説明

エンジンの燃焼促進装置

【課題】燃費を著しく向上させることができるエンジンの燃焼促進装置を提供する。
【解決手段】エンジンEに空気を送り込む吸気ダクトD又はエアクリーナCに取り付けられるエンジンの燃焼促進装置1であって、耐熱性を有する基体に電荷を帯びた原子または分子の凝集体であるクラスターイオンを分散又は微細化させるためのセラミックス及び酸化チタンを付着させて成る燃焼促進手段2と、吸気ダクトD又はエアクリーナCを介して取り込まれる空気に対して所定の磁気を及ぼすことが可能な永久磁石3とを具備したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンに空気を送り込む吸気用ダクト又はエアクリーナに取り付けられるエンジンの燃焼促進装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば特許文献1にて開示されているように、ガソリンエンジン等内燃機関の燃焼室に空気を送り込むための吸気系(例えば吸気ダクト)に取り付けられ、当該ガソリンエンジンの燃焼効率を向上させて燃費の向上及び出力増大効果を図ることができるエンジンの燃焼促進装置が提案されている。かかるエンジンの燃焼促進装置は、耐熱性を有する基体に電荷を帯びた原子または分子の凝集体であるクラスターイオンを分散・微細化させるためのセラミックスおよび酸化チタンを付着させたものから成り、特に基体の表面が薄いアルミニウム膜を蒸着したガラスクロスで構成されるとともに当該ガラスクロス中に銅片が巻き込まれたものとされていた。
【特許文献1】特開2001−227417号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来のエンジンの燃焼促進装置においては、エンジンの吸気系に取り付けられると、当該吸気系を通過する空気のクラスターイオンがセラミックスおよび酸化チタンから放射された陽イオンにより中和されて、分散・微細化され、燃焼効率が高まって燃費の向上および出力増大が図られるものの、その効果が不十分なものであった。即ち、近時においては、特に車両の燃費を著しく向上させる要求が高まりつつあり、その要求に応えるべき十分な燃費向上効果を奏することができなかったのである。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、燃費を著しく向上させることができるエンジンの燃焼促進装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、エンジンに空気を送り込む吸気ダクト又はエアクリーナに取り付けられるエンジンの燃焼促進装置であって、耐熱性を有する基体に電荷を帯びた原子または分子の凝集体であるクラスターイオンを分散又は微細化させるためのセラミックス及び酸化チタンを付着させて成る燃焼促進手段と、前記吸気ダクト又はエアクリーナを介して取り込まれる空気に対して所定の磁気を及ぼすことが可能な永久磁石とを具備したことを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のエンジンの燃焼促進装置において、表面に前記燃焼促進手段と所定個数の永久磁石とが固定されつつ裏面が粘着面とされ、該粘着面の粘着にて前記吸気ダクト又はエアクリーナに取り付けられることを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載のエンジンの燃焼促進装置において、1つの前記燃焼促進手段に対して前記永久磁石の磁力が25000Gとなるよう当該永久磁石の配設個数が設定されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、永久磁石から及ぼされる磁気と燃焼促進手段のセラミックス及び酸化チタンから放出された陽イオンとの相乗効果により、空気を構成する原子または分子のクラスターイオン(特に、燃料と燃焼反応を起こす酸素のクラスターイオン)がより分散・微細化されるので、従来に比して燃費を著しく向上させることができる。
【0009】
請求項2の発明によれば、表面に燃焼促進手段と所定個数の永久磁石とが固定されつつ裏面が粘着面とされ、該粘着面の粘着にて吸気ダクト又はエアクリーナに取り付けられるので、燃焼促進手段と永久磁石とをユニット化することができるとともに、吸気ダクト又はエアクリーナへの脱着が容易とされる。
【0010】
請求項3の発明によれば、1つの燃焼促進手段に対して永久磁石の磁力が25000Gとなるよう当該永久磁石の配設個数が設定されたので、より効果的に燃費を著しく向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係るエンジンの燃焼促進装置は、図1及び図2に示すように、自動車(ガソリン車又はディーゼル車含む)のエンジンEに空気を送り込む吸気ダクトDの外周面に取り付けられたもので、1つの燃焼促進手段2と、50枚の永久磁石3と、これら燃焼促進手段2及び複数の永久磁石3を固定させた粘着シート4とから主に構成されている。
【0012】
吸気ダクトDは、その一端がエアクリーナCに接続されるとともに他端がエンジンEの燃焼室(不図示)に通じるよう配設されたものであり、エアクリーナCにて異物等が取り除かれた空気が当該吸気ダクトDを通過し、エンジンEの燃焼室に至るよう構成されている。尚、エンジンEの燃焼室には空気と共に燃料が供給され、例えばプラグのスパークにより爆発反応させてピストンを動作させ、その力でクランク軸を回転させて出力を得るよう構成されている。
【0013】
燃焼促進手段2は、耐熱性を有する基体にセラミックス及び酸化チタンを付着させたものから成り、そのセラミックス及び酸化チタンから放出される陽イオンが吸気ダクトDを通過する空気に対して照射可能とされたものである。すなわち、セラミックス及び酸化チタンからの陽イオンが吸気ダクトDを通過する空気に照射されると、当該空気を構成する原子または分子のクラスターイオン(特に、燃料と燃焼反応を起こす酸素のクラスターイオン)が分散・微細化され、それによりエンジンEの燃費が向上するようになっている。
【0014】
然るに、通常、エンジンEの燃焼室に送り込まれる空気は、窒素、酸素といった正の電荷又は負の電荷を帯びた原子又は分子の凝集体であるクラスターイオンが連なって連続した凝集相を成す状態で流れ込むことが分かっている。この状態でプラグの点火により爆発反応を生じさせようとした場合、クラスターイオンの凝集相の一部分を構成している酸素が、隣接するクラスター同士でイオン結合しているため、当該酸素の活性度合いが相対的に小さくなってしまう。このため、空気中の酸素が十分に燃焼できなくなるため、エンジンの燃費悪化の一因となっていたのである。
【0015】
これに対し、本実施形態においては、燃焼促進手段2からエンジンEに送り込まれる空気に対して陽イオンが照射されるので、既述の如く原子または分子のクラスターイオン(特に、燃料と燃焼反応を起こす酸素のクラスターイオン)が分散・微細化され、特に酸素の活性度合いを維持させることにより、エンジンEの燃費が向上されるのである。また、燃焼促進手段2の基体の表面は、薄いアルミニウム膜を蒸着したガラスクロスで構成されるとともに当該ガラスクロス中に銅片が巻き込まれたものとされている。
【0016】
永久磁石3は、例えば略直方体のフェライト磁石から成り、500G(ガウス)の磁気を及ぼすものを50枚一組として粘着シート4上に固定されたものである。すなわち、吸気ダクトDを流れる空気に対して、永久磁石3から磁束密度25000G(ガウス)の磁気が及ぼされるようになっているのである。尚、永久磁石3の粘着シート4に対するレイアウトは、適宜設定することができ、図2で示したように、燃焼促進手段2の両側(粘着シート4の長手方向に沿って左右方向)に50枚の永久磁石3を均等配置(即ち、25枚毎配置)する他、燃焼促進手段2の片側のみに50枚の永久磁石3を配置したりすることができる。
【0017】
然るに、燃焼室での燃焼に大きく寄与する酸素が磁性体であるため、永久磁石3から磁気が及ぼされると、吸気ダクトDを流れる空気中の酸素が、磁気による磁力線の方向に急速に整列しようとして分散することとなる。これにより、酸素のクラスターイオンが分散・微細化され、その活性度合いを維持させることができ、燃焼促進手段2との相乗効果を奏することができるので、エンジンEの燃費を一層向上することができるのである。
【0018】
また、本実施形態によれば、永久磁石3を吸気ダクトDの外周面に沿って複数配設しているので、当該永久磁石3による磁気を異なる方向から及ぼすことができ、磁気に基づく磁力線の方向が多岐に亘るよう構成されている。従って、上記の如き酸素の整列方向が多岐に亘りその分散・微細化効果を一層生じさせることができるので、燃費を更に向上させることができるようになっている。
【0019】
粘着シート4は、図3に示すように、表面が燃焼促進手段2と所定個数の永久磁石3とが接着剤等で固定されつつ裏面が粘着面とされたシート状部材から成り、裏面の粘着面を吸気ダクトDの外周面に粘着させることにより、燃焼促進手段1を吸気ダクトDに取り付け可能とされている。尚、燃焼促進手段1を吸気ダクトDに取り付けた後、結束バンド等で強固に永久磁石3を固定させるようにしてもよい。また、本実施形態においては、燃焼促進手段2及び永久磁石3が上方を臨むよう取り付けられているが、吸気ダクトDの配置形態によってはこれら燃焼促進手段2及び永久磁石3が下方を臨むよう取り付けてもよい。
【0020】
このように、燃焼促進装置1が粘着シート4の粘着面の粘着にて吸気ダクトDに取り付けられるので、燃焼促進手段2と所定個数の永久磁石3とをユニット化することができるとともに、吸気ダクトDへの脱着が容易とされる。粘着シート4としては、汎用のガムテープ等を使用することができるが、燃焼促進手段2及び所定個数の永久磁石3を固定させ、陽イオンや磁気の通過をより可能とした他の形態の粘着シートを用いてもよい。
【0021】
また、本実施形態によれば、永久磁石3から及ぼされる磁気と燃焼促進手段2のセラミックス及び酸化チタンから放出された陽イオンとの相乗効果により、空気を構成する原子または分子のクラスターイオン(特に、燃料と燃焼反応を起こす酸素のクラスターイオン)がより分散・微細化されるので、従来に比して燃費を著しく向上させることができる。
【0022】
更に、本実施形態によれば、空気中の酸素の他、窒素も燃焼室での燃焼に大きく寄与するようになっているものと考えられる。すなわち、後述する燃費向上試験でも分かるように、本実施形態のものが、酸素の燃焼効率の向上のみによる燃費向上効果の程度を超えていることから、酸素に加えて窒素も燃焼していることが考えられるからである。因みに、窒素は、空気中に78%も含まれており、この窒素をエネルギとして利用することができる本実施形態のものは燃費向上効果に著しい効果が生じる。
【0023】
次に、本発明に係る実施例と比較例とを比較した実験について以下に説明する。
(実施例)
燃焼促進手段2が1つに対し1つの磁束密度が500G(ガウス)の永久磁石3を50枚具備した燃焼促進装置を1組の燃焼促進装置とした場合、1組、2組、3組、4組及び6組の燃焼促進装置をそれぞれ吸気ダクトに配設した。実験で使用する自動車は、1987年式で燃料噴射式の2800cc、ボルボ760型である(実施例及び比較例の両者を含む)。
(比較例)
吸気ダクトには燃焼促進装置を配設しないものとした。
【0024】
以下、市街及び郊外における走行実験(低速実験)の結果を表1(比較例)、表2(実施例における1組のもの使用)、表3(同2組のもの使用)、表4(同3組のもの使用)にそれぞれ示すとともに、一定経路を走行した実験結果につき表5(比較例)、表6(実施例における1組のもの使用)、表7(同2組のもの使用)、表8(同3組のもの使用)、表9(同4組のもの使用)及び表10(同6組のもの使用)にそれぞれ示す。また、高速道路における走行実験(高速実験)の結果を表11に示す。
【0025】
【表1】

【0026】
【表2】

【0027】
【表3】

【0028】
【表4】

【0029】
【表5】

【0030】
【表6】

【0031】
【表7】

【0032】
【表8】

【0033】
【表9】

【0034】
【表10】

【0035】
【表11】

【0036】
表1〜表7で示される実験結果から分かるように、実施例のもの(1組〜4組及び6組のもの)は何れも比較例に比べて燃費が向上している。特に、実施例のうち3組のものは、比較例に比べて約65%の燃費向上と顕著な効果が見られる。また、上記実験結果から本実施例が高速走行より低速走行(市街及び郊外走行)の方が比較的燃費向上効果が高いことが分かる。
【0037】
ところで、上記実験は、排気量が2800ccの自動車を用いており、実施例のうち3組のものに燃費向上に顕著な効果が見られるが、1800ccの自動車では2組、1000cc以下の自動車では1組のものが燃費向上に顕著な効果が見られるものと考えられる。然るに、何れの排気量においても、組数が多いほど、燃費向上効果が見られることは明らかである。
【0038】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばエアクリーナCの表面に燃焼促進手段2及び永久磁石3を固定させてもよく、或いは燃焼促進手段2をエアクリーナCの表面に固定させつつ所定個数の永久磁石3を吸気ダクトDの外周面に固定させるようにしてもよい。また、燃焼促進手段2及び永久磁石3の吸気ダクトD又はエアクリーナCへの固定方法は如何なる方法でもよく、本実施形態の如く粘着テープ4を介して固定させるものの他、当該燃焼促進手段2及び所定個数の永久磁石3を直接吸気ダクトD又はエアクリーナCに粘着等にて固定させるようにしてもよい。更に、本実施形態においては、ガソリンエンジンを搭載した自動車に適用しているが、ディーゼル車やボイラー或いはその他の内燃機関等にも適用することができる。
【0039】
更に、本実施形態に係る永久磁石として、フェライト磁石が用いられているが、高温になっても磁力が劣化しないものであれば他のものであってもよい。また、1つの永久磁石(42×20×20寸法大)の磁束密度が600G(ガウス)のものを使用することができ、かかる永久磁石を使用した場合、1つの前記燃焼促進手段に対して40個配設する(即ち、24000G)のが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
耐熱性を有する基体に電荷を帯びた原子または分子の凝集体であるクラスターイオンを分散又は微細化させるためのセラミックス及び酸化チタンを付着させて成る燃焼促進手段と、吸気ダクト又はエアクリーナを介して取り込まれる空気に対して所定の磁気を及ぼすことが可能な永久磁石とを具備したエンジンの燃焼促進装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施形態に係るエンジンの燃焼促進装置を吸気ダクトに固定させた状態を示す模式図
【図2】吸気ダクトに固定された同エンジンの燃焼促進装置の拡大模式図
【図3】吸気ダクトに固定される前の同エンジンの燃焼促進装置を示す模式図
【符号の説明】
【0042】
1 燃焼促進装置
2 燃焼促進手段
3 永久磁石
4 粘着テープ
E エンジン
C エアクリーナ
D 吸気ダクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンに空気を送り込む吸気ダクト又はエアクリーナに取り付けられるエンジンの燃焼促進装置であって、
耐熱性を有する基体に電荷を帯びた原子または分子の凝集体であるクラスターイオンを分散又は微細化させるためのセラミックス及び酸化チタンを付着させて成る燃焼促進手段と、
前記吸気ダクト又はエアクリーナを介して取り込まれる空気に対して所定の磁気を及ぼすことが可能な永久磁石と、
を具備したことを特徴とするエンジンの燃焼促進装置。
【請求項2】
表面に前記燃焼促進手段と所定個数の永久磁石とが固定されつつ裏面が粘着面とされ、該粘着面の粘着にて前記吸気ダクト又はエアクリーナに取り付けられることを特徴とする請求項1記載のエンジンの燃焼促進装置。
【請求項3】
1つの前記燃焼促進手段に対して前記永久磁石の磁力が25000Gとなるよう当該永久磁石の配設個数が設定されたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のエンジンの燃焼促進装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−127067(P2007−127067A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−320820(P2005−320820)
【出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【出願人】(000219060)嶋崎種苗株式会社 (4)
【出願人】(599022030)
【出願人】(500070569)