16に突設された係合突部29…がアンテナケース22の内方から弾発、係合され、スイッチケース16は、複数たとえば一対のねじ部材30,30で前記スイッチ収容部25の後部に締結される。またアンテナケース22が有する前記切欠き部27は、両側端を前記スイッチ収容部25における左右一対の側壁部分25a,25aに連接せしめるカバー板32で覆われるものであり、このカバー板32には、前記スイッチユニット13のスイッチケース16が後端に有するコネクタ部16aを挿入せしめる横断面矩形状の筒部32aが一体に設けられ、該筒部32aに設けられる複数の係止孔33…に前記コネクタ部16aの外面に突設される係合突部34…が弾発、係合される。
【0020】
前記アンテナケース22の突部26からは一対の前記ターミナル21…が突出される。而して前記スイッチユニット13が備えるスイッチケース16の側方であって前記切欠き部27に対応する位置には、該スイッチユニット13における前記可動部材17の移動方向すなわち前後方向と平行に延びる回路基板35が、前記カバー板32で覆われるようにして配置され、該回路基板35の前部には、前記ターミナル21…が接続される。また前記回路基板35の後部には、前記スイッチケース16の後部から突出される複数のバスバー36,36…が接続される。
【0021】
ところで前記回路基板35には、たとえば一対の電子部品37,38が装着されており、前記スイッチケース16には、それらの電子部品37,38を個別に挿入せしめるようにして、たとえば一対の凹部39,40が設けられる。
【0022】
図5を併せて参照して、前記押しボタン14は、前端が閉じられた有底円筒状に形成されて前記アンテナケース22の円筒部23と同軸に配置されるものであり、押圧操作に応じて前記可動部材17を駆動することを可能として該可動部材17に連結される。
【0023】
而して前記押しボタン14は、前端に配置される円板状の端壁部14aと、該端壁部14aの外周に連なって後方に延びる小径円筒部14bと、該小径円筒部14bの後端から半径方向外方に張り出す環状の段部14cと、該段部14cの外周に連なって後方に延びる大径円筒部14dと、該大径円筒部14dの後端から半径方向外方に張り出す鍔部14eとを一体に有する。
【0024】
しかも大径円筒部14dの内径は、前記アンテナケース22の前部における円筒部23の外径よりも大きく設定されており、大径円筒部14dは、前記円筒部23にモールド結合されるコイルアンテナ15の一部を押しボタン14の非押圧操作時に囲繞する。すなわちコイルアンテナ15が、その少なくとも一部を押しボタン14内に挿入するようにして、該押しボタン14と同軸に配置されることになる。
【0025】
また前記大径円筒部14dの一直径線上に位置する一対の押しボタン側連結腕部14f,14fが前記大径円筒部14dの後端から後方に延出されており、それらの押しボタン側連結腕部14f…は、前記アンテナケース22におけるスイッチ収容部25の側壁部分25a…に対応する位置で該アンテナケース22のフランジ部24に設けられた挿通孔41…(図3参照)からアンテナケース22のスイッチ収容部25内に挿入される。一方、前記スイッチ収容部25内には、スイッチユニット13のスイッチケース16が挿入、固定されており、スイッチケース16から突出した一対のスイッチ側連結腕部18…が、前記押しボタン側連結腕部14f…にその内方側から重なりつつそれぞれ連結される。すなわち押しボタン側連結腕部14f…の後端に設けられた係止孔42…に、スイッチ側連結腕部18…の後部に突設された係合突部43…が弾発、係合される。これにより押しボタン14がスイッチユニット13の可動部材17に連結され、可動部材17が前方に向けてばね付勢されているので、押しボタン14も前方に向けてばね付勢されることになる。
【0026】
また押しボタン14は、該押しボタン14の前部を臨ませる円形の開口部46を前端に有するガーニッシュ47で覆われており、このガーニッシュ47は、アンテナケース22に取付けられる。すなわちガーニッシュ47に一体に設けられて後方に延びる一対の腕部47a…に設けられる係止孔48…に、前記アンテナケース22におけるスイッチ収容部25の前部外面に突設された係合突部49…が弾発、係合される。
【0027】
ところで前記ガーニッシュ47には、前記押しボタン14における鍔部14eに前方から対向する環状の規制段部47bが設けられており、弾性材によってリング状に形成されて前記鍔部14eの前面に貼着された前部ストッパ50が前記規制段部47bに当接することで押しボタン14の前方側移動端が規制される。また弾性材によってリング状に形成されて前記鍔部14eの後面に貼着された後部ストッパ51が前記アンテナケース22のフランジ部24に当接することで押しボタン14の後方側移動端が規制される。
【0028】
また前記アンテナケース22における円筒部23の後部内には、前面にLED52が装着されるようにしてLED用基板53が配置されており、スイッチユニット13におけるスイッチケース16内に埋設されて前後に延びるバスバー54…の前端部が前記LED用基板53に接続される。さらに前記押しボタン14の端壁部14aの前記LED52に対応する部分には窓55が設けられており、窓55および前記LED52間に介在するレンズ56が前記コイルアンテナ15のボビン19に係合される。
【0029】
次のこの参考実施形態の作用について説明すると、押しボタン14と同軸であるコイルアンテナ15の少なくとも一部が押しボタン14内に挿入されるので、押しボタン14の外径および形状の自由度が増し、押しボタン14を大きくして操作性を高めることができる。しかも押しボタン14の外側方にコイルアンテナ15を支持する部材を配置する必要がなくなるので、押しボタン14の半径方向でスイッチ装置の小型化を図ることができ、従来のスイッチ装置に比べて車両への搭載スペースを小さくすることができる。
【0030】
またスイッチユニット13が備えるスイッチケース16の側方に、可動部材17の移動方向と平行に延びる回路基板35が配置されており、この回路基板35に装着された電子部品37,38を挿入せしめる凹部39,40がスイッチケース16に設けられるので、スイッチ装置を、押しボタン14の半径方向でより小型化することができる。
【本発明の実施形態】
【0031】
本発明の実施形態について図6および図7を参照しながら説明すると、このスタート・ストップスイッチ装置は、スイッチユニット58と、押圧操作に応じて前記スイッチユニット58のスイッチング態様を切換える押しボタン59と、コイルアンテナ60とを備える。
【0032】
スイッチユニット58は、合成樹脂から成るスイッチケース61と、前後の直線方向に移動可能とするとともに前方に向けてばね付勢されつつ前記スイッチケース61に収容される可動部材62とを備えるものであり、前記スイッチケース61の両側面から外側方に突出するとともに前方に延びる一対のスイッチ側連結腕部63,63が、可動部材62とともに前後の直線方向に移動するようにして前記可動部材62に連設される。
【0033】
コイルアンテナ60は、合成樹脂によってリング状に形成されるボビン64の外周にコイル20が巻装されて成るものであり、ボビン64に一体に設けられたターミナル保持部64aに一対のターミナル65,65がその一部を突出させるようにしてモールド結合され、前記コイル20の両端が両ターミナル65…に電気的に接続される。しかも前記両ターミナル65…には、コイルアンテナ60の軸線と平行に延びる延出部65a…が一体に設けられ、前記ターミナル保持部64aもボビン64から後方に長く延びて前記延出部65a…を保持する。
【0034】
このコイルアンテナ60は、合成樹脂から成るアンテナケース66にモールド結合されるものであり、該アンテナケース66は、前記ボビン64の内周面を内周に臨ませて該ボビン64および前記コイル20を埋封せしめる円筒部67と、該円筒部67の後端から半径方向外方に張り出すフランジ部68と、該フランジ部68から後方に延びる筒状のスイッチ収容部69と、該スイッチ収容部69よりも大径にして該スイッチ収容部69の後端に連なる筒状の基板収容部70とを一体に有し、前記コイルアンテナ60におけるターミナル保持部64aはスイッチ収容部69の側壁に埋設され、前記ターミナル65…における延出部65a…の後端は基板収容部70内に突出する。
【0035】
前記スイッチユニット58は、前記アンテナケース66のスイッチ収容部69内に後方から挿入され、スイッチ収容部69の後部に設けられた複数の係止孔71…に、前記スイッチユニット58のスイッチケース61に突設された係合突部72…がアンテナケース66の内方から弾発、係合されることで、スイッチケース61がスイッチ収容部69内に収容、固定される。
【0036】
前記アンテナケース66の基板収容部70内には、前記コイルアンテナ60の軸線と直交する平面に沿うように配置される回路基板73が収容され、この回路基板73の外周部は、前記基板収容部70の内面に設けられて後方に臨む段部70aに当接されるようにして基板収容部70に固定される。
【0037】
前記回路基板73には、前記コイルアンテナ60にターミナル65…を介して接続されるものであり、前記ターミナル65…に一体に設けられてコイルアンテナ60の軸線と平行に延びる延出部65a…の後部が前記回路基板73に接続される。また前記スイッチユニット58におけるスイッチケース61の後部から突出される複数のバスバー74,74…が回路基板73に接続される。
【0038】
前記回路基板73には、その後方側に突出するコネクタ75が直接固着される。前記基板収容部70の後端開口部は蓋部材76で閉じられるものであり、この蓋部材76には、前記コネクタ75を貫通させる開口部77が設けられ、コネクタ75は蓋部材76から後方に突出する。
【0039】
前記蓋部材76の周方向複数箇所には、前記基板収容部70の外周に沿う腕部78,78…が設けられ、それらの腕部78,78…に対応して基板収容部70の前部外周に突設された係合腕部79…が、各腕部78,78…に設けられた係止孔80,80…に弾発係合することで、蓋部材76が基板収容部70すなわちアンテナケース66に着脱可能に装着される。
【0040】
押しボタン59は、前端が閉じられた有底円筒状に形成されて前記アンテナケース66の円筒部67と同軸に配置されるものであり、押圧操作に応じて前記可動部材62を駆動することを可能として該可動部材62に連結される。
【0041】
而して前記押しボタン59は、前端に配置される円板状の端壁部59aと、該端壁部59aの外周に連なって後方に延びる円筒部59bと、該円筒部59bの後端から半径方向外方に張り出す環状の鍔部59cとを一体に有する。
【0042】
しかも円筒部59bの内径は、前記アンテナケース66の前部における円筒部67の外径よりも大きく設定されており、円筒部59bは、前記円筒部67にモールド結合されるコイルアンテナ60の一部を押しボタン59の非押圧操作時に囲繞する。すなわちコイルアンテナ60が、その少なくとも一部を押しボタン59内に挿入するようにして、該押しボタン59と同軸に配置されることになる。
【0043】
また前記押しボタン59の端壁部59aの一直径線上に位置する一対の押しボタン側連結腕部59dが前記端壁部59aから後方に延出されており、アンテナケース66のスイッチ収容部69内に挿入されるスイッチユニット58のスイッチケース61から突出した一対のスイッチ側連結腕部63…が、前記押しボタン側連結腕部59d…にその内方側から重なりつつそれぞれ連結される。すなわち押しボタン側連結腕部59d…の後端に設けられた係止孔81…に、スイッチ側連結腕部63…の後部に突設された係合突部82…が弾発、係合される。これにより押しボタン59がスイッチユニット58の可動部材62に連結され、可動部材62が前方に向けてばね付勢されているので、押しボタン59も前方に向けてばね付勢されることになる。
【0044】
また押しボタン59は、該押しボタン59の前部を臨ませる円形の開口部83を前端に有する有底円筒状のガーニッシュ84で覆われており、このガーニッシュ84は、アンテナケース66に取付けられる。すなわちガーニッシュ84に一体に設けられて後方に延びる一対の腕部84a…に設けられる係止孔85…に、前記アンテナケース66におけるフランジ部68の外周に突設された係合突部86…が弾発、係合される。
【0045】
また前記スイッチユニット58におけるスイッチケース61の前面には、LED52が装着されるLED用基板87が固定されており、前記押しボタン59の端壁部59aの前記LED52に対応する部分には窓88が設けられており、窓88および前記LED52間に介在するレンズ56が前記コイルアンテナ60のボビン64に係合される。
【0046】
この実施形態によれば、押しボタン59と同軸であるコイルアンテナ60の少なくとも一部が押しボタン59内に挿入されるので、押しボタン59の外径および形状の自由度が増し、押しボタン59を大きくして操作性を高めることができる。しかも押しボタン59の外側方にコイルアンテナ60を支持する部材を配置する必要がなくなるので、押しボタン59の半径方向でスイッチ装置の小型化を図ることができ、従来のスイッチ装置に比べて車両への搭載スペースを小さくすることができる。
【0047】
またコイルアンテナ60にターミナル65…を介して接続される回路基板73が、コイルアンテナ60の軸線と直交する平面に沿うように配置されるので、スイッチ装置を、コイルアンテナ60および押しボタン59の軸線方向で小型化することができる。
【0048】
また回路基板73にコネクタ75が直接固着されるので、構造の単純化を図り、回路基板73にコネクタ75を予め固着しておいて、回路基板73およびコネクタ75の組付けを容易とすることができる。
【0049】
さらにコイルアンテナ60の軸線と平行に延びる延出部65a…がターミナル65…に一体に設けられており、該延出部65a…が前記回路基板73に接続されるので、単純な形状のターミナル65…でコイルアンテナ60および回路基板73間を接続することを可能とし、ターミナル65…の回路基板73への接続を容易として組付け性を高めることができる。
【0050】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0051】
11・・・・携帯機
12・・・・トランスポンダ
38・・・・電子部品
58・・・・スイッチユニット
59・・・・押しボタン
60・・・・コイルアンテナ
62・・・・可動部材
65・・・・ターミナル
65a・・・延出部
66・・・・ケース(アンテナケース)
73・・・・回路基板
75・・・・コネクタ
76・・・・蓋部材
77・・・・開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動部材(62)の直線的な移動に応じてスイッチング態様を切換えるスイッチユニット(58)と、前端が閉じられた有底円筒状に形成されるとともに押圧操作に応じて前記可動部材(62)を駆動することを可能として該可動部材(62)と連動する押しボタン(59)と、携帯機(11)に内蔵されるトランスポンダ(12)に起電力を発生させるためのトランスポンダ駆動電波を出力するコイルアンテナ(60)とを備え、前記携帯機(11)に内蔵される電池の電圧低下時には前記押しボタン(59)の近傍に前記携帯機(11)をかざすことで前記トランスポンダ(12)および車両間でのID信号の照合を行うことを可能としたエンジンのスタート・ストップスイッチ装置において、
前記コイルアンテナ(60)が前記押しボタン(59)と同軸に配置され、
前記スイッチユニット(58)および前記コイルアンテナ(60)を収容する筒状ケース(66)の内部に、前記コイルアンテナ(60)にターミナル(65)を介して接続される回路基板(73)が、該コイルアンテナ(60)の軸線と直交する平面に沿うように配置され、
前記ケース(66)には、そのケース(66)の後端開口部を閉じる蓋部材(76)が着脱可能に装着されることを特徴とするエンジンのスタート・ストップスイッチ装置。
【請求項2】
前記ケース(66)の後端開口部に臨ませるように配置した前記回路基板(73)に、その後方側に突出するコネクタ(75)が直接固着され、前記蓋部材(76)には、前記コネクタ(75)を貫通させる開口部(77)が設けられることを特徴とする請求項1記載のエンジンのスタート・ストップスイッチ装置。
【請求項3】
前記コイルアンテナ(60)の軸線と平行に延びる延出部(65a)が前記ターミナル(65)に一体に設けられ、該延出部(65a)が前記回路基板(73)に接続されることを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジンのスタート・ストップスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−100818(P2013−100818A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−266672(P2012−266672)
【出願日】平成24年12月5日(2012.12.5)
【分割の表示】特願2009−176374(P2009−176374)の分割
【原出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(000155067)株式会社ホンダロック (164)