説明

エンジン装置

【課題】各種クーラがエンジンからの熱風に直接晒されて冷却効率が低下することを防止し、エンジン周囲に各種冷却手段を密集させることによりエンジン周囲に熱が溜まりやすくなることを防止する。
【解決手段】エンジンブロック29の一側方にコモンレール35を配置したエンジン装置9において、エンジンブロック29の上方に、各種冷却手段を集中して配設することにより、各種冷却手段及びエンジンブロックの冷却効率の低下を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、多気筒用インジエクタに燃料を供給するコモンレールを備えたエンジンブロックの周辺に装備される各種機器部材の冷却機器の配置を考慮したエンジン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多気筒用インジエクタに燃料を供給するコモンレールを備えたエンジン装置においては、その周辺にディーゼルエンジンの循環式冷却用のラジエータや油圧シリンダ用オイルを冷却するオイルクーラや燃料を冷却する燃料クーラ等の冷却手段が配置されており、これらの冷却手段の近傍には冷却ファンが設けられて、この冷却ファンによって吸引風路が形成されている。すなわち、冷却ファンの空気吸引作動によって各種の冷却手段から冷却ファンに向かって吸引風路が形成されて、吸引風路に位置する各種クーラの冷却手段が空冷による冷却機能を果たすように構成されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、従来のエンジン装置の構造において冷却用ファンでエンジンとラジエータとオイルクーラを同時に冷却する技術に対して、外気温の高い真夏の昼間に収穫作業を行う時の欠点を解消する技術が開示されている。
【0004】
すなわち、従来の技術では熱くなったオイルクーラで冷却ファンの吸引風が加熱されてラジエータを充分に冷却できず、エンジンがオーバーヒートして作業効率が低下するという欠点があった。
【0005】
引用文献1の上記公報では、この従来の欠点を解消すべくエンジンの原動機カバーの一側の側部枠に通風孔を形成し、エンジンの冷却ファンをその近傍に配すると共に、冷却ファンからの吸引風の風路中途にラジエータやオイルクーラやインタークーラ等を縦方向か横方向に並べて配設介在させ、各クーラに個別にそれぞれ吸引風が接するようにして、吸引風が各種クーラに重複して当らない構造とすることによりオーバーヒートになる限界を高めることができるようにした。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−162336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記引用文献1では、確かに各種クーラが吸引風路に重複して配設されていないため各種クーラに個別に吸引風が接することになり、従来の上記技術よりも冷却効果を向上できる。
【0008】
しかし、冷却ファンはエンジンの横側方に配設され、しかも各種クーラのうちいくつかも冷却ファンを間に介してエンジンの横側方に配されているため、冷却ファンによってエンジンからの熱風が各種クーラに直接当たることになり、冷却効率を低下させると共に、冷却ファンがエンジン横側方に近接して設けられているため、直接にエンジンからの熱を冷却ファンが受けることになり更に各種クーラの冷却効率を低下させる欠点があった。
【0009】
更には、コモンレールを具備したエンジン装置においては、エンジン本体の外周空間がコモンレール構造のため少なくなり、各種クーラを横方向又は縦方向に並べて配置する場合は、エンジン装置の各部材や各種クーラの配置密度が高くなり、エンジン装置に熱が貯まりやすく更に冷却効率が低下するおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、エンジンブロックの一側方にコモンレールを配置したエンジン装置において、エンジンブロックの上方に、各種冷却手段を集中して配設した。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のエンジン装置において、各種冷却手段としては、タービンケースを冷却するインタークーラやエンジン用燃料を冷却する燃料クーラやラジエータを冷却するラジエータ、各種の油圧シリンダ用オイルを冷却するオイルクーラ等から構成したことを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のエンジン装置において、各種冷却手段からの吸引風路を形成する冷却ファンは冷却手段よりも機体内側に配設したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1、2の発明によれば、インタークーラや燃料クーラやラジエータやオイルクーラ等の各種冷却手段をエンジンブロックの上方向に集中して配設したので、各種冷却手段がエンジンブロックと上下で仕切られた状態となり、エンジンブロックからの放熱を可及的に帯びないようにして冷却効率を向上することができると共に、必要に応じてエンジンブロックとその上方に集中配設した各種冷却手段との間に断熱手段を介在することができ、より冷却手段の冷却効率を向上することができる。
【0014】
また、これらの冷却手段とは別途に設ける吸引風路形成手段は、エンジンブロックの上方で集中的に吸引風路を形成するのみでよいため、吸引風路による冷却機能を向上することができ、更には、エンジンブロックの上方の空間に冷却効率が最適の配置で各種冷却手段を配設することができる効果がある。
【0015】
請求項3の発明によれば、冷却ファンを冷却手段よりも機体内側に配設したことにより、冷却ファンによる吸引風路は、機体外側から機体内側に向けて形成されることになり、機体外側の冷却空気を充分に吸引して、その中途で各種冷却手段を空冷することができ、冷却効率を向上できる効果がある。
【0016】
しかも、冷却ファンが機体内側に配設されることにより、原動機部とその横側方に配設されている脱穀選別部との間を冷却ファンからの排風が流通することになり、排風はそのまま原動機部と脱穀選別部との間から機体下方に抜けていくことになり、帯熱排風が他の機器部材に悪影響を及ぼすことがない効果を有する。
【0017】
更には、冷却ファンがエンジンブロックからの放熱に直接に作用しないことから、吸引風路の昇温を可及的に抑制し、冷却手段の冷却機能を低下させないようにすることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のエンジン装置が使用されるコンバインの構成を示す右側面図である。
【図2】本発明のエンジン装置が使用されるコンバインの構成を示す平面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るエンジン装置の正面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るエンジン装置の左側面図である。
【図5】本発明の実施形態に係るエンジン装置の右側面図である。
【図6】本発明の実施形態に係るエンジン装置の冷却ユニットの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係るエンジン装置について、図面を用いて詳細に説明する。
【0020】
まず、本発明のエンジン装置が使用されるコンバイン1の全体構成について説明する。
図1はコンバイン1の構成を示す右側面図であり、図2はコンバイン1の構成を示す平面図である。コンバイン1は、機体フレーム2に固定された走行部3、刈取部4、脱穀部5、選別部6、穀粒貯留部7、排藁処理部8、穀粒排出装置22、エンジン装置9及び操縦部10を備えている。以下の説明において、コンバイン1の進行方向を前側とし、進行方向に対して右側、左側及び後側とする。
【0021】
走行部3は、機体フレーム2の下部に設置されている。走行部3は、左右一対のクローラを有するクローラ式走行装置11を備え、機体を前進又は後退方向に走行させることができるように構成されている。
【0022】
刈取部4は、機体フレーム2の前端部に対して昇降可能に設置されている。刈取部4は、分草具12、掻込リール13、切断装置14、搬送装置15等を備えている。分草具12は圃場の穀稈を分草し、掻込リール13は分草後の穀稈を掻込み、切断装置14は掻込み後の穀稈の株元を切断し、搬送装置15は切断後の穀稈を脱穀部5へ搬送できるように構成されている。
【0023】
脱穀部5は、機体フレーム2の左側であり刈取部4の後方に設置されている。脱穀部5は図示しない扱胴及び受網(コンケーブ)等を備えている。脱穀部5は、搬送された穀稈を後方に送りながら脱穀し、脱穀物を漏下させることができるように構成されている。
【0024】
選別部6は、機体フレーム2の左側であって脱穀部5の下方に設置されている。選別部6は、揺動選別装置、風選別装置、穀粒搬送装置20等を備えている。揺動選別装置は脱穀部5から漏下した脱穀物を揺動により穀粒や藁屑等の選別し、風選別装置は揺動選別後の穀粒と藁屑等に風選別し、穀粒搬送装置20は選別した穀粒を穀粒貯留部7に搬送することができるように構成されている。
【0025】
穀粒貯留部7は、機体フレーム2の右側前後中央部であって、脱穀部5及び選別部6の右側に設置されている。穀粒貯留部7は、穀粒タンク21等を備えて、選別部6から搬送される穀粒を穀粒タンク21に貯留することができるように構成されている。穀粒排出装置22は穀粒タンク21に接続し、穀粒タンク21から穀粒を機体に対して任意の方向に排出可能に構成されている。
【0026】
排藁処理部8は、機体フレーム2の左側後端部であって脱穀部5の下方、かつ選別部6の後方に設置されている。排藁処理部8は、スプレッダを備えている。スプレッダは脱穀部5から脱穀済みの穀稈を排藁として圃場へ均一に拡散放出可能に構成されている。
【0027】
穀粒排出装置22は、その基部がエンジン装置9後方の収納室23に設置されている。穀粒排出装置22は、その基部を回転軸として水平方向の任意の角度に回転可能に設置され、穀粒タンク21に貯留された穀粒を機体外の任意の方向に排出可能に構成されている。
【0028】
本発明に係るエンジン装置9は、機体フレーム2の右側後部であって、穀粒貯留部7の後方であり脱穀部5の右方に設置されている。エンジン装置9の右側はエンジンカバー81により覆われている。エンジンカバー81の上部には外気取入口82が開口し、除塵装置80(図6を参照)が設置されている。冷却ファン66(図3、図4、図6を参照)が回転する場合にエンジンルーム内に吸気される外気の除塵処理が施される。エンジン装置9は、ディーゼルエンジンからなるエンジンブロック29とエンジンブロック29の上部に配置された冷却ユニット30から構成されている。エンジン装置9は、コンバイン1の移動や、刈取部4、脱穀部5等を駆動させることができるように構成されている。
【0029】
操縦部10は、機体フレーム2の右側前部であって、穀粒貯留部7の前方に設置されている。操縦部10は、ステアリングハンドル、変速レバー等を含む操作具、操縦席、キャビン等を備えている。操縦席は操作者が着座することができ、キャビンは操縦席を囲むように構成されている。
【0030】
コンバイン1は、操作者の操作によりエンジン装置9からの動力を走行部3、刈取部4、脱穀部5、選別部6、排藁処理部8等に伝達可能に構成されている。コンバイン1は、走行部3により移動しながら刈取部4により圃場の穀稈を刈取り、搬送装置15により穀稈を脱穀部5に搬送し、脱穀部5により穀稈から脱穀物を脱穀し、選別部6により藁屑と穀粒を選別し、選別した穀粒を穀粒貯留部7に貯留できるように構成されている。
【0031】
次に、本発明の実施形態に係るエンジン装置9の構成を詳細に説明する。
図3はエンジン装置9の正面図であり、図4はエンジン装置9の左側面図であり、図5はエンジン装置9の右側面図であり、図6は冷却ユニット30の平面図である。エンジン装置9は、穀粒タンク21の後端側であり、穀粒搬送装置20の右側面側に配置されている。エンジン装置9は、エンジンブロック29と冷却ユニット30を備え、機体フレーム2の上に設置されている。冷却ユニット30は、エンジンブロック29の上方であり、箱型架台28に設置されている。
【0032】
エンジンブロック29は、出力軸であるクランク軸32がコンバイン1の前後方向に対して直交する方向を向いている。エンジンブロック29は、シリンダブロック31と、シリンダブロック31の上部前方に設置される排気マニホールド33と、シリンダブロック31の上部後方に設置される吸気マニホールド34と、シリンダブロック31の吸気マニホールド34側に設置されるコモンレール35及び燃料フィルタ64と、シリンダブロック31の下部に設置されるオイルパン39を備えている。
【0033】
クランク軸32はシリンダブロック31の両側面から突出し、左側面の突出部にはフライホイール36とプーリ37aが、右側面の突出部にはプーリ37bが回転可能に装着されている。フライホイール36の上部には排気ガス再生循環用のEGRクーラ38が配置されている。EGRクーラ38は、EGRバルブ65と共にEGR装置を構成する。EGRクーラ38は、エンジンブロック29の左側面であり、フライホイール36上部の脱穀部5側に配置されている。EGR装置は、排気マニホールド33と吸気マニホールド34の間に設置され、排気マニホールド33からの再循環排気ガスを冷却して吸気マニホールド34に供給する。
【0034】
基台44は、エンジンブロック29前方の機体フレーム2に設置されている。基台44の上端部にはプーリが軸支され、Vベルトによりプーリ37aと連結してディーゼルエンジンの回転を伝達可能に構成されている。
【0035】
シリンダブロック31の前面上部には過給機40が固設されている。過給機40は、ブロイラホイールを内蔵するコンプレッサケース42と、タービンホイールを内蔵するタービンケース43とを備え、シリンダブロック31に対してコンプレッサケース42が左側、タービンケース43が右側に配置されている。過給機40は、排気ガス圧を利用して吸気ガスを加圧する。
【0036】
コンプレッサケース42に接続される第一吸気管53はエアクリーナ52に連通し、更に吸気ダクト51を介してプレクリーナ50に連通する。第一吸気管53及びエアクリーナ52は冷却ユニット30の左側面外方、即ち脱穀部5側に設置されている。タービンケース43に排気ガス取入管59と排気管57aが接続されている。排気ガス取入管59は排気マニホールド33に連通し、ディーゼルエンジンの排気ガスを取り出す。排気管57aには、ディーゼルパティキュレートフィルタを内蔵するDPFケース58が連通し、更に排気管57bを介してマフラー56、更にテールパイプ55に連通する。DPFケース58は冷却ユニット30の前方外側面に設置され、マフラー56は、エアクリーナ52の上部であり、冷却ユニット30の左側面と脱穀部5との間に設置されている。なお、DPFケース58は、マフラー56により置き換えることができる。
【0037】
排気マニホールド33からの排気は、排気ガス取入管59を通して過給機40のタービン側に導入される。過給機40から排出される排気ガスは、排気管57bを介してDPFケース58に導入され、排気管57a、マフラー56及びテールパイプ55を介して大気に放出される。吸気ガス(大気)は、プレクリーナ50、吸気ダクト51、エアクリーナ52、第一吸気管53を介して過給機40のタービン側に導入される。
【0038】
次に、冷却ユニット30の構成について説明する。
冷却ユニット30はエンジンブロック29の上部の箱型架台28に設置されている。箱型架台28は、左右側を開放した四辺枠体より構成されており、四辺枠体内の空間に冷却ユニット30を収納してエンジンブロック29より区画した冷却空間を形成している。
【0039】
冷却ユニット30は、冷却ファン66、ラジエータ68、インタークーラ62、オイルクーラ71、燃料クーラ49を備えている。冷却ファン66は冷却ユニット30の左側、つまり脱穀部5側に配置されている。ラジエータ68は、冷却ファン66の右側に対面して配置されている。オイルクーラ71はラジエータ68の右側面の上部に対面して設置されている。インタークーラ62はオイルクーラ71の右側面の下方前方に対面して配置されている。燃料クーラ49は、オイルクーラ71の右側面の下方後方に対面し、インタークーラ62と並列に配置されている。
【0040】
これらの各種冷却手段は、エンジンカバー81、冷却ユニット30の上下面及び左側面に設置した冷却部カバー67により囲まれている。エンジンカバー81は、冷却ユニット30の右側面の対応する箇所に外気取入口82が開口し、冷却部カバー67は、冷却ファン66の対応する箇所に冷却風放出口76が開口している。
【0041】
冷却ファン66は、箱型架台28の上部左側面に設けた梁部に回転可能に軸支されている。冷却ファン66は、ファン側プーリ48と基台44の上端部に設置した基台プーリ46間に設けたVベルト、及び、基台44のプーリ46とクランク軸32のプーリ37a間に設けたVベルト45を介してエンジンブロック29からの回転動力により回転する。冷却ファン66の回転により、エンジンカバー81に設けた外気取入口82から空気を吸引し、図6に示すようにこの吸引した空気が冷却部カバー67に案内されて各種冷却手段を冷却し、左側面に設けた冷却風放出口76から放出される。更に、放出された冷却風は脱穀部5とエンジン装置9の間隙を通して機体下部に導かれる。
【0042】
ラジエータ68は、エンジンブロック29の周囲を循環する冷却水の熱を放出する。エンジンブロック29の右側面の中央上部には冷却水を吐出するための冷却水吐出口74が設置されている。冷却水第一配管69は、一端を冷却水吐出口74に連結し他端をラジエータ68上部の冷却水取入口に連結している。冷却水第二配管70は、一端をラジエータ68下部の冷却水取出し口に連結し、他端をエンジンブロック29の右側面の中央部に設けられた冷却水流入口77に連結している。冷却水第一配管69は、冷却ユニット30の前方内側面に沿って立設し、上面近傍で屈曲して後方に延長し、ラジエータ68上部の冷却水取入口に連通している。
【0043】
オイルクーラ71は、各種の油圧シリンダ用オイルからなる作動油を冷却する。オイルクーラ71は、作動油取入口73から加熱した作動油を流入し、冷却された作動油を作動油排出口72から排出する。作動油取入口73及び作動油排出口72はオイルクーラ71の前方端面に設置されている。
【0044】
インタークーラ62は、過給機40により圧縮された吸気と排気の混合ガスを冷却して吸気マニホールド34へ供給する。第一過給管61は、一端を過給機40のコンプレッサケース42に連結し、他端をインタークーラ62の混合ガス流入口に連結する。第一過給管61は、コンプレッサケース42から冷却ユニット30とエンジンブロック29との間をエンジンブロック29の左側面から右側面方向に水平に延長し、インタークーラ62の前方底部に設けられた混合ガス流入口に連結する。
【0045】
第二過給管63は、一端をインタークーラ62の底部に設けられた混合ガス排出口に連結し、屈曲して冷却ユニット30とエンジンブロック29との間を後方水平方向に延長し、更に下方に屈曲してEGR装置の混合ガス流入口に連結する。
【0046】
燃料クーラ49は、コモンレール35に供給する燃料を冷却する。図示しないフィードポンプは、燃料タンクから燃料を汲み上げて燃料クーラ49に送出する。燃料クーラ49は、後側面の下部に設置された燃料流入口78から燃料を流入し、後方の側面上部に設置された燃料送出口79から燃料を流出させる。
【0047】
以上のとおり、本発明においては、エンジンブロック29の一側方にコモンレール35を配置したエンジン装置9において、エンジンブロック29の上方に各種冷却手段を集中して配設している。これにより、各種冷却手段とエンジンブロック29が上下に仕切られた状態となり、エンジンブロック29からの放熱を可及的に帯びないようにして集中的に冷却風を通過させることができ、放熱効率を向上させることができる。
【0048】
更に、必要に応じてエンジンブロック29とその上方に集中的配設した各種冷却手段との間に断熱手段を介在させることができるので、より冷却手段の冷却効率を向上させることができる。更に、冷却手段を集中的に配置したので、冷却手段の占める体積を縮小させることができる。
【0049】
また、各種冷却手段として、エンジンに供給する空気を空冷するインタークーラ62やエンジン用燃料を冷却する燃料クーラやラジエータ68、各種の油圧シリンダ用オイルを冷却するオイルクーラ71等から構成した。
【0050】
各種冷却手段を個別に設ける場合これにより、冷却手段とは別途に設ける吸引風路形成手段は、エンジンブロック29の上方で集中的に吸引風路を形成するのみでよいために、吸引風路による冷却機能を向上することができ、更には、エンジンブロック29の上方の空間に冷却効率が最適の配置で各種冷却手段を配設することができる。
【0051】
また、各種冷却手段からの吸引風路を形成する冷却ファン66は冷却手段よりも機体内側に配設した。これにより、冷却ファン66による吸引風路は、機体外側から機体内側に向けて形成されることになり、機体外側の冷却空気を十分に吸引して、その途中で各種冷却手段を空冷することができ、冷却効率を向上できる効果がある。
【0052】
しかも、冷却ファン66が機体内側に配設されることにより、原動機部とその横側方に配設されている脱穀選別部との間から機体下方に抜けて行くことになり、耐熱は威風型の機器部材に悪影響を及ぼすことがない効果を有する。
【符号の説明】
【0053】
1 コンバイン
2 機体フレーム
3 走行部
4 刈取部
5 脱穀部
6 選別部
7 穀粒貯留部
8 排藁処理部
9 エンジン装置
10 操縦部
29 エンジンブロック
30 冷却ユニット
35 コモンレール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンブロックの一側方にコモンレールを配置したエンジン装置において、エンジンブロックの上方に、各種冷却手段を集中して配設したことを特徴とするエンジン装置。
【請求項2】
各種冷却手段としては、エンジンに供給する空気を空冷するインタークーラやエンジン用燃料を冷却する燃料クーラやラジエータ、各種の油圧シリンダ用オイルを冷却するオイルクーラ等から構成したことを特徴とする請求項1に記載のエンジン装置。
【請求項3】
各種冷却手段からの吸引風路を形成する冷却ファンは冷却手段よりも機体内側に配設したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエンジン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−285902(P2010−285902A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−139134(P2009−139134)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)